カテゴリー「2001年のライブ」の23件の記事

2001年12月12日 (水)

市井紗耶香 with 中澤裕子 -FOLK DAYS-@SHIBUYA-AX(2001年12月10日・夜公演)

  17時半に会場を追い出され、中では清掃等の整備が始まる。再び開場になるまでしばしコーヒータイム‥‥と呑気な事言ってられない程、寒い。マジで死ぬかと思った。身体が芯から冷え切って、息を吐いても白くならない‥‥死ぬのか、俺は!?(爆)

  1回目が30分遅れだったように、夜公演も入場スタートが18時半頃になってから。夜公演は「B500番台」だった為、更に30分以上外で待たされ、19時になった頃にフロアへ到着。もう前の方へは行けないだろうな‥‥と思ったら、たまたま入ったところが良かったらしく、さっきよりはちょっとだけ前で観れることとなった。今回は前回と反対側の左側‥‥市井側で観る。俺の隣には収録用のカメラがあって、覗き込むとモニターが確認できるので、市井や姐さんの顔のシワまで確認出来る、至れり尽くせり状態(笑)

  で、2回目なのだけど‥‥選曲や運びといい、MCの内容まで殆ど同じだった。だから特筆すべきこととなると‥‥1回目終盤喉が辛そうだった姐さんが回復してて、更に声が出てて、ピッチも最初からピッタリだった点。これは驚いた。娘。時代に1日2公演、3公演とか経験してる人だけどさ、ここまでフルで唄ってはいないわけだし、唄う比率は明らかに今回の方が高いにも関わらず、この好状態。これもミュージカル効果か?

  そうそう、これは書いておかなければ。アンコール1回目、"ふるさと"を唄い終えた後のMCにて。さっき同様、ここで再び戻ってこれた事に対する喜びと、待っていてくれたファンに対する感謝の言葉が述べられる。本当に嬉しかったです、と。そこへ姐さん、「私は、紗耶香が本当に戻ってきてくれた事が一番嬉しかったよ」と呟く。その瞬間、市井の顔が歪む。思わず泣き出してしまったのだ。それを観て俺ももらい泣き(苦笑)。畜生、まさか俺まで泣くとは。

  更に姐さんも、この日何度か「いろんな仕事を今年はやらせてもらったけど、やっぱり私は歌が好き。歌を唄える事が一番楽しいし、幸せだと思う」と漏らしていたが、"翼をください"を歌い終えた瞬間に、彼女も感極まって顔を歪めていた。本当に、本当に嬉しかったんだろうな‥‥娘。時代には味わえなかった満足感を、この日は十分味わったはず。そのお陰で、俺も姐さんに対する見方も変わったし。

  最後は1回目にやらなかった、バンドメンバー全員がステージ前方に並んでお辞儀。市井と姐さんは最後の最後まで、何度も何度も手を振って、名残惜しそうに袖へ戻っていった。この瞬間、丁度21時。正味100分に渡るライヴ×2公演の全てが終わった。

  モーニング娘。のライヴとは全く違うものだったのは言うまでもないが(とは言っても実際に体験した事はないわけで、ビデオでしか観たことないのでそれと比べての話)、とにかく「歌」ありきのライヴだった。娘。のように激しいダンスがあるわけでもなく、衣装で魅せる内容でもなかった。「歌」で繋がっていたふたりの、もの凄く力強い「ポジティヴ」を我々は受け取った。市井がこういう形で復帰した事に対して疑問の声が挙がっているのは知っている。実際、俺にも多少なりそういう感情はあった。けど、この日のライヴを観て、これは間違っていない、こういう形で再出発した事は正解だったと胸を張って言いたい。「芸能人」ではなく、「歌手」になりたかったふたりの、原点回帰と言える1日だったのではないだろうか。きっと来年からの市井、そして中澤姐さんの歌手活動に、この日のライヴは何かしらの影響を与えるだろう。もっと自身を持っていいと思う。そう言えるだけの内容だったのだから。

  最後に、これはモーヲタだとかロックファンだとか、そういうのを関係なく言いたい。まずそこに歌があって、それを唄う人間がいる。その歌い手がジョン・レノンだろうが市井紗耶香だろうが、俺にとっては同列なのだ。表現の仕方や力量の違いはあるものの、「いい歌があって、それを聴かせる歌い手がいる」という事には何ら違いはないのだから。その根本にあるものを忘れずに、これからも「音」を、そして「歌」を「楽」しんでいきたいと思う。


[SET LIST]
01. この広い野原いっぱい
02. 恋人もいないのに
03. 待つわ
04. あ~よかった
---MC---
05. かもめはかもめ(姐さんソロ)
06. 二人暮し(姐さんソロ)
07. サルビアの花(市井ソロ)
---MC---
08. なごり雪(市井ソロ)
09. ルージュの伝言(市井ソロ)
10. 木綿のハンカチーフ(姐さんソロ)
---MC---
11. 或る日突然(市井&ばんば)
---MC---
12. 秋止符(堀内:リード、ばんば&市井&姐さん:コーラス)
---MC---
13. 君の瞳は10,000ボルト(同上)
14. 夢の中へ
15. 白い色は恋人の色
---ENCORE---
16. ふるさと(娘。カバー)
---MC---
17. 翼をください
---ENCORE---
18. 恋人はサンタクロース

市井紗耶香 with 中澤裕子 -FOLK DAYS-@SHIBUYA-AX(2001年12月10日・昼公演)

  ぶっちゃけた話、最初は行く気はなかった。だっていくら「元」とはいえ、そこは「モーニング娘。」だった人、絶対にチケット争奪戦になるのは判っていたし(しかも熱望された復帰だし)、それに‥‥正直、モーヲタの皆様と同席するのも何かなぁ‥‥と消極的になっていたのも事実。

  が、発表からチケット発売まで日が経つにつれ、当初の気持ちとは裏腹に「どうしてもこの目で見たい」という気持ちが勝ってしまい、それと同時に自身も「モーヲタ」と化してしまっていたという泥沼状態(笑)。多少の躊躇はあったものの、もう怖いものなし状態に突入しつつあったので、何がなんでもって気持ちでチケットをゲットした(しかもヤフオクまで使って全2公演押さえる力の入れよう)。

  ライヴ10日前にアルバムがリリースされた。正直、たじろいだ。「だ、大丈夫なのか、市井ちゃんはよぉ?」と。1年半のブランクは、こんなにも大きいものなのか? と同時に、決して隠居していたわけじゃない中澤姐さんまで‥‥ライヴへの不安要素が、最も核となる「歌」だったというのも、如何なものだろうか?(苦笑)

  まぁ観たまんまの感想を書いていこうと思う。まずは1回目の昼公演から。入場時間が約30分近く遅れ、急激に寒くなったこの日は日中でも肌を刺すような冷気で、身体がガタガタ震えていた。しかも自分の整理番号は「B300番台」‥‥Aが800番台まであるらしいので‥‥結局、入場までに更に30分近く要し、結局開演予定時間にフロアへ‥‥おいおい、冗談だろ!? 先日のエレカシが嘘のように、後ろの壁まで人でギュウギュウだ。こんなライヴハウス、観たことねぇぞ!?って位に人、人、人。ミキサーを囲う金網にまでへばりついてる奴らもいる。とりあえず俺は、出来るだけ前へ移動しようとしたが、結局ステージ向かって右側、ミキサー卓の脇辺りを陣取る。段差が付いているとはいえ、かなり前が見えにくい状態。普段女性客が多いライヴにばかり足を運んでいたが、今日の客層はご存じの通り。が、意外と女性も目に付いた。1割いたかどうかは疑問だが、とにかく結構高校生以上の女の子~OLさんぽい人までいた。映画「ピンチランナー」で市井が着ていたジャージのコスプレをした女の子もいれば、「恋のダンスサイト」衣装を着た男の子(爆)もいる。あ、「ちょこっとLOVE」の水色パーカー&ホットパンツの娘もいた。かなり寒そうだったが。

  客入れのSEはカントリーだった。フォークライヴなのにカントリーかよ‥‥と思いながら開演を待つ。ステージ上には両脇にキーボードが各1台、中央にドラムセット。その両脇にギターアンプがある。エレキとアコギのサウンドチェックをしてたので、どうやらギタリストはふたりいるらしい。そしてベース‥‥6人編成バンドのようだ。フォークのわりに大所帯だなぁ‥‥まぁアルバムを完全再現するんだろうけどさ。ステージとフロアの間には薄い、透ける横断幕のようなもので仕切られていた。ちょっとALICE IN CHAINSの初来日を思い出したよ。

  さて、ようやく暗転し、幻想的なシンセサウンドが会場を包む。アルバムの冒頭をアレンジしたようなストリングス系の音を、ヲタ共の「さっ、やっ、っかぁ~!」コールが引き裂く。そしてステージ上にバンドメンバーが現れ、準備を始める。一通り準備終了した後に、更にステージ中央に人影がふたつ‥‥それまでのメンバーと比べれば小柄で、明らかに女性だというのが判った。いよいよだ‥‥シンセの音がそのままアルバム冒頭の"この広い野原いっぱい"へと続く。その音に合わせて市井が唄い出す。直線的な、クセの強くない彼女の歌声が会場内に響く。思ったよりも力強かった。そしてバンド全体が演奏に加わった時点で、例の横断幕が落ち、我々の目の前に市井紗耶香が登場する。ステージ向かって右側が中澤姐さん、左が市井だ。アルバムでは結構不安定だった市井のボーカルも、思ったよりも力強くて安心して聴いていられた。きっとレコーディング終了時点から反省点を生かして、練習に練習を重ねたのだろう。唄い込んだ事によって、感が戻ってきたのかもしれない。最初の2曲は市井がリードで姐さんがハーモニーをつける形で進む。が、姐さん。ピッチがずれてる‥‥聴いててちょっと気持ち悪く感じる瞬間が結構あった。テレビとかでもフラット気味で唄ってる事が多く、前半は「??」と思うことが多々あった(が、ソロで唄った辺りからエンジンがかかり始め、その後は特に気にする程ではなかった)。1曲唄い終えた後に、市井が「ただいま~!」と挨拶。大歓声、いきなりジンときてしまった。

  "待つわ"や"あ~よかった"はふたりでパートを分け合って唄う。特に後者はアルバムでは地味な印象のアレンジだったが、ライヴでは原曲に比較的近いアレンジに修正されていた。中盤のブリッジでのふたりの掛け合いも結構迫力があって、この日の聴き所のひとつとなった。

  その後MCが入り、ふたりで過去の娘。時代の幻のユニットについての話やたいせーについて触れた後、中澤姐さんコーナーへ突入。姐さんもそのままひとりでMCを続ける。夏のハロプロライヴでちょっと唄ったけど、実質本格的なライヴは娘。卒業の4月以来なので、前日から緊張していた、とか。ライヴハウスで唄うのは初めてなので、ド緊張してた、とか。そうか‥‥きっと冒頭のフラットは緊張からきたものなのかもしれない。

  そしてアルバムにも収録されている"かもめはかもめ"を披露。アルバムではちょっとヤバめな箇所もあるにはあったが、この日のライヴではすごくいい感じにキマッていた。いやらしくならない「艶っぽさ」は娘。では感じられない要素。この日の姐さんは自身の持ち味を思う存分発揮したと思う。それは続く自身の持ち歌"二人暮し"で更に浮き彫りに。たいせーがリアレンジした「ピアノ+ガットギター」バージョンは、彼女の儚く切ない唄い方にピッタリなのだ。正直、俺は姐さんの歌には何も期待していなかったのだけど、このライヴを通過した事によってかなり見方が変わった。やっぱりこの人、つんくと一緒に仕事してちゃダメだ。もっと外に出てっていろんなプロデューサー/ソングライターと仕事しなきゃ。かなりの人見知り屋らしいが、外に出ることを恐れちゃいけない。この人の魅力、まだ完全に出切っていないのだから。

  ここで衣装替えした市井とバトンタッチ。姐さんが引っ込み、ワルツのリズムに合わせて名曲"サルビアの花"が唄われる。姐さんと違って、少年のようなストレート歌唱。これを「下手」ととるか「素直」ととるかで、彼女への評価はかなり違うものになるだろう。俺は、こういったフォークの名曲群‥‥エヴァーグリーンと呼ばれるような楽曲に対して、彼女がこういう唄い方を選んだ事を支持するつもりだ。娘。の頃みたいなコミカルな唄い方だって出来る人なのだから。それに、市井はまだ「自分探し」の最中でもあるのだから。ここで出来上がってしまっては、今後が面白くない。まだまだ先は長いのだし、焦ることはない。外野が何を言おうがマイペースで、「これだ!」と胸を張れる「市井紗耶香スタイル」を見つけて欲しい。

  唄い終えると、市井がMCを始める。来年1月に写真集が出る事や、来春にはたいせーとユニットで再デビューする話など、初めて聞く話題から既に知ってる話題まで、とにかく「これからの市井は走り続けるので、みんなついて来てね」この一言に尽きるだろう。1年半の休憩後、彼女はやはり走る事を選んだ。けど、娘。時代のような「なりふり構わない/周りが見えてない走り」から、「余裕を持って、走る事を楽しむ」姿勢へと成長した彼女がそこにはいる。大丈夫だ、きっと彼女は更に飛躍するだろう。そんな彼女が「この曲は自分にとっても思い入れがある、大切な曲。この曲を皆さんに捧げます」と言って始まったのが、"なごり雪"。確かにファンにとっては「市井の復活」こそが「春」なのかもしれない。けど、俺にとっての「春」はまだお預け。焦ることはない。

  2曲続けてスローテンポの曲が続き、急に照明が明るくなる。アップテンポの曲のスタートだ。姐さんが衣装を替え後方に位置し、"ルージュの伝言"が始まった。アルバムには入っていないユーミンナンバーだ。姐さんはバックアップコーラスに回り、完全に市井の独壇場。こういう曲が市井には一番似合ってるな。やはりボーイッシュで元気な印象が強い分、こういう明るくてポップな曲の方がさっきのバラードよりも魅力的に感じられた。リズムの取り方が娘。時代と何ら変わってなくて、ちょっと微笑ましかったな(娘。の「真夏の光線」でのリズムの取り方、あれと一緒だった)。
  続いて今度は姐さんがフロントに立ち、市井が後方でタンバリンを持ってコーラス。"木綿のハンカチーフ"という意外な選曲。姐さんの声がまたこの曲にピッタリ。太田裕美と声が似てると思ったのだが、どうだろう? 彼女自身、初めて演歌でソロになった時、キャンペーンでよくこの曲を唄っていたそうだ。だから唄い慣れてるってのもあるのだろうけど、これまでのどの曲よりもハマッた。

  ここで一段落。アルバムにも参加してる人がゲストで来てるらしい。そして紹介されたのは、ばんばひろふみだった。「最初、この話をいただいた時、市井の事を知らなかった」とか「レコーディングスタジオに行った時、市井が『おはようございます』と挨拶しに来てくれたが、てっきりバイトの女の子だと思った」というファンにとっては顰蹙モノのMCの後、アルバムでもデュエットしてる"或る日突然"を披露。市井が急に緊張気味に。気心知れた姐さんと違って、さすがに大先輩を前にしては市井も怖じ気づいてしまったのか、急に声が小さくなったような気が‥‥単にばんばの声量があるだけか。そうそう、市井の声量がちょっと弱いかな、ともこの日は感じた。姐さんが気怠い感じの唄い方のイメージあるけど、実際には相当声量があったし(これもミュージカルをこの1年に2回も経験した賜物だろう)。ちゃんとボイストレーニング、やってたんだろうか?

  そして更にゲストがいるとの事で、紹介されたのが堀内孝雄。要するにふたりとも事務所の大先輩って事か。軽くオヤジギャグを挟んで、アルバムにも収録されているアリスの"秋止符"を、この日は大先輩を立てて市井はコーラスに回り、堀内がメインで唄った。それまでの「ライヴハウス」感覚が急にここで「NHK・堀内とばんばの、ふたりのビッグショー」状態になってしまったのは言うまでもないだろう。更に堀内は持ち歌をもう1曲"君の瞳は10,000ボルト"も熱唱し、「2回目もヨロシク!」と残しステージを去った。ここでMC込みで結構な時間を食ったなぁ。

  そのままの勢いで、アルバム未収録の井上陽水"夢の中へ"で盛り上げ、バンドメンバー紹介を挟んでフィナーレへ。続けて本編最後の曲"白い色は恋人の色"へ。アルバムよりもアップテンポで盛り上げ系アレンジになっていた‥‥ような。既にこの頃には俺もヒートアップして、我を忘れていたので(笑)正確な記憶が‥‥気付けば熱狂の中、市井と姐さんはステージを去っていた。あっという間だった。勿論、アンコールを求める大きな拍手と紗耶香&裕子コールが会場を包む。

  アンコールはモーニング娘。のセルフカバーとなる"ふるさと"。アルバムでは頼りないイメージが強かったこの曲も、更に練習したのか、かなり聴けるようになっていた。特にコーラスが工夫されていた‥‥というよりも、娘。バージョンのコーラスになっていただけだが。その方が違和感なく聴けて、こちらとしても嬉しかったな。この曲は娘。の曲の中でもかなり難しい部類の曲なのだが、ふたりはよく頑張ったと思う。そして、唯一選ばれた娘。の曲がこの"ふるさと"でよかったなぁとも思った。

  ここで再び戻ってこれた事に対する喜びと、待っていてくれたファンに対する感謝の言葉が述べられる。そして13人になった娘。同様、今後も市井と姐さんは走り続けていくので、今後も応援ヨロシクと締めて、そのままアルバムラストの"翼をください"へ。どうやらこの曲で終わるようだ。頭と最後はアルバムと同じ構成。盛り上げ方としてはかなりよかったな。ちょっと姐さんの喉がキツそうかなぁ、と感じる瞬間があったものの、そこまで気にする程でもなかった。感動の嵐の中、ふたりはステージを後にした。最高だ。もうここまできたら俺、モーヲタでもなんでもいいや。いいもんはいい、それだけだよ。

  これで終わりと思われたが、それでも拍手や歓声は鳴りやまず、そして客電も付かないまま。もしかしてダブルアンコールなのか? 時計に目をやると、既に17時を大幅に回っている。次の回の開場時間は18時‥‥夜公演もどうやら多少ずれ込むようだ。

  そんな事を考えていたら、急にステージが明るくなり、サンタの格好をしたふたりが‥‥か、可愛い‥‥(爆)そして「みんなへのクリスマスプレゼント」と称して、この日2曲目のユーミン"恋人はサンタクロース"を我々に送ってくれた。この曲は前半キーの低いパートがあるのだが、市井はまだいいけど、姐さんがキツそうだったな。まぁサビになるとふたりとも、かなりいい感じなんだけどさ。やっぱり市井にはこういう曲がいいな。たいせー、頼むよ(笑)

  結局17時半近くになってライヴは終了。さすがにこの後もあるせいか、終わりは淡々としたものだった気が。まぁ俺はもう1回観れるから気にはしないが。


[SET LIST]
01. この広い野原いっぱい
02. 恋人もいないのに
03. 待つわ
04. あ~よかった
---MC---
05. かもめはかもめ(姐さんソロ)
06. 二人暮し(姐さんソロ)
07. サルビアの花(市井ソロ)
---MC---
08. なごり雪(市井ソロ)
09. ルージュの伝言(市井ソロ)
10. 木綿のハンカチーフ(姐さんソロ)
---MC---
11. 或る日突然(市井&ばんば)
---MC---
12. 秋止符(堀内:リード、ばんば&市井&姐さん:コーラス)
---MC---
13. 君の瞳は10,000ボルト(同上)
14. 夢の中へ
15. 白い色は恋人の色
---ENCORE---
16. ふるさと(娘。カバー)
---MC---
17. 翼をください
---ENCORE---
18. 恋人はサンタクロース

2001年12月 9日 (日)

ELECTRAGLIDE 2001@幕張メッセ国際展示場(2001年11月30日)

  今年もやるだろうとは思っていたが、正直そのメンツの見当がつかなかった「ELECTRAGLIDE 2001」。まぁメンツに関係なく行こうとは思っていたが‥‥実際に発表されたメンツは、まぁ俺にとっては昨年のUNDERWORLDクラスこそいないものの、それに匹敵するクラスのDJやバンドが全9組も出演することとなった。参加者はBUFFALO DAUGHTER, PLAID, APHEX TWIN, MOUSE ON MARS(以上バンドorユニット)、HOWIE B, RICHARD MARSHALL, FATBOY SLIM, DARREN EMERSON, LAURENT GARNIER(以上DJ)。その手の筋では皆有名どころなんだろうけど、俺はPLAIDとLAURENT GARNIERは名前すらも知らなかった。これも何かの縁だ、先入観なしに楽しむことにしよう。

  会場に20:30に到着。昨年は19:50頃に幕張メッセの駐車場に到着した頃には、結構車が入っていたように感じたが、今日はこの時間でも会場に一番近いブロックに駐車する事が出来た。噂ではチケットが全く売れていないと聞いたが、やはり本当なのだろうか? 車内で仮眠を30分程取り、21時ジャストに入場口へ向かう。とにかくお客の年齢層が低い。恐らく皆10代~20代前半といった印象を受ける。俺だけか、30代で単独参加は?(苦笑)まぁいいさ、今日は黙々と鬱憤晴らしに踊るのさっ(笑)

  入り口周辺で多少並んだものの、10分と経たない内に入場出来た。入場口は幾つかあったらしいが、駐車場側はそんなに混んだという印象は受けなかった(Fujirockers.orgの掲示板では「入場が全然スムーズじゃなかった」というのを幾つも目にしたので。もしかしたら、海浜幕張駅側の入場口のことか?)。

  会場内は昨年の教訓を生かし、レイアウトが大幅に変わっていた。仕切で会場内を3分割してるのは前回と同様だしライヴスペースとDJスペースの位置も一緒なのだが、向きが変わっていたし、出入り口も中央スペースを交差するような形になっていた。更にDJスペースもかなり広く取られていて(前回はDJスペース内にも飲食店があった)ライヴスペース側とほぼ一緒の印象を受けた。これは今回DJ陣に超大物(FATBOY SLIMやDARREN EMERSON等)がいることも大いに関係してるのだろう。こりゃ今晩は楽しみだ。同行者がいない分、我が儘な俺は自分のペースで楽しむことができるしな。さて、相変わらず物販テントの前で大行列を作ってる奴らを後目に、俺は早速DJスペースで身体を暖めることにしよう。


◎HOWIE B(21:00~23:00)

  その名前はBJORKの作品やU2のアルバム「POP」等で目にしていたが、音やDJプレイを耳にするのは今回が初めて。まぁ最初ってことなので、肩の力を抜いてDJプレイに向かってるんだろうな、お客もホントの前の方にしかいないし‥‥と思いながら軽く身体を慣らしながら踊っていたら、途中からかなりアップテンポの曲が続いたり、スクラッチや高度な小技を披露してフロアを煽る。HOWIE B本人もブースからステージ前に出てきて踊ったりして、更にフロアを沸かす。こりゃ面白い。こういう人なんだね、この人。最初はガラガラだったフロアも、入場者が増えるに従ってどんどん膨れあがり、BUFFALO DAUGHTERを観ようとフロアを後にした21:40頃にはあの広いフロアの半分以上が埋まっていた。肩慣らしのつもりだったのに、かなり本気で汗をかいてしまった俺。いやぁ、最初から飛ばし気味。つうか今晩はマジで楽しい夜になりそうだ。


◎BUFFALO DAUGHTER(21:45~22:45)

  今回も車での来場って事もあって、禁酒宣言を誓った俺。どこまでナチュラルハイになれるか‥‥先日購入した新作「I」もかなり素晴らしかったBUFFALO DAUGHTER(以下、DBと略)。前作も当時かなり聴き込んだが、今度のはそれを上回る勢いで聴き込んでいる。俺的には'80年代KING CRIMSONに共通するものを持ったバンドだな?なんて思っていて、例えばクリムゾンでいうロバート・フリップの担当を、BDではムーグ山本がDJやサンプリングで補っているように感じる。曲調的にもかなり浮遊感を強く感じさせるものが多く、そんな中に時々登場するゴリゴリした破壊音にハッとさせられたり。

  勿論、ライヴもそういったイメージを更に増長させるもので、俺は一発で好きになった。選曲は出たばかりの新作と前作「NEW ROCK」から半々といったところか。ロートーンボーカルのシュガー吉永(Gt)とハイトーン/ファルセットの大野由美子(Ba & Key)との絡みがまた絶妙で、ゆったりした曲調に合わせたかのようなステージ後方スクリーンの映像がまたいい出来で、その空気に身体を委ねるだけでトリップ出来てしまう。バンドの演奏もカッチリした中に、アドリブっぽいインタープレイが入ってきて、今日の出演者の中ではかなり異質の存在だ(バンド形態もBDだけだったし)。テクノ/ダンスミュージックというよりは、プログレのイメージが強いな。昨年のUNDERWORLD同様、この人達もかなり先鋭的な「プログレ・ロック」に取り組んでるバンドのようだ。そういう意味では最近のRADIOHEAD辺りが好きな人にも受け入れられる要素十分だ。

  来年1月に本ツアーがあるみたいだから、是非行こうかと思っている。かなりオススメだ、これは。


◎PLAID(23:15~00:30)

  激しく踊るというよりは、浮遊しながらトリップしたという感じのBD。ちょっと小腹が減ったので、何か食べ物を求めて真ん中のスペースへ。どの飲食店も長蛇の列だ。物販関係はまだ凄いことになってるし。タイラーメンを探したのだが、それっぽい店はあったものの、そうとう並ばなきゃならなさそうだったので諦め、代わりにホットドッグを食べることに。それでも10分近くは並んだが。

  PLAIDは名前しかしらなかったが興味があったので、速攻で胃に詰め込み再びライヴスペースへ戻る。予定よりも15分スタートが早まっていたので既に始まっていた。テクノというよりはエレクトロニカ的印象を受けた。それでもかなり踊りやすく、聴きやすい。独特なシンセ音が耳に残り、かなり印象に残った。途中、曲のつなぎ目の空白が気になったりもしたが、それでもかなり気持ちよく踊らせてもらった。また疲れたら、床にそのまま座り込んで目を瞑り、身体中の神経を音に収集させ、身を委ねてみたり。大音量にも関わらず、かなり気持ちよかった。

  映像も凝ったものが多く、終盤に登場した中に'80年代のアーティストをおちょくったものがあって笑えた。EURHYTHMICSやDURAN DURAN、マイケル・ジャクソン、マドンナ、プリンス、ボーイ・ジョージ等々‥‥そういったアーティスト達が最後はパックマンに食べられてしまうという、かなり笑えるモノで、実際それをバックに流れる音もどことなく'80年代オマージュの匂いがして、またニヤリとしたりして。

  気付けば後半はずっと座ったまま脳で聴いてた感じだが、それでも気持ちよかったことには違いない。これも後でCD探して「買い」だな?


◎FATBOY SLIM(00:00~02:00)

  アルバムは1枚だけ持っているものの、何故か印象が悪いノーマン・クック。これまでずっと「嫌い」と公言してきたが‥‥実はこの日、ステージ近くには行かなかったものの、APHEX TWINを待っている間、真ん中のスペースで踊ってしまった事を告白しておこう(笑)。だってさ"It Began In Afrika"とか、何曲かケミカルの曲をいじってかけてるんだもん(苦笑)。そりゃ踊るなっていう方が酷だよ。トイレに並んでたら、いきなりケミカルだもん。そのまま走り出したよ、俺(実はこの日何曲もケミカルの曲をかけたのは、当のCHEMICAL BROTHERSご本人達がご来場してたことも関係してるようだ。ノーマン出番最後にはケミカルの2人がステージに登場、挨拶して帰ったというし)。


◎APHEX TWIN(01:00~03:30)

  実際には1時前にもうスタートしてしまったエイフェックス。真ん中のフロアで踊ってたら、ライヴスペースからも轟音が聞こえてくるから、焦った焦った。走って戻ったら‥‥後ろの方まで人、人、人。更にFATBOY SLIMもフロア後方まで人の海‥‥去年より人が少ないなんて、絶対に嘘だ。こりゃ2万人近くは入ってるね。誰だよ、デマ流したのは?

  かろうじて中盤よりも前まで移動して、狂ったように踊る。ステージには殆ど光は当たらず、そのパソコンやミキサーをいじってる男が本当にリチャードなのかどうかの判断がつかない。スクリーンにも時々ステージ後方から撮ってる映像が映るものの、その男は常に背中しか写らない。リチャードの事だから、案外本人はステージ袖で酒でも呑んでのんきにくつろいでて、実はステージ上の男はアシスタントだった、なんて事も冗談抜きであり得るからな。何せ'97年のフジロックでは犬小屋の中でDJプレイ、一度も中から出てこなかった人なのだから(笑)。

  意外と前半はまともな音作り・構成の曲が続き、非常に踊りやすかった。途中、何度か袖から誰か判らないけど、男性/女性入り乱れて踊りに現れたりしたが、実はその中にSQUAREPUSHERことトム・ジェンキンソンがいた事を、帰宅後知った。マジかよ!?(苦笑)

  バックに流れる映像も、如何にもあの「APHEX TWIN」という印象の、人を食ったかのような映像。プールで泳ぐリチャードが海パンからイチモツを‥‥と思ったらソーセージか何かだったり(笑)、それを他の男がくわえたりとか(爆)是非今後DVDか何かでリリースしてもらいたいものだ。

  その「マッド振り」に合わせるかのように、後半は我々がイメージするあの「APHEX TWIN」的なブチ切れ気味な曲・プレイが目白押し。途中、SQUAREPUSHERみたいな曲もあったなぁ‥‥って今にして思えば、当の本人が側にいたんだから、そのものだったのだろう。クドイくらいのエンディングで、さすがにみんな疲れ気味だったが、とにかく2時間半、大汗流して踊り倒させてもらいましたさ、ええ。さすがに最後の1時間は自棄になってたけどね(笑)


◎DARREN EMERSON(02:00~04:00)

  APHEX TWINで力尽き、ミネラルウォーターを売店で購入し、真ん中のフロアの床に座り込んで一服。ダレン・エマーソンのプレイもかなり盛り上がっている。脇から覗き込むように聴いていたが、エイフェックスもあれだけ後ろまで人がいたのに、こっちも同じくらいの大盛り上がり。そりゃそうだわ、この人元UNDERWORLDだしな。もう疲れ切ってて音に集中することすら出来なかったが、かなり気持ちよさげなハイテンションプレイだったことだけは記憶に残っている。ってその姿すら拝んでいないんだけどな?(苦笑)

  昨年の倍は踊ったわ、俺。さすがに前日風邪で会社休んだ人間には堪える(当たり前だって/苦笑)。本当はこのまま4時からのMOUSE ON MARSも観たかったんだけど、土日寝込むのも嫌だったし、土曜は朝10時にちょっとした用事があったので、4時10分前には会場を後にした。残念だけど、これから高速乗って帰らなきゃならないもんな‥‥帰りの車中では勿論「モーニング娘。」を大音量で聴き、一緒に唄いながら帰った事は言うまでもない(爆)。


◎最後に

  前回は朝5時までだったはずだけど、今回は7時までやるのね(汗)。さすがに最後の最後までいる人はそんなにいないだろうけど‥‥本当に楽しかった。去年もORBITALとの出会いとかそれなりに収穫はあったものの、今回は目に/耳にしたアーティスト/DJはどれも素晴らしかったし、実際に音源欲しいな?と思わせるものばかりだった。個人的に大健闘はやはりBUFFALO DAUGHTERとPLAIDだろうか。勿論APHEX TWINもよかったし、期待してなかったHOWIE Bも、嫌いだったFATBOY SLIMでさえも良く思えた(さすがにこの人の音源は欲しいとは思わなかったが/苦笑)。これは最初から、「楽しませてもらおう」精神ではなく、逆にこっちから楽しんでやろう的精神だったのが功を奏したのかもしれない。

  会場内の問題も今年は昨年以上にいろいろあった。途中退場したら再入場出来ない事。これは昨年同様で、結局治安の問題とかも絡んでくるのかもしれない(けどこの夏に同会場で行われたサマソニのオールナイト版「SONIC MANIA」では入退場自由だったと聞く。この辺はプロモーターの考え方の違いだろう)。

  それに関係するかのように、人が昨年以上に入ってたことによる、途中での飲食物の売り切れ。さすがに前回以上に長丁場、昨年経験してる人は「中にもいろいろあるから、メシ食わないで行こう」と思った人だっているだろう(俺もそう思って食わないで行こうとしたが、さすがに我慢出来なくなって途中のSAでそば食ってから行ったけど)。しかも出口付近の売店は朝まで営業してくれていて、お菓子やパン、焼きそば等を販売していた。それすらも一旦退場しないと買えない/食えない。確かにモノを食いに来てるんじゃないから仕方ないと言えば仕方ないが、この辺は新しい課題として来年に繋げて欲しい。

  更にゴミの問題。これは去年よりは酷くなかったと思うが、またペットボトルを捨てる場所が見つからなくて、一苦労した。最終的には買った店の人に渡したが(受け取る時も渋々受け取っていた)。だったら売るな!とか思うが‥‥どうなんだろう。まぁ我々がフジロックのようなある意味「至れり尽くせり」な空間に慣れてしまったことも関係してるんだろうけど、ちょっと気分悪かったな。タバコの投げ捨て、床への灰捨てとかも気になったし(さすがの俺も今回は携帯灰皿持っていったけど、みんなその辺のクラブで吸ってる感覚なんだろうね。罪悪感とか全くないと思うし。ちなみに同じように携帯灰皿を使用してる人、去年は結構見受けられたけど、今年は全く目につかなかった)、捨てる場所なくて、トイレのゴミ箱にペットボトル捨ててる人も山程いた。去年のトイレの状況は覚えてないけど、今年は酷かったように思う。特に女性が可哀想だったな。我慢できずに、男の子に連れられて男子トイレの個室使ってる娘もいたし(しかも立ち小便してる俺達とその女の子との気まずさといったら‥‥)。トイレの数は決まってるんだからフジや夏フェスみたいにはいかないけど、これもせめて入退場自由にしてくれれば、メッセロビーのトイレを使うことが出来るんだか(そうすると、外のトイレも汚れて苦情が来るんだろうな、きっと。それを恐れての策なのか?)。

  個人的には昨年以上に問題が山積みのような気がするけど、アクトは全て素晴らしいものだったと思う。来年も行くか?と問われれば‥‥きっとアクトの有名無名にとらわれず、必ず行くと思う。

  あ、その前に「WIRE」に行きたいんだけどね?(笑)

2001年12月 8日 (土)

エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX(2001年11月21日)

  エレカシが、宮本がスランプに陥っていると聞く。どうやらこの秋に発表予定だった新作アルバムも現時点では完成に至らず、毎年恒例の正月武道館公演も来年はないという。アルバムも早くて春とのこと、今回の秋ツアーが終わった後も再びニューヨークに戻り、プロデューサー小林武史氏と共にスタジオ入りするという。久々の傑作と呼ぶに相応しかった「GOOD MORNING」を通過し、何故宮本は混迷の時期へと突入してしまったのだろうか?

  その原因のひとつは、間違いなくプロデューサーの選択ミスだろう。シングル"孤独な太陽"はまだアルバムとか考えていない時期に完成したであろう曲(2000年秋のツアーでは既にライヴで披露されていた)だし、むしろ問題と言えるのはこの春のツアーで初披露された"暑中見舞 -憂鬱な午後-"からだろう。ライヴでは、初期の疾走感と最近のポップ/メロウ感覚を融合させた、今のエレカシにしか作り得ない楽曲だったのに、7月にリリースされた小林プロデュースのシングル‥‥恐らくエレカシ史上最悪のアレンジ/プロデュースなのではないだろうか? これまでのような佐久間正英や根岸孝旨といった「バンドに好き放題やらせ、そこからいいものをピックアップしていく」ようなタイプではなく、「小林サウンド/ブランド」といえる個性を持った人間との融合は、エレカシにとって(これまでのところ)マイナスイメージしか生み出していないように感じる。本当にこれでいいのか、これで合っているのか? そういった苦悩が今の宮本にはあるのかもしれない。

  本来なら今回の秋ツアーも、既にリリースされているはずだった新作アルバム(あるいはシングル)をサポートするツアーとなるはずだった。が、結果はご存じの通り。新曲は1曲も披露されることなく、その演奏曲目からいっても「GOOD MORNING」ツアーと呼んでも差し支えない内容/演奏だった。当然、本日でエレカシ体験5回目(内4回がこの1年以内/驚)の俺にとっては、初めてライヴで聴く初期~中期曲が多かったことは収穫だが、残念ながら今回の内容では今後彼らが進んでいくであろう方向性は全く見えなかった。いや、もしかしたら今回の選曲‥‥敢えて前作「GOOD MORNING」からほぼ全曲を演奏したという事実が、来るべき新作への糸口となっているのかもしれない。まぁあのシングル1曲(「孤独な太陽」の2曲は別として考える)では、今後の方向は見えないしな?

  当日はCS放送で生中継するということもあり、かなり熱の入った演奏/歌を聴かせてくれた。特に宮本の喉の調子がかなり良さそうで、これまで観た中で一番迫力/説得力のある歌だった。MCも昨年千葉で観たあれは何だったのか?と思わせる程に少なく(笑)、少々ガッカリもしたりして。ただ、MCが少ない分演奏曲数が増えに増え、結果約2時間の間に22曲も演奏したのだから、これで満足しなかったら嘘になるだろう。

  "so many people"でいきなりスタートした時には鳥肌ものだったし、そのまま続く中期の隠れた名曲"うれしけりゃとんでゆけよ"、"赤い薔薇"といったライヴで初めて聴く曲に感動しつつ、1年振りの"風に吹かれて"は一緒に唄ってジーンとする俺。そのまま"ゴッドファーザー"~"情熱の揺れるまなざし"という「GOOD MORNING」からの6連発には正直立ち小便モノの緊張感を感じた。

  小休止ともいえるアコースティックコーナーでは、椅子に座った宮本がアコギ抱えて「東京の空」から"涙"を披露し、大拍手。夏の野音でもやったそうだが、初めて生で聴く俺にとっては感涙モノ。風邪気味だったので、涙の代わりに鼻水たらしておいたが(苦笑)。そのまま"孤独な太陽"へと続き、感動の中アコースティックコーナーは終了。

  ゼップ・ツアーでも披露された"かけだす男"からの3曲のアップテンポの並びはやはり最高。"デーデ"は今日で3回目だが、はやりこの曲を聴くと血管の血液が脳まで昇り吹き出しそうな程に興奮する。そして‥‥悲しいかな、やっぱりライヴでは名曲なんだよなぁ、"暑中見舞 -憂鬱な午後-"は‥‥聴く度に演奏やボーカルパフォーマンスに磨きがかかってくし。出来るならば、アルバムでは再録音して「今の」エレカシアレンジで収録して欲しいのだが‥‥まぁ小林だしな?(苦笑)

  そして本編ラスト2曲には、ファーストから"やさしさ"と"花男"という名セレクト。特に"やさしさ"の、強弱を強調した演奏・歌にはCD以上の緊張感と説得力を感じた。そして鳥肌‥‥逆境の中から光を見出そうとしてる彼らの底力みたいなものをそこから感じたのは、俺だけだったのだろうか? そして最後の"花男"の名セリフといえる「生きる屍さようなら」では、宮本もオーディエンスも手を振りかざす。まるで混迷の「今」とおさらばするかのように‥‥

  本編も濃かったが、アンコールも更に濃い。いきなり"ガストロンジャー"からスタートし(しかも過去聴いた中で最も攻撃的で、それでいて歌詞がハッキリと聞き取れた)、ここに持ってきたか?の超名曲"悲しみの果て"へと続き、1回目のアンコールが終わる。当然まだまだ続くだろうと、オーディエンスは拍手でメンバーの帰りを待つ。

  2度目のアンコールも意外な始まり方で、いつも本編ラストかアンコールラストというイメージのある"コール アンド レスポン"を持ってきて、我々を驚かせる。更に攻めの勢いのまま、ファーストアルバムの1曲目"ファイティングマン"へ。正直、今までずっとライヴで聴きたかった曲のひとつだったので、これだけでも大満足。が、ここで終わればいいものを、更にもう1曲"四月の風"でしめやかに終わらせる辺りに、実は今のエレカシの「混迷振り」が滲み出てるように思った‥‥のは俺だけ?(苦笑)あのまま爆発して終わらせれば、申し分のない500点満点のライヴだったんだけどな‥‥

  大興奮のままライヴは終了。が、オーディエンスの興奮は収まらず、更にアンコールを求める大きな拍手・手拍子が‥‥終演を告げるアナウンスの中、上半身裸の宮本が四度登場し、「ごめんなさん、もう演奏する曲がありません」と謝って、何故か吉田拓郎の"人間なんて"を唄いながらステージを後にする。いや、如何にもエレカシらしい、宮本らしい幕切れだった(笑)

  ツアーの度にまだタイトルも決まってない新曲を我々に披露してきたエレカシだが、レコーディングが全く進んでないどころか、新曲すら出来ていないのだろうか?(それとも披露するに到ってないレベルの曲ばかりなのだろうか)何にせよ、そういう点には不安は残ったものの、それとライヴの出来不出来はまた別。とにかくこれまで観たエレカシの中では過去最高の完成度と迫力だった。上で「"ファイティングマン"で爆発したまま終わっていれば申し分のない500点満点のライヴだった」と書いたが、それでも全部終わってみれば、それに限りなく近い点数をつけられる出来だったと思う。とにかく、こんなに晴れ晴れした気持ちでライヴ会場を後にするのは、そうはない事だ。9月のソウルフラワーもそういうライヴだったが、本当にエレカシといいソウルフラワーといい、精神性といい表現の仕方といい、滅茶苦茶素晴らしいライヴをやってくれる。

  さて‥‥この調子だと多分来年の春先まではライヴはお預けなのだろう。とにかく今は新しい音源だ。このまま小林武史と組んで作業を進めるのか、それともここで一旦関係を解消して、サポート的に過去の関係者(佐久間なり根岸なり)を呼んでセルフプロデュースになるのか‥‥全く予想がつかないが、とにかく次ステージに登場するときは、一点の曇りもない、馬鹿笑いと冷や汗を同居させた名曲と共に戻ってきて欲しいと切に願う。だってそれが出来る男だから、宮本浩次という人は。


[SETLIST]
01. so many people
02. うれしけりゃとんでゆけよ
03. 赤い薔薇
04. 風に吹かれて
05. ゴッドファーザー
06. 武蔵野
07. 精神暗黒街
08. 生存者は今日も笑う
09. I am happy
10. 情熱の揺れるまなざし
11. 涙
12. 孤独な太陽
13. かけだす男
14. デーデ
15. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
16. やさしさ
17. 花男
--アンコール--
18. ガストロンジャー
19. 悲しみの果て
--アンコール--
20. コール アンド レスポンス
21. ファイティングマン
22. 四月の風
(23. 人間なんて / 吉田拓郎)



▼エレファントカシマシ『暑中見舞~憂鬱な午後~』
(amazon:国内盤CD

2001年10月24日 (水)

ジョンレノン音楽祭@さいたまスーパーアリーナ(2001年10月9日)

  今更という感じだが、先月行われた「ジョン・レノン音楽祭」、通称・レノン祭りについて、俺なりの感想、そして「カヴァー」について思うことを綴っていきたいと思う。


◎オープニング<吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、ゆず、押葉真吾>

  1曲目は何か?という予想を同行したsuzukiくん、れいくさんとしていたが、誰かが予想した通り"Come Together"だった。基本的にはカヴァーというよりも、コピー。いや、ギターなんてまんまだった気が。ドラムには元JUDY AND MARYのコータさん、キーボードにはモーニング娘。のデビュー時のアレンジ等を手掛ける桜井鉄太郎氏等、豪華なメンツ。

  メインはロビンが、時々ゆずの二人と分け合いながら唄う。イエモン休止前よりも声が艶やかな気がするのは会場の音響のせいだろうか? ゆずは相変わらずいい仕事してる。特に目新しいアレンジもなく、淡々と終わる。


◎押葉真吾

  ビートルズのファンクラブ主催コピーバンドコンテストの優勝者だそうだ。要するにアマチュアに毛が生えたセミプロといったところだろうか。特にビートルズに誰に似ている(似せている)といったわけでもなく、まぁよくある「ビートルズを極め続け、気づけば結構な歳になってた」オヤジの典型なような‥‥(もし俺より若いんだったらスマン、謝るよ/笑)

  オープニングでもベース&ボーカルで出ていたが、今日の出演者の中では最も真っ当な「コピー」を聴かせる、悪く言えば最も華がない存在だった。トップバッターってことで、これはこれでよしかな?


◎ゆず

  最初、たった二人でギター抱えて登場し、ドーム公演以降のスタイル(たった二人の弾き語り)で行くのかと思いきや、途中からバンドが加わり、至極真っ当なコピーを聴かせる。ゆずとビートルズというのも何となく繋がらなかったのだが、まぁビートルズに影響を受けてないアーティストなどいない、ってことか? "Don't Let Me Down"はまぁゆずらしいかな?と思ったが、他は特に彼らがやる必要が感じられない選曲だったように感じた。けど、"All You Need Is Love"なんかは彼らがやらなきゃ他にやる人が今日のメンツの中にはいなかったので、これはこれでいいのかも。彼らによる日本語詞が「いかにも」なものだったのが、そしてメドレー形式でそのまま"Happey birthday, dear John!"と続いた辺りが微笑ましかった。


◎白井貴子

  俺世代の中には、中学生の頃に彼女を通過した人がいるのではないだろうか? かくいう俺もそのひとりで、山下久美子や中村あゆみといった「女性ロッカー」の第一人者としての認識がある。勿論、ここ数年はロックというよりもフォークやニューミュージック色が強い音楽性なのも知っていた。だからこそ、その彼女がどういう選曲をしてどういうアレンジを施すのかが気になっていた。

  "Love"を選んだのは少々意外だった。女性がこの歌を唄うと、また違った見方ができることに気づかされた。基本的には長年連れ添ったギタリストとの二人でのステージ。アコースティックメインということもあってか、アメリカンフォークっぽいイメージ‥‥キャロル・キングとかリンダ・ロンシュタットといった人達をイメージさせるアレンジだった。もっとも、バンドが加わると急に真っ当なコピーへと早変わりしてしまうのだが。


◎和田唱(TRICERATOPS)

  ここまではゆったりとした、和やかな空気感で進んできたが、いきなり「Woh~Yeah!」っていう、あの雄叫びが(笑)。和田はバンドを離れようが「トライセラトプスの和田唱」のままだった。選んだ"Instant Karma"もまた彼らしい選曲、そして彼にピッタリだった。"I Am The Walrus"はこの夏に2度‥‥OASISとPEALOUTのカヴァー‥‥聴いているが、和田には悪いがごく普通だった。思った以上に盛り上がらなかったし(フジやひたちなかでは、お約束の如く「フゥ~♪」って息が合ってたのに)。


◎和田唱、奥田民生

  これまで各アーティスト3曲ずつだったので、ここで和田も引っ込むのだろうと思ったら、エレキをアコギに持ち替えて、もうちょっとやりそうな感じ。ファンならご存じの「中学生の頃、買ったばかりのギターの弦が切れて渋谷の楽器屋に買いに行ったら、そこにユニコーン時代の民生がいた」という話。つうわけで、ここで奥田民生登場。大歓声。けど民生、マイペース(笑)。この人はどこでも、どんな舞台でも(フジロックでもひたちなかでも)気負いすることなく、本当にマイペース。そこがカッコイイんだけど。

  ちょっと前に山崎まさよしと民生の1日限定ユニットが話題になったが、さしずめこれは「和田奥田」といったところだろうか? 演奏されたのが、特にふたりで唄う必要も感じられない"You've Got To Hide Your Love Away"だったのは如何かと思うが‥‥


◎奥田民生

  で、その民生。何をやるのかが非常に期待されたところだが、まぁシングルのカップリングでカヴァーしてる"Hey Bulldog"はやるだろうとは思ってたけど、それ以外の2曲も"I'm Only Sleeping"と"She Said She Said"という、3曲全て中期ビートルズという拘り方(って拘ってたのか?)。他のどのアーティストにも言えることだが、ビートルズ初期のロックンロール時代かソロ以降に逃げてるような気がしてならなかった。ジョンが覚醒し出した‥‥「RUBBER SOUL」以降の楽曲を選ぶ人が少なかったように思える。個人的には奇をてらって"Tomorrow Never Knows"や"Lucy In The Sky With The Diamonds"辺りを選ぶ奴がいてもいいと思ったのに(特に桜井辺り)‥‥

  まぁそれはともかくとして、とにかくこの日の民生は頼もしかった。すっげー気持ちよかったし。この人の場合は下手にいじくり回すよりも、真っ当なカヴァーの方が合ってるようだ。


◎ムッシュかまやつ、押葉真吾

  ジョージ・マーティンとリンゴ・スターからのメッセージ・フィルムが上映された後、いよいよ後半戦に突入となった。御大・ムッシュかまやつの登場だ。

  が‥‥悪いけど、失望した。リハ不足が目に見て明らかなのだ。たった2曲、シンプルなロックンロールを選んだにも関わらず、歌詞はうろ覚え(というよりも、ムニャムニャと誤魔化す)‥‥それがロックンロールだというのなら、そんなもん糞食らえだ。ここにいる2万人近くのオーディエンスは、自分目当てではない。ゆずやロビン、桜井のファンであったり、ただ純粋にビートルズやジョンの名曲をいろんな有名アーティストが唄うのを楽しみにしてきた音楽ファンなのだ。この行為は正直、そういったお客を舐めてるとしか思えなかった。「ムッシュクラスはそこにいるだけでいい」っていう庇護の声もあるかもしれない。けど、この日の俺はそういうのを求めていたわけじゃないので。何か押葉バックに合いの手を入れるムッシュが、頼りないキース・リチャーズのように見えた‥‥勿論あそこまでの存在感は皆無だったが。へっ、曲の評価!? そんなの覚えてないよ。ただ気分悪かった‥‥


◎吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)

  口直しには豪華すぎる、ロビンの初ソロステージ。ひとりだと心細いのでベースを連れてきた、と言った途端に大歓声。みんなヒーセだと勘違い。俺もてっきり勘違い。何のことはない、現在活動を共にしているベーシストだった。

  "Be Bop A Lula"のようなシンプルなロックンロールを唄うロビンってのも意外と美味だった。続くジョンのソロ2曲は‥‥特にどうってことのない演奏。ただ、"God"の前のMCが邪魔だった。そしてこの曲を選んでしまった彼のエゴも。それだったらまだ、デヴィッド・ボウイとジョンの共作曲"Fame"をやってくれたほうが、彼らしくてよかったのに。


◎Acid Test(小林武史、桜井和寿、田原健一)

  さて‥‥この日最大の問題となったAcid Test。恐らくこの日限りのユニットなのだろうけど‥‥小林がキーボードとサンプリング、桜井は歌のみ、田原はリバーブのかかりまくったギターをかき鳴らす。それに加え、ストリングスが数名。演奏されたのは"Mother"1曲のみだったが、これが他のアーティストの3曲分くらいの演奏時間だった。環境音楽というか、テクノというか‥‥とにかくユニット名の通り、小林武史の実験室といった感じで、桜井と田原はそれにつき合わされてるといったところか。正直、桜井の「色」はあまり感じられなかったし。ただ、歌は相変わらず凄いと思ったけど。

  この日、殆どのアーティストが完全コピーに近い形だったのに対し、このユニットのみ「解体~再構築」カヴァーを行っていた。桜井は歌メロをかなり崩して唄っていたし、それなりの拘りのようなものは感じ取れた。まぁ(ミスチルがあんなに順調な活動をしてるのを見ると)今後続くとは思わないので、小林くんのお遊びにつき合ってあげました、って事でいいのではないだろうか?


◎オノ・ヨーコ from NY

  直前になってニューヨークに残ることを決めたヨーコ。衛星中継くらいあるだろうと思っていたら、予想通り。歌こそ唄わなかったものの(まぁ最後のオールスターズでの時は口ずさんでたけど)、この時が一番ググッときたな、俺は。このライヴの計画を立てた時、そして我々に発表した時はまさか世界情勢がこんなことになってるとは、夢にも思わなかっただろう。そしてジョンの誕生日の数日前に、アメリカの報復攻撃が始まることも。皮肉っちゃあ皮肉だが‥‥


◎出演者勢揃い

  最後は出演者勢揃いで"Happy X'mas (War Is Over)"を大合唱。ってみんなカンペ見ながらだけど(苦笑)。そのまま"Real Love ~ Give Peace A Chance"というメドレーへ。俺は帰りの都合があり、結局"Give Peace A Chance"に切り替わった辺りで会場を後にした。駅で電車を待っている間に、会場から"Imagine"がうっすらと聞こえてきた。やっぱり最後はこれか‥‥


◎総評

  バンドでの出演者が殆どなく、どのアーティストも固定バックバンドに合わせて唄ったりギターを弾いたりしていた。そのバックバンドも皆、有名なセッションミュージシャンだったこともあってか、オリジナルに忠実に演奏していた。ビートルズの曲はそれらしく、ジョンの曲は雰囲気を損なわずにそれらしく、と。それはそれで素晴らしいことだと思うのだが、やはり俺は先にも書いたようにAcid Testのような「解体~自分なりに再構築」したカヴァーを聴きたかった。まぁこんなもんだろうとは思っていたが‥‥それにしてもLOVE LOVE ALL STARSでも、もっと自分流のアレンジや演奏をしてたんじゃなかろうか? 良心的と捉えることもできるが‥‥やっぱり「コピー」と「カヴァー」は別物だと思うし。端から「完全コピー」を謳い文句にしてるなら文句言えないけど。

  どのアーティストも個々の活動の合間にリハーサルをしたんだろうけど、もしまたやるのなら今度は違った形態の「ジョン・レノン音楽祭」を開いてもらいたいと切に願う。


[SET LIST]
01. Come Together(吉井和哉、ゆず、押葉真吾)
02. Bad Boy
03. Cold Turky
04. Glow Old With Me(以上、押葉真吾)
05. Don't Let Me Down
06. Jelous Guy
07. All You Need Is Love ~ Happy Birthday To You(以上、ゆず)
08. Love
09. Watching Wheels
10. Mind Games(以上、白井貴子)
11. Instant Karma
12. Oh My Love
13. I Am The Walrus(以上、和田唱)
14. You've Got To Hide Your Love Away(和田唱&奥田民生)
15. I'm Only Sleeping
16. Hey Bulldog
17. She Said She Said(以上、奥田民生)
  ---message from George Martin & Ring Starr---
18. Little Child
19. I Should Have Known Better(以上、ムッシュかまやつ&押葉真吾)
20. Be Bop A Lula
21. I'm Losing You
22. God(以上、吉井和哉)
23. Mother(Acid Test)
  ---message from Yoko Ono in NYC---
24. Happy X'mas (War Is Over)
25. Real Love ~ Give Peace A Chance(出演者全員)
  ---encore---
26. Imagine(出演者全員)

2001年10月14日 (日)

SOUL FLOWER UNION@新宿リキッドルーム(2001年9月28日)

  自分にとって年に複数回ライヴに足を運ぶアーティストってのも、近年少なくなった。今だったら、海外のアーティストだと(日程が合えばだが)マニックスやWiLDHEARTSぐらいだろう。もっとも外タレの場合は2~3日連続公演が当たり前なので、なかなか会社を休んでまで数公演観るというのは辛いものがある。そこへくると、日本のアーティストは年間にツアーを数本行う事が当たり前のように行われているので、1本のツアーで1回しか観れなくても次のツアー、又は夏のフェスティバルで再び観れてしまうのだから、有り難いものだ。

  今年、自分にとって新たに「大切なバンド」がひとつ増えた。それがこのソウルフラワーだ。6月の頭脳警察イベントでの初体験、そして7月のフジロック。2回とも偶然とはいえ、こうやって観る機会を得ている。そしてその度に、言葉では表しきれない衝撃を受けた。今回足を運んだ単独ライヴはフジロックを観る前には既にチケットを取っていたが、やはり何度でも観たくなるにはそれなりに理由がある。

  ちょっと前までは、ライヴといえば「大騒ぎして、暴れられればいい」みたいな考えがあった。しかし、ここ数年の間に考え方が少し変わり、「踊れない(聴き手を踊らせようとしない)音楽には惹きつけられない」自分がいる。クラブ等に通うようになったり、下手なりにもDJなるものを経験するようになり、こういう考え方が改めて根付いたように思える。そしてそれを決定的なものにしたのが、SFUとの出逢いだった。CDという音源で聴く以上に、ライヴでの彼らは強烈且つ殺傷力を持ったバンド‥‥自分の価値観の中に、ここまで鮮烈な印象を与えたバンドはかつていただろうか? 今現在、自分にとって大切なバンドとして挙げているMR.CHILDRENやエレファントカシマシにはない魅力‥‥あるいは、それら2バンド以上に強烈な個性と言った 方がいいだろうか。3つのバンド全てに共通するのは、「歌」を大切にし、それを聴き手(観客)にちゃんと届けることができるパワーを持っている点。アリーナバンドと化してしまった今のミスチルに、SFUのような要素を求めるべくもなく、そしてエレカシやミスチルがSFUよりも劣っていると言いたいのではない。それぞれが強烈な個性と色を持った、ここ日本では唯一無比の存在。今年に入って複数回観ている3バンドに言えるのは、この一言に尽きる。

  4年振りに足を運んだリキッドルームは、あの頃と何も変わっていなかった。相変わらず長い階段が続き、登るだけで心臓がバクバクいう。昔はこれが嫌いだったが、今日だけは悪い気がしない。あの頃と同じように小汚く、あの頃と同じように狭く感じるフロア。そんな場内を俺はステージ向かって左側のバーカウンターから眺めていた。今日は最前列付近から外れて、全体を観てみたい‥‥数日前からそう考えていた。

  ライヴは圧巻の一言に尽きた。内容についてはもういいだろう‥‥って思える程に、熱くて濃い2時間半だった。前日に同会場でもう1公演やっていたが、そっちの方が緊張感があったそうだ。実際この日のメンバーはツアー最終日ということもあって、かなりリラックスした雰囲気で、MCも必要以上に笑いの要素が満載だった(いや、というよりもいつも通りなのかな/笑)。既に名作の仲間入りを果たした「SCREWBALL COMEDY」発表後のツアーということもあり、ほぼ全曲(全11曲中10曲を披露。この日演奏されなかった曲も前日には披露されたそうだ)をプレイし、残りは過去の代表曲‥‥と思ったら、大間違い。さすがはツアー最終日。遊び心満載の一夜だった。

  まず、この日は元メンバーの内海洋子と元HEATWAVEの山口洋が参加。要するに、夏のフェス/イベント出演時と同じメンツ。けど夏フェスと違う点は、全曲ずっと出ずっぱりではなく、曲によって出たり引っ込んだりを繰り返すのだ。

  そして、カヴァー曲の多さにも驚く。モノノケでは昭和初期の歌謡曲やら民謡のカヴァーをしているが、今回はニューエスト・モデル時代を彷彿とさせる選曲が続く。アイク&ティナ・ターナーの"RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH"(メスカリン・ドライヴ時代にカヴァーしている)やROLLING STONESの名曲"DEAD FLOWER"、SFU名義のファーストシングルのカップリング曲でもある"TELL MAMA"等。どれも内海の持ち味 を十分に引き出す選曲だった。特に"RIVER DEEP~"は圧巻で、内海の音圧のある歌声を聴いてジャニス・ジョプリンのカヴァーかと錯覚した程だ。

  またカヴァーという点では、山口洋が今回初めてSFU内でリードボーカルを取ったHEATWAVE時代の楽曲カヴァーが新鮮だった。この日初めて山口の歌を、HEATWAVEの楽曲を耳にしたわけだが、中川とは全く違う、非常に個性的で胸に響く歌声だった。何せ翌日にHEATWAVEのCDを取り寄せたくらいだから。更に"満月の夕"では、2コーラス目を山口がHEATWAVEバージョンの歌詞で唄った。

  もうひとつ、内海参加ということもあり、SFUのファースト「カムイイピリマ」から"霊柩車の窓から"が演奏された。考えてみれば、いつ初期の内海ボーカルの曲が登場してもおかしくはなかったのだが、さすがにこうやって何の遠慮もなく、いつものノリで演奏されると逆に驚いてしまう。初期の曲に今でも若干苦手意識があったが、この日は新たな魅力を発見したように思える。

  椅子に座ってステージ上を見渡し、そしてフロアのオーディエンスを見渡す。みんな笑顔で、気持ちよさそうに踊っているのが判る。自分もいつもこうなんだな‥‥なんて冷静には考えなかったが、そういう光景を見ているだけでこちらまで笑顔になってくる。そして気づけば椅子から離れ、いつもの調子で踊り、合いの手を入れていた。じっとしてろという方が無理なのだ。そう、最初から冷静に観るなんて無謀だったのだ。本編最後の"エエジャナイカ"~"海行かば 山行かば 踊るかばね"は、毎回お約束となりつつあるが、そんな事お構いなしに笑顔で唄い、踊った。ここ数週、日常に疲れ切っていた自分を、現実から切り離してくれた「音」‥‥そしてバンドのメンバー、オーディエンスの笑顔。いつ戦争が始まるか判らない不安定な時期ではあったが、それでもこの2時間半の間だけはずっと笑っていられた。やがて現実に引き戻される瞬間がやってこようとも、今だけは全てを忘れて踊ろうではないか。もしかしたら、明日は来ないかもしれない‥‥だから、悔いが残らないように笑顔で踊ろう。彼らの歌を口ずさみながら、何度か泣きそうになる瞬間があったが、周りの笑顔に包まれ何とか持ち堪えた。泣いちゃダメだ。顔を上げて、前を見て、笑顔で前進しなくちゃ‥‥

  実際に踊ったのはほんの数曲だったものの、それでも充実感でいっぱいだった。今日でツアーは一端終わり、11月には中川と山口の新しい期間限定バンド、ヤポネシアン・ボールズ・ファンデーションのツアーが、そして12月には内海のソロライヴと恒例「年末ソウルフラワー祭」がある。きっと都合をつけて行くんだろうな、年末ライヴに‥‥もう既に後戻りできない程のSFUジャンキーになってしまったようだから。


[SETLIST]
01. GO-GO フーテン・ガール
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. 殺人狂ルーレット
04. RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH (アイク&ティナ / VO:内海)
05. ダイナマイトのアドバルーン
06. オーマガトキ
07. 野づらは星あかり
08. 夏到来
09. DEAD FLOWER (ROLLING STONES / VO:内海)
10. トーキョー・シティ・ヒエラルキー (HEATWAVE / VO:山口)
11. キャラバンに恋唄
12. 満月の夕
13. 風の市
14. 霊柩車の窓から (VO:内海)
15. 荒れ地にて
16. アンチェインのテーマ
17. CRAZY LOVE
18. マージナル・サーフ
19. ガーディアンエンジェル (HEATWAVE / VO:山口)
20. エエジャナイカ
21. 海行かば 山行かば 踊るかばね
  ---encore---
22. NOと言える男
23. ホライズン・マーチ
  ---encore---
24. TELL MAMA (VO.内海)



▼SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』
(amazon:国内盤CD

2001年8月31日 (金)

MR.CHILDREN : TOUR "POP SAURUS"@千葉マリンスタジアム(2001年8月25日)

  3週間前に観た「ROCK IN JAPAN FES.」での勇姿が忘れられず、断念していた今回のツアーを結局観ることにしてしまった‥‥ダメな俺(苦笑)。さぁ、30代突入後、最初のライヴだ‥‥最初のライヴがミスチルってのも、何か‥‥いや、いいんです。

  当日は16時開場、18時開演ということもあり、また家から電車で行くよりも車で行った方が時間的にも早いし気持ち的にも楽なので、12時過ぎに家を出て14時過ぎには幕張に到着していた。14時半には千葉マリンスタジアム前に到着し、とりあえず誘った友人と15時半にマリン前で待ち合わせしていたので、それまで会場周辺でボーッとすることにする。場内からはサウンドチェック&リハーサルの音が聞こえる‥‥あっ、"抱きしめたい"だ‥‥桜井、手を抜いて唄ってるなぁ、やっぱり(笑)。それを聴きながらパンフレット(今回は2種類あって、5000円の写真集+αと、3500円の写真+10年間総括個別インタビュー。当然3500円の方を購入)とツアーTシャツを購入。飲み物を片手にリハの音に耳を傾ける。"Dance Dance Dance"、"深海"、"Hallelujah"、"花"、"独り言"、そして"優しい歌"‥‥最後まで通しで演奏されたものもあれば、ワンコーラスのみ確認ってのもあった。笑ったのが、"Hallelujah"のエンディングのコーラス部(「ハッハレッハレッハレェ~ルゥ~♪」ってとこ)に乗せて"花"のサビ(「負けないようにぃ~枯れないようにぃ~♪」ってとこ)を唄う桜井。リハ特有の冗談なのだろうか?(笑/過去にも"Everything (It's you)"のサビでウルフルズ"バンザイ!"を唄った経験の持ち主だけに‥‥)

  そうこうしてたら、友人から着信が。久し振りの対面を果たし、そのまま幕張ショッピングモール街へと出向く。CD屋があったので、俺は地元で売ってない品物を手にし、その後軽く食事をする。再びマリンには17時過ぎに戻り、友人はビールを、運転して帰る俺はジュースを片手にしばし歓談。

  今回のステージセットは、「regress or progress」ツアーのものに比較的似てるかもしれない。ステージ左右には大型スクリーンがあり、その両脇には恐竜の骨。ステージ中央にも後方にスクリーンがあり、やはりその両脇に肋骨のようなものが床から突き出ている。天井には今回のツアーTシャツにも描かれている恐竜の、首から背骨にかけてがぶら下がっている。恐竜の頭蓋骨は顔と判るような代物ではなく、どことなく花のつぼみのような形をしている(これが今回のポイント。つうか俺、いい読みしてたよな?)。開演まであと15分というところで、大型スクリーンにアニメキャラのような猿が現れる。顔だけドラムのJENで(実写)それにサングラスをかけさせ、それ以外が猿。そいつがツアーグッズの説明をしたり、公演中は携帯はOFF!とか注意したり、客を煽ったりする(笑)。最近、ステージ上でのMCコーナーがなくなったJENだけに、ちょっとだけ嬉しかった(笑)。

  さて、開演時間を8分程過ぎた頃、スタジアム内の照明が消え、大歓声。スクリーンには「MR.CHILDREN : POP SAURUS」の文字が‥‥それはオルゴールの蓋に書かれたものだった。どうやらオープニングで、大がかりなCGを見せる演出のようだ。オルゴールからは"優しい歌"が流れる‥‥そして場面は変わり、博物館。例の恐竜の骨が展示してあり、そいつが動いて逃げ出す。そこからは過去のミスチルを振り返るような演出。アルバム「BOLERO」のジャケ絵が展示してあり、その絵の中に飛び込む‥‥向日葵の花が風にそよぐ‥‥場面が変わり、青バックに化学式が‥‥そう、「Atomic Heart」だ。そこからひたすら大地を進み、石油の採掘機が(「DISCOVERY」)。恐竜は大地を走り回る。そして採掘している穴へ飛び込み、そのまま場面は海の中へと‥‥深い深い海の底にたどり着くと、そこには椅子がひとつ(「深海」)‥‥そして海から上がると、潜水服の頭部が4つ(「Q」)‥‥ここまで約10分(苦笑)。長い、長いってば‥‥最初は大歓声で応えていたファンも、途中で飽きていたようだし‥‥この映像の後、シンセの音と共に大歓声が‥‥ステージ上にはアコギを抱えた桜井が。ストリングス系のシンセに合わせ、ギターをかき鳴らし、そしてそれはあるフレーズへと続く‥‥「やがて全てが散りゆく運命にあっても~」そう、"花"である。いきなり"花"のアコースティックアレンジだ。その後サビへと続き、大合唱で応える俺達。ちょっと鳥肌立ったね。

  そして、他のメンバーがぞろぞろとステージ上に現れる。桜井はアコギを持ったまま、聞き覚えのあるフレーズを‥‥おお、頭から"I'll be"かよ! しかもアルバムバージョン。セットリストは既に知っていたのだけど、やはりこうやっていざ直面すると、やはり我を失いかけるよ。今日の桜井は青いTシャツの上に同じ色のシャツを羽織っている。下はいつもの黒皮パン。この日の幕張は開演前から曇りだし、今にも雨が降りそうな感じだった。まだ日は完全に落ちていないものの、今にも暗くなりそうな空気の中で聴く"I'll be"に、思わず涙しそうになる‥‥いきなりかよ、俺(苦笑)。観客もド頭から大騒ぎしたかったに違いないだろう‥‥けど、いきなりこんな鬼気迫る演奏を聴かされて、言葉も出ないようだ(って俺もだけど)。

  続いて同じ「DISCOVERY」から"ラララ"を披露。これまでの3曲は前回のツアー「Q」では演奏されなかったものばかり。2年振りとはいえ、何か前とは別の曲を聴いてるような感じがする。やはり室内と野外の違いだろうか? こういうポップでフォーキーな曲は、野外の方が合ってる気がする。当然エンディングでは大合唱となる。今日の桜井、笑顔が素敵だ。

  少しの間を置いてから、あの流れるようなスライドギターの音色が‥‥何と、ファーストシングル"君がいた夏"だ‥‥確か最後にプレイしたのは前回の夏ツアー「空」以来だから‥‥丁度6年振り、「深海」以降は演奏してないことになる。こういう曲を(例えそれがベスト盤のプロモーションとはいえ)サラリと、しかも笑顔で楽しそうに演奏してしまう今のミスチル、恐るべし。とにかく桜井の笑顔が眩しすぎる。この曲辺りからようやくスクリーンに桜井のアップが映されるようになったのだが、みんな桜井のアップになると「キャー♪」だもん。判るよ、その気持ち(笑)。

  続けて初期の名曲"LOVE"の登場。いいのか、ここまで勿体ぶらずに披露しちまって!?って位に笑顔。この曲辺りになると、お約束ともいえる「動き」(手扇とか)があるのだけど、どうもいまいち客の動きに統一感がない‥‥要するに、ベスト盤以降、或いは「DISCOVERY」以降のファンが多く詰めかけたってことだろうか? いろんな意味で旧曲での客のリアクションが新鮮だった。

  そしてベスト盤から初期名曲3連発の"星になれたら"。アコギを置いた桜井は、右へ左へと動きまくる。走りながら唄うもんだから、そりゃ息も上がる。けど、今日の桜井も別段コンディションが悪いとは感じない。むしろここ最近の「調子良さ」が続いてるように思える。さすがに初期のポップな歌が続くので、笑顔も絶えない。ひたちなかでの狂気じみた表情が嘘のように‥‥

  ここにきて、ようやくMCが。「今日は日が暮れるのがいつもより早かったので、みんなの表情がちゃんと把握できてなくて、どういう感じになるんだろうと思ってましたが‥‥大体把握できました(笑)。ちょっと手を抜いていこうと思います(笑)」要するに、客のリアクションが思った以上だったので、あんまり熱くやらなくてもいいよね?って意味だろう。そしてこの日の模様もビデオシューティングしているそうだ。「インターネットの、覗きページにアップして‥‥おっと、下品な話をしてしまいました(笑)」とギャグをかました後に「何らかの形で発表されると思う」と言っていたので、前回のツアー「Q」同様、ビデオ&DVDとして年末辺りにリリースされる可能性大だ。初期の曲のライヴ音源って意外と少ないから、これは喜ばしい限りだ。

  そしてMCに続いて、静かめの曲が続けて演奏された。セカンドアルバム「KIND OF LOVE」からのバラード2曲、"車の中でかくれてキスをしよう"と"抱きしめたい"だ。特に前者は'97年2月に横浜アリーナで聴いて以来だったので、とにかく嬉しかった。あの頃の「力尽きつつある桜井」によるものと今の桜井が唄うものとでは、全く印象が違った。全てを包み込むような包容力‥‥あの頃の桜井に足りなかったもの、それはこれだったのかもしれない。そしてそれは、同じく"抱きしめたい"でも感じたことだ。前回(2月)に聴いた時よりも、ずっと優しい空気感がステージ上にはあったような気がする。とにかくこの2曲で、完全にオーディエンスの心を掴んでしまったようだ。

  バラード2曲が終わり、再び照明が消え、場内にインダストリアル風効果音が流れる‥‥そしてそれがカメラのシャッターを切る音に変わっていく‥‥アルバム「Atomic Heart」冒頭を飾るS.E."Printing"だ‥‥ということは‥‥あのエフェクトがかかりまくった、印象的なリフが静寂を切り裂く。そう、"Dance Dance Dance"だ。ドラムが入るところでパイロ(花火)が上がる。おお、今回のツアーはマジで大がかりだ。いつの間にか羽織っていたシャツを脱いだ桜井は、ここでも右へ左へと大忙し。「今夜もひとりLonely Play」という歌詞の所では、マイクを股間に当て、アレに見立てて擦りまくる(笑)‥‥キャーキャー騒ぐ婦女子達‥‥って俺もだが(笑)ってこれ、ツアー「DISCOVERY」でもやってたの、こないだのDVDを観て初めて気づいた。

  そして勢いをそのまま引き継ぎつつ、同アルバムから"Round About ~孤独の肖像~"へ。ドーム公演以来だから、4年半振りの演奏か? ソロパートが本来サックスなのだけど、上手いことキーボードで対応していた。けど、この曲の時だけ反応が弱かった気がしたのは、俺だけだろうか? 今回のツアー、ベスト盤に伴うものだけど、内容としてはそれオンリーというわけではなく、むしろミスチルの10年を総括するような内容となっている。だから演奏されないシングルヒットもあれば、アルバム中の隠れた名曲も登場する。ベスト盤からの新規ファンが多いこともあるのだろうか? それにしても、最大ヒット作からの楽曲なのに‥‥まぁ俺はひとりノリノリだったが(隣にいた友人に呆れられたが/笑)。

  ここで再び照明が消え、S.E.が流れ始める。スクリーンにも何か薄暗い映像が映し出される。映っていたのは海の中のようだ。そして聞き覚えのあるバイオリンの音色‥‥ここから「ダーク・サイド・オブ・ミスチル」に突入というわけだ。CGは海の中を泳ぐシーラカンスが映し出され(ツアー「regress or progress」とは異なる映像)、そのシーラカンスに導かれるように、後ろには先程の恐竜の骨が‥‥青白い照明がステージを包み、あの印象的なアコギのコードストロークが‥‥アルバム「深海」メドレーのスタートだ。まずは"シーラカンス"。ひたちなかで聴いた時のような衝撃はそれ程感じなかったが(免疫がついてしまったのだろうか)、スクリーンに映し出される桜井の表情はやはり鬼気迫るものがあった。しかもそれが白黒なもんだから余計だ。田原のギターが、ひたちなかの時よりも前々良かった。そういえば桜井、この曲でも歌詞間違えてたっけ‥‥さすがにシリアスな曲だから、笑って誤魔化すこともできず、新しい歌詞が誕生してたような‥‥(苦笑)。

  アルバム同様、エンディングをギターとピアノで引っ張り、そのまま"手紙"へと繋ぐ。歌詞を噛みしめながら唄っていると、ふと涙が‥‥まさかこの曲で泣くことになろうとは‥‥何か、ググッとキたんだよなぁ、何故かは判らないけど。俺の席の周りでは、この曲は大好評だったらしく、女の子も男の子も皆唄っていたのが印象的だった。曲が終わった時の拍手も盛大なものだったと記憶している。
  ピンと張りつめた空気を切り裂くかのようにJENのドラムがスタートし、その上に桜井がアコギを被せる。ひたちなか同様、"マシンガンをぶっ放せ"だ。この曲の時は後半、スクリーンに風刺的アニメが流され、それまでとはちょっと違った空気を放っていた。そして最後のサビの時には歌詞がスクロールして、更にその空気感を強調していた。前半のピースフルな流れがまるで夢だったかのように(そういえば、ここで引いてる若い女の子が多かった気が)。

  この後"ニシエヒガシエ"~"光の射す方へ"という、まんま「ROCK IN JAPAN FES.」と同じ流れが続く。特に目新しい要素はなく、せいぜい"光の射す方へ"ラストの花火くらいだろうか? ここまでの5曲の流れだけで言ったら、個人的にはひたちなかの方が上だったように思う。

  そして「深海」メドレー(間にそれ以外の曲も挟んだが)最後を飾るのは、"深海"。個人的にはアルバム中それ程印象に残った方ではないのだが、こうやって楽曲単体として聴いてみると、やはりいいんだわ。特に後半の盛り上がるパートにくると、何かこう、ググッとくるものがあった。ドームで最後に聴いた時とは全く別次元の感動がそこにはあった。曲が終わるとオーディエンス、大拍手。きっと初めてこれらの曲を聴いた人も多いんじゃなかろうか?

  曲が終わってもキーボードとギターが怪しい和音を奏で続ける。そして、ひたちなかでも3万人を湧かした、あのピアノのフレーズが‥‥"Tomorrow never knows"である。当然ここマリンスタジアムでも大歓声が上がる。そしてイントロのリズムに対して、あの手拍子‥‥それだけはやめてくれ(怒)。しかし、さすがに桜井が唄い出すとみんな聞き入ったのか、自然と静かになる。活動休止前の「痛みを伴った表現方法」もググッとくるものがあったが、やはりそれら全てを踏み越えた今の方がより説得力がある。自然と目頭が熱くなりやがる‥‥畜生。事前にひたちなかのレポートを読んでいた友人は、俺の顔を覗き込んでニヤニヤしてやがる(苦笑)。やっぱり何時聴いても名曲だと思う。300万枚近いセールスは、決して伊達じゃないと思う。上昇気流が後押しした結果とはいえ、それだけじゃこんな数字は出せないはずだ。ロックとかポップとか、そういう次元を超越した単純に「いい曲」‥‥それで十分じゃないか?

  エンディングから続くように、あの印象的なゴスペル隊のコーラスが‥‥"hallelujah"だ。いよいよクライマックスに突入。スクリーンに教会のステンドグラスのようなカラフルな画像が映され、神聖な空気が流れ始める。前回のツアーでは半音下げだったが、今回はノーマルチューニング。かなりキーの高い曲だが、そこまで辛そうな印象は受けなかった。前回のツアーで聴いた時よりも、ずっとずっとググッとくるものがあった。何もそれはチューニングだけのせいではないだろう。新曲も初期の曲も同じ視点で表現しようとする今回のツアーだからこそ、成せた結果なのかもしれない。2月に観た時は全然だった後半のオーディエンスによるコーラスワークも、今回はバッチリだった。「Q」から演奏されたのはこの曲だけだったが、そこに他意はないだろう。「Q」は前回散々やったから。問題は次のアルバムに伴うツアーだ。あのアルバムの曲をどのように散りばめるのか、そして来るべき新作はどういう作風になるのか、非常に気になるところだ。

  エンディングパートの「はっ、はれっ、はれっ、はれぇ~るぅ~」ってコーラスを観客に唄わせ、その上に「負けないようにぃ~/枯れないようにぃ~」と"花"のサビの歌詞を乗せていく。なるほど、開場前にリハしてたのはこのパートだったのか‥‥遊びじゃなかったわけね?(苦笑)するとスクリーンいっぱいに向日葵の花が映し出され、天井にあった恐竜の頭蓋骨がパカッと口を開き、更にもうひとつ中にあった口もクロスするように開き、それがまるで花びらのように十字を描く。そう、恐竜は最後に花へと変わった。中からは赤い光を放つ‥‥冒頭で書いた通り、俺の読みが当たったのだった。というわけで、本編最後の曲は"花"のリアレンジバージョンだ。前回ひたちなかで聴いた時はパッとしなかったが、その後シングルを何度も聴く内に、次第にその新鮮さに惹かれていき、改めてこの日ライヴで聴くと、完全にそのアレンジにハマっていた。"hallelujah"からの流れというのも一因だろう。歌そのものから凄いパワーを感じた。ただ、これでエンディングってのもちょっと‥‥って感じたことも付け加えておこう。ミスチルって本編ラストに、それっぽくない曲を選ぶことが多いんだよなぁ(過去にも"CROSS ROAD"や"Tomorrow never knows"で終わるツアーがあった)。

  一旦メンバーは袖へ引っ込む。この時点で丁度2時間。まだまだやるだろ、ミスチルさんよぉ‥‥ってことで、アンコールを求める手拍子が延々続く。「お祭り」のような特別なツアー。いつもアンコールは淡泊なミスチルも、今回ばかりはサービスしてくれるに違いない。

  数分後、メンバーが再び現れる。桜井は「それじゃあ気持ちも新たに行きますか!」って気合いを入れ直そうとすると‥‥虫が桜井を襲う(笑)。それを払い除ける。会場大爆笑。「こういうのが野外の醍醐味なんですけど(笑)」と言い訳。確かにあんなに焦った桜井はそう見れないだろう(笑)。

  気合いを再び入れ直してアンコールに突入。まずはお祭りソング"everybody goes"。お約束の如く、イントロのリズムインの瞬間にパイロがドカン! もう大騒ぎ。この曲も前回のツアーでプレイされていたが、今回の方が全然いい。昔みたいに気合いの入ったこの曲も好きだが、今回みたいに肩の力が抜けた、単純に楽しみながらプレイするのもまたいい。中間のブレイク部(ソロ導入前)で曲調が変わり、メンバー紹介に突入。メンバーひとりひとりを紹介すると、その人のソロプレイに突入。その際にスクリーンに「踊る大走査線」や「エヴァンゲリオン」ばりに「桜井和寿」が画面左縁縦書き、「vocal」が画面下縁横書きで垂直を描く。しかも明朝体で(笑)。マイブームなんでしょうか? にしても5年位出遅れてるような気が‥‥(苦笑)サポートメンバーの後にミスチル各メンバー、最後に桜井。そのままギターソロに突入。悲しいかな、田原よりも桜井の方がギタリスト然としてるんだよなぁ‥‥頑張れ、田原!(涙)

  そのまま続けて、JENがカウント。あの印象的なギターフレーズ‥‥久し振りの"innocent world"だ! この時ばかりはみんな大興奮。桜井はステージ左側に駆け寄る。そして1コーラス全てをオーディエンスに唄わせる。完璧に唄いきるオーディエンス(!)、そして俺(笑)。ツアー「DISCOVERY」の時も同じことやってたが、今回の方が客の数が倍以上いるせいか、より鳥肌モンだった。2番から桜井が唄うが、やはりどこか余裕がある。この曲がリリースされた頃は、あんなにも辛そうに唄っていたキーが高いこの曲も、今の桜井にとっては「楽しく唄える曲」へと変わっている。いや、桜井が変わった(成長した)のか‥‥やっぱりいつ聴いても心にググッとくるなぁ‥‥涙こそ流さなかったが、心に染みた。気付けば、友人も唄ってるし(笑)。

  ここで一旦サポートの3人が袖に引っ込み、桜井がアコギ、田原がエレキ、中川がベース、そしてJENが前に出てきて踊る(爆)。鶴のように構えてから、何やら拳法のようなアクションを取る。オーディエンスだけでなく、メンバーもツボに入ったようで大爆笑。暫くして桜井が語る。「これから演奏する曲は、アルバムに入ってない、シングルのカップリング曲です。一般的にカップリング曲やB面曲って『捨て曲』と呼ばれてるんですが‥‥はっきり言って、ミスチルには『捨て曲』は1曲もありません!」そう言い切って、ミスチルのメンバーだけで演奏されたのは、シングル「光の射す方へ」c/w曲"独り言"だ。勿論、ライヴで演奏するのは初めて。イントロのハーモニカをJENが吹き、大歓声。オリジナルの音源は、'70年代のストーンズを彷彿させるアーシーなナンバーだったが、ここでは完全に「ミスチル以外の何ものでもない楽曲」になっていた。演奏も、コーラスも全て4人で。ツアー「Atomic Heart」での"ロード・アイ・ミス・ユー"もたった4人で演奏してたっけ。ある意味「初心忘れるべからず」的ナンバーなのかもしれない。だって、普段コーラス取らない田原も唄ってたし(笑)。

  「最後に、できたばかりの新曲を披露します」といってスタートしたのは、数日前にリリースされたばかりの"優しい歌"だった。CDではストリングスからスタートするが、ライヴでは浦の弾くアコーディオンが代わりを果たす。逆にこっちの方が素朴な感じがして、いいんじゃないかな? 次のアルバムに入れるなら、是非アコーディオン・バージョンで! そして歌が始まると‥‥スクリーンに下から上へと歌詞がスクロールしていく。歌詞を目にしながら口ずさむと‥‥何故か知らないけど、頬を伝うものが‥‥桜井自身の決意表明であるこの曲が、何故か今の俺とシンクロしてしまった。すっげー伝わったよ。古くからのファンには賛否両論のようだが(つうか「自称・古くからのファン」って結局、活動再開後のミスチルを認めたくないだけじゃないの?)、俺には十分すぎる位に伝わった。たった3分ちょっとの曲はすぐに終わったしまった。嗚呼、また夏が終わった‥‥最後は天に向かって打ち上げ花火が連発される。「また夏が終わる/もうさよならだね」‥‥"君がいた夏"じゃないが、本当に俺の夏はこの曲で終わっていった。


  結局時間にして2時間半ちょっとだったが、曲数にして23曲。しかし曲数以上に濃い内容だった。ベスト盤を受けてのツアーということだったが、結局はベストから半分、各オリジナルアルバムから半分といった感じで、単純に「グレイテスト・ヒッツ」ツアー以上のものを見せてもらった。ショウとしてのスケールは6年前のスタジアムツアー「空」に匹敵する、或いはそれ以上のものだったし、選曲もシングルとアルバムの隠れた名曲・人気曲とのバランスが絶妙だったように思う。残念ながら「BOLERO」からは1曲も選出されなかった("everybody goes"と"Tomorrow never knows"を収録曲と見ることもできるが、敢えてシングル以外の曲を演奏して欲しかった)。「深海」からあれだけやったんだから‥‥って気持ちもあるが、この流れに"タイムマシーンに乗って"は入れにくいかもしれない。今後二度と演奏されないかも‥‥とアルバムレビューで語っていただけに、やはり実際に無視されると悲しくなる。好きなアルバムだけに。

  今回のツアーは「これまでの10年を総括する」という意味だけではなく、「これまでのミスチルをリセットする」という意味も含まれている。確か前回の夏ツアー「空」の時もそういうコンセプトがあったはずだ(「空(くう)」は「空(から)」とも読める)。そうしてリセットした結果が「深海」「BOLERO」だったわけだが、さて、今回のリセットはどういう作品を生み出すのだろうか? 既に新曲がバンバン出来上がってるようで、その第1弾が"優しい歌"だったわけだが‥‥今後暫く、それらの新曲をこまめにシングルとして切っていくそうだ。まずは年末~年始辺りにもう1枚リリースされるという次の新曲に期待だ。

  今回のツアー、ミスチルを観たことない人にこそ観て欲しい内容だと思う。関東ではまだ横浜スタジアム公演(9/15&16)が残ってるので、チャンスがあったら是非足を運んで欲しい。ここ数回のツアーの中でも、最も「楽しさ」に重点を置いたライヴになっているから。きっとみんな、あの桜井の笑顔にやられるはずだから(笑)。


[SETLIST]
01. 花(vocal, acoustic guitar & synth. only)
02. I'll be
03. ラララ
04. 君がいた夏
05. LOVE
06. 星になれたら
07. 車の中でかくれてキスをしよう
08. 抱きしめたい
09. Printing ~ Dance Dance Dance
10. Round About ~孤独の肖像~
11. Dive ~ シーラカンス
12. 手紙
13. マシンガンをぶっ放せ
14. ニシエヒガシエ
15. 光の射す方へ
16. 深海
17. Tomorrow never knows
18. Hallelujah
19. 花(2001 version)
---encore---
20. everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-
21. innocent world
22. 独り言
23. 優しい歌



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2001年8月19日 (日)

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL '01」DAY 3@茨城・国営ひたち海浜公園(2001年8月5日)

  さあ、丁度2週間遅れで順調に(苦笑)アップされていく「ひたちなか」フェスレポートも、いよいよ最終回。今年は運良く2つのフェス(フジロックとこれ)に足を運ぶことができ、非常に幸運だったと言えます。これを書いている丁度今も、千葉と大阪では同時にサマソニが行われ、今朝にはエゾロックも無事終了したようです。今年はどのフェスもいろいろと課題点を残したようですが、来年は更に素晴らしい、世界に誇れるフェスを沢山我々に提供して欲しいものです。


◎LOVE PSYCHEDELICO (at GRASS STAGE)

  昨年デビュー、今年1月のファーストアルバムがいきなりミリオンを達成し、「グレイテスト・ホープ」なのか「~ハイプ」なのか‥‥いろんな意味で話題のデリコ。さて、ステージではどういったものを我々に提示してくれるのやら‥‥

  ジョン・レノンの"Give Peace A Chance"という、如何にもなS.E.に乗せメンバーが登場。ボーカルとギター以外は全てサポートメンバー。キーボード&ギターの人は、どうやらニール&イライザの人らしい(後で聞いた話だが)。他にはベースとドラム。意外とシンプルな編成。で、出す音もこれでもか?って位にシンプル。いきなり最新シングル"FREE WORLD"からスタート。みんな手を上に手拍子。ボーカルもアルバムと同様、非常に英語っぽい日本語で唄う。思ったよりも骨太なロックンロールなのね? アルバムからは「胡散臭いレニクラ」っていう印象を受けたが(いや、レニクラも十分胡散臭いのだけど、いい意味で)、ステージは骨太でシンプル、かなりパワフルなイメージで、時々シェリル・クロウなんかを思い浮かべた。その印象を確信に変えたのは、続くカヴァー曲"LIKE A ROLLING STONE"だろう。ディランというよりも、ストーンズがカヴァーしたアレンジに比較的近いかも。その後も帰国子女っぽい!?MCを挟みつつ、アルバムからのチューンやヒットシングルを披露。思ってたよりも好印象だった。

  先のS.E.とイメージがダブる"A DAY FOR YOU"でしっとりとステージは終了。アルバム1枚しか出してないグループにしては上出来と言っていい内容だったと思う。どっちかっていうと野外よりもクラブとかで観た方が好印象かな?と最初思ってたものの、こういった開放的な空間でこそ活きてくるライヴアクトだった。ミリオンアーティストやそれに近い存在(BUMP OF CHICKEN)が各日のオープニングを飾るってのは、かなり豪華だ。こんなフェス、海外を探してもそうはないだろう。また積極的に観たいかと問われれば返答に困ってしまうが、まぁ1回は観ておきたかったバンドなので、これで良しとしよう。


01. FREE WORLD
02. LIKE A ROLLING STONE (cover of BOB DYLAN)
03. I MEAN LOVE ME
04. I MISS YOU
05. YOUR SONG
06. LOW
07. ノスタルジック '69
08. "O"
09. LADY MADONNA
10. LAST SMILE
11. A DAY FOR YOU


◎GRAPEVINE (at GRASS STAGE)

  つうわけで、定刻通りにメンバーがステージに現れる。先日ベーシストでリーダーの西原が腱鞘炎悪化の為、バンドを離脱~一時休業を発表した後の初ツアー。西原を欠いた後に発表した「CIRCULATOR」がこれまた大傑作ということもあって、否が応でも期待してしまう。あのアルバムでの「男気ロック」をこの大舞台でどれだけ表現することができるのか‥‥サポートのベーシストとキーボーディストを含めた5人が揃い、まず最初に新作からの先行シングルのひとつ"discord"からスタート。アルバムよりも柔らかいイメージの演奏。もっとゴツゴツしたもんだと思ってたが、想像とは違いちょっとだけ肩すかし。けど、彼らはこんなもんじゃなかった。

  基本的には先日の新作「CIRCULATOR」を中心に進められ、それ以外の曲はその新作収録のシングルカップリング曲という「全編新曲」オンリーの、挑発的なステージ‥‥びっくりしたことに、ヒットシングル"スロウ"や"羽根"、"光について"といったオイシイ曲は完全に排除された、本気汁100%の「男気ロック」路線だった。田中は何度も曲の合間に「気持ちえぇ~♪ ここ、めっちゃ気持ちえぇ~!」と叫ぶ。相当このシチュエーション、そしてステージを気に入ったらしい。終始笑顔だ。後半ではTシャツも脱いで上半身裸でギターを掻きむしっていた程だ。

  やっぱりライヴで聴いても"風待ち"は名曲以外の何ものでもなかった。ググッときた。この感覚‥‥アルバムを聴いていた時点でも思っていたが、やはりそうだ。このバンド、OCEAN COLOUR SCENEと同じ空気を感じる。特にそう感じさせたのは、圧巻だったヘヴィブルーズ3連発("アルカイック"~"パブロフドッグとハムスター"~"壁の星")だろう。「暑苦しくてゴメンな」と田中が言ってた通り、この選曲は野外、いや、フェス向きとは言い難い。しかし、それでも自信を持って連発するってのは今のバンドの好調振りと揺るぎない自信の表れではないだろうか。2番手でこんな冒険、普通のバンドならしないだろう。実際、この辺から後ろへと戻っていく客も多く見受けられたし、つまらなそうにしてる客も少なくなかった。失敗と取ることもできるが、俺は田中の歌から目を、耳を離すことができなかった。言い過ぎだが、スティーヴ・マリオットを彷彿とさせるソウルフルな歌声に、シビレていた。あの細い身体からこんなに太い声を出すんだから‥‥

  後半は比較的ノリのいい曲を並べて、最後もやはり新作からの"B.D.S."で幕を閉じた。ここまでくると頭が下がる思いだ。「アルバムの方がよかった」という声もちらほら聞こえ賛否両論のようだが、俺は彼らを支持したいと思う。


01. discord
02. きみが嫌い
03. 風待ち
04. アルカイック
05. パブロフドッグとハムスター
06. 壁の星
07. (All the young) Yellow
08. So.
09. HEAD
10. B.D.S.


◎GO!GO!7188 (at LAKE STAGE)

  お堅いロックファンからは小馬鹿にされることの多いGO!GO!7188だが、俺はかなり気に入っていて、アルバムは現在に至るまで愛聴している程だ(ちなみに、ひたちなかに向かう車の中でもエンドレス状態で「蛇足歩行」を回していた)。昨年デビュー組の中では、RIZEと共に大プッシュしていたのだが‥‥

  メンバー3人がステージに登場し、適当に楽器を鳴らしていると、それがそのままインストナンバーへと続いていく。そしてそれはオープニング曲"ロック"へと続く。ユミとアッコのツインボーカルともいえるハーモニーがバシバシ決まる。そういえば‥‥1年前はまだ垢抜けてなかった彼女達も、気づけば二人共金髪やらになっていて‥‥(笑)

  MCや曲紹介はベースのアッコがするようで、間髪入れずにあの曲名が叫ばれる‥‥そう、"ジェットにんぢん"だ(笑)。きっと、この曲で引いちゃう人が多かったんだろうな。俺は逆で、これでバカ笑いしながら絶賛したんだけど。最後のオチ(「ジッタリン・ジン」)もオーディエンスみんなが大合唱(爆)。いや~、馬鹿馬鹿しくてよろしい!

  この日は未発表の新曲も幾つか披露され、その中でも新境地ともいえるナンバー"考え事"がかなりよかった。オープニングとエンディングをアッコが唄い、それに応えるようにユミが唄うといったバラードナンバーで、とっても切ない曲だ。ちょっとホロッときてしまった(苦笑)。

  考えてみれば、この日はファーストからのヒット曲"こいのうた"も、夏にピッタリな"太陽"も演らなかった。勿体ない‥‥とは思うものの、新曲をバンバンやるってことは、既に彼女達は次のフェイズに向かって走り始めているってことなのかもしれない。それは最新シングル"あぁ青春"からも伺えた。思っていた以上にゴツゴツとした音を出すバンドへと成長していて、ある意味この日俺が観たバンドの中では一番硬派な音をしていたかも‥‥また観たい。純粋にそう思った。セカンドアルバム次第でどんどん化けていくバンドだろうな‥‥是非次のアルバムが出たら、単独公演を観たいな♪


01. ロック
02. ジェットにんぢん
03. 行方不明
04. 考え事(新曲)
05. とかげ3号(新曲)
06. あぁ青春
07. 文具
08. パンク


◎In the Soup (at LAKE STAGE)

  選曲等は前回の野音+αといった感じなので、聴き覚えのある曲が並び、前回よりも安心して観ることができた。ファンも大勢前へ駆けつけ、かなりいい感じだった。それにしても、ボーカルの中尾は本当にソウルフルでいい声してるなぁ‥‥

  MCがこの日はバシバシ決まっていて、かなりの笑いを誘っていて好印象。「今日の僕達は3~4車線の高速道路だ。意味は家に帰ってから考えればいい」とか(笑)。で、圧巻だったのはやはり"グリーングリーン"のパンクバージョン。アドリブが続出、それが上手い具合に大ウケ、野音での悪夢が嘘のようだ。コールアンドレスポンスも感動する位に上手くいってたし、中尾も興奮して「何やってもいいよ」とか言ってステージを下りて、スタンディングエリアの後方まで走り回るし(!)。その後、「殺気を覚えたよ」といって戻る。最後はもうじきリリースされる(野音でもエンディングだった)"檸檬~レモン~"で頂点に。いやぁ~、俺。こいつらマジで気に入った! アルバム出たら買うよ。いや、シングルとりあえず買うってば。今度は単独公演ですな。10月の野音、行けるかなぁ‥‥


01. イタイ×イタイ
02. 針の山
03. ホライズン
04. 存在の証明
05. 風の子
06. 東京野球
07. グリーングリーン
08. 檸檬~レモン~


◎POLYSICS (at LAKE STAGE)

  一昨年のフジロック3日目に出演。ホワイトステージ1発目だったこともあって、俺は観れなかったが‥‥ずっと観たかったんだよね♪

  マーチングバンドのよく耳にする曲が流れる中、メンバー4人がでっかい「POLY」のロゴの入った旗を持って行進しながら入場(笑)、この時点で爆笑の渦。ギター&ボーカルのハヤシがホイッスルを吹いて、全体止まれ(笑)。旗をスタッフに預け(しかもスタッフの彼氏、ライヴ終了までその旗を持ったままステージ後方に立たされっぱなし)、ハイテンションに演奏スタート。かなり懐かしい曲(インディーズ盤から)も交え、1曲目が終わった時点で「いくぞ!残り12曲!!」って笑いも欠かさない。途中、ハヤシがMCを取り始めると、全員が同時にMCを始める(爆)。こりゃ狂気の沙汰だ‥‥マジ腹抱えて笑わせてもらった。昔はよくこのネタ、やってたみたいだね? さすがにもう食パンは投げないようだが(苦笑)、演奏や楽曲はポップで親しみやすく、それ以外では笑いが絶えない。こんなにエンターテイメント色が強いバンドだとは‥‥

  後半、シンセのカヨがTHE KNACKの"My Sharona"のカヴァーを唄ったりなど、最後まで全く飽きさせない内容で、本当にこいつら13曲もやったの!?って疑ったくらい、あっという間に終わってしまった。お客も大絶賛&大爆笑だった。ここまでのレイク3連発、大当たり!


01. T RIANGLE
02. URGE ON!!
03. NEW WAVE JACKET
04. GOOD
05. KASUGAI
06. Pike
07. My Sharona
08. Poly-Farm
09. XCT
10. MS 17
11. AT AT
12. go ahead now!
13. Hot Stuff


◎エレファントカシマシ (at GRASS STAGE)

  昨年から引き続き連続出演となるエレカシ。フェスで観るエレカシ、一体どうなるのやら‥‥意外と俺は、フジロックのグリーンステージにも合ってると思うのだけど‥‥

  メンバーはいつも通り、勿体ぶらずに登場。宮本はのっけから「オ~イェ~ッ!」と煽る。そしてカウントが入り、いきなり"ガストロンジャー"だ。彼らを知らない人でも、この曲に惹き付けられたらしく、スタート直後に後方から前へと客が駆け寄る。俺はかなり前の方で観てたのだが、宮本は調子良さそうな感じだった。前日、仙台のフェスにも出演していたそうだけど、その疲れは感じさせない。まだ1曲目だというのに、既に宮本、石くんいじりが始まる(笑)。シャツ脱がされてます、蹴り入れられてます、羽交い締めにされてます‥‥(涙)

  続けざまに、音源としては未発表(?)のライヴ定番曲"夢をみようぜ"に突入。初めて聴くのだが、初期エレカシらしい、ストレートでアップテンポなナンバー。珍しく石くんがコーラスを取っている。「いつも同じことばっかりやってんじゃねぇよ!アドリブがきかねぇんだよ!!」と宮本に叱られる一面も(苦笑)。嗚呼、石くん‥‥

  宮本の「僕ら、もう20年選手なんですけどね‥‥」てなMCに続いて、なぁ~んとサードアルバムから"夢のちまた"が!! よくこんな曲をアルバムのトップに持ってきたもんだ‥‥端から市場のこととか考えてないんじゃないだろうか、この男‥‥(苦笑)それにしても‥‥名曲には違いない。すっげぇ‥‥ため息しか出ない。そこから前のゼップツアーでもやってた"孤独な旅人"~"悲しみの果て"へと続く。

  トミのカウベルでのカウントで、次の曲の想像がついた‥‥今回も聴けるのか、"デーデ"だよ! 前回聴いた時よりも演奏はまとまっていた。やっぱり初期のハードコアな曲はググッとくるね。そしてアルバム通り、間髪入れずに"星の砂"へ‥‥!!! 俺、この時点で衝天してました(笑)。7月の野音ライヴでのセットリストに比較的近い選曲だけど、あれ観てない身分としては、大興奮。石くん、ここでもコーラスやってました(そうえいば、曲終了後に宮本「"星娘"でした」って言ってたけど‥‥それって西郷輝彦の曲じゃ‥‥/苦笑)。

  フェスだろうが何だろうが、宮本マイペース。相変わらずMC長い。けど、やはりフェスってことだろうか、「‥‥ってつまらないですか?」と気を遣う一面も(苦笑)。そして名曲"孤独な太陽"‥‥ここで男泣き(心の中で)。夕焼け空にまたピッタリなんだわ、この曲。

  続いて"昔の侍"‥‥なのだが、トミが入りを間違える。テープに合わせて演奏する曲だけに(オーケストラパートね)、入りが難しそうだ。宮本に「プロとしてあるまじき行為」となじられ、2回目も危うかったが無事終了。ちょっと冷や冷やもんだった。そして宮本「レディ~ス、アァ~ンド、ジェントルメェ~ン‥‥グッドイブニィ~~ング!」と叫び、前作より"ゴッドファーザー"を披露。カッコイイねぇ、「GOOD MORNING」の楽曲は。初期の攻撃性とはまた違った「攻め」の空気感があるんだよね。そして同作より"武蔵野"。更に新曲"暑中見舞 -憂鬱な午後-"。この曲、絶対にライヴバージョンの方が何百倍も素晴らしい。小林武史プロデュースってことで、一体どうなるんだろうと期待したものだが、出来上がったテイクは正直「うそぉ‥‥」っていう代物だった。先にライヴで聴いてた曲だけに、その仕上がりにかなりガッカリしたものだった。この辺は宮本も気づいているようだが‥‥アルバムは一体どうなることやら‥‥11月にツアーがあるってことは、その辺にアルバム、又はまたシングルが出るってことだろうからなぁ‥‥ちょっと怖いです、今度のアルバム。

  最後はお約束ともいえる"コールアンドレスポンス"‥‥なのだが、またテープと演奏が噛み合わない。やり直しを命じる宮本。しかし、テープの頭出しに手間取る。手際悪すぎ、今日のスタッフ。痺れを切らした宮本、トミにテープなしで演奏開始することを命じる。結局、コーラスパートや打ち込みパートの一切ない、生々しいバージョンの"コールアンドレスポンス"を体験することとなる。「時間なんて関係ないよな?」と言ってたものの、やはり宮本も人の子。とりあえず時間超過したものの、なんとか終了。はっきり言って、こりゃトリですわ、事実上の。ここで燃え尽きたって人、多かったんじゃないかな? 実際、中村くんを観ないで帰っていく観客の姿を数多く目にしたし(それともそのままギターウルフ観に行ったのかな?)

  1時間ちょっとと、確かにいつもより短いのだけど‥‥それでも内容はかなり濃いもので、これまでに観た3回の中で、一番満足のいくセットリストだった、個人的には。こりゃ、秋のツアーも追っかけるんだろうな、俺‥‥(苦笑)


01. ガストロンジャー
02. 夢を見ようぜ
03. 夢のちまた
04. 孤独な旅人
05. 悲しみの果て
06. デーデ
07. 星の砂
08. 孤独な太陽
09. 昔の侍
10. ゴッドファーザー
11. 武蔵野
12. 暑中見舞-憂鬱な午後-
13. コールアンドレスポンス


◎中村一義 (at GRASS STAGE)

  さぁ、中村くんだ。セットチェンジも30分かからずに、パッパと進められたようだ。すると、千葉県民なら誰でも聴き覚えのある、ある曲が‥‥「ERA」にもシークレットトラックとして収められていた、「千葉テレビ」の放送開始時&終了時に流れる、あの曲がステージに流れ始めた(笑)。おお、始まるな‥‥そう思っていると、バンドメンバーが続々とステージ上に現れる。最後にペットボトルを持った中村一義が登場。少々緊張気味の中村くん、ステージから観客を見渡し、引きつった笑顔で応える。そしてギターを抱えて、あの「4,3,2,1‥‥」というカウントの後に「どぉ~おぉ~、(ドン/バスドラの音)どぉ~おぉ~♪(ドンドン!)」っていう、あの名フレーズが‥‥そう、デビュー曲"犬と猫"からスタートだ! 実は俺と中村くんの間には、ちょっとしたエピソードがあって‥‥って別に知り合いだとかそういうのではない。4年程前、東京の某区に住んでいた頃、よく利用していた近所のCD屋があった。そこの常連が中村くんだったのだ。1度だけ、デビュー前の彼と遭遇したことがある。オーラすら感じさせない、ごく普通の青年だった。「今度デビューするんで、CD買ってあげてね♪」と店長に勧められ、その場で予約購入を約束。その直後にこの"犬と猫"が発表されたのだ。個人的には当時の趣味の範疇ではなかったこともあり、このシングル1枚しか聴いてこなかった‥‥それが昨年、俺の中で一気にブレイクした。そして、今年‥‥まさかこういう形で再会するとは‥‥感慨深いものがある。

  続けざまに新作より"ショートホープ"の「両切りバージョン」(オープニングとエンディングの弾き語りパートをカットした、シングルバージョン)を披露。宅録アーティストと思われがちな彼、こういうライヴ映えするナンバーもいくつも抱えている。勿体ないよな、ライヴやらないなんて‥‥

  ここで、初のMC‥‥「やっと唄えたよぉ~!」思わず吹き出してしまったが、本人や昨年涙を飲んだファンからすれば、感動の一言だっただろう。けど、第一声にそれはないだろう‥‥まぁ中村くんらしくて、微笑ましいが。その後"歌"や、新作からの短いナンバー"グレゴリオ"、そして「4500円」CMでお馴染みの"君ノ声"を間髪入れずに演奏。思ったよりも声が出ていて、最初は確かに緊張を感じさせたが、だんだんリラックスしていったようだ。気持ちよさそうに唄ってたっけ。そりゃそうだろう。生まれてからまだ数本しかライヴをやってない人間が、いきなりこんな大舞台だもの。

  5曲終えた時点で「次の曲で最後です‥‥」‥‥って、おいぃ!(爆)30分で終わりかよ!? セッティングで押したせいだ、エレカシが超過したせいだとか色々言われたが、結局最初っから30分の予定だったらしい。今後、ツアーの予定どころか、全くライヴの予定のない彼。現在既に次のアルバムに向けて作業中ということもあって、ちょっとした息抜きにはなっただろう。最後は現在のニッサン「4500円」CMに使われている未発表の新曲"キャノンボール"(但し仮タイトル)でエンディング。この曲もまだ発売日が決まっておらず、「できたら年内に発表できれば‥‥」ってことらしい。アップテンポの、ポップで親しみやすいメロディーを持った、いかにも中村一義らしいロックナンバーだ。もしかしたら今後、アレンジとか変わるかもしれないが、この時点でもかなりの好印象。早く新しい音源を聴きたいものだ(その前に、俺にはファースト&セカンドアルバムが待っているが)。

  きっと、1年待たされたファンにしてみれば、「1年待たされて、たった30分」という人と「30分でも幸せ♪やっと聴けたわ」という人で意見が分かれるんだろうな。俺は‥‥確かに短いとは思った。トリじゃないだろ、これじゃあ?とも感じた。けど、次に繋ぐ意味では、この物足りなさで丁度いいのかも‥‥なんて思ったりして。とにかく、やっぱり観て正解だった。ますます好きになったかも。


01. 犬と猫
02. ショートホープ(両切りバージョン)
03. 歌
04. グレゴリオ
05. 君ノ声
06. キャノンボール(仮題)


◎総評

  どうしても一番最初にできたフェスということもあり、また俺が唯一何度も経験しているということもあってフジロックと比べてしまうのだが‥‥そりゃ別物だから比較がどれだけ意味があるものかは判らない。けど、学ぶべき箇所は沢山あるはずだ。

  まず、リストバンドの問題。これは昨年よりも弱いことが判明。来年への課題のひとつだろう。更に、出演バンドにアイドル的人気アーティストが多かったことから発生する「場所とり」。1年目のイエモンから既に問題になっているし、特に今年はミスチルが出演した2日目、これが問題になったようだ。大体、場所取りしてるだけで他の音楽には全く興味なし、ってのは出演者やそのファン、更にはスタッフに対しても失礼この上ない。確かにミスチルのようなバンドはそう前で観る機会はないだろう。チケットも取り難いし。けど、フェスにはフェスの常識‥‥「無言の了解」がある。それを守らないと、後々に大きな事故に繋がる恐れだってある。例えば、今年はフェス前に関西で大きな将棋倒しの事故があった。ああいう事故だって十分に考えられる。この辺はファンの意識の問題だから主催者がどれだけ呼びかけようが、どうしようもないのかもしれない。だからといって、そういうファンの多い、人気のあるバンドを呼ばない‥‥なんてのはちょっと違うし。例えば、来年GLAYが出たとしたら‥‥間違いなく、今年と同じようなことやってたら、大きな事故に繋がるだろう。

  それと、外タレ。絶対に呼ばない方がいいって。特にジョンスペは昨年、サマソニでJBが前に演奏することによって、あんな目に合ってるってのに、今年も散々な目にあわされて‥‥これで日本が嫌いになったらどうするの?(苦笑)とてもあの「rockin'on」の仕事とは思えない代物だった。JJ72も可哀想だったよ。

  また、セットチェンジの時間が30分ではやはり短いような気がする。結局後に後にと影響していくんだから‥‥それなら各日出演者数を1つずつ減らして、セッティング時間を40分に延ばし、更に余った時間をそれぞれのアクトに回してやればいい。ファンも納得するだろう。3日間で40アーティスト。確かに多くて魅力的だが、それだけ多ければ、観る側にも負担がかかる。「全部を観ようとするな」とは言われても、やはり観れるだけ観たいと思うのがロックファンの常だろう。そういう心理も判って欲しい。だからこそ、間のインターバルの時間を長めに取って、その分を休憩に回したり、移動の時間に当ててやったらどうだろう。

  勿論、悪い面ばかりではない。トイレの数。まずトイレ前で並ぶなんてことはなかった。それだけ数があったし、フジやサマソニでの混雑が嘘のようだった。しかも、トイレ内が意外と綺麗だったこと。これも声を大にして言っておきたい。スタッフが徹底されているのか、それともファンの意識がフジよりも高いのか‥‥今年のフジはゴミ問題にしろ、例年以上に悪かったようなので、この辺は見習うべきだろう。

  また、ゴミが思ったよりも散らかっていなかったこと。確かに「燃えるゴミ」と「ペットボトル」という風にしか分別されていなかったので面食らったが、それでもタバコのポイ捨てやゴミの散乱は余り見受けられなかった‥‥本当、頻繁に回収されていたようだし。

  サマソニと違って、もの凄く「観る側」の視点で作られているフェスだな、と感じた。この辺はフジやエゾを経験してきた「rockin'on」社員の意見によるものなのだろう。或いは、フジ経験スタッフが多かったのかもしれない。個人的な意見としては、毎年絶対に3日間通して行こうとは思わないが、近場だし、出演者によっては通しで行こうかな?って感じだろうか。けど、間違いなく、日帰りでも必ず1日は行くんだろうな‥‥だって、楽しかったもん。フジとは違う楽しさ‥‥ライヴ以外の娯楽ってのが少ないのだけど、DJブースとか、場合によっては遊園地アトラクションもあるし、カップルで行ったら楽しめるかも‥‥(涙)

  というわけで、来年も行きます。是非このまま、ひたちなかで続けてください。そして、来年はもっと素晴らしいフェスになることを祈って‥‥

2001年8月18日 (土)

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL '01」DAY 2@茨城・国営ひたち海浜公園(2001年8月4日)

  昨年スタートした「rockin'on」社主催の(と思ってたら違って、企画がrockin'on、主催はニッポン放送、運営ディスクガレージとパンフに書いてある)国内アーティスト最大規模のフェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』。昨年は2日目が台風に見舞われ、最後まで続けることができなかった(演奏できなかったアーティストは、そこでベールを脱ぐ予定だったAJICOと、生涯初ライヴのはずだった中村一義の2組)。今年は日付を8月中頃から頭に移し、2日間から3日間に延び、「ロックか否か?」と批判的な声が大きかったゆずやミスチルの出演、更に出演アーティストの中には海外のバンドの名前もある。さて、一体どういうことになるのだろうか‥‥

  というわけで、俺が参加した2日目(8/4)と3日目(8/5)をレポートしてみたいと思う。20代最後のライヴという意味では、非常に印象に残る、いいライヴを見せてくれるバンドが多かった‥‥まぁ例の如く、全部いつも通りにやるとなかなか終わらないので(笑)、かなり簡単な紹介になると思うが、そこはご了承を‥‥


◎ゆず (at GRASS STAGE)

  さて、ゆずである。初の生ゆず。つうよりも、そもそも彼らを好意的に受け入れるようになったのは昨年からなので、それ以前の楽曲にも興味があったし、何より先日のドーム公演をたったふたり(歌とギターとハーモニカのみ)で行ったことから、何となくRIJFでも「弾き語り」でやってくれるんじゃないかと密かに期待していた。

  いきなりラジオ体操第一の音楽が流れ始めた時には失笑したが(どうやら、ゆずのライヴ開始前のお約束らしい)、いざステージに北川と岩沢のふたりが登城すると「あぁ、始まるんだ」とワクワクしてくる。やっぱりふたりだけのようだ。岩沢は白Tシャツに「ROCK AND ROLL」タオルを頭に巻き、北川はこの日のために作った「SAKU」Tシャツのパクリ(桜庭選手のオフィTね)で「YUZU」、オリジナルが「39」なのに対し、北川のは「804」という、単に今日の日付の入った、他に使いようのない無駄な(笑)Tシャツに、「フォークデュオ」と書かれた手ぬぐいを頭に巻いている。俺的にはこれで「あり」だった(笑)。

  いきなり北川の軽快なトークからスタートし(笑)俺が知らなかった曲を2曲(恐らく初期の曲だろうか?)披露。両方北川がリード。如何にもフォークソングといった感じだが、悪くない。この炎天下の中聴いてると、ふとそよ風が吹くとそれが心地よく感じられる。もう1曲北川が新作より"シャララン"を唄った後に、今度は岩沢リードでヒット曲"飛べない鳥"を披露。いい曲だとは常々思っていたが、こうやって装飾をできる限り減らした、まさしく歌とギターとハーモニーのみで綴られる歌の世界が、この青空にマッチして気持ちいい。しかも岩沢の声の伸びが抜群に良い。ハスキーな北川とは対照的で、本当に清々しい(前は苦手だったくせに/苦笑)。

  続く"心のままに"ではふたり向き合ってギターをかき鳴らしながらスタートするのだが、北川がミスる。堪えられなくなり、ふたりして笑う。こっちまで笑顔になっちまう。プロとしてあるまじき行為なんだけど、今日は特別。それにしても‥‥この2曲で俺は完全にノックアウト状態。マジ泣けた(実際には泣いてないけど)。

  大の苦手だと思い込んでた"夏色"も気持ちよく聴けたし(前フリの北川トークのお陰もあるかも)、最新シングル"3カウント"も改めて聴くと、やはりいい曲だと感じる。そしてお待ちかねの"嗚呼、青春の日々"。もうこの時点で俺が聴きたかった新作「トビラ」からの曲は全部聴けたようなもんだ。やっぱりこの曲の歌詞は泣ける。男泣きの世界。オープニングじゃなかったら、マジ泣きしてそうな勢い。ホントいい。

  何故か岩沢が"蛍の光"を弾き出し、それに合わせて北川がパチンコ屋の閉店の挨拶の如く、またお近くに寄った際には是非声をかけてやって下さい的トーク(笑)をかます。そして最後にもう1曲‥‥ってことで、ファーストアルバムの"てっぺん"で勢いよく終了。初めて聴いた曲だけど、非常に攻撃的な歌詞だなと感じる。どうしても柔なイメージがあった彼ら、決してここ数年で硬派に鞍替えしたわけではなかった。ストリートからスタートした時点で、彼らは地面から上を睨みつけていたのだ。

  「ロック」と銘打たれたフェスで、しかもミリオンクラスのアーティストが前座をする。そしてやるのはフォーク‥‥これ、3日間通しての出演者の中で、ある意味最も「パンク」だと思うんだけど‥‥彼らの新作にはかなりハードは曲も収録されているし、それはロックの範疇に入るものだと思う。しかし、精神性だけを取ってみれば、その辺のヘヴィロックバンドよりもよっぽど「パンク」だと思う。オフィシャルの掲示板でウダウダ言ってる奴らは、彼らの演奏を観て聴いて、何も感じなかったのだろうか? オープニングから最高のステージを観てしまった。こりゃ濃い2日間になりそうだ‥‥


01. する~
02. 贈る詩
03. シャララン
04. 飛べない鳥
05. 心のままに
06. 夏色
07. 3カウント
08. 嗚呼、青春の日々
09. 蛍の光
10. てっぺん


◎MO'SOME TONEBENDER (at LAKE STAGE)

  フジでは無愛想な印象だった彼らも、今日は熱心なファンに支えられいつも通りの演奏ができたようだ。MCも前回よりも冷たい感じがしなかったし。終わりも唐突な感じがせず、ちゃんと「ありがとう」って言ってたし。何かまた違う一面を観た感じで、興味深かった。

  演奏された楽曲はフジにかなり近い感じ。ただ曲順は全く違っていたし、9月にもうリリースされる新作(しかもメジャーから!)からも2曲披露されていた。曲名はオフィシャルサイトでのBBSで、メンバー自身が書き込んでいたものなので、間違いないはず。

  前回は全く知らない状態で挑んだので衝撃もその分大きかったが、今回は「DAWN ROCK」と「echo」をこの1週間何度も聴き込んだので、なかり余裕を持って楽しむことができた。前回はスタンディングだったので、今回は後方のシート席でまったりと‥‥(笑)

  ただ、レイクステージ出演のアーティスト全般に言えるんだけど‥‥音が悪すぎ。特にこういうバンドにはキツかったんじゃないかな? それを抜きにすれば、かなりいいステージだったと思う。リズム隊がしっかりしてるので、ギター&ボーカルの調子さえよければかなり安定したステージを毎回観せてくれるんじゃないかな? 今度は是非、単独で味わってみたいものだ。


01. FLOWER
02. 9
03. パルス玉
04. PARADE
05. 冷たいコード(新曲)
06. echo
07. 壊れてるよ
08. DAWN ROCK
09. HigH(新曲)


◎PEALOUT (at LAKE STAGE)

  一昨年のフジロック以降‥‥シングル"爆裂世界"以降のPEALOUTはマジで凄いと思っていた。だからずっと観たかったんだけど‥‥チャンスがなかなかなかった。一昨年、昨年とフジには出演してるので、さすがに今年はなかった。フジ直前にズボンズとのカップリングツアーがあったが、それも日程的にきつかったので、諦めた。そしてRIJFに出演と耳にした時、絶対に観てやろうと心に決めていた。

  体力が回復したので、スタンディングエリアに入り、踊る準備をしていたら‥‥いきなり1曲目から"心臓が動き出すとき"だもんなぁ‥‥反則だって! 思いっきり踊り、暴れたさ。それにしても‥‥マジでカッコイイ! 下手なUK勢を聴くよりも、最近はMO'SOME TONEBENDERとかPEALOUTといったバンドを聴いていた方が心地よい‥‥決して日本語だからとか、そういうのは全く関係ない。単純にそのサウンドに惹かれるのだ。

  そして続けざまに、ルースターズのカヴァー"C.M.C."! ルースターズのトリビュートアルバムに収録されていたナンバーをこんなところで、しかも初ライヴで聴けるとは‥‥個人的にここでグッときて、最前ブロックまで進んでしまった(笑)。そのくらい、キてた。当然、サビパートでは拳を振り上げ、唄い叫んだ。

  続いて、10月にリリースされるという新曲"ソウルライダー"が披露。アップテンポの、ニューアルバムの路線に近いポップなメロディーを持ったロックナンバー。続けざまにそのニューアルバムから"JET DESIRE"がプレイされ、ここまでの流れは本当完璧。フェスの掴みとしては完璧じゃなかろうか?

  ちょっとしたMCも挟みつつ(ドラムの高橋が主にしゃべるのだが、「レイク・エンジェルです」ってのはちょっと滑ってました。レイクステージだけに‥‥すかさず「伝わったよ」と近藤のフォローが入ってたのが、ちょっと泣けた/笑)、OASISのカヴァーでもお馴染み、BEATLESの"I AM THE WALRUS"の直線的ビートロックバージョンをプレイ。今までもやってたの? 知らなかったけど、ちょっとこれはこれで好き。考えてみれば、PEALOUTはついこの間まで英語詞で活動してたんだから、こういうカヴァーも当たり前っていえば当たり前なんだわな‥‥なんて妙に納得してみたりして。

  ここで近藤がベースを置き、エレピの前に座る。ギターの岡崎はギブソン・エクスプローラーからフェンダーのプレシジョンベースに持ち変える。ここからはピアノ曲パートのようだ。こうやって後半にまとめてやってくれると、楽器チェンジの無駄な空白が減って、テンションも落とすことはない。お見事。そんなこんんなでニューアルバムから"HEIDI"(そう、「アルプスの少女ハイジ」をイメージした曲だ)。途中で近藤がブルースハープを吹き、テンションは一気に上がる。そこに間髪入れずに名曲"爆裂世界"! 正直、空からの暑さとステージからの熱さで、失禁寸前でした(苦笑)。血管切れそうな程にハイテンション。さっきまでのバテ気味の俺はどこへやら‥‥"FLY HIGH"を挟み、最後に"BEAT FOR YOUR RIGHT"で終了。40分程度のステージだったが、大好きな新作と前作からの曲、そして知ってるカヴァー曲中心に進められたことで、個人的には大満足だった。これならフルステージ観てみたいよ。こんなことなら先月の「激ロック」withズボンズ、観ておけばよかった‥‥(涙)


01. 心臓が動き出すとき
02. C.M.C(cover of ROOSTERZ)
03. ソウルライダー(新曲)
04. JET DESIRE
05. I AM THE WALRUS(cover of BEATLES)
06. HEIDI
07. 爆裂世界~世界に追い越されても~
08. FLY HIGH
09. BEAT FOR YOUR RIGHT


◎SUPERCAR (at GRASS STAGE)

  結局フジでは全く観ることもなく(しかも30分で終わったそうだし)、考えてみれば2年振りに観るスーパーカー。その2年の間にこのバンドも随分と変わったものだ‥‥新曲ではとうとうギターレスだもんなぁ(苦笑)。新作やその周辺のシングル、大好きなだけに今日のステージはとても期待していた(しかも1時間も観れるしね)。

  まずはアルバムオープニングのインスト"Changes"に乗せてメンバーがステージに登場する。メンバー4人の他に、サポートのドラマーが1人。彼がシンセドラムを叩くようだ。そして実質1曲目となったのが、いきなり"White Surf Style 5."! のっけから大歓声‥‥のはずだが、俺の周辺は棒立ち状態。盛り下がってるし‥‥明らかに「場所取り」ですな、民生orミスチルの。責めるつもりはないけど‥‥がっかり。こんなに素晴らしい、テンションの高い演奏や楽曲を突きつけられても、何も感じないなんて‥‥「ロックファン」ではないんだね、君達は‥‥「民生ファン」であり「ミスチルファン」でしかないんだね、きっと‥‥いろんな意味で憤りを感じた瞬間だった。

  基本的にニューアルバム「Futurama」からの楽曲が殆どで、それらがアルバム通り忠実に再現されていく。ドラム2人の意味も、ライヴを通して聴くと妙に納得できた。それにしても、このバンド。いつからMC担当がミキちゃんになったの?(笑)個人的にはそっちの方が嬉しいけど♪ 当然この日も、あの2年前の「悪夢」(苦笑/詳しくは、'99年6月のライヴレポ参照)同様、ミキちゃんコールを飛ばす俺‥‥30目前ですが、全然恥ずかしくはないです。むしろ、前へ前へと積極的です。いいんです、もう引き返せませんから‥‥(涙)

  やはり圧巻だったのは、"Karma"~"FAIRWAY"の流れ、そして新作以外からの"Be"。ギターノイズの渦、カオス状態の中、ステージからひとり、またひとりという風に消えていき、最後に床に置かれたギターだけが残る。正直、スーパーカーごときで(って別にバカにしてたわけじゃないけど)こんなにググッとくるとは思ってもみなかった。これまで俺にとってのスーパーカーはポップな楽曲にミキちゃん、それだけだった(笑)。正直、ギターレスになろうがテクノに走ろうが、曲が親しみやすいものであれば何の文句もない。けど‥‥今日この日のステージは、2年前のあのブリッツ公演を忘れさせるくらいに素晴らしいものだと思った。これは成長なのか、単に変化しただけなのか‥‥自分達にできることしかやってこなかったイメージのある初期と比べて、今の彼らからは試行錯誤だとかチャレンジだとか、そういった「前進したい」という心意気みたいなものを感じる。それが個々のソロ活動だったりDJだったりするのだろう。既に「ロックバンド」という形態をも取っ払って「自分達が気持ちよくなれる、いい曲を作りたい」っていう、至極シンプルな結論に達したのかもしれない。俺はそれを支持するし、今後も見守っていきたいと思う。また機会があったら観たいなぁ‥‥そう思わせるに十分なアクトだった。お見事!


01. Changes
02. White Surf style 5.
03. ReSTARTER
04. Baby Once More
05. Strobolights
06. PLAYSTAR VISTA
07. Seven Front
08. Karma
09. FAIRWAY
10. BE


◎JJ72 (at GRASS STAGE)

  ライヴ開始前に再び渋谷陽一が現れ、「彼らはこのためだけに来日した。イギリスではメディアで大絶賛の新人で、そこら中で引っ張りだこ。そんな彼らに対して暖かい拍手で迎えてあげてください」という、とても日本一売れている音楽雑誌社の社長の発言とは思えないような言葉を耳にして、絶句。しらけることが判ってるなら、何で呼ぶの? 前日のジョンスペだって、散々だったっていう話じゃないか!? そんなくらいなら呼ぶなよ‥‥マジで怒りを覚えた。

  そして、ステージにメンバーが現れる。バンドメンバー3人と、サポートのキーボードひとりの計4人。ボーカルの声の線が細く、それでいてかなり高音。最近、この手のボーカル、多いよな‥‥マニックス云々ってポップをレコード屋で目にしたが、単にプロデューサーが一緒、3人編成って位しか共通項は見受けられない。悪くはないけど‥‥はっきり言って、こんなんじゃアルバム2~3枚で消えるな、そう感じた。よくいる「今年のブライテスト・ホープ」ってやつだろう。しかしここ数年、この手のバンドがどれだけ生き残ってる? MUSEのような力強さ(音楽的にではなく、バンドとしての)を感じさせることもなく、個性のようなものも感じることができなかった。周りが完全に無関心を決め込んでいるという環境も災いしているのだろう‥‥正直、個人的には何の接点も感じられなかったし、今後も必要ないだろうと思った。好きな人には申し訳ないが、こういうバンドばっかりだから、英国ギターロックシーンに面白味を感じられなくなったんだろうなぁ‥‥と何となくそんなことまで考えてしまった。

  それにしても、お客の寒いこと、寒いこと。曲中は完全に棒立ち、曲が終わるとお情け程度の拍手ときたもんだ。曲間、シーンとしてたもんなぁ‥‥声援もなければ、キャーって声もなし。本当、この日一番の静寂を感じたよ。


01. OCTOBER SWIMMER
02. LONG WAY SOUTH
03. SURRENDER
04. FORMULAE
05. SNOW
06. ALGERIA
07. DESERTION (ACOUSTIC VER.)
08. WILLOW
09. OXYGEN
10. BUMBLE BEE


◎BOOM BOOM SATELLITES (at LAKE STAGE)

  今年のフジロック前夜祭にシークレットゲストとして出演し、俺を失望のどん底に陥れたブンブン。そういう噂は耳にしていたが、まさか本当だったとは‥‥行けたのに、前夜祭‥‥ガッカリ。そんななので、やっぱり今日は観ておこうということに。素晴らしいアルバム後のライヴだけに、やっぱりタイミング的にはいいんじゃないかなぁ‥‥

  驚いたことに、彼らのライヴはアルバム以上にロック然としていたこと。つうか、ありゃ完全にロックバンドだよ。下手すりゃヘヴィ系と言われても違和感ないもん。ダンサブルなロックバンドがテクノロジーを導入しました、しかもそれが機能的に上手くいってます‥‥そういうイメージのライヴだった。勿論アルバムからも、そういうロックアプローチを存分に味わうことができたが、こりゃライヴの方が数段素晴らしい。ドラムが素晴らしかったね、特に。ある意味、フュージョン的とも言えなくはないが、それよりはロックだね、ライヴ。

  タテノリもあれば、腰にググッとくるリズムもある。曲間も上手く繋ぎ、間を空かせることがない(この辺がDJ感覚っていうか、ダンスバンドなんだなぁと実感させた瞬間だった)‥‥聴き手を全く飽きさせない。特にキーボード/コンピューター/ベースの中野がよかったなぁ。コンピューターいじってる最中、曲の途中でいきなり前に出てきて踊って暴れて客を煽るし(笑)。何で彼らが海外でウケたのか‥‥その理由が何となく見えた一時だった。薄暗いクラブで踊るのもいいけど、夕焼けバックに野外でこの手の音楽で踊るのも、また気持ちいいね♪


01. SHINKYOKU(新曲)
02. SOLILOQUY
03. DIG THE NEW BREED
04. SINKER
05. PUSH EJECT
06. SCATTERING MONKEY


◎MR.CHILDREN (at GRASS STAGE)

  さぁ、ミスチルですよ、奥さん!(笑)ミスチルがフェスに出演する‥‥それだけで俺はこのRIJF行きを決めたようなもんなんだから‥‥5月中旬の発表後、すぐに振込したもんなぁ(笑)。そのくらい、俺はミスチルがフェスに出演することを熱望していたし、ぴったりだと思っていた。どうせならフジロックに‥‥とも思ったが、まぁそれは現実問題として難しいだろう。エゾロック(RISING SUN ROCK FESTIVAL)だったらまだなきにしもあらずだが。珍しく今年の夏、ミスチルは夏のスタジアム(野外)ツアーを決行している。その一環としての出演ということになるのだが、果たしてセットリストはどういうものになるのだろうか? 先日発売されたばかりの2枚のベスト盤を中心としたものになるのだろうか、それとも「rockin'on」リスナーを意識した「ロック然」としたものになるのか‥‥どっちにしろ「ミスチルなんかロックじゃねぇ」とのさばる輩を黙らせなくてはならない、そう、今日の彼らにはそうした命題が課せられていたのだった。

  予定のスタート時間を30分遅れ(19時スタート予定だったが、実際にはこの日、セッティング等で徐々に徐々にと遅れていき、結果30分押しとなってしまった)、照明が消える。大歓声‥‥真ん中よりはかなり前の方に陣取っていたのだが、後ろを振り返ると‥‥人の海。前の週に苗場で体験したOASISを彷彿とさせる、そんな人混みだった。そして例の如く、後ろから押され、どさくさ紛れにけっこう前の方まで流れていった。メンバーの顔を目視できるポジション。こんな位置で彼らを観るの、どれくらい振りだろうか?
  暗転した場内に流れ始めたのは、アルバム「深海」のオープニングを飾るSE"Dive"‥‥おいおい、ま、まさか‥‥「あれ」をやるのか???

  メンバーがひとり、またひとりとステージ上に登場。最後に赤いTシャツに黒い皮パンツを履いた桜井が登場する。風貌的には半年前にさいたまスーパーアリーナで観たときと余り変わらない姿で(髪の長さも前と同じくらいかな)、見た目かなり気合い入ってるように感じられる。アコースティックギターを受け取り‥‥ということは、やっぱり「あれ」から始めるのかよ、おい‥‥!!!

  桜井がコードを弾く‥‥やはり、1曲目は「深海」から"シーラカンス"だ。すっげ‥‥鳥肌立ったよ。封印したとは言ってないが、明らかに演奏することを拒んでいたように思える「深海」からの曲をオープニングに、しかも「rockin'on」相手にぶつけてくるとは‥‥この男の決意みたいなもんを「これでもか!?」って位に感じた。4年半振りに演奏されるこの曲だが、前のような悲壮感や疲れは感じることはなく、むしろ力強さを更に感じる歌声だった。何度でも言うが、復活後の彼ら‥‥特に桜井は本当に調子がいいようで、この日の歌も最後まで完璧に近かった。後半のPINK FLOYD「吹けよ風、呼べよ嵐」的パート(笑)での川口氏のスライドプレイも4年半前以上にググッときたし‥‥ってここで書いておくが、サポート陣も半年前と全く同じ。つまり「DISCOVERY」ツアー以降の固定メンバーということになる。バンドとしてもかなり脂の乗りきった、安定感ある的確なプレイを聴かせてくれた。

  アルバム通りに"手紙"へと流れる。ピアノと桜井の歌だけという小バラード、既に数万人のオーディエンスの心を完全に鷲掴みしたようだ。つうか、本当に前みたいに痛々しさを感じさせない、聴いててググッとくるよなぁ、今日の「深海」楽曲群は。

  更にもう1曲「深海」から、シングルカットもされた"マシンガンをぶっ放せ"で、観客を煽る。と、ここまでベスト盤の楽曲は1曲もプレイされていない(笑)。完全に「rockin'on」相手の選曲ってことになるのだろうか?(後に判明したが、今回の野外ツアーでもこれらの「深海」メドレーはプレイされているそうだが、決してオープニングからというわけではない。これからスタートするってのは、やはり相手になめられたくないという気持ちが働いたのだろう)

  続いて、テクノ的4つ打ちサウンドが聞こえてきた。一瞬、新曲か?とも思ったが‥‥そこに桜井が歌を乗せる‥‥"ニシエヒガシエ"のニューアレンジだ。ワンコーラスそれで唄い切った後、バンドが加わりいつも通りのアレンジに戻る。最初はアコギを持っていたものの、バンドが加わってからはギターを置き、右へ左へといつものように動き回り、客を煽り、そしてセクシーなポーズ(笑)で女性達を悩殺する。きっと、ミスチルを"innocent world"や"シーソーゲーム"なんかのイメージで捉えていた人達にとって、まさかミスチルがこんなにも攻撃的なライヴをやるなんて思ってもみなかっただろう。ファンにしてみれば、これはいつも通りのことなのだが‥‥がしかし、今日の桜井はいつもとちょっとだけ違う。そう、笑顔が一度もないのだ。気負い過ぎだよ、って思えるくらいに今日の彼は熱い。考えてみれば、直前まで尊敬する奥田民生が演奏しているのだ。しかも彼らは、それをずっと袖から観ていたと聞く‥‥そりゃ負けられないよな。俺でもきっと、そうすると思うし。

  再びテクノチックなシーケンス音に導かれ、新たなアレンジの"光の射す方へ"を披露する。この曲でもワンコーラス終わった時点でバンドが加わり、いつも通りのアレンジへと戻っていく。考えてみれば、ここまでの5曲、まぁシングル曲が内3曲とはいえ‥‥「みんなが望むミスチル」をまだ演じていないんだよなぁ‥‥つまり、初期の"innocent~"や"抱きしめたい"といった、ベスト盤でいえば「肉(通称)」の方の曲をまだ1曲も披露してないのだ。しかし、それでも多くのオーディエンス‥‥ミスチル目当て以外の人達も含めて‥‥を惹きつけている。小川くんが後に「メガヒットバンドの恐ろしさを目の当たりにした」と語っていた通り、これが百戦錬磨、常に数万人ものオーディエンスを相手に戦ってきた、そしてチャート上では常に上位入り、ミリオンヒットを当たり前とされてきたバンドの「凄み」なのだ。まさかこういう時に、彼らが本領を発揮するとは思ってもみなかった。善戦するだろうとは思っていたが、ここまでやるとは‥‥ファンながら、あっぱれあっぱれと思ったよ。

  そして、遂にここで、あのピアノのメロディーが‥‥ここにきてようやく、メガヒット曲"Tomorrow never knows"が登場! 大歓声というよりも「オオォ~」っていう、低音に近い驚きの声がそこら中から上がる。相変わらずうざったい手拍子があったが、桜井が唄い出すとその手拍子もいつの間にかなくなり、みんな歌に聴き入ってしまっていた。そして‥‥気づくとそれが大合唱に変わっている。サビの「Wow~wow♪」では老若男女、誰彼問わずにみんなが唄う。これはある意味、OASISと同等の凄さを感じた。「俺は唄ってない!」と否定する人もいるだろう。しかし、そんなのがごく僅かだということは、あの日あの場所にいた何万もの(3万5千人と聞いているが‥‥)ミスチルに惹きつけられたオーディエンスが証明してくれるだろう。当日購入した公式パンフレットにも「OASISに対抗できるバンド、日本にはもはやミスチルしかいないのではないだろうか?」なんてことが書かれていたが、それは全面的に同意する。あれだけのメガヒット、そしてライヴをやれば動員数は常に下がることはなく、そして売れているからこそ貶す「自称・ロックファン」も多い。昔の方がよかったと嘆く「元・ファン」も数多く、そしてなんだかんだ言いながら多くの人間が代表曲を口ずさめる‥‥そんな「ロックバンド」は、俺が知る限りでは数少ない。少なくとも、ここ日本には‥‥どれだけいる? それを否定するのは誰にでもできる。しかし、何故彼らがロックなのか、何故彼らがこれだけ受け入れられるのかを真剣に考えたことがあるのだろうか? 口当たりのいい曲をシングルに持ってきてるから? そんなの、当たり前だろう。その為の「シングル」でしょ? アルバム聴けって、アルバム。「DISCOVERY」や「Q」を越えるアルバム、どれだけあるのさ!?

  さすがにね、俺‥‥この曲の時にマジ泣きしてしまった。どうしてもこの曲だけは、俺の涙腺を弱めるだけの何かを持っているようで‥‥まぁいろいろあったからなぁ、この数年。この曲にも助けられたし‥‥そんなことを考えながら、声を振り絞って一緒に唄う。俺の周りにいた、AIR JAM系のTシャツを着た少年達も口ずさんでたっけ。

  それにしても‥‥前回のツアーの時に感じられた「違和感」を、今日は全く感じられなかった。メンバー自身が楽しんでいるのが判ったし(そこに笑顔はなかったが)、惹きつけてやろうって意気込みも感じられた。そう考えると、前回の「温度差」ってのは、やはりそれだけ新作「Q」に対する自信の表れだったのかもしれない。「何でもっとみんな、新しい曲を求めてくれないんだよ!?こんなに素晴らしい曲ばかりなのに」っていう。それが受け手と送り手との間で空回りしてしまっていた。しかも会場は3万人前後も入るような、当時のツアーで最大のキャパシティー。上手く伝達していなかった‥‥今ならそう考えることができる。

  バンドは続けて、今月末に発表される新曲のカップリングとなる、"花-Memento-Mori-"のニューアレンジ・バージョンを披露した。原曲ではアコギだった桜井がエレキを持ち(しかも珍しくストラトだ)、代わりに川口氏がアコギにスイッチ。アレンジ的には'80年代前半の産業ハードロック・バラード的になっており、FORIGNER "Waiting For A Girl Like You"やJOURNEY "Who's Crying Now?"を彷彿とさせるピアノメインのアレンジに変わっていた。そしてサビになるとギターのパワーコードが入るという、ハードロックにありがちなバージョンだった。前のシンプルで、歌を伝えるのに十分な演奏とは違い、ここには単純に歌が持つ力強さをより強調したようなパワーを感じる。個人的な好みで言わせてもらえば‥‥やはりずっと親しんできたということもあって、どうしても新アレンジには馴染めなかった。まぁもうじきシングルもリリースされるので、それを聴き込んだ上で改めて発言することとしよう。けれど、オーディエンスにはこの大ヒット曲も好意的に受け入れられ、最後のサビではみんな大合唱となっていた。

  ここで初めて桜井がMCを取る。「できたばかりの新曲を演奏します」という言葉に続いて、いよいよ1年振りに発表される新曲"優しい歌"が披露される。浦氏のアコーディオンに続いてバンド全体の演奏に入る。曲調としては"名もなき詩"や"旅人"タイプといえる。タイトルとは裏腹に、歌詞には「甘えていた鏡の中の男に復讐を誓う」なんて尖った言葉もたびたび登場する。内容についての俺の解釈はまた後程、シングルレビューでやるのでここでは控えるが、これはある意味画期的な内容となっている。完全に「ああ、ベスト盤で一区切りつけたんだな。「Q」ってアルバムはそれだけメンバーにとっても重要な作品だったんだな」ってことを意識させる内容となっているからだ。

  桜井が途中、何度か袖の方に確認の合図を取っているように見えた‥‥残り時間の確認だろうか? 当初19時スタート予定だったことから、この日の彼らには90分近い演奏時間が与えられていたはずだ。しかし、実際には30分遅れでスタート。どう考えても、60分で終了せねばなるまい‥‥ということは‥‥時計に目をやる。現在スタートして約40分。どうやらこの曲で終了するようだ‥‥短い、短すぎる! これだけ素晴らしい楽曲と素晴らしい演奏を前にして、もう帰れっていうのか!? ソープに行って前戯だけ散々やって、いざ本番って時に「延長なしよ。もう終わり」と宣言されたようなもんだ、こりゃ!(笑/って行ったこと、ないですけどね、俺)桜井の「バイバァ~イ!」も今日だけは空しすぎる‥‥そりゃ、アンコールを求める声もいつも以上に大きくなるわな?

  暫くして、再び照明が明るくなる‥‥おおっ、さすがトリだ。ちゃんとアンコールが用意されているんじゃないか。さすがに桜井もこのときだけはホッとしたような笑顔。「今日出演した全バンドを代表して言わせてください。今日は本当にどうもありがとう!」ステージで微笑んでいるその男が桜井和寿だと確認できるような位置でミスチルを観ること自体久し振りだが、こんなにピュアなMCをかます桜井も随分久し振りじゃないかな?(いや、そうでもないか/苦笑)

  「月がキレイだね‥‥」と言って、ステージとは反対側にある月を指さす。みんな振り返る。本当に綺麗だ‥‥こんなに月を大きく感じたの、久しくないな。いや、こんなマジマジと月を見たのも随分なかった‥‥そして「次の曲は月とは前々関係ない曲なんですが‥‥」と言って桜井がギターをかき鳴らす‥‥アンコールとして選んだのは、復活後のミスチルにとってとても大切な曲と言える"終わりなき旅"だ。やはりここでも低音に近い「オオオォ~」っていう声が響く。どうやらこの曲で今日のフェス2日目を終えるようだ。この曲は今日を含めて3度ライヴで聴いているが、毎回違う表情を見せ、そして毎回ハズレがない。これだけ唄うことが難しい楽曲を、今日も桜井は全身の力を振り絞って唄う。そしてそれが痛い程に伝わってきて、また男泣き。ミスチルだけはひとりで観ようと決めていた。それは‥‥絶対に泣くから。ここ2回、確実に泣いてたからね、俺(苦笑)。だからひとりで行ってるんだよ、いつも。この曲、ここ数年の俺のテーマ曲みたいなもんだったから、尚更響く。30になっても、40になっても、壁にぶつかったら、俺はこの曲の歌詞を噛みしめて、再び前進しようと決めた。そしてこれを書いている今この瞬間も‥‥

  エンディングでは例の如く、ステージ上のメンバーが皆向かい合って一丸となり演奏する。ちょっとニール・ヤングみたいだ。そして演奏終了。この日一番の拍手が彼らに送られる。使命を果たした桜井に再び満面の笑みが戻った。「気を付けて帰ってね。バイバァ~イ!」と、いつもの桜井がそこにはいた。そのミスチルを、そして我々を祝福するかのように、花火が上がる。気づけば、今年初の花火だった。同じこの日、地元では花火大会だったが、俺にはこっちの方が似合ってる。今も、そしてこれからも‥‥

  結局、この日演奏された曲は全て今回のツアーで演奏されている楽曲群だが、それらを並び替えることによって、また厳選することによってここまで「rockin'on」リスナーをも圧倒することになるとは。いや、これは楽曲だけの力ではなく、バンドの気力がそれを上回ったということになるのだろう。久し振りにバンドの底力をまざまざと見せつけられた。圧巻。やっぱり桁違い。スケールが違うって。バカにする奴は死ぬまでそうやってればいい。桜井は自分達のことを「ポップをやっていく恐竜」と例えた。「恐竜」が何を意味するのか、ちょっとロックを好きな人間なら判るはずだ。彼らは選んだ、いや、決意したのだ。今後も「俺達はポップをやってくロックバンド」なんだってことを‥‥たった50分程度だったが、それを感じられただけでも、ひたちなかまで来た甲斐があったってもんだ。


01. Dive ~ シーラカンス
02. 手紙
03. マシンガンをぶっ放せ
04. ニシエヒガシエ
05. 光の射す方へ
06. Tomorrow never knows
07. 花 -Memento-Mori-(再録音バージョン)
08. 優しい歌(新曲)
  ---encore---
09. 終わりなき旅

2001年8月13日 (月)

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 3@苗場スキー場(2001年7月29日)

◎BRAHMAN (at GREEN STAGE / 11:00~11:40)

  3年振りの最新作「A FORLORN HOPE」を引っ提げてのフジロック、しかも今回はグリーンステージだ。お約束の沖縄チックなSEに乗せてメンバーが続々とステージに現れる。最新作同様、1曲目は「For One's Life」からスタート。徐々に盛り上がるタイプの曲だが、すでにイントロから最前ブロックの客はヒートアップ気味。演奏がガツンとくるパートに入ると、モッシュ&だいぶの嵐。3日通したトップバッターの中で、一番殺伐とした空気が流れる。

  この曲の時点で気づいたのが、ボーカルのTOSHI-LOWの状態が芳しくないという事実。明らかに上のキーの音程が取れていない。音程が取れていて外すのと、完全に見失って外すのとでは明らかに違う。結局、終始辛そうな状態で40分を乗り切るのだった。

  新作から立て続けに、アルバムの曲順通りに5曲披露した後に前作から「See Off」や「Answer For…」といった人気曲を挟むものの、従来の切れやしなやかさを上手く表現できずにいる、もどかしそうなTOSHI-LOWを観るにつれ、こちらまで痛々しい気持ちになり、聴いてるのがつらくなる。彼らの最大の魅力である、独特なメロディーが全く伝えられない状況。そしてそれが全く伝わってこない状況。正直、途中でグリーンステージを後にしようかとも考えたくらいだ。ラストの「Arrival Time」での悲痛な叫びも何だか尻切れトンボの如くフェードアウトしていく。

  これが事実、これが現実だ。はっきり言う。この日のBRAHMANは最低だった。これはメンバー自身、特にTOSHI-LOW本人も認めるところだろう。これで「最高だった」と言い切ってしまうようだったら、いっそのこと解散してしまった方がいい。そのくらい、プロとしてはレベルの低いモノを、よりによってフジロックの大舞台で見せてしまったという失態。今後の彼らがこの現実とどう向き合っていくのか、そしてそれをあの場にいたファンがどう捉えるのか、非常に興味深い。最低なものは最低だったと言える勇気、そして正直さ。ファンならこれだけは決して忘れないでほしい。「やっぱサイコー」とかいう馴れ合いが、バンドを潰してしまうことだってあるのだから。


◎JOUJOUKA (at WHITE STAGE / 12:40~13:20)

  トランス系テクノのアーティストだという事しか知らなかった。一昨年、そして昨年もフジに出演してるそうだが、一昨年、観なかったなぁ。DJ Tsuyoshiが中心となっているユニットだが、ライブではどういう感じになるのか。

  ホワイトに着いた時点で、すでにステージは始まっていて、遠くからそのトランシーな音は聞こえてきていた。気持ち良さそう、それが第一印象。ようやくステージが見える位置までたどり着く。メンバー構成はDJ陣が2名、ギタリストがひとり、そして時々引っ込むベースがひとりの計4人編成。ギターは常時ステージ上で煽りまくっているので、どうやらベーシストはゲスト出演のようだ。基本的にはDJ陣がプレイするトランシーなサウンドの上に生楽器を重ねて、普通のトランステクノとしては終わらせない、魅せる要素も兼ね備えている。生楽器を被せるのは、どうやらDJ Tsuyoshiの信条らしく、とにかくギターのザクザクしたリフが気持ちよく、またベースもスラップまではいかないけど、バキバキしたサウンドでこれまた気持ちいい。ちょっと聴いた感じでは、UNDERWORLDにも通ずるロック感を見出すことができる。でも、歌がないぶん、こっちの方がよりダンスに徹することができる気もする。

  最初、軽い気持ちで観るはずが、結局終始気持ちよさげに踊り狂ってしまった。3日間の疲労が相当足にきてるにも関わらず、アホみたいに踊る俺を見て、友人に心配される始末。結局踊ってるうちに調子が戻ってきて、疲れなんて吹っ飛んでしまった。

  最後にはホワイトステージの総合MCであるブライアン・バートン・ルイスがボーカル&MCとして、即興で歌う。やっぱり歌が入ったほうが、それなりに盛り上がるけど、個人的には最後のは蛇足って気もしないでもない。このユニットは2人のDJ陣のプレイと、そこに被さるギター(時にベース)、そこから生み出されるトランシーで腰にクるテクノサウンド、それだけで十分だ。


◎SION (at FIELD OF HEAVEN / 13:20~14:20)

  SIONは、俺が知ってるあの頃のSIONのままだった。選曲的には、きっと先頃リリースされた最新作が中心になってるんだろうけど、俺の心臓が鷲掴みされたのは、名曲「Sorry Baby」。酔っていたせいもあるだろうけど、炎天下の中、ただステージ一点を見つめる俺。言葉のひとつひとつを噛みしめながら、一緒に歌う。このフジロックってフェスは、自分の現在・過去・未来を見つめ直すイベントなのか?って思えるくらいに、心にズシンとくる瞬間が非常に多かった。特に今回、30を目前としていただけに、そういう過去の想い出が走馬燈のように蘇ることが多かった。音楽で振り返る30年……人に自慢できるような大したモノじゃないけど、俺にとってはかけがえのない大切なもの。改めて音楽っていいな、歌っていいなと思った瞬間だった。

  気づけばラストの頃は前まで行って一緒に歌ってたっけ。よく知りもしない歌に合わせて。それだけのパワーを持っているのが音楽であって、歌である。きっと帰宅後もSIONの音楽に再び触れる機会はないのかもしれないが、それでも今この一瞬を大切にしたい。そう思って、力一杯踊った。このSIONのステージは、ちょっと俺の中では大切なものとなりそうだ。


◎SYSTEM OF A DOWN (at GREEN STAGE / 17:10~18:10)

  正直に言う。FOHのムーンライダーズを観るために、冒頭の数曲のみで移動してしまった。あとになって「なんで最後まで観なかったんだよ!」っていまだに後悔しているアクトのひとつ。

  今でもよく覚えているのは、始まる直前の場の異様な空気。あの瞬間の「別に人がそこまでパンパンではないんだけど、なぜか急に暴動が起こるんじゃないか?」と勘違いしてしまいそうなヒリヒリした空気だけは忘れられない。そしてステージに出てきた4人。すでに2人は半裸の状態だ。ダロンがギターを爪弾きながら、「ドラッグで病んでる?」「ドラッグやってる?」的変な日本語を交えつつ歌い、サージはそこにハーモニーを重ねていく。そこから「War?」へとなだれ込み一気に激しさを増す。すでに最前ブロックの盛り上がりは手に負えない状況だ。そこから数曲知らない曲が続くが、今思えばこの中には「TOXICITY」の1曲目「Prison Song」も含まれていた。イントロが異常にカッコよかったことだけは覚えており、のちにアルバムを聴いた瞬間に「あ、あの曲!」とすぐに気づいた……が、結局ノリきれずに途中で退散したのだった。


◎ムーンライダーズ (at FIELD OF HEAVEN / 17:20~18:30)

  この方々も活動歴が長い割に、実はちゃんと聴いてこなかったバンドのひとつ。とにかく、実験的要素満載にして極上のポップ。終始あっけに取られっぱなし。白井氏のギターは相変わらず変だし(ギターのブリッジ周辺にサンプラーをそのまま打ち付けてるし、しかもストラップの前後にギターのネックとボディーがそのままくくり付けてあるし)、鈴木慶一氏は終始クール。曲によってメインボーカルが変わるのだけど、基本的には慶一氏。あれは作曲者がリードを取るのだろうか。逆にキーボードとドラムの方々はコーラスに加わったり加わらなかったりで、演奏に徹していただけ。そこが職人っぽくて素敵だったけど。

  ちょっとトッド・ラングレンを彷彿とさせるくらい、楽曲のバラエティーが多彩で、なおかつそれらがすべてポップなのがすごい。コアなファンが多かったのか、周りの年齢層はやけに高かった。フジにも親子連れが多くなったようだね。最前列には初老の夫婦に小学生くらいの子供という親子がいたけど、前に押されることもなく、気持ちよさげにステージを楽しんでいたのが印象的だった。そうそう、3日目になってようやく、名物のトンボを多く見かけるようになった。マイクに止まったトンボを捕まえて、空に逃がす白井氏の姿も印象的だった。普段、進んで聴くことのないタイプの音楽だが、こういう場でならすんなりと聴けてしまう。しかもストーンと心の中に先入観なく入ってくるんだから、不思議だ。


◎TOOL (at GREEN STAGE / 19:10~20:30)

  一種異様ともいえる不穏な空気が流れる暗闇の中、照明やぐらの右隣に陣取りスタートするまで座って待つ。モッシュピットはすでに満員御礼、直前に演奏したSYSTEM OF A DOWNの熱気も冷めやらぬ状態で、みんな今にも暴れ出しそうな勢いだ。

  待望の初来日。俺は常々言ってきた。1998年の豊洲にKORNが初上陸した後、1999年にブレイク後の勢いのままLIMP BIZKITが苗場の地を踏んだ後。決まって「次はTOOLだな」と。もうTOOLしかないだろう、オーディエンスの度肝を抜かす存在は。その願いがいよいよ叶うときが来たのだ。しかも約5年振りの、全米ナンバー1アルバムを引っ提げて。

  ステージにメンバーが現れた。左にギターのアダム、右にベースのジャスティン……多分ね。照明がほとんど当たらない、非常に暗い状態の中で終始彼らはプレイしていたのだ。そして後方右側に、ドラムのダニーが陣取り、その左側には大型スクリーンとお立ち台のような一段高くなった舞台が‥‥そこに人影のようなものが常に動いている。そうこうしてるうちに、あのミステリアスなイントロが聞こえてくる。「The Grudge」だ。スクリーンには新作ジャケットをモチーフにした映像が終始流れている。歌がうっすらと聞こえてくる。しかしPAの調子が悪いのか、いまいち聞き取り難い。そして明るくなったスクリーンの前には、明らかに人影が。そう、そのお立ち台で怪しいダンスをしているのが、ボーカルのメイナードなのだ。ほとんど全裸に近い状態(パンツ一丁で、全身青塗り)で曲の起伏に合わせてユラユラと踊る、殆ど姿や表情は確認できないが明らかに存在感、カリスマ的オーラを感じることができる。

  噂には聞いていたが、これは衝撃的だ。流される映像も曲をイメージさせるというよりも、エログロに近いもので、PVが存在するシングル曲に関してはそれをモチーフにして再編集されているようだった。登場した時点で湧いていたモッシュピットも、気づけばみんな棒立ちでステージを見つめる者が続出。ノれないのではない、動けないのだ、この音とこの映像とあのバンドから発せられるオーラを前にしたら。背筋がゾッとしたのは、何も気温のせいではない。こんばバンド、今まで見たことがない。何なんだよ、こいつら。

  続く2曲目は、前作のトップナンバー「Stinkfist」の登場だ。さすがにオーディエンスがさっき以上の歓声で応える。しかし、それも最初だけ。曲が進むにつれて、やはり身動きがとれなくなってしまう。衝撃的なんて言葉、簡単には使いたくなかったのだが、それ以上もそれ以下でもない、本当の衝撃なのだ。こんなもん、見たことないんだから他の何ものとも比べようがない。唯一、映像を駆使するという点では、NINE INCH NAILSと比較することができるのかもしれないが、あれとはまったくの別物だ。

  それにしても、3曲目までボーカルが聞き取りにくかったなぁ。新作からの「Schism」あたりから、ようやくボーカルもクリアに聞こえるようになった。演奏に関しては、もう完璧すぎて何も言うことなし。確かにミスする場面もあったものの、そんなことが気にならないほど、アルバムと寸分違わぬ緻密で計算され尽くされた演奏を披露する。さらに、そこに乗るメイナードのボーカルも、時に力強く、時に潤いを感じさせる。決して「暗黒大将軍」ってわけではなく、あのボーカルとあの演奏が融合するからこそ生まれる浮遊感、それがさらにこの苗場という環境にマッチしていた。ギターのザクザク感はヘヴィロックのそれに近いのだが、パーカッシヴなドラム、時にリード楽器にもなりうるベース。4人それぞれの自己主張がぶつかり合いながらも、互いの持ち味を引き出そうと機能している。計算なのか、単なる偶発的事故なのか。終始握りしめていた拳に、ジワリと嫌な汗をかく。

  終盤はファーストからの「Sober」やセカンドの「Aenema」を交えながら、新作からのムーディで濃い楽曲群を我々に叩きつける。途中、メイナードが曲間に何かしゃべった。一瞬の出来事で聞き逃しそうだった。英語だと思ったのだが、二度目にようやく聞き取れ、理解できた。


「ポジティヴなものを生み出す、その気持ちを忘れるな。」


こんなことを第一声で発した来日アーティスト、これまでいただろうか? この一言にメイナードの、TOOLというバンドの揺るぎない姿勢を垣間見た気がした。「ニホンノミナサン、コンニチワ」でもなければ「アナタワ、ウツクシイ」でもない。「ココニコレテ、トテモウレシイ」といった社交辞令の挨拶ではない。オーディエンスとバンドの間に明確な信頼関係が、この一言で生まれたと思う。

  難解且つホラー映画と言っても過言ではない映像と、ステージ上が薄暗くてほとんど表情を伺うことができないバンドの演奏から、言い表しようのない威圧感が終始あったが、このメイナードの一言は、そしてそれを日本語で発したという事実は、そういう他の表現要素よりも深く、俺の心の中にえぐり込まれた。一生忘れない、忘れられない初来日公演となりそうだ。


01. The Grudge
02. Stinkfist
03. 46 & 2
04. Schism
05. Disposition
06. Reflection
07. Sober
08. Parabola
09. Aenema
10. Lateralus


◎EMINEM featuring D12 (at GREEN STAGE / 21:30~23:00)

  例の前妻に対する暴力沙汰の裁判、来日直前に審判が下り、その結果外国へも行くことができるようになったEMINEM。オーストラリアを回った後の来日ということもあり、きっと調子も昇り調子のはずだ。一体どんなステージを見せてくれるのだろう。TOOL同様、まったく予想がつかない展開になりそうだ。

  21時半を回った頃に、ステージ上手にDJらしき人物が現れるも、そのままの状態が10分程続く。すると急にステージが暗くなり、スクリーンに何か映像が流れ始める。ドキュメンタリー形式のドラマみたいだ。どうやらハンディーカメラを持って、EMINEM宅へ忍び込む青年2人組の話のようだ。カメラを持ったひとりが、もう一方にインタビュー形式で話しかける。あれっ、どこかで観た光景……次の場面で、EMINEM宅らしき家に忍び込んだ2人。ひとりが地下の方へと向かう。カメラを持ったもう一方が壁を映す。そこには「MY NAME IS...」「SLIM SHADY」「MARSHALL MATHERS」等といった文字がずらずらと書き殴られていた。あぁ、なるほど。先頃公開された2作目がコケた、例の低予算ホラー映画のパロディーなわけね。すると、例のごとく地下室から悲鳴が……カメラは走りながら地下室へと近づく。悲鳴を上げた若者をカメラが捕らえた瞬間、目の前にはチェーンソーを持ったジェイソン・マスクの男が……。

  フィルムがそこで終わると、ステージ上からチェーンソーの音が。ステージ上手からフィルム同様のジェイソン・マスクの男がチェーンソーを持って現れる。どこからどう観てもEMINEMだ。こりゃ面白い。ここまで馬鹿馬鹿しくやってくれると、逆に気持ちいい。

  ヒップホップ系のステージっていうと、個人的には昔観たRUN DMC初来日のイメージがあったので、どうしても中弛みしそうな感じがあったのだが、ことEMINEMに関してはそんな心配皆無だった。まず曲がポップだし、オーディエンスに対してコール&レスポンスを求め、一体感を大事にしている。確かにMCがネイティヴ・イングリッシュ(しかもバリバリのスラング入り)だったため、何度か理解に苦しむ場面に遭遇したが、それを補うだけのエンタテインメントが満載だった。

  曲毎に現れるD12の面々や、同じグリーンステージに登場したXZIBITのメンバー。日本酒やエクスタシーを持ってきたり、「PURPLE RAIN」で踊るエクスタシー錠剤の着ぐるみ(背中に「E」の文字が)、中盤再びスクリーンに映し出されたアニメ「THE SLIM SHADY SHOW」、「日本のオーディエンスに『俺の名前は何?(MY NAME IS)』か言わせるんだ」とEMINEMがDJに言うと、わざとヒット曲「My Name Is…」のイントロを流す等の寸劇、そしてパイロ。これだけ馬鹿馬鹿しい要素を含んだショー、今まで観たことないわ。ある意味、俺の中では「ZOO TV」ツアーでのU2を超えたんじゃないかな。

  そして、笑いだけではない。ちゃんとオーディエンスに合いの手を求めたり、一緒に歌ってくれといって流れ出す「Stan」のあのフレーズ。どれを取っても笑顔と感動の瞬間だった。これはもう、言葉で言い表すよりも一度は観てほしい。終始笑いっぱなしで、90分が短いと感じるほど充実した内容だった。

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