2001/12/08

エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX(2001年11月21日)

  エレカシが、宮本がスランプに陥っていると聞く。どうやらこの秋に発表予定だった新作アルバムも現時点では完成に至らず、毎年恒例の正月武道館公演も来年はないという。アルバムも早くて春とのこと、今回の秋ツアーが終わった後も再びニューヨークに戻り、プロデューサー小林武史氏と共にスタジオ入りするという。久々の傑作と呼ぶに相応しかった「GOOD MORNING」を通過し、何故宮本は混迷の時期へと突入してしまったのだろうか?

  その原因のひとつは、間違いなくプロデューサーの選択ミスだろう。シングル"孤独な太陽"はまだアルバムとか考えていない時期に完成したであろう曲(2000年秋のツアーでは既にライヴで披露されていた)だし、むしろ問題と言えるのはこの春のツアーで初披露された"暑中見舞 -憂鬱な午後-"からだろう。ライヴでは、初期の疾走感と最近のポップ/メロウ感覚を融合させた、今のエレカシにしか作り得ない楽曲だったのに、7月にリリースされた小林プロデュースのシングル‥‥恐らくエレカシ史上最悪のアレンジ/プロデュースなのではないだろうか? これまでのような佐久間正英や根岸孝旨といった「バンドに好き放題やらせ、そこからいいものをピックアップしていく」ようなタイプではなく、「小林サウンド/ブランド」といえる個性を持った人間との融合は、エレカシにとって(これまでのところ)マイナスイメージしか生み出していないように感じる。本当にこれでいいのか、これで合っているのか? そういった苦悩が今の宮本にはあるのかもしれない。

  本来なら今回の秋ツアーも、既にリリースされているはずだった新作アルバム(あるいはシングル)をサポートするツアーとなるはずだった。が、結果はご存じの通り。新曲は1曲も披露されることなく、その演奏曲目からいっても「GOOD MORNING」ツアーと呼んでも差し支えない内容/演奏だった。当然、本日でエレカシ体験5回目(内4回がこの1年以内/驚)の俺にとっては、初めてライヴで聴く初期~中期曲が多かったことは収穫だが、残念ながら今回の内容では今後彼らが進んでいくであろう方向性は全く見えなかった。いや、もしかしたら今回の選曲‥‥敢えて前作「GOOD MORNING」からほぼ全曲を演奏したという事実が、来るべき新作への糸口となっているのかもしれない。まぁあのシングル1曲(「孤独な太陽」の2曲は別として考える)では、今後の方向は見えないしな?

  当日はCS放送で生中継するということもあり、かなり熱の入った演奏/歌を聴かせてくれた。特に宮本の喉の調子がかなり良さそうで、これまで観た中で一番迫力/説得力のある歌だった。MCも昨年千葉で観たあれは何だったのか?と思わせる程に少なく(笑)、少々ガッカリもしたりして。ただ、MCが少ない分演奏曲数が増えに増え、結果約2時間の間に22曲も演奏したのだから、これで満足しなかったら嘘になるだろう。

  "so many people"でいきなりスタートした時には鳥肌ものだったし、そのまま続く中期の隠れた名曲"うれしけりゃとんでゆけよ"、"赤い薔薇"といったライヴで初めて聴く曲に感動しつつ、1年振りの"風に吹かれて"は一緒に唄ってジーンとする俺。そのまま"ゴッドファーザー"~"情熱の揺れるまなざし"という「GOOD MORNING」からの6連発には正直立ち小便モノの緊張感を感じた。

  小休止ともいえるアコースティックコーナーでは、椅子に座った宮本がアコギ抱えて「東京の空」から"涙"を披露し、大拍手。夏の野音でもやったそうだが、初めて生で聴く俺にとっては感涙モノ。風邪気味だったので、涙の代わりに鼻水たらしておいたが(苦笑)。そのまま"孤独な太陽"へと続き、感動の中アコースティックコーナーは終了。

  ゼップ・ツアーでも披露された"かけだす男"からの3曲のアップテンポの並びはやはり最高。"デーデ"は今日で3回目だが、はやりこの曲を聴くと血管の血液が脳まで昇り吹き出しそうな程に興奮する。そして‥‥悲しいかな、やっぱりライヴでは名曲なんだよなぁ、"暑中見舞 -憂鬱な午後-"は‥‥聴く度に演奏やボーカルパフォーマンスに磨きがかかってくし。出来るならば、アルバムでは再録音して「今の」エレカシアレンジで収録して欲しいのだが‥‥まぁ小林だしな?(苦笑)

  そして本編ラスト2曲には、ファーストから"やさしさ"と"花男"という名セレクト。特に"やさしさ"の、強弱を強調した演奏・歌にはCD以上の緊張感と説得力を感じた。そして鳥肌‥‥逆境の中から光を見出そうとしてる彼らの底力みたいなものをそこから感じたのは、俺だけだったのだろうか? そして最後の"花男"の名セリフといえる「生きる屍さようなら」では、宮本もオーディエンスも手を振りかざす。まるで混迷の「今」とおさらばするかのように‥‥

  本編も濃かったが、アンコールも更に濃い。いきなり"ガストロンジャー"からスタートし(しかも過去聴いた中で最も攻撃的で、それでいて歌詞がハッキリと聞き取れた)、ここに持ってきたか?の超名曲"悲しみの果て"へと続き、1回目のアンコールが終わる。当然まだまだ続くだろうと、オーディエンスは拍手でメンバーの帰りを待つ。

  2度目のアンコールも意外な始まり方で、いつも本編ラストかアンコールラストというイメージのある"コール アンド レスポン"を持ってきて、我々を驚かせる。更に攻めの勢いのまま、ファーストアルバムの1曲目"ファイティングマン"へ。正直、今までずっとライヴで聴きたかった曲のひとつだったので、これだけでも大満足。が、ここで終わればいいものを、更にもう1曲"四月の風"でしめやかに終わらせる辺りに、実は今のエレカシの「混迷振り」が滲み出てるように思った‥‥のは俺だけ?(苦笑)あのまま爆発して終わらせれば、申し分のない500点満点のライヴだったんだけどな‥‥

  大興奮のままライヴは終了。が、オーディエンスの興奮は収まらず、更にアンコールを求める大きな拍手・手拍子が‥‥終演を告げるアナウンスの中、上半身裸の宮本が四度登場し、「ごめんなさん、もう演奏する曲がありません」と謝って、何故か吉田拓郎の"人間なんて"を唄いながらステージを後にする。いや、如何にもエレカシらしい、宮本らしい幕切れだった(笑)

  ツアーの度にまだタイトルも決まってない新曲を我々に披露してきたエレカシだが、レコーディングが全く進んでないどころか、新曲すら出来ていないのだろうか?(それとも披露するに到ってないレベルの曲ばかりなのだろうか)何にせよ、そういう点には不安は残ったものの、それとライヴの出来不出来はまた別。とにかくこれまで観たエレカシの中では過去最高の完成度と迫力だった。上で「"ファイティングマン"で爆発したまま終わっていれば申し分のない500点満点のライヴだった」と書いたが、それでも全部終わってみれば、それに限りなく近い点数をつけられる出来だったと思う。とにかく、こんなに晴れ晴れした気持ちでライヴ会場を後にするのは、そうはない事だ。9月のソウルフラワーもそういうライヴだったが、本当にエレカシといいソウルフラワーといい、精神性といい表現の仕方といい、滅茶苦茶素晴らしいライヴをやってくれる。

  さて‥‥この調子だと多分来年の春先まではライヴはお預けなのだろう。とにかく今は新しい音源だ。このまま小林武史と組んで作業を進めるのか、それともここで一旦関係を解消して、サポート的に過去の関係者(佐久間なり根岸なり)を呼んでセルフプロデュースになるのか‥‥全く予想がつかないが、とにかく次ステージに登場するときは、一点の曇りもない、馬鹿笑いと冷や汗を同居させた名曲と共に戻ってきて欲しいと切に願う。だってそれが出来る男だから、宮本浩次という人は。


[SETLIST]
01. so many people
02. うれしけりゃとんでゆけよ
03. 赤い薔薇
04. 風に吹かれて
05. ゴッドファーザー
06. 武蔵野
07. 精神暗黒街
08. 生存者は今日も笑う
09. I am happy
10. 情熱の揺れるまなざし
11. 涙
12. 孤独な太陽
13. かけだす男
14. デーデ
15. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
16. やさしさ
17. 花男
--アンコール--
18. ガストロンジャー
19. 悲しみの果て
--アンコール--
20. コール アンド レスポンス
21. ファイティングマン
22. 四月の風
(23. 人間なんて / 吉田拓郎)



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投稿: 2001 12 08 12:00 午前 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2001/10/14

SOUL FLOWER UNION@新宿リキッドルーム(2001年9月28日)

  自分にとって年に複数回ライヴに足を運ぶアーティストってのも、近年少なくなった。今だったら、海外のアーティストだと(日程が合えばだが)マニックスやWiLDHEARTSぐらいだろう。もっとも外タレの場合は2~3日連続公演が当たり前なので、なかなか会社を休んでまで数公演観るというのは辛いものがある。そこへくると、日本のアーティストは年間にツアーを数本行う事が当たり前のように行われているので、1本のツアーで1回しか観れなくても次のツアー、又は夏のフェスティバルで再び観れてしまうのだから、有り難いものだ。

  今年、自分にとって新たに「大切なバンド」がひとつ増えた。それがこのソウルフラワーだ。6月の頭脳警察イベントでの初体験、そして7月のフジロック。2回とも偶然とはいえ、こうやって観る機会を得ている。そしてその度に、言葉では表しきれない衝撃を受けた。今回足を運んだ単独ライヴはフジロックを観る前には既にチケットを取っていたが、やはり何度でも観たくなるにはそれなりに理由がある。

  ちょっと前までは、ライヴといえば「大騒ぎして、暴れられればいい」みたいな考えがあった。しかし、ここ数年の間に考え方が少し変わり、「踊れない(聴き手を踊らせようとしない)音楽には惹きつけられない」自分がいる。クラブ等に通うようになったり、下手なりにもDJなるものを経験するようになり、こういう考え方が改めて根付いたように思える。そしてそれを決定的なものにしたのが、SFUとの出逢いだった。CDという音源で聴く以上に、ライヴでの彼らは強烈且つ殺傷力を持ったバンド‥‥自分の価値観の中に、ここまで鮮烈な印象を与えたバンドはかつていただろうか? 今現在、自分にとって大切なバンドとして挙げているMR.CHILDRENやエレファントカシマシにはない魅力‥‥あるいは、それら2バンド以上に強烈な個性と言った 方がいいだろうか。3つのバンド全てに共通するのは、「歌」を大切にし、それを聴き手(観客)にちゃんと届けることができるパワーを持っている点。アリーナバンドと化してしまった今のミスチルに、SFUのような要素を求めるべくもなく、そしてエレカシやミスチルがSFUよりも劣っていると言いたいのではない。それぞれが強烈な個性と色を持った、ここ日本では唯一無比の存在。今年に入って複数回観ている3バンドに言えるのは、この一言に尽きる。

  4年振りに足を運んだリキッドルームは、あの頃と何も変わっていなかった。相変わらず長い階段が続き、登るだけで心臓がバクバクいう。昔はこれが嫌いだったが、今日だけは悪い気がしない。あの頃と同じように小汚く、あの頃と同じように狭く感じるフロア。そんな場内を俺はステージ向かって左側のバーカウンターから眺めていた。今日は最前列付近から外れて、全体を観てみたい‥‥数日前からそう考えていた。

  ライヴは圧巻の一言に尽きた。内容についてはもういいだろう‥‥って思える程に、熱くて濃い2時間半だった。前日に同会場でもう1公演やっていたが、そっちの方が緊張感があったそうだ。実際この日のメンバーはツアー最終日ということもあって、かなりリラックスした雰囲気で、MCも必要以上に笑いの要素が満載だった(いや、というよりもいつも通りなのかな/笑)。既に名作の仲間入りを果たした「SCREWBALL COMEDY」発表後のツアーということもあり、ほぼ全曲(全11曲中10曲を披露。この日演奏されなかった曲も前日には披露されたそうだ)をプレイし、残りは過去の代表曲‥‥と思ったら、大間違い。さすがはツアー最終日。遊び心満載の一夜だった。

  まず、この日は元メンバーの内海洋子と元HEATWAVEの山口洋が参加。要するに、夏のフェス/イベント出演時と同じメンツ。けど夏フェスと違う点は、全曲ずっと出ずっぱりではなく、曲によって出たり引っ込んだりを繰り返すのだ。

  そして、カヴァー曲の多さにも驚く。モノノケでは昭和初期の歌謡曲やら民謡のカヴァーをしているが、今回はニューエスト・モデル時代を彷彿とさせる選曲が続く。アイク&ティナ・ターナーの"RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH"(メスカリン・ドライヴ時代にカヴァーしている)やROLLING STONESの名曲"DEAD FLOWER"、SFU名義のファーストシングルのカップリング曲でもある"TELL MAMA"等。どれも内海の持ち味 を十分に引き出す選曲だった。特に"RIVER DEEP~"は圧巻で、内海の音圧のある歌声を聴いてジャニス・ジョプリンのカヴァーかと錯覚した程だ。

  またカヴァーという点では、山口洋が今回初めてSFU内でリードボーカルを取ったHEATWAVE時代の楽曲カヴァーが新鮮だった。この日初めて山口の歌を、HEATWAVEの楽曲を耳にしたわけだが、中川とは全く違う、非常に個性的で胸に響く歌声だった。何せ翌日にHEATWAVEのCDを取り寄せたくらいだから。更に"満月の夕"では、2コーラス目を山口がHEATWAVEバージョンの歌詞で唄った。

  もうひとつ、内海参加ということもあり、SFUのファースト「カムイイピリマ」から"霊柩車の窓から"が演奏された。考えてみれば、いつ初期の内海ボーカルの曲が登場してもおかしくはなかったのだが、さすがにこうやって何の遠慮もなく、いつものノリで演奏されると逆に驚いてしまう。初期の曲に今でも若干苦手意識があったが、この日は新たな魅力を発見したように思える。

  椅子に座ってステージ上を見渡し、そしてフロアのオーディエンスを見渡す。みんな笑顔で、気持ちよさそうに踊っているのが判る。自分もいつもこうなんだな‥‥なんて冷静には考えなかったが、そういう光景を見ているだけでこちらまで笑顔になってくる。そして気づけば椅子から離れ、いつもの調子で踊り、合いの手を入れていた。じっとしてろという方が無理なのだ。そう、最初から冷静に観るなんて無謀だったのだ。本編最後の"エエジャナイカ"~"海行かば 山行かば 踊るかばね"は、毎回お約束となりつつあるが、そんな事お構いなしに笑顔で唄い、踊った。ここ数週、日常に疲れ切っていた自分を、現実から切り離してくれた「音」‥‥そしてバンドのメンバー、オーディエンスの笑顔。いつ戦争が始まるか判らない不安定な時期ではあったが、それでもこの2時間半の間だけはずっと笑っていられた。やがて現実に引き戻される瞬間がやってこようとも、今だけは全てを忘れて踊ろうではないか。もしかしたら、明日は来ないかもしれない‥‥だから、悔いが残らないように笑顔で踊ろう。彼らの歌を口ずさみながら、何度か泣きそうになる瞬間があったが、周りの笑顔に包まれ何とか持ち堪えた。泣いちゃダメだ。顔を上げて、前を見て、笑顔で前進しなくちゃ‥‥

  実際に踊ったのはほんの数曲だったものの、それでも充実感でいっぱいだった。今日でツアーは一端終わり、11月には中川と山口の新しい期間限定バンド、ヤポネシアン・ボールズ・ファンデーションのツアーが、そして12月には内海のソロライヴと恒例「年末ソウルフラワー祭」がある。きっと都合をつけて行くんだろうな、年末ライヴに‥‥もう既に後戻りできない程のSFUジャンキーになってしまったようだから。


[SETLIST]
01. GO-GO フーテン・ガール
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. 殺人狂ルーレット
04. RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH (アイク&ティナ / VO:内海)
05. ダイナマイトのアドバルーン
06. オーマガトキ
07. 野づらは星あかり
08. 夏到来
09. DEAD FLOWER (ROLLING STONES / VO:内海)
10. トーキョー・シティ・ヒエラルキー (HEATWAVE / VO:山口)
11. キャラバンに恋唄
12. 満月の夕
13. 風の市
14. 霊柩車の窓から (VO:内海)
15. 荒れ地にて
16. アンチェインのテーマ
17. CRAZY LOVE
18. マージナル・サーフ
19. ガーディアンエンジェル (HEATWAVE / VO:山口)
20. エエジャナイカ
21. 海行かば 山行かば 踊るかばね
  ---encore---
22. NOと言える男
23. ホライズン・マーチ
  ---encore---
24. TELL MAMA (VO.内海)



▼SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』
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投稿: 2001 10 14 12:00 午前 [2001年のライブ, Soul Flower Union] | 固定リンク

2001/08/31

MR.CHILDREN : TOUR "POP SAURUS"@千葉マリンスタジアム(2001年8月25日)

  3週間前に観た「ROCK IN JAPAN FES.」での勇姿が忘れられず、断念していた今回のツアーを結局観ることにしてしまった‥‥ダメな俺(苦笑)。さぁ、30代突入後、最初のライヴだ‥‥最初のライヴがミスチルってのも、何か‥‥いや、いいんです。

  当日は16時開場、18時開演ということもあり、また家から電車で行くよりも車で行った方が時間的にも早いし気持ち的にも楽なので、12時過ぎに家を出て14時過ぎには幕張に到着していた。14時半には千葉マリンスタジアム前に到着し、とりあえず誘った友人と15時半にマリン前で待ち合わせしていたので、それまで会場周辺でボーッとすることにする。場内からはサウンドチェック&リハーサルの音が聞こえる‥‥あっ、"抱きしめたい"だ‥‥桜井、手を抜いて唄ってるなぁ、やっぱり(笑)。それを聴きながらパンフレット(今回は2種類あって、5000円の写真集+αと、3500円の写真+10年間総括個別インタビュー。当然3500円の方を購入)とツアーTシャツを購入。飲み物を片手にリハの音に耳を傾ける。"Dance Dance Dance"、"深海"、"Hallelujah"、"花"、"独り言"、そして"優しい歌"‥‥最後まで通しで演奏されたものもあれば、ワンコーラスのみ確認ってのもあった。笑ったのが、"Hallelujah"のエンディングのコーラス部(「ハッハレッハレッハレェ~ルゥ~♪」ってとこ)に乗せて"花"のサビ(「負けないようにぃ~枯れないようにぃ~♪」ってとこ)を唄う桜井。リハ特有の冗談なのだろうか?(笑/過去にも"Everything (It's you)"のサビでウルフルズ"バンザイ!"を唄った経験の持ち主だけに‥‥)

  そうこうしてたら、友人から着信が。久し振りの対面を果たし、そのまま幕張ショッピングモール街へと出向く。CD屋があったので、俺は地元で売ってない品物を手にし、その後軽く食事をする。再びマリンには17時過ぎに戻り、友人はビールを、運転して帰る俺はジュースを片手にしばし歓談。

  今回のステージセットは、「regress or progress」ツアーのものに比較的似てるかもしれない。ステージ左右には大型スクリーンがあり、その両脇には恐竜の骨。ステージ中央にも後方にスクリーンがあり、やはりその両脇に肋骨のようなものが床から突き出ている。天井には今回のツアーTシャツにも描かれている恐竜の、首から背骨にかけてがぶら下がっている。恐竜の頭蓋骨は顔と判るような代物ではなく、どことなく花のつぼみのような形をしている(これが今回のポイント。つうか俺、いい読みしてたよな?)。開演まであと15分というところで、大型スクリーンにアニメキャラのような猿が現れる。顔だけドラムのJENで(実写)それにサングラスをかけさせ、それ以外が猿。そいつがツアーグッズの説明をしたり、公演中は携帯はOFF!とか注意したり、客を煽ったりする(笑)。最近、ステージ上でのMCコーナーがなくなったJENだけに、ちょっとだけ嬉しかった(笑)。

  さて、開演時間を8分程過ぎた頃、スタジアム内の照明が消え、大歓声。スクリーンには「MR.CHILDREN : POP SAURUS」の文字が‥‥それはオルゴールの蓋に書かれたものだった。どうやらオープニングで、大がかりなCGを見せる演出のようだ。オルゴールからは"優しい歌"が流れる‥‥そして場面は変わり、博物館。例の恐竜の骨が展示してあり、そいつが動いて逃げ出す。そこからは過去のミスチルを振り返るような演出。アルバム「BOLERO」のジャケ絵が展示してあり、その絵の中に飛び込む‥‥向日葵の花が風にそよぐ‥‥場面が変わり、青バックに化学式が‥‥そう、「Atomic Heart」だ。そこからひたすら大地を進み、石油の採掘機が(「DISCOVERY」)。恐竜は大地を走り回る。そして採掘している穴へ飛び込み、そのまま場面は海の中へと‥‥深い深い海の底にたどり着くと、そこには椅子がひとつ(「深海」)‥‥そして海から上がると、潜水服の頭部が4つ(「Q」)‥‥ここまで約10分(苦笑)。長い、長いってば‥‥最初は大歓声で応えていたファンも、途中で飽きていたようだし‥‥この映像の後、シンセの音と共に大歓声が‥‥ステージ上にはアコギを抱えた桜井が。ストリングス系のシンセに合わせ、ギターをかき鳴らし、そしてそれはあるフレーズへと続く‥‥「やがて全てが散りゆく運命にあっても~」そう、"花"である。いきなり"花"のアコースティックアレンジだ。その後サビへと続き、大合唱で応える俺達。ちょっと鳥肌立ったね。

  そして、他のメンバーがぞろぞろとステージ上に現れる。桜井はアコギを持ったまま、聞き覚えのあるフレーズを‥‥おお、頭から"I'll be"かよ! しかもアルバムバージョン。セットリストは既に知っていたのだけど、やはりこうやっていざ直面すると、やはり我を失いかけるよ。今日の桜井は青いTシャツの上に同じ色のシャツを羽織っている。下はいつもの黒皮パン。この日の幕張は開演前から曇りだし、今にも雨が降りそうな感じだった。まだ日は完全に落ちていないものの、今にも暗くなりそうな空気の中で聴く"I'll be"に、思わず涙しそうになる‥‥いきなりかよ、俺(苦笑)。観客もド頭から大騒ぎしたかったに違いないだろう‥‥けど、いきなりこんな鬼気迫る演奏を聴かされて、言葉も出ないようだ(って俺もだけど)。

  続いて同じ「DISCOVERY」から"ラララ"を披露。これまでの3曲は前回のツアー「Q」では演奏されなかったものばかり。2年振りとはいえ、何か前とは別の曲を聴いてるような感じがする。やはり室内と野外の違いだろうか? こういうポップでフォーキーな曲は、野外の方が合ってる気がする。当然エンディングでは大合唱となる。今日の桜井、笑顔が素敵だ。

  少しの間を置いてから、あの流れるようなスライドギターの音色が‥‥何と、ファーストシングル"君がいた夏"だ‥‥確か最後にプレイしたのは前回の夏ツアー「空」以来だから‥‥丁度6年振り、「深海」以降は演奏してないことになる。こういう曲を(例えそれがベスト盤のプロモーションとはいえ)サラリと、しかも笑顔で楽しそうに演奏してしまう今のミスチル、恐るべし。とにかく桜井の笑顔が眩しすぎる。この曲辺りからようやくスクリーンに桜井のアップが映されるようになったのだが、みんな桜井のアップになると「キャー♪」だもん。判るよ、その気持ち(笑)。

  続けて初期の名曲"LOVE"の登場。いいのか、ここまで勿体ぶらずに披露しちまって!?って位に笑顔。この曲辺りになると、お約束ともいえる「動き」(手扇とか)があるのだけど、どうもいまいち客の動きに統一感がない‥‥要するに、ベスト盤以降、或いは「DISCOVERY」以降のファンが多く詰めかけたってことだろうか? いろんな意味で旧曲での客のリアクションが新鮮だった。

  そしてベスト盤から初期名曲3連発の"星になれたら"。アコギを置いた桜井は、右へ左へと動きまくる。走りながら唄うもんだから、そりゃ息も上がる。けど、今日の桜井も別段コンディションが悪いとは感じない。むしろここ最近の「調子良さ」が続いてるように思える。さすがに初期のポップな歌が続くので、笑顔も絶えない。ひたちなかでの狂気じみた表情が嘘のように‥‥

  ここにきて、ようやくMCが。「今日は日が暮れるのがいつもより早かったので、みんなの表情がちゃんと把握できてなくて、どういう感じになるんだろうと思ってましたが‥‥大体把握できました(笑)。ちょっと手を抜いていこうと思います(笑)」要するに、客のリアクションが思った以上だったので、あんまり熱くやらなくてもいいよね?って意味だろう。そしてこの日の模様もビデオシューティングしているそうだ。「インターネットの、覗きページにアップして‥‥おっと、下品な話をしてしまいました(笑)」とギャグをかました後に「何らかの形で発表されると思う」と言っていたので、前回のツアー「Q」同様、ビデオ&DVDとして年末辺りにリリースされる可能性大だ。初期の曲のライヴ音源って意外と少ないから、これは喜ばしい限りだ。

  そしてMCに続いて、静かめの曲が続けて演奏された。セカンドアルバム「KIND OF LOVE」からのバラード2曲、"車の中でかくれてキスをしよう"と"抱きしめたい"だ。特に前者は'97年2月に横浜アリーナで聴いて以来だったので、とにかく嬉しかった。あの頃の「力尽きつつある桜井」によるものと今の桜井が唄うものとでは、全く印象が違った。全てを包み込むような包容力‥‥あの頃の桜井に足りなかったもの、それはこれだったのかもしれない。そしてそれは、同じく"抱きしめたい"でも感じたことだ。前回(2月)に聴いた時よりも、ずっと優しい空気感がステージ上にはあったような気がする。とにかくこの2曲で、完全にオーディエンスの心を掴んでしまったようだ。

  バラード2曲が終わり、再び照明が消え、場内にインダストリアル風効果音が流れる‥‥そしてそれがカメラのシャッターを切る音に変わっていく‥‥アルバム「Atomic Heart」冒頭を飾るS.E."Printing"だ‥‥ということは‥‥あのエフェクトがかかりまくった、印象的なリフが静寂を切り裂く。そう、"Dance Dance Dance"だ。ドラムが入るところでパイロ(花火)が上がる。おお、今回のツアーはマジで大がかりだ。いつの間にか羽織っていたシャツを脱いだ桜井は、ここでも右へ左へと大忙し。「今夜もひとりLonely Play」という歌詞の所では、マイクを股間に当て、アレに見立てて擦りまくる(笑)‥‥キャーキャー騒ぐ婦女子達‥‥って俺もだが(笑)ってこれ、ツアー「DISCOVERY」でもやってたの、こないだのDVDを観て初めて気づいた。

  そして勢いをそのまま引き継ぎつつ、同アルバムから"Round About ~孤独の肖像~"へ。ドーム公演以来だから、4年半振りの演奏か? ソロパートが本来サックスなのだけど、上手いことキーボードで対応していた。けど、この曲の時だけ反応が弱かった気がしたのは、俺だけだろうか? 今回のツアー、ベスト盤に伴うものだけど、内容としてはそれオンリーというわけではなく、むしろミスチルの10年を総括するような内容となっている。だから演奏されないシングルヒットもあれば、アルバム中の隠れた名曲も登場する。ベスト盤からの新規ファンが多いこともあるのだろうか? それにしても、最大ヒット作からの楽曲なのに‥‥まぁ俺はひとりノリノリだったが(隣にいた友人に呆れられたが/笑)。

  ここで再び照明が消え、S.E.が流れ始める。スクリーンにも何か薄暗い映像が映し出される。映っていたのは海の中のようだ。そして聞き覚えのあるバイオリンの音色‥‥ここから「ダーク・サイド・オブ・ミスチル」に突入というわけだ。CGは海の中を泳ぐシーラカンスが映し出され(ツアー「regress or progress」とは異なる映像)、そのシーラカンスに導かれるように、後ろには先程の恐竜の骨が‥‥青白い照明がステージを包み、あの印象的なアコギのコードストロークが‥‥アルバム「深海」メドレーのスタートだ。まずは"シーラカンス"。ひたちなかで聴いた時のような衝撃はそれ程感じなかったが(免疫がついてしまったのだろうか)、スクリーンに映し出される桜井の表情はやはり鬼気迫るものがあった。しかもそれが白黒なもんだから余計だ。田原のギターが、ひたちなかの時よりも前々良かった。そういえば桜井、この曲でも歌詞間違えてたっけ‥‥さすがにシリアスな曲だから、笑って誤魔化すこともできず、新しい歌詞が誕生してたような‥‥(苦笑)。

  アルバム同様、エンディングをギターとピアノで引っ張り、そのまま"手紙"へと繋ぐ。歌詞を噛みしめながら唄っていると、ふと涙が‥‥まさかこの曲で泣くことになろうとは‥‥何か、ググッとキたんだよなぁ、何故かは判らないけど。俺の席の周りでは、この曲は大好評だったらしく、女の子も男の子も皆唄っていたのが印象的だった。曲が終わった時の拍手も盛大なものだったと記憶している。
  ピンと張りつめた空気を切り裂くかのようにJENのドラムがスタートし、その上に桜井がアコギを被せる。ひたちなか同様、"マシンガンをぶっ放せ"だ。この曲の時は後半、スクリーンに風刺的アニメが流され、それまでとはちょっと違った空気を放っていた。そして最後のサビの時には歌詞がスクロールして、更にその空気感を強調していた。前半のピースフルな流れがまるで夢だったかのように(そういえば、ここで引いてる若い女の子が多かった気が)。

  この後"ニシエヒガシエ"~"光の射す方へ"という、まんま「ROCK IN JAPAN FES.」と同じ流れが続く。特に目新しい要素はなく、せいぜい"光の射す方へ"ラストの花火くらいだろうか? ここまでの5曲の流れだけで言ったら、個人的にはひたちなかの方が上だったように思う。

  そして「深海」メドレー(間にそれ以外の曲も挟んだが)最後を飾るのは、"深海"。個人的にはアルバム中それ程印象に残った方ではないのだが、こうやって楽曲単体として聴いてみると、やはりいいんだわ。特に後半の盛り上がるパートにくると、何かこう、ググッとくるものがあった。ドームで最後に聴いた時とは全く別次元の感動がそこにはあった。曲が終わるとオーディエンス、大拍手。きっと初めてこれらの曲を聴いた人も多いんじゃなかろうか?

  曲が終わってもキーボードとギターが怪しい和音を奏で続ける。そして、ひたちなかでも3万人を湧かした、あのピアノのフレーズが‥‥"Tomorrow never knows"である。当然ここマリンスタジアムでも大歓声が上がる。そしてイントロのリズムに対して、あの手拍子‥‥それだけはやめてくれ(怒)。しかし、さすがに桜井が唄い出すとみんな聞き入ったのか、自然と静かになる。活動休止前の「痛みを伴った表現方法」もググッとくるものがあったが、やはりそれら全てを踏み越えた今の方がより説得力がある。自然と目頭が熱くなりやがる‥‥畜生。事前にひたちなかのレポートを読んでいた友人は、俺の顔を覗き込んでニヤニヤしてやがる(苦笑)。やっぱり何時聴いても名曲だと思う。300万枚近いセールスは、決して伊達じゃないと思う。上昇気流が後押しした結果とはいえ、それだけじゃこんな数字は出せないはずだ。ロックとかポップとか、そういう次元を超越した単純に「いい曲」‥‥それで十分じゃないか?

  エンディングから続くように、あの印象的なゴスペル隊のコーラスが‥‥"hallelujah"だ。いよいよクライマックスに突入。スクリーンに教会のステンドグラスのようなカラフルな画像が映され、神聖な空気が流れ始める。前回のツアーでは半音下げだったが、今回はノーマルチューニング。かなりキーの高い曲だが、そこまで辛そうな印象は受けなかった。前回のツアーで聴いた時よりも、ずっとずっとググッとくるものがあった。何もそれはチューニングだけのせいではないだろう。新曲も初期の曲も同じ視点で表現しようとする今回のツアーだからこそ、成せた結果なのかもしれない。2月に観た時は全然だった後半のオーディエンスによるコーラスワークも、今回はバッチリだった。「Q」から演奏されたのはこの曲だけだったが、そこに他意はないだろう。「Q」は前回散々やったから。問題は次のアルバムに伴うツアーだ。あのアルバムの曲をどのように散りばめるのか、そして来るべき新作はどういう作風になるのか、非常に気になるところだ。

  エンディングパートの「はっ、はれっ、はれっ、はれぇ~るぅ~」ってコーラスを観客に唄わせ、その上に「負けないようにぃ~/枯れないようにぃ~」と"花"のサビの歌詞を乗せていく。なるほど、開場前にリハしてたのはこのパートだったのか‥‥遊びじゃなかったわけね?(苦笑)するとスクリーンいっぱいに向日葵の花が映し出され、天井にあった恐竜の頭蓋骨がパカッと口を開き、更にもうひとつ中にあった口もクロスするように開き、それがまるで花びらのように十字を描く。そう、恐竜は最後に花へと変わった。中からは赤い光を放つ‥‥冒頭で書いた通り、俺の読みが当たったのだった。というわけで、本編最後の曲は"花"のリアレンジバージョンだ。前回ひたちなかで聴いた時はパッとしなかったが、その後シングルを何度も聴く内に、次第にその新鮮さに惹かれていき、改めてこの日ライヴで聴くと、完全にそのアレンジにハマっていた。"hallelujah"からの流れというのも一因だろう。歌そのものから凄いパワーを感じた。ただ、これでエンディングってのもちょっと‥‥って感じたことも付け加えておこう。ミスチルって本編ラストに、それっぽくない曲を選ぶことが多いんだよなぁ(過去にも"CROSS ROAD"や"Tomorrow never knows"で終わるツアーがあった)。

  一旦メンバーは袖へ引っ込む。この時点で丁度2時間。まだまだやるだろ、ミスチルさんよぉ‥‥ってことで、アンコールを求める手拍子が延々続く。「お祭り」のような特別なツアー。いつもアンコールは淡泊なミスチルも、今回ばかりはサービスしてくれるに違いない。

  数分後、メンバーが再び現れる。桜井は「それじゃあ気持ちも新たに行きますか!」って気合いを入れ直そうとすると‥‥虫が桜井を襲う(笑)。それを払い除ける。会場大爆笑。「こういうのが野外の醍醐味なんですけど(笑)」と言い訳。確かにあんなに焦った桜井はそう見れないだろう(笑)。

  気合いを再び入れ直してアンコールに突入。まずはお祭りソング"everybody goes"。お約束の如く、イントロのリズムインの瞬間にパイロがドカン! もう大騒ぎ。この曲も前回のツアーでプレイされていたが、今回の方が全然いい。昔みたいに気合いの入ったこの曲も好きだが、今回みたいに肩の力が抜けた、単純に楽しみながらプレイするのもまたいい。中間のブレイク部(ソロ導入前)で曲調が変わり、メンバー紹介に突入。メンバーひとりひとりを紹介すると、その人のソロプレイに突入。その際にスクリーンに「踊る大走査線」や「エヴァンゲリオン」ばりに「桜井和寿」が画面左縁縦書き、「vocal」が画面下縁横書きで垂直を描く。しかも明朝体で(笑)。マイブームなんでしょうか? にしても5年位出遅れてるような気が‥‥(苦笑)サポートメンバーの後にミスチル各メンバー、最後に桜井。そのままギターソロに突入。悲しいかな、田原よりも桜井の方がギタリスト然としてるんだよなぁ‥‥頑張れ、田原!(涙)

  そのまま続けて、JENがカウント。あの印象的なギターフレーズ‥‥久し振りの"innocent world"だ! この時ばかりはみんな大興奮。桜井はステージ左側に駆け寄る。そして1コーラス全てをオーディエンスに唄わせる。完璧に唄いきるオーディエンス(!)、そして俺(笑)。ツアー「DISCOVERY」の時も同じことやってたが、今回の方が客の数が倍以上いるせいか、より鳥肌モンだった。2番から桜井が唄うが、やはりどこか余裕がある。この曲がリリースされた頃は、あんなにも辛そうに唄っていたキーが高いこの曲も、今の桜井にとっては「楽しく唄える曲」へと変わっている。いや、桜井が変わった(成長した)のか‥‥やっぱりいつ聴いても心にググッとくるなぁ‥‥涙こそ流さなかったが、心に染みた。気付けば、友人も唄ってるし(笑)。

  ここで一旦サポートの3人が袖に引っ込み、桜井がアコギ、田原がエレキ、中川がベース、そしてJENが前に出てきて踊る(爆)。鶴のように構えてから、何やら拳法のようなアクションを取る。オーディエンスだけでなく、メンバーもツボに入ったようで大爆笑。暫くして桜井が語る。「これから演奏する曲は、アルバムに入ってない、シングルのカップリング曲です。一般的にカップリング曲やB面曲って『捨て曲』と呼ばれてるんですが‥‥はっきり言って、ミスチルには『捨て曲』は1曲もありません!」そう言い切って、ミスチルのメンバーだけで演奏されたのは、シングル「光の射す方へ」c/w曲"独り言"だ。勿論、ライヴで演奏するのは初めて。イントロのハーモニカをJENが吹き、大歓声。オリジナルの音源は、'70年代のストーンズを彷彿させるアーシーなナンバーだったが、ここでは完全に「ミスチル以外の何ものでもない楽曲」になっていた。演奏も、コーラスも全て4人で。ツアー「Atomic Heart」での"ロード・アイ・ミス・ユー"もたった4人で演奏してたっけ。ある意味「初心忘れるべからず」的ナンバーなのかもしれない。だって、普段コーラス取らない田原も唄ってたし(笑)。

  「最後に、できたばかりの新曲を披露します」といってスタートしたのは、数日前にリリースされたばかりの"優しい歌"だった。CDではストリングスからスタートするが、ライヴでは浦の弾くアコーディオンが代わりを果たす。逆にこっちの方が素朴な感じがして、いいんじゃないかな? 次のアルバムに入れるなら、是非アコーディオン・バージョンで! そして歌が始まると‥‥スクリーンに下から上へと歌詞がスクロールしていく。歌詞を目にしながら口ずさむと‥‥何故か知らないけど、頬を伝うものが‥‥桜井自身の決意表明であるこの曲が、何故か今の俺とシンクロしてしまった。すっげー伝わったよ。古くからのファンには賛否両論のようだが(つうか「自称・古くからのファン」って結局、活動再開後のミスチルを認めたくないだけじゃないの?)、俺には十分すぎる位に伝わった。たった3分ちょっとの曲はすぐに終わったしまった。嗚呼、また夏が終わった‥‥最後は天に向かって打ち上げ花火が連発される。「また夏が終わる/もうさよならだね」‥‥"君がいた夏"じゃないが、本当に俺の夏はこの曲で終わっていった。


  結局時間にして2時間半ちょっとだったが、曲数にして23曲。しかし曲数以上に濃い内容だった。ベスト盤を受けてのツアーということだったが、結局はベストから半分、各オリジナルアルバムから半分といった感じで、単純に「グレイテスト・ヒッツ」ツアー以上のものを見せてもらった。ショウとしてのスケールは6年前のスタジアムツアー「空」に匹敵する、或いはそれ以上のものだったし、選曲もシングルとアルバムの隠れた名曲・人気曲とのバランスが絶妙だったように思う。残念ながら「BOLERO」からは1曲も選出されなかった("everybody goes"と"Tomorrow never knows"を収録曲と見ることもできるが、敢えてシングル以外の曲を演奏して欲しかった)。「深海」からあれだけやったんだから‥‥って気持ちもあるが、この流れに"タイムマシーンに乗って"は入れにくいかもしれない。今後二度と演奏されないかも‥‥とアルバムレビューで語っていただけに、やはり実際に無視されると悲しくなる。好きなアルバムだけに。

  今回のツアーは「これまでの10年を総括する」という意味だけではなく、「これまでのミスチルをリセットする」という意味も含まれている。確か前回の夏ツアー「空」の時もそういうコンセプトがあったはずだ(「空(くう)」は「空(から)」とも読める)。そうしてリセットした結果が「深海」「BOLERO」だったわけだが、さて、今回のリセットはどういう作品を生み出すのだろうか? 既に新曲がバンバン出来上がってるようで、その第1弾が"優しい歌"だったわけだが‥‥今後暫く、それらの新曲をこまめにシングルとして切っていくそうだ。まずは年末~年始辺りにもう1枚リリースされるという次の新曲に期待だ。

  今回のツアー、ミスチルを観たことない人にこそ観て欲しい内容だと思う。関東ではまだ横浜スタジアム公演(9/15&16)が残ってるので、チャンスがあったら是非足を運んで欲しい。ここ数回のツアーの中でも、最も「楽しさ」に重点を置いたライヴになっているから。きっとみんな、あの桜井の笑顔にやられるはずだから(笑)。


[SETLIST]
01. 花(vocal, acoustic guitar & synth. only)
02. I'll be
03. ラララ
04. 君がいた夏
05. LOVE
06. 星になれたら
07. 車の中でかくれてキスをしよう
08. 抱きしめたい
09. Printing ~ Dance Dance Dance
10. Round About ~孤独の肖像~
11. Dive ~ シーラカンス
12. 手紙
13. マシンガンをぶっ放せ
14. ニシエヒガシエ
15. 光の射す方へ
16. 深海
17. Tomorrow never knows
18. Hallelujah
19. 花(2001 version)
---encore---
20. everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-
21. innocent world
22. 独り言
23. 優しい歌



▼Mr.Children『Mr.Children 1992-1995』
(amazon:国内盤CD


▼Mr.Children『Mr.Children 1996-2000』
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投稿: 2001 08 31 12:00 午前 [2001年のライブ, Mr.Children] | 固定リンク

2001/08/13

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 3@苗場スキー場(2001年7月29日)

◎BRAHMAN (at GREEN STAGE / 11:00~11:40)

  3年振りの最新作「A FORLORN HOPE」を引っ提げてのフジロック、しかも今回はグリーンステージだ。お約束の沖縄チックなSEに乗せてメンバーが続々とステージに現れる。最新作同様、1曲目は「For One's Life」からスタート。徐々に盛り上がるタイプの曲だが、すでにイントロから最前ブロックの客はヒートアップ気味。演奏がガツンとくるパートに入ると、モッシュ&だいぶの嵐。3日通したトップバッターの中で、一番殺伐とした空気が流れる。

  この曲の時点で気づいたのが、ボーカルのTOSHI-LOWの状態が芳しくないという事実。明らかに上のキーの音程が取れていない。音程が取れていて外すのと、完全に見失って外すのとでは明らかに違う。結局、終始辛そうな状態で40分を乗り切るのだった。

  新作から立て続けに、アルバムの曲順通りに5曲披露した後に前作から「See Off」や「Answer For…」といった人気曲を挟むものの、従来の切れやしなやかさを上手く表現できずにいる、もどかしそうなTOSHI-LOWを観るにつれ、こちらまで痛々しい気持ちになり、聴いてるのがつらくなる。彼らの最大の魅力である、独特なメロディーが全く伝えられない状況。そしてそれが全く伝わってこない状況。正直、途中でグリーンステージを後にしようかとも考えたくらいだ。ラストの「Arrival Time」での悲痛な叫びも何だか尻切れトンボの如くフェードアウトしていく。

  これが事実、これが現実だ。はっきり言う。この日のBRAHMANは最低だった。これはメンバー自身、特にTOSHI-LOW本人も認めるところだろう。これで「最高だった」と言い切ってしまうようだったら、いっそのこと解散してしまった方がいい。そのくらい、プロとしてはレベルの低いモノを、よりによってフジロックの大舞台で見せてしまったという失態。今後の彼らがこの現実とどう向き合っていくのか、そしてそれをあの場にいたファンがどう捉えるのか、非常に興味深い。最低なものは最低だったと言える勇気、そして正直さ。ファンならこれだけは決して忘れないでほしい。「やっぱサイコー」とかいう馴れ合いが、バンドを潰してしまうことだってあるのだから。


◎JOUJOUKA (at WHITE STAGE / 12:40~13:20)

  トランス系テクノのアーティストだという事しか知らなかった。一昨年、そして昨年もフジに出演してるそうだが、一昨年、観なかったなぁ。DJ Tsuyoshiが中心となっているユニットだが、ライブではどういう感じになるのか。

  ホワイトに着いた時点で、すでにステージは始まっていて、遠くからそのトランシーな音は聞こえてきていた。気持ち良さそう、それが第一印象。ようやくステージが見える位置までたどり着く。メンバー構成はDJ陣が2名、ギタリストがひとり、そして時々引っ込むベースがひとりの計4人編成。ギターは常時ステージ上で煽りまくっているので、どうやらベーシストはゲスト出演のようだ。基本的にはDJ陣がプレイするトランシーなサウンドの上に生楽器を重ねて、普通のトランステクノとしては終わらせない、魅せる要素も兼ね備えている。生楽器を被せるのは、どうやらDJ Tsuyoshiの信条らしく、とにかくギターのザクザクしたリフが気持ちよく、またベースもスラップまではいかないけど、バキバキしたサウンドでこれまた気持ちいい。ちょっと聴いた感じでは、UNDERWORLDにも通ずるロック感を見出すことができる。でも、歌がないぶん、こっちの方がよりダンスに徹することができる気もする。

  最初、軽い気持ちで観るはずが、結局終始気持ちよさげに踊り狂ってしまった。3日間の疲労が相当足にきてるにも関わらず、アホみたいに踊る俺を見て、友人に心配される始末。結局踊ってるうちに調子が戻ってきて、疲れなんて吹っ飛んでしまった。

  最後にはホワイトステージの総合MCであるブライアン・バートン・ルイスがボーカル&MCとして、即興で歌う。やっぱり歌が入ったほうが、それなりに盛り上がるけど、個人的には最後のは蛇足って気もしないでもない。このユニットは2人のDJ陣のプレイと、そこに被さるギター(時にベース)、そこから生み出されるトランシーで腰にクるテクノサウンド、それだけで十分だ。


◎SION (at FIELD OF HEAVEN / 13:20~14:20)

  SIONは、俺が知ってるあの頃のSIONのままだった。選曲的には、きっと先頃リリースされた最新作が中心になってるんだろうけど、俺の心臓が鷲掴みされたのは、名曲「Sorry Baby」。酔っていたせいもあるだろうけど、炎天下の中、ただステージ一点を見つめる俺。言葉のひとつひとつを噛みしめながら、一緒に歌う。このフジロックってフェスは、自分の現在・過去・未来を見つめ直すイベントなのか?って思えるくらいに、心にズシンとくる瞬間が非常に多かった。特に今回、30を目前としていただけに、そういう過去の想い出が走馬燈のように蘇ることが多かった。音楽で振り返る30年……人に自慢できるような大したモノじゃないけど、俺にとってはかけがえのない大切なもの。改めて音楽っていいな、歌っていいなと思った瞬間だった。

  気づけばラストの頃は前まで行って一緒に歌ってたっけ。よく知りもしない歌に合わせて。それだけのパワーを持っているのが音楽であって、歌である。きっと帰宅後もSIONの音楽に再び触れる機会はないのかもしれないが、それでも今この一瞬を大切にしたい。そう思って、力一杯踊った。このSIONのステージは、ちょっと俺の中では大切なものとなりそうだ。


◎SYSTEM OF A DOWN (at GREEN STAGE / 17:10~18:10)

  正直に言う。FOHのムーンライダーズを観るために、冒頭の数曲のみで移動してしまった。あとになって「なんで最後まで観なかったんだよ!」っていまだに後悔しているアクトのひとつ。

  今でもよく覚えているのは、始まる直前の場の異様な空気。あの瞬間の「別に人がそこまでパンパンではないんだけど、なぜか急に暴動が起こるんじゃないか?」と勘違いしてしまいそうなヒリヒリした空気だけは忘れられない。そしてステージに出てきた4人。すでに2人は半裸の状態だ。ダロンがギターを爪弾きながら、「ドラッグで病んでる?」「ドラッグやってる?」的変な日本語を交えつつ歌い、サージはそこにハーモニーを重ねていく。そこから「War?」へとなだれ込み一気に激しさを増す。すでに最前ブロックの盛り上がりは手に負えない状況だ。そこから数曲知らない曲が続くが、今思えばこの中には「TOXICITY」の1曲目「Prison Song」も含まれていた。イントロが異常にカッコよかったことだけは覚えており、のちにアルバムを聴いた瞬間に「あ、あの曲!」とすぐに気づいた……が、結局ノリきれずに途中で退散したのだった。


◎ムーンライダーズ (at FIELD OF HEAVEN / 17:20~18:30)

  この方々も活動歴が長い割に、実はちゃんと聴いてこなかったバンドのひとつ。とにかく、実験的要素満載にして極上のポップ。終始あっけに取られっぱなし。白井氏のギターは相変わらず変だし(ギターのブリッジ周辺にサンプラーをそのまま打ち付けてるし、しかもストラップの前後にギターのネックとボディーがそのままくくり付けてあるし)、鈴木慶一氏は終始クール。曲によってメインボーカルが変わるのだけど、基本的には慶一氏。あれは作曲者がリードを取るのだろうか。逆にキーボードとドラムの方々はコーラスに加わったり加わらなかったりで、演奏に徹していただけ。そこが職人っぽくて素敵だったけど。

  ちょっとトッド・ラングレンを彷彿とさせるくらい、楽曲のバラエティーが多彩で、なおかつそれらがすべてポップなのがすごい。コアなファンが多かったのか、周りの年齢層はやけに高かった。フジにも親子連れが多くなったようだね。最前列には初老の夫婦に小学生くらいの子供という親子がいたけど、前に押されることもなく、気持ちよさげにステージを楽しんでいたのが印象的だった。そうそう、3日目になってようやく、名物のトンボを多く見かけるようになった。マイクに止まったトンボを捕まえて、空に逃がす白井氏の姿も印象的だった。普段、進んで聴くことのないタイプの音楽だが、こういう場でならすんなりと聴けてしまう。しかもストーンと心の中に先入観なく入ってくるんだから、不思議だ。


◎TOOL (at GREEN STAGE / 19:10~20:30)

  一種異様ともいえる不穏な空気が流れる暗闇の中、照明やぐらの右隣に陣取りスタートするまで座って待つ。モッシュピットはすでに満員御礼、直前に演奏したSYSTEM OF A DOWNの熱気も冷めやらぬ状態で、みんな今にも暴れ出しそうな勢いだ。

  待望の初来日。俺は常々言ってきた。1998年の豊洲にKORNが初上陸した後、1999年にブレイク後の勢いのままLIMP BIZKITが苗場の地を踏んだ後。決まって「次はTOOLだな」と。もうTOOLしかないだろう、オーディエンスの度肝を抜かす存在は。その願いがいよいよ叶うときが来たのだ。しかも約5年振りの、全米ナンバー1アルバムを引っ提げて。

  ステージにメンバーが現れた。左にギターのアダム、右にベースのジャスティン……多分ね。照明がほとんど当たらない、非常に暗い状態の中で終始彼らはプレイしていたのだ。そして後方右側に、ドラムのダニーが陣取り、その左側には大型スクリーンとお立ち台のような一段高くなった舞台が‥‥そこに人影のようなものが常に動いている。そうこうしてるうちに、あのミステリアスなイントロが聞こえてくる。「The Grudge」だ。スクリーンには新作ジャケットをモチーフにした映像が終始流れている。歌がうっすらと聞こえてくる。しかしPAの調子が悪いのか、いまいち聞き取り難い。そして明るくなったスクリーンの前には、明らかに人影が。そう、そのお立ち台で怪しいダンスをしているのが、ボーカルのメイナードなのだ。ほとんど全裸に近い状態(パンツ一丁で、全身青塗り)で曲の起伏に合わせてユラユラと踊る、殆ど姿や表情は確認できないが明らかに存在感、カリスマ的オーラを感じることができる。

  噂には聞いていたが、これは衝撃的だ。流される映像も曲をイメージさせるというよりも、エログロに近いもので、PVが存在するシングル曲に関してはそれをモチーフにして再編集されているようだった。登場した時点で湧いていたモッシュピットも、気づけばみんな棒立ちでステージを見つめる者が続出。ノれないのではない、動けないのだ、この音とこの映像とあのバンドから発せられるオーラを前にしたら。背筋がゾッとしたのは、何も気温のせいではない。こんばバンド、今まで見たことがない。何なんだよ、こいつら。

  続く2曲目は、前作のトップナンバー「Stinkfist」の登場だ。さすがにオーディエンスがさっき以上の歓声で応える。しかし、それも最初だけ。曲が進むにつれて、やはり身動きがとれなくなってしまう。衝撃的なんて言葉、簡単には使いたくなかったのだが、それ以上もそれ以下でもない、本当の衝撃なのだ。こんなもん、見たことないんだから他の何ものとも比べようがない。唯一、映像を駆使するという点では、NINE INCH NAILSと比較することができるのかもしれないが、あれとはまったくの別物だ。

  それにしても、3曲目までボーカルが聞き取りにくかったなぁ。新作からの「Schism」あたりから、ようやくボーカルもクリアに聞こえるようになった。演奏に関しては、もう完璧すぎて何も言うことなし。確かにミスする場面もあったものの、そんなことが気にならないほど、アルバムと寸分違わぬ緻密で計算され尽くされた演奏を披露する。さらに、そこに乗るメイナードのボーカルも、時に力強く、時に潤いを感じさせる。決して「暗黒大将軍」ってわけではなく、あのボーカルとあの演奏が融合するからこそ生まれる浮遊感、それがさらにこの苗場という環境にマッチしていた。ギターのザクザク感はヘヴィロックのそれに近いのだが、パーカッシヴなドラム、時にリード楽器にもなりうるベース。4人それぞれの自己主張がぶつかり合いながらも、互いの持ち味を引き出そうと機能している。計算なのか、単なる偶発的事故なのか。終始握りしめていた拳に、ジワリと嫌な汗をかく。

  終盤はファーストからの「Sober」やセカンドの「Aenema」を交えながら、新作からのムーディで濃い楽曲群を我々に叩きつける。途中、メイナードが曲間に何かしゃべった。一瞬の出来事で聞き逃しそうだった。英語だと思ったのだが、二度目にようやく聞き取れ、理解できた。


「ポジティヴなものを生み出す、その気持ちを忘れるな。」


こんなことを第一声で発した来日アーティスト、これまでいただろうか? この一言にメイナードの、TOOLというバンドの揺るぎない姿勢を垣間見た気がした。「ニホンノミナサン、コンニチワ」でもなければ「アナタワ、ウツクシイ」でもない。「ココニコレテ、トテモウレシイ」といった社交辞令の挨拶ではない。オーディエンスとバンドの間に明確な信頼関係が、この一言で生まれたと思う。

  難解且つホラー映画と言っても過言ではない映像と、ステージ上が薄暗くてほとんど表情を伺うことができないバンドの演奏から、言い表しようのない威圧感が終始あったが、このメイナードの一言は、そしてそれを日本語で発したという事実は、そういう他の表現要素よりも深く、俺の心の中にえぐり込まれた。一生忘れない、忘れられない初来日公演となりそうだ。


01. The Grudge
02. Stinkfist
03. 46 & 2
04. Schism
05. Disposition
06. Reflection
07. Sober
08. Parabola
09. Aenema
10. Lateralus


◎EMINEM featuring D12 (at GREEN STAGE / 21:30~23:00)

  例の前妻に対する暴力沙汰の裁判、来日直前に審判が下り、その結果外国へも行くことができるようになったEMINEM。オーストラリアを回った後の来日ということもあり、きっと調子も昇り調子のはずだ。一体どんなステージを見せてくれるのだろう。TOOL同様、まったく予想がつかない展開になりそうだ。

  21時半を回った頃に、ステージ上手にDJらしき人物が現れるも、そのままの状態が10分程続く。すると急にステージが暗くなり、スクリーンに何か映像が流れ始める。ドキュメンタリー形式のドラマみたいだ。どうやらハンディーカメラを持って、EMINEM宅へ忍び込む青年2人組の話のようだ。カメラを持ったひとりが、もう一方にインタビュー形式で話しかける。あれっ、どこかで観た光景……次の場面で、EMINEM宅らしき家に忍び込んだ2人。ひとりが地下の方へと向かう。カメラを持ったもう一方が壁を映す。そこには「MY NAME IS...」「SLIM SHADY」「MARSHALL MATHERS」等といった文字がずらずらと書き殴られていた。あぁ、なるほど。先頃公開された2作目がコケた、例の低予算ホラー映画のパロディーなわけね。すると、例のごとく地下室から悲鳴が……カメラは走りながら地下室へと近づく。悲鳴を上げた若者をカメラが捕らえた瞬間、目の前にはチェーンソーを持ったジェイソン・マスクの男が……。

  フィルムがそこで終わると、ステージ上からチェーンソーの音が。ステージ上手からフィルム同様のジェイソン・マスクの男がチェーンソーを持って現れる。どこからどう観てもEMINEMだ。こりゃ面白い。ここまで馬鹿馬鹿しくやってくれると、逆に気持ちいい。

  ヒップホップ系のステージっていうと、個人的には昔観たRUN DMC初来日のイメージがあったので、どうしても中弛みしそうな感じがあったのだが、ことEMINEMに関してはそんな心配皆無だった。まず曲がポップだし、オーディエンスに対してコール&レスポンスを求め、一体感を大事にしている。確かにMCがネイティヴ・イングリッシュ(しかもバリバリのスラング入り)だったため、何度か理解に苦しむ場面に遭遇したが、それを補うだけのエンタテインメントが満載だった。

  曲毎に現れるD12の面々や、同じグリーンステージに登場したXZIBITのメンバー。日本酒やエクスタシーを持ってきたり、「PURPLE RAIN」で踊るエクスタシー錠剤の着ぐるみ(背中に「E」の文字が)、中盤再びスクリーンに映し出されたアニメ「THE SLIM SHADY SHOW」、「日本のオーディエンスに『俺の名前は何?(MY NAME IS)』か言わせるんだ」とEMINEMがDJに言うと、わざとヒット曲「My Name Is…」のイントロを流す等の寸劇、そしてパイロ。これだけ馬鹿馬鹿しい要素を含んだショー、今まで観たことないわ。ある意味、俺の中では「ZOO TV」ツアーでのU2を超えたんじゃないかな。

  そして、笑いだけではない。ちゃんとオーディエンスに合いの手を求めたり、一緒に歌ってくれといって流れ出す「Stan」のあのフレーズ。どれを取っても笑顔と感動の瞬間だった。これはもう、言葉で言い表すよりも一度は観てほしい。終始笑いっぱなしで、90分が短いと感じるほど充実した内容だった。

投稿: 2001 08 13 12:00 午前 [2001年のライブ, BRAHMAN, Eminem, FUJI ROCK FESTIVAL, JOUJOUKA, SION, System of a Down, Tool, ムーンライダーズ] | 固定リンク

2001/08/12

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 2@苗場スキー場(2001年7月28日)

◎NUMBER GIRL (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  定刻通りにメンバーがステージに登場。向井「福岡県●▲出身、ナンバーガール~」等と自己紹介。いきなり和む。しかしギターが鳴らされた瞬間、場の空気は一変した。のっけからファストナンバーを連発だ。PAのやぐら前あたりで観ていたのだが、始まった瞬間、ブロックのかなり前の方まで走っていた。

  向井の歌は、こうやってライブで聴いていると、何となくカートを思い浮かべることがあった。確かにNIRVANAと共通する要素はいくつかあると思うが、単なるフォロワーではなく、それなりにオリジナリティを持ったバンドだ。例えば、向井がただ1曲だけギターを持たずにビールを持って歌った「Destruction Baby」は、完全にレゲエ/ダブ要素を加えたアレンジに変えられていたし(またそれが気持ちよかった)、そういう「パワー一辺倒」では終わらないところに今後の彼らが進むべき道を見たような気がした。

  向井のMCもなかなか笑わせてくれる。乾杯三唱をさせられたときにはどうしようと思ったが、それも今となってはいい思い出だ。結局45分程度のステージで、「この後ホワイトステージに行くんで、これにて終了」と言ってバンドは去っていった(11:30からホワイトではeastern youthが演奏していたのだが、この後本当に向井はホワイトで目撃されている)。朝イチで観る長さとしては腹八分目で丁度いい感じだった。


◎MO'SOME TONEBENDER (at RED MARQUEE / 12:40~13:20)

  何の期待もせずに、ステージ前近くで開演を待った。ドラムがサウンドチェックしてるとき、あるフレーズを延々と叩いていたのだが……あれ、これって何の曲のリフだっけ……あぁ、そうか、NIRVANAの「In Bloom」だ。しかもハードヒットで、リズムキープにも独特な重さを感じる。本当にデイヴ・グロールのプレイを聞いてるようだった。

  ライブ本編では、幻想的なシーケンス音に導かれてメンバー3人がステージに登場。続いてベースが独特な重さを持ったフレーズを弾き始める。それに呼応するかのように、ドラムもユニゾンプレイを繰り返す。ボーカルは線が細い声で危うさを感じさせるが、逆にそこが魅力的。特にヒステリックにシャウトしたときの歌い方が好きだ。

  楽曲はグランジ+サイケといったイメージで、パンキッシュなファストナンバーから幻想的なミディアムスロウまで多彩さを感じる。ガレージっぽいバンドの曲って、どちらかというとモノトーン調なイメージがあるのだが、このバンドの曲にはいろんな色彩を感じ取ることができる。そのへんがサイケ的イメージと直結してるのかもしれない。とにかく、音を肌で感じていて気持ちいい(特にラストに演奏された「Echo」が圧巻だった)。この日は演奏時間を短く感じてしまうほど、入り込んでいた。もっと観たい。

  MCらしいMCも特になく、最後に「終わりっ!」の一言で現実に引き戻された。この感覚、こりゃドラッグミュージックですわ。本当、気持ちよかった。


◎ソウル・フラワー・モノノケ・サミット (at FIELD OF HEAVEN / 15:10~16:20)

  一応「モノノケ」名義なのだけど、メンバーが揃わなかったこともあって、結局この日限りのスペシャルメンバー&スペシャルセットで挑むこととなったソウルフラワー。ユニオン=バンド形態でモノノケ=チンドンスタイルの楽曲を演奏するそうだが、果たしてどうなることやら。

  ステージに登場した中川は、客を観て驚く。一番前にいたのでその時まで気づかなかったが、ふと振り返ると、すごい人の海。昨日のくるりに匹敵するほどの人が入ってる。裏ではパティ・スミスがやっているってのに、本当に物好きが集まったもんだ(自分を含めて)。ステージ上には左から洋子さん、ベースの河村、中川、ヒデ坊、山口洋(HEATWAVE)。後方はドラムのコーキの右隣にキーボードの奥野という、大所帯。

  最初はユニオンの「ロンドン・デリー」からゆったりとスタート……かと思いつつ、この曲サビではタテノリになるんだった。後ろから押し潰されそうになったり、前の奴が腰で俺を突き飛ばしたりで倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。こりゃ音を堪能してる場合じゃないな。暴れて、踊ってナンボの音楽。最後まで踊り狂ってやるか! そう覚悟を決めたら最後、汚い笑顔で踊り狂う。

  セットリストとしてはユニオンが7、モノノケが3といった比率で、上手い具合に交互に演奏されていた。モノノケの楽曲もユニオン用アレンジに変えられており(中川は三線だったが、山口はエレキ、ドラムもそのままといった感じ)、古来の民謡や仕事歌もこういうアレンジで聴かされるとユニオンの楽曲の中のひとつとして聴けるのだから、意外だ。

  特に印象的だったのは、やはり新譜「SCREWBALL COMEDY」からの楽曲。いい意味で「ロック然」としているのだ。新作は原点回帰とかいろいろ言われているが、確かにこれまでの作品の中では最もストレートでニューエスト・モデル色が濃い。それにライブとスタジオテイクの違和感の差がそれ程感じられない。先の野音でもここから何曲か聴いていたが、ただストレートでノリがいいだけじゃなく、記憶に(心に)残る曲ばかりだったこと、そこが大きいと思う。特に、野音で初めて聴いて心臓を鷲掴みにされた「荒れ地にて」は、ここ苗場の大自然の中、日中に聴いてもググッときた。いい曲というのは場所や時間、シチュエーションを選ばないってことなのか。しかも立て続けに「満月の夕」「竹田の子守歌」とやられた日にゃあ……放水された水が顔面を直撃したお陰でうまい具合に涙を隠せたはずだ。

  そうえいば、ステージ袖の奥の方に非常にノリノリで踊ってるキレイなおねぇちゃんがいるなぁ、と思って見とれていた。しかも見覚えあるんだよなぁ、前に会ったことなかったっけ?なんてデジャブに近い勘違いでボーッとしてたら、終盤「エエジャナイカ」で中川に呼ばれてステージに登場した。「from THE 3PEACE!」 あぁ、かおりさんか! 前夜祭に登場したTHE 3PEACEのボーカル&ギターの原と、ベースの永野が飛び入りで参加したのだった。永野かおり嬢はメスカリン・ドライヴ~ソウルフラワーの1枚目まで参加しているので、早い話がファミリーなのだ。気づけばヒデ坊、洋子さん、かおりさんとメスカリンの3人が揃ってる。最後にはお約束の「海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね」で大宴会。一度エンディングを迎えながらも、再び演奏を始めてしまう、いや、始めさせてしまう熱気。この文章だけで伝わるかな?

  「フジはいつも特別」とメンバーもファンも口にする通り、通常のライブとは違う熱気とおまけが付いたひととき。70分の予定が、「時間なんて気にしなくてもいいよな?」という中川の言葉通り、結局90分近い熱演となった。次のバンドまで1時間のインターバルがあったからよかったものの……「普段もこれくらい盛り上がってくれれば」との中川の言葉がすべてを物語ってるだろう。


01. ロンドン・デリー
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. ホライズン・マーチ
04. 水平歌 ~ 農民歌 ~ 革命歌 [モノノケ]
05. 戦火のかなた ~ I don't like (MESCALINE DRIVE)
06. 霧の滴
07. 殺人狂ルーレット
08. アリラン ~ 密陽アリラン [モノノケ]
09. 聞け万国の労働者 [モノノケ]
10. 風の市
11. 荒れ地にて
12. 満月の夕
13. 竹田の子守唄 [モノノケ]
14. インターナショナル [モノノケ]
15. エエジャナイカ
16. 海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね


◎MOGWAI (at WHITE STAGE / 18:50~19:40)

  ホワイトステージ手前の川で、メンバーのMCが聞こえてきた。どうやら丁度始まったとこみたいだ。7時前ってことで、いい具合に暗くなりつつあり、その静寂を断ち切るようにギターノイズが悲鳴を上げる。アルバムでしか聴いたことのなかったMOGWAI。どういうステージなのかまったく想像がつかなかった。

  メンバーは5人だったと思うが、ギターが3人(その内のひとりが曲によってキーボード、後半はチェロを弾いていた)とリズム隊で、ギターの轟音がとにかくすごい。それに合わせるかのように、照明のストロボが暗闇を裂く。新作「ROCK ACTION」からの楽曲がメインだったと思うが、とにかく楽曲云々よりも雰囲気を含めた全てを持ってMOGWAIのライブなんだな、という気がする。普通だったらマスターベーションと切り捨ててしまうようなギターノイズも、意外と計算されている印象を受けたし、ちゃんと楽曲として成り立っている。アルバム自体も日々好んでこればかりを聴くというタイプの音楽ではないが、この時この瞬間の気分やシチュエーションにはぴったりだったと、今はそう思う。

  万人を納得させる音楽では決してない。「ポストロック」なんてカテゴライズ、俺にはよく判らない。気持ちいいか否か、踊れるか否か。今の俺にとって、これがすべて。この日のMOGWAIは気持ちよかった。まぁ踊るどころか、呆気にとられて終始棒立ちに近い状態だったが。時々目を瞑り、その音圧のみを身体で感じてみたりもしたが、本当に気持ちよかった。頭を空っぽにして、ただ身体だけで感じる。せわしない日常の中で、こんな機会はそうはない。周りに何千、何万人いようがこうやって自分の空間を作り出すことができる。それがフジロックの好きなところだ。


◎渋さ知らズオーケストラ (at FIELD OF HEAVEN / 19:30~20:50)

  FOHに到着すると、まずその人の数に驚く。後ろの方まで人がいるのだ。しかもみんな気持ちよさそうに踊ってる。聞こえてくる音も気持ちよさげな音。響く音に合わせ踊りながら人混みに近づくと、ステージ上の人数に仰天する。少なく見積もっても20人はいるんじゃなかろうかという人の塊。決して広いとは言い難いFOHのステージ上、最前列にダンサーの女性陣が5~6人。その脇に歌&コーラスの男女がやはり7~8人。中央には指揮者。楽器隊はドラムがまったく見えず、ブラス隊、キーボードの女性が見えるのみ。間違いなくギターやベースといった楽器隊がいるはずなのだが。

  音楽は、もうノリノリでファンキーなソウルミュージック。レビュー形式で進んでいって(昨年サマソニのジェームズ・ブラウンみたいな感じ)、1曲が長くてそこにいろんなパートのソロを入れてく感じ。ここで初めてドラムが2人いることが判った(ドラムソロになったら、全員腰を屈めて後ろにもドラムが見えるように気遣うし)。

  曲の間に寸劇を挟んだりして、曲毎にメンバーが入れ替わったりする。途中、スーツ着てターバン巻いてたヒゲの男性が、石川さゆりの名曲「天城越え」を大熱唱。さらに後半、銀色の竜が客の頭上を飛び回る……が、すぐに心ない客の手によって破壊される。

  後半、山海塾(といって一体どれだけの人に理解してもらえるものか)も真っ青な全身白塗りダンサーが登場して、パフォーマンス。数曲のつもりが結局最後まで気持ちよく踊っちゃったもんなぁ。そのくらい、時間を忘れさせる程魅力的なライヴだったのだけは確か。こういうのは、家で聴くよりもこういう大自然の中で、大人数で消費するのが一番気持ちいいし、楽しい。


◎NEW ORDER (at WHITE STAGE / 22:20~24:00)

  16年振りですか、ここ日本にいらっしゃるのは。しかも今回はビリー・コーガンがギターで参加。ニール・ヤングと直前まで悩んだのだが、結局自身の“青春”を取ることとした。

  いやぁ、正直「Atomosphere」のイントロを聴いた瞬間、ジワッと涙が滲んだよ。懐かしさとかいろんなことがフラッシュバックして、その想いがとめどなく溢れそうになった。何で俺、NEW ORDERごときで泣かなきゃならねぇんだよ!って自分を疑ったが、こればっかりは仕方ない。暗黒の高校時代を思えば、それも致し方ないのかも。

  それにしてもビリー、あんま目立ってなかったね? スマパン時代はその「ガタイのデカさ」と「頭」だけが記憶に残る彼だが、この日はさすがサポートだけあって控えめ。一歩後ろに下がって、自身のプレイに徹する。時々コーラスを取ったり、バーニーとのデュエット的楽曲もあったが、最後まで帽子を被ったまま。あの威圧感がゼロだった。きっと、心底楽しんでるんだろうな、自分が憧れた、音楽を始める切っ掛けのひとつとなったバンドの一員としてフジロックみたいな大舞台に立てるんだから。スマパンの呪縛から解き放たれたような印象を受けたよ。こんな肩の力を抜いた雰囲気でのソロも見てみたい気がする。

  一方のNEW ORDERの面々は、ピーター・フック、暴れまくり。この日は参加できなかったギリアンがいないぶん、MARIONのギタリスト、フィル・カニンガムがキーボード&ギターとして参加。結局、JOY DIVISION+MARION+スマパンという、一見何が何やらな組み合わせだったのだけど……個人的には数々の名曲を思う存分聴けたこと、特にJOY DIVISION時代の「Isolation」「Love Will Tear Us Apart」といった大好きな曲を聴けたことが嬉しかった。勿論「Regret」や「Bizzare Love Triangle」「True Faith」「Temptation」等の代表曲も生で聴くと気持ちよかったし、新曲群も「これぞNEW ORDER!」的要素と「これからのNEW ORDER」を感じさせる要素が詰まった佳曲ばかりで、非常に期待が持てるものばかりだった。

  スタートが20分近く遅れた(実際には22:40頃スタート)ため、アンコールの時点で0時近かったが、そんなことお構いなし。前作からの「Ruined In A Day」他を披露後、最後の最後に超名曲「Blue Monday」。バーニー、ギターを置いて妙なステップで踊る。当然、声を振り絞って歌う。ロングバージョンとなった「Blue Monday」が終了した時点で、0時を10分程回っていた。結局90分というフルステージ状態のライブで底力を見せつけたNEW ORDER。「また16年後に会おう!」というバーニーの最後の一言、冗談に受け取れなかったんですけど。

  最後の最後に、ビリーにジャンプで飛びつくフッキー。帽子を取られたビリーを見て、あぁ、やっぱりビリーだな、と実感。

  聞けば裏のグリーンステージにおけるニール・ヤングも2時間半に渡る大熱演だったらしい。結局、どちらかを選ばなきゃならない運命だったのかなぁ。いやぁ、それにしてもいい夢観させてもらった!


01. Atomosphere
02. Crystal
03. Regret
04. Love Vigilantes
05. Isolation
06. Your Silent Face
07. Slow Jam
08. Turn My Way
09. Bizzare Love Triangle
10. Close Range
11. Touched By The Hand Of God
12. True Faith
13. Temptation
14. Love Will Tear Us Apart
---Encore---
15. Ruined In A Day
16. '60 Miles An Hour
17. Blue Monday


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 2001 08 12 12:00 午前 [2001年のライブ, FUJI ROCK FESTIVAL, HEATWAVE, MO'SOME TONEBENDER, Mogwai, New Order, Smashing Pumpkins, Soul Flower Union, ナンバーガール, 渋さ知らズ] | 固定リンク

2001/08/08

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)

◎JOEY RAMONE TRIBUTE (at GREEN STAGE / 10:30~11:00)

  「ライブ開始30分前に、先頃亡くなったジョーイ・ラモーンの追悼式を、フジロックのやり方でやる」とスマッシュの日高社長(大将)が言っていたので、RAMONES好きだし前行って観てみようと思い、出来るだけ前の方へ。

  まずMCのふたりがしゃべり、その後大型スクリーンを観てほしいと言って引っ込む。すると、聴き覚えのある、あの音楽が。映画「荒野のガンマン」の有名がタイトルナンバーが。ご存じの方も多いと思うが、これこそRAMONESのライブには欠かせない1曲なのである(METALLICAもRAMONESの真似をして、この曲使ってたっけ)。スクリーンには、ジョーイが元気だった頃の姿、RAMONESのライブシーンをコラージュ的にフューチャーしたものだった。と同時に、天井から懐かしのRAMONESのロゴが入った垂れ幕が。これ、本物?

  曲が終わり、拍手。そして大将が現れ、挨拶。ステージ袖から、これまでRAMONESのイラスト・デザインを手掛けてきた人が登場し、挨拶。残りのRAMONESメンバーから預かってきたという手紙を読む。続いて大将がそれを日本語に訳す。ここで先の垂れ幕が本当にライブに使っていたもので、現在「ROCK'N'ROLL HALL OF FAME」に寄与されていたのを借りてきたそうだ、これだけのために。

  続いてツアーマネージャー、そして同じニューヨーカーのパティ・スミス・バンドのギタリスト、レニー・ケイも登場し、それぞれメッセージを観客に伝える。ツアマネはジョーイの母親と弟からの手紙も持参し、読み上げる(全員のメッセージを大将はその場で日本語に訳して伝える)。

  これらのコメントを聞いて、如何にジョーイが日本を、日本食を、日本人を愛していたかが伝わってきたし、単純に感動した。そして大将は最後に「湿っぽく送るのはフジロックらしくない。フジらしいやり方でジョーイを送り出してやろう」と言って、ステージに1本のマイクスタンドが運ばれる。やけに身長が高い人用だなぁと思っていると、流れてきたのは「Blitzkrieg Bop」。スクリーンには再びRAMONES時代のジョーイの姿とライブシーン。曲に合わせて大暴れする俺。当然「HEY, HO, LET'S GO!」のかけ声と共に。RAMONESは1992年だったか1993年だったかに一度観ただけだが、バンドで何度もカバーした経験があるので、それなりに思い入れがある。というより、パンク好きな人でRAMONES嫌いな人っているの? 苗場に来たからには、この曲で暴れるのは義務なのだ。


◎KEMURI (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  やっぱりフジに来たからには、一番デカいグリーンステージでスタートしなくちゃ。今年は3日間共、日本の「パワーバンド」でスタートする、という話を事前に聞いていた。初日はKEMURIだ。スタートする前に、ボーカルが「再び今日、フジロックに出演でき、さらにこんなに大きな舞台のトップバッターをやらせてもらえることに感謝する」というような喜びと感謝の言葉の述べてから、いよいよ「PMA (Positive Mental Attitude)」という、KEMURIの姿勢を代弁する曲からスタート。のっけからモッシュ&だいぶの嵐。俺もその中に巻き込まれる。笑顔でやんの、俺。ギターのザクザク感も、ブラスの音色も気持ち良すぎ。

  途中、レゲエ調のインストを挟んでヒートアップした観客をクールダウンさせてから、再び代表曲の連発。秋に出る4作目のアルバムからもいち早く2曲を披露。特に目新しい要素は皆無だが、このバンドは変わらずにこのままのスタイル/姿勢で続けて欲しいと思う。そして願わくば、来年もこの大自然の中で感じたい音楽だと素直に思った。正直、こんなに惹かれるとは思いもしなかった。これは大きな収穫だった。


◎EGO-WRAPPIN' (at WHITE STAGE / 14:20~15:00)

  ホワイトステージは2年前とあまり変わっていなかった。あれ、前はスクリーンとかなかったっけ? 客も一昨年とは大違いで、結構入ってる。真ん中よりちょと前あたりで、最初は様子を伺う。印象としては、ジャズやブルーズ、ロック色が濃いジャズやブルーズといった感じ。もし今ビリー・ホリディが音楽をやっていたら、きっとこんな音を出すんじゃなかろうかっていうイメージの音。けどジャズロックとかブルーズロックとか、そういうのともちょっと違う。独特な「色」を持ったユニットだと思った。

  とにかく、踊ってナンボの音楽。日中の炎天下の中で聴くタイプの音楽だとは思わないが、最後まで気持ちよく踊らせてもらった。ボーカルの歌声が気持ちよく伸び、心に響く。その上手さに唸りながら、連鎖するように前へ前へと進んでいき、踊り狂っう自分。お洒落だとかクールだとか、彼らをそういう上品な言葉で表現することは簡単だ。けど、自分にはもっとどぎつい「黒さ」のようなものが感じられた。それは音楽的要素としての「黒さ」ではなく、もっと人間の暗部、決してネガな音楽をやっているわけではないのだが、何故かそういうものを感じてしまう。これは家でCD聴くよりも、クラブや小さい小屋でライブを楽しむ音楽だな。


◎くるり (at FIELD OF HEAVEN / 14:20~15:20)

  昨年のフジロックでは、ここFOHで奥田民生が演奏した際にやはり規制がかかる程人が入ったそうだ。「あのFOHが人でごった返してるって?」と半信半疑だったが、この時くるりを観に足を運んで、それがどういう意味なのかがよく判った。本当に後ろまで人でビッシリなのだ。

  俺が着いた時点でエンディング近くだったようで、すでに「ばらの花」がスタートしていた。この1曲が聴けただけでもよかった。昨年のサマソニにも出演してるが、そのときとは状況が変わってきている。すでに彼らはホワイトやグリーンでも何ら問題のない存在なのだ。

  ステージにはサポートのギタリストを入れた4人。「ばらの花」の後は、この日の為に作ったという「変な曲」(岸田・談)を披露。不協和音や怪しいコーラスが入る、殆どインストと言っていい曲。一応歌っているのだけど、歌詞らしい歌詞はなく、うめき声というか何というか……おふざけソングですな、これ。途中でフロント3人が同じアクションを取って踊ったりして、そしていきなりプツリと曲は終了し、くるりのステージも終了。


◎ミラクルヤング (at FIELD OF HEAVEN / 16:00~17:00)

  ボーカルは元INU、現在作家として活躍中の町田康(元・町田町蔵)、ギターにシアター・ブルックの佐藤タイジ、ベースが現在清志郎のラフィータフィーでも活躍中の藤井裕。このメンツでしびれた人、或いは「町蔵は何をやるつもりなんだ?」といった興味本位でここまで来た人。当日のFOHはこの2タイプの方々で埋め尽くされるはずだった。が、実際にはさっきのくるりでの規制がウソのような閑散振り。裏はグリーンでASIAN DUB FOUNDATION~TRAVISだもん。そりゃそっちに行くわ。

  ドラムとベース、そしてギターが登場して、軽くジャムセッション。カッコイイ! どこからが本番でどこまでがサウンドチェックなのか判らないくらい自然にスタートした。そして町田がアコギを首からぶら下げて登場。「ア~アァアァア~」っていう‥‥何だっけ、ほら、よく耳にする‥‥学校の音楽の授業とかでもやるクラシカル曲‥‥超有名な曲なのに、タイトルど忘れ。とにかくその曲をアレンジして、メロディーラインをア~だけで歌い通す町田。バックの演奏がフュージョン+ハードロックって感じで、ちょっとCHARあたりを彷彿とさせる。けどあそこまでジャジー&ブルージーでもないんだけど。ちょっとアレンジのせいで、ふとRAINBOW版「Somewhere Over The Rainbow」を思い出したのは、俺だけだろうか?

  前半はタイジの魅せ場満載で、町田の影が薄かった。タイジ、チョーキング一発決めれば右手を天に向け仰け反るし。ちょっとリッチー・ブラックモアと印象が被った。ギターヒーローらしいギターヒーローを久し振りに観た感じ。当人は本家であるシアター・ブルックでは歌も歌ってるわけだから、普段はここまで動けないはず。つうことは、フロントマンとして鬱積してたものが多少なりあったってことか。

  曲もリフ主体の70年代的ハードロック。ギターリフに合わせてベースもリフをユニゾンで弾いたり、またバトルしちゃったり。ジミヘンとかツェッペリンみたい。しかも1曲が長い(必ず中盤にジャムセッション風のソロパートが入る)。こういう古くさいハードロックが町田の歌に合っていたのかは最初、疑問を感じていたが。

  MCは完全にタイジの役目。町蔵ぅ~って歓声が湧くと、それにちゃんと受け答えする町田。「黒って何だぁ~?」っていう、例のCMを意識した声が挙がると、たまらずタイジも「うちのボーカルは、怒らせたら怖いぜぇ~」と一言。この後あたりからだろうか、町田もエンジンがかかり始めたのは。

  町田は終始マイペースで、歌い方自体は最近の唱法なのだけど、やっぱり存在感ある人ってのは、そこに立ってるだけで違う。もうステージの上にいるだけでいい。オーラっつうか、そういうのをひしひしと感じる。で、それに対して大袈裟すぎるくらいのアクションで受け答えするタイジ。一見対照的だが、このバランス感がバンドには必要なのだ。

  最後にはノリノリで終了したミラクルヤング。音源が発表されていないため、1曲も知ってる曲はなかったが、それでも十二分に楽しめた。大物ミュージシャンが組んだ「スーパーユニット」というイメージが観る前はあったが、あれを観た後なら誰もが「これはバンドなんだ」と断言できるはず。


◎MANIC STREET PREACHERS (at GREEN STAGE / 19:10~20:30)

  以前から「フェスでマニックスを観たい!」と言い続けてきた俺だが、その願望が遂に実現する日が来た。しかも、大好きなフジロック、苗場の一番大きなステージで。さらにOASISの前座ときた。こりゃ観客もマニックス側も盛り上がらないわけがない。どうOASISを「食う」のか‥‥その1点だけがずっと気になっていた。

  無機質なインダストリアル系っぽいSEに合わせてメンバーが登場し、ジェームズがいつもの挨拶をした後に1曲目のタイトルをコールする。今回のツアー同様、「Found That Soul」からスタート。本ツアーとは選曲・曲順を変えていて、通常は2曲目に「Motorcycle Emptiness」へと流れるのだが、比較的アップテンポな曲を頭に固めた。フェス仕様なのだろうか。個人的にはまだ一度もライブで体験したことのなかった「Faster」に痺れ上がった。

  新作からの曲が激減し、シングルナンバーだけになっていたのはちょっと驚きだった。個人的にはライブで聴きたい曲満載だった新作なのだが、どうやら今夜はグレイテストヒッツ的内容で攻めるようだ。これもOASISに対する挑戦状だろうか。それにしても、新譜や前作からの曲への反応は素晴らしいのだが、「Faster」や初期の曲への反応の寒さといったら。自分の周りだけだったのかもしれないが、明らかにノリきれてない。ボーっとその場に棒立ち状態。前のブロックでは半狂乱に暴れる輩やダイバー続出の「Motown Junk」でも「これ、知らなぁ~い」って今にも言いそうな空気が流れていた。

  内容に関しては文句なし。ジェームズもいつも通りだったし、ショーンもいい感じだったし、ニッキーはこれまで観た中で一番調子良さそうだったし。そのニッキーが爆発したのが、エンディング「You Love Us」でのこと。2コーラス目の途中でベースを床に叩きつけ、マイクスタンドを持って、客を煽りまくる。当然ベースの音がないまま曲はギターソロへと突入。前回来日時の縄跳びといい、この人は……ちなみにこの日の彼は久し振りのワンピース姿。中盤のジェームズ弾き語り前後で衣装替えを行っている。

  アコースティックコーナー前に「A Design For Life」やられちゃったんで、泣くに泣けなかった。っと盛り上がるところでやってほしかった。唯一文句を言うとしたら、中盤以降の曲の並べ方かな。ミディアム~スローな曲が固まっていて、途中から肌寒さを思い出す瞬間が何度かあった。けど、プレイされた曲の大半はシングルとして発表されている曲ばかりなので、もしかしたらこのセットリストってのは、来るべきグレイテストヒッツへの伏線なのかもしれない。

  何にせよ、俺は泣かなかった。きっと泣くだろう、誰もがそう思っていたはず。実際自分でも号泣するんじゃ……なんて思っていたけど、目頭が熱くなることすらなかった。何故? もうマニックスが、俺にとって必要なバンドではない、ということではない。俺がマニックスを越えていったんだろう。そこに俺が込めた思いとか、想い出とか、そういうのを越えていって客観的に見れるようになったのかもしれない。それに後ろのほうで観てたから、とのも大いに関係あると思うが。とにかく、初日のピークだったのには違いない。

  最後の最後で、ニッキーはアンプやモニターにマイクスタンドをぶち込み、ショーンもドラムセットを蹴り倒す。かなり派手にやってる。これこそ俺が知ってるマニックスってもんだ。ただ、初期の彼らを知らない最近のファンはビビっていたようだが。これもOASISへ対する煽り、挑戦状だったのだろうか?


01. Found That Soul
02. You Stole The Sun From My Heart
03. Faster
04. Motorcycle Emptiness
05. Ocean Spray
06. Tsunami
07. The Masses Against The Classes
08. Let Robeson Sing
09. Sweet Child O'Mine ~ Baby Love ~ Motown Junk
10. A Design For Life
11. Raindrops Keep Fallin' On My Head
12. The Everlasting
13. Ready For Drowning
14. Everything Must Go
15. So Why So Sad
16. Kevin Carter
17. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
18. You Love Us


◎OASIS (at GREEN STAGE / 21:30~23:00)

  会場に向かう途中、1曲目「Go Let It Out」が聞こえてきた。続く2曲目までは昨年の来日公演と同じ。途中、風の流れで曲が確認出来なかったが、会場のゲートをくぐった時点で「Morning Glory」が終わったところだった。

  グリーンステージに到着して、俺は驚愕の場面に遭遇する。人、人の海なのだ、グリーンステージが。こんなグリーン、観たことないぞ? 一昨年のBLURも確かこんな感じだったけど、あれよりも遙かに人が入っている。恐らく今日苗場を訪れた人の8割以上がここに集まっているんだろう。

  そうそう、こんなOASISが観たかったんだよ! グラストやレディングフェスでの一場面のような光景。本当に鳥肌が立った。前の方で観てた人には判りづらいと思うが、後方から全体を見渡したときの光景といったら、それはもう例えようがないくらいのすごさだった。俺の中の理想像に限りなく近い光景がそこにはあったのだ。

  リアムもかなり調子がよさそうで、他のメンバー(特にゲムとアンディ)も数をこなしたことによって魅せ方が判ってきたような印象を受けた。ゲムがソロを弾く場面もかなり増えていたし。

  けど、みんなが言うほど俺はセットリストはすごいとは感じなかった。結局、要所要所は前回とほとんど変わっておらず、「Wonderwall」をやらない代わりに意外性のある曲が多かったってわけでもない。1998年2月の武道館以外は毎公演足を運んでいるだけに(特に初来日と2回目は何度も観ているし)、それまでに演奏されている曲ばかりだから新鮮味はあまりなかった。とはいえ、大半の曲を一緒になって歌ったんだけどね。

  個人的には前回聴けなかった「Shampagne Supernova」を野外で聴けたことが大きな収穫か。これで天気が良くて流れ星なんか見えたら最高のシチュエーションだったんだけどなぁ(この頃には肌寒いを越え、凍えそうなほどの寒さだった)。

  ラストはお約束の「Live Forever」なのだが、ここであることに気づいた。みんな歌っているのだ! 「Maybe, I don't really wanna know♪」ってちゃんと聞こえる。やっと実現した、3万人が同時に消費するOASIS。ここで2度目の鳥肌。嗚呼、やっぱりOASIS観ておいてよかった。素直にそう思えた瞬間だった。

  アンコールにも応え、懐かしい「I Am The Walrus」を披露して、23時頃には終了。実質90分におよぶステージだった。正直期待していなかっただけに、これはちょっと得した気分だった。見終えたときにはマニックスとの勝負なんてどうでもよくなっていた。特にマニックスの煽りを受けるわけでもなく、OASISはいつも通りのOASISのまま。貫禄なのか、端から相手になってなかったのか。ビッグなバンドのすごさってのを改めて見せつけられた思いがする。


00. Fuckin' In The Bushes
01. Go Let It Out
02. Who Feels Love?
03. Columbia
04. Morning Glory
05. Supersonic
06. Fade Away
07. Acquiesce
08. Gas Panic!
09. Cigarettes & Alcohol ~ Whole Lotta Love
10. Step Out
11. Slide Away
12. Champagne Supernova
13. Don't Look Back In Anger
14. Live Forever
---Encore---
15. I Am The Walrus


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 2001 08 08 12:00 午前 [2001年のライブ, EGO-WRAPPIN', FUJI ROCK FESTIVAL, KEMURI, Manic Street Preachers, Oasis, Ramones, くるり] | 固定リンク

2001/06/11

SATURDAY NIGHT R&R SHOW 2001 "We Are The BRAIN POLICE"@日比谷野外音楽堂(2001年6月9日)

  頭脳警察が10年振りに再々結成する。正直、この話を知った時は「何故今更!?」という気持ちが強かった。だったら世紀の変わり目辺りに設定すればよかったんじゃないの?」とも思った。そして今回の活動に伴って、30年近く発禁扱いとなっていた幻のファーストアルバムを再発するというではないか。これは正直驚いた、というよりも嬉しかった。更に過去の未発表ライヴアルバムも同時にリリースさ れるという。ちょっと後ろ向きかな?とも思ったが、まぁただ活動再開するだけじゃないだろう、きっと新しいマテリアルも発表するだろうし、ライヴもやるだろうし‥‥それよりも、きっと今回の復活には意味があるのだろう。そういろいろ考えながら、今回の再々結成に臨んだ。

  10年振りの復活の日を6月9日(ロックの日)、しかもその場所を皇居に近い日比谷野外音楽堂を選んだというのも、なんだかもっともらしくてニヤけてしまう。更に頭脳警察の復活を祝うかのように、幾つもの若手バンドと、パンタとも交流のある中川敬率いるSOUL FLOWER UNIONも一緒だ。個人的に興味があるバンドが幾つも出演するし、何よりも「一体2001年の頭脳警察はどういう音を出すのか?」の一点に興味があったので、迷わず行くことを決定した。パンタとトシは「2001年の音」を鳴らすのか、それともただの「懐古趣味」で終わるのか‥‥

  いざチケットを取ってみたら、最前列だった。いいのか、どのバンドもそれ程詳しいというわけでもないのに‥‥まぁ椅子有りのライヴでこんなに前で観るのは初めてなので、この際楽しむこととしよう。ワクワクした気持ちで有楽町から野音まで歩いた。

  開場してから10分くらい経って入場した。会場に入ると、まず目に入ったのがグッズを買うための長蛇の列。当然、頭脳警察Tシャツなるものがこの日限定で発売されていたわけだが、勿論俺もその列に加わった。原宿「under cover」デザインという、とても頭脳警察とはイメージが結びつかないが、これがなかなかいいモノで。ファーストのジャケットをあしらった黒Tや、日比谷6.9メモリアル的な赤やグリーンのTシャツ等4種類ほどあった。俺は赤を購入(その後、すぐにソールドアウトとなったらしい)。「We Are The BRAIN POLICE」という文字や、胸に描かれた旗の中の「頭警」の文字がやけに目立つ、クール(ちょっと死語)な一品だ。これ、フジロックに着ていこう。

  自分の席に着くと、目の前は柵、すぐステージがあるような位置で、正面より左寄りだった。ベースアンプがあったので、今日はベーシスト観察となりそうな予感。まぁそんな余裕はないだろうけど。買ってきたビールを飲み干し、既に開演前から出来上がった状態だった。さぁ、そろそろ開演時間だ。舞台袖からスタッフらしき男が「S.E.回して!」と反対側袖のスタッフに怒鳴る。日はまだ暮れていない。梅雨時にも関わらず、幸い天気には恵まれたようだ。ドライアイスのスモークが立ちこめる中、いよいよトップバッターの怒髪天の登場である。


◎怒髪天

  名前だけは雑誌などでよく目にしていたのだが、それ以外のインフォメーションは一切なし。勝手な思いこみで‥‥名前からイメージして、ハードコア系だと思っていた。が、それは大いなる勘違い。4ピースバンドの、良くも悪くも「日本のロックバンド」といったイメージのバンドだった。4人が4人共個性がバラバラで、ボーカルはポルノグラフィティあたりにいてもおかしくない出で立ちで(あれよりももっと無骨な印象だが)、ギターはちょっとヤンキー入った感じ、ベースはいかにもパンクなルックス、ドラムは‥‥怖い、怖かった(笑)。土建屋あたりに勤めてそうなルックス、そこにレイバンのサングラスだもん‥‥がら悪いよ、マジで(笑)。けど、サングラス取ったら結構かわいい顔してたけど(笑)。

  うん、このバンドのイメージは「漢(おとこ)」だね。パンキッシュな和製ロックンロール。エレカシなんかに共通する、あのイメージ。個人的には嫌いじゃないけど。曲は思い出せないけど。「男なら~♪」みたいな歌詞は頭に残ったけど、それだけ。それ以上にボーカルのMCしか印象に残っていないのも何だけど(笑)。やたらと客に向かって「てゆうか、殺します」と言ってたのが印象的。 いや、好きなんだけど。客席からも笑いがこぼれてたし。 20分程度、5曲で終了。これからのバンドだな、こりゃ。


◎In the Soup

  「インスーは凄いらしい」という噂だけが先行していて、実際この日が初めてだった。勿論、音聴くのもヴィジュアルも。よくよく調べたら、一昨年のフジロック「ニューカマー・テント」に出演したそうな‥‥それは未チェックだった。メジャーデビュー自体は昨年らしいけど、それまでもインディーズでマキシシングル何枚か出してたみたいなので、活動歴自体は結構あるようだ(年齢的にも俺に近いらしいし)。

  で、そのインスーだが‥‥うん、いいバンドだわ。ここも4ピースだけど、ボーカルがギター弾く頻度が高く、音的には前のバンドよりも広がりがあってよかった。音楽のジャンル的には好対照で、こっちは勢いというよりも、完全に聴かせるタイプのバンド。ボーカルの声量や歌唱力が半端じゃなく、それを支えるバックもなかなかなもんだった。ボーカルのルックスがいい意味でエレカシ宮本+ミスチル桜井って感じ?で、女性ファンもかなり入っていた。かなり声の太い、ソウルフルな歌声で、好印象。歌詞も聴かせる感じのもので、非常に興味深かった。その大半がミディアムテンポの曲だったので、途中で飽きを感じていたら、終盤にあの"グリーングリーン"をパンクバージョンで披露(お約束なの?)し、一気に観客の目(耳)を惹きつける 事に成功した。自分らを知ってる人も知らない人も唄える歌だろ~みたいなアドリブ入れて、コールアンドレスポンスを求めてたけど、なかなか上手くいかなかった。

  そうそう、アドリブの多いシンガーだね。「大人も子供も~男も女も~いろんな顔が見えるぜ~ヘルメット被った人もいるし~今日は物騒だぜ~♪」なんてアドリブをいろいろかましてて、客を惹きつけるパワーだけは持ってるようなのだが、いかんせん今日は頭脳警察目当ての客が殆どなわけで、分が悪すぎた。かわいそうだけど。

  5~6曲程度で、約30分のステージだった。単独で観てみたい気がしないでもない。ってその前にCD聴いてみようかな? ひたちなか3日目も出るそうなので、もう1回ライヴ観てから決めようかと思う。


◎SOUL FLOWER UNION

  実はニューエスト時代は勿論、ソウルフラワーになってからも1度もライヴは観たことがなくて、この日が初めて。昨年のフジロックでの武勇伝をいろんな人から耳にしていただけに、かなり期待してたのだが‥‥期待以上。正直、マジ惚れした。よく俺がBRAHMANに対して「純日本のロックバンド」という表現を使うが、はっきり言ってその例え、ソウルフラワーの方がピッタリ。ニューエストやメスカリン・ドライヴはそれぞれイギリスやアメリカのニューウェーブを発端としてスタートしているわけだが、そこからいろんな民族音楽などを取り入れることによって、真の意味での「ミクスチャー」バンドと成長していったのが、現在のソウルフラワー。しかし、彼らに対して多少の疑念のようなものがあったのも事実で、正直「胡散臭い」と思ってた時期もあった。けど、それを見事に打ち消したのが、1999年末に発表されたライヴアルバムだった。なんだ、結局はこいつら、ただのロックバンドじゃねぇか!?っていう、至極シンプルな結論に達したのだ。だから、それを生で体験できる今日この日を、俺はどれだけ待ち望んだことか‥‥

  ステージにはサポートのドラマーを含めた5人。テレキャスターを持った中川が主にリードを弾き、伊丹嬢は白のグレッチやら、アイリッシュ・トラッド系の人がよく持ってるような変な形のアコギやら、チンドンやら太鼓やら、曲によっていろいろ持ち替える。1曲ごとに持ち替えるのではなく、エレキを使う曲2~3曲やったらアコギで2曲、続いて‥‥という感じなので、特に楽器チェンジによるイライラ感はなかった。だって、それをサポートする中川のMCがあったから。この人、いい人だね?

 パンタに対する愛情をたっぷり語っていた。

「丁度10年ちょっと前に、バンドブームなるものがありまして‥‥当時、ニューエスト・モデルっていう、どうしようもないバンドがいまいて(笑)。‥‥ああ、メスカリン・ドライヴっていう、うざったいバンドもいましたけど(伊丹と目が合い、全員爆笑)。その時によくイベントとかでいろんなバンドと対バンするんですよ。若手ばかりなんですが、たまにベテランの人もいまして‥‥で、そういう時は食ってやろうって喧嘩腰で挑むんですが‥‥俺はそこである人に出会って、その人に心底惚れちまったんですわ。それがパンタなんですけど(笑)」

‥‥なんか、イイ話だなぁって思って。酔ってたせいもあって、かなり感動してた、俺ひとり。「そろそろ‥‥来年あたり、しっかり動いてもらわないと、パンタのオヤジには」とか言っても、もうそこには愛しか感じないわけで。中川ってもっと怖いイメージがあったのだけど(勝手に思いこんでただけだが)、すごく愛想のいい、いかにも関西の人って感じで、この日で印象がガラリと変わった。ちょっとね‥‥本気で好きになったよ、俺。

  演奏は、さすが中堅以上ベテラン未満って感じの、上手いんだけど落ち着いてない、荒さをところどころに感じさせるプレイ。リズム隊、特にドラムがかっこいい。何故サポート!?って思ったもん。ベースにしろ、キーボードにしろ、まぁこの人達はニューエスト後期からのメンバーだからね。そしてギターやチンドンにと大忙しの伊丹嬢に目を奪われっぱなし。カッコイイ、やっぱ女性ギタリストって。

  曲については今更何も言うことはないだろう。アイリッシュ・トラッドを感じさせる曲や、普通のロックンロールにお囃子の合いの手を入れたりとか、沖縄民謡をモチーフにした心にしみるバラードとか。結局、ニューエスト時代後期とやってることは一緒なんだけど、もっと幅広く、尚かつやりたいことが明確になってる分、揺るぎない自信というか、「これだよ、これ!」っていう何かを感じさせる、本当に素晴らしい内容だった。新曲らしいが、曲の最後のKINKSの曲で、JAMもカヴァーしてる"David Watts"の「パパパパ~パ~‥‥」ってコーラスを取り入れた曲もあって、なんか本当に「ミクスチャーミクスチャーしてないロックンロール」だなぁと好印象。7月に出る2年半振りの新作、期待大だな?

  ソウルフラワーの演奏時には前の方の客もほぼ立ち上がって踊り狂ってた。合いの手入れたり、本当、この後に待ちかまえてる「暴動」なんて知りもせずにピースフルな空気に包まれまくってた。もう1回、単独で観たい。50分では物足りなかったもの。


◎頭脳警察

  ソウルフラワーが終わった途端に、場の空気が変わった。セットチェンジ中、S.E.にフランク・ザッパの"Who Are The Brain Police?"が流れてたのだけど、終始異様な空気が流れていた。「パンターっ!」「トシーっ!」って野太い歓声がそこらじゅうから飛び交って。それまで後ろのブロックにいた黒メット隊や旧ソ連の国旗をあしらった赤ヘルやらが最前列に。い、いいのか!?(苦笑)俺の隣にもそれまでいなかった女性が‥‥ってよく見たらかなり歳いってる人で(笑)。 周り見回すと、最前ブロックの年齢層が高かったような‥‥オールドファンやら元赤軍の方々が集結してるのか?と思えるくらい、物騒な空気が漂っていた。

  照明が消え、ステージにメンバーが現れると、後ろからいろんなものが飛んできて、俺の目の前には火のついた爆竹が投げ込まれ、それがベースの足下で爆発。ベースのあんちゃん、飛んできた方にガンつけるし。しかも強面な人だったので、ちょっと俺も涙目に‥‥だって、俺もビビッたもん、目の前でいきなり爆竹破裂して(泣)。缶ビールもバンバン飛んできて、俺、思いっきり頭から被っちまうし‥‥既に真正面最前列はパンタやトシを観て、大暴れ始めてるし‥‥た、助けて‥‥この時ばかりは正直、ライヴレポートなんてどうでもいいから、後ろの立ち見席まで逃げようかと思ったよ、小心者な俺は(爆泣)。

  いきなりベースがあの印象的なフレーズを弾き始める‥‥1曲目は"銃をとれ"。もう最前列にいた赤いTシャツのにぃちゃん、柵越しにステージに上がるし! それまで柵とステージの間にはカメラマンしかいなかったのに、スタッフが慌ててやってくる。最前列の人間が柵をブチ怖そうとするわ、それを押し戻すスタッフと対立するわガンつけあうわで、小心者の俺としては(笑)ドキドキもんで非常に居心地が悪かった。演奏に集中するどころじゃねぇってぇの、マジで。

  一応、バンド構成の説明。パンタがリズムギターと歌で、トシがパーカッション。このふたりがステージ中央で演奏する形で、向かって右側には10年前の再結成にも参加した藤井一彦(Gt/THE GROOVERS)。今更何もいうことはないだろう。この人にストラト持たせたら、カッコイイの何のって!清志郎リスペクトイベント@武道館でもこの人は光っていたし。THE GROOVERSは泣かず飛ばずのイメージがあるが、サポートだけに留まらず、是非バンドとしても気合いで頑張って欲しいもんだ。

  左側、つまり俺の前のベースはJIGEN(B/も・も・な・し)。一見ヘヴィロックやハードコア系をやってそうな外見(坊主頭にタトゥー、袖に「梨」なんて漢字の入ったTシャツ、短パンに編み上げブーツ等々)だったが、実際には女性との2人組ユニットをやってる人らしい(音は未聴)その昔はハードロックバンドで活躍していた人らしいが‥‥パンタとは昨年末にあるセッションで出会ったらしい‥‥とにかくこの男、かなり上手い。"銃をとれ"をスラッピングで弾くとは、思ってもみなかった。その後、全ての曲指弾き&スラップで対応。しかもいい味出してるし。これはかなりの逸材ではないだろうか?

  ドラムはYOSHIRO(Dr/COBRA)。ひとりツンツンに立てた髪がいい感じで自己主張してた。パンクバンド出身だからもっと性急なビートを刻む人かと思ったら、意外とズッシリとした、重くてパンチのあるビートを叩きつけるタイプだった。これも意外。つうか、このバックはいい感じに作用してるんじゃないだろうか?

  この5人で奏でる音というのが‥‥ハードロックというよりも、ヘヴィロックに近い、かなり重心の低い音だった。ギターはそれ程歪んではいないのだけど、リズム隊のビートが異様に重くて、尚かつ昨今のヘヴィロックに匹敵するだけの技量とアレンジだったもんだから、全く古さを感じさせなかった。そう、演奏された楽曲は、殆どが'70年代の代表曲なのだけど、全く古さを感じさせない、むしろ「2001年の音」として鳴り響いていたのだ。これには正直驚いたし、逆にワクワクしてしまった。現在、頭脳警察としてのオリジナルアルバムを作ってるそうだが、きっとこのメンツに更にゲストを迎えてって形だろうから、かなり期待できるんじゃないだろうか?

  客席では相変わらずめっと隊の奴らが椅子の上に立って後ろを煽ったり、客席の左右に走り回ったりしてた(ような)。とにかく、最前列の暴れっぷりは一種異様。あんなライヴ、きっとここ10年くらいなかったんじゃないの? パンタはMCを極力なくしてた。煽ったら逆効果なの判ってたから? 歌以外からは感情をあまり感じさせなかった。「頭脳警察です。10年振りに凍結解除しました」とか、そのくらい。演奏や歌の熱は半端じゃなかったけど。

  やっぱりピークは頭2曲と、大合唱になった"さようなら世界夫人よ"、そして"ふざけるんじゃねえよ"では再び一悶着あったし、本編ラストの"Blood Blood Blood"も凄い盛り上がったかな。そうそう、唯一演奏された新曲。これは先にも書いたようなヘヴィロック的アプローチ、更に攻撃的な歌詞だったので、かなり期待していいと思う。この曲のみ、リズム隊のフレージングはそれまで以上に「今」してた。うん、かなりカッコよかった。

  アンコールは"コミック雑誌なんか要らない"からスタート。これなんてもう、リズムが重くてキレがあるから、ツェッペリンの"Rock And Roll"みたいだった。ただひたすらカッコイイ。

  更に続くは、あの印象的なドラムのタム回し‥‥そう、"悪たれ小僧"だ。ここでパンタがこの日初めての笑顔で叫ぶ。「中川ぁ~!」そして袖からギターを持って登場した、ソウルフラワーの中川。どうやらこの曲でセッションするようだ。そういえば本編の間、ずっと袖から中川が演奏を食い入るように観てるのが目に入っていたのだが、本当にこの人、パンタを慕っているんだなぁ‥‥レスポール(パンタ)、ストラト(藤井)、テレキャスター(中川)という、相性がいいんだか悪いんだか判らないギターバトルが繰り広げられる。中川はサビのコーラス入りを間違えたりで、結構茶目っ気たっぷりな笑顔を見せていた。パンタも本編以上に笑みがこぼれる。うん、こういう頭脳警察もちょっといいかも‥‥

  結局、ソウルフラワーと同じ程度の50分でライヴは終了。約3時間に及ぶイベントはこれをもって終了した。そういえば、頭脳警察の音、半端じゃなくデカかったなぁ‥‥耳おかしくなったもん。爆竹のせいもあるけど(苦笑)。


[SET LIST]
01. 銃をとれ!
02. マラブンタ・バレー
03. 歴史から飛びだせ
04. さようなら世界夫人よ
05. (新曲)
06. ふざけるんじゃねえよ
07. Quiet Riot
08. Blood Blood Blood
—encore—
09. コミック雑誌なんか要らない
10. 悪たれ小僧


◎総評

  ここまでタイプの違う4バンドが揃うイベントも、逆に面白いと思う。4月に観た19や清志郎出演のイベントよりは、「ロック」で統一されていたからかも。今回はあくまで頭脳警察がメインなわけで、その再々出発の門出を祝うかのような演出だったのだが、中には明らかに頭脳警察とは何の関係もないバンドもいた。けど、それはこういうイベントの性質上仕方のないことだと思うし、逆にいろんな音楽を楽しめる「お得感」が楽しめたのではないだろうか? まぁ俺みたいに何でも楽しめるという人ばかりでもなさそうで、実際には頭脳警察にしか興味がなく、ソウルフラワーが終わるまで会場に入らなかった人もいたくらいだ。ソウルフラワーの時と頭脳警察の時とでは、明らかに客の数が違ったし。何か俺からすれば「人生損してるんじゃないの?」とか思ってしまうんだが‥‥人それぞれだから、まぁいいか。

  話によると、今回の頭脳警察は9月9日までの「3ヶ月限定」活動らしい。その間にアルバムを制作して、ライヴもまたやるんだろう。今告知がないところをみると、きっとゲリラ的にライヴハウスやイベント、フェスなんかに飛び入りするのかもしれない。そういえば、'90年の再結成のときも「悪たれ小僧」の名でシークレットライヴやったそうだから‥‥ありえない話じゃないな?

  とにかく、もう1回フルで観たい。その時は、是非中央から後方で‥‥マジで怖かったんだってば(泣)



▼頭脳警察『頭脳警察1』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 06 11 12:35 午前 [2001年のライブ, Soul Flower Union, 怒髪天, 頭脳警察] | 固定リンク

2001/05/21

エレファントカシマシ@Zepp Tokyo(2001年5月20日)

  というわけで、エレカシである。前回のツアーは昨秋リリースのコンピ盤「SWEET MEMORY ~エレカシ青春コレクション」をプロモートするツアーでもあったわけで、そこでいち早く新曲"孤独な太陽"が披露されていた。今回のツアーは全国にあるゼップ会場を回るクラブツアーになるわけだが、新曲リリース後にニューヨークへ飛んでレコーディングをしていたというそうだから、この場で再び新曲が何曲か耳に出来るのでは‥‥そんな思いを胸に、約2年振りにお台場・ZEPP TOKYOへ向かった。

  会場には開場時間1時間前に到着してしまった。既にグッズの先行発売を行っていたが、会場内からはリハーサルの音が漏れている。"コールアンドレスポンス"のようだ。ツアー開始2日目という事で、感を取り戻す為に念入りなリハーサルを開場直前まで行っているようだった。

  その後、会場周辺をぶらつき、開場時間の17時を過ぎた頃に再びZEPP前へ。既に入場の為の行列が出来ていた。俺はB280番台だったので、暫くその行列を眺めながら今日演奏して欲しい楽曲を勝手に想像していた。果たして秋冬のツアーとどう変えてくるのか‥‥

  ZEPPは独特な柵分けがあって、ダイヴなどがしにくいような気がする。まぁエレカシでダイヴっつうのも‥‥見てみたい気もするが。俺は会場中央よりちょっとだけ前寄りに陣取り、ライヴのスタートを待った。前回同様10分遅れでスタートした。上下黒で統一したメンバー4人が現れる。「Oh,Yeah!」を連呼する宮本。ホールとは違い、独特なノリが感じられた。

  1曲目は先日発売のマキシシングルに収録された"東京ジェラシィ"。ちょっと意外だった。かなり低いキーから唄い出す曲なので、ちょっと聴き取り難かった。キーが高くなって判明したのだが、この日の宮本の声の調子はあまりよくないようだった。何か既にツアー後半戦的コンディションというか‥‥千葉で観た時と同じような状態のような気がした。リハーサルに気合い入れすぎたのか、それとも最近はいつもこんな調子なのか‥‥この状態は最後まで続いたが、前回のように後半更に酷くなるということもなく、この状態を維持したまま、宮本は最後まで唄い叫んだ。

  続く2曲目はお馴染み"明日に向かって走れ"。前回と同じ構成だ。特に目新しいことなし。ただオーディエンスとメンバーとの距離感が短いせいか、「歌」がよりダイレクトに届いた、そんな気がした。メンバーの表情も手に取るように判るし。3曲目は先頃JR東日本のCMにも起用された、懐かしい"孤独な旅人"。出だしのギターのキーを宮本が間違っていた為、一瞬ドキリとしたが、そこはさすがプロ。何事もなかったかのようにオリジナルのキーに戻っていた。

  この後の展開は、やはり前回同様の"悲しみの果て"や、久し振りでは!?の"おまえと突っ走る"といった「ココロに花を」の楽曲を連続3曲披露。ちょっと嬉しかった(好きなアルバムなだけに)。そして一端"今宵の月のように"を披露した後、小休止。アコースティックコーナーへと移る。

  ここでは「愛と夢」から唯一披露された"真夏の夜空は少しブルー"がいい感じだった。前回のツアーでも時々演奏されていたようだが、「愛と夢」再評価が俺の中で盛り上がっている時期だったので、ちょっと嬉しい。本当はもっと他の曲も聴きたかったのだが‥‥そして続けざまに披露されたのが、「東京の空」収録の"誰かのささやき"! これには正直驚いた。タンバリンをサンプリングした打ち込みに合わせて演奏するという昨今のスタイルで演奏されたのだが、この時点までに演奏されていた『ポニーキャニオン~東芝移籍後』の楽曲と全く違和感がなかった。傑作「東京の空」というのは、今思えば初期のストロングスタイルのエレカシと、移籍後の歌を聴かせるスタイルのエレカシとの橋渡し的作品だったのではないだろうか? もっともあの時点での契約終了がなければ、「ココロに花を」は存在しなかっただろうけど。そういう意味では、本当にバランスがとれた作品だと思う、「東京の空」は。

  少し話が脱線したが、ライヴに戻ろう。アコースティックコーナーの締めは、最新シングルの"孤独な太陽"。昨年末のツアーでも既に披露されていた、あの曲だ(但し、当時はまだタイトルがなかった)。前回同様、宮本は椅子に座ってギターを弾く。あれっ、確か昨年のツアーではアコギだったような気が(テレビや今回のライヴではレスポールだった)。アレンジ自体は殆ど変わっていないようだが、リリースされて歌詞に目を通した分、より伝わって(聴き取れて)心に響いた。もっとヒットしてもいいはずなのだが‥‥

  ここで宮本、手ぶらに。「新曲がやっと1曲出来ました。えっと、いつ出るんだっけ? 7月?(と石くんに問いかける)ってこのオヤジに聞いても判るわけないか」と、相変わらずギターの石くんイジメ(笑)。そして披露された新曲は、パワーコード一発!って感じのリフが印象的な、アップテンポのロックナンバー。曲の構成は比較的シンプルで、Aメロとサビの繰り返し。低いキーからスタートし、後半オクターブ上がりするのは、最近の宮本のパターンなのか? 「豊かさの中の流浪の民よ」「俺達の憂鬱を」といったフレーズが耳に残り、「闘争」という言葉も何度か出てきたような記憶が‥‥歌詞だけ取れば、初期エレカシ的スタイルなのかもしれないが、メロディーが「現在進行形」のエレカシを感じさせるもので(特にコード進行に それが顕著に表れている)、まぁヒットは期待できないかもしれないが、次の一手を占う意味では非常に興味深い作品だと断言できる。
  そして何より、この新曲も「あくまでバンド」として演奏していた事が嬉しかった。前作では宮本の独断で打ち込みを取り入れ、それが楽曲に上手く作用していたが、石くんも成ちゃんもトミも、上手く生かし切れていなかったのでは?という疑問も少しだけあった。だからこそ、今年に入ってからの新曲が「あくまでバンド」主体の楽曲‥‥打ち込みに合わせて演奏するのではなく‥‥ばかりだという事に、俺はちょっとドキドキしている。もしかしたら、ハードサイドとソフトサイドが上手く融合した、過去最高のエレカシが生まれる可能性もあるし、逆に転ける可能性もある。恐らく秋にはアルバムが手元に届くはずだから‥‥その時にまた続きを。

  ここから後は、前回のライヴ同様、お馴染みの曲で攻めてエンディングまで持っていく形だ。前作からの"武蔵野"を披露した後に、トミのスネア頭打ち‥‥会場騒然、そう、本編ラストは"コールアンドレスポンス"だ。宮本は途中でギターを下ろし、狭いステージの上を右へ左へと暴れまくる。ここまでは高音がかなりきつそうだったが、それでも前回よりはいい方だ。マイクを床に叩きつけてステージを去り、本編終了。当然、アンコールを求める拍手が延々続く。

  ステージ袖から走って登場する宮本。シャツを黒から白に着替えている。やっぱり宮本といえば白シャツだろう。「もう何曲かやります!」の声に、観客大喜び。さて、ここまでで「エピック時代」の楽曲は1曲のみ。他にも期待できるのか?

  まずは再び「ココロに花を」から"かけだす男"。これも好きな曲だ。ハードだが泣きのメロディーが胸に響き、切なくなる曲だ。後半メロディーや節回しが複雑になるところが特に好き‥‥演奏もタイトだ。

  エンディングを引っ張り、宮本がトミに何か話しかける。相づちを打つトミ。カウベルを叩き始める‥‥ということは‥‥石くんが、あのリフを弾き始めた!!! "デーデ"じゃないかっ!!! ファーストからの曲が聴けるとは、思いもしなかった。1月の武道館ではやったらしいが、まさか今日ここで聴けるとは思ってもみなかった。俺もそうだったが、当然のように他の観客もこの日一番の盛り上がりを見せた。何せダイヴする客まで(!)現れたんだから‥‥そう、本当にエレカシのライヴでダイヴを観る事になろうとは‥‥っ!!! 初めて聴くライヴヴァージョンは、アルバムよりもハードコアなアレンジだった。特にサビに入る前のシンコペーション‥‥ガッガッガッってギター・ベース・ドラムが一丸になるところね‥‥のリズムが速くなるところ! 思わず拳を握りしめてしまった! 再びマイクを床に叩きつけてステージを去る宮本。当然、アンコールを求める拍手その2が延々続くのだった。

  そして2度目のアンコール。またまた「ココロに花を」から"四月の風"を披露。このアルバムの中で一番好きな曲だ(!)。ひとり泣きそうになりながら唄う、唄う‥‥それにしても、今回のツアーは「ココロに花を」の楽曲がここまでで5曲も披露されているが、これには何か意味でもあるのだろうか? たまたま選曲したらそうなったのか、それとも新作への伏線なのか? 非常に気になるところだ(でも、何か宮本の気まぐれのような気もするけど/笑)。

  最後の最後にプレイされたのは、名曲"ガストロンジャー"だ。当然客もステージも大暴れ。宮本は再び石くんに技をかけたりして、演奏の邪魔をする。それでも、何事もなかったかのように笑顔で演奏に戻る石くん‥‥やっぱり君こそ、真のギターヒーローだっ!(笑)

  まぁこんな感じでライヴは終了したのだった。時間にして、正味1時間半といったところか。前回とほぼ同数の演奏だったが、意外とあっという間に終わった感がある。まぁ今日でこのツアー2日目ということもあり、まだ肩慣らし(或いはリハビリ)状態にあるのかもしれない。演奏も危うさを感じる箇所が、途中何度かあったが、トータルで見れば満足のいく、いつも通りのエレカシだった。

  今回はアルバムレコーディング時期のライヴだったのだが、思った程新曲は披露されず、完全な新曲はたった1曲のみだった。ライヴ前は、もっと演奏されると勝手に想像していて、それらの楽曲とこの日のエレカシの状態から新作を占おうなんて思っていたのだが‥‥エレカシはいつも通りのエレカシだった(苦笑)。毎回何か新しいことを要求するのは少々酷かもしれないが、その辺は歴史の長いバンドだ、過去のレパートリーから意外な選曲をすればフォローできるだろう(新しさは皆無だが)。メンバーにとってはレコーディング最中の息抜き的(或いはレコーディング終了後のリハビリ的)ツアーなのかもしれない。まぁそれもいいか‥‥

  という事で、次に俺が彼らを観るのは、8月5日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」だ。フェスという事で演奏時間は短いだろうが、ファン以外の人間をも巻き込んで盛り上げてくれるような内容になるだろう‥‥ことを勝手に祈っている。


余談:この日は通常よりも1時間早い開場・開演時間だったのだが、当然バンドの入り時間やリハーサルの時間も1時間早まるわけだ。そこで宮本はこの日、10時に目覚ましをセットしたのだが‥‥目が覚めたら昼の1時だったそうな(笑)‥‥まぁギリギリリハーサルには間に合ったらしいが‥‥新曲と言って、即興でそういう歌詞を付けた曲を演奏するエレカシって‥‥お茶目だ(笑)。


[SETLIST]
01. 東京ジェラシィ
02. 明日に向かって走れ
03. 孤独な旅人
04. 悲しみの果て
05. おまえと突っ走る
06. 今宵の月のように
07. 真夏の星空は少しブルー
08. 誰かのささやき
09. 孤独な太陽
10. (新曲)
11. 武蔵野
12. コールアンドレスポンス
--アンコール--
13. かけだす男
14. デーデ
--アンコール--
15. 四月の風
16. ガストロンジャー



▼エレファントカシマシ『sweet memory~エレカシ青春セレクション~』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 05 21 05:09 午後 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2001/03/25

KISS THE FAREWELL TOUR JAPAN 2001@東京ドーム(2001年3月13日)

「フェアウェル・ツアー」と銘打ちながら、2年近くも続く営業ってのも珍しい‥‥こいつら、本気で引退もしくは解散する気があるんだろうか?(笑)見る前からこんな邪心でいっぱいだった、4年振りに同じ会場で観るKISS。通算4回目って事になるのかな? この「4回」っていう数字が本当に生涯記録になるのかどうか、現時点では判らない。だけど本当に「現ラインアップでの」終焉は近付いている。

本来昨年11月に予定されていたジャパンツアー。しかしチケット発売直前になって原因不明の延期。ピーター・クリスやエース・フレーリーとのギャラの折り合いがつかなかったとか、彼らがこれ以上のツアーをごねたとか、噂はさまざま。しかもそれぞれの噂全部に信憑性があったりするのが、またKISSらしい。だって実際にこの2月には最後の来日を待たずしてドラムのピーターが正式に脱退してるし。そう、オリジナルメンバーでのKISSは既に終わってしまっている。残されたスケジュール(日本とオーストラリア、その後アメリカ国内で数回あるとも噂されている)をこなす為に元メンバーに召集令状が届く。1月末には「KISS FESTA IN JAPAN」の為に来日していたエリック・シンガーが電撃復帰。しかもピーターの代役という事で、メイクや衣装まで用意されるとの事。一体KISSはどうなってしまうんだ!? オリジナルの4人でない事もあり、また直前にAC/DCを観てしまったが為に、彼らに対する期待は皆無に等しかった。だって今年に入ってからライヴ当日まで、1回もCD聴かなかったもんな、KISS。

8ヶ月振りの東京ドーム。やっぱりデカイ‥‥幸運な事に今回の席はアリーナA17ブロックの102番。ステージに向かってかなり右寄りで、目の前にあるのはステージではなく巨大なKISS人形だった‥‥(笑)しかし、最前ブロックの、しかも前から10列目前後なんていうのは生まれて初めてだ。そう、メンバーさえこっちまで来てくれればポール・スタンレーの胸毛だって拝む事ができる距離なのだ!

KISSのライヴでは既に恒例行事ともいれる客のコスプレも凄かった。俺の周辺だけでもエースが4人はいたから(笑)。斜め前にいる親子(父、母、娘、息子)は、親は平然な顔をしてまだ10歳にも満たないであろう子供2人にそれぞれポールとジーンのメイクをさせている。まさかこのまま電車に乗って来たんじゃ‥‥近所で評判なんだろうな(笑)。

なんてどうでもいいことを考えながら、BGMのAC/DC「HIGHWAY TO HELL」に身を委ねる。確か昨年7月のBON JOVIの時もこれだったよな‥‥ドームでのお約束なのか、それともPAスタッフが前回と一緒なのか‥‥まぁいいや。2/19の興奮再びって感じで(おいおい、KISSはどうすんだよ!?)。そうこうしてる内に開演時間の19時に。音が一気にデカくなる。しかもドーム特有の「かろうじで歌聴いて曲名が判る」程の劣悪な爆音。つうか、こんな爆音ライヴ、随分久し振りだな? AC/DCもデカかったけど、ちゃんと聴き取れるデカさだったのに、この日は特別。音圧凄かった。BGMがTHE WHOやらMONTROSEに変わり、暫くして会場暗転。地響きのような歓声。さすが5万人!(笑)そしてお約束のMCが‥‥

"You want the best, and you've got the best!
Please welcome, the hardest band in the world.....KISS!!!"

雷みたいなSEを切り裂くように、聴き覚えのあるギターフレーズが‥‥"Detroit Rock City"! お約束のようなスタートだ。しかも前回同様、天井のゴンドラからメンバー登場。ポールが、ジーンが、エースがゴンドラから降りてきて、お約束ともいえるアクションの連続。俺の位置からはドラムはスクリーンでしか確認できなかったが、エリック・シンガーは自前の金髪を黒髪に染め、例のネコメイク、衣装もピーターのそれとほぼ同じようだった。見た目だけならまだしも、なんとドラムを叩く仕草やちょっとした動き(首をビートに合わせてカクカク振る動き)もピーターをコピーしていた(笑)。いやはや、ここまでやれば皆満足だろう。下手なトリビュートバンドのそれよりも、よっぼどマシっつうか‥‥プロですね、やっぱり。正直な話、俺はエリック・シンガーのプレイって好みとは程遠いのだけど‥‥今回のピーター代役を観て、何故彼が多くの大物ミュージシャンから声をかけられるか(ブライアン・メイやゲイリー・ムーアー等)が痛いほど理解出来た。メチャ上手ですわ、この人。

さて、曲がスタートしたのだけど‥‥あのね、マジで特筆すべき事、なし。だってさ、みんなの思い描くKISSを完璧に演じてくれ、みんなが観たかったアトラクションを全部やってのけたんだもの。例を挙げれば、2曲目"Deuce"エンディングでのフロント3人の決めアクション。"Firehouse"でのジーンの火吹き(これまでで一番高い炎だったんじゃないの?)、"Shock Me"後のエースのギターソロにおける、煙を噴き最後には空の彼方へ飛んでいってしまうレスポール、"God Of Thunder"でのジーンの血糊&天井プレイ、"Black Diamond"ラストでのドラムセットのせり上がり、そして最後の"Rock And Roll All Nite"での花火&火薬大爆発、等々。とにかく、これまでも彼らは武道館なり東京ドームなりで、消防法に引っかからないギリギリの線でアメリカに近い形でのショウを見せてくれたが、今回はかなり頑張ってくれたんじゃないか? 途中、"Do You Love Me"の最中にスクリーンにこれまでのライヴの模様を収めたフィルムが流され、そこで昨今の欧米でのライヴ模様が流れたが‥‥やっぱり向こうは野外だもんな、打ち上げ花火バンバンだしさ‥‥いや、これ以上を望むのは酷か!? とにかく、ここ日本での規制を考えた場合、ある意味ではその規制をブチ破っていたであろう今回のライヴ。もう最初から最後まで笑いっぱなしだった。ホント、童心に戻っちまったっていうの?

で、今回は更に新しいアトラクションが追加されていて、それは"Love Gun"演奏直前に起こった。ポールがステージの高い位置から輪っかのようなものに足を掛け、ロープで吊られたその輪っかに乗ってアリーナ中央近くにある小さいサブステージまで飛んでいくという、まさに「ピーターパンかよっ!」((C)さま~ず・三村)と突っ込んでくれと言わんばかりの‥‥ってさ、これ。既に15年前にかのBON JOVIがやっちゃってるんですけどね?(苦笑)まぁいいか、面白いから。

さて、こうやってアトラクション尽くめのドーム公演だったが、気になった点がなかった訳ではない。まず、曲間のインターバルが必要以上に長かった事。しかもポール、アメリカ同様に英語でのMCで喋りまくり、煽りまくり。間髪入れずに2曲、3曲ってわけにはいかないのね、歳だし、段取りがあるし。

で、その年齢を感じさせるってのに関係して。ポールの声が途中からかなり辛かった。特に9曲目"Heaven's On Fire"。曲に入る前に、例の「ウォウ~ウォウ~ウォオ~~♪」っていう、あの雄叫びを調子に乗って3回も4回もやるもんだから、本編の歌ではサビ、全く声が出てなくて主旋律が聞こえず、ハモリのコーラスパートだけが空しく響いていた。その後間がちょっと開いたし、ギターソロもあったので休めたのか、少し回復。でもやっぱり最後の方は厳しいかな?って思う瞬間が何度かあった。それでもプロとしての意地なのか、アンコール前の"I Still Love You"エレキ弾き語りには鬼気迫るものを感じたし、"I Was Made For Lovin' You"では本来裏声のパートを地声のハイトーンで唄いのけるし。いやはや、恐れ入りました。

結局終わってみれば、2時間半にも及ぶ、まさに究極のショウを我々は目の当たりにしたのだった。って前回('97年1月)も同じような曲数だったにも関わらず、あの時は1時間半で終わったんだよな‥‥ピーターがドラムだったからか?(走るしね、あの人のリズム/笑)いや、違う。やっぱりMCが必要以上に長かったんだよ。そう考えてみると、前回よりもポールやジーンの行動範囲が明らかに狭まっていたし(ラスト近くはアリーナの端から端まで移動してたけど)‥‥でもね、そんな中、ひとりだけ前回よりも生き生きしていた奴がいた。その名は、エース・フレーリー! 君は確か、前回の来日では高熱にうなされて、ただでさえヘロヘロなプレイに更に輪がかかってたっけね?(苦笑)そんな彼氏、今回は切れが良かった! 何かさ、異様にやる気みたいなものを感じたんだよね‥‥まさか「俺までクビになってたまるか!?」的な勢いなわけ、あれは!? 何にせよ、往年の輝きには程遠いものの、それでもファンが納得するエースが観れたって意味では、俺は大満足して岐路に着いたよ。

こうやって終わったKISSの、正真正銘ラストライヴ・イン・ジャパン。湿っぽさはこれっぽっちもなし。水道橋駅までの帰り道、みんな笑顔なんだもの。やっぱりみんな知ってるんだ。「とか何とかいいながら、来年はメイクなしKISSでラストツアーするんでしょ?」って事を‥‥(笑)まぁそれは冗談として、ここまで悲壮感ゼロなラストツアー、RAMONES以来だね。究極のエンターテイメントバンドの最後にふさわしいショウだったと、今思い返しても納得のいく素晴らしい最後だった。


KISS @ TOKYO DOME. 3/13/2001
01. Detroit Rock City
02. Deuce
03. Shout It Out Loud
04. Talk To Me
05. I Love It Loud
06. Firehouse
07. Do You Love Me
08. Calling Dr.Love
09. Heaven's On Fire
10. Let Me Go Rock And Roll
11. Shock Me ~ Ace's Guitar Solo
12. Psycho Circus
13. Lick It Up
14. Gene's Bass Solo ~ God Of Thunder ~ Eric's Drum Solo
15.Cold Gin
16. 100,000 Years
17. Love Gun
18. I Still Love You
19. Black Diamond
 [Encore-1]
20. I Was Made For Lovin' You
 [Encore-2]
21. Rock And Roll All Nite



▼KISS『YOU WANTED THE BEST, YOU GOT THE BEST!!』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2001 03 25 04:35 午前 [2001年のライブ, KISS] | 固定リンク

2001/02/25

AC/DC『STIFF UPPER LIP TOUR 2001』@横浜アリーナ(2001年2月19日)

感動した、とかそんなちんけな言葉では片付けたくない。そんな2時間だった。15年待った甲斐があったってもんだ。いや、15年も待たせやがって‥‥この15年という長い時間は日本のロックファンにとって不幸以外のなにものでもない。ストーンズはデビューから30年近くかかった。確かにAC/DCは過去に2回来日しているものの、それから19年も来ていなかった。俺が彼らを知ってから15年‥‥そう、今のロックファンの多くは彼らを体験していないに等しい。これは快挙以外のなにものでもないのだ。

奇しくも19年振りの来日公演初日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの21回目の命日だ。偶然だろうが、偶然にしては意味深すぎる。後で聞いたところによると、センター席最前列近くには何故か喪服を着た方々もいらっしゃったそうだ(苦笑)。とにかく、多くのロックファンにとって、それぞれがそれぞれの思いを抱いて会場へ出向き、そしてその感情をぶつけていたのが印象的だった。

ファンの歓迎振りはグッズ売り場での長蛇の列からも伺う事が出来た。同じ横浜アリーナで観たOASISの時も長蛇の列だった。そう、ロックファンにとってはデザインの小綺麗なOASISも厳ついAC/DCも同列なのだ(って単にOASISの時はにわかファンが多かっただけかもしれないが。それにこの長蛇の列は横浜アリーナの特質なのかもしれない。売り場の位置の関係上ね?)。

さて、俺はライヴ直前の「今回の来日について思うこと」コラムで、このライヴを観た後に何が見えてくるのか、と書いた。答えなんかないかもしれない、とも書いたが、本当にその通りだった。15分遅れでスタートし、客殿が点くまでのまる2時間、ただ俺はヘラヘラ笑っていた。発する言葉と言えば「おおっ」「ぐぉっ!」「うわぁ~」「すげぇ!!」といった、正に擬音に近い表現ばかりだ。「感動した、とかそんなちんけな言葉で片付けたくない」とは書いたものの、実はそれ以前に思考回路が停止したままだったというのが正解だろう。確かにビデオで観るよりステージは小さいのかもしれないし、花火や火薬の量も極端に少ないだろう。けど、そんな事は終わって暫く経ってから気づいた事であって、ライヴ中は全く気にならず、むしろ「うわ~、ここまでやっちゃう!?」って気持ちが先走っていた。

演奏は完璧だったし、ブライアンの歌も思っていた以上によく出ていて、納得いくものだった。客の声援や歌声も尋常じゃなかったし、それに応えるバンド側も「プロ」に徹していた。オーディエンスが求めるモノと、バンド側が表現するモノ。これが見事に一致していた。こんなライヴ、滅多にお目にかかれないだろう。しかもライヴハウスでの小規模ではなく、1万人以上も入るアリーナクラスでの出来事だ。

選曲も、約20年の穴を埋めるかのようなグレイテスト・ヒッツ的内容で、新作のツアーだというのにアルバムからはたったの1曲だったという(苦笑)。けど、そんなのは終わってから気づいた事であって、本当に(何度も言うが)難しいことを考えさせない、まさしくエンターテイメントだった。正直、ライヴ前にそんなに予習をしてなくて、聴いてたアルバムも新作『STIFF UPPER LIP』と2枚のライヴ盤、それに『HIGHWAY TO HELL』と『BACK IN BLACK』くらいだろうか。勿論それまでには全てのアルバムに手を出していてどれもよく聴いていたので、まぁライヴ前だからって今更なぁって気持ちもあったのかもしれない。だって正直、選曲がどうなるかなんて判らなかったし。で、実際にライヴの最中、知らない曲は1曲もなかった。どの曲もサビにくると一緒に大声で唄っていた。特に後半の「Back In Black」以降の黄金のヒットメドレーには爆涙モノだった。ガンズのではなく、AC/DCの演奏で唄う「Whole Lotta Rosie」にはやっぱり鳥肌が立った。

バックのアンガス巨大ブロンズ像が動いたり、角が生えて光ったり、口から煙吹いたりっていうギミックも、アンガスのパンツ見せも、アンガスがブライアンのハンチング帽を取って見せたり、ダックウォークだったり、「オイッ、オイッ」ってかけ声だったり、「The Jack」のサビ大合唱だったり、最後の大砲大連発だったり、それら全てが毎回毎日の「お約束」なわけで、全てお見通しなのだけど‥‥やっぱり生で観て/体験してしまうと言葉を失う。いやぁ、スケールが違いすぎる。

馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだし、そんな予定調和と切り捨てる事も簡単だろう。けど、ここまで馬鹿に徹して観客を満足させて更にお釣りがついておまけにお土産まで持たされた今回のライヴを観た人間に、そんな事は言えないはずだ。ボン・スコットの命日だっていう悲壮感もゼロ。約20年振りだという感慨深さもゼロ。まるでずっとそこにあったかのように、当たり前に楽しませてくれたバンド。これはちょっとやそっとで出来るもんではない。これ観たら、暫く他のバンドが霞んでしまうような気が‥‥あ、俺この後KISS観に行くんだった‥‥同じエンターテイメント性豊かなバンドだけど、こっちはちょっと不安だなぁ‥‥演奏面が‥‥(苦笑)

とにかく、30間近のこんな俺でも童心に返って楽しむ事が出来た、そんな素晴らしいライヴだった。数年に何本観れるか判らない、極上のステージ。さて、次はいつ観れるのかな‥‥


<セットリスト>
01. You Shook Me All Night Long
02. Stiff Upper Lip
03. Shot Down In Flames
04. Thunderstruck
05. Hell Ain't A Bad Place To Be
06. Hard As A Rock
07. Shoot To Thrill
08. Rock And Roll Ain't Noise Pollution
09. Sin City
10. Bad Boy Boogie
11. Hells Bells
12. Get It Hot
13. The Jack
14. Back In Black
15. Dirty Deeds Done Dirt Cheap
16. Highway To Hell
17. Whole Lotta Rosie
18. Let There Be Rock
—Encore—
19. T.N.T.
20. For Those About To Rock (We Salute You)

投稿: 2001 02 25 05:07 午前 [2001年のライブ, AC/DC] | 固定リンク

AC/DC『STIFF UPPER LIP WORLD TOUR』@横浜アリーナ(2001年2月19日)

感動した、とかそんなちんけな言葉では片付けたくない。そんな2時間だった。15年待った甲斐があったってもんだ。いや、15年も待たせやがって……この15年という長い時間は日本のロックファンにとって不幸以外のなにものでもない。ストーンズはデビューから30年近くかかった。確かにAC/DCは過去に2回来日しているものの、それから19年も来ていなかった。俺が彼らを知ってから15年‥‥そう、今のロックファンの多くは彼らを体験していないに等しい。これは快挙以外のなにものでもないのだ。

奇しくも19年振りの来日公演初日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの21回目の命日だ。偶然だろうが、偶然にしては意味深すぎる。後で聞いたところによると、センター席最前列近くには何故か喪服を着た方々もいらっしゃったそうだ(苦笑)。とにかく、多くのロックファンにとって、それぞれがそれぞれの思いを抱いて会場へ出向き、そしてその感情をぶつけていたのが印象的だった。

ファンの歓迎振りはグッズ売り場での長蛇の列からも伺う事が出来た。同じ横浜アリーナで観たOASISの時も長蛇の列だった。そう、ロックファンにとってはデザインの小綺麗なOASISも厳ついAC/DCも同列なのだ(って単にOASISの時はにわかファンが多かっただけかもしれないが。それにこの長蛇の列は横浜アリーナの特質なのかもしれない。売り場の位置の関係上ね?)。

さて、俺はライヴ直前の「今回の来日について思うこと」コラムで、このライヴを観た後に何が見えてくるのか、と書いた。答えなんかないかもしれない、とも書いたが、本当にその通りだった。15分遅れでスタートし、客殿が点くまでのまる2時間、ただ俺はヘラヘラ笑っていた。発する言葉と言えば「おおっ」「ぐぉっ!」「うわぁ~」「すげぇ!!」といった、正に擬音に近い表現ばかりだ。「感動した、とかそんなちんけな言葉で片付けたくない」とは書いたものの、実はそれ以前に思考回路が停止したままだったというのが正解だろう。確かにビデオで観るよりステージは小さいのかもしれないし、花火や火薬の量も極端に少ないだろう。けど、そんな事は終わって暫く経ってから気づいた事であって、ライヴ中は全く気にならず、むしろ「うわ~、ここまでやっちゃう!?」って気持ちが先走っていた。

演奏は完璧だったし、ブライアンの歌も思っていた以上によく出ていて、納得いくものだった。客の声援や歌声も尋常じゃなかったし、それに応えるバンド側も「プロ」に徹していた。オーディエンスが求めるモノと、バンド側が表現するモノ。これが見事に一致していた。こんなライヴ、滅多にお目にかかれないだろう。しかもライヴハウスでの小規模ではなく、1万人以上も入るアリーナクラスでの出来事だ。

選曲も、約20年の穴を埋めるかのようなグレイテスト・ヒッツ的内容で、新作のツアーだというのにアルバムからはたったの1曲だったという(苦笑)。けど、そんなのは終わってから気づいた事であって、本当に(何度も言うが)難しいことを考えさせない、まさしくエンターテイメントだった。正直、ライヴ前にそんなに予習をしてなくて、聴いてたアルバムも新作『STIFF UPPER LIP』と2枚のライヴ盤、それに『HIGHWAY TO HELL』と『BACK IN BLACK』くらいだろうか。勿論それまでには全てのアルバムに手を出していてどれもよく聴いていたので、まぁライヴ前だからって今更なぁって気持ちもあったのかもしれない。だって正直、選曲がどうなるかなんて判らなかったし。で、実際にライヴの最中、知らない曲は1曲もなかった。どの曲もサビにくると一緒に大声で唄っていた。特に後半の「Back In Black」以降の黄金のヒットメドレーには爆涙モノだった。ガンズのではなく、AC/DCの演奏で唄う「Whole Lotta Rosie」にはやっぱり鳥肌が立った。

バックのアンガス巨大ブロンズ像が動いたり、角が生えて光ったり、口から煙吹いたりっていうギミックも、アンガスのパンツ見せも、アンガスがブライアンのハンチング帽を取って見せたり、ダックウォークだったり、「オイッ、オイッ」ってかけ声だったり、「The Jack」のサビ大合唱だったり、最後の大砲大連発だったり、それら全てが毎回毎日の「お約束」なわけで、全てお見通しなのだけど……やっぱり生で観て/体験してしまうと言葉を失う。いやぁ、スケールが違いすぎる。

馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだし、そんな予定調和と切り捨てる事も簡単だろう。けど、ここまで馬鹿に徹して観客を満足させて更にお釣りがついておまけにお土産まで持たされた今回のライヴを観た人間に、そんな事は言えないはずだ。ボン・スコットの命日だっていう悲壮感もゼロ。約20年振りだという感慨深さもゼロ。まるでずっとそこにあったかのように、当たり前に楽しませてくれたバンド。これはちょっとやそっとで出来るもんではない。これ観たら、暫く他のバンドが霞んでしまうような気が。あ、俺この後KISS観に行くんだった。同じエンターテイメント性豊かなバンドだけど、こっちはちょっと不安だなぁ、演奏面が(苦笑)。

とにかく、30間近のこんな俺でも童心に返って楽しむ事が出来た、そんな素晴らしいライヴだった。数年に何本観れるか判らない、極上のステージ。さて、次はいつ観れるのかな……。


<セットリスト>
01. You Shook Me All Night Long
02. Stiff Upper Lip
03. Shot Down In Flames
04. Thunderstruck
05. Hell Ain't A Bad Place To Be
06. Hard As A Rock
07. Shoot To Thrill
08. Rock And Roll Ain't Noise Pollution
09. Sin City
10. Bad Boy Boogie
11. Hells Bells
12. Get It Hot
13. The Jack
14. Back In Black
15. Dirty Deeds Done Dirt Cheap
16. Highway To Hell
17. Whole Lotta Rosie
18. Let There Be Rock
—encore—
19. T.N.T.
20. For Those About To Rock (We Salute You)

投稿: 2001 02 25 12:00 午前 [2001年のライブ] | 固定リンク

2001/02/18

19年振りの来日について語る

AC/DCが'82年以来、約19年振り3度目の来日を果たす。正直これは去年のNINE INCH NAILS初来日並に、いや、それ以上に衝撃的だった。ネット上でいろいろ話題が飛び交う中、伊藤政則が彼のラジオ番組の中でその一報を発表した時、全身に稲妻が走ったかのような衝撃を受けた。しかもその初日となる2月19日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの命日だ‥‥何なんだ、これは一体‥‥!?

 俺が初めて彼らを知ったのは、多分'86年頃だったと思う。当時のMTVかベストヒットUSAで見た彼らの"Who Made Who"のビデオクリップが切っ掛けだった。そう、あのアンガス・ヤングがいっぱい出てきてエアギター(厚紙に印刷されたギターをさも弾いてるかのようにアクションする行動。メタルファンに多い/笑)かましまくってる大勢の皆さんに衝撃を受けたのか、それともいい年した大人が小学生みたいな格好(半ズボンにランドセル背負ってギブソンSGをチャック・ベリー並に弾きまくる姿)してるのに衝撃を受けたのか、それともあのキャッチーな曲にやられたのか‥‥よくは覚えていない。ただ、雑誌等で「今のロック/ハードロックの雛形を作ったのは彼らと言っても過言ではない」という伊藤政則氏の言葉を覚えていた俺は、その後レンタルレコード店・YOU & 愛(時代を感じさせますな?)へ足を運ぶ。そこで同名のアルバム「WHO MADE WHO」を手に取る。中途半端なベストアルバム的内容だったが、それで満足だった。その後、再び店を訪れ店員に「AC/DCでオススメのアルバムってどれですか?」と質問する。そこで「これ」と勧められたのが「ギター殺人事件」という忘れられない邦題がついたボン・スコット時代のライヴ盤「IF YOU WANT BLOOD YOU'VE GOT IT」だった。多分、俺の人生の中でエアロの「LIVE BOOTLEG」、ハノイの「ALL THOSE WASTED YEARS...」の次に忘れられないライヴ盤となる。

うまい言葉で言えないけど、ロックの生々しさを真空パック状態に近い形でまとめたのがこのライヴ盤だったように思う。ボン・スコット時代を体験していない俺でも、如何に彼が尊敬されたかがよく判る内容だった。今でも年に何度か手にするこの盤、先日紙ジャケ仕様のリマスター盤で買い直してしまった程。まだ彼らを体験した事のない人には是非このアルバムから聴いてもらいたい。

話は変わって、最初に俺が買ったAC/DCのアルバムとなると、'88年リリースの「BLOW UP YOUR VIDEO」だ。当時放送されていたメタル専門番組「PURE ROCK」で見た"Heatseeker"のビデオ‥‥大きなテレビ画面をぶち破って中から現れるアンガス‥‥に再び衝撃を受けるのだった。当時まだ洋楽CDが3000円近くした時代、バイトしない田舎の高校生にはかなりの決断を迫られたが、買ってよかったと当時は思ったものだ。ちなみに当時の俺のベースにはバンドのロゴステッカーがキラリと輝いていた。

いつ頃からだろう、「AC/DCは日本を嫌っている」「日本はルックスが良くないと人気が出ないから行かない」「世界で最もギャラの高いバンドはRUSH, VAN HALEN, そしてAC/DCだ」と言われるようになったのは。最初のはともかく、後のふたつは事実らしい。補足すると、ルックスの問題は来日当時、日本で人気があったのがJAPANのようなバンドだったり、その後ニューロマンティック系のバンドが幅をきかせていた事が関係あるようだ。つまり男臭い自分達のようなバンドは日本では時代遅れだと勝手に判断してしまっていたらしい。その誤解を解くのに19年かかってしまったというわけだ。何という悲劇‥‥

そしてギャラの問題。これはその通りなのだが、更にステージセットの問題やバンドが納得するキャパシティーの会場がなかったという事も関係する。知っての通り、彼らのステージセットは巨大で、海外では数万人は入るアリーナクラスでのライヴばかりだ。ところがここ日本では、2回目の来日こそ武道館だったものの、その後人気低迷等が関係し、再び武道館で人を集められるだけの集客力がバンドになかったのも事実。つまりプロモーター側も躊躇していたわけだ。伊藤政則氏は「AC/DCを、ここ日本で観れないのは何たる不幸だろう」とこの10年近くずっと口にしている。アルバムが出るたび、そして海外でライヴを見てくるたびに‥‥

'90年には「THE RAZORS EDGE」を、'95年には「BALLBREAKER」をそれぞれリリースするものの、やはり来日の機会には恵まれなかった。その間にここ日本でも、AC/DCに対する評価がどんどん高まっていく。その原動力となったのは間違いなく伊藤氏のあの言葉であり、その言葉に感化されたAC/DCの生ライヴを知らない俺らのような(当時)若い世代がバンドに興味を持っていく。更にAC/DCに影響を受けたと発言するアーティストがどんどん登場する。MOTLEY CRUEであり、CINDERELLAであり、GUNS N'ROSESであったり。モトリーはライヴで名曲"Highway To Hell"を、そしてガンズは"Whole Lotta Rosie"をカヴァーし、我々は改めてAC/DCの楽曲の素晴らしさに触れる事となる。

そんな中、発表されたのが15年振り、そしてブライアン・ジョンソン加入後初のライヴ盤「LIVE」('92年)と、'91年8月にイギリス・ドニントンパークで行われたモンスターズ・オブ・ロック・フェスの模様を完全収録したビデオ「LIVE AT DONNINGTON」、そして'96年のスペインでのライヴを収録したビデオ「NO BULLS」といった、ライヴ音源/映像集だった。これによって、更に彼らに対する注目/評価は高まる。「観たい」‥‥この気持ちだけは高まるものの、一向に来る気配はなかった。

昨年の今頃、既に日本公演に向けて伊藤氏、そしてプロモーターはバンド側と交渉を重ねていたらしい。そして同年3月に最新作「STIFF UPPER LIP」が発表される。確か昨年のフジロックに是非彼らを!という声も沢山あったはずだ。しかし夏を過ぎても、秋を過ぎても一向に来日する様子はなかった。しかし、伊藤氏はこの頃から‥‥含みのある発言を繰り返していた。それを耳にする度に「もしや‥‥!?」とは思ったものの、やはり心のどこかで疑っていた。しかし、それは現実のものとなった‥‥

多分このサイトを覗いている方の中で、ここ日本で彼らの来日公演を観たという人はそうはいないはずだ。いや、いないだろう、2/19以前には。映像では目にしたことはあるものの、実体験はみんなが初めてなはずだ。海外で観た!?そりゃよかった。けどここ日本で観る事に意味があるのだ。だから俺は彼らを初めて知ったあの日から15年も待った。まだ中学生だった俺も、今では30歳を迎えようとしている‥‥長すぎた冬がやっと終わるといったところだろうか?

その運命の日を明日に控え、ここでこんな事を書いてしまうのはちょっとどうかと思うが‥‥正直な気持ちを書く。出来れば10年早く、そう、ドニントンでのライヴビデオの頃に観たかった。先日、テレビで今の彼らのライヴを見た。ブライアンは既に衰えを感じさせる歌声だったし、アンガスも見た目にはきつそうだった。勿論それは5年前のライヴビデオでも感じていた。けど、そんな事は2月19日の19時を無事に迎えられたら、どうでもよくなってしまうのかもしれない。「ここ日本で観ることに意味がある」のだから。そりゃ出来るなら完璧な状態を観たい。それが無い物ねだりと判っていても‥‥

好き嫌いがあるのは重々承知だ。あの声がダメって人が多いのも知ってる。けど、ロックを好きになった以上、通らなきゃいけない通過点なんじゃないだろうか? 21世紀になった今、これは日本国民の義務です。今からでも遅くないです。2/19と20はみんな、横浜アリーナに集合! 2/22には大阪城ホール前に集合するように!!

今回の来日はロック好きな人間にとってはお祭り同然だ。あの中学2年生の俺なら、どう感じるんだろう‥‥そんな事を考えながらライヴを楽しんできたいと思う。

投稿: 2001 02 18 05:14 午前 [2001年のライブ, AC/DC] | 固定リンク

2001/02/11

MR.CHILDREN TOUR '00-'01 "Q"@さいたまスーパーアリーナ(2001年2月3日)

  複雑な心境。1週間経った今でもその気持ちは変わらない。通算16回目のライヴ観戦。しかも(俺にとってもミスチルにとっても)初めての会場となる「さいたまスーパーアリーナ」。
  まずぶっちゃけた話をしてみよう。「複雑な心境」とは‥‥ズバリ、観客とバンドメンバーとの体温の差。そして新作「Q」の楽曲群と過去の楽曲との温度差。このふたつが最後までつきまとったような気がする。

  さいたまスーパーアリーナがあるのは大宮のひとつ手前。昨年出来たばかりでライヴで使用されることはまだ少なく、昨年11月にあのGLAYが数日間のライヴを繰り広げた事は記憶に新しい。サッカーやバスケット、プロレス等のスポーツに適した作りの室内競技場で、マックスで37,000人前後入ると聞いたことがある。多分、ライヴでも特別なセットを組まない限りは3万人以上入るのだろう。

  となると、この会場でのライヴ。ここ数年のミスチルのライヴとしては最もキャパの大きい会場という事になる。ドーム以来か‥‥そう考えたら、少し不安になってきた。

  上野から高崎線を利用して25分。「さいたま新都心」駅に16時半に到着。開場が18時だったので、とりあえずグッズを購入し、それまでの時間を「ジョン・レノン・ミュージアム」で過ごす事にした。これについては別項で書くとして‥‥正直、ライヴの前に行かなきゃよかった、とさえ思った。ヘヴィな気持ちのまま、18時が過ぎ、入場を待つ列に加わった。入り口は1つ。これだけの人数が入るにも関わらず‥‥アリーナ席のみ別の入り口らしいが、どうなんだろう?

  俺のポジションは2階席の19列目(5階まであり、2階と4階が通常のアリーナを囲う形で、3階と5階がバルコニーのような形で席数自体は少ない。要するに4階が通常の3階みたいなもんだ)。ステージ向かって左側サイドの後方といったところだろうか。前回が代々木の右側サイド後方だったから、全く反対側というわけだ。けど、今日は横浜アリーナをちょっと大きくしたような作りのため、ステージがかなり遠くに感じる。しかもスクリーンを使用しないミスチルのこと。絶対にその表情まで確認する事はできないだろう。

  今回のステージもシンプルなものだ。鳥かごをあしらったようなステージセット。その天井には前回同様ミラーボールが3つぶら下がっている。鳥かごの前方には勿論柱はなく、その中でバンドメンバーが演奏するというような形になる。BGMにはマーチングバンドの演奏。何故、何故に‥‥!?

  19時を10分程回った頃、BGMの音量が大きくなり、暗転。黄色い歓声。久し振りだ、黄色い歓声なんて‥‥って確か前回も書いたような‥‥すると鳥かごの天井からスクリーンが降りてくる。そこに映し出される無機質な早送り映像。工場か何かの作業だろうか? バックの音楽がインダストリアル風のシンセサウンドに変わる。歓声が一層大きくなる。そしてアリーナ前方から悲鳴が。どうやらメンバーが現れたらしい。そして真っ暗のステージの上に動き回るひとりの男?の姿が‥‥恐らく桜井だろう‥‥そしてBGMは聴き覚えのあるコーラスが。1曲目は「Q」2曲目収録の"その向こうへ行こう"だ。イントロにはサビのバックトラックをアレンジしたものだった。そこから馴染みのあるギターへと。桜井は手ぶらだ。声はよく出ている。前回のツアーにおける"DISCOVERY"のような役割なのだろうか、この曲は。ミドルテンポのこの曲、ギターを持ってない桜井はとにかく動き回る。それが逆に浮いてるんだけど。こうやって聴いてみると、アルバムではそれ程印象に残らなかったこの曲も、前作での習作があったからこそこうやって完成型にたどり着いたんだな、という気もしてくる。習作とは勿論、あのRADIOHEADのパクリと言われてしまった、先の楽曲だ。今回の方が明らかにミスチルらしい。けど、これが1曲目というのはどうなんだろう? 客のノリはハッキリって悪い。ただ1曲目という事もあって、歓声は凄かったが‥‥

  ここでバンドメンバーについて説明しておこう。サポートメンバーは前回と全く同じ面々。「深海」ツアーから加わったギターの河口(こうぐち)修二。最近はゆずとも関わりがあるようだ。そして古くから繋がりのあるキーボードの浦清英。スキンヘッドで一見強面だが、気は優しい男だ。しかもこいつ、俺と同い年ときた(笑)。最後に前回のツアーから参加している、自身もソロシンガーとして活躍しているキーボードのSUNNY。ゆずの前回のツアーまで参加していたそうだ(今回はミスチルとバッティングしてしまったため、こっちに参加)。シンガーソングライターとしてアルバムも出しているだけあって、今回はこの人がコーラスの要となっていた。このサポートを含む7人で、今回も前回以上に息の合ったプレイを最後まで聴かせてくれた。

  続いて桜井がアコギをぶら下げて、聴き覚えのあるサンプリング音が‥‥前作からの"光の射す方へ"だ。この難しい曲を楽々唄い上げる桜井に、思わずため息。どうやら復活後の彼らは本当に調子がいいようだ。サビの部分ではお約束の手を左右に振るアクション。俺は絶対にしねぇぞ!と代わりに腰を振る(笑)。そういえば、前回のツアーでも思ったが‥‥ミスチルってこんなに音小さかったっけ? サウンド極悪のドームは除いて、横浜アリーナや武道館での彼らの音はもっとデカくて、しかも歌も聴き取りにくいものだったと記憶していたが‥‥前回のツアーもそうだったが、とにかく歌がクリアーに聞こえて、歌詞まで聴き取れた。今回は更にギターの1音1音ハッキリしていたし、キーボードの音もしっかりしていた。けどリズム隊‥‥ベースはモコモコして聞き取りにくく、ドラムに至っては遠くで鳴ってるような音‥‥アリーナ特有のミックスのような気がした。ドームで観るBON JOVIなんかはもっとリズムが効いてたような気が‥‥それを抜きにすれば、今日のサウンドは問題なかったように思う。

  エンディングでのスローになるパート(テンポが半分になる所ね?)を変えて、ずっと同じテンポのままエンディングへ。桜井の「光の射すほぉ~えぇ~♪」の一節で終了。大きな拍手。賛否両論の多かった前作からのこの曲も、ライヴでは人気曲のようだ。なぜこの曲が40万枚程度しか売れなかったのか‥‥そのままバンドは同作からの"ニシエヒガシエ"へ。この2曲の流れは絶品だった。前回のツアーでは桜井がアコギを持ってトリプルギター体制だったが、今回は桜井手ぶら。右へ左へど動き回る。中間パートでは、原曲に忠実なスローでダークなワウワウを使ったソロへ。そういえば前回は全然違うアレンジだったんだよな、このパート(詳しくは、限定ライヴアルバム「1/42」を聴いて欲しい)。やっぱこの曲はライヴ向きだわ。今後は「Atomic Heart」における"Dance Dance Dance"の役割を果たしてくれるんじゃないかな、この曲。是非これからもやり続けて欲しい。

  この曲が終了し、暗転したステージにひとつのピンスポが桜井を照らす。テレキャスターをぶら下げている。適当にコードをつま弾いた後に、彼が唄い出す。「息を切らしてさぁ~♪」弾き語りアレンジでスタートしたのは、やはり前作からの"終わりなき旅"だ。どうやら前半に前作の楽曲をまとめたらしい。つうか、唄うのが難しいこれらの楽曲は前回のツアーでは後半にプレイされていたから、今回は前半の、調子がいい時に完璧な状態でやってやろうってな気合いを感じた。アルペジオに合わせて唄う桜井の歌にはいつも以上の説得力を感じる。言葉のひとつひとつが胸を突き刺す。俺自身の「第2のスタート地点」ともなったこの曲を久し振りに聴いて、本当に目頭が熱くなってきた。どうしてもミスチルのライヴに来ると、それぞれの楽曲と自分との思い出がオーバーラップする。何か嫌だな‥‥(苦笑)ワンコーラスを弾き語りで唄いきった後、バンドが加わる。ちょっとスロー気味だった気がするが、この方が歌に説得力があるような気が。前回のツアーでは、この曲が「バンド・ミスチルを取り戻す」演奏だったのに対し、今回はそういうものを感じなかった。どちらかと言えば「シンガー・桜井を全面に出した」演奏のように感じた。最初の弾き語りにしろ、歌を大切にしたテンポにしろ‥‥何かが変わってきているような気がした。とにかくこの曲がこの日最初のピークだったことには違いない。

  この後、この日最初のMCに。初めての会場で気合いが入っているとか、この会場が今回のツアーで最大のキャパだとか。そうそう、この日はカメラが入っていたんだった。ステージサイドにカメラクレーンがあった事から、会場に入ってすぐに気付いていたが。桜井は「僕のポケットマネーでビデオ収録してます。個人的趣味で後で一人で観て楽しみます(笑)。裏ビデオとしても流通しますが(笑)。だから僕より大きな声で唄わないでね?」ってあんた、そんな弱気でどうする!?(苦笑)

  更にMCは続き、「今日は大宮って事で、家から車でここまで来たんだけど、会場周辺に変なおばさんがいっぱいいてね。みんなクルクルパーマで、すっごいボリュームがあるんだよね(笑)。で、みんな白だとか青だとか紫だとか色染めててさ。で、よく考えてみたら‥‥今日は節分なんだよね?」‥‥はぁ~‥‥小話かよ(苦笑)。会場から薄ら寒い笑い声が‥‥桜井「いくら滑ってもMC部分はビデオからカット出来るからね!」(笑)こらこら‥‥もともと桜井のMCってこんな感じなんだけど、今日は今までとちょっと違って、更に落ち着いていたような‥‥やっぱビデオ収録を意識しての事か? そういえば、この翌日(2/4)の同会場でのライヴはインターネット中継されるんだよね。その為ビデオが入ってたんだと思う。まぁ出来が良ければ今年後半あたりに初のDVDソフトなんてのもリリースされるかもね?

  と、彼らにしては長いMC(笑/とはいっても、5分もないけど)の後は、ちょっとクールダウンした楽曲で綴られていた。まずはシングル「口笛」のカップリングでアルバム未収録の"Heavenly Kiss"。タイプとしては初期ミスチルが得意としていた、ちょっとお洒落で落ち着いたイメージの楽曲。初めて聴いた時は「Atomic Heart」の"クラスメイト"に似ているな?って思ったけど、まさかライヴではその"クラスメイト"に間髪入れずに繋ぐとは‥‥確信犯だな、こりゃ。で、その"クラスメイト"、多分'94年12月以来じゃないかな、演奏されたの。少なくとも俺が聴いたのは、同年同月の武道館以来だわ。ブラスのパートは意識的にカットされ、ちょっと短くなってたような気も。そういえば、この曲が始まった時、歓声とか奇声ではなく、「オォ~」っていう低い声でどよめきが起きたのが印象的だった。誰もやるなんて思ってなかったんだろうね? やるならもっとメジャーなシングル曲だと思ってたのかも。"CROSS ROAD"とかさ(結局、インタビューでは散々やるだの何だのと言ってたこの曲、今日の今日まで披露されてない)。

  この2曲に続いて、新作からの"ロードムービー"がスタート。前2曲では手ぶらだった桜井も、この曲ではアコギを弾いている。どうやらこのパートは「みんながイメージする初期ミスチル的楽曲」パートのようだ。そうそう、この曲への歓声が新作の楽曲の中では一番多きかった事も付け加えておく。俺も大好きな曲だ。桜井はここまで、特に辛そうだとも思わず、楽々こなしてるような印象を受けた。

  そしてその「初期ミスチル的楽曲」パートの最後を閉めるのは、初期の名曲"抱きしめたい"‥‥恐らく、この日最大の歓声だった。ここが第2のピークかな。この曲も俺にとっては大切な曲。丁度この曲がリリースされた頃、最初に彼らを知る切っ掛けとなった曲であり、当時辛い恋愛をしていた思い出とオーバーラップする。そしてその恋愛が終わった時期に発表されたのが"終わりなき旅"だった‥‥ミスチルにとっても、そして俺自身にとってもこれらの楽曲は人生の節目節目に発表されているのだった。ちょっと感傷的になってウルウルしてしまう。よかった、ひとりで来て(苦笑)。そうえいばこの曲、前回のツアーでは最後の数回でしか演奏されなかったような記憶が‥‥毎回セットリストの一番最後に載っていたらしいんだけど。ライヴアルバムにもボーナストラックでその音源が入ってるけど、サックスは誰が吹いているのかがずっと気になってて。その前まではブラス2人が参加してただけに、この7人体制でどうこなすのか‥‥答えは簡単、浦くんがソプラノサックス吹いてたのね。お見事!

  8曲を終え、一段落。何かここまでもの凄い盛り上がりを見せていない気がする。例えばみんなが望む、活動休止前の大ヒットナンバーが1曲も披露されていない点。"抱きしめたい"をやったものの、これはみんなで盛り上がるってタイプの曲じゃないしな。どうも今回の選曲を見てみると、「シンガー・桜井」をこれまで以上に前面に打ち出した内容のように感じる。これまでは桜井が嫌でも前面に出てしまっていたが、やっぱり最後には「バンド・ミスチル」というのが残ったのだけど‥‥俺が新作を聴いて感じた点を、今回のツアーでも感じてしまうとは‥‥どうやら、本当に彼らは変わりつつあるのかもしれない。考えすぎだろうか?

  ここでもMCを。「今演奏された"抱きしめたい"って曲は'92年にシングルで発表された曲で、もう9年も前の曲なんですね‥‥早いもので、僕らももう9年、バンドを始めてからもう16年近く経ってしまって、人生の半分以上をバンドで過ごしています」これは結構感慨深かった。そうか、来年で10年なんだ、ミスチル‥‥「何でも長くやればいいってものでもないんで、これからも凝縮した濃い音楽活動が出来たらな、と思ってます」って何真面目な話してんの? 解散か?(苦笑)

  更に「シングルのカップリングナンバーってのは、結構A面やアルバムにも入らないような、意外といい加減に作った曲が多かったんですよ。でも、そういう曲にこそそのバンドの旨みみたいなものがあったりするんですよね? 食堂や料亭でいうと、料理人の賄い飯にこそ、その料理人の腕が端的に現れるというか‥‥って何僕は真面目な話してるんでしょうね?(笑)」言いたいことはよく判った。奥田民生もこないだテレビで同じような事言ってたな。狙って作った曲よりも、適当に作った曲の方がヒットしてしまうって‥‥

  こういうMCの後、「次の曲はそういう曲で、歌詞にコーヒーが出てくる曲です」‥‥そうか、なる程。前作に伴うシングルのカップリングにも関わらず、新作に入ってしまった"Surrender"か。ここでドラムとベースは1回休み。河口氏がアコギを弾き、SUNNYがピアノとコーラス、途中から田原の渋いギターソロが挿入される。桜井は今日、本当にギターを弾く比率が低い。前回のツアーでも最初から結構ずっとギター持ってたような‥‥この曲で、初めてSUNNYの歌の実力が発揮された。いい声してて、しかも上手い。桜井の声と上手くマッチしている。そして何より、田原のギターソロ。こいつ、こんなに上手くなったのか‥‥てっきり桜井が弾いてるもんだと思ってたが(笑)。ま、レコーディングでは桜井なのかもしれないけど、それを抜きにしても味があって上手いと思った。前回のツアーあたりからいよいよその実力を発揮しだした彼だが、今日の田原はひと味違う。そう、堂々としてる感じなんだな。段々とギタリスト然としてきたというか。ま、それでも他のリードギタリストと比べれば雲泥の差だが(苦笑)。

  しんみりしたこの曲の後は、アルバムと同じ流れで"つよがり"へ。オーケストレイションはキーボードでのサンプリングではなくて、どうやらテープ(所謂A-DATか?)を使用しているようだ。楽器構成は前の曲と全く同じで(河口がアコギ、田原がエレキ)、今までの彼らにないくらいしっとりと聴かせる。前作のツアーでは"Simple"や"ラララ"が同じような役割を果たしていたし、その前のツアーではアコースティックコーナーがあったので、この2曲はそれに匹敵する、いやそれ以上の役割を果たしていた。桜井の無理のない唄い方が非常に印象的で、ただ叫ぶだけでない、ロートーンで感情を込めて唄うという意外と難しいこの方法をモノにしたようだった。男として、そしてミュージシャンとしての転機をこの1~2年の間に迎え、この人は更に前進しているようだ。そしてそれに食い付いていくかのように、他の3人のメンバーの実力もアップしていることを、この2回のツアーでひしひしと感じた。未だにアイドルバンドと見なされる事の多いミスチルだが、もう佐野元春とかその辺と同じレベルで語られてもいいように思う。


  2曲のアコースティックコーナーが終わり、ちょっとの間の後、バンドがジャムセッション風の即興演奏を始める。ギターとピアノの絡みが渋くてカッコイイ。そしてTシャツに黒の皮パンツ姿の桜井が登場し、"十二月のセントラルパークブルース"がスタート。ここでおやっ?っと思う‥‥チューニングを下げているのだ。違和感を感じたのはキーが下げられていたためだった。確かにサビが相当高いキーで唄われているので(新作の楽曲はこれまで以上にキーが高い曲と、これまでよりも低いキーで唄われている点が非常に印象的だった)、こういう事も必要だろう。これまでもミスチルは、「深海」ツアーで数回、"花"を半音下げで演奏した事が何度かあったが(ツアー始まって1ヶ月経った頃かな?後半は元のキーに戻ってたけど)、ライヴやツアーが長丁場になると、こういう必要性も出てくるだろう、ボーカルの負担を減らす為に。こういうシンプルなロックンロールでは特に気にならなかった。桜井はギターも持たずに右へ左へと、息を切らしながら走り回る。ここでも田原のギターが良かったな。

  続いて再び新作から、ロックンロール曲"スロースターター"へ。桜井がギターを持つ。原曲のキーのままだが、サビでの桜井のシャウトが少々厳しそうだ。けど、それも取るに足りない問題だ。数年前程酷いとは感じないし、常にサビで辛そうだったとも感じなかったし。今回は"ラヴコネクション"を削っているので、この2曲が後半戦のロックンロールメドレーの役割を果たしているようだ。レコーディングでもジャムっぽい雰囲気を残す事に力を入れたらしいこの2曲は、やはりライヴでは生き生きとしている。ちょっと客の反応が鈍いようにも感じたが‥‥

  エンディングを引っ張るだけ引っ張って、そのままメドレーっぽく間髪入れずに"everybody goes"へ突入。久し振りに聴く曲だが、なんかもったりした演奏だな?と感じた。ライヴで聴くのは好きな曲だけど、今日はそれ程感動とか嬉しさとかを感じなかった。演奏し慣れてる曲のはずなのに、どうもぎこちなさを感じた‥‥何故だろう? サビでは手を左右に振るお客。嬉しくて仕方ないらしい。けど、ステージに目を向けるとそれ程盛り上がってない(ように俺のポジションからは感じられた)メンバー。「お仕事」として演奏してるのだろうか?

  この曲もエンディングを引っ張り、その間に桜井はエレキからアコギに持ち替え、ドラムがカウントを取ってメドレーっぽく"名もなき詩"に突入。この日3回目のピークが‥‥サビでは当然「手扇」の嵐‥‥正直に話そう。この曲は「深海」ツアー以来毎回聴いて/観てきたが、今日の演奏が一番ピンとこなかった‥‥感動もしなければ、嬉しくもなかった。前の曲からの繋ぎにもちょっと違和感を感じたけど、それ以上に感じたのは最初に書いた通り、演奏する側の「新曲」と「代表曲」との体温差に違和感を感じたのだ。俺の思い違いであって欲しいとは思うが、俺にはそう感じられてしまったのだ。歌詞だけは空で歌えるものの、なんかこれといった感慨深いものは何もなかったなぁ‥‥俺自身が今年に入ってから既に5本目のライヴって事で、感覚的に麻痺でもしてたのだろうか? それにしても‥‥嫌な感じだった。

  ここまで特にMCもなく、この後もアンコール時まで桜井が話すことはなかった。アコギを持ったままの桜井が奏でたのは、新作「Q」のトップ"CENTER OF UNIVERSE"だ。そうか、このポジションに持ってきたか‥‥正直、アルバムを最初に聴いた時は「あ、この曲がライヴのトップだな?」と実感したが‥‥個人的には徐々に徐々にと盛り上がっていく、如何にも復活後の彼ららしい楽曲なのでライヴのトップバッターにはピッタリだと思っていたが。特に最新作にはアップテンポの楽曲が少ないので、後半に山場を作るという意味ではこのポジションもありかもしれない。この辺に如何に最近の彼らが過去の楽曲に頼っていないかという姿勢が伺える。リズムがテンポアップするところで桜井はギターをローディーに預けて暴れ回る。今の彼(ら)の前向きな姿勢を端的に表したこの楽曲は、観客にも受け入れられているようだ。現時点で、最新作の中で俺が最も優れた楽曲だと思っているのがこの曲だ。

  このテンションを受け継いだまま、桜井は馴染みのあるテレキャスターを抱える。河口がアコギでコードストロークを‥‥最新シングル"NOT FOUND"だ。この曲でもキーが下げられていた。特にテレビでも感じたが、この曲は特別唄うのが難しいように思う。その上キーも高いのだから仕方ない。特に違和感はなかったが‥‥何か桜井がエレキをがむしゃらにかきむしる様に、今までの彼らから感じたことのない狂気のようなものさえ感じた。そしてその佇まいに、アリーナロック然としたオーラすら見えたような気がした。そうか‥‥何となく判ったような気がした。彼ら(特に桜井)は、俺達聴き手が認識しているミスチルのポジションよりも、更に上を目指し、結果(この日観た感じでは)そこへとたどり着きそうな勢いなのだ。どんなに大会場で演奏しようが、常に手が届きそうな存在。前回までは常にそんなイメージがあったが‥‥今の彼らにはそれが感じられない。何故だ? 彼ら自身、偶像だとかヒーロー視される事を拒否し、あくまでひとりの人間として、そしてミュージシャンとしてあろうとした結果、見つけたものが前作「DISCOVERY」には確かにあった。しかし、「Q」というある意味もの凄く個人的なアルバムを発表した後、彼らが向かった先‥‥彼らが求めた答えは「DISCOVERY」の時とは違うもののように思える。いや、本人達は同じものを手にしようとしてるのかもしれない。しかしこの日見せられたものからは、何か別のもの‥‥もっと巨大化した「何か」をイメージした。俺自身、最も考えたくない結果が‥‥もしかしたらこの先には待ってるのかもしれない。近い将来、そう、本当に近い将来にその結果が出されるのかも‥‥この俺の「勝手な想像」が間違っている事を祈るばかりだ。

  そんな事がこの曲が演奏されている間中、俺の頭の中を駆けめぐった。そうこうしてる内に曲は17曲目、"Everything is made from a dream"へ。初期ミスチルと現在の彼らが融合したかのようなこの佳曲もチューニングを下げられていた。はやり後半かなりキツイのだろう、最新作の楽曲は。桜井は再びギターを持たずに右へ左へと走り回る。中盤のナレーションパートでは、再び天井からスクリーンが下りてきて、そこにはこの楽曲の中にも出てくる手塚治虫作の「鉄腕アトム」誕生シーンが映し出される。ジョン・レノンの記念館が隣にある会場で、鉄腕アトムを上映する‥‥この曲にピッタリのシチュエーションだ。が、しかし‥‥この映像、そしてナレーション(アルバムで朗読されているパートの前にも更にいろいろ付け加えられていた。しかもそのナレーションもアトムをやってる声優さんと同じ人?に読み直してもらったようだ)がとてもクドく感じたのだ。とても説教臭く‥‥何か、「Atomic Heart」ツアーでの"Asia"や、「深海」アルバム再現時の映像みたいで、何かとても嫌ぁ~な空気を感じた。勿論、そんなの俺だけだろうが‥‥桜井自身、ああやって映像に頼るのは嫌がっていたにも関わらず、今回またしても映像を(たった数カ所であるにしろ)使った事に、余計危機感を感じてしまった。前の曲で感じた危機感が、ここで更に拍車がかかった。

  本編最後の曲は、アルバムの核となる大作"Hallelujah"。この曲もやはりキーを下げられている。この曲で本編を終える事には俺も大賛成だ。しかし、どうにもメンバーのその思いは聴き手にまで伝わっていないようだ。前の曲でのあの映像が、まだヘヴィな空気を残したままなのだ。エンターテイメントは説教臭くなってはいけない。説教自体はいろんなところに散りばめられているだろうが、それをああいう形であからさまに表現する事には疑問を感じる。しかもそれをエンディング間近にやるとは‥‥この曲のエンディングパートでは観客に「はっはれっ、はれっはれ~るぅ~、はぁ~れ~るぅ~や、はぁ~れるぅ~♪」と唄わせるのだけど、どうにもノリが悪い‥‥楽曲自体がそこまで浸透していない事もあるだろうし、この曲が核となっている事も伝わっていない。観客は"innocent world"や"Tomorrow never knows"といった楽曲を求めているのだ。

  曲が終了し、桜井の「またね~♪」という声が空しく響く。会場からは「エ~!?」というブーイングに近い声が。誰もがこの曲で終わるとは思っていなかった。誰もがこんなに重い空気のまま終わるとは思っていなかった。不満が残る。だから大きな手拍子が会場を包む。アンコールを求める声‥‥

  バンドメンバーが現れる。桜井「もう2,3曲やってから帰ります!」といって披露されたのは、新作の中でも最もコミカルな"友とコーヒーと嘘と胃袋"だ。一休みしたためか、この曲はオリジナルのキーに戻っていた。ファンキーなベースラインを刻む中川にやっとスポットライトが当たる。桜井の節回しもどことなく演歌チックで、会場からも笑みがこぼれる。さっきの不満が嘘のように‥‥中盤の桜井の独断場となる「しゃべり」パートはカットされ、その代わりにメンバー紹介の場となっていた。曲にあわせて河口、浦、SUNNYの順に紹介され、最後に「そして俺達、フニャちん男4人集。We are MR.CHILDREN!」‥‥って‥‥珍しく下ネタかい、桜井‥‥(苦笑)エンディングのリフレインでは「飲み込んで~消化して~♪」と観客に唄わせる。ちょっと声が小さかったように思ったが、それでも前よりはましだ。かなり唄えている方だろう。桜井のアドリブも上手い具合に絡んでくる。そうそう、彼らにはこういうファンキーな面もあったんだよな、そう思い出させるに十分な楽曲だった。

  続いて披露されたのは、名曲中の名曲、"口笛"だ。原曲のキーのまま、桜井はアコギをつま弾きながら唄う。この時期にぴったりな、心温まるナンバーは会場をも暖かい空気で包み込んだ。泣けてくる。何だかとても泣けてくる曲だ。昨年、最もヒットしたサザンの"TSUNAMI"と同じコード進行を持ち、しかもほぼ同時期にリリースされたこの曲。方や300万枚近い空前の大ヒット、方や100万枚にも満たない中ヒット(でも共に1位取ったけど)。10年経った時、どっちを聴きたいと思うかは判らないが、俺にとってはどっちも大切な、心に響く曲。こうやってミスチルがこの曲をこのポジション(結果的に一番最後)に持ってきたという事は、それだけこの曲に拘りを持っているという事に違いない。もし‥‥もし彼らに「続き」がなるのなら、もっともっと、普遍的な、みんなに届く歌を作り続けて欲しい。そう願って止まない。

  暖かい香りを残したまま、彼らのライヴは終了した。前回が2時間ピッタリのステージだったことを考えると、今回の約2時間半という時間はかなり長く感じた。けど、それも実際に時計を見て気付いた事であって、ライヴの最中には時計なんて気にならなかった。全部で20曲演奏、しかもその内の13曲は新作、及びそのシングルのカップリング曲だ。前作「DISCOVERY」収録曲を足すと16曲。つまり、活動休止前の楽曲はたったの4曲という事になる。穿った見方をしてしまえば「聴き手/オーディエンスを無視したライヴ構成」という事も出来る。まぁ今の彼らにとって如何に新作が大切が物か、自信作かというのが伺える内容でもある。

  ただ、どうしても気になってしまうのは、曲の並べ方。これははっきり言ってあまり良くないと思った。アンコールはあれで問題ないだろう。ただ、もう1曲‥‥代表曲と呼べる過去の曲が欲しくもないな、とも思った。"innocent world"をやって、その後に"口笛"やられたらもう鳥肌モンだったろうなぁ、なんて今言っても仕方ないが‥‥

  それと、最初に述べたように、新曲(「DISCOVERY」の曲も含む)と活動休止前の曲との温度差がどうしても気になってしまった。いっその事、ライヴ本編は新曲のみにして、アンコールを少し長めにして代表曲をやるってのはどうだったのかな?と考えてみた。けど、それも彼ららしくないかな。新作は特にコンセプトアルバムというわけでもないので、あの曲順通りに演奏する必然性も感じられない。間に過去の大ヒット曲を挿入するというのは正しいが、そうなるとやはりこういう温度差‥‥特に演奏する側の‥‥を感じてしまう。観客は最新作よりも過去のヒット曲を求め、バンドは過去の曲よりも最新の曲に力を入れる。これはどのバンドでもそうだろうけど、ここまでそれが端的に現れたライヴも久しくなかったように思う。

  ミスチルが今後どこへ向かっていくのかは判らないし、そもそもこのまま活動を続けるのかも判らない。現時点ではツアー終了後の予定は不明だ。新曲を発表するのかも、今回のツアーのビデオが商品として流通するのかも判らない。もしかしたら最も「らしく」ないベスト盤ってのもあるかもしれない。こうやって同時期に登場したバンド達(LUNA SEA, YELLOW MONKEY, シャ乱Q, JUDY AND MARY)が解散もしくは活動休止する中、最も順調な活動を送っているミスチルには現在、その噂はない。一度あった危機を乗り越えて、今は違った態度で臨んでいるのかもしれないが‥‥ちょっと今後の動向には目を離せない。俺自身、今後彼らがどこへ向かっていくのかを見届けたいと思う。何となく、ここまでくるとそれが使命のような気もするし‥‥(苦笑)


[SETLIST]
01. その向こうへ行こう
02. 光の射す方へ
03. ニシエヒガシエ
04. 終わりなき旅
-MC-
05. Heavenly Kiss
06. クラスメイト
07. ロードムービー
08. 抱きしめたい
-MC-
09. Surrender
10. つよがり
11 .十二月のセントラルパークブルース
12. スロースターター
13. everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-
14. 名もなき詩
15. CENTER OF UNIVERSE
16. NOT FOUND
17. Everything is made from a dream
18. Hallelujah
[encore]
19. 友とコーヒーと嘘と胃袋
20. 口笛



▼Mr.Children『Q』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 02 11 12:00 午前 [2001年のライブ, Mr.Children] | 固定リンク

2001/01/31

TEENAGE FANCLUB@渋谷ON AIR EAST(2001年1月29日)

  というわけで、前日の最高なライヴに引き続き、この日も同じオンエアに足を運んだわけだ。今日は整理番号も50番台という事もあり、更に前まで行けるのではという期待に胸を弾ませ会場へ向かった。開場時間ギリギリに到着したものの、少々入場が遅れた事もあって余裕を持って入場出来た。
  今日は昨日とは反対側‥‥ステージ向かって中央より右寄りを陣取った。ジェリーとノーマンの中間辺りというわけだ。贅沢だ、贅沢すぎる。最前列とまではいかなかったものの、限りなくそれに近いポジションをゲット。今日もレディヘ「KID A」でまったりしながら開演を待つ。

  本日はスタートが15分程遅れてスタート。メンバーは昨日の成功に気を良くしたのか、かなりリラックスしているように見えた。ノーマンだけでなく、フランシスやジェリーの顔からも笑みがこぼれる。そんなホンワカした空気をぶち破るようにスタートしたのは、名曲"Star Sign"だった‥‥! いや~本当に驚いた。あっけにとられたよ。そのまま昨日もプレイされた"The Cabbage"へと続き、怒濤の名曲2連発で観客の心を鷲掴み。俺もトルちゃんもこの2曲だけで昇天♪

  基本的セットは前日同様、最新作を中心としたセットリストなのだけど、この日はちょっと違うように感じた。だって、ノーマン曰く「過去何年も演奏してない曲をやるよ」という発言を2度までも耳にしたのだから‥‥その2曲とは"God Knows It's True"と、アンコール1曲目に登場した"Hang On"だ。更に新曲群も昨日はプレイされなかった"Dumb Dumb Dumb"や"Happiness"、そして"Cul De Sac"が登場。2日続けて観ても全く飽きさせない内容になっていた。こう言っちゃ語弊があるかもしれないけど、何か解散ツアーじゃねぇんだから‥‥って錯覚するくらいに、かゆい所に手が届く選曲だったように思った。

  2日間に共通していたのは、サマソニの時と違ってバンドと観客との密なコミュニケーションが取れていた点。これは今回の会場の作りのせいもあるだろう。ステージと最前列の客との間が狭かったので、ちょっとしたやりとりで会場内が和やかな空気で包まれる事が多かった。特にノーマンの茶目っ気いっぱいのトークや日本語(笑)にはちょっと驚かされたな。こんな人だったっけ?って。嬉しい誤算ではあったが。

  そうそう、この日も前の日もあったんだけど、同じ観客(同じ男性)による、メンバーへの呼びかけ?というか話しかけるの。初日は面白くて笑ってたけど、さすがに2日続けてやられると、後半うざく感じた。曲と曲との隙間の、ほんの一瞬の「静寂」をぶち壊すように‥‥クドというか、空気が読めないというか。場を盛り上げようとしてるのか、単なる目立ちたがり屋なのか‥‥まぁ笑って過ごしたけどね。

  中盤、俺が前作で最も好きな"Speed Of Light"も聴けたし、大阪ではやってた"Radio"も登場。続けて"Metal Baby "までもやってくれた。本当にベスト盤みたいなセットリストだわ。
  本編最後は名作「GRAND PRIX」からの"About You"~"Sparky's Dream"という素晴らしい流れで閉められた。本当、前日同様顔の筋肉緩みっぱなし。また今日も汚い笑顔してるんだろうな‥‥(爆)

  アンコールは先にも書いたようにライクT-REXな(笑)"Hang On"から"Verisimilitude"へと続いた。そして観客から「"Straight & Narrow"!」ってリクエストが挙がった。俺も聴きたいぞ、ノーマン!(笑)いろいろリクエストをコールする観客。けどノーマンは首をひねったりしてる。そこへ「"Neil Jung"!」って声が。しめた!っと言わんばかりの笑顔で「OK!」とリクエストに応える。って実は最初から決まってたんだろうな(笑)。けど嬉しい。最後の最後で、一番好きな、一番聴きたかった曲をやってくれたんだから。実は俺が観てたポジションからちょっとだけ、セットリストが見えたんだけど、さすがに"Neil Jung"までは見えなかった。最後の"Cul De Sac"は見えたんだけど‥‥それにしても"Neil Jung"! 気が付いたら歌詞見ないで唄えるようになってるし、俺。本当に本当に、これでもかってくらいの満面の笑みで彼らの演奏に応えた。先々週観たHELLACOPTERSとは正反対の、とてもピースフルなバンド。しいて言えば、今年最初に観たCYBERNAUTSと共通する空気を持ったバンドだ。って両方ともイギリスだしね。

  前日は"The Concept"~"Satan"という怒濤のカオス状態で終わったけど、今日は"Cul De Sac"でしんみりと終わった。ノーマンはコーラスにギターにリズムボックス?にと大忙し。コーラスしながらそれを一度にこなすんだから‥‥他の人間に任せればいいのに‥‥単に目立ちたがり屋なのね、彼も(笑)。
  それにしてもこのバンド、役割分担が多いね。ジェリーはベースと歌だけなんだけど、ノーマンは歌にギター(エレキとアコギ、しかも曲によってカポを使い分けるし)、オルガンに鉄琴、リズムボックスを操っていたし、フランシスもエレキ&アコースティックギター、オルガンとボンゴ(!)まで披露。改めて脱帽ですわ。ま、それだけ最近の曲は使う楽器が増え、楽曲の幅が広がってるんだろうけど。途中で間違えたりってのもご愛敬って事で(笑)。

  というわけで、今日も前日同様90分程度のショウだった。腹八分目ではなく、満腹だよ。これだけやられたら、文句言える!? そりゃ俺は2日間両方観れたからこう言えるのかもしれないけど、例えどっちか1日だけだったとしても(いや、その翌日の追加公演@クアトロしか観れなかったとしても)、俺は満足してたような気がする。結果的には本当に聴きたかった楽曲を全部聴けたので、万々歳なんだけどね、俺的には。

  最近のパワーポップ系バンドのライヴでは、お客も元気いいね。さすがに今回はダイブする人いなかったけど、それでもここまで押されて揉まれて白熱したら‥‥ねぇ? 肋にも隣の人間の肘がぶつかるわな?(爆)痛いっちゅうの。んなことはどうでもいいんだよ。愛だよ、愛。Love & Peaceね♪ そんな至福の2日間だった。夏に引き続き、本当にありがとう、TFC!!!


[SETLIST]
01. Star Sign
02. The Cabbage
03. Your Love Is The Place Where I Come From
04. The Town And The City
05. Dumb Dumb Dumb
06. Ain't That Enough
07. Happiness
08. Mellow Doubt
09. God Knows It's True
10. Speed Of Light
11. My Uptight Life
12. I Need Direction
13. Start Again
14. Radio
15. Metal Baby
16. About You
17. Sparky's Dream
 [Encore]
18. Hang On
19. Verisimilitude
20. Neil Jung
21. Cul De Sac



▼TEENAGE FANCLUB『HOWDY!』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2001 01 31 12:00 午前 [2001年のライブ, Teenage Fanclub] | 固定リンク

2001/01/30

TEENAGE FANCLUB@渋谷ON AIR EAST(2001年1月28日)

  ひとつのアーティストの1回の来日(又は1回のツアー)に対して複数公演足を運ぶのは、もうどれくらい振りだろう。帰省してからはまずない。BON JOVIは'96年の横浜スタジアム3日間、ミスチルは'96~7年のツアーで4~5回は行ってるし(シークレットを含めればもっとか)、WiLDHEARTSは'97年秋の3回。そうか、それが最後だ。そう考えると、これは凄い快挙なのかもしれない。しかも、何故にTFCで!?という疑問も生じる(笑)。いや、これはもう昨夏のサマーソニックでの初ライヴ体験の影響が大きい。丁度その前後から俺自身がパワーポップに対してかなり好意的に興味を持ち始めた事もある。そして何よりも、某トル氏(笑)の影響が最も大きい。今回も東京公演2公演に一緒に行く事となった。

  オンエアも気付けば4年振り?くらいの気がする‥‥しかし男ふたりであのラブホ街をぶらつくのも、何だかなぁ(苦笑)。今日は日曜という事もあって、17時開場、18時開演という普段よりも1時間早いスタート。既にソールドアウトという事もあって、客足も好調なようだ。前日、関東地方を大雪が襲ったせいで、まだ会場周辺にも雪がちらほら残っている。そんな中を入場20分前から既にTシャツ1枚で待つ30男ふたり(爆)。人間何事も気合いです、ハイ。

  グッズを先に購入し、入場。320番台という、まずまずのポジション。入場して、ステージ向かって真ん中よりもちょっと左寄りを陣取る(アンプや置いてある楽器等から、どうやら真ん中がノーマンで、左がレイモンド、右にジェリーという事になるようだ)。前には4~5列程度の人の壁が出来ているが、女性ばかりだ。まぁライヴが始まれば後ろから押されるので、1列目も5列目も関係なくなる。バックに流れるRADIOHEAD「KID A」に耳もくれずにふたりして雑談。既に大阪、名古屋で公演を終えているわけだが、毎日曲順が違ったり、曲を入れ替えたりしている事から、今日は何からスタートするんだろう?とか、○×△はやるかな?なんていう他愛もない話に花が咲く。

  ほぼ定時で開場が暗転。その途端に後ろから前方に向かって圧迫される。サマソニでは2階から傍目で観ていたこの光景を実際に体験するとは、あの時点では思ってもみなかった。メンバーが続々現れる。ステージにはメンバーの3人の他に、サポートメンバーが2人。ドラムはサマソニと同じ、ファーストにも参加していたフランシス、キーボードは前回と違う人だった(見た目のキャラがかなり際だったお方だった。クリスと呼ばれていたようだが)。見るからに如何にも気難しそうな、典型的な英国人に見えたレイモンドやジェリーに対して、ノーマンの『如何にもフロントマン的な』満面の笑顔が衝撃的なインパクトを俺に与えた。あれっ、こいつらってこんなバンドだったっけ? まずは1発、名作「GRAND PRIX」のトップ"About You"から。会場の客の湧くの何のって! 1曲目から既に大合唱の嵐。そして押すわ跳ねるわ大暴れ。こっちが動きたくなくても、そういう人達に挟まれてるんで、勝手に体が浮き上がる(笑)。冗談はさておき‥‥これが本当に気持ちいいんだわ。ただ耳に優しいだけじゃなくて、ロックが持つ躍動感もちゃんと感じさせる。アルバムの音だけだと「ヘロヘロでヤワな奴ら」ってイメージだけど(特にここ数作の音からは更にそういうイメージを増長させるものがあった)、初期のあの爆裂サウンドを思い浮かべれば、これも何となく想像出来なくはないんだな。とにかくコーラスはバシバシ決まるし、ノーマンはニコニコ笑顔を絶やさないし。ドラムのフランシスは、リンゴ・スターみたいに首を左右に振りつつ、唄いながら(そしてコーラスにも参加しつつ)気持ちいいリズムを聴かせてくれる。レイモンドは‥‥彼ってこんなにリードギタリスト的資質があったの?と驚かされる。ジェリーは‥‥この人、本当に控えめなのね? 自分の歌のパートがない曲ではステージ袖の、本当の端っこにまで引っ込んでベース弾いてるし(笑)。そしてそんなレイモンドやジェリーに気配りを忘れないノーマンが特に印象的だった。夏観たときはそこまで確認出来なかったから、印象がガラッと変わったよ。見違えた。やっぱ今回はツアーに次ぐツアーの後って事で、脂が乗り切ってるのも大きいのだろう。

  選曲的には、やはり大阪・名古屋とも違ったものだった。基本となるのは最新作「HOWDY!」と、ファンの間で最も人気の高い「GRAND PRIX」からの曲。そこに前作や初期の名曲群(!)を散りばめる形で、かなりバランスが取れてたんじゃないかと思う。最初の山場は5曲目"Metal Baby"で訪れた。ビックリした。だってやると思ってなかったし! 個人的に最も思い入れの強いアルバム「BANDWAGONESQUE」からの曲はどれも好きだ。だって、俺がこのバンドを知る切っ掛けとなった1枚なのだから。この曲での客の狂乱振りも半端じゃなかった。思わずトルちゃんとふたりして顔見合わせたもん♪ 互いに笑顔でやんの(笑)。   そこから「GRAND PRIX」収録の2曲("Don't Look Back"、"Verisimilitude")へと繋ぎ、再びニューアルバムの曲に戻った後、2度目のピークが‥‥な、なんと! サードアルバム「THIRTEEN」収録の"The Cabbage"どわぁ~~(爆死)大阪・名古屋でやってたのは知ってたけど、実際に目の当たりにすると、やっぱ悶絶モンである。今日会った時点でトルちゃん「一番好きなこれが聴ければ‥‥」と言っていただけに、彼のその反応は半端じゃなかった(はずだ。俺も半狂乱で暴れてたので/笑)。サマソニでは初期の曲は"Everything Flows"と"The Concept"の2曲のみだった事でちょっとガッカリしたのも確かだが、今日はもうガッカリするどころかイキッぱなしだよ!

  その後新旧の名曲を挟みつつ(そしてノーマンの鉄琴プレイも披露)、最近ではアンコール前のラストに演奏される事が多かった"Sparky's Dream"が登場して驚く。あれっ、もう終わっちゃうの?と思いきや、この後まだ3曲もやってた。ここが第3のピークかな? 曲と曲の間でふと我に返ったのだけど、何か俺、ノーマンのその笑顔同様、曲が始まった瞬間に頬の筋肉が緩んで自然と笑顔になってしまってるんだわ。それもきっと、かなり汚い笑顔(爆)だったに違いない。いや間違いない。こんなに甘いメロディを連発された日にゃ、もう好きにしてっ!って気にもなるわな、普通。とにかくライヴの間中、頬の肉垂れまくり、汚い笑顔のままだった。

  本編の最後に演奏されたのは、サマソニでは1曲目に披露されたデビューシングル"Everything Flows"だった。この曲、スタジオテイクはやたらとダラダラした印象を受けるのだけど(曲が単調な割に、後半のギターソロが長いので余計にそう感じる)、ライヴだとそのギターソロも前半をレイモンドが、後半をノーマンがという感じで上手い具合に分担してたので、見た目的にも飽きさせなかった。何よりも、ライヴでは比較的歪みまくった音を使っていた点もかなりポイントが高いのではないだろうか。メロが耳に馴染みやすい反面、バックの音(特にノーマンのギター)がロックしていた点が非常に興味深かった。

  アンコールには大阪1曲目だった"Near You"や前作から"Can't Feel My Soul"、カヴァー曲"He'd Be A Diamond"を披露。ここで終わるのかと思いきや、即興に近い形で演奏されたのが、BIG STARのカヴァー"September Gurls"。偶然というか、たまたまこの日トルちゃんに貰ったパワポMDにこの曲、入ってたんだよね! でも、何か誰も曲をちゃんと覚えてなかった感じで、最後もバラバラになってた(笑)。まっ、ここがこのバンドの良い所であって、悪い所でもあるんだけどね♪ 昔の俺なら嫌ってただろうけど、今なら余裕ぶっこいて観てられますわ、ハイ。

  ここで終わってしまうのもどうかと思ったのか、最後にもう1曲やってくれた。そう、サマソニでも最後に演奏された"The Concept"! やっぱり何時聴いても気持ちいい曲だ‥‥お客も最後の力を振り絞って大合唱&大暴れ。最後はピースフルに終わるのか、と思わせておいて‥‥最後のサイケなパートに移る瞬間に、フランシスの速いカウントが‥‥なな何と、後半を見事にカットして、メドレー形式で暴走爆裂インストナンバー"Satan"になだれ込む! そりゃ暴れるさ!って感じで飛び跳ね踊る。そして怒濤の演奏は唐突に終わる。そこもアルバム通り(笑)。そして彼らは笑顔でステージを後にしたのだった。

  時間にして90分程度のステージだったが、曲数的には20曲以上もあり、尚かつ「新曲+みんなが聴きたいと望む曲」のバランスが見事に取れていたように感じた。新作のツアーなので新曲が多めになるのは当たり前だが、この日は新作から6曲と、かなり多めに演奏されている。つまりそれ以外の16曲が過去の代表的ナンバーという計算になる。考えようによっては、凄い贅沢な内容だよな。これ1日だけでも十分に満足してたのに、あと1日あるんだから‥‥明日は何をやってくれるのかね?って期待で胸膨らませてたよ、俺。

  個人的に聴きたかった曲でこの日演奏されなかったのは、"Star Sign"、"Radio"、"Hang On"、そして"Neil Jung"といったところだろうか。まぁやってくれそうな曲もあるけど、とても望めそうもない曲も‥‥ところが‥‥(1/29レポートに続く)


[SETLIST]
01. About You
02. Start Again
03. The Town And The City
04. I Can't Find My Way Home
05. Metal Baby
06. Don't Look Back
07. Verisimilitude
08. I Need Direction
09. Accidental Life
10. The Cabbage
11. Ain't That Enough
12. Mellow Doubt
13. Your Love Is The Place Where I Com From
14. Sparky's Dream
15. The Sun Shines From You
16. Take The Long Way Round
17. Everything Flows
 [Encore]
18. Near You
19. Can't Feel My Soul
20. He'd Be A Diamond
21. September Gurls
22. The Concept ~ Satan



▼TEENAGE FANCLUB『HOWDY!』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2001 01 30 12:00 午前 [2001年のライブ, Teenage Fanclub] | 固定リンク

2001/01/22

THE HELLACOPTERS JAPAN TOUR 2001@渋谷CLUB QUATRO(2001年1月14日)

いや~‥‥ホントに凄いライヴだった。新しいアイドルも発見してしまったし‥‥(笑)とにかく、いろんな意味で忘れられないライヴになった。

ご存じの通り(?)、前回HELLACOPTERSを観たのは初来日の'98年10月、WiLDHEARTSの前座でだった。その時とはギタリストが変わっているわけで(助っ人参戦のチャック・パウンダーから現在のロバート・ストリングスに、'99年の「GRANDE ROCK」ツアーから参加)、そういう意味では気持ちも新たに観れると思うのだが‥‥前回の印象があまり良くなかったから、今回も期待しない、普通はそうなるんだろうけど‥‥「GRANDE ROCK」「HIGH VISIBILITY」という2枚の傑作を引っ提げてのツアーだもん、期待するなという方がおかしい。この2枚を通過した事によって、俺の彼らに対する印象はかなり良くなっている。

また、俺自身がこの手の「爆走ロック」に対して更に興味を持つようになったのも、印象が変わった理由のひとつかもしれない。考えてみれば、あれから2年以上もの月日が経っているのだ。それに前回は前座という限られた条件の中でのライヴだった。2回目の来日('99年10月)のライヴではかなり素晴らしいステージングを繰り広げたと聞いている。だったら‥‥って事で、今回は自ら進んで行くことにしたのだった。

会場は渋谷クラブクアトロ。条件としては悪くないと思う。東京公演初日、しかも日曜日。今日は前座が付かないそうだ(前回は日本のマカロニが付いた)。つまり、どっぷり彼らに浸かる事が出来る。かなり期待して当日に望んだ事を今でもよく覚えている。前日、よく眠れなかったくらいだから‥‥

知人のご厚意により、17番という素晴らしすぎる整理番号で入場する事が出来、ロッカーに上着や荷物を入れた後にフロアへ。ドリンクに目もくれず、ステージ前へ。前回観た時、ボバ・フェット(キーボードやタンバリン担当)の大振りなアクションに目を奪われっぱなしだった事を思い出し、すかさず彼の前(ステージ向かって右側)へ。ほぼ1~2列目辺りをゲットし、開演まで1時間、じっとじっと我慢の子で待つ。BGMには‥‥古めかしいファンク調のロックが流れる。最近のバンドっぽい音だが、誰だったんだろう。ちょっと気になった。

ほぼ定刻通りにライヴはスタート。ローディーがバンドを紹介し、メンバーが続々とステージに登場。デカい。メンバー皆、かなりデカい。そうか、前回はブリッツの後方で観てたしな。ドラムのロバンは違った意味でデカいが(笑)。そういえば、この俺の目の前にいるイイ男は誰だ? 初めて見る顔だが‥‥そう、この男こそ前回から加入したロバート・ストリングスその人なのだった‥‥か、カッコいい‥‥マジでカッコいい‥‥ブロンドの長髪、まだ幼さの残る顔、かなりの長身、そしてレスポール(時にはファイヤーバードやフライングV。ってこの日はVは使ってなかったけど。ちなみに今回のニッケはレスポールJrではなく、白のグヤトーンだった)‥‥こ、こやつ、デキるな‥‥正に俺の理想ともいえる「ギターヒーロー」なのだった。

またこの男、アクションのひとつひとつもキマッてるのだ。ボーカル&ギターのニッケとの絡みも抜群だし、跪いて仰け反ってギターを弾かせたら今、世界でナンバー1だろう(爆)。ニッケが左利きな分、ふたりしてシンコペーションに合わせて体を左右に振ると、これが抜群にカッコイイ。KISSが"Duece"で見せるアクションに近いカッコよさがあるのだ。そういえばブリッツでもやってたっけ‥‥いや、イマイチ記憶に残ってない。それくらい真剣に見てなかったって事か(苦笑)。

最前列近くという事もあって、音はそれ程よくなかった。つうよりも、聞こえてくる音そのものがギターアンプ直の音なのだ。しかもボーカルも殆ど聞き取れない(翌日も見た人の話によると、後ろから見るとボーカルもよく聞き取れたそうだ)。いや、聞き取れなくても十分だった。もうニッケには目が行ってなかった‥‥気付けばストリングスばかりを追っていたのだ。ボバ目当てだったにも関わらず(そのボバは前よりも地味になっていた。いい意味でやる気なさそうなところがグーだったが)‥‥比率で言えば、ストリングス7:ニッケ1.5:ボバ1:その他(笑)0.5、といったところか?(かなり誇張されてるが)そのくらいカッコよかったんだよ、チミ~!

次から次へと繰り出す必殺ロケンローに悩殺されっぱなしで、曲順なんて覚えてないっつうの!(笑)あらためてセットリストを見てみると(Thanx to ユウゴさん)、あぁ、確かにやってたわ~って感じで、この曲順でCD-Rを作ってみて今それを聴きながらこのレポートを書いているのだけど‥‥アルバムの(特にここ2作の)完成されきった感のある音作りもいいが、ああいう荒々しい‥‥ファーストの頃みたいな‥‥爆音で聴く彼らも抜群にカッコイイなぁと改めて思った。そうそう、ブリッツではギターのミックスがメチャメチャで耳に不快感を与えるミックス、しかも何故かエレピの音がかなりデカかったんだ‥‥なんて事も今回のライヴを観ててふと思い出した程だ。

そういえばどなたですか、ライヴ中盤で‥‥俺の左隣あたりから「してぃ~すら~んぐ!」って叫んでた男性は?(笑)ちゃんと本編ラストにやってくれてたね? アンコール1発目では、最新作の1曲目"Hopeless Case Of A Kid In Denial"(超名曲!)をここに持ってくるか!?って感じで披露し、そのままラストになだれ込み、最後の最後で"(Gotta Get Some Action) Now!"~"Soulseller"という怒濤のエンディングに突き進む‥‥カッコよすぎ‥‥恍惚とはこういう事をいうのね‥‥ってくらいにイッたよ、俺‥‥果てたね、マジで。すっげー濃厚で激しいセックスを1時間半に渡って繰り広げた後、互いに同時にイッちゃうような至福の時を味わう事が出来た(何か俺にしてはすっげー例えだな?/笑)そのくらい、終わった後の充実度は高かった。

Stick最後にボバや憧れのストリングスべいべー(笑)とタッチし、満足しきった所へドラムのロバンがスティックを投げ始める。1本目は後ろの方へ、そして2本目は俺らの方目がけて投げてきた‥‥あ、何か取れそう‥‥そう思って掴んだら‥‥あれっ、何か掴んでるよ、俺‥‥そう、俺。取っちゃったのですよ、ロバンのドラムスティック!(爆)これはこの日の記念に、家宝として家に飾っておく事にする(右写真がそれ。ライヴでのハードヒットを物語っている折れそうな具合に男を感じさせる、マジで)。

それにしても‥‥本当に凄いライヴだった。WiLDHEARTSともマニックスとも違う、男の中の男のバンドによる、男らしいライヴ。あぁ、ロック好きでよかった‥‥6日前に観たCYBERNAUTSとは全くタイプが違うバンド/音楽性だが、こういう音楽に出会えるからロックって素晴らしいんだな、と帰りのバスの中でひとりジーンとしてしまった(半分寝ていたが/笑)。自分にとって大切なバンドがまたひとつ増えた‥‥単純にそんな気がした。ニッケは「夏のフェスでまた会おう!」と言ったらしいが、出来ればフジロックで戻ってきて欲しい。苗場の夕日をバックに"No Song Unhead"のような哀愁漂うメロディーを聴きたい。ROCKET FROM THE CRYPTがオーケーなんだから、HELLACOPTERSだって何ら問題ないはずだ。「BURRN!」でしか取り上げられる事がない(或いは他誌ではあまり取り上げられない)彼らだからこそ、もっと多くの人に聴いて欲しい。今はそんな気持ちでいっぱいだ。

一言で言って「ヤクザ映画を見終わった後の、ちょっとハードボイルドな感じ」。そんな気分を味わいたかったら、CD屋に行って「H」の棚を漁れ! ライヴに来い! 素直にそう言いたくなる、そんなライヴだった。既に今年のベストライヴ候補。文句なしにカッコいいっ!!


THE HELLACOPTERS @ SHIBUYA CLUB QUATRO. 1/14/2001
01. Sometimes I Don't Know
02. Disappointment Blues
03. Move Right Out Of Here
04. Baby Borderline
05. Toys And Flavors
06. Hey!
07. Born Broke
08. I Wanna Touch
09. The Devil Stole The Beat From The Lord
10. No Song Unhead
11. Like No Other Man
12. Paul Stanley
13. Envious
14. Random Riot
15. Psyched Out And Furious
16. Throw Away Heroes
17. You Are Nothin'
18. City Slang
[ENCORE]
19. Hopeless Case Of A Kid In Denial
20. Fake Baby
21. Hurtin' Time
22. (Gotta Get Some Action) Now!
23. Soulseller



▼THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』
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投稿: 2001 01 22 04:30 午前 [2001年のライブ, Hellacopters, The] | 固定リンク

2000/05/19

COSMO EARTH CONSCIOUS ACT We Love Music, We Love the Earth@日本武道館(2001年4月22日)

  たまたま行くこととなってしまった、このイベント。実は5~6年前から毎年この時期にこのイベントが行われていた事は知っていた。が、このイベントが12年も続いているとは知らなかった。'90年から毎年4/22(アースデーと呼ばれているそうな)、以下のような豪華なアーティストが毎年毎年、日本武道館でイベントを行ってきたそうだ。

第1回('90)--ブラジル・プロジェクト(リー・リトナー/渡辺貞夫/ジェームズ・テイラー他)
第2回('91)--坂本龍一/ユッスー・ン・ドゥール
第3回('92)--久保田利伸&キャロン・ウィーラー
第4回('93)--TOSHI(当時X JAPAN)/ジャニス・イアン
第5回('94)--サンタナ/オルケスタ・デ・ラルス
第6回('95)--ユーログルーブ・小室哲哉/アース・ウィンド&ファイアー
第7回('96)--ドゥービー・ブラザーズ/玉置浩二
第8回('97)--エターナル/MAX
第9回('98)--ダリル・ホール&ジョン・オーツ/シング・ライク・トーキング
第10回('99)--ドリームズ・カム・トゥルー
第11回('00)--杏子/山崎まさよし/スガシカオ/COIL

  まぁこれを本当に「豪華」と感じるかどうかは、あなたの趣味次第だが、少なくとも俺は豪華だと感じた。実際に「もし当時このイベントを知っていたら、確実に観に行ってたな」と思わせた回が幾つかあった。で、第10回目を境に、このイベントは国内のアーティストのみで構成されるようになった。昨年の同じ事務所同士の組み合わせってのもどうかと思うが、今年は趣味趣向/音楽性てんでバラバラだ。だって19にhitomi、挙げ句の果てにスペシャル・オープニングアクト扱いで清志郎だ。一体どういうライヴになるのか‥‥全く想像がつかなかった。

  さて、最初にこのライヴの趣旨である「アースデー(Earth Day)」について、ちょっと説明を。入場者全員に配られた小冊子には「アースデーは、地球環境の問題を私たちの身の回りのこととして考えていこうという市民レベルの活動として米国でスタートしました。1970年、G・ネルソン上院議員が4月22日を“アースデー”と宣言。当時米国の市民活動の指導者であったデニス・ヘイズ氏がこの概念を具体化する行動を米国に呼びかけて、一大ムーブメントとなりました。今では世界140カ国約2億人の人たちが行動を起こすほどの広がりを見せています。」と書かれている。つまりは、環境問題を身の回りレベルで考えて、行動に移していこう、というのを推進する日とでも言えばいいのだろうか? 会場内では募金を集ったりしていて、集まった募金は全部「アースコンシャス募金」を通じて、WWFジャパンに寄付し、沖縄県石垣島白保サンゴ礁などの自然環境保護に役立てられているという。しかし、その割には「チケット代の○%が募金として集められます」なんて注意書きもないし、当日もそういうアナウンスは一切なかった。何か違うんじゃないの? こういうのってアーティストがノーギャラで出演して、全額寄付とかにしなきゃ意味がないんじゃないの?? その辺はかなり疑問が残ったが‥‥

  当日はラジオ&インターネットでの同時生中継もあるとのことで、定刻通りにスタート、決められた時間枠でしか演奏出来ないらしいが‥‥


◎忌野清志郎/ラフィータフィー

  「スペシャル・オープニングアクト」の意味が全く判らなかった。大御所だから「スペシャル」が付いてるのか? まぁ清志郎の事だ、何か企んでるんだろう。

  当日配られたフライヤーの中に、「清志郎、フジロック出演決定!」の文字を発見し、同行した小川くんと喜ぶ。やっぱりフジの顔として毎年出てもらわないと。我々の席は武道館南側、2階席8列目という、ステージ真正面でかなり見やすい位置だった。ステージ上にはドラムセットとアンプの山。そしてステージ両サイドには何故か自転車が‥‥最近、清志郎は自転車に凝っているらしいから、そういう事なのだろう(どういう事だ!?)

  アナウンスがあって、定刻通りにスタートする事が告げられる。そして18時半に暗転、歓声が。客の殆どが19のファンだろうけど、それでもこの声援。大したものだ。メンバーが次々と現れ、最後に(多分)清志郎が‥‥「オ~イェイ~!」のかけ声。そして始まったのは、なんとRCサクセション時代の名曲、"トランジスタラジオ"だった。おおっ! かなり興奮する俺。ステージ上にはメンバーが4人‥‥清志郎の他に、ベースの藤井裕、この日が初披露となる新加入のドラマー宮川剛、そして「時々欠席」するが一応正式メンバーのサックス武田真治。武田のサックスがこの日、またいい味を出していた。ラフィータフィーの初ステージは一昨年のフジロックで体験しているものの、サックスを含むメンツは初めてだ。シンプルな編成だが、逆にそこがまたいい。RCともLITTLE SCREAMING REVUEとも違う「味わい」がここにはある。カッコイイ‥‥ロックの醍醐味がストレートに伝わる編成/メンバーだ。

  その後、ラフィータフィーとしての最新作「秋の十字架」からの"グレイトフルモンスター"を挟んで、再びRC時代の"空がまた暗くなる"を熱演。つうかこの曲だけ、俺知らなかった‥‥まだまだです、俺。
  いろいろ煽りたいんだろうけど、そこはスポンサーに気を遣う清志郎。ガソリン云々について語ろうとしたが、途中で「コ○モはいいんです」みたいなフォローをしてしまう辺りに、彼の人柄が表れている。19ギャルやhitomiキッズ(笑)にも好感触なようだ。

  再び新作から"水の泡"を披露。かなりムーディーな空気を作った後に彼らが演奏し始めたのは‥‥なんとビックリ、あの"イマジン"だった‥‥!! そう、もう13年も前になるのか‥‥発売中止騒動は何も"君が代"だけじゃなかった。既に清志郎は「カヴァーズ」という作品でもそれに直面していた。そのアルバムのラストを飾る、言わずと知れたジョン・レノンの名曲の日本語カヴァー(というより、清志郎流の歌詞が乗った、RCの曲といった方がいいかも)。同行した小川くんの話によると、これはかなり貴重らしい‥‥正にこの日にぴったりな選曲である。

  その後"Sweet Lovin'"でノリノリにしてから、やはり最後はこれでしょう!ってことで"君が代"を‥‥武道館で!!!後半やたらと長い即興(早い話が「苔の蒸すまで」の「蒸す」を「ムース」だの「ポマード」だのと替え歌してただけだが/笑)が続いたが、決めるところは決める男、清志郎。しっかりとお坊ちゃん・お嬢ちゃん達にロックの素晴らしさを教育して(笑)からステージを後にした。正味40分程度のステージだったが、俺には1時間にも2時間にも値する内容だった。


01. トランジスタラジオ
02. グレイトフルモンスター
03. 空がまた暗くなる
04. 水の泡
05. イマジン
06. Sweet Lovin'
07. 君が代


◎hitomi

  途中15分程度のインターバルを挟み、ちょっとだけ期待していた(笑)hitomiのステージを観ることに。ドラムの両脇にはキーボーディストが2人、フロントにはギター2人(ひとりはいかにもスタジオミュージシャンといった風貌で、もうひとりは短パンにレスポールという「俺ってロックだろ?」的にぃちゃん)とベーシスト。聴き覚えのあるシンセのリフに続いてhitomiがステージに登場‥‥呆気にとられる。数日前に観た「ミュージックステーション」と同じような、ヒラヒラフリルのついた膨らんだスカートに、全盛期の森高千里を思わせるコスチューム‥‥いつから君はそういうスタイルになったの?? もうちょっとクールな感じだと思っていたが‥‥まぁそれはそれで、目の保養ということで‥‥(笑)

  聴き覚えのあるシンセのリフ‥‥なんて事はない、最初のヒット曲である"CANDY GIRL"だった。シンセよりもかなりギターを前面に出したアレンジになっており、思った以上にロケンローな感じだった。ちょっと好印象。もっと打ち込みバリバリなアンサンブルだと思ってたが‥‥キメ所ではツインリードなんかも入ったりして。メタル好きなんだろうな、きっと(笑)。

  彼女のステージは実質20分程度。5曲しか演奏されなかったが、それでも全部シングル曲で、知っている曲ばかりだった。こういうイベントでは客のハートをがっちりと掴んでしまえば、もうこっちのもの。19ファンをも巻き込んで、大盛り上がり大会になっていた。最後はお約束の"LOVE 2000"で終了。非常に楽しかった。清志郎が40分以上やっただけに、20分は物足りなかったが、もしかしたらこれが程良い長さだったのかもしれない。これが40分だったら、逆に引いてたかもしれないし。うん、また金払って観たいとは思わないけど(苦笑)、観てよかったと素直に思えるステージだった。


◎19

  20分程度のインターバルの後、いよいよヘッドライナーの19が登場する。バンドメンバーが登場し、演奏を始める。聴き覚えのある曲‥‥タイトルは知らないが。そしてメインのボーカルをとる奴が登場。もうひとりの方は既にステージでギターを弾いていた。

  ご存じの通り、俺は19が積極的に嫌いだ。けど、ゆずの例があるから、もしかしたら今回を機に気に入るかも‥‥そんな淡い思いを胸に今回のイベントに臨んだのだ。小川くんとも「とりあえず1曲聴いて判断しよう」ということになっていたのだが‥‥1曲で十分、いや、かなりキツかった、聴いてるのが。ボーカルは声量が全くないし、逆にギターの奴の方がいい声してて、かなり通っていた。路上でパフォーマンスしていたにも関わらず、歌詞が全く聞き取れず、口先だけで唄っている印象を受ける。彼らに対して悪いイメージがあるからこう書いているわけではなく、実際の話、清志郎はバカでかい声で、知らない曲の歌詞までしっかり耳に入ってきたし、それは音数の多いhitomiにしても同じだった。では何故、19は聞き取り難かったのだろう‥‥

  これ以上聴いても無駄だ、そう決断を下し、俺と小川くんは武道館を後にした。「へっ、何でもう帰るの!?」という19ファンの軽蔑の眼差しを背にして。


◎総評

  総評するまでもないだろう。ジャンル・スタイルが全く違う3組のバトルロイヤルととる事もできる今回のイベントだが‥‥勝負あった、って感じかな。まぁあえて言わないが‥‥

  大健闘はhitomiだろう。正直、こんなに気持ちよく聴ける(観れる)とは思ってもみなかった。途中辛くなってトイレタイムにでもなっちまうのか!?なんて思っていたが、本当によかったと思う。これを機にちゃんとCD借りてこよう(でも買いません/笑)

  19は‥‥ファンには悪いが、今後彼らと交わることはないと確信した。別にファンをけなすつもりもないし、好きな人にとっては大切なアーティストだと思う。けど、俺にはピンとこなかったし、必要のない音だった。それだけ。とはいっても、数年経って俺の好みに成長している可能性もなきにしもあらずなので、心は広く‥‥ねっ?(笑)

投稿: 2000 05 19 01:20 午前 [2001年のライブ, 忌野清志郎] | 固定リンク