カテゴリー「2001年の作品」の79件の記事

2020年7月 9日 (木)

MOGWAI『ROCK ACTION』(2001)

2001年4月末にリリースされたMOGWAIの3rdアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年4月初頭に発売されました。

『MOGWAI YOUNG TEAM』(1997年)や『COME ON DIE YOUNG』(1999年)がインスト主体のポストロック・サウンドにも関わらず、そのノイジーなギターアンサンブル含め海外や日本で高く評価された彼ら。特にデイヴ・フリッドマン(MERCURY REV)をプロデューサーに迎えた前作『COME ON DIE YOUNG』は、その年の年間ベストにも選出されるなど、一気にメジャー感を高めることに成功しました。

そこから2年を経て届けられた新作は、再びデイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えた新機軸の1枚。ディストーションギターによるノイジーな“Wall of Sound”や攻撃的な要素は完全に後退し、非常に穏やかで叙情的な空気感で全体を覆っています。初めて聴いたときは「どのタイミングでドカーン!と爆発するのかしら……」と過剰に期待したものですが、そんな瞬間は一度も訪れることなく、終始一定のトーンと温度感でアルバムは進行するのでした。

もうひとつ、本作最大の変化はボーカルナンバーが大半を占めることでしょうか。前作にもそういった要素はフックとして用意されていましたが、本作はダウナーなオープニング「Sine Wave」を経て“歌ありきのダウナーなアンセム”「Take Me Somewhere Nice」へと続き、さらに1分にも満たない歌アリのインタールード「O I Sleep」からSUPER FURRY ANIMALSのグリフ・リース(Vo)をフィーチャーした「Dial: Revenge」へと流れていくのです。この序盤の流れ、最高ったらありゃしない。

ノイジーなギターは前面に出ることなく後方で味付けとして鳴らされ、さらにストリングスやブラスを重ねることで独特な空気感を構築していく。確かにこれもMOGWAIにとってひとつの武器だったと思います。が、それはあくまで“動”(ここでは攻撃性という意味での“動”)の要素との対比で初めて成立したものであり、ここでは“動”を排除することで、“静”でどこまで引っ張ることができるのかに挑戦している。ある種、バンドが過去2作で築き上げたスタイルを一回ぶち壊して、ここで再構築して再前進を始めた……そう受け取ることもできるのではないでしょうか。

80年代以降のPINK FLOYDと重なる表現方法は、彼らがポストロックという狭い枠から早くも飛び出そうとしているようにも受け取れる。70〜80年代のクラシックロックから脈々と続くスタイルを、21世紀の手法で再構築したこのアルバムは、過去2作のインパクトには及びませんが、バンドにとっては新たなスタンダードであり、その後の活動におけるひとつの雛形になったと断言できます(事実、その後彼らが設立したプライベートレーベル名はそのものズバリ、Rock Action Recordsですからね)。

優しさと悲しみが同じトーンで、ゆっくりと押し寄せてくるような、そんな奇跡の1枚です。

 


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2020年5月24日 (日)

AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(2001)

2001年2月にリリースされたAMERICAN HI-FIの1stアルバム。日本盤は同年7月に発表されています。

このバンドは元VERUCA SALT、LETTERS TO CLEOのドラマーだったステイシー・ジョーンズが結成したもので、ステイシーはボーカル&ギターを担当。ジェイミー・アレンゼン(G)、ドリュー・パーソンズ(B)、ブライアン・ノーラン(Dr)を加えて1998年から活動を開始し、メジャーのIsland Recordsと契約して本作にてメジャーデビューを飾りました。

プロデュースを手がけたのは、かのボブ・ロック(METALLICAMOTLEY CRUEBON JOVIなど)。そういえば、VERUCA SALTも2ndアルバム『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』(1997年)でボブ・ロックとタッグを組んでいるので、この2枚は共通点も見つけられるのではないでしょうか。

サウンド的にはFOO FIGHTERS以降の「グランジを通過したUSハードロック」をベースに、ルックスの良いステイシーが適度に甘くしゃがれた声で歌う良質のロックチューンを楽しむことができます。どうしてもシングルヒットをした「Flavor Of The Weak」(全米41位)の印象が強い作品ではあるものの、個人的にはパワーポップ調の「I'm A Fool」やアコギをフィーチャーしたミディアムバラード「Another Perfect Day」などがお気に入りかな。

オープニングを飾る「Surround」や疾走感の強い「A Bigger Mood」は完全に90年代後半以降のポスト・グランジですし、「Hi-Fi Killer」なんてメロディラインが完全にNIRVANAですからね(苦笑)。でも、ダークでネガティブな印象を受けないのは、きっと彼らが鳴らす音の根底にあるのが古き良き時代のハードロックだからかもしれません(「Flavor Of The Weak」のMVからもその影響は伺えますが)。それもあってか、彼らは本作を携えたワールドツアーをBON JOVIやMATCHBOX TWENTYSUM 41などと回っています。うん、いろいろ共通するものが見えてきますよね。

ポップパンクに括ることもできればポスト・グランジとして解釈することもできるし、なんならハードロックの範疇で語ることもできる。本作の時点ではまだ明確な個性は確立できていないかもしれませんが、ロックバンドのデビューアルバムとしては上出来すぎるほどの完成度だと思います。久しぶりに引っ張り出してみたけど、今聴いても古びていませんしね。

ちなみに、彼らは現在もオリジナルメンバーで活動中(ドラムは一時期脱退などの交代劇がありましたが)。2016年にはこのデビュー作をアコースティックで再録した『AMERICAN HI-FI ACOUSTIC』をリリースしています。

 


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2020年4月27日 (月)

MICK JAGGER『GODDESS IN THE DOORWAY』(2001)

2001年11月に発表されたミック・ジャガーの4thソロアルバム。

ソロ名義では前作『WANDERING SPIRIT』(1993年)から8年9ヶ月ぶりのアルバム。同作以降、THE ROLLING STONESとして『VOODOO LOUNGE』(1994年)『BRIDGES TO BABYLON』(1997年)と精力的な活動が続き、それに伴うワールドツアーも大々的に行われていたので、ミック個人としてもアク抜き、もしくはインプットの意味でこのソロアルバムを制作したのでしょう。

ビル・ラズウェルやナイル・ロジャース(1st『SHE'S THE BOSS』)、デイヴ・スチュワート(2nd『PRIMITIVE COOL』)、リック・ルービン(3rd『WANDERING SPIRIT』)と毎回旬のプロデューサーを迎えて制作してきたソロ作ですが、この『GODDESS IN THE DOORWAY』ではストーンズでの仕事で知られるマット・クリフォード、AEROSMITHオジー・オズボーン、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルなど幅広いアーティストを手がけるマーティ・フレデリクセンとミック自身の3人による共同プロデュースで制作。楽曲の大半はミック単独で書かれたものですが、数曲でマット・クリフォードと共作、さらにロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)、レニー・クラヴィッツ、ワイクリフ・ジョン(THE FUGEES)ともコラボしています。

前作がナマ感の強いバンドサウンドを軸にした作風だったのに対し、今作では曲ごとにバンドサウンドや打ち込みをセレクトした初期の路線に回帰。ただ、ポップス色濃厚だった『SHE'S THE BOSS』とも異なり、ゴスペルやソウル、ラテンなどのルーツミュージックを現代的に解釈した作風の、比較的地味な楽曲が揃った1枚に仕上がっています。

そういった意味では、過去3作と比較すると非常に肩の力が抜けているのが明確な作品かもしれません。それが、先のアク抜きにもつながり、ルーツミュージックの現代的解釈(および、さまざまなアーティストとのコラボ)がインプットになったのかなと。つまり、本作はアーティストとして制作することに意味を見出す、リスナー視点では評価の難しい1枚とも言えるでしょう。

もちろん、ミックが作っているんですから悪いわけがない。平均点以上の仕上がりですし、こちら側も今まで以上にリラックスして聴くことができる作品だと思います。でも、視点を変えると“アクの弱い”アルバムとも言えるわけでして。確かに、先のロブ・トーマスやレニー・クラヴィッツに加え、ボノ(U2)やジョー・ペリー(AEROSMITH)、ピート・タウンゼンド(THE WHO)といった豪華ゲストも多数参加しています。でも、そういったスタープレイヤーの華やかさが表出した作風というわけでもなく、過去のソロ作と比較してもどうにも影の薄い1枚とも言えるわけでして。

ライトリスナーにはオススメはしないけど、ストーンズファンなら聴いておいて損はしない。そんな1枚かもしれません。まあミックのソロに手を出すなんて、確実にストーンズにヤラれた人以外いないでしょうから(偏見です)。

 


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2019年10月29日 (火)

THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACY『A NEW MORNING, CHANGING WEATHER』(2001)

THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYが2001年10月にリリースした、通算2作目のオリジナルアルバム。日本盤は1年遅れの2002年9月に、1stアルバム『SURVIVAL SICKNESS』(2000年)とあわせて発売されました。

THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYは、1997年にREFUSEDを解散させたデニス・リクセゼン(Vo)が新たに結成した5人組ガレージロック/ガレージパンクバンド。REFUSED同様にヨーロッパではBurning Heart Records、北米ではEpitaph Recordsと契約し、日本盤はBurning Heart流れでビクターからリリースされています。

2001〜2年というのは時期的に、ここ日本でTHE HIVESをはじめとした北欧ガレージロック/ガレージパンクに注目が集まり始めていた頃。広義ではMANDO DIAOCAESARSあたりもこのへんに含まれるのかな。そんな中、かのREFUSEDのフロントマン(と解散時のサポートベーシストであるインゲ・ヨハンソン)が新たに結成、しかもそれがガレージロック/ガレージパンクとあって、かなり注目が集まったのではないでしょうか。

とはいえ、僕自身は完全なる後追いで、この2作目からTHE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYに触れることになり、オープニングトラックの「A Northwest Passage」1曲で完全にノックアウト。どツボにハマったわけです。

楽曲/サウンド自体はオルガンプレイヤーを含む60'sモッズ流れの、トゲトゲしたガレージロック。パンキッシュな側面ももちろん随所から感じられるのですが、それ以上にビリビリと伝わってくるテンションの高さに圧倒されてしまう。デニスのボーカルパフォーマンスの素晴らしさについては言うまでもなく、それを取り囲む緩急に富んだバンドアンサンブルの素晴らしさは特筆に値するものがあります。

冒頭2曲のストロングスタイルからの、サックスをフィーチャーした隙間の多いアンサンブルの「Bigger Cages, Longer Chains」や逆にノイズで隙間を埋める「Breakout 2001」の対比、終始テンション高めの6分強にわたる「Last Century Promise」、エンディングを飾るにふさわしいタイトルトラック「A New Morning, Changing Weather」と、全11曲/46分があっという間に感じられるのもこのアルバムの特徴でしょうか。THE HIVESあたりの30分前後をひたすら突っ走る作風も大好きですが、この“濃厚なのに体感数秒”的な作りも嫌いじゃない。このへんは、特に(解散前の)REFUSEDにも通ずるものがあるのかなと。

あと、このバンドに関しては特に歌詞に注目して聴いてほしいなと。そういう意味では、すでに廃盤状態ですが対訳の付いた日本盤にてチェックしていただきたい。彼らが当時起こそうとしていた“革命”の意味を、各楽曲から感じてもらいたいと思います。

バンド自体は2009年に解散しており、現在デニスはREFUSEDやINVSNといったバンドで活躍中。せっかくですし、忘れた頃にまた復活させてほしいな。

 


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2017年8月26日 (土)

RADIOHEAD『AMNESIAC』(2001)

2000年9月にリリースされたRADIOHEADの4thアルバム『KID A』は、傑作であると同時に当時の“ロック”リスナーおよび『OK COMPUTER』(1997年)を求めるファンには賛否を呼ぶ問題作でした。だって、音そのものはロックであることを放棄しているにも関わらず、聴けばやっぱりそれがRADIOHEADそのものだと理解できる不思議な作品だったんですから。僕もリリース当時、「ここにギターマジックはないけど、概念としては立派な“ロック”だ」というようなことを書きました。今改めて読み返しても、その考えは1ミリもブレていません。

しかし、この『KID A』発売から約8ヶ月後に早くも次のアルバム『AMNESIAC』がリリースされると聞いたとき、しかもそのアルバムで再びギターロックに回帰するという噂を耳にしたときは、ちょっと興奮したことを覚えています。いやいや、お前言ってることブレブレだろ?と突っ込まれようが、あのとき感じた正直な気持ちに嘘はつけません。『KID A』を通過したRADIOHEADが今、ギターロックで何を、どう鳴らすのか。気にならないわけがないじゃないですか。

しかし、実際に完成したアルバムを聴くとギターロック的楽曲はほんの数曲。ぶっちゃけ、「I Might Be Wrong」と「Knives Out」ぐらいじゃないですか。オープニングの「Packt Like Sardines In A Crushed Tin Box」は『KID A』の流れを汲みつつよりミニマル化してるし、続く「Pyramid Song」はピアノとストリングスを軸にしたスローナンバーだし。そもそも頭2曲にギター入ってないし。

本作自体、『KID A』と同タイミングに制作されたものですし、そりゃあ作風的に似ても仕方ないわな。ただ、あえてギターロック的楽曲は『KID A』からは外して『AMNESIAC』に回したのは、なんとなく理解できる気がします。完全に感覚的な話になるけど、『OK COMPUTER』の後に続くのは『AMNESIAC』ではなく『KID A』じゃなくちゃいけなかったんだと。逆じゃダメだったんですよね。まぁリスナー的には逆のほうが入りやすいんだけど。

正直『KID A』ほどの衝撃は受けなかったし、当時ナップスターに新曲がバンバン流出してたので先にそっちで聴いてしまっていたのもあったけど、確かに入り込みやすさは今作のほうが数段上だと思います。あと、いくら概念的に『KID A』がロックだと力説しても、もはや『AMNESIAC』はロックに括らなくてもいいんじゃないか、そういう気さえしてきます。

そう考えると、『KID A』リリース時のインタビューでトム・ヨークが発した「ロックなんか退屈だ。僕は退屈だと思う。だってホントに、ゴミ音楽じゃないか!」という言葉の重みが、本作ではより増すんですよね。面白いことに。

『KID A』リリースからあまり間隔が空いてないせいか、本作に対する評価ってそこまで高くない気がするのですが、実は『KID A』を語る上では欠かせない重要な存在だと感じています。



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2017年6月 1日 (木)

MR. BIG『ACTUAL SIZE』(2001)

2001年夏に発表された、MR. BIG通算6枚目のスタジオアルバム。プロデューサーには、リッチー・コッツェン(G, Vo)が連れてきたリッチー・ズィート(リッチーが参加したPOISON 『NATIVE TONGUE』(1993年)やリッチーの『MOTHER HEAD'S FAMILY REUNION』(1994年)などを手がけたプロデューサー)が迎えられ、ほぼリッチー・コッツェン主導のもと制作された1枚と言っていいでしょう。

事実、ソングライティングの面ではバンドの創始者であるビリー・シーン(B)が1曲(「How Did I Give Myself Away」)のみクレジットされているだけで、大半がリッチー、そしてエリック・マーティン(Vo)、さらにはパット・トーピー(Dr)がそれぞれメインで書かれた楽曲が中心。ビリーのプレイもオープニングの「Lost In America」や「Suffocation」でこそテクニカルなフレーズが登場するものの、全体的には地味の一言。完全に存在感を消されているような印象すら受けます。

だって、アルバムからのリードシングル「Shine」(リッチー・コッツェンとリッチー・ズィートで書かれたポップチューン)の地味さといったら、前作『GET OVER IT』(1999年)以上ですから。途中、ギターとベースのユニゾンフレーズも登場しますが、決してテクニカルなものではないし。ボーカルにしても、コーラスをとるリッチーの存在感が前作以上で、エリックが歌っているからMR. BIGのアルバムであることを思い出すくらい。リッチーの声に気を取られてたら、確実に彼のアルバムと勘違いしちゃうんじゃないでしょうか。

確かに、リッチーの持ち味を生かした「Suffocation」(しかもこの曲、パットがチャック・ライトらと書いた楽曲なのだから驚き)をはじめカッコいい曲も複数存在します。しかし、それらは別に「MR. BIGである必要のないもの」ばかり。エリックやリッチーがソロでやればまったく問題のない楽曲ばかりなんです。

そういえば、先の「Suffocation」しかり、本作ではパットが今まで以上に大活躍しています。意外にもフックになってくるのは「Crawl Over Me」「Cheap Little Thrill」など、パットが書いた曲ばかりですし。それも、どこかポール・ギルバート時代に通ずる不思議な魅力があるんですから……もしかしたらMR. BIGがこの時点でもMR. BIGらしさを保てていたのは「エリックの声」という対外的な要素と、パットのソングライターとしての才能だったのかもしれませんね。

そんなパットの頑張りがあったものの、ビリーからしたらそりゃあ不満たらたらですよね。実際、リリース前のインタビューでビリー、かなり本音を漏らしていたはず。その結果、リリースを待たずしてビリーがバンドから解雇されるという青天の霹靂。その直後にバンドは本作とそのツアーをもって解散することを発表し、そのツアーにもビリーが参加することを改めてアナウンスするのです。要はビリー、サポートメンバー扱いですよ。

2002年春にはここ日本でもフェアウェルツアーを行いましたが、僕は行ってません。そんなギスギスしたバンド、見たくないもの。

そんなネガティブな思い出が多い作品だけに、個人的にはどうしても正当な評価を下しにくいのですが……バンドが無事再結成した今聴くと、そこまで悪くない作品だなと思いました。ただ、「これをMR. BIGがやるべきか?」と問われたら「NO」と即答しますけどね。



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2017年1月29日 (日)

SYSTEM OF A DOWN『TOXICITY』(2001)

「脳を犯す」

日本盤の帯に記されたこのキャッチコピーだけで十分に伝わるんじゃないでしょうか。そんなSYSTEM OF A DOWN(以下、SOAD)通算2枚目のスタジオアルバム『TOXICITY』は2001年晩夏にリリースされました。

1stアルバム『SYSTEM OF A DOWN』発売から約3年。この『TOXICITY』発売までの間に、SOADは1999年4月、2001年7月の二度来日公演を実施しています。このうち後者は『FUJI ROCK FESTIVAL '01』での来日で、3日目のGREEN STAGEでヘッドライナーのエミネム、準トリのTOOLに続く3番手というポジション。『TOXICITY』発売直前という絶妙なタイミングで、同作から早くも8曲も披露してくれました。僕もフルではないものの、途中から観てショックを受けたのを覚えています。

プロデューサーは前作から引き続きのリック・ルービンと、メンバーのダロン・マラキアン(G, Vo)。サージ・タンキアン(Vo, Key)もコ・プロデューサーとしてクレジットされています。内容は前作をより押し進めたもので、変態度、ハードコア度、そしてエモ度それぞれがメーターを振り切れんばかり。ただ、音が分厚くて暴力的な前作(デイヴ・サーディがミックス)より今作(アンディ・ウォレスがミックス)のほうがより洗練された印象があります。逆に洗練されたことにより、バンドの変態性がより際立ってきたという見方もできるので、これはこれでアリではないでしょうか。

オープニングの「Prison Song」の間を生かしたアンサンブル、激しさとエモさが同居したメロディに、冒頭から心を奪われます。そこから「Needles」を起点に始まるハードコアな流れも抜群だし、その合間に「Chop Suey!」や「ATWA」などの楽曲が挿入されることで、それぞれの魅力をより増幅させることに成功しています。アコースティックギターを導入することでより哀愁味が増した「Chop Suey!」、スローバラードの要素が強い「ATWA」はもちろんですが、ラストの「Aerials」が持つ壮大さも前作以上の広がりを見せていると思います。

本作最大のポイントは、ダロンがプロデューサーとして、そしてボーカリストとして実力を発揮し始めたことではないでしょうか。シンガーとしても活躍場所が前作から格段に増えてますし、今作の(よい意味での)整理された内容は彼の手腕によるものが大きいのではないかと。そして、その才能は2005年発売の二部作へと引き継がれることになります。



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2015年10月 5日 (月)

MEGADETH『THE WORLD HEED A HERO』(2001)

ムステイン、エルフソン、アル・ピトレリ、ジミー・デグラッソという新体制で制作されたMEGADETHの9thアルバム。インディーズのSanctuary(流通はメジャーのBGM系列)からのリリースで、チャート的には前作と同じ16位だったもののセールス的には落ちる結果に。

音楽的には5th『COUNTDOWN TO EXTINCTION』(1992年)以降で目指した作風に再チャレンジしつつも若干初期のひんやりした“らしさ”が復活し、ポップさが減退したことで硬派な印象を与える。タイトルとは関係ないように思えるえげつないアルバムジャケットからも、「尖ったMEGADETHよ、再び」といった姿勢が見え隠れする。

アルバムタイトル曲をはじめ「1000 Times Goodbye」「Return To Hangar」、前年発売のベストアルバム『CAPITOL PUNISHMENT: THE MEGADETH YEARS』にも収録された「Dread & The Fugitive Mind」など今聴くとなかなかな楽曲も含まれている。「MEGADETHであってMEGADETHではない」から「尖ったMEGADETHよ、再び」の姿勢は評価するがどこか守りすぎという印象もあり、アルバム全体のインパクトは過去8作品ほどではない。

本作リリース後の2002年、ムステインが腕の故障を理由に音楽活動休止を発表し、バンドは解散。結果としてなんともいえない結末を迎えるのであった。



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2005年7月 8日 (金)

寝る前にこれ聴け!(1)

 新コーナー。昔懐かしい(といっても、'80年代半ば〜'90年代前半を中心とした)HM/HRのアルバムを毎回3枚取り上げるというコーナー。単純に、俺が寝る前にこの3枚をCD棚から引っ張り出して聴くだけ、という話。何の役にも立たないかと思いますが‥‥

まず1枚目。


・SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」('91)
 久し振りに引っ張り出して聴いてみたら、スゲーかっこ良かった。全米初登場1位とか、当時GUNS N'ROSESやMETALLICAといったバンドのオープニングアクトをやってたとか、前座にFAITH NO MOREやSOUNDGARDEN、PANTERA等を使ってたとか、そういった情報はどうでもよく、とにかくひたすらカッコいい。そして泣ける曲多し。


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・WINGER「IN THE HEART OF THE YOUNG」('90)
 RATTのプロデューサー(ボー・ヒル)が手掛けてることから、RATTフォロワー的に思われてたデビュー当時。何となくサウンドと声がそれっぽかったからね。けど、メンバーは全員スタジオミュージシャンなり誰かのバックなりで鍛え上げられた名手ばかり。テクニカルHRの極み。
 けどこのアルバムではDEF LEPPARD的な楽曲指向を強めてるんだよね。曲によっては打ち込みベースを使ってたり、あるいはプログレ並みのテクニカル路線だったり。バランス的に一番好き。中途半端っていう人もいるみたいだけどね。


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・SADS「THE ROSE GOD GAVE ME」('01)
 唯一色の違う、しかも邦楽、そして2001年の作品。けどこれがメチャメチャ良い。
 ほぼ全編英語(日本語曲は数曲のみ)、MOTLEY CRUEやMARILYN MANSONなんかを彷彿させるヘヴィロック路線。SADSは「BABYLON」までしか聴いてなくて、その後の清春ソロは聴いてたんだけど、良いねこのアルバム。普通にハードロック/ヘヴィロックじゃんか。ギターとドラムが現在THE DUST'N'BONEZにいるせいか、空気感が似てるよね。ま、プレイとかはまんまだけど。
 ボーカルのせいで好き嫌いハッキリするだろうけど、意外と洋楽HRファンにもアピールするんじゃねーの? 俺は肯定派。


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2005年5月 7日 (土)

カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)『初めてのハッピーバースディ!』(2001)

 石川梨華がモーニング娘。に加入したのが、5年前の4月。そしてこの曲がリリースされたのが、4年前の4月‥‥もうそんなに時間が経ったんだねぇ。当の石川も気づいたら二十歳になり、今日を以てモーニング娘。を卒業。時の流れの早さ、そして残酷さに一喜一憂する今日この頃ですよ。

 俺が最初に石川を意識し出したのは‥‥いや、単に意識したってだけのレベルですが‥‥実はタンポポでもなく "ザ☆ピ〜ス!" でもなく、この曲だったんだよね。だってさ、それまでの他のハロプロ・ユニットと比較しても、明らかに異色でしょ。だってさ、「カントリー娘。」というユニットがメジャーデビューするに際して、そこに「に石川梨華(モーニング娘。)」を付け足しちゃうわけですよ。個人名+モー娘。ですよ。モー娘。の当時のネームバリュー(ベスト盤が200万枚を記録した後)を上手く利用し、尚かつこれから前面に押し出そうとしている石川をまるでセンターに配置したかのようなユニット。完全に過去のカントリー娘。とは別物の、だけどちょっとだけそれまでのカントリー娘。を意識させるようなサウンドアレンジも併せ持った‥‥なんじゃこりゃ?なユニット。

 この曲には "初めてのハッピーバースディ!" が2テイク収録されています。E.L.O.の "Last Train To London" を味付けに使ったアレンジのトラック1と、カントリー・ミュージックを意識したゆったりしたアレンジのトラック2。この2曲を聴くと微妙な関係が見え隠れしたりして‥‥テレビやライヴ等で歌われるトラック1に対する別バージョンとしてのトラック2、というのが普通の考え方なんでしょうけど、トラック2でしか聴けない「声ネタ」が幾つも存在することから、実は最初にトラック2の方から制作(レコーディング)されたものの、やはりちょっとシングルには‥‥ということでアッパー気味でメジャー感の強い別アレンジ(トラック1)が作られたのかな、と。

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