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2002/01/12

AEROSMITH『AEROSMITH』(1973)

AEROSMITH、記念すべきファーストアルバム。アメリカでの初リリースが1973年1月ということだから、今から丁度29年前ということになる。最近のテクノロジーが発達したサウンドを追っている人間からすれば「古臭い音」なのかもしれないが、こうやって久し振りに引っ張り出した、15年以上も聴き続けてるこのアルバムのサウンドは、俺からすれば全く時代を感じさせない。むしろ、デジタルリマスターされたことによって、最近のガレージバンドよりもいい音してるんじゃないか?と思う瞬間さえある。現在でもライヴにて「Dream On」や「Mama Kin」といった曲はスタンダードナンバーとして演奏されている。パブリック・イメージ上の「エアロらしさ」という点では後の作品群に劣るものの、それでも好きな人間には堪らないファンキーでルーズで芯の太いサウンドが詰め込まれた好盤だと思っている。

■全曲解説■

●M-1. Make It
その後のエアロのイメージからちょっとかけ離れた、ストレートなロックナンバーで彼等のキャリアはスタートする。サビパートの楽器隊が一丸となってプレイするリフがとても気持ちいい。中間パートでの楽器隊の暴れ具合とか、歌メロに絡みつくギターのフレーズ等から、昨今のガレージバンド‥‥特にTHE HELLACOPTERS辺りを彷彿させる。つまり、そういうバンドがこの曲をカバーしても何ら違和感がないだろうという点で、この曲にも全く古臭さを感じない。むしろ最近のエアロサウンドに慣れてしまった耳で聴くと、かなり新鮮に聞こえる。純粋にカッコイイロックチューンだ。

●M-2. Somebody
デビュー時のエアロはその黒っぽさから「ROLLING STONESのクローン(パクり)」とメディアから酷評された。今のエアロを知る者は「ストーンズよりもビートルズじゃないの?」なんて反論するかもしれないが、この曲を聴くと当たり前のようにエアロもストーンズからの影響を受けている事実が伺える。いや、影響を受けてないと言ったら嘘になるだろう。『メインストリートのならず者』でのグロいストーンズには程遠いものの、そのスカスカ感には共通する空気を感じずにはいられない。味はあるが、特にどうってことのないシンプルなロックチューン。嫌いじゃないけど。

●M-3. Dream On
知らない者はロックファンとしてもぐりだ!と断言できる程の超名曲。いろんな意味でこの曲のみ、アルバムの中で浮いている。アルバム全体を通して「ブリティッシュビートを通過したアメリカンロック」という空気が流れる中、やはりこの曲のみ別格というか、モロにブリティッシュロックしてしまっている。様式美っていうか、完成し尽くされてしまっているのだ。ジミー・ペイジからの影響大であろうジョー・ペリーによるギターソロの組み立て方、歌との絡み方がまんまLED ZEPPELINで微笑ましい。アルペジオの組み立て方もそれまでのアメリカンロック然としたものとは異質で、それまでの2曲とは別の緊張感が漂う。ブルーズやファンクからの影響が見え隠れする初期エアロだが、既にファーストアルバムの時点で後‥‥1980年代以降の、ヒット曲連発するエアロの楽曲指向が根付いていた事実が伺える。ビートルズからの影響を常日頃から口にしてきたスティーヴン・タイラーは、「ロックンローラーとしてのビートルズ」「ソングライターとしてのビートルズ」という二面性をエアロの中でも特に意識していた人なのではないだろうか?

●M-4. One Way Street
ジャム・バンドとしてのエアロらしさが最もよく表れた1曲。7分ある曲構成は、中盤以降のセッションパートでもだれることなく、聴き手を引き留めることに成功している。クラブバンドとしての実力がここに結集されているということだろうか。スティーヴンのブルースハープもいいアクセントになっている。最近のツアー(2001年『JUST PUSH PLAY』ツアー)でも久し振りに演奏されているそうだから、もしかしたら1月下旬からスタートする日本ツアーでも演奏されることがあるかもしれない。更に成熟した彼等の演奏と聴き比べて、それぞれの良さを味わってもらいたい。

●M-5. Mama Kin
GUNS N' ROSESのカバーで一躍有名になってしまったこの曲。特にシングルカットされていないものの、ノリの良さからライヴではよく演奏されるので、ヒット曲しか知らないエアロ初心者でも知っている人は多いかもしれない。知人が「この曲はエアロ版『Brown Sugar』だな?」と言ったことがあったが、まぁ言いたいことは判る。共にドラッグをイメージさせる曲だし(BROWN SUGARとは精製される前のコカインの俗語。MAMA KINの意味は判らないが、歌詞の内容からドラッグを意味するスラングのような気もする)。サウンド的には「サックスを取り入れたロックチューン」という共通点しか思い当たらないが、両バンドにとって今でもライヴのハイライトに演奏されるのせる為の1曲という意味では、共に必殺のロックチューンなのだが。何故ガンズがこの曲を取り上げたか、バンドをやっている人は是非実際にカバーしてもらいたいと思う。聴いた印象とプレイする印象がこうも違うのだから。

●M-6. Write Me A Letter
初期のZZ TOPがやりそうなルーズなブギーナンバー。ワウのかかったイントロのギターサウンドが個人的にとてもツボで、まぁアルバムの中でいえばどうってことのない部類の曲なのだが、演奏の熱さにフォローされ、並みの曲がカッコイイロックナンバーへとレベルアップされている。ここでもスティーヴンのブルースハープが登場するが、ギターには出せないスパイスが良いアクセントとなっている。

●M-7. Movin' Out
ブルーズを基調としたナンバー。イントロのギターと歌のみのパートが生々しく、非常にセクシーだ。イギリス人‥‥YARDBIRDSやJEFF BECK GROUP、LED ZEPPELINがイメージする「ブルーズ・ロック」とはまた違う、アメリカ人だからこそ成し得るブルーズ・ロックがここにはある。以前『PERMANENT VACATION』ツアーのブートレッグでこの曲を演奏する'80年代後期のエアロを聴いたことがあったが、ここで聴ける演奏よりも更に殺気立った、終始緊張感が張りつめたプレイを聴くことができた。お馬鹿さんなイメージがあった復活後の彼等からは普段感じられない、ある意味最も'70年代の「ドラッグによって常に死と快楽との隣り合わせ」感をリアルに感じさせてくれる好演だった。やはりライヴバンドなんだな、と実感。

●M-8. Walkin' The Dog
前の曲から間髪入れずになだれ込むこの曲は'80年代初頭、LAメタルバンドのRATTに「エアロのファーストが好きでカバーした」と言わしめた程の名カバー。オリジナルはルーファス・トーマス。エアロ流のアレンジといったものは特に感じられない、まぁ比較的オリジナルの良さを前面に出したアレンジとなっている。最近また演奏してるそうだが、本当に彼等のカバー選曲センスには目を見張るものがある。こういう曲をカッコイイと感じるか退屈と感じるかで、このアルバムの評価は分かれるだろう。

■総評■
基本的には「Dream On」あってのファースト、というイメージがあるようだが、決してそんなことはなく、むしろそれ以外の7曲にこそ新しい発見があると言っていいだろう。確かに'70年代のオリジナルアルバムで最初に手を出すなら『TOYS IN THE ATTIC』や『ROCKS』ということになるのだが、決して無視をして欲しくはない、そんな隠れた名盤だと思っている。

最新作『JUST PUSH PLAY』で更に新しい側面を我々に魅せてくれたAEROSMITH。最近しか知らない人にとっては、ここにも沢山の「知らない側面/魅力」が満載だ。「野獣生誕」という邦題には程遠い内容かもしれないが、その後の「野獣振り」を彷彿させる何かは感じさせる。そんな1枚である。



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投稿: 2002 01 12 12:00 午前 [1973年の作品, Aerosmith] | 固定リンク