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2002/03/24

BUGY CRAXONE『This is NEW SUNRISE』(2002)

  BUGY CRAXONEの1年2ヶ月振りとなるサードアルバム。フルアルバムと呼ぶには少ない曲数(6曲で30分強)なのだが、これが想像以上に「濃い」内容となっている。

  このアルバム最大の特徴というか「売り」は、他アーティストとのコラボレーションだろう。2曲目"人と光"にはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケがデュエットで参加、4曲目"why?"にはWINOのボーカル・吉村とギター・外川が参加(吉村は作詞・作曲にも参加)、6曲目"O.M.D."には「remix and additional production」としてaudio activeの名前がある。

  チバ参加の曲は、これまでの彼のイメージからは考えられない、非常にニューウェイブ的な空気感、そして昨今のラウド系にも通ずる爆音系の色を持った異色作で、BUGYの曲にチバが参加しましたというイメージなのだが、これがまたいい味を出している。チバがこれまでに参加した他アーティストとのコラボ作(PEALOUTやスカパラ)とは全く違う、ある意味チバの新たな魅力を引き出した1曲といえるだろう(ま、歌唱はいつものあの感じだが)。

  WINO参加の曲は、BUGYの持つグランジ通過後のひんやりとしたUKロック色と、WINOが持つマッドチェスター通過後のダンサブルなUKロック色が見事に融合した、非常に個性的な楽曲となっている。鈴木・吉村両者共色の濃いシンガーなだけに、それぞれが唄い出すと互いのバンドの曲のような印象を一瞬受けるのだが、全体を見渡せばやはりこれはBUGY CRAXONE以外の何者でもない楽曲だ。

  そしてaudio activeが手掛けた曲。元々ダブの要素が強かった原曲を、見事にaudio active風に調理し、それでいながらBUGYらしさを崩さない完璧なリミックスワークではないだろうか。そもそもこの曲は原曲自体が発表されていたわけではなく、このリミックスされたバージョンが最初に世に出たわけなので原曲との比べようがないのだが(ライヴを体験した人ならそのライヴバージョンと比べることも可能だろう)、audio activeの持つスペーシーさを前面に出しつつも、それでもBUGYらしさを失わないでいられるのは、この曲がそういったエフェクトによって成り立っているのではなく、鈴木の「歌」そして「言葉」によって成り立っているからではないだろうか。

  これら3曲に総じて言えることなのだが‥‥元々BUGYには「RADIOHEAD以降」というイメージ(アルバムでいえば「THE BENDS」辺りだろうか?)があったのだが、ここでは更に「OK COMPUTER」あるいは「KID A」等で色濃く表れた「ポスト・ロック」的表現を上手く取り入れている。特にaudio activeとのコラボ曲等はそういったアーティスト達の曲と並べても何ら見劣りしない出来である。これを「時流に乗った」と切り捨てるか「大いなる成長」と好意的に受け取るかで、評価は大いに変わってくるのかもしれない。

  しかし、彼等にとってこれらの要素は、いろいろある引き出しの内のいくつかに過ぎないのだ。他アーティストが絡まない、純粋にバンドのみで仕上げた3曲‥‥"New Sunrise"、"No idea"、"悲しみの果て"の完成度が高いからこそ、こういった実験が上手く機能しているのだ。アルバム全体を他アーティストとのコラボのみで構成することも可能だろう。しかし、彼等はそうしなかった。それはコラボ以外の曲の完成度に自信があったからだろう。このアルバムはそういったコラボ曲を世に出す為に発表されたのではなく、あくまでそれ以外の、バンド単体でプロデュースした3曲を世に出したいからこそ作ったものだったのではないだろうか? 憶測だが、俺にはそう思える。それだけこれら3曲には「これから何かが始まる」という力強さがみなぎっているのだ。アルバムのブックレット内にも記されている(そして今回のツアーTシャツのデザインにもなっている)「AUDIENCE! This is OUR SUNRISE.」、この言葉が全てを物語っているのではないだろうか?

  このサイトをご覧の皆さんにとっても、このBUGY CRAXONEはまだノーマークなバンドなのではないだろうか? 最近、他サイトの影響で再び彼等に注目をし始めた俺だけど、暫く彼等からは目が離せないだろう。現在行われているツアーに続き6月にはツアー第2弾があるようだし、夏頃には4枚目のアルバム(あるいはシングル?)がリリースされるようだ。タイミングさえ合えば、夏フェスにも出演するんじゃないだろうか? 是非騙されたと思ってこのアルバムに手を伸ばし、一度ライヴに足を運んでもらいたい。特にUKギターロックファンにこそ聴いてもらいたいバンドなのだが‥‥ここでは例えとしてRADIOHEADの名前を挙げたが、既にBUGY CRAXONEはオリジナルの域に達している。だからこそチバユウスケ、WINOやaudio activeといった個性的な面々とのコラボレーションが実現したのだ。そしてBUGYはそれら個性的なバンド達に負けないだけの「色」を発している。何にも染まらない「色」‥‥それは自らが虹のようないろいろな色を放っているから染まらないのだ。逆に他の色をも飲み込んで更に大きくなっていく。このアルバムからはそういった印象を受けた。

  こういった出会いがあるから、ロックファンはやめられないのだよ。



▼BUGY CRAXONE『This is NEW SUNRISE』
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投稿: 2002 03 24 12:00 午前 [2002年の作品, BUGY CRAXONE] | 固定リンク