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2002年4月 5日 (金)

NIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994)

早いもので、今日で丁度8年経つわけだ‥‥ここ数年は特に4/5だからといって彼を、そしてNIRVANAを意識することはなかったのだが(自分にとっては別の意味で忘れられない日となってしまったので。詳しくは別項「About Kurt Cobain」参照)、先週だったか、たまたまビデオテープの整理をしていたら、そこに見覚えのないテープが一本。消して使おうと思って内容を確認したら、それがこのNIRVANA最初で最後のMTVアンプラグド出演時のものだったのだ。すっかりそのテープの存在を忘れていた俺は、思いっきり最後まで見入ってしまった、深夜の2時過ぎから(しかも平日に)‥‥そして眠れなくなってしまうわけだが。

このライヴが収録されたのは、'93年11月18日。亡くなるまで約5ヶ月のタイムラグがあるわけだが‥‥その5ヶ月間に何があったとか、どう変わってしまったいや変わってなんかない‥‥なんて話題はこの際無視する。そういうスキャンダラスな話題がどうしてもつきまとってしまうのは、カート・コバーンの死に方を考えれば仕方ないことなのかもしれないが、まずはそういう色メガネなしで聴いて欲しい。もしあなたが、まだNIRVANAというバンドの音に触れたことがない人なら、雑誌やネット上での情報を得る前に、まっさらな状態でこのアルバムに接して欲しい。

何度も言うが、俺はカート・コバーンという男の生き方を今でも肯定する気にはなれない。けど、それでも彼が作り出した曲、歌、そしてNIRVANAというバンドは今でも大好きだ。最初に彼等のアルバム「BLEACH」に触れた時は余り熱心に聴き込むことはなかったが、続く出世作「NEVERMIND」ではその楽曲よりも、カートの歌、歌声に一番惹かれたという事実を、今でも良く覚えている。決して上手とは言い難いが、独特なざらついた声で唄われる "Something In The Way" を初めて聴いた時の、あの何とも言い表しがたい気持ち‥‥あれは何だったんだろう?って今でも思う。聴き終えてから急激に鬱になる‥‥ぶっちゃけて言えば、死にたい気分になってしまったのだ。何故か判らないが、俺は「NEVERMIND」というアルバムを初めて聴いた時、興奮せずにどん底の気分を味わうことになったのだ。後にも先にも、こんな気分にさせられたアルバムはこれだけだ(そんなもんだから、その直後に聴いたR.E.M.の「AUTOMATIC FOR THE PEOPLE」でさえもポップに聞こえてしまった)。結局それは、カートの声や唄い方によるものなんだろうな、と今では思う。特にこのアンプラグドライヴで唄われているような曲を聴くと、そういうカートの独特な魅力が際立つわけだ。決して彼は叫んだりスクリームするだけではない、ちゃんと「歌」を知っていたのだ。だからこそNIRVANAは「ポップ」になり得たのだ‥‥そうは思わないだろうか?

このアルバムの特徴はオリジナルアルバム3枚からの楽曲の他に、カート達が影響を受けたアーティスト達のカバーソングがある。VASELINESの "Jesus Doesn't Want Me For A Sunbeam"、デヴィッド・ボウイ "The Man Who Sold The World"(邦題:世界を売った男)、MEAT PUPETSは3曲("Plateau"、"Oh Me"、"Lake Of Fire")でそのメンバーも参加している。そして‥‥一番最後に唄われるのは、戦前ブルーズシンガーの中ではかなり異色の存在だったといえるレッドベリーの "Where Did You Sleep Last Night"。このアルバム最大のハイライトといえるパフォーマンスではないだろうか? 映像で観ると特によく判るが、一番最後の一節を唄う直前のブレイクでの、彼のブレス‥‥そしてその表情。俺が知ってるカート・コバーンという男が見せた、優しい表情‥‥少なくとも俺にはそう見えた。映像でその表情を観てしまった今となると、やはり「ここで終わってよかったのかな‥‥」と思えてしまうのだ。

今でも自分にとって大切なアルバムの1枚にNIRVANAの「IN UTERO」を挙げているが、最もよくプレイヤーにのせるアルバムとなると、実はこのアンプラグド盤だったりする。結局俺は、NIRVANAにロックだとかグランジを見ていたのではなく、「ポップな歌」を求めていたのだろう。



▼NIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』
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投稿: 2002 04 05 02:20 午前 [Nirvana1994年の作品] | 固定リンク