松浦亜弥、中澤裕子、メロン記念日、石井リカ『FOLK SONGS 2』(2002)
2001年11月に、市井紗耶香復帰の為の「プレ・デビュー」作として中澤姐さん、たいせーと共に制作された「FOLK SONGS」の続編がリリースされることを知った時、正直「マジッ!?」と思った。が、その参加メンバーを知った時、「それなら是非聴きたい!」と即答したのも本音だ。とにかく中澤姐さんの歌が聴ける、それだけで十分なのに、あややが往年のフォークソングをカバーするのだから、こりゃたまらない。この際サウンドプロデューサーが無能のたいせーでも大目にみてやるとしよう。
さぁ、早速本題に入ろう。今回カバーされたのは以下の16曲。()カッコは原曲者名、[]カッコは今回のボーカルメンバー。
01. てんとう虫のサンバ(チェリッシュ)[松浦亜弥・石井リカ]
02. あなたの心に(中山千夏)[メロン記念日・石井]
03. 冬が来る前に(紙ふうせん)[松浦・中澤裕子]
04. 恋人よ(五輪真弓)[中澤]
05. 花嫁(はしだのりひことクライマックス)[メロン]
06. 夢で逢えたら(吉田美奈子)[石井・メロン]
07. ひこうき雲(荒井由実)[松浦]
08. 「いちご白書」をもう一度(バンバン)[メロン・ばんばひろふみ]
09. オリビアを聴きながら(尾崎亜美/杏里)[中澤・メロン]
10. 長い間(Kiroro)[松浦]
11. 夏休み(吉田拓郎)[メロン]
12. 木綿のハンカチーフ(太田裕美)[中澤]
13. 神田川(かぐや姫)[松浦]
14. わかって下さい(因幡晃)[中澤・因幡晃]
15. ひだまりの詩(Le Couple)[メロン]
16. さとうきび畑(森山良子)[松浦]
今回の選曲をみると、フォークソングに拘っておらず、所謂「ニューミュージック」と呼ばれた時代の楽曲も多く選ばれているように思う。そこに加え、ここ数年の間にヒットしたフォーク的ナンバー(KiroroやLe Couple)や、昨年末にリリースされ話題となった森山良子の"さとうきび畑"が早くも選ばれている。
歌構成だが、2組以上のアーティスト名が連なっている場合は、大体が最初がメインボーカルで、2番目以降がコーラスという形が殆ど。今回も原曲者が参加している曲があるが(ばんばと因幡のがそれ)、まぁ前回のベーヤン程目立ってないので、よしとしよう。
コーラス要員を別として、メインを唄っているのは、
・松浦 ‥‥6曲(M-1, 3, 7, 10, 13, 16)
・中澤 ‥‥4曲(M-4, 9, 12, 14)
・メロン‥‥5曲(M-2, 5, 8, 11, 15)
・石井 ‥‥1曲(M-6)
松浦の6曲ってのは判る。如何に事務所が彼女に力を入れているか、そして如何にこのアルバムを売ろうとしてるか、が(まぁ実際には前作程売れてはいないのだけど。話題性皆無っぽいし)。それに次ぐメロンの5曲ってのも、今年は事務所がメロンに本腰を入れているってのがここからも伺えるだろう。がっ!中澤姐さんがそれより少ない4曲というのは如何なものだろうか? 前作の影の功労者はたいせーではなく、間違いなく姐さんだったはずなのだ。それを4曲、あややとのデュエットを含めても5曲ってのは‥‥やっぱりたいせー、無能だな(ボソッ)
では、以下に各アーティスト毎の感想を簡単に書いていこう。
●松浦亜弥
松浦がつんく♂の手元を離れ、如何に自分の個性を出すか。俺にとって興味深かったのはこの点だろう。あややの声は意外とアコースティック楽器と相性がいい。それはこれまでのシングルでのカップリング曲やアルバムでのその手の楽曲で実証済みだ。そういった観点から「あやや sings フォークソング」を楽しむことの贅沢さ。ファンにはたまらないのではないだろうか?
さて、実際の彼女の仕事振りだが、1曲目"てんとう虫のサンバ"はまぁ無難な出来といったところだろう。実際、アレンジが可もなく不可もなくなものなので、尚更印象も薄い。ここにはあの「松浦亜弥」はまだいない。
"冬が来る前に"。地中海風味なアレンジ(?)のどこが「冬」なんだよ!ってツッコミはこっちに置いといて‥‥どうにもキーが松浦向けじゃないんじゃないかな‥‥そんな気がする。ハモりの姐さんに合わせた結果なのか、サビになってもイマイチこう‥‥確かにあややっぽい節回しとか出てくるんだけど、あの「これが松浦亜弥だ、何か文句あっか?」な世界観はやはりここにもない。う~ん、こうなるとますますたいせーの力量を疑ってしまう(つうか、あややの力量を疑うことからまず始めろ、俺)。
がしかし。"ひこうき雲"。こ、これは‥‥途中で何度もユーミンと被るんだよなぁ‥‥そして後半の盛り上がり。そうそう、こういうのを待ってたんだよ。この曲は正直、アルバムのハイライトと読んでも差し支えないでしょう。これはイイ! シングルのカップリングに入れても問題ないと思う。ただね、たいせー‥‥折角ピアノやギタリストがいい味出したプレイしてくれてるんだから、リズム隊も生楽器にしようよ‥‥勿体ないよ、マジで。
次。"長い間"。ピアノ主体のこの曲をアコギ主体のアレンジにしてしまったのは、単にアレンジャー高橋諭一の趣味なのかな。この曲はこれまでとは逆にキーを上げているんだけど‥‥どうにもここ(心)にこないんだよなぁ‥‥やはり普通の出来。
"神田川"。この辛気くさい(笑)曲を、どう現代っ子あややが唄いこなすのかが気になったが‥‥やっぱり普通でした。何故ここまで「可もなく不可もなく」が多いのか‥‥いろいろ考えた結果、やはりあややの持ち歌が「等身大の松浦亜弥」に近い内容だったことも大きく影響してるのかなぁ、と。では、何故"ひこうき雲"のような曲では「あややイズム」のようなものが感じられたのか‥‥正直なところ、その本当の理由は判らないけど‥‥単純に選曲ミスってのもあるんだろうけど‥‥何なんでしょうねぇ?
"さとうきび畑"‥‥正直、これは驚いた。この10分近くある曲を唄いこなすあやや‥‥第二次大戦中の沖縄を舞台にしてるこの曲を、それこそ現代っ子のあややがどう唄うのか‥‥至極普通に、ストレートに唄うからこそ、伝わるものがあった(と俺は思う)。あややがこの歌詞を読んで(唄って)どう思ったかは知らない。けど‥‥間違いなく今回唄った6曲によって、また彼女の歌の引き出しは増えたはずだ。改めて、凄い15歳だよなぁ‥‥と思う。
総合的には「可もなく不可もなく」な曲が多かったし、つんく♂プロデュースと比べれば彼女の個性も弱いが(それだけ彼のアクが強いということだろう。これは市井の時のも感じたことだが)、それでも彼女が唄えば(彼女の声が乗れば)それなりに説得力がある歌になるのだから、やはり才能なのだろう。前作での市井は何だったのだろう!?と思えてしまう程に(苦笑)。
●中澤裕子
姐さんは前作でも"かもめはかもめ"という名カバーを残しているだけに、今回もかなり期待していた。まず最初に"恋人よ"。こういう曲を唄わせたらやはり上手い。歌唱力が優れているというよりも、その存在感や声の揺らぎが抜群なのだ。ヘタウマなのだけど、表現力は伊達にこの世界で5年やってきただけのものはある。これはさすがにあややにも出せないものだろう(年の功というのもあるだろうが/苦笑)。
"オリビアを聴きながら"。恐らく杏里の歌で何度も耳にしてきたであろうこの曲を、そつなく唄いこなすあたりはさすが。それにしてもこの曲、アレンジが糞だなぁと思ったら、やっぱりたいせーだった。高橋諭一との差が一聴して判るもんなぁ‥‥。
昨年12月のライヴ「FOLK DAYS」でもカバーされていた"木綿のハンカチーフ"。ラジオで聴いた時は「うぉ~!」と唸ったのだけど、こうやってCDで聴いてみると、そこまでの感動はない。けど、これはこれで悪くないよな、やっぱ。姐さんの声の透明感と揺らぎはやっぱり絶品で、まぁ太田裕美には至らないものの、それでも今この曲をカバーさせたら一番しっくりくるのではないだろうか? 面白いことにほぼ同時期にリリースされた椎名林檎のカバー集にもこの曲が取り上げられていたが、まぁアレンジの違いはあるものの、俺は姐さんの方に軍配を上げたいと思う。
"わかって下さい"では、因幡晃もコーラスで参加。考えてみれば、姐さんはソロで演歌をやらされていたわけだし、そういうのがここである意味成果として出ているのかもしれない‥‥こういう演歌チックなマイナーキーの曲を唄う彼女の声を聴くと、そう思えてならない。サビでの透明感ある高音はやっぱりさすがと言わざるを得ないだろう。
総合的にみて、やっぱりフォーク的なものよりもニューミュージック的な楽曲の方が姐さんの声に合ってるように思う。演歌を唄うにはやはり声量が足りないし、フォークを唄うとちょっと安っぽい気がするし、こういうアコースティック色の強いポップスが彼女には一番向いているんじゃないかな? 彼女の持ち歌にしても"上海の風"や"二人暮し"みたいな曲はやっぱりピッタリだと思うし。そろそろ準備に入るであろう新曲に否が応でも期待してしまう。
●メロン記念日
各楽曲毎に解説しようと思ったけど‥‥そこまでいかなかった。いや、思っていた以上に唄えてたんで正直安心したけど、やっぱり持ち歌と比べれば、各人の個性がまだまだだし、そつなさ過ぎだし。そんな中、個人的には"ひだまりの詩"はよかったなぁ。これまでのメロンのイメージからすればちょっと違うのは判るんだけど、あぁこういうのも唄えるんだな?ってのが判っただけでも収穫。けど‥‥メロンはやっぱり元気イッパイな方がいいって。事務所的に売り出したいのは判るけど、やっぱり人選ミスかな、今回は。
●石井リカ
この人がまだ「Peachy」というアーティスト名で活動してた頃をよく覚えているだけに、やはりハロプロ入りした以降の仕事振りには違和感があるんだわ。何故童謡のおねえさんなの?とか、なんで「エスパー」なの?とか、なんで「おどる♥11」なの?とか。そんな中、このアルバムでも殆どがコーラスワーク。正直、そんなに上手い人だとも思ってなかったので、コーラスってのはどうよ?って気が‥‥。
そんな中、1曲だけリードが許された"夢で逢えたら"。最近、原田知世がDEENと共にカバーしたので知ってる人も多いだろうこの曲(そういえばこのアルバムの選曲、林檎にしろ知世ちゃんにしろ被りまくり。意図的に?それに今話題の「亜麻色の髪の少女」だって既に2年以上も前に娘。達が先にカバーしていたという事実があるのを皆さんはご存じだろうか? やっぱフォーク系事務所だね、UFAって)。ここでも石井ちゃんは「可もなく不可もなく」な印象を残すのみ。折角のセリフにも萌えず(笑)嗚呼‥‥。
この人を事務所的にはどういう方向で売っていきたいのかが、明確に見えてこないよなぁ。何故ハロプロに入れたのか、その意図が全く判らない‥‥本当に謎の存在。
さて、いろいろ絶賛しつつも貶しまくった今回。総評としては‥‥かなり聴いてますと言っておきましょう(笑)。いや、これさぁ‥‥いちーちゃんのよりも聴くと思うよ、今後。選曲的にはこっちの方が好きだし、あややに姐さんという(俺的には)安定要素があるだけに、聴いてて本当に心地よいんだわ。メロンの歌も耳障りじゃないし。
ただね‥‥何度も言うけど、やっぱり人選ミスはあると思う。メロンはこういう企画に使うべきじゃない。折角の逸材なんだから(と俺は思う/笑)、もっと違った売り方/使い方してあげなよ? それだったら俺は、平家さんを使って欲しい。もし第三弾があるのなら、次回は松浦/中澤/平家でやってよ。実力と個性のあるシンガーがこのまま事務所に飼い殺しにされるの、見て見ぬ振りはできないもん。みっちゃんいい子なのにね?
事務所的に何故このアルバムをリリースし続けるのか、そして売る気があるのかが全く見えてこない作品なんだけど(前回は市井の復帰作というそれらしい名目があったけど、今回はそれがないわけだし)、「何十万枚売ろう!」なんて野望もなく、単に実験として出しているのなら、是非平家みちよさんを使って下さい。カーペンターズだけじゃないですよ、きっと?(苦笑)あやや目当てで買った若い子達に「姐さん、なかなかやるじゃん!」とか、あややソロライヴで平家さんの歌に興味を持ったボンズ(笑)に「みっちゃん、いいじゃんか!」と思わせる絶好のチャンスだと思うんだけど‥‥ってそこまで考えてないか、UFAだし、たいせーだし。

▼松浦亜弥、中澤裕子、メロン記念日、石井リカ『FOLK SONGS 2』
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