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2002/08/06

BUGY CRAXONE『NORTHERN ROCK』(2002)

  今年(2002年)1月にリリースされたサードアルバム「This is NEW SUNRISE」以来、快進撃の続くBUGY CRAXONE。6曲入り、30分少々の作品集だったが、他アーティストとのコラボレート等、内容は60分以上あるフルアルバム以上の濃さだった。勿論、コラボ作以外の単体楽曲の勢い・深さもハンパじゃなく、やっとBUGY CRAXONEというバンドが「何か」を掴んだ記念碑的アルバムだったと言い切って間違いないだろう。

  3月まで全国ツアーを行い、その後も6月には単発ライヴやイベントへの出演を果たしながら、曲作りとレコーディングを続けていった。既に年明けのツアーでは新曲も数曲披露されていて、中でも新たなアンセムソングと呼ぶに相応しい"YOUR SUNRISE"という曲を聴いてしまった後となっては、これに続く新作への期待が否が応でも高まってしまうものだ。

  そんな中、3月のツアー中にメンバーが発言した通り、この夏に早くも4作目のアルバムがリリースされることが決定した。タイトルは「NORTHERN HYMNS」。北海道出身の彼等らしいタイトルだ。そしてその先行シングルとして7月にリリースされたのが、今回取り上げる「NORTHERN ROCK」だ。

  シングルとしては随分久し振りとなるが、ここに収められた3曲がまた濃いの何のって。タイトルトラック"NORTHERN ROCK"はボーカルの鈴木由紀子とギターの笈川司との共作となる、爆走ロックナンバー。ギターのコード使いといい、サウンド全体の渇いた歪み具合といい、鈴木のボーカルパフォーマンスといい、前作「This is NEW SUNRISE」の更に数歩先をそのまま形にしてしまったかのような楽曲だ。今回のシングルには、エンジニアとして山口州治を起用。前作でも1曲だけ参加していたが、今回は恐らくアルバムもこの人が手掛けているのだろう。THEE MICHELLE GUN ELEPHANT等を手掛けてきたこの人、この手の破壊力のある疾走ロックを録音させたら天下一品である。勿論、今回のBUGYはただ突っ走るだけではない。鈴木のボーカルからは力強さも優しさも、突き刺さるような鋭さも包み込むような温かさも感じることができる(そうそう、山口州治は他にもTHE YELLOW MONKEYなんかも手掛けてきた、日本でも数少ない本当の意味でのロック・エンジニア/ミキサーなのだ)。

  それにしても、この勢い‥‥オフを取らずにツアー終了後、そのままスタジオに入ったかのようなテンション。BUGYのライヴを観たことがある人なら判ると思うが、あのテンションをそのまま凝縮することに成功している。どちらかというと、これまでのアルバムは「ライヴの延長としての作品集」というよりは、カッチリ作り込まれた「鑑賞用作品集」という印象が強かった。しかし、それが前作辺りから「実験と割り切ったスタジオ作」と「ライヴを想定した『RAW(生)』な感じの録音」とが上手い具合に同居し始めていた。たった3曲を聴いただけで判断してしまうのは危険だと承知の上で発言するが、次のアルバムは実験要素もありつつ、それらをステージ上で公開実験してしまうような、そんな作品集になるのではないだろうか。

  さて、話題をシングルに戻そう。そんな実験的要素の強いトラック2"箱庭"は、前作でも感じられたポストロック的要素が前面に出たサイケナンバー。作曲がバンド名義になっていることから、恐らくスタジオでジャムセッションしながら作り上げていった曲なのだろうと想像できる。ワンコードで引っ張る感じは正にそれといった感じで、そんな単調になりがちなところを、彩り豊かな演奏と、鈴木の表現力豊かなボーカルとで、見事な「世界観」を作り出している。セカンドアルバム「歪んだ青と吐けない感情の底」の頃とはまた違った「冷たさ」を持った1曲。是非ライヴで聴いて・感じてトランスしてみたいものだ。

  最後のトラックは、そのセカンドアルバムに収められていた"月光"のリアレンジバージョンだ。最近のライヴで演奏されているスタイル(サビに入るとパンキッシュな高速バージョンになるアレンジ)でレコーディングされている。BUGYの場合、こういった感じで古い曲が全く新しいアレンジで演奏されることが多いので、いざライヴで演奏されても「あれっ?今の曲って‥‥聴いたことあるけど!?」って感じで気付かないことがある。いっそのこと、リアレンジ集とまでは言わないものの、ライヴ盤でもリリースしてもらうか、今後のシングルにそういった過去の楽曲のリアレンジ版ライヴテイクを収録して欲しいものだ。それらの楽曲が生み出された頃と今とでは、バンドの状況もテンションも全く違う。過去を否定する意味ではなく、バンドの「成長過程」として「記録」を残して欲しいと俺は思っている。

  たった3曲、ほんの15分のシングルなのに、それこそアルバム並みに充実した内容を持ったシングルだ。これを聴いてしまうと、否が応でもアルバムに期待してしまう。そして、当然ながらライヴにも行きたくなる。ツアーは10月、ファイナルは18日(金)、下北沢SHELTERだ。これは行くしかないだろう。会社を早退してでも行こうと思う。いや、もう決めた。この脂の乗りきった今のBUGY CRAXONEを無視する、あるいは見逃すのは犯罪に近い行為だ。悪いことは言わない。ポール・マッカートニーに14,000円払うなら、このシングルとニューアルバム「NORTHERN HYMNS」、そしてツアーのライヴチケットを買った方があなたの為だ。全部買っても6,000円以上ものお釣りがくる。それで前作も買って欲しい。いや、本当にそれだけの価値があるバンドだから。



▼BUGY CRAXONE『NORTHERN ROCK』
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投稿: 2002 08 06 12:00 午前 [2002年の作品, BUGY CRAXONE] | 固定リンク