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2002年11月 4日 (月)

the pillows『Thank you, my twilight』(2002)

  先日、友人と電話で話していた時、The ピーズの話題から偶然、the pillowsの話題になり(the pillowsのドラム・しんいちろうが現在The ピーズでも活躍している為)「何故the pillowsはここまで過小評価されてるんだろうね?」と互いに疑問を吐き出したりしてる中、「こないだ出た新作っていろんなサイト見ても評判いいようだし、今度余裕が出来たら買ってみよう」って話をして。

  更に数日後、先にこの新作「Thank you, my twilight」を買った彼。うちの掲示板にも「買って間違いなし。絶対にとみぃ気に入るし。気に入らなかったら俺が金出す!」との書き込みをしてる頃、偶然にも俺はその書き込みを見ぬままCD屋へ駆け込み、このアルバムと、同時発売のBサイド集「Another morning, Another pillows」を買ったのでした‥‥こういうのってシンクロニシティーって言うんでしたっけ?

  というわけで、前振りが長くなりましたが、当サイト初登場のthe pillowsです。これまで何曲かを耳にした程度、ルースターズ・トリビュートアルバムでのカバーは結構気に入ってた、といった印象しかなかった彼等。けど、これまでにも何度か余所のサイトで「pillowsいいよ、絶対に気に入るってば」てな感じで、数年前のアルバム「RUNNERS HIGH」を薦められたりしてたんですよ、あとベストアルバムとか。なのに何故か今まで手が伸びなかったthe pillows。勿論、ここ数作のアルバムに対する評価が高いことは知ってました。

  俺が完全に彼等に対する見方を変えたのは、最近とあるサイトで目にした、シンガー・山中さわおの「この10年間、大ヒットとかなかったけど、それでもいい10年間だったと思う」というような発言でした(大体こんな感じだったと思いますが、細かなディテールは多分違うと思います)。大してファンでもないのに、この発言にちとウルッときちまった俺。何か、カッコイイな、と。ただそれだけ。もうそれだけで、普通に応援したくなった、音も聴いてないのにね。

  それともうひとつ‥‥話が前後するけど、昨年の「アラバキ・ロック・フェス」での彼等のステージを観た前述の彼からの、彼等の評判。これがかなり好印象だったことを思い出したんだわ。

  たったこれだけの理由で3,000円もするアルバムに手を出すなんて、ちょっと馬鹿げてるかもしれないけど、何故か自分の中で確信めいたものがあって。勿論、たった数曲ながらも彼等がどんな音楽をやってきたかをある程度認識してたってのも大きいんだけどね。

  で、その自分の予想大的中。これ聴かないとヤバイよ、マジで。すんげぇ大傑作。さわおくんに「君、今まで何やってたの?」と問い質されても素直に謝るしかない、ホントそんなかっけーロックアルバム。40才に手が伸びそうな連中がやるようなロックかよこれが!?って思える程に活き活きしてて、変な「出来上がり感」がないんだよね、10年選手特有の、あの落ち着きというか安定感が。いや、演奏は確かにしっかりしてて余所の若手バンドよりも安定感は確かにあるんだけど、もっとこう‥‥バンド特有のグルーヴ感ていうの?そういうのが未だに若々しいというか‥‥聴いててこっちが高揚してくる、そういう芯の熱さがこっちにまで十分伝わってくる。この年代のバンドにしては、ホントにそういう要素をかなり強く感じられるわけ。

  曲はね、もう文句なし。いきなり引きずるようなヘヴィーリフでスタートする"RAIN BRAIN"から、聴いててマジで泣けてくるタイトルトラック"Thank you, my twilight"、そしてラストの疾走ナンバー"Rookie Jet"まで、40分少々のランニングタイムがあっという間。で、気付けば二度、三度と繰り返し聴いてるし。楽曲のタイプも様々な要素を感じ取ることが出来て、例えば"RAIN BRAIN"なんてグランジっぽいリフを持ちながらも、サビはCHEAP TRICKにも通ずるようなポップなメロディを持ってるし、"ビスケットハンマー"もパワーポップに通ずる演奏/メロディだし、"バビロン 天使の詩"なんてイントロだけだとモッズっぽいイメージなんだけどサビで一気に甘いメロディが爆発するし、"My Beautiful Sun (Irene)"は近作のくるりにも共通する色があるんだけど、もっとこっちの方が「単なる味付け程度」って印象で、あくまで「the pillowsというバンドのポテンシャルがまずありき」という強い主張を感じるし‥‥ってこのままいったら全曲解説しそうな勢いだな、こりゃ。とにかく全曲捨て曲なし。どれも名曲、そしてそれら11曲が完全なひとつの流れを持っていて、それが間違った方向に進んでいない。その結果が「完璧なロックアルバム」というひとつの完成品を生み出したわけ。ホントこりゃすげぇアルバムだよ。

  ナンバーガールのような緊張感も、スーパーカーやくるりのような実験性の強さも、スピッツやミスチルみたいな大ヒットシングルも、GLAYやソフト・バレエのようなビジュアル要素もここにはない。だけど、ロック好きなら聴いて一発で魅了されちまうような特別な要素ががここには十分ある。それで十分じゃない? 30才過ぎたからって枯れる必要はなし。ロックはガキだけのものでもないし、かといって大人になって卒業するもんでもない。何時だってプレイヤーに載せれば、スピーカーからは俺らを「永遠の10代」に引き戻してくれるスペシャルな空間を作り出してくれる、それがロックでしょ?

‥‥なんて柄にもないこと吐かせちまう程、このアルバムは最高ってわけです。買って損なし。久し振りに「とみぃの宮殿」で大プッシュしたいアルバムに巡り会えた気がするよ。



▼the pillows『Thank you, my twilight』
(amazon:国内盤CD

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