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2002/12/03

MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』(2002)

去年(2001年)春にリリースされた6枚目のオリジナルアルバム『KNOW YOUR ENEMY』リリース時点で、既に「次のアルバムはグレイテストヒッツになる」と発言していたマニックスの面々。同年夏のフジロックでのステージではそれに先駆けるかのような、正しくグレイテストヒッツと呼ぶに相応しい内容を我々に提示しました。その後、新作に伴う単独来日公演は行われず、アルバムに関する噂話だけが一人歩きする状態が1年以上も続きました。当初昨年の今頃には既にリリースされているはずだったこのアルバム、結局は2002年という『GENERATION TERRORISTS』リリースから10年経った年にリリースされることになりました。あれから10年‥‥マニックスにとっても、そして俺にとっても決して短くはない時間です。あの頃20歳だった俺は既に30歳を超え(それはマニックスの4人にとっても同じことですが)、まさかアルバムやシングルを連発し、本当に「英国を代表する国民的バンド」にまで成長するとは思ってもみませんでした。そして、メンバーが4人から3人になってしまうことも‥‥

このアルバムには、過去マニックスがリリースしてきたシングルの中から18曲が収録されています。実際にはもっと多くのシングルが発表されていますが、今回はオフィシャルサイトを通して人気投票を行い、その上位18曲がここに収められたということらしいです。更に2曲、このアルバムの為に新曲も収録されています。

今回は珍しく、自分とマニックスとの10年間を回想する意味で、全曲解説をやってみようかと思います。とはいっても、楽曲のデータ解説等はせずに、その曲を聴くと思い出すこととか、自分とマニックスとの関わりとか、そういった駄文を書いていきますので、ちょっとこれまでのマニックス・レビューとは違った感じになると思いますが、最後までお付き合いください。


M-1. A Design For Life(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
凹んだ。最初にシングルを手にした時、あのシルバーとゴールドの2枚のジャケットが何か嫌な感じだったし、実際必要以上にメランコリックな曲調が嫌でも「あの出来事」を思い出させた。今でこそ大好きな1曲だけど、受け入れられるようになるまで相当時間がかかった。多分、そう感じたオールドファンって多かったんじゃないかな?

M-2. Motorcycle Emptiness(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
「雨」、「雨の東京」。PVのイメージも強いんだけど、この曲を聴くと当時専門学生だった自分が雨の中、この曲を聴きながら学校へ向かってた頃を思い出す。神田に学校があったから、お茶の水とか秋葉原をこの曲聴きながら雨の中歩き回ったり‥‥あ、イギリス滞在中も雨のウィンザーとかをこのアルバム聴きながら歩いたっけ。

M-3. If You Tolerate This Your Children Will Be Next(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
「別れ話をしてる車の中」ってイメージ。って全部実体験談じゃねぇか、これ。何かこの曲を聴くと、11月の寒い夜、つき合ってた子と車の中で別れ話を何時間もしたことを思い出すよ。曲とは全然関係ないことだし、この曲の恨みとかもないんだけど‥‥ちょっと鬱になるね。

M-4. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)(2nd AL『GOLD AGAINST THE SOUL』)
で、その子と付き合い始めた頃によく聴いてた曲っていう‥‥ねっ。当時、東京駅の構内でバイトしてて、朝6時半から仕事してたんで、朝の5時40分頃には家を出て‥‥まだ薄暗い中、この曲が入ったアルバムを聴きながら出勤したっけ、彼女起こさないように身支度してね。初めて観たマニックスのライヴもこのアルバムの時だから、特に思い入れのある時期。

M-5. There By The Grace Of God(新曲)
メロはマニックスまんま。結局何も変わってないってことか。装飾部分はかなり大人になった感じだけど、唄い始めた瞬間、自分の中で何かのスイッチが入る音が聞こえるんだよね‥‥マニックスの曲を聴くといつもそんな風になっちまう。それにしても、ホントにこの曲の雰囲気、80年代末~90年代前半のDEPECHE MODEみたいだね?

M-6. You Love Us(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
テレビ東京系列で放送された、水着の女性タレントが高台の上で尻相撲をする番組「ヒップでダダーン」テーマ曲。いやマジで。そんなこと、今更誰も覚えてないだろうけど、この曲を聴くと嫌でもあの番組を思い出してしまう自分がちょっと嫌。っていうか、毎日観てました。大好きでしたマジで。

M-7. Australia(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
アルバム最初に聴いた時、殆ど印象に残らなかった曲。普通のストレートなロックチューンって感じで、これだったらまだ「Further Away」の方が印象に残ってた。けど、それがガラリと変わったのはライヴビデオ『EVERYTHING LIVE』を観てから。ああ、ライヴだとこんなにかっけーんだ、って。けど今でもそんなに好きな曲ってわけでもないかな。もっと捻った曲の方が好きだから俺。

M-8. You Stole The Sun From My Heart(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
この曲聴くと、夜の海岸道を時速100キロくらいで飛ばしたくなる。ていうか、ホントに飛ばしてましたが。サビに入る前の、ディストーションギターが爆発するような感じが大好き。サビでがなるジェームズも好き。唯一ダメなのが、この曲が入ったアルバムを聴くと、「別れ話w(ry

M-9. Kevin Carter(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
この曲はPVでトランペット吹くショーンのイメージが強いな。あと、CDだとポップソング色が強いのに、ライヴになるとかなり強靱なロックソングとして機能してるっていうとこが好き。この曲もそうだけど、リアルタイムでリリースされた頃は殆ど聴いてなくて、出てから1年近く経ってからちゃんと聴いたって感じなので、リリースされた頃はこの曲も殆ど印象に残ってなかったんだよね、3曲目だったにも関わらず。

M-10. Tsunami(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
後にサザンが日本語詞でカバーしたことで有名な1曲‥‥ってことはなく、単にこっちのほうがタイトル付けるの1年以上早かったってだけ。『THIS IS MY TRUTH~』ってアルバムは何も悲しい思い出だけじゃなくて、新しい出会いの季節を思い出すアルバムでもあり、それはその後つき合うことになる女性だったり、このサイトだったり、そしてサイトを通じて知り合ったかけがえのない友達であったり。そして、6年振りに再会したマニックスの3人だったり‥‥そういったことが走馬燈のように思い出されます。

M-11. The Masses Against The Classes(none-album track)
この曲っていうと、俺の中では「大阪」っていうイメージ。いや、丁度この曲出る前に今の会社に入って、リリースされた後に大阪に1週間程飛ばされたんですわ。テレビもない生活の中、毎晩向こうの会社の人間と呑んで、帰ってから寒い部屋の中ひとりでこの曲やモーニング娘。「恋のダンスサイト」なんかを聴いて、闘争心を高めてたんだよね‥‥何か違うような気が‥‥。

M-12. From Despair To Where(2nd AL『GOLD AGAINST THE SOUL』)
命がけでやってたバンドが空中分解した頃にリリースされた曲。マジで凹んだんだよね。だって、(マイケル・モンローに倣って)腕にバンド名のタトゥー入れようと思った程、思い入れのあったバンドだったから。音楽的にも煮詰まってて‥‥そんな時にこの曲が出て、バカ一辺倒だったはずのマニックスが真剣に「音楽」に取り組みだした‥‥って感じで励まされるどころか、逆に焦らされて。で、とにかく動こうってことで友達のバンドにヘルプで参加したり、アコギ1本持って路上に出たり‥‥その後の音楽活動の原点だよね、そういう意味では。今でもマニックス・ナンバーの中で5本の指に入る好きな曲。

M-13. Door To The River(新曲)
もう1曲の新曲。随分と穏やかな曲だなぁ‥‥何かU2の曲みたいだ。『ZOOROPA』とかのエンディングに入ってても違和感ないかも。後半の盛り上がるパートになると、あぁ、やっぱりマニックスの曲だわ、と一安心。大袈裟過ぎる程のストリングスは相変わらず。無意味に過剰っていうか。ま、そういうところは(方向性が変わっても)デビュー当時、いや、その前から何も変わってないってことか。前作とは違った方向を見せる2曲だね、新曲は。

M-14. Everything Must Go(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
俺が『EVERYTHING MUST GO』アルバムを再評価する切っ掛けとなったのがこの曲。後半の「ハ~ッピィ~!」っていうジェームズのシャウトに鳥肌。そうそう、この曲で99年の来日公演はスタートしたんだった。身体の大きくなったジェームズがこの曲でギター弾きながらピョンピョン跳ね回ってたのが印象的。パンク版フィル・スペクター・サウンドとでも呼びましょうか、これは‥‥名曲ですね。

M-15. Faster(3rd AL『THE HOLY BIBLE』)
唯一サードアルバムから選ばれた1曲。つうかこの曲を選ばずして何を選ぶっていうの!? まぁサードアルバムから1曲選ぶってのは難しいよね。俺的にはあのアルバム自体、全体で1曲みたいな考え方だから。別にコンセプトアルバムってわけじゃないけど、13の音の塊っていうイメージがあるから。バンドでもコピーしたなぁ‥‥まともに歌詞覚えてなかったけど。

M-16. Little Baby Nothing(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
アメリカの(元)有名ポルノ女優、トレイシー・ローズがデュエット相手。中学生の頃、初めて観た洋モノ裏ビデオがトレイシー・ローズのだったな。あれで当時10代だったんでしょ??‥‥考えられねぇよマジ。その頃好きだった子に『GENERATION TERRORISTS』を貸して、返してもらう時に「この曲が一番好きだった」って言ってくれたっけ。で、「ところでトレイシー・ローズってどんな歌手なの?」と質問されて答えに困ったっけ‥‥。

M-17. Suicide Is Painless (Theme From MASH)(none-album track)
ファーストが出た半年後に急遽リリースされたカバー曲。リリースされた経緯(NMEの企画盤用)を知らず、タイトルから深読みして「ああ、終わりに向かってるんだな‥‥」としんみりしてたあの頃の自分がバカらしいッス。アルバム以上にメタリックなアレンジになっててビックリ。何かこういうガンズとかがやりそうなアレンジ(エンディングでテンポアップみたいなの)好きだよね、初期のマニックス。そこが如何にも「ロックに憧れる田舎の少年達」って感じで好感持てたんだけど。

M-18. So Why So Sad(6th AL『KNOW YOUR ENEMY』)
考えてみたら、前作からはこれ1曲なのか‥‥勿論好きな曲だけど、もっとロックした曲が欲しかったなぁ。けどこうやって20曲並べてみると、如何にこのバンドがパンク一辺倒ってわけじゃなくて、幅広い音楽を10年の間にやってきたかが手に取るように判るよね。これなんてぶっちゃけ、「Everything Must Go」の発展型だよね、「パンク版フィル・スペクター・サウンド」的楽曲って意味で。このアルバムが出た後に前の彼女と別れるわけだけど(ってみんなが知ってることを前提として話してる感じだな、こりゃ)‥‥何か、またバンドがあるひとつの方向(音楽的にではなく、バンドの進むべき道という意味で)に向かって走り出したなぁ‥‥って内心思ってた。で、俺もそれに便乗して乗っかって、その方向に突っ走ってやろうかな、とか無茶なことも考えたりして。まぁそれは今でも思ってることなんですけどね。

M-19. The Everlasting(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
‥‥これ、反則! こんなブッタ切り方‥‥6分ある曲を4分に縮小してしまうなんて、既に曲として機能してないよ、これ。このベスト盤で初めてマニックスに出逢った人にすれば「ああ、この曲ってこんな感じなんだ」っていうふうに納得される危険が‥‥やっぱりこの曲を聴くと泣きそうになる。去年のフジロックでこの曲やってくれて、しかもアコギ弾き語りでやってくれたもんだから‥‥更にそのフジロックに一緒に行く予定だった人は、既に隣にいないなんてオマケまで付いて‥‥やばっ、また聴いてて涙腺緩んできた‥‥。

M-20. Motown Junk(none-album track)
今のマニックスの原点であって、スタート地点であって、結局行き着くところであって、俺自身の衝動の根元であって、ある意味人生のテーマソングであって‥‥いろんな意味が含まれれた、大切な1曲。結局さ、全部‥‥一番最後にジェームズが叫ぶ「We destroy Rock'n'Roll!」‥‥ここに全部あるんだよね。


というわけで、「とみぃの宮殿」4周年を記念する月のオススメ盤には、この10年間で自分にとって一番大切なバンドであるMANIC STREET PREACHERSの初のベストアルバムを選びました。そしてアルバムのレビューと称して、このサイトの4年間だけでなく、自分のこの10年間を振り返ってみました。相変わらず女々しいことばかり書いてますが、俺の90年代、そして俺の20代はそういう10年間だったと。カッコつけたり、いきがったりしながらも、傷つき心が痛み、やり場のない怒りや悲しみを貯め込んで精神が壊れかかったり。いろんな出会いがあり、そして同じくらいの別れがあったり。そういう10年間でした。

音楽の素晴らしいところは、そうやって聴いてた頃の自分の思い出が何時でも簡単にフラッシュバックしてくるところ。いい思い出も悪い思い出も、楽しかったことも悲しかったことも全部。ベストアルバムという形でバンドの10年間を総括しているものの、これはある意味「とみぃの20代総括」アルバムでもあるわけです(って勝手に決めつけるなよ)。

マニックスはこの後、2003年1月に単独としては実に4年振りの来日公演を行い、その後の予定は今のところ判っていません。噂通り、本当にこのまま終わってしまうのか、それともまた新たな道を模索するのか、あるいはそのままの勢いでアルバムをサラッと作ってしまうのか‥‥それは誰にも判りません。もしかしたらメンバー3人にも判ってないのかも。そして俺は、そんな彼等を見届ける為、いろんな思いを抱えてライヴに向かうことでしょう。



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投稿: 2002 12 03 12:00 午前 [2002年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク