« MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』(2002) | トップページ | DEF LEPPARD『X』(2002) »

2002年12月 4日 (水)

SOFT BALLET『SYMBIONT』(2002)

  ソフト・バレエ、7年振りの復活。正直冗談だと思いましたよ。夏前にサマソニのメンツが発表になった時、「SOFT BALLET」の名前を海外のサイトで見つけて、その時は「SOFTBALL」の間違いじゃねぇの、サマソニだけにSOFTBALLならありそうだしな、とか思ったんだけど、いろいろ調べるうちに、春先にあった森岡賢のライヴか何かで「ソフバで再び動く」というような発言をしたとか、endsが活動休止状態になったとか、確かにメンバー3人が再び活動再開に向けて着々と動き出してるような様子は伺えたんだけど‥‥正直信じられなかったし、そこまで熱くはならなかった‥‥いや、嬉しかったんだけどね。

  個人的にソフバというと、アルファ時代‥‥「愛と平和」までしか聴いてなくて、何故かビクターに移籍してからのアルバムは今までちゃんと聴いてなかったんだわ。そりゃ、シングルになった曲とかはPVがかかるような番組で目にしてたけど、何故か興味が薄れて。単純に初期のコンセプトであった「エレクトロニック・ボディ・ビート」がたまたま自分的にツボだったってのが大きいんだけど。

  でね。最近‥‥サマソニ後、ビクター時代の3枚も含めて全アルバムを通して聴いたんですわ‥‥いや~、本当に申し訳ないっつうか。全部ツボでした。何でこれをもっと早くに聴いてこなかったんだろうね、と本気で後悔。7~8年前の俺、何やってたのさ!?(って考えてみたら、最もその手の音とかけ離れたものを聴いてた頃だったしな)

  そんなわけで、7年振りに復活したソフバのニューアルバム。こんなに早く出るとは思ってなかったのでビックリ。サマソニの時点でほぼ完成していた感じだね。あの復活ライヴでも既にここから5曲("OUT"、"DEAD-END GAZE"、"メルヘンダイバー"、"BIRD TIME"、"JIM DOG")演奏していて、初期の名曲は皆無。他はビクター時代の曲を3曲。かなり挑戦的且つ実験的なステージだったわけだけど、俺は一発で魅了されちまったんだわ。いやーマジでやられた。初期のライヴビデオとかは観たことあったけど、まさかこんな事になってるとは‥‥ゴスだとかビジュアル系だとか、そんなちっぽけなカテゴライズいらないよな。ステージの真ん中にはデカダンなイメージの遠藤がいて、向かって左にはヘラヘラした、10年前と全然変わってない森岡がいて、右側には前進黒のレザーで、頭にはSLIPKNOTばりのマスクを被ってギターを持った藤井がいて。この3人が並んで立っただけでも凄い空気なんだけど、更にライヴになるともう、ねぇ‥‥言葉に言い表せない程のカッコ良さなわけよ。

  そんなビジュアル面以上に、更に凄いことになってるのが音の方で。ソフバは既に'90年代初頭に、MINISTRYやNINE INCH NAILSがまだ日本で全く騒がれていなかった頃から、あれに匹敵するような音楽をやってきたわけで、活動停止前の「FORM」なんて今聴いても全く古くなってない程なのよ。で、今回のアルバム。前作から7年という月日が流れているものの、確かにあそこからの続きと呼ぶこともできる。けど、この7年ってのはかなり大きくて、例えば彼等がやってるようなテクノポップ的なものがメインストリームになってしまったり、それこそUNDERWORLDやCHEMICAL BROTHERSのようなグループから、ここ日本にもBOOM BOOM SATELLITESのようなユニットまで登場してるわけです。そういう事実を踏まえつつ、このアルバムは制作されているような印象を受けます。時代感覚云々より、この7年の空白を埋めるような、それでいてその7年間の音楽を総括するような音。過去のように時代を先取りしてるような感覚はないんだけど、安心して聴けるアルバム。ちょっと例え的にどうかと思うけど‥‥元YMO組によって結成されたSKETCH SHOWに非常に近いイメージを受けます。

  ケミカル "Setting Sun"的な"BIRD TIME"からアルバムは幕を開け、これまでにない程に攻撃的なオープニングを飾ります。続く"JIM DOG"もテクノポップというよりも、完全にロック。そう、今回の楽曲クレジット。全て「SOFT BALLET」名義になってるんです。過去は森岡、藤井がそれぞれ作曲し、遠藤が作詞というパターンだったんですが、それぞれがソロとして過ごした7年間、各自ソングライターとしても以前よりも成長しているはずだから、絶対に各自いろんな曲を持ち寄ってるはずなんですよ。ところが、作詞にしろ作曲にしろ、全て「SOFT BALLET」名義。まぁ曲を聴けば「これは森岡だな」とか「これ絶対にフジマキ!」ってファンは判るんですが‥‥歌詞がね‥‥過去のソフバからは考えられない歌詞。つうかこれ、endsじゃんか‥‥もう、それが一番の衝撃でしたね。いや~、古くからのファンはどう思ってるんでしょうね、これらの楽曲。

  当然、過去のソフバ的ナンバーもあるし、"LOVE JUNK"みたいなMARILYN MANSON的シャッフルナンバーもある。"メルヘンダイバー"はシングルの2テイクとも違うアルバムバージョンで、一番 「メルヘン」って言葉がピッタリなアレンジかも。ただ、イントロや間奏で流れるブラス系のシンセ音が脳天気過ぎて‥‥しかもこれ、「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」のメインリフに使ってる音と同系統じゃない? もうね、アルバム聴いててこの曲になるとどうしても苦笑いしちゃうし。

  過去にもこういう感じの藤井ナンバーはあったけど、ここでは更に今っぽく‥‥RADIOHEAD以降とでもいいましょうか?的アレンジになってる"TOO FAT TO UGLY"なんかもあって、ホントに飽きさせない。森岡が「この3人にしか作れない、大人のテクノポップ」というように復活ソフバを表現したけど、正にそんな感じ。YMOが一度だけ再始動した時、多くのファンがあの「早すぎたラウンジサウンド」に「踊れねぇよ!」と怒ったり落胆したりしたと思うんですが(しかも東京ドームでのライヴじゃ、皆が求めるパブリックイメージ的楽曲を排除してたしね。そりゃ、俺もドーム行って正直ガッカリしましたよ)、ソフバの場合は我々が思い浮かべるソフバ(但し後期)と、彼等3人が「過去の焼き直しじゃなくて、今だからこそこの3人でやれる音」を想定したソフバの、丁度中間にあるんじゃないでしょうか?

  多分、このアルバムを聴いて一番喜ぶのは、'90年代に活躍してた頃を知らず、先のサマソニでたまたま彼等に触れてヤラれてしまった若いファンや、活動停止前は意図的に避けて通ってきて、ここ数年こういう音にハマってしまった人達じゃないでしょうか? ある意味、俺も後者に近いんですが、ホントいいですよ。アッパーというよりはダウナー、だけどポップみたいな。「テクノ」ではなくて、完全に「テクノポップ」ですよね。「ダンスミュージック」というよりは、完全に「ロック」、いや「ポップ」。まぁそんなカテゴライズは最初に必要ないって言いましたけどね‥‥

  もしかしたら、過去のどのアルバムよりも一番聴きやすいアルバムかもしれませんね。そういう意味では、まだ彼等の音に接したことのない人、是非このアルバムから聴いてみては如何でしょうか? そして行けそうだったら、活動休止に合わせてリリースされた2枚組ベスト(初期の曲をリテイク&リミックスしてるお得盤)「SOFTBALLET」に手を出してみるのがいいでしょう。ベスト盤から聴くよりも、まず最新作から聴きましょう。絶対にハマりますから!

  あ‥‥最後に。アルバムには3人の他にゲストミュージシャンも参加してます。お馴染みの成田忍(Gt)や、藤井の奥方である濱田マリまでコーラスで参加しています。で、ここでちょっと気になる名前が‥‥ベースで「TATSU」という名前の人が参加してるようなんですが‥‥俺が知ってる「TATSU」っていうと‥‥GASTANKのTATSUを思い出すんですけど、もしかして彼ですか!? あ‥‥でもGASTANKのTATSUはギタリストだしな‥‥他に最近「TATSU」っていうベーシスト、いましたっけ?? すっげー今気になってるんですが。いや、ソフバとGASTANKって意外と合いそうな気がするんだけど‥‥。



▼SOFT BALLET『SYMBIONT』
(amazon:国内盤CD

« MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』(2002) | トップページ | DEF LEPPARD『X』(2002) »

2002年の作品」カテゴリの記事

SOFT BALLET」カテゴリの記事

カテゴリー