カテゴリー「2002年の作品」の122件の記事

2021年1月 9日 (土)

DAVID BOWIE『HEATHEN』(2002)

2002年6月11日にリリースされたデヴィッド・ボウイの22ndアルバム。日本盤は海外に先駆けて、同年6月5日に発売。

90年代に入ってからのボウイは『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993年)でソロ活動を再びソフトランディングさせ、以降は『1. OUTSIDE』(1995年)『EARTHLING』(1997年) と実験的かつ前衛的な作品に着手し続けます。しかし、特に『EARTHLING』ではドラムンベースやインダストリアルロックなど良くも悪くも時代に迎合するかのように、モダンなテイストを前面に打ち出すも絶対的な成功とは言い難い結果を残すにとどまりました。

そんな実験と挫折(とちょっとの手応え)を経て、前作『'hours...'』(1999年)では原点回帰とも言える「良い曲を作ることにこだわる」作風へとシフト。結果的にはこちらも成功とは言い切れないような結果しか残せませんでしたが、同作は間違いなく90年代のボウイの頂点であり、続く2000年代への布石でした。

『'hours...'』での試みの“その先”として、本来は2001年に『TOY』というアルバムをリリースする予定でした。同作は60年代にボウイが制作した楽曲をセルフカバーし、そこに新曲を加えるといった内容で、方向的には『'hours...'』の延長線上にあるものだったと言えるでしょう。ところが、同作のために制作した新曲に手応えを感じたボウイは、『TOY』という作品をお蔵入りにし、完全なるオリジナルアルバム制作に着手。かつ、そのアルバムのプロデューサーに70年代からの盟友であるトニー・ヴィスコンティを約20年ぶりに迎えることになるのでした。

本作には『1. OUTSIDE』や『EARTHLING』で見せたド派手なアレンジは皆無ですし、『BLACK TIE WHITE NOISE』のようなダンサブルさもゼロ。あるのはソウルやフォーク、ロックンロールをベースにした穏やかな“いい曲”。そこに往年のボウイを思わせるゴシック感も若干散りばめられておりますが、そのへんは単なる味付けにすぎず、やっていること自体は間違いなく『'hours...'』の“その先”。もっと言えば、初期の名盤『HUNKY DORY』(1971年)の“その先”と解釈することもできる。そんな「地味だけど、時の経過とともにじわじわ効いてくる」1枚なのです。この時点でボウイ55歳。人生も折り返しに入り、いかにエキセントリックなアートを生み出すかということよりも、純粋に音楽を楽しむ方向にシフトしたってことなんでしょうか。

全12曲の収録曲の中には、もはや80年代以降のボウイの十八番ともいえるカバー曲も3曲収録。中にはPIXIESの「Cactus」なんてものも含まれており、そのセンスに思わずニヤリとしてしまいます。また、アルバムにはカルロス・アロマー(G)などおなじみの面々に加え、ピート・タウンゼンド(G/THE WHO)が「Slow Burn」に、デイヴ・グロール(G/FOO FIGHTERS)が「I've Been Waiting For You」にそれぞれゲスト参加しているというトピックも用意されています。が、本作を前にすると、そういった要素はおまけにしかすぎないなと思わされます。

それくらいよく作り込まれた、純粋に“良い”作品。リリースされた当時より大人になった今聴くほうが、その魅力にたくさん気づける“今聴くべき”1枚です。そんなアルバムに異教徒や野蛮人を意味する『HEATHEN』と名付け、ジャケットではそのタイトルを上下逆に表記するというユーモアもさすがの一言です。

なお、現在まで未発表のアルバム『TOY』の収録曲の大半は、すでにいろいろな形で発表済み。『HEATHEN』には「Slip Away」(オリジナルタイトルは「Uncle Floyd」)と「Afraid」がリテイクという形で収録され、同作のデラックス盤では「Baby Loves That Way」「Conversation Piece」「Shadow Man」「You've Got A Habit Of Leaving」、3枚組ベストアルバム『NOTHING HAS CHANGED』(2014年)では「Let Me Sleep Beside You」「Toy (Your Turn To Drive)」「Shadow Man」をそれぞれ耳にすることができます。

 


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2020年6月16日 (火)

TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』(2002)

2002年5月にリリースされた、トミー・リーMOTLEY CRUE)の1stソロアルバム。

トミーはMOTLEY CRUE脱退後の1999年にMETHODS OF MAYHEMというプロジェクトを立ち上げ、ドラマーのみならずシンガーとしても活躍。同年12月にリリースされた1stアルバム『METHODS OF MAYHEM』ではヒップホップ/ラップメタル界隈の著名アーティストを多数ゲストに迎えるも、セールス的には成功を収めることはできませんでした。

そこから約2年半を経て届けられた本作は、METHODS OF MAYHEMの延長線上にありつつも、ヒップホップというよりは当時ブレイクしていたニューメタルやオルタナ・メタルの影響下にあるサウンドを展開。もちろんリズムの跳ねたヒップホップ/ラップメタル調の楽曲も含まれており、良く言えば「トミーの雑食性をそのまま表現したオムニバス盤のような内容」、悪く言えば「まとまりのない、迷走の1枚」となるのでしょうか。まあ個人的には前者の認識が強いですけどね。

実際、トミーも歌ったりラップしたりと大忙し。オルタナ・メタル調の楽曲では次作『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)にも通ずるセンチメンタリズムを見せており、なぜこれがMETHODS OF MAYHEMではなくソロ名義で発表されたのかがこのへんからも伺えるのではないでしょうか。

2002年という時代性を考えれば非常に納得のいく作風ですが、そこから18年経った2020年に聴くと(特にラップメタル調の楽曲には)若干の古臭さは否めません。一方で、リードトラックとしてMVも制作された「Hold Me Down」や、DEFTONESのチノ・モレノ(Vo)をフィーチャーした「Ashamed」、INCUBUSのブランドン・ボイド(Vo)をゲストに迎えた「Blue」あたりには、良質なメロディのおかげもあって普遍性が強く感じられる。これらの楽曲にはMOTLEY CRUEの『MOTLEY CRUE』(1994年)『GENERATION SWINE』(1997年)との共通点も見つけられるはずです(にしても、このゲストの人選もいやらしいですよね。笑)。と同時に、トミーを欠いたMOTLEY CRUEが発表したアルバム『NEW TATTOO』(2000年)で失った要素でもあるわけですよね。

かと思えば、ラップメタルの延長でデヴィッド・ボウイの名曲「Fame」をカバー。当たり障りのないアレンジですし、トミーのボーカルもイマイチ。面白みといったら途中から挿入されるラップパートくらいかなあ。ほかのオリジナル曲の完成度が比較的高水準なだけに、本作で唯一残念なポイントです。

今聴くと、意外とギターがフィーチャーされた作品だったことにも気づかされます。そういう意味では、トミー・リーってどんなに頑張ってヒップホップぶっても、やっぱりロックの人なんですよね。そこを踏まえて、来たるニューアルバム『ANDRO』(2020年)は果たしてどんな作風になっているのか……期待60%、不安40%でリリースを待ちたいと思います(笑)。

 


▼TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』
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2020年4月 5日 (日)

NIRVANA『NIRVANA』(2002)

2002年10月下旬にリリースされた、NIRVANAのベストアルバム。日本盤は1週間ほど遅れて、同年11月初旬に発売されました。

1994年4月のカート・コバーン逝去後、『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』(1996年)という2枚のライブ作品が発表され、ともに全米1位を獲得。特に前者はオリジナル作品と並ぶほどのセールス(全米のみで800万枚)を記録しました。とはいえ、これら2作品はライブアルバム。前者はMTVで放送されたものを音源化したもので、後者はライブ・コンピレーション作品ということで、スタジオ音源の未発表楽曲はこれまで発表されていませんでした。

ところが、2000年代に突入してからカートが亡くなる直前に行われたレコーディング・セッション(1994年1月)の音源の扱いについて、ボックスセットの一部として発表したいデイヴ・グロール&クリス・ノヴォセリック側とシングル・ディスクのベスト盤収録曲として売り出したいコートニー・ラヴ側とで揉め始めます。結局、コートニー側の主張が認められて2002年秋、シンプルに『NIRVANA』と題されたベストアルバムがリリースされ、未発表曲「You Know You're Right」が世に出ることとなるわけです。

そもそもNIRVANAはオリジナルアルバムを3枚しか発表していないし、いわゆるシングルヒットと呼べる楽曲も「Smells Like Teen Spirit」(全米6位)と「Come As You Are」(同32位)ぐらい。『NEVERMIND』(1991年)全曲に『BLEACH』(1989年)『IN UTERO』(1993年)からそれぞれ数曲ずつ追加すればそれでいいんじゃないかと思うのですが、カートの死から8年経ち、NIRVANAやグランジ・ムーブメントを知らない世代も増え始めた時期ということもあって、このベストアルバムは全米3位まで上昇、現在までに200万枚以上もの売り上げを残しています(思ったよりも売れてないのね)。

これまでに正式リリースされたオリジナルアルバム、ライブアルバム、およびコンピ盤『INCESTICIDE』(1992年)を所有している人にとっては、目当ては「You Know You're Right」ぐらい。あとはシングルのみで発表された「Been A Son」スタジオテイク(インディ盤「Blew」収録)と、「Pennyroyal Tea」のシングルミックスぐらいでしょうか。

その「You Know You're Right」は、いかにもNIRVANAらしい強弱のダイナミズムを効果的に用いたミドルナンバー。『IN UTERO』以降の流れを汲む楽曲で、適度なキャッチーさを備えた“らしい”1曲で、一応シングルカットもされ全米45位まで上昇しました。

以前はこれ1曲のためにCDを買うというカロリーの高さが気になりましたが、その後デジタル主流になったことで、この曲のみダウンロード購入したりストリーミングで手軽に聴くことができるようになりました。NIRVANA初心者は普通にオリジナルアルバムから手を出せばいいと思いますが、本作の日本盤にはボーナストラックとして「Something In The Way」と「Where Did You Sleep Last Night」の“MTV UNPLUGGED”バージョンが追加されているので、もしCD購入するなら日本盤をオススメします(ダウンロード&ストリーミング版はUS仕様なので、これら2曲は含まれていないので)。

 


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2020年1月27日 (月)

OZZY OSBOURNE『LIVE AT BUDOKAN』(2002)

2002年6月下旬にリリースされた、オジー・オズボーンのライブアルバム。日本盤は同年7月上旬に発売されました。

オジーのライブアルバムとしては4作目(1990年の6曲入りEP『JUST SAY OZZY』を含むと5作目。そのほかにも3曲程度のライブEPが存在しますが、ほぼシングルなので対象外)にあたる本作は、1991〜2年の最初の引退ツアーの模様を2枚のCDに収めた『LIVE & LOUD』(1993年)以来9年ぶり、BLACK SABBATHの2枚組新録ライブアルバム『REUNION』(1998年)からも約4年ぶり。とはいえ、『LIVE & LOUD』以降はオリジナルアルバムを2枚(1995年の『OZZMOSIS』、2001年の『DOWN TO EARTH』)しか出してないので(しかも、ツアーでは新曲を2、3曲程度しかやらないので)内容的には『LIVE & LOUD』とそこまで代わり映えしないし、なんなら今回はシングルディスクなので曲数も13曲と物足りなさを感じずに入られません。

収録されたのはタイトルからもおわかりのとおり、2002年2月15日に行われた日本武道館公演。『DOWN TO EARTH』を携えたツアーということで、同作から「That I Never Had」「Junkie」「Gets Me Through」が披露されています。

当時のバンド編成はオジーのほか、『DOWN TO EARTH』制作末期にギターソロのみ参加でバンドに復帰したザック・ワイルド(G, Vo)、このツアー終了後にMETALLICAに加入することになるロバート・トゥルージロ(B)、FAITH NO MORE解散後にオジーバンドに加わったマイク・ボーディン(Dr)、そしてオジーワークスではおなじみのジョン・シンクレア(Key)という布陣。この頃にはオジーの高音が出にくくなっていたこともあり、またザックの当時のプレイスタイルも大きく影響してか、Dまでダウンチューニングしての演奏となっています。なので、おなじみの曲もD#より低くなってるから若干の違和感を覚えます。さすがにそれはオリジナルキーで歌えるだろ?って曲までもがダウンチューニングなのですが、さすがに曲ごとにチューニングの異なるギターを持ち替えるのも面倒か。ザックですしね。

オジーのボーカルは決してベストとは言い難いもので(まあいつものことですが)、歌メロが単調な曲が多い中でのダウンチューニングにより、退屈なものになり下がってしまうという悪影響も見受けられます。「That I Never Had」や「Junkie」のような楽曲はまさにそれですよね。とはいえ、前者はザックとの掛け合いボーカルが個人的には聴きどころだと思っていて、散々「オジーの声に似てる」と言われてきたザックのボーカルも、本人と並べるとそこまでそっくりというわけではないことに気づかされます。まあ、BLACK LABEL SOCIETYの活動もあって歌唱力が成長したというのも大きいんでしょうが。

『DOWN TO EARTH』からの3曲を除けば、残りはおなじみのナンバーばかり。『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)から「I Don't Know」「Mr. Crowley」「Crazy Train」、『DIARY OF A MADMAN』(1981年)から「Believer」、『BARK AT THE MOON』(1983年)から「Bark At The Moon」、『NO MORE TEARS』(1991年)から「No More Tears」「I Don't Want To Change The World」「Road To Nowhere」「Mama, I'm Coming Home」、そしてBLACK SABBATH時代の「Paranoid」……無難すぎません?

ちなみに、アルバムには13曲しか収録されていませんが、実際のライブではもう1曲「Suicide Solution」が披露されています。なんだ、CDの容量的に収録可能だったのでは?とお思いでしょうが、この曲のエンディングからザックの長尺ギターソロに突入するので、10分は超えるはず。事実、同ライブの完全版となるDVDバージョンは84分なので……ね?

そうか、2000年代に入ってからのオジーのライブってすでに90分程度だったんですね。そりゃ演奏される楽曲数は限られるし、ひとつ前のアルバム『OZZMOSIS』の曲(ザックは同作のレコーディングにしか参加してなかったので、ライブで聴いてみたいんだけどね)やザックのデビュー作『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)、オジーが毛嫌いする『THE ULTIMATE SIN』(1986年)からの楽曲は期待できるわけないか……。

何を差し置いて先に聴くべき、という1枚ではありませんし、これを聴くなら1993年時点でのグレイテスト・ヒッツ的内容の『LIVE & LOUD』や、ランディ・ローズ在籍時のライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)などオススメすべきライブ盤はたくさんあります。が、現時点ではこれが最新のライブ作品なので……今はこれをリピートしてオジーの帰還を待ちたいと思います。

 


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2019年10月26日 (土)

DISTURBED『BELIEVE』(2002)

DISTURBEDが2002年9月にリリースした、通算2作目のオリジナルアルバム。日本では1ヶ月遅れの、同年10月に発売されました。

デビューアルバム『THE SICKNESS』(2000年)はチャート的には全米29位という“中ヒットよりちょっと上”くらいの成績でしたが、セールス面では全米のみで現在までに500万枚を超えるメガヒット作に。「Down With The Sickness」や「Stupify」「Voices」といったラジオ/MTVでのヒット曲も生まれました。

そんなデビューヒットを受けて制作された2作目。基本的には前作の延長線上にある作風で、ヘヴィさが際立った1stアルバム以上にグルーヴ感が冴えた1枚に仕上がっています。

KORN以降のラップメタル/グルーヴメタルからヒップホップの音楽的要素を取り除き(あくまで技術・手法としてのヒップホップ感を残しつつ)、よりヘヴィメタル感を強めるとこうなるのかな……という印象を受けたデビューアルバム以上にメタリックで、メロディアスさも際立つ。特にデヴィッド・ドレイマン(Vo)の跳ねるようでカーカッシヴな歌声が、ときどき哀愁を帯びた繊細なボーカルを聴かせるんですね。そこがまた味わい深くて、前作以上の深みを感じさせてくれます。

そういった点においては、派手さの目立った1stアルバムよりも地味に聴こえてしまうかもしれません。が、スルメ度という点においては本作のほうが一歩リードしているのではないでしょうか。そりゃあ、かのオジー・オズボーンが彼らのことを「メタルの未来」なんて言うわけだ。

オープニングを飾る「Prayer」(全米58位)や、哀愁味に満ちたタイトルトラック「Believe」、チェロやピアノをフィーチャーしたバラード「Darkness」など、とにかく聴きどころの多い1枚。大半のこの手のバンドがそうであるように、全体的にミドルテンポ中心でファストチューン皆無なところに、ある一定層は退屈さを感じるかもしれません。事実、僕も初めて聴いたときは似たり寄ったりのテンポ/リズムに「ちょっと厳しいかも」と思った覚えがありますが、やはり曲の良さには勝てないというか、気づけばいつのまにかリピートしまくっていました。ラストのバラード「Darkness」まで到達すると、なぜかホッとするんですよね(笑)。

ちなみに本作、Billboard 200(アルバムチャート)で全米初登場1位を獲得。デビュー作に次いで200万枚以上を売り上げる大ヒット作となりました。昨日取り上げたSTONE SOURといい、こういった歌心を大切にする新世代ヘヴィロック/メタルバンドが2002年にヒットを飛ばしているという事実、非常に興味深いですね(その決定打である、翌2003年のEVENESCENCEへとつながるわけですが)。

 


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2019年10月25日 (金)

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002)

2002年8月にリリースされた、STONE SOURのデビューアルバム。

STONE SOURはコリィ・テイラー(Vo)がSLIPKNOT加入前(1992〜1997年)にジェイムズ・ルート(G/現在はSTONE SOUR脱退済み)に在籍していたHR/HMバンドで、コリィとジェイムズのSLIPKNOT加入を機に一度解散。しかし、『IOWA』(2001年)の活動がひと段落する頃に再結成し、SLIPKNOTが所属するRoadrunner Recordsと契約することになります。

デビューアルバムの参加メンバーはコリィとジェイムズのほか、ジョシュ・ランド(G)、ショーン・エコノマキ(B)、ジョエル・エクマン(Dr)という解散前の布陣。バンドとトム・タットマンのプロデュース、トビー・ライト(ALICE IN CHAINSKORNSLAYERなど)のミキシングにより完成した本作は全米46位を記録、売り上げ50万枚を突破する、デビュー作としては上出来な結果を残しました。

また、本作収録曲の「Bother」が映画『スパイダーマン』(2002年)のサウンドトラックにも収録、シングルカットされた結果全米56位のヒットとなりました。この曲は今でもライブで必ず歌われる、彼らにとって代表曲のひとつと言えるでしょう。

そして、本作での活動をもってコリィやジェイムズが素顔を公開。「マスクの下はこうなっていたんだ! コリィ、イケメソじゃん!」と瞳をキラキラさせたお嬢さん方も少なくなかったようです。

内容に関してですが、SLIPKNOTで聴くことができたコリィの歌唱力の高さが存分に発揮された、メロディアスなHR/HMアルバムに仕上がっています。ヘヴィさもしっかり楽しめるのですが、SLIPKNOTのそれとは異なる質感で、あくまでHR/HMの範疇にあるヘヴィさといいますか。要するに、エクストリーム・ミュージックのそれとは相反するヘヴィさなんです(SLIPKNOTが「エクストリーム/ヘヴィの中に、ほんのちょっとのメロウさ」だとしたら、STONE SOURは「メロディアスさの中に、味付けとしてのヘヴィさ」。要するにスタート地点が真逆なのです)。

と同時に、伝統的なHR/HMにこだわったというだけではなく、しっかり彼のルーツ……グランジ以降のオルタナティヴロックのカラーもしっかりと感じられる。王道のメタルとは一線を画するものかもしれませんが、間違いなくこれは“90年代以降のHR/HMのそれ”以外の何ものでもありません。かつ、コリィが歌えばどれもSLIPKNOTとの共通点が自然と感じられています。特に、本作を経て制作されたSLIPKNOTの3rdアルバム『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)はこのSTONE SOURでの経験がなければ到達できなかった作品だったのではないでしょうか(事実、『IOWA』以降の不和がコリィをSTONE SOURへと突き動かしたわけですし、下手したらそのまま解散しても不思議じゃなかったわけですから)。

今やサイドプロジェクトなんて目で見る人はいないほど、SLIPKNOTと交互で動くコリィのメインバンドのひとつ。その完成度は作品を追うごとに高まっていますが、SLIPKNOTとのつながりという意味では本作の重要性は非常に高いですし、その後の“歌モノ・ヘヴィロック/ニューメタル”を語る上でも重要な1枚ではないでしょうか。

 


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2019年2月20日 (水)

KORN『UNTOUCHABLES』(2002)

2002年6月に発表された、KORN通算5作目のスタジオアルバム。プロデューサーは前作のブレンダン・オブライエンからマイケル・ベインホーン(SOUNDGARDENRED HOT CHILI PEPPERSMARILYN MANSONなど)に交代。リードシングル「Here To Stay」が初めて全米TOP100入り(72位)したことも手伝い、アルバムは最高2位と3作連続1位こそ逃すものの150万枚程度のヒットを記録しています。セールス的には前作『ISSUES』(1999年)の2分の1程度まで落ち込んでいますが、これは発売前に音源がネット上でリークされてしまったことが悪影響を及ぼしたと言われています。

実はマイケルのプロデューサー起用は一度、3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)のときに試みたものの、当時は良い関係を築けずに制作初期に決裂。しかし、バンド側から新たな挑戦としてマイケルとの再タッグが提案され、このコラボレーションが実現しました。

聴いてもらえばわかるように、本作は前作のメロウな路線をさらに進化させ、表現方法的にもさらに幅を広げた相当な実験作。まず驚くのは、ジョナサン・デイヴィス(Vo)の歌唱力の向上でしょう。前作まではあくまでアジテーターかつ楽器のひとつとして存在していたボーカルが、ここではしっかり“歌”として独立した表現が確立されているんです。

それにあわせて、バンドアンサンブルも非常に凝ったものとなっており、ラップメタル的な側面は減退。代わりに、その後のサウンドにより色濃く表れることになるニューウェイヴからの影響が見え始めます。この要素はのちの彼らにとって新たな武器になると同時に、のちのジョナサンのソロ作『BLACK LABYRINTH』(2018年)にもつながっていく重要な側面。そういった要素をヘヴィロック/ラップメタルに寄せるのではなく、むしろ新要素側からヘヴィロック側へと接近させる手法を取っているのではないか。そう思わせられる、非常に聴きごたえのある内容に仕上げられています。

聴きようによっては、当時主流だったニューメタルに近いものも感じられますが、もとはそのニューメタルバンドがKORNから影響を受ける側だったはず。でも、ここではKORNがただ流行に乗ったというより、それまで見せてこなかったルーツを露わにすることで格の違いを見せつけた、そう受け取ることはできないでしょうか。

発売当初こそ賛否両論あった本作ですが、今聴くと非常に完成度が高いし、このプログレッシヴかつサイケデリックな要素はのちのラウドロックにも通ずるものがある……いわば、現在のシーンにおける新たなルーツ、教科書的な1枚と言えるのではないか。そういった意味でもKORNの歴史を語る上で、また2000年代のラウドシーンを語る上で欠かせない作品だと断言できます。今こそ再評価されるべき1枚です。



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2019年1月15日 (火)

SPARTA『WIRETAP SCARS』(2002)

2001年のAT THE DRIVE-IN最初の解散後、メンバーのジム・ワード(G)、ポール・ヒジョス(B)、トニー・ハジャー(Dr)の3人を中心に結成されたのがSPARTAというバンド。ジムがボーカル&ギター、ポールがリード・ギターにスイッチし、マット・ミラー(B)を新たに迎えて本格始動。2002年夏にGeffen Records傘下のDream Works Recordsからリリースされたのが、彼らのデビューアルバム『WIRETAP SCARS』です。

プロデュースを手がけたのはパンク、オルタナ系でおなじみのジェリー・フィン(GREEN DAY、SUM 41、BLINK-182など)。「Cut Your Ribbon」「Air」といったシングルヒットが後押しし、アルバム自体も全米71位という好記録を残しています。

セドリック・ビクスラー(Vo)、オマー・ロドリゲス(G)といったAT THE DRIVE-INの“顔”はTHE MARS VOLTAを結成しており、当時は言い方こそ悪いですがSPARTA組は“残りカス”みたいな見られ方をしていました。事実、僕もそういう目で見ていましたし(ごめんなさい)。

しかし、こうやって届けられたデビューアルバムではAT THE DRIVE-INでの試みからハードコアな要素を取り除き、残されたエモーショナルな要素をメジャー流にブラッシュアップした、非常に高品質なオルタナティヴロックを堪能することができます。

ジムのボーカルはセドリックほどのヒステリックこそないものの、当時のパンクロック/オルタナロック/エモの系譜に属する、適度に激しく適度に甘いもの。そこに端正なサウンドプロダクションとキャッチーな楽曲、破綻しないバンドアンサンブルが加わることで、良くも悪くも“メインストリームにいるオルタナバンド”的な立ち位置を示すことに成功しています(まあ、そもそもオルタナがメインストリームにいること自体に矛盾があるわけですが)。

「Sans Cosm」のようなキャッチーさは、それこそAT THE DRIVE-INにも存在した要素のひとつですが、表現方法が少し違うだけでこうもメジャー感が強まるんだなと、改めて驚かされます。ですが、このバンドの持ち味はそういった前身バンドとは別のところにあると思うのです。「Cut Your Ribbon」でのアグレッション、「Air」でのエモーショナルさ、「Light Burns Clear」で表現されるドラマチックなアンサンブルなど、要所要所に聴きどころが満載で、決して最後まで飽きさせることのない仕上がりではないでしょうか。

ですが、ここに少しでもAT THE DRIVE-INの面影を求めようと、途端に“弱く”感じてしまう。すごく損な役回りですが、こればかりは仕方ないかな……とはいえ、この手のバンドの作品としては相当レベルは高いほうなので、聴いて損はないと思います。



▼SPARTA『WIRETAP SCARS』
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2018年10月16日 (火)

FEEDER『COMFORT IN SOUND』(2002)

2002年10月にリリースされた、FEEDER通算4作目のオリジナルフルアルバム。プロデュースは全英8位のヒット作となった前作『ECHO PARK』(2001年)から引き続きギル・ノートン(PIXIESFOO FIGHTERSTERRORVISIONなど)、そしてメンバーのグラント・ニコラス(Vo, G)が担当。前作の流れを受け、本作は全英5位という高ランクを記録し、本国のみで50万枚以上の大ヒット作に。「Come Back Around」(全英14位)、「Just The Way I'm Feeling」(同10位)、「Forget About Tomorrow」(同12位)、「Find The Colour」(同24位)といったヒットシングルも多数生まれました。

2001年4月発売の『ECHO PARK』のヒットにより、国民的バンドに一歩近づいたFEEDERでしたが、翌2002年1月にジョン・ヘンリー・リー(Dr)が自宅で自殺するという不幸に見舞われます。しかし、バンドは歩みを止めることなくレコーディングを続行。レコーディングに(当時)元SKUNK ANANSIEのマーク・リチャードソン(Dr)を迎え、無事完成までこぎつけます。

『ECHO PARK』はポスト・グランジの影響下にありつつ、パンクや王道UKロックなどがバランスよく混ざり合った力作でしたが、続く今作ではどこか影のあるメロディと、ストリングスなどを導入した叙情的かつドラマチックなアレンジが際立つ新境地を見せています。この穏やかさやメランコリックさは、ジョンの死が大きく影響しているものと思われますが、結果としてここで見せた新たなスタイルがキャリア最大の成功へと導くわけですから、皮肉なものですね。

この“メンバーが不慮のトラブルで1人欠け、残されたメンバーで作り上げたドラマチックな作品で国民的バンドへと成長する”ストーリー、安直ですがマニックスにも近いものがありますよね。奇しくもフロントマンのグラントは南ウェールズ出身。世代的にもマニックスの面々と一緒というのもあり、こういった“オルタナティヴロックとエヴァーグリーンの融合”というスタイルが共通するのはなんとなく納得できるところもあるんですよね。もちろん、育った環境は違うとは思うんですが。

ジョンの生前に書かれたという疾走感あふれるオルタナポップ「Come Back Around」やひたすらヘヴィな「Godzilla」みたいな曲もありつつ、やはり印象に残るのは「Just The Way I'm Feeling」や「Forget About Tomorrow」「Quick Fade」といったメロディアスな楽曲。グランジ的スタイルを取った「Summer's Gone」もサウンドこそ激しさを伴うものの、スタンス的にはこっち側なんですよね。

前作での「Buck Rogers」や「Seven Days In The Sun」「Just A Day」みたいな曲に惹かれたリスナーにはガッツの弱い作品に映るかもしれませんが、悲しみを乗り越えてまたひとつ大人になっていく、その残酷ながらも貴重な瞬間を見事に捉えたという点において本作はFEEDERのキャリアにおける重要な1枚なのです。生き続けることを決めたバンドが、延命のために胸の内をすべて吐き出した本作があったから、続く『PUSHING THE SENSES』(2005年)も、そこから再び激しいロックへと回帰する6thアルバム『SILENT CRY』(2008年)も生まれたわけですから。



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2018年8月31日 (金)

FOO FIGHTERS『ONE BY ONE』(2002)

前作『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』(1999年)をデイヴ・グロール(Vo, G)、ネイト・メンデル(B)、そして新加入のテイラー・ホーキンス(Dr)の3人で制作し、ツアーを前にクリス・シフレット(G)が加わったことで現在まで続くベースの4人が揃ったFOO FIGHTERS。『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』を携えたツアーを経て、この4人で初めて制作したのが、2002年10月発売の4thアルバムです。

プロデューサーに前作を手がけたアダム・カスパー(SOUNDGARDENQUEENS OF THE STONE AGEPEARL JAMなど)と、ニック・ラスクリネクツ(ALICE IN CHAINSKORNMASTODONなど)、そしてバンド自身がクレジットされている本作は、FOO FIGHTERS史上もっともヘヴィな1枚と言えるでしょう(もっとも、カスパー・プロデュース曲は「Tired Of You」1曲にとどまり、残りは当初からエンジニアとして携わってきたラスクリネクツとバンドの手によるもの)。

冒頭の「All My Life」から「Low」への流れは、硬派なハードロックをイメージさせるサウンドで、とてもグランジシーンから生まれたバンドとは思えないほど。従来の彼ららしい「Have It All」や「Time Like These」みたいにメロディアスな楽曲もしっかり含まれているものの、全体のトーンは非常にシリアスでヒリヒリした感覚で覆われています。

実は彼ら、このレコーディング中にもメンバー間での衝突があり、一時は解散寸前にまで追い詰められたそう。しかし、そういった困難を乗り越えた末にこのアルバムにたどり着く。大半の楽曲はその後レコーディングし直されたそうで、そういうタフな状況良い意味でバンド内の緊張感が伝わる攻めの作風へと昇華させた。そう考えると、この方向性はしかるべきものなのかもしれません。

もちろん、ここで展開されるスタイルは以降のアルバムにも反映されており、現在のスタジアムロックテイストはここから始まったといっても過言ではないわけです。ここまでくると、もはや「元NIRVANA」の肩書きは必要ないし、むしろあの頃グランジを毛嫌いしていたHR/HMファンにこそ率先して聴いてほしい、強力なアメリカンハードロックアルバムではないでしょうか。

本作はこの時点で過去最高となる全米3位を獲得。過去3作同様にミリオンセールスを記録し、「All My Life」(全米43位)、「Time Like These」(全米65位)というスマッシュヒットシングルも生まれています。さらに、2003年の来日公演では神戸ワールド記念ホール、幕張メッセという大会場でのライブも実現。本作は名実ともにトップバンドの仲間入りを果たす、起死回生の1枚となりました。

ちなみに、本作にはQUEENブライアン・メイが「Tired Of You」にギターで、デイヴとのNIRVANA時代の盟友クリス・ノヴォセリックが「Walking A Line」にコーラスで、デイヴ・リー・ロスのバンドで知られるグレッグ・ビソネットが「Danny Says」にドラムでゲスト参加。次作『IN YOUR HONOR』(2005年)の片鱗を、早くもここで見せています。



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