« L'Arc-en-Ciel『REAL』(2000) | トップページ | B'z『The 7th Blues』(1994) »

2003/01/13

HANOI ROCKS『BANGKOK SHOCKS, SAIGON SHAKES, HANOI ROCKS』(1981)

HANOI ROCKSの記念すべきファーストアルバム。1981年2月に地元フィンランドでリリースされ、ここ日本では確か翌年9月になってリリースされたと記憶してます。当然この頃まだアメリカではほぼ無名の存在で、イギリスでもセカンドアルバム「ORIENTAL BEAT」の頃になってやっと雑誌等で取り上げてもらうような存在になっていくのです。そう、'81年当時はまだフィンランドやその周辺国でのみ知られる、いわばカルトバンドだったわけです。

当時のメンバーはマイケル・モンロー、アンディ・マッコイという現在の「再生HANOI ROCKS」主要メンバーの他にナスティ・スーサイドやサム・ヤッファといったオリジナルメンバー、ドラムにはジップ・カジノの名前があります。けど、日本盤がリリースされた頃には既にジップは解雇され、ラズルが加わったばかりだったはずです(そう、最強の布陣が揃った時点での日本デビューだったのです)。

アルバムジャケットが2枚並んでますが、先に紹介した上のジャケットがフィンランドでのオリジナル盤、及び日本を除く他の海外諸国でのジャケットで、右の白地にバラの絵柄がここ日本盤でしか味わうことの出来ない日本のみのジャケットです。俺は一番最初にこのバラ柄で出逢ってしまったが為に、どうしてもこっちの印象が強くて、アナログ盤も日本盤を探した程好きです。けど、オリジナル盤の仰け反るマイケルとアンディ(‥‥だよね?)によるアグレッシヴな絵柄も捨てがたい‥‥この辺はまぁ個人の趣味ってことで。CDショップで「あれ、とみ宮に載ってたのと絵柄が違う」ってことにならないように、両方載せておきました。最新作も日本限定ジャケット(外箱の日本限定ジャケと、ブックレットのオリジナルジャケ)があるんで、これはもはや決まり事のようなものなのでしょうか(ま、そうじゃないアルバムもありますけどね)

では、簡単な全曲解説でもしていきましょう。

●M-1. Tragedy
  ハノイといえば「白夜のトラジディ」か「マリブビーチの悪夢」を挙げるオールドファンが多いのではないでしょうか?(しかも邦題で呼んでしまう辺りに年齢を感じてしまいますが。勿論俺も含めて)ハノイの代表曲としても名高い1曲で、現在でもライヴのハイライトとして演奏される名曲。本来、ハノイの前身バンド、NYMPHOMANIAC時代の曲で、アンディ作。当時としては珍しいプロモーションフィルム(スタジオライヴを収めたもの)も制作され、ここ日本でもファーストシングルとしてリリースされています。マイケルもソロになってから‥‥'89年以降、ハノイ時代の呪縛が解かれたのか、必ずライヴで演奏しています。'80年代のライヴでは、この曲から "Malibu Beach Nightmare" へと続くメドレーがお約束となっていて、当然マイケルもソロ時代にこの構成で演奏してました。が、最近の再生ハノイではバラバラに演奏されているのが、オールドファンとしては残念なところ。とにかく、この曲を知らないハノイファンはもぐりだ!と断言出来る程の名曲。

●M-2. Village Girl
  ジャングルビートが心地よい、マイナーコードのミディアムチューン。サビで登場するワウギターが妙にカッコよく、マイケルのまだか細いボーカルもそれなりに味わい深い。特に最後のスクリームなんて、もう‥‥鳥肌モノ。こういう曲を当時からやってた辺りに、ただのグラムバンドとは一線を画する何かを感じます。

●M-3. Stop Cryin'
  邦題は「泣かないでセブンティーン」。メジャーコードのストレートなロックンロール。所謂スリーコードものとは違う、独特な味を持った曲。お国柄なのか、ヨーロッパ特有のものなのか、メジャーキーとマイナーキーの入り交じった曲構成が非常に日本人好みなんじゃないでしょうか。演奏のテンションの高さは、やはりパンクを通過した者ならでは。後期の楽曲と比べれば荒削りだけど、この時、この瞬間にしか出せない「光るモノ」を十分に感じられるハズ。ハノイならではのサックスソロも聴き応え十分。

●M-4. Don't Never Leave Me
  後にアルバム「TWO STEPS FROM THE MOVE」('84年)にて "Don't You Ever Leave Me" としてリメイクされることになる、ミディアムバラード。アンディ・マッコイのソングライターとしての懐の深さ、そしてHANOI ROCKSというバンドがただのロックバンドではない事を十分に理解することが出来る1曲。後のリメイク・テイクと比べれば表現力・演奏力・アレンジ力全てにおいて拙いし荒削りなのだけど、こういうポップチューンを既にファーストの時点からやっていた事を考えると‥‥やはり「光るモノ」は十分感じられるはず。

●M-5. Lost In The CIty
  マイケルのブルースハープがカッコイイ、定番ロックンロール。アンディとのツインボーカルとなるメインフレーズのカッコよさ、中盤でトーンダウンする展開等、やはりただのロックバンドではないことを伺うことができる。アンディとナスティふたりによる暴れギター、ハープソロの後に現れる某有名ロックバンドの某有名リフといい、とにかく聴き応え十分。

●M-6. First Timer
  かなりアッパーなマイナーロック。パンキッシュなのだけど、ただのパンクソングというわけでもなく、やはり独特な味をもった曲。後期ライヴでは演奏されることも殆どなかったようだが、初期ならではの勢いを持っていて、こういった面に影響を受けた後続バンドは意外と多かったのではないでしょうか? このアルバムの中でもかなり好きな部類の楽曲

●M-7. Cheyenne
  邦題は「涙のシャイアン」。某日本のZIGGYというバンド(全然「某」じゃないし/笑)が初期、最も影響を受けたイントロではないでしょうか? きっとこの曲がなかったら "How?"は生まれなかったかも‥‥これもメジャーキーとマイナーキーが入り乱れる構成を持った、如何にもハノイらしいロックチューン。イントロでのアルペジオと本編との落差の激しさもそうだけど、Bメロでのテンションの高さとAメロやサビでのメロウさとの落差もかなりのものがあるのでは? 暴力的なハードさを持った演奏やテンション、そして甘く切ない美メロ‥‥これが1曲の中に同時に存在する。それがHANOI ROCKSというバンドの最大の魅力なのだと、個人的にはそう解釈してます。

●M-8. 11th Street Kidzz
  これも某ZIGGYさんが影響を受けた1曲なのではないでしょうか? これがなかったら "Sing My Song" は生まれなかったでしょうしね? これもライヴではお馴染みの1曲。ギターのコードの刻み方とかストロークが、同系統のロックンロールバンドと一線を画する点、メロの運び方等々、語るべき点は沢山ありますよ。グラムロックのそれとも違うし、同じグラマラスでもAEROSMITH辺りとも違う、本当に独特な存在だったんですよね、当時は。

●M-9. Walking With My Angel
  コミカルなイントロでちょっと肩透かしを食らうかもしれませんが、冒頭マイケルの「Alright!」のシャウトがカッコイイ1曲。カバー曲らしいのですが、原曲が誰の曲なのかは不明(作者名に「Goffin, King」とあるのですが)。マイケルのサックスが目立ちまくり、恐らくアンディが弾いてるであろうピアノもいい味をだしてます。この妙な「間の抜けた」感じも、ハノイが持ち合わせていた要素。こういうお気楽さがある種ウケてたのかも‥‥

●M-10. Pretender
  邦題は「誘惑のプリテンダー」。アルバムラストを飾る、シリアス調の1曲。マイケルのヒステリックなボーカルも、今聴くと若々しいなぁ、と(何せ当時はまだ18~9歳のはずですから‥‥)。ギターソロとそれに絡むサックスが個人的には大好き。あと、如何にもハノイらしいコーラスとか‥‥とにかく、HANOI ROCKSの原点がこの曲を含め、このアルバムに収められた10曲の中に全てあると思います。

●最後に‥‥
確かにこのアルバムはAEROSIMITHやGUNS N'ROSESといったロックバンドのファーストと比べれば、全然売れそうな感じがしないし、B級中のB級なわけですよ。けどね、そのGUNS N'ROSESのアクセル・ローズや元SKID ROWのセバスチャン・バック、POISONのメンバーやMOTLEY CRUEのメンバー、そしてここ日本でもZIGGYを始めSADSの清春等、多くのミュージシャンがこのアルバムから「何か」を感じ取って、そして影響を受けてきたわけです。まぁハノイの個性というのは後の作品で完全開花するわけですが、ここにはその原石となるものが既に全て揃ってます。このアルバムからハノイを聴け!とはいいませんが、ハマるとクセになる1枚なのは間違いないです。現に俺、ハノイのオリジナルアルバムで一番好きなの、これだもん。

AEROSMITHともNEW YORK DOLLSともMOTT THE HOOPLEともROLLING SOTNESともDAMNEDともSEX PISTOLSともCLASHとも違う、HANOI ROCKSにしか出せない音。それは既にこの時点でほぼ出来上がっています。数年後、アメリカで大ブレイクする「パンクを通過したグラマラスなR&Rバンド」の原点に、今改めて触れてみてはどうでしょうか?



▼HANOI ROCKS『BANGKOK SHOCKS, SAIGON SHAKES, HANOI ROCKS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 01 13 10:36 午後 [1981年の作品, Hanoi Rocks] | 固定リンク