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2003/03/04

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA HEAVEN』(2003)

  唐突ですが、まずは土下座します。ホントごめんなさい、ミッシェルファンの皆さん。

  正直、ここまですげーアルバムをミッシェルがまた作れるなんて、思ってもみなかったよ。俺の中ではやはり「GEAR BLUES」がピークなんだと判断下してたし。「CASANOVA SNAKE」も良いアルバムだったけど、決して100点をあげれるような作品だとは思わなかったし、「RODEO TANDEM BEAT SPECTER」なんてちゃんと通して聴いてもないしね。そんな感じだったので、完全に自分の中で盛り下がってたし、そこにきて2001年春から2002年末までバンドとしての新曲リリースが一切なし。更にチバはROSSOなんて始める始末。嗚呼、バンドってこうやって終わっていくのね‥‥と自分の中で決着がつきそうだったのに、レコード会社移籍しました、ツアー始めました、でアルバム作りました‥‥これがそれ、と。

  シングル「太陽をつかんでしまった」レビューで、俺は「これ1曲で今度のアルバムは名盤だ!と盲目的に決めつけたくない」と書きました。それはまだ、自分の中でミッシェルに対して何か燻ったものがあったからで、どうしても完全にスッキリしてなかったんだよね。きっと、このアルバム聴く前にライヴを観ちゃえば考え方も180度変わったんだろうけど、そうもいかず、結局今日この日までアルバムの視聴とか一切してきませんでした。いきなりアルバムを通して聴いて、そこで最終的な判断を下そう、自分の中で決着をつけよう、そう思ったのです。

  仕事が終わり、会社から一番近いCD屋に飛び込んでこのアルバムを購入しました。いつも使う近所のお店ではなく、会社周辺から自宅までの距離を爆音で、このアルバムを車内で聴きたかったからなんですね。

  もうね、1曲目"ブラック・ラブ・ホール"の、最初の一音で十分だった‥‥あの音が鳴らされた瞬間、空気が変わったもん。それに続くスキャット、そしてリフ‥‥ミッシェル以外の何者でもないのに、これまでの彼等とは違う何かも感じる。いや、四の五の言わず、とにかく最後まで聴けって‥‥かっけー‥‥それで十分。つうかそれ以外の言葉が浮かんでこないし。

  シングルのレビューでも書いたように、やはり全体的にジャムセッションから組み立てていったかのような楽曲が大半を占めていて、6分を越えるような長尺なナンバーが半数近くあるのね。けど、全然長さを感じさせないし、むしろシングルとして聴いた時は長さが気になった"太陽をつかんでしまった"ですら、全然8分超という事実を感じさせない。そんな長尺なナンバーの合間に"ヴェルヴェット"や"メタリック"のような、アッパーで短いナンバーが飛び込んでくる(短い、とはいっても全部4分超なんだけど)。"ブラック・ラブ・ホール"のギターソロに突入する前のアレンジとか"ヴェルヴェット"のメタルパーカッション辺りにKING CRIMSON的アプローチすら感じる今回のミッシェル。そう、ジャムの延長というよりも、そういうプログレッシヴな要素(ジャンルとしてのプログレではなく、文字通りの意味で)を所々で感じ取ることが出来ます。"ブラッディー・パンキー・ビキニ"の後半なんて、正にそれだしね。

  前半の、ヤケクソとも違う、テンションが異常に高いのにも関わらずヒンヤリとした冷たささえ感じる演奏に続いて、後半はジャジーな"マリアと犬の夜"で少々クールダウン‥‥すると見せかけ、途中から凄まじいテンションで音の塊を我々にぶつけてくる。"ジプシー・サンディー"なんてギターのストロークがレゲエ的なのでそれっぽい曲調なのかと思うと、また違った色を発してるし。決して派手な曲ではないんだけど、ユラユラと徐々に、徐々にと盛り上がっていく感じにゾクッとしたり。若干トーンダウンした空気を切り裂くようにスタートする"マリオン"は、ミッシェルの王道のように聞こえるけど、いやいや今までにないタイプじゃないか?とも思える、不思議な雰囲気の疾走ナンバー。叫びながらも、しっかり聴かせる要素を維持してるのはさすが。つうかホントかっけーの何のって。そしてハイライトとなる"サンダー・バード・ヒルズ"は、既に2001年のツアーから演奏されていたナンバー(だそう。俺はこの頃のライヴ観てないので、アレンジがどう変わったとか、その辺は全然判りませんが)。そうか、この曲から「今のミッシェル」はスタートしたのか‥‥いや、判らないけどさ。何だか判らないんだけど、とにかくもの凄い威圧感だったり刹那だったり高熱だったり絶対零度に近い冷たさだったり‥‥そういった「得体の知れないものの塊」がこの1曲の中でうごめいてる感覚‥‥カオスなんて一言では済ませられない「何か」を感じるわけですよ。決して「アルバムを大いに盛り上げて大団円」というタイプの楽曲じゃないんだけど‥‥何だかこのアルバムのラストにピッタリな気がする。そういう1曲。そして最後の最後に、エピローグともいえるインスト曲"NIGHT IS OVER"で静かに暗闇から抜ける、という‥‥"ブラック・ラブ・ホール"という「夜」に突入して、最後に"NIGHT IS OVER"‥‥計算されてるんだろうね、これ。

  まさかね‥‥まさか自分がまた、ミッシェルの新作でこういう気持ちになるとは思ってもみなかったのね。「GEAR BLUES」で感じた気持ちとはまた別のものなんだけど、何ていうか‥‥「ああ、こいつら、またやらかしやがったよ‥‥」という驚愕。恐怖すら感じるよね。で、こんなアルバム作っておいて、当のメンバーは「まだまだ行ける」とか言ってるし‥‥完成した時点で、既に「過去の通過点」として終了してしまってるのか!? 何だよ、このバンドは!?

  ‥‥とまぁ、グダグダと書いてはみたものの、まずはこれを読んだあなたがアルバムを聴かなきゃ何も始まらないよ。こんなの読んでる暇あったら、さっさとCDショップまで走りなって! へっ、買う金がないって!? 働け!そして稼いだ金でさっさと買って、可能な限りの爆音で聴けっ!!



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA HEAVEN』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 03 04 11:30 午後 [2003年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク