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2003/03/03

THUNDER『BACK FOR THE CRACK (EP)』(2002)

THUNDERが帰ってきた!!

一時的な再結成とは知っていながらも、やはり嬉しいし、ワクワクするんだよね。だって、単なる「懐メロ・メドレーを演奏する為の集金ツアー」じゃなくて、こうやって新しい音源を引っ提げての期間限定復活なんだから。しかも、ここに提示された4曲が、過去の偉業に引けを取らない内容なんだから‥‥待った甲斐があったってもんだよ。

俺が彼等の解散をどれだけ悲しみ、どれだけ嘆いたか。それを憶えている人は今や数少ないかもしれませんね‥‥3年前の3月にここ日本でラストツアーを行った後、4月にイギリス国内での最後のスペシャルギグをもって約10年に及ぶ活動に終止符を打ったTHUNDER。その辺の経緯についてはこの辺を読んでもらえば、ある程度理解してもらえるでしょう。

さてさて‥‥THUNDERというバンドがどうして解散してしまったのかを知って貰ったら、次は再結成に至るお話を少し。

その昔‥‥といっても'90年代前半までは存在していたのですが‥‥'80年頃からスタートしたイギリス夏の風物詩のひとつと呼べるドニントン・フェスティバル‥‥通称「MONSTERS OF ROCK」というフェスがありました。所謂ハードロック系のアーティストが毎年、ドニントン・パーク(レース場か何かなんだよね)に約8万人も集めて大盛況だったあのフェス。今や憶えている人は20代後半以上の元ハードロック少年少女だけかもしれませんが、とにかくグラストンバリーやレディングに並ぶ程のフェスだったんですよ。そのフェスが何故なくなってしまったのか‥‥集客の問題、資金難の問題、そしてハードロック/ヘヴィメタルという音楽自体の衰退、等々‥‥いろんな要素が重なって、多分METALLICAかIRON MAIDENがヘッドライナーを務めた回で終了してるはずなんですね(終了と銘打っていたわけではないんだけどね‥‥)。

で、その「MONSTERS OF ROCK」が休止して丁度10年経ったか何かで、2002年秋にイギリス国内で「MONSTERS OF ROCK」ツアーというのが行われることになったらしいんですよ。'90年前後に出演したバンドを集めて、ホールツアーをするという、ちょっとしたお祭りですね。幸い、ここ最近「クラシック・ロック」として'80~'90年代のハードロックがイギリス国内でも再評価されるという動きがあるようで、それに便乗してのことらしいですね。俺も詳しいことは知らないんですが、何やら最初はWHITESNAKEにオファーしたという話。ま、その当時はまだ再始動(もなにも、解散してるんですよね一応)の予定もなかったため、結局アリス・クーパーをヘッドライナーとして、その他幾つかのバンドを交えてツアーをすることになったようで(ま、そのWHITESNAKEも今年になって再始動を宣言するわけですが)。

そこで、そのイベント最大の目玉としてプロモーターは「THUNDER再結成」を打診するわけですよ。勿論、THUNDERは2000年4月の解散以降、一度としてメンバー5人が集まって演奏する機会はなく、せいぜい昨年にダニー・ボウズとルーク・モーリーが「BOWES & MORLEY」として活動を共にし、「MOVING SWIFTLY ALONG」というアルバムを作り、ツアーをした程度。又は2001年5月にルークがソロで来日した際に元メンバー数人がツアーメンバーとして参加した程度。決して「THUNDER」の名で5人が揃う事はなかったわけです。

なのに、こんなにもあっさり再結成してしまうとは‥‥あり得ないと思ってた話だけに、そりゃ最初は寝耳に水でしたよ。実際、ダニーが他メンバーにこの話をした時、あまりいい反応は得られなかったそうだし。最初はその「MONSTERS OF ROCK」ツアーでの7回の公演(最終的に、追加公演が2回決まり、合計9回)の為だけの再結成ということだったみたいで、新曲を発表する予定などなかったようなんですね。ところが、どこでどう間違ったか、こうやってツアーに合わせてこのシングルが発表され(このシングルは2002年11月にイギリス/日本でのみリリース)、更にはアルバムまで発表する予定がある、と‥‥恐らくソングライターであるルークが、リハーサルで出した音に触発されて、THUNDERらしい楽曲/THUNDERでやったら面白いであろう楽曲をどんどん作り出してしまった結果がこれなんでしょうね。じゃなきゃ、期間限定とはいえ、オール新曲のオリジナルアルバムなんて作らないでしょうし。

というわけで、前置きはこんな感じで。THUNDERについての知識があまりない方々、ご理解いただけましたか?

このシングルには再結成後に書かれた完全新曲が4曲収められています。アルバムにはここから3曲が収録されるとのこと。まずは、如何にもTHUNDERらしい、シャッフルビートが心地よいブルーズロック"Somebody Get Me A Spin Doctor"。今時、こういうグルーヴィーでブルージーで、ソウルフルでハードなロックンロールを演奏できるバンド、イギリス国内には皆無なんじゃないでしょうか? いや、絶対にいないだろうね。だってこんな音、10代や20代のガキンチョには出せないって。最近、THE MUSICとかが「グルーヴ・ロックの再来」とかいって騒がれてるけど、あれとは次元が違うもん。いや、THE MUSICはTHE MUSICなりの良さがあるんだけど、やっぱり違うと言わざるを得ないよね。最も近い存在とえいば、やはりREEFのようなバンドでしょうね。そのREEFですら、最近は国内での人気もちょっと減退気味だし。THUNDER再結成によって、国内でのラジオオンエアも少しずつ増えてるみたいだけど、これを機に「ブリティッシュロック本来の良さ」を再認識して欲しいと願って止みません。

続く2曲目"Blown Away"は、どこからどう聴いてもTHUNDER以外の何ものでもない王道スタイル。如何にも初期の彼等らしい展開とギターソロを持ったブルーズロック。それでいて、ただの焼き直しで終わってない点はさすが。ブルージーなんだけど、歌メロ自体は非常にポップ度が高いんだよね。そこがこのバンドの持ち味なんだけど、なかなか世に出る(というか、HRファン以外に聴いてもらう)機会がなかったせいで、ああいう風に解散に追い込まれてしまったわけだけど‥‥ここで更にファン層を広げて、少しでも長く「限定期間」を延長してもらいたいもんです。

3曲目は当初アルバムには入る予定ではなかったけど、結局収録されることになった"The Pimp And The Whore"。小気味いいテンポの、ソウルフルなロックンロール。とにかくどの曲にも言えるんだけど、ダニーは既に40歳を超えているにも関わらず、全く衰えを感じさせないんだよね。そしてルークのソングライターとしての冴えにも全くマンネリを感じないし。これって結局、バンドを完全に終わらせてソロに向かったりして、対外試合を楽しんだ結果なんだろうね。「この1枚に賭けてます」っていう意気込みはそんなに感じられず、むしろ「俺ら、肩の力抜いてやっても、これだけのことが出来るんだぜ!?」とでも言わんばかりの説得力が終始感じられます。いや、肩の力を抜いてても、その辺のイギリスの若手バンドの何十倍もパワフルなんだけどさ。

そして最後は、結局アルバム未収録になってしまった"When Tomorrow Comes"(当初はこっちがアルバムに入る予定だった)。これも一聴すればTHUNDERと判るメロディーを持った、メロウなロックンロールナンバー。同じTHUNDERの曲でいえば、後半の展開が "She's So Fine" にも通ずるものがありますね。もうね、ダニーのソウルフルな歌がそこに乗っかれば、間違いなくTHUNDERの曲になるんだよね。つうかこのレベルでアルバムのアウトテイクになってしまうとは‥‥どんなアルバムになるんでしょうか!? ま、その答えはあと数日で出ますけどね!

ルークがソロで来日した時、俺はライヴには行きませんでした。同じように、BOWES & MORLEYのアルバムは嫌いじゃなかったけど、ライヴには足を運ばなかった。何故か? 答えは至極簡単。「THUNDERではない」から。当たり前っていえばそうなんだけど、やっぱり俺はルークのソングライターとしての才能とか、ダニーのシンガーとしての力量に惚れ込んだんじゃなくて、それら全てを包括した「THUNDER」という集合体、ロックバンドが好きだったのね。だから進んで行く気にはならなかったわけ。けど、今回は違うよね。ダニー、ルーク、ベン、ハリー、クリス‥‥後期のメンバーである5人が再び揃って、「終わり」からの続きと呼べるアルバムをリリースする。そして、5月にはイギリス国内を単独ツアーすると発表。期間限定だったくせに、3/1からは新しいオフィシャルサイトをスタート。夏前には来日公演の噂も‥‥それぞれが別々の活動/仕事/生活を持っている為、パーマネントの活動は無理だ、ということだったはずだけど‥‥その後の予定は、アルバムとツアーの結果次第なんでしょうね、きっと。

とにかくね。俺は声を大にして言いたいわけ。イギリスのロックが好きとか平気でほざいている奴ら。君らにはTHUNDERを聴く義務がある、と。四の五の言わず、まずは聴けってぇの!



▼THUNDER『BACK FOR THE CRACK』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 03 03 02:21 午後 [2002年の作品, Thunder] | 固定リンク