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2003/04/19

BRAHMAN『A FORLORN HOPE』(2001)

  BRAHMANが'01年6月にリリースしたセカンドアルバム。ファーストアルバム「A MAN OF THE WORLD」が'98年秋のリリースだから、まる3年振りのアルバムってことになるんだよね。しかもその間の3年間にリリースされた音源といえば、このアルバムにも再録音され収録されたシングル「DEEP / ARRIVAL TIME」1枚のみ。しかもそれがリリースされたのが'99年秋‥‥如何にこのバンドの創作ペースがゆっくりかが伺えると思います。実際、このアルバムリリースから約2年経った今現在も、新しい音源がリリースされる情報が入ってこない程ですから。だからといって何もしていないわけではなく、地道にツアーにツアーを重ねてるんですよね。自分達がメインのツアーだけでなく、いろんなイベント‥‥それこそフジロックのようなバカでかいステージから、数百人しか入らないクラブクラスまで‥‥に出演したり、海外にも足を伸ばしたり。活動の規模は更に大きくなってるんですよ。一時は「メロコア系の新星」だの「AIR JAM系」だのといった括りで語られることの多かった彼等。Hi-STANDARD等の周辺バンドといったイメージがあった彼等も、今では以前のレビューで書いたように、本当に「日本を代表する」バンドになってしまったなぁ‥‥という気が。もはや「AIR JAM系」なんて括りすら必要ない存在の彼等、毎年少なくとも1回はライヴ観る機会があるんですが、意外とムラのあるステージングなんですよね。最高に素晴らしい時と、惜しいなぁ‥‥と感じる時と‥‥これだけ年間何十本、何百本とやってれば、そりゃ調子悪い時もあるかなぁと。ただ‥‥これは俺が彼等に慣れてきたのも関係あるのかもしれないけど、観る回数を重ねる毎に‥‥観てるこっちが地団駄踏みたくなるような内容だったりするんですよね、どういうわけか。ま、その辺は最後にもう一回述べるとして‥‥

  前作の延長線上にある内容。ただ、いい意味で「硬質感」が増して、ストロングスタイルの楽曲はより力強く、歌を聴かせる楽曲ではより歌を引き立てるような演奏をしてたりと、ファーストアルバムのリリース後3年間の成長を改めて感じさせる出来となってます。ただ、正直に書くと‥‥初めてこのアルバムを聴いた2年前は、ファーストよりもいいとは思わなかったのね。なんつうか、期待が大きかったんでしょうね。ファーストアルバムのレビューを改めて読んでみて、当時の自分がどれくらいBRAHMANに期待してたか再確認できた程だからさ。けど、その後に観たフジロックのステージの出来が酷かったから、彼等に対する興味が急速下降してっちゃって。翌年のフジロックの時も正直、彼等を観るつもりなかった程で。けど、去年のステージは悪くなかったと思います。期待してなかった分、良く思えたのかもしれないけど。

  こうやって今改めてこのアルバムを聴いてみると、当時の彼等が「AIR JAM系」に括られていたことに対して俺が感じていた「違和感」の意味が何となく判った気がしました。やっぱりね‥‥当時もよく例えとして言ったかもしれないけど‥‥パンクというよりも、ヘヴィメタルのメロなんだよね。メロコアってのは、要するに「メロディック・ハードコア」の略でしょ。メロディアスなハードコアパンク‥‥昨今、'80年代の洋楽ポップスをメロコア風にカバーするバンドが多いですが、そういう安っぽさはBRAHMANには感じられないのね。もっとさ‥‥'80年代、そのパンクの対極にあったようなIRON MAIDENみたいなヘヴィメタル・バンドみたいな硬質サウンド、そしてメロウさを強く感じるんだよね。表現方法自体は昨今のパンク的なものなのかもしれないけど、その根底にあるのは間違いなくそういったメタル的。メロの判り易さ、親しみ易さは日本人が最も親しみ易い‥‥語弊があるかもしれないけど‥‥歌謡曲的なものに近く、そういう点からもメタル的といえるかも(要するに「泣き」の要素としての例えですね)。その辺が所謂「メロコア」との大きな違いではないか、と。

  初めて"DEEP"を聴いた時、その流れるようなメロディに惹かれたのと同時に、ギターソロの様式美性に強く感心したのを今でもよく覚えています。そしてその要素を更に強調~拡散していった先が、この「A FORLORN HOPE」だったのではないか、と今思うわけです。ファーストではその要素がいい意味で中途半端だったお陰で、何か新しいバンドが登場した、メロディアスでパンキッシュだから「メロコア」でいいや、ってことになったんでしょうけど、完全にこのセカンドアルバムで個性を確立したといっていいでしょう。

  となると、今度はこの確立してしまった個性をどういう方向に進めていくか、ですよね。このスタイルに固執して、時代時代に合った装飾を被せていくのか‥‥いや、それはこのバンドに最も似合わない手段だな。つうことは、やはり‥‥更なる「進化」あるいは「深化」のどちらかでしょうね。更にディープになっていくのか、それともここから新しい地平へと向かっていくのか‥‥個人的には「深化」よりも「進化」して欲しい気がします。昨年のフジロックで披露された唯一の新曲は、メジャーキーを多用した、確かにこれまでのBRAHMANとはちょっと違う毛色の楽曲でした。勿論、聴けばそれがBRAHMANの曲だとは判る1曲なんですが‥‥まだまだ未完成といった感もありつつ、手探りで新しい地点を見つけている最中なんでしょうね。恐らく、最近俺が彼等に対して地団駄踏みたくなる程感じていたのは、そういう変化に対する物足りなさだったのかもしれませんね。

  所謂「AIR JAM系」がもてはやされたのは、既に数年も前の話。今の中高生はメロコアよりもヒップホップ的なものに肩入れしだし、しかもそれすらも今や風化しつつあり、更に新しい「何か」を探しているように感じられます。そしてそんな「AIR JAM系」と括られたバンド群の中で、今でも大きな成功を収めているのはこのBRAHMANとHUSKING BEEくらいじゃないでしょうか。共に新しいスタイルを模索しつつ、新しいファンを開拓していった「オリジナル」な存在。この2組はある意味「勝ち組」なのかもしれないけど、BRAHMANの場合の本当の勝負は、間違いなく近い将来リリースされるであろう新曲‥‥ニューアルバムでしょうね。未だに彼等を毛嫌いするロックファンは多いと思うんですが、そういったファンをも振り向かせるようなアルバムを期待してます。そう、俺がこれまで全く興味がなかったのに、新作「the steady-state theory」で完全にハマってしまったHUSKING BEEのように‥‥



▼BRAHMAN『A FORLORN HOPE』
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投稿: 2003 04 19 12:00 午前 [2001年の作品, BRAHMAN] | 固定リンク