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2003/05/08

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(1997)

先頃解散を発表した、イギリスのMANSUN。この3年くらい新譜が出てないんで、そろそろアルバムが出るんかな‥‥なんて思ってたら解散発表って。確か昨年の夏頃、レコーディングの合間にツアーとかやってましたよね? てっきり今年の夏はどこぞのフェスに出演してくれるとばかり思ってたのに‥‥非常に残念であります。そして既にレコーディングが完了している、夏リリース予定だった4枚目のアルバムの行方は? とにかくポール・ドレイパーという男のことですから、きっと何か企んでるに違いないでしょうね。

そんな彼等が'97年初頭に発表したファーストアルバムがこの「ATTACK OF THE GREY LANTERN」。俺はこのバンドを前年夏頃に、このアルバムにも収録されているシングル曲"Stripper Vicar"のPVで知ったわけなんですが‥‥とにかくね、自分が'80年代に愛したUKロックのエッセンスがいろいろ詰まった音を発するバンドだなぁってのが第一印象。特にボーカル、ポール・ドレイパーの声や歌い方がDURAN DURANのサイモン・ル・ボンに似てたりする辺りが非常に好みでして。んで、いろいろ調べてみるとこのバンド、「ROMO(ロモ)」とか呼ばれてたみたいで。ブリットポップ崩壊後、いろいろ新しい形でUKロックを持ち上げようとメディアが作り上げた造語だそうですが、まぁ早い話が'80年代初頭に流行ったニューロマンティックの'90年代版みたいなもんですかね。だからあながち間違ってなかったわけですよ、俺の印象も。

所謂ギターロックとはちょっと一線を画する音楽性を持ったバンドなだけに、意外と苦手意識を持ってる人が多いようですが、恐らく'80年代通過組‥‥中でも上に挙げたDURAN DURAN等のニューロマ関係通過組は問題なく受け入れられるサウンドだと思うんですよね。逆に、OASISだ、STONE ROSESだ、って騒いでる若いロックファンはこういうサウンドをどう受け取るんでしょうか‥‥って当時、自分の回りにMANSUN好きって人が殆どいなかったので(知らないから聴かせてみたら無反応、ってのが多かった)実際のところどうだったのか判りませんが。

今聴いても全然古くさくないし、逆にイケてると思うんですよね。シンセや打ち込みを多用し、甘ったるいメロディやムーディーな音像。そしてポップな歌メロ、クセの強いボーカル等々、とにかく個性的ですよね。ということは、逆にそういった要素が苦手だという人も多いんでしょうね。うん、何となく理解できますよ、その気持ち。けどね、その苦手意識を克服した時に訪れる快楽‥‥それが堪らないんですよ、このバンドの場合は。

明るくなり過ぎず、どちらかというと暗いイメージのあるメロディ。これ、如何にも日本人好みだと思うんだけど、どうでしょう? "Wide Open Space"や"She Makes My Nose Bleed"、それに続く"Naked Twister"のメロディ運びは絶対に日本人好みだと思いませんか? で、こういうメロディ運びを得意とするバンドって結構日本にいませんか? そう、所謂ビジュアル系に多いんですよね、こういった耽美なイメージ。そういえば、L'Arc-en-CielのメンバーがMANSUNを好きと発言したことがあったらしく、その後ラルクとMANSUNを比較する人も結構現れたとか。MANSUNからラルクへと流れていった人を俺は何人か知ってますよ。その逆もいたんではないでしょうか?

とにかく、シングルヒット曲が数多く収録されていて(5曲。"Egg Shaped Fred"、"Stripper Vicar"、"Wide Open Space"、"She Makes My Nose Bleed"、"Taxloss"の順にリリース)初期のベスト盤的役割も果たしているこのアルバム。残念なのは同じシングル曲でも初期の名曲"Take It Easy Chicken"が未収録なこと。これ、本当にカッコイイ名曲なんで、ボーナストラックとしてでも入れて欲しかったなぁ(ま、日本ではファーストが出る半年前にミニアルバム「JAPAN ONLY EP」がリリースされていて、そこには収録されてるんですよね)。

ムーディーな"The Chad Who Loved Me"~"Mansun's Only Love Song"という流れでスタートするこのアルバム、サウンドで直接的な激しさを表現するのではなく、あくまで歌やちょっとしたフレーズによって、もっと根底にある情念をアルバム全体で表現してるように感じられます。その後の彼等と比べれば非常におとなしい印象を受けますが、これはこれでひとつの完成型なのではないでしょうか。つうか新人のくせにこの「出来上がり感」って、正直どうなのよ!? ま、だから賛否が激しかったのかもしれないよね(あとはポールの数々の発言が反感を買ったりしたのも大きいよね)。

例えばMANIC STREET PREACHERSが持つ過剰なまでのメロディアスさを好む人には間違いなく受け入れられるでしょうね。ある種、MANICSとMANSUNって似たもの同士っていうイメージがあるし。「UKギターロックとはこうあるべき!」といった頭デッカチの方々にはお勧めしませんが、まだMANSUNを聴いたことのないって人は、とりあえずこのファーストから聴いてみることをオススメします。んで、続くセカンド「SIX」での変貌振りに腰を抜かしてくださいね!(この辺の流れもある種、MANICSに通ずるものがあるよなぁ)



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投稿: 2003 05 08 09:16 午後 [1997年の作品, Mansun] | 固定リンク