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2003/05/06

METALLICA『RIDE THE LIGHTNING』(1984)

METALLICAが1984年秋にリリースしたセカンドアルバム。ファースト『KILL'EM ALL』での拙い演奏/楽曲が嘘みたいな完成度なんですよね。とにかく曲が練られている、サウンドプロダクションがしっかりしている(これはエンジニアを担当したフレミング・ラスムッセンによるものが大きいのでしょうね。フレミングはその後も80年代のMETALLICAサウンド影の功労者として活躍してますしね)、演奏力も向上している、等々‥‥挙げればキリがないんですが、ひとつ大きいことといえば、アメリカ以外の国、イギリスやヨーロッパでの成功が彼等に自信を与えたんでしょうね。アメリカ以上にイギリスのアンダーグラウンドシーンで名前が知れ渡り、専門誌やファンジン等で常に「話題の新人」として取り上げられ続け、遂に単独公演まで行ってしまう程、彼等の人気は鰻登りだったようですね。事実、アメリカでは1989年までアルバムからシングルカットを一切してこなかったMETALLICA。イギリスやヨーロッパではファーストの時点でシングルをリリースしてるんですよ(ファーストから「Jump In The Fire」、そしてこのセカンドからは「Creeping Death」をシングルカットしています)。今の時代だったらインターネットによって「アメリカの爆走メタルバンドがイギリスで大人気」って日本に配信され、ほぼ同時進行で情報を得ることができるんですが、まだこの頃は日本でもほぼ無名の状態。知る人ぞ知るといったところでしょうか。

METALLICAというバンドがオリジナリティに拘った結果がこのアルバムだと思うんですね。同時期に登場した他のスラッシュメタルバンドと比べても、明らかに先を行っていたし。例えばファーストではただひたすらヤケクソ気味に突っ走るだけだった楽曲が、ここでは起承転結のハッキリとした様式美性を前面に打ち出してきてるし(先の「Creeping Death」がそのいい例でしょう)、前作にはなかったミディアムヘヴィな「For Whom The Bell Tolls」は90年代の彼等のプロトタイプと呼べるような1曲ですし、更にバラード呼べる「Fade To Black」のようなタイプの楽曲まで登場します。普通にヘヴィメタルとして堪能できるだけの楽曲の幅広さ(バラエティ豊かさ)、聴くに耐えうるだけのサウンドや演奏、とにかく全てにおいて急成長してるんですね、たったの1年で。

静かなアルペジオから、それを引き裂くようなまさしくスラッシーなリフと、要所要所に登場する変拍子が印象的な疾走チューン「Fight Fire With Fire」、そのまま絶え間く続く様式美ナンバー「Ride The Lightning」、ファーストではただ突っ走るだけで軽さが残ったのに、ここではもっとドッシリとした印象のあるファストチューン「Trapped Under Ice」、彼等にしてはポップなメロディーが異色に映る「Escape」、そして壮大なインスト「The Call Of Ktulu」。更に上に挙げたような名曲達。特に「Creeping Death」や「For Whom The Bell Tolls」、「Fade To Black」は未だに演奏されることの多い人気曲・代表曲です。今聴いても全然古さを感じませんしね。

また歌詞の面でも成長が伺えますね。ただのロックバカ的な歌詞が多かったファーストと比べて、非常に文学的で深い意味合いを持つ歌詞が増えているんですよね。メンバーの人間としての成長も大きく関わってくると思うんですが、この辺の成長具合も見事としか言いようがありません。

前作ではただ速いだけで短い曲もあったんですが、このアルバムではより大作指向に進みつつあることが伺えます。1曲の長さを取ってみても6分以上ある曲が8曲中4曲と、半数を占めるんですね。しかもその内1曲(「The Call Of Ktulu」)はインストなのに約9分もあるんですから。この辺の大作指向はその後アルバムを重ねる毎に高まっていくわけですが、ま、それはまた次の機会に。ただひとつ言えるのは、そういった方向性がより彼等の個性を独特なものにしていった、フォロワーを生む程にまで成長していった、ということです。

このアルバムを聴いたメジャーレーベルが「即契約したい」と申し出て、インディーからリリースされていたものをそのままメジャーから再リリースしたのも頷ける内容ですよ。同時期に登場~活躍したSLAYERやMEGADETH、ANTHRAXといったスラッシュバンド達と切磋琢磨しながら、彼等はどんどん成長/成功の結果を形として残していくわけです。

ちなみにこのアルバム、ビルボードの100位が最高位。これ、実はリリース当時の順位じゃなくて1988年にリリースされた4作目『…AND JUSTICE FOR ALL』に後押しされる形で再チャートインした時の順位なんですよね(ちなみにファーストは120位が最高位)。この時はそれ以外にも3作目『MASTER OF PUPPETS』とカバー・ミニアルバム『GARAGE DAYS RE-REVISITED』も100位内に再チャートインしてるんですね。改めて考えると凄い結果だよなぁ。



▼METALLICA『RIDE THE LIGHTNING』
(amazon:輸入盤

投稿: 2003 05 06 03:31 午前 [1984年の作品, Metallica] | 固定リンク