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2003年5月 8日 (木)

METALLICA『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)

1986年秋、事故によってベーシストのクリフ・バートンを失ったMETALLICA。すぐさま彼等は後任を探し、結果ジェイソン・ニューステッドが加入することに。そのまま初来日を済ませ、大切なメンバーを失った悲しみを振り払うが如く、その後もツアーに専念。そして1987年夏には二度目の『MONSTERS OF ROCK』フェスティバルへの出演が決まるのです。それに際し、彼等は英国及びヨーロッパにてシングルをリリースしようとします。すでに『MASTER OF PUPPETS』リリースから1年半、アルバムを再プロモートするには時間が経ちすぎ、改めてシングルカットするには時期が遅すぎる。そこで彼等は面白いことを思いつくのです。そう、カバーオンリーのシングルをリリースしてはどうだろう、と。

そういった気軽なアイディアのもと生まれたのがこのミニアルバム。夏フェスに合わせたヨーロッパツアー用に録音といった意味もあるし、それ以上に新加入したジェイソンをまずリラックスさせるための肩慣らしという意味もあったようです(そりゃあ、すでにアンダーグラウンドシーンからメジャーシーンへと上り詰め、セールスも知名度もうなぎ登りのバンドに加入すれば、否が応でもプレッシャーを感じるでしょう)。

彼等は過去、『GARAGE DAYS REVISITED』というシングルをリリースしています。ま、実際にはそういうタイトルではありませんでしたが……1984年、『RIDE THE LIGHTNING』からのシングル「Creeping Death」をリカットする際に、彼等のお気に入りアーティストであるDIAMOND HEADの「Am I Evil?」とBLITZKRIEGの「Blitzkrieg」をカバーし、そのシングルに収録しています。その際のコンセプトが「GARAGE DAYS REVISITED」……「ガレージ時代よ、再び」といったところでしょうか。つまり、アマチュア時代に立ち返って自分達に影響を与えたアーティストの楽曲をカバー/コピーして楽しもうという企画。今回の『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』はその『GARAGE DAYS REVISITED』の第二弾なのです(だから“RE-REVISITED”なのですよ)。

“NOT VERY PRODUCED BY METALLICA”ということで、基本的にはほとんどど生音に近い状態での録音、正に“ガレージでの練習風景そのまま”な状態になっているわけです。だからラーズのカウントも、ギターのスイッチングやピッキングノイズも、曲頭や最後のちょっとした会話もそのまま残されています。確かに過去のオリジナルアルバムと比べればチープ以外の何ものでもありませんが、逆にその生々しさが「その後のMETALLICA」に大きく影響するようになるのです。ま、そのへんはもっと後の話になるんですが。

今回録音されたのは5アーティスト5曲(メドレーがあるので実際には6曲)。前回もカバーしたDIAMOND HEADの「Helpless」、同じくNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)周辺からHOLOCAUSTの「The Small Hours」、パンク以降に登場したニューウェーブバンドKILLING JOKEの「The Wait」、70年代に活躍したハードロックバンドBUDGIEの「Crash Course In Brain Surgery」、そしてお馴染みMISFITSの「Last Caress」「Green Hell」のメドレー、という構成になってます(ちなみに一番最後にオマケ中のオマケ……気づいてる人も多いと思いますが、IRON MAIDENの「Run To The Hills」のイントロが、かなりふざけた感じで演奏されてます)。

意外なアーティスト名もありますが、この感じこそがMETALLICAのルーツであり、そしてその後の「クリフを欠いたMETALLICA」がどのような路線を進んで行くのかが垣間見れる1枚ではないでしょうか?

ちなみにこのEPは結局アルバム扱いでアメリカや日本でもリリースされ、本国ではビルボード28位まで上昇しています。カバーソング集でこの記録(前作とほぼ同じような順位・セールス)、大したもんですよ。

そしてMETALLICAは翌年、いよいよその後の大ブレイクに向けて新たな路線を見つけるる旅に出るのです。

最後に補足。このミニアルバム、現在は廃盤ですのであしからず。1991年に「これまでカバーした楽曲を、後に1枚のアルバムにまとめてリリースする予定がある」との理由で世界的に廃盤にされてしまいました。で、結局それから7年後に『GARAGE INC.』という2枚組カバー集にて再び日の目を見ることになるのです(当然、全曲完全収録)。中古盤市場でも2003年現在、いまだに高値で取引されているらしいこのミニアルバムですが、音さえ聴ければいいという人には『GARAGE INC.』をオススメします。1998年までに彼等が公式にリリースしたカバー音源はすべて網羅されてますからね。

※2018.4.13.さらに補足
2018年4月13日、オリジナル盤リリースから32年の歳月を経て、再び本作がオリジナルの形式で再発されました。音源自体にリマスタリングが施されており、かなり迫力のある音像に生まれ変わっているので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。



▼METALLICA『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』
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投稿: 2003 05 08 03:47 午前 [1987年の作品, Metallica] | 固定リンク