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2003/06/22

DRY & HEAVY『FROM CREATION』(2002)

  レゲエ、レゲエといいますが、ただ「ズッチャ、ズッチャ♪」と気持ちいいリズムを鳴らすだけがレゲエではありません。BOB MARLEY & THE WAILERSがレゲエとして一級品だったのと同時に、ロックとして、そして「レベル・ミュージック(Rebel Music)」としても一級品だったというのは、皆さんご承知でしょう。何故THE CLASHがレゲエやダブ等に走っていったのか、何故テクノ系アーティストがダブ等の方向性を重視するのか、等々‥‥レゲエやダブといったジャマイカから生まれた音楽は、当時の国の情勢も影響し、多くの後続達に「レベル・ミュージック」と認識され続けてきました。ここ日本でもaudio activeを始め、多くのアーティスト達がそういったジャマイカン・ミュージックを現代的に表現した「レベル・ミュージック」を実践しています。

  そして今回紹介するDRY & HEAVYもそういったアーティスト達に含まれるバンドです。本来はリズム隊が主体となったユニットだったわけですが、2001年フジロックのステージ上で中心メンバーのひとり、秋本武士(Ba)が脱退を表明後、audio activeにも参加したことのあるPATAが加わり、同じくギタリストのチェンジ等を経て、2002年夏に通算4枚目のオリジナルアルバムであるこの「FROM CREATION」をリリースしたわけです。

  リズム隊が中心メンバーであり、ドラムの七尾とベースの秋本こそが「DRY & HEAVY」だったわけですが、このアルバムではそういった構図が崩壊し、ひとつの「ユニット」「バンド」としての新しい動きを見せています。ダブ的側面よりもレゲエ的側面が強調されたバンドサウンドは、ロックのそれと引けを取らない程に緊張感のある、それでいて気持ちいい「音」を鳴らしています。レゲエというと、どうしても「ユルユル」とか「怠そう」とか「脳天気」なイメージがあるわけですが、このアルバムではそういった面よりも更にストイックで攻撃的な、聴き手を惹き付ける「何か」を感じることができます。それが「レベル・ミュージック」としての魅力なのかどうかは正直何とも言えませんが、それは聴いた人それぞれが判断すればいいことなので、あえてこれ以上は書きません。ホントにカッコイイ。ただそれだけですよ。

  二人のシンガー(男女)がそれぞれの曲を歌い分けるというスタイルも、聴き手側に贅沢感を与えるし、またそれぞれの曲に合った「歌」を提供し我々を満足させます。両者それぞれにあるもの/ないものを感じさせつつ、それが楽曲毎に独立した魅力となってるんですから、ちょっと侮れません。「レゲエは全部同じ」みたいな偏見を持ってる人にこそ聴いて欲しいかも。日本にもこういうカッコイイバンドがいるんですよ?

  そういえば、彼等は海外のでの評価も非常に高く、以前リリースしたアルバムやシングルはイギリスのNME誌での「Single Of The Week」にも選ばれたことがあるそう。前作「FULL CONTACT」の評価も非常に高かったそうで、アルバムに伴うヨーロッパツアーも大成功だったとのこと。海外のレゲエ/ダブ・ミュージシャンからの評価も高く、そういった面々がリミックスしたアルバムもリリースされる等、如何にここ日本で過小評価されていることか‥‥これを機に是非このアルバムを手に取ってみてください。

  そうそう、このアルバムには「対の作品」として、このアルバムのダブ・リミックス「DUB CREATION」も同時制作されてます。両方合わせて聴いて初めて、このバンドの本質が見えてくるんじゃないでしょうか‥‥古くはTHE CLASH、最近ではPRIMAL SCREAMのようなバンドがダブミックスをシングルに入れたり、それこそダブアルバムを作ったりする程、所謂「レベル・ミュージック」と呼ばれるアーティストに必要不可欠な要素。ここで改めて、そういった「ダブ/レゲエ」をルーツに持つ日本のバンドに触れてみては如何でしょうか?



▼DRY & HEAVY『FROM CREATION』
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投稿: 2003 06 22 12:00 午前 [2002年の作品, DRY & HEAVY] | 固定リンク