FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999)
アメリカの4人組ギターポップ/パワーポップ・バンド、FOUNTAINS OF WAYNEが1999年4月にリリースしたセカンドアルバム『UTOPIA PARKWAY』。4人組とはいっても基本的にはこのバンド、メインソングライターであるクリス(リードボーカル&ギター)とアダム(ベース&コーラス)の2人が中心人物なんですわ。実際プロデュースもこのふたりが手掛けてますし、課外活動として余所のバンドやアーティストを手掛けたり、元SMASHING PUMPKINSのジェイムズ・イハ(ギター)のソロアルバムにも参加したり、一緒にレーベルを立ち上げたり等、いろいろやってますしね。あとアダムはフランス人女性をボーカルに迎えたバンド、IVYも並行してやってるんで、知ってる人は多いんじゃないでしょうか。と、そういう課外活動がいろいろ忙しいこともあってか、このアルバムから次のアルバムまで4年以上も空いちゃったんだから‥‥ファンにしてみれば有り難迷惑というか。
俺が彼等と出会ったのが正しくこのアルバムからで、当時毎月行ってたロック系クラブイベント『CLUB K』で、シングルにもなった「Denise」が頻繁にかかってたんですよ。特徴のあるギターのリフはグランジっぽくもあるんだけど、サビ前後になると途端にファルセットによるコーラスが入ったり、サビの甘美な世界観といったらもう、とろけそうになる程。この曲にノックアウトされない人がいたとしたら、きっとその人はロックをちゃんと聴いてない、表面的な格好良さにしか惹かれてない人なんじゃないか……なんて思える程、クラブにて大音量で聴くこの曲はホントに素敵だったわけ。チープなシンセサウンドも雰囲気モノで、ダサ格好良さ満点。リリースから4年経った今聴いても、全然古くなってないんだからさすが。
ポップなメロディにハーモニー、それを包み込むようなギターサウンドや優しいアコースティックサウンド、そして要所要所に使われているアナログっぽいシンセ。一歩間違えば本当にダサくなってしまうのに、何故か抜群にカッコイイ。何故か。やっぱり楽曲がしっかりしてて、ユーモアに溢れてて、センスがあるってのが大きいんだろうね。
このアルバムを聴いてると、先の「Denise」や「It Must Be Summer」のような直接的なギターポップ/パワーポップ的な楽曲もあるんだけど、それだけに留まらず、例えば1曲目に「Utopia Parkway」みたいなユルユルのミディアムポップをいきなり持ってきたり、ちょっとWINGSっぽい「Red Dragon Tattoo」だったり、アコースティック色の強い名曲「Troubled Times」だったり、思いっきりサウンドや歌い方がOASISしてる「Go, Hippie」だったり(ってこれ、ある種パロディだよね!?)……その他にも所々にELOやエルトン・ジョン、当然ビートルズといった先代達からの影響を感じさせます。同世代であろうWEEZERっぽくもあり、かといってあそこまで一辺倒でもなく、非常に引き出しの多いバンドだなという印象。そしてそういったバンドが精魂込めて作った、ポップの玉手箱がこのアルバム。ホントにいろんなタイプの楽曲が入ってて、しかも14曲(日本盤は15曲)もあるのに長く感じさせないし(実際15曲で50分にも満たないですからね)。
多分、自分達が聴いてきたものを1枚にまとめた感じなんでしょうか。「自分が聴きたいアルバムを作ったら、こうなった」といったところでしょうか。ホント羨ましい。才能って凄いね。
それにしてもさぁ……WEEZERにしろ、'90年代以降に登場したアメリカのギターポップ/パワーポップ勢の多くに言えることなんだけど、何でこの手のバンドって歌詞が女々しいというか、情けなさ満載なんですかね? どうしてもアメリカというと強いとかマッチョといったイメージが強いから、余計にそう感じちゃうんですが‥‥だからこそ、多くの人達から共感を得たんでしょうか? このアルバムの曲も、〈赤い龍の刺青 僕の肌にそれが 君のために彫ったんだ これで君は僕を欲しがってくれるかな〉〈今の僕はちょっとKORNみたいでしょ〉(「Red Dragon Tattoo」)とか、〈とうとうこの日が来てしまったね 僕らはガス欠になり 空気はだんだん濁ってきて 女の子達は気分が悪くなってきて 僕らは浜辺で気を失って 車の鍵もなくしちゃって すぐに僕らはサヨナラを言う それから後は死ぬまで働くだけ〉(「Prom Theme」)とか……ああ、書いててこっちまで凹んできた。いや、断片的に取り上げると凹みそうなんだけど、全体像としてはやりきれなくて切ない青春時代を歌ったものが多い……のかな? そうい意味では10代の子達が読んだら、もしかしたら共感できるのかもしれないね? いや、30代の俺が読んでも「うんうん、判る判る」っていう歌詞ですけどね。誰もが通過する時代や出来事、日常を切り取った内容になってるんじゃないですかね。
とにかく、一度は聴いて欲しい作品ですね。もしアナタがUKギターポップとかを好んで聴くなら、間違いなく気に入るはず。WEEZER程ギターが激しくはないけど、この手のバンドが好きな人でも絶対に気に入るはずなんで、ファーストアルバム(これも名盤!)と合わせて聴くことをオススメします。
▼FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD)
« EVANESCENCE『FALLEN』(2003) | トップページ | WHEATUS『WHEATUS』(2000) »
「1999年の作品」カテゴリの記事
- BERNARD BUTLER『FRIENDS AND LOVERS』(1999)(2024.06.01)
- THE HELLACOPTERS『GRANDE ROCK REVISITED』(2024)(2024.03.17)
- ブライアン・アダムスのベストアルバムを総括する(2022年版)(2022.03.12)
- SCORPIONS『EYE II EYE』(1999)(2022.03.02)
- GUNS N' ROSES『OH MY GOD』(1999)(2021.09.25)
「Fountains of Wayne」カテゴリの記事
- TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』(2009)(2020.04.03)
- 祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)(2020.01.12)
- THE MONKEES『CHRISTMAS PARTY』(2018)(2018.12.24)
- THE MONKEES『GOOD TIMES!』(2016)(2016.12.19)
- FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999)(2003.06.15)