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2003/06/03

METALLICA『RELOAD』(1997)

1997年11月にリリースされた、METALLICA通算7枚目のオリジナルアルバム『RELOAD』。そのタイトルの通り、前作『LOAD』とほぼ同時期にレコーディングされたアルバム未収録曲と新たに書き下ろした数曲の新曲をまとめた、正しく「対」となる作品集。前作のレビューにも書いたように、本来は2枚組を想定してレコーディングされたもので、単純に「久しくレコーディングしていなかった為、肩慣らしとしてミドル~スローテンポの曲から録音し始めた」為、『LOAD』はああいう作風になった、とこの『RELOAD』リリース時のインタビューでは語られています。しかし、実際には「ライヴで映えるような速い曲が少ない」「思ったよりも個々の楽曲のパンチが弱い」等といった不評が耳に届いたのか、このアルバムは更に音楽的に拡散方向へ向かい、尚かつ個々の楽曲の完成度が高まっています。

そういえば、このアルバムが発表になる前、ネット上に「新作では久し振りにスラッシュチューンが復活している」なんて噂も上がったのですが、実際にはそういった曲は見当たらず、まぁここ数作ではかなり速い方に入るアルバムトップの「Fuel」がある程度。ファンの願望がこういった噂に繋がったんでしょうね。

当然ながら製作陣は『METALLICA』や『LOAD』とほぼ一緒。そりゃそうか。しかし、これら2作と決定的に違う点があります。それはゲストプレイヤーが参加してる点でしょう。まず、このアルバムからのファーストシングルとなった「The Memory Remains」にコーラスで参加したマリアンヌ・フェイスフル。当初はパティ・スミスに依頼しようと思ってたなんて声もあったようですが、そういう枯れた声を求めていたんでしょうね。で、結果としては見事にマッチしてるし、METALLICA特有の「もの悲しさ」を更に増長させ、成功だったといえるでしょう。楽曲もただのミドルヘヴィに終わらず、非常に練られたメロディが耳に残り、全体的にコンパクトにまとまっています。ただ長いだけでダラダラやってる感が強かった前作とは大違い。

更に異色作「Low Man's Lyric」にはバイオリンやハーディ・ガーディ奏者が参加しています。この曲自体、これまでのMETALLICAからは考えられないようなアイリッシュ・トラッド調の1曲で、インパクトの点では間違いなくこのアルバムの中で一番です(それが良いかどうかは別として)。ここまで来るともはや「世界で一番ヘヴィなバンド」の代名詞だったバンド名すら邪魔に思えてきますよね。

全体的にはミドルヘヴィ、スロー、ヘヴィブルーズ、ファストナンバーがバランス良く絶妙に配置されていて、少なくとも前作みたいに「途中でダレる」「同じような曲調が続く」といったマイナスポイントは目につきません。個々の楽曲もちゃんと練られているし。アルバムリリース前から既にライヴでは演奏され、駄曲のイメージが強かった「Devil's Dance」もスタジオテイクはそんなに悪いと感じないし。構成自体は全く同じはずなのにね。レコーディング時期の違いなのか、それともミックス等の技術的な違いなのかは判りませんが、本当にそんなに悪く感じない。

「過去の二番煎じ」が多かった前作ですが、今作でもおおっぴらにそれを実行しています。いや、むしろ開き直ってる節すらあるし。「The Unforgiven II」が正にそれで、タイトルからお判りの通り『METALLICA』収録のヒット曲「The Unforgiven」の続編なのです。たまたま作ったギターフレーズにメロディを載せて歌ってみて、後で聴き返したら「The Unforgiven」にそっくりだった、だったらいっそのことイントロとサビの歌詞はそのまま残して続編的な内容となる楽曲にしよう、ということになったらしいです。ま、悪い表現だと二番煎じになりますが、個人的にはそんなに酷い出来じゃないし、むしろ普通に聴ける楽曲なのでノー問題。こういうお遊びもアルバム2枚分もの楽曲を作ったからこそ許されるわけで。要するに「肝心の曲が良ければノー問題」なんですよ。

また、ジェイソンが作曲に絡んだ曲も今回は無事収録(『LOAD』には入ってなかった)。「Where The Wild Thing Are」がそれで、これも非常に風変わりな1曲。ニューウェーブっぽい浮遊感のあるメロディが印象的な前半部と、如何にも彼等らしいヘヴィな後半部との対比が非常にユニークで、ボーカルにかけたエフェクトも個性的。それにしても、ジェイソン在籍時に彼が関わった楽曲がたったの2曲だけっていうのも……そりゃ不満もたまるわな?

アッパーな曲も「Fuel」や「Prince Charming」等、非常に充実しています。もうちょっとテンポは落ちるものの、「Better Than You」と「Attitude」もこの部類に含めても問題ないでしょう。特に前者2曲は決してヘヴィメタリックではないものの、非常に優れもののハードロックチューン。最近(2003年5月)のウォームアップギグでも「Fuel」だけは何度か披露してるようです。初期のガムシャラな疾走チューンとは一線を画するものの、これはこれでいい曲ではないでしょうか?

当然のようにこのアルバムもリリースと同時にアメリカで1位を獲得し、短期間で数百万枚ものセールスを記録したようです。そしてMETALLICAはこのアルバムのリリース後である1998年5月に、ようやく来日を果たします(1993年春以来の来日。『LOAD』に伴うツアーでは来日は実現せず)。

改めて『LOAD』と『RELOAD』を振り返ってみると、2枚同時発売や2枚組としてリリースしないで正解だったな、と思うわけです。というのも、『LOAD』での失敗・不評を前にして、体制を立て直して『RELOAD』に向かったわけですから、後者が悪くなるはずがないのです。そりゃ確かに初期の作品群とは方向性も作品の質も全く違うし、それどころか『METALLICA』という壁を超えられずにいるのですが、今こうして聴いていると……これはこれで良かったかなぁ、と思うわけで。個人的にはモダンヘヴィネスやラップメタル方向に行かなかっただけでも感心というか(だからこそ、後の「I Disappear」には失望したわけですが)。

ただね、やっぱり意図的に「ヘヴィメタル」から遠ざかろうとし、「アート」に拘った作品作り(変に凝った曲作りや音楽性の拡散。CDブックレット内の写真をアントン・コービンが撮影していたり、PVが意味不明な不条理アート作品になっていたり、等々)には、正直疑問を感じていました。何気取ってんだよ!って。お前らがU2やR.E.M.、RADIOHEADになる必要はないんだよ。だって彼等は既に存在するんだから。そりゃね、メタルを新たな次元へと引っ張っていこうってのも判らないでもないけど(ってそういう意識は薄かったか、当時は)……もっと違った方法があったのではないか?と思うわけです。

ま、そういう試行錯誤があったからこそ、6年後に『ST.ANGER』という名盤を生み出すことになったんだから、良しとするか。その代償はかなり大きかったけどね。



▼METALLICA『RELOAD』
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投稿: 2003 06 03 04:24 午前 [1997年の作品, Metallica] | 固定リンク