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2003/06/06

METALLICA『S&M』(1999)

1999年11月(日本盤は12月)にリリースされた、METALLICA初の公式ライヴアルバム。なんだけど……ちょっと異色作でもあります。『S&M』なんていう思わせ振りなタイトルなんですが、まぁ単純に『Symphony & METALLICA』って意味ですね。決してサドマゾとは関係ないわけで(ま、ある意味サドマゾ的要素もあるんですが)。1999年4月21~22日に地元サンフランシスコにて行われた「ある企画ライヴ」を完全収録した2枚組作品となっています。

で、どういう「企画」だったかというと、METALLICAとオーケストラとの合体。104人にも及ぶ「サンフランシスコ交響楽団(SAN FRANCISCO SYMPHONY)」がMETALLICAに合わせて演奏するという企画なわけ。そのコンダクターに選ばれたのが、奇才マイケル・ケイメン。映画のサウンドトラックやロックバンドのオーケストラ・アレンジ等でよく名前を見かける、その筋ではかなり有名な人。彼との出会い(『METALLICA』での「Nothing Else Matter」オーケストラ・アレンジが初顔合わせ。当然今回も再演しています)から10年近く経ち、『LOAD』『RELOAD』『GARAGE INC.』とある程度「90年代のMETALLICA」に区切りがついたこともあり、また「よりアートな方向」へと移行しつつあった当時のMETALLICAのひとつの到達点として、過去DEEP PURPLEやイングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ等が実験してきた「HM/HRとオーケストラとの融合/合体」をMETALLICAなりのやり方で試す。それが今回の試みだったようです。

アルバムには全21曲が収録されていますが、1曲目の「The Ecstasy Of Gold」はオーケストラのみなので、実質20曲ということになります。当日のライヴは第1部(ディスク1)、第2部(ディスク2)の2部構成で、途中に休憩が入る「クラシックのライヴらしい」構成。全体的に90年代の楽曲が多く(20曲中12曲)、それ以外は『RIDE THE LIGHTNING』から2曲(「For Whom The Bell Tolls」とインスト「The Call Of The Ktulu」)、『MASTER OF PUPPETS』から3曲(「Battery」「Master Of Puppets」「The Thing That Should Not Be」)、『…AND JUSTICE FOR ALL』からは「One」のみ。まぁこの時期の彼等らしい選曲ですよね。特に「For Whom The Bell Tolls」と「The Thing That Should Not Be」が。「90年代のMETALLICA」のプロトタイプとなった楽曲ですからね(ここに「Harvester Of Sorrow」が加わったら完璧ですね)。

これらの楽曲は、特にオーケストラとの共演だからといって新たにアレンジされているわけでもなく、METALLICA自体はこれまでのライヴ同様のプレイをしています。単純にオーケストラ側がそれに合わせて演奏し、音に厚みを加えるという、文字通りの共演のみ。特別なことは一切なし、というわけでもないか。このライヴ用に完全未発表の新曲が2曲演奏されてますしね。「No Leaf Clover」と「- Human」がそれ。共にミドルテンポでマイナーキーという「90年代のMETALLICA」にありがちなタイプ。が、個人的にはそんなに悪くないと思ってます。恐らくオーケストラとの共演を想定して書かれたものだと思うのですが、別にMETALLICA単体で演奏しても何ら問題のない楽曲ですよね。ということは、結局METALLICAはどこまでいってもMETALLICAのままなんだ、と。それが判っただけでも収穫だったんじゃないでしょうか?

純粋にライヴアルバムとして楽しむもよし、一風変わった企画盤(メタルとオーケストラとの合体)として楽しむもよし。これまでMETALLICAを避けて通ってきた人の入門編として手を出すもよし。意外と楽しめるアルバムだと思いますよ。実際俺も普通にライヴ盤として楽しんでますし。ディスク1の頭数曲の流れや、ディスク2のエンディング周辺(「Sad But True」「One」「Enter Sandman」「Battery」)の流れも圧巻ですしね。ホントにこんな曲順でライヴやられたら、卒倒しますね俺。

この時期……1996年の『LOAD』以降、彼等は毎年アルバムを出してるんですよね。1997年に『RELOAD』、1998年は『GARAGE INC.』、そして1999年はこの『S&M』。オリジナルアルバムとしては『RELOAD』以降、2003年6月になるまで新作が出なかったわけですが、音源としてはジェイソンが脱退するまで結構頻繁に出してるんですよね。2000年春には悪しき「I Disappear」(映画『MISSION:IMPOSSIBLE 2』サントラ収録)を発表してるし。結局90年代の彼等ってのは「如何に『よりメジャーな音』を自分達流に表現するか」という命題との戦いだったのかなぁ、という気がします。変にアーティスティックでありながらも、実は非常に判りやすい、悪く言えば単純な楽曲が多い90年代のMETALLICA。しかしそういった挑戦が結果として一般層への定着へと繋がったのですから、これはこれでよかったのかもしれません。じゃなかったら、単なるカバー集やこんなライヴ盤がアメリカで初登場2位(共に)、数百万セットも売れないでしょうし。完全にMETALLICAが受け入れられたってことでしょうから。

21世紀に入っていきなりジェイソン・ニューステッドが脱退、ジェームズ・ヘットフィールドがアル中でリハビリ施設に入る等、ネガが話題が続きました。しかし、2003年に入り6年振りのオリジナルアルバムも完成し、新メンバー(ロバート・トゥルージロ)も決まり、更に新しい「音」も手に入れた。さてさて、これからのMETALLICAはどういう道を歩んでいくんでしょうねぇ‥‥非常に楽しみです。



▼METALLICA『S&M』
(amazon:国内盤

投稿: 2003 06 06 04:51 午前 [1999年の作品, Metallica] | 固定リンク