ZIGGY『それゆけ!R&R BAND REVISITED』(1989)
前作「NICE & EASY」から約3ヶ月後にリリースされた、ミニアルバム形式の1枚。4曲入りなので本来なら「EP」扱いなんでしょうけど、彼等が「ミニアルバム」と呼ぶ以上は、こちらも同じように捉えることにしましょう(実際、チャート上でもアルバム扱いでしたしね)。レコーディング自体は「NICE & EASY」とほぼ同時期に行われたようですが、あちらが海外録音なのに対し、こちらは国内録音。しかも一度レコーディングしたことのある楽曲を再レコーディングしただけ。勿論、ただ「しただけ」ではないわけですが‥‥
恐らくロスでのレコーディングから帰国後、そのままの勢いで録音されたであろうこの4曲。メジャーデビュー前にインディーズから唯一発表されている「それゆけ!R&R BAND」という4曲入りのアナログ盤を、結成5周年記念ということで改めて録音し直してメジャーからリリースしたのがこれ。当然インディー盤の方はこの時点で既に手に入らない、プレミアものになっていたし、にも関わらずここに収められた4曲はライヴではお馴染みの曲ばかり。メジャーデビュー後にファンになった俺のような人間にとって、この企画は大変有り難いものでした。
とにかく勢いがいい。ブレイク前夜の「勢い」がそのまま真空パック状態で収録されてます。ブラスやキーボードといったサポートメンバーが加わっているものの、基本的にはインディー盤でやったことを「この時点での技術」と「この時点でのアレンジ」で表現したものになってます。とはいっても、基本的には何も変わってないわけですが‥‥曲の良さは最初っから良かったんだもん、変えようがないわな?
インディー盤では最後の曲がシンバルのフェイドアウトで終わっていたので、このメジャー再録音盤ではシンバルのフェイドインからスタートする形になってたり、この時期ギターの松尾がハマッてたスライドギターをふんだんに取り入れたり等、それなりに遊び心も満載。きっと余裕が成せる技なんでしょうね。
恐らくこの手のロックンロールを好きな人なら、誰もが間違いなく「まるっきりパクリやん!」とひっくり返る1曲目"それゆけ!R&R BAND"のメインリフ。そう、某AEROSMITH(全然某じゃないし)の某曲のリフまんま。しかも歌い方というか、シャウトもまんま某スティーヴン・タイラーだし(だから全然某じゃないってば)。ま、若気の至りというか‥‥カッコイイから許されてるけどな。続く2曲目の"I CAN'T STOP DANCIN'"のファンキーなノリも、某エアロのそれに近いし。スライドギターやブラスが加わったことで、更にそれっぽくなっちゃってるし。ま、カッコイイから許されてるけどな。そして3曲目"FEELIN7 SATISFIED"は如何にも彼等らしい某HANOI ROCKS(だ・か・らぁ、全然某じゃないってば)の流れを組む、ポップでメロディアスなロックンロール。結局はこの基本ラインがあって、その後の "I'M GETTING' BLUE" や "GLORIA" が生まれたわけですからね。ハーモニカソロのシンプルさも好印象。俺の「ZIGGYで好きな曲、ベスト5」に常に入ってる1曲。ま、ハノイのパクリだろうが何だろうが、カッコイイから許されてるけどな。最後はバラード"BURNIN' LOVE"。これも某ハノイ(‥‥)の "Don't You Ever Leave Me" 辺りの流れを組む、アルペジオが印象的なイントロを持つ名曲。これもハーモニカのシンプルさが光ってます。後に「HEAVEN AND HELL II」('02)にてセルフカバーされますが、個人的にはこのモロにハノイなアレンジが大好きなんですよね。やっぱりカッコイイから許されてるんだけどな。
ということで、いろいろ小難しいことをやろうとしてた「NICE & EASY」とは正反対の、やり慣れたことをやり易い方法で取りかかったのがこのミニアルバム。バンドとしてもひとつのピークを迎えるに当たり、ここで一旦原点を見つめ直そうとしたのかもしれません。
このミニアルバムと同時リリースされたのが、ドラマ主題歌に起用された "GLORIA" の再発盤。その後の快進撃はご存じの通り。チャートのトップ10入り、当時放送されていたチャート番組「ザ・ベストテン」への出演、メディアへの大量露出、そしてバンドブーム‥‥初の武道館公演を成功させたのもこの頃。バンドは快進撃を続けながらも「‥‥何か違う」と違和感を感じ続ける。にわかファンの増大、第二の "GLORIA" を求める外野の声、もっとヒットシングルを‥‥そういった声に答えるかのように、ファーストアルバムに収められていたファーストシングル "I'M GETTIN' BLUE" までもが再発されるのです(が、これは思ったほどの大ヒットを記録することは出来ませんでした)。
そういった雑音を全てはね除けるようなサウンドを求め、バンドは最初のピーク‥‥頂点へと突き進むのでした。

▼ZIGGY『それゆけ!R&R BAND REVISITED』
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