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2003/07/14

JUDAS PRIEST『DEMOLITION』(2001)

先日前任ボーカリスト、ロブ・ハルフォードの復帰が発表されたばかりのヘヴィメタル界のゴッド的存在、JUDAS PRIEST。来年2004年でバンドのデビュー30周年なんだそうで。そういうこともあっての『全盛期メンバーでの復活』ということになったんでしょうね。ただ、ここでいう全盛期ってのは'80年代の黄金期メンバーではなくて、あくまで'90年の名盤「PAINKILLER」発表時のメンバーってことなんですよね。ま、今更ドラマーをスコット・トラヴィス以外の人に戻すのもどうかと思うし、メンバー的には何にも問題ない、はずなんですが‥‥どうにも釈然としないわけで。何故なら、ロブと入れ替わるように脱退した二代目シンガー、ティム・リッパー・オーウェンズの存在が気になるからですよ。

今回紹介するアルバムは、現時点での最新オリジナルアルバムで、そのティムが加入して2作目となる2001年夏の作品「DEMOLITION」。実はリリース当時、よく聴き込まなかったんですよね‥‥アルバムリリース前後に丁度今の家に引っ越したので、そのドタバタで買ったはいいけど聴く暇ないまま忘れ去られてしまったという。尚かつ、そのままフジロックに行っちゃったりロッキンジャパンフェスに行っちゃったりしたもんだから‥‥そういう『メタルを聴き込むモード』になれなかったんですよね。

んで、今日このロブ復帰劇を知り、改めて聴いているんですが‥‥全然悪くないじゃん。むしろ前作「JUGULATOR」('97年)の数倍素晴らしい内容じゃないですか? メタルファンからすれば「‥‥今更何言ってんの!?」って憤慨するかもしれませんが、これが偽らざる正直な感想なんだから仕方ないです。ゴメンナサイ。

基本的に俺、プリーストは'80年代普通に聴いてきて、そこまで入れ込む程に思い入れがあるかと問われれば「‥‥別に」と答えちゃうような、そんな接し方だったわけですよ。ところが、'90年秋にリリースされた「PAINKILLER」。これで全てが変わっちゃうのね、俺の中で。とにかく聴き込んださ。んで、来日決まれば浪人生なのにも関わらず、青山チケットエージェンシーに予約整理券を貰う為に始発で行って並んだりして。そのくらい、当時19才だった俺に衝撃を与えた1枚だったわけですよ。

勿論、その頃には彼等の全作品は網羅していたし、「PAINKILLER」が全てだとは思わなかったんだけど、どうしてもこのアルバムがひとつの基準になってしまってたのは確か。仕方ないか。

だからね、その後の彼等‥‥ロブのFIGHTやTWOといったソロ・バンド、そしてティムが加入したプリーストに対して、どうしても本気ではのめり込めなかったのね。そりゃいいアルバムだとは思ったけどさ‥‥

そういう視点で見るとこの「DEMOLITION」というアルバムは、「PAINKILLER」とは全く異なる内容で、ああいうレベルには達していないと思う。でもね、プリーストという『息の長い、歴史のあるバンド』という観点から見ると、非常に安定した『2001年のプリースト』を見事に表現したアルバムだな、と思えるわけ。この違い、判っていただけるでしょうか?

確実に現代的な要素を取り入れつつ、その骨格を形成してるのは'74年にデビューして、'80年代にヘヴィメタルという音楽を普及させ、'90年に「PAINKILLER」という素晴らしいアルバムを作りだしたJUDAS PRIESTというバンドなわけ。つまり、現代的なサウンド・アレンジを取り入れつつも、その根底にあるものは何ら変わっていない、むしろ曲そのものは非常にプリースト的なんですよね。勿論、全てのサウンドが現代的というわけではなくて、所々に'80年代的‥‥「TURBO」('86年)や「RAM IT DOWN」('88年)といったアルバムの要素を感じさせるし、当然「PAINKILLER」で魅せた要素もあれば前作「JUGULATOR」的な要素もある。これって結局、前作をリリースしてツアーに次ぐツアーを重ね、過去の楽曲と新曲を同じように演奏し続けた結果なんじゃないかな、なんて思うんですけど‥‥ま、門外漢の意見なんですけどね。

個人的には速い曲がメインになっていない点(=ミドルヘヴィチューンが大半)、しかもそのミドルチューンが前作みたいに退屈じゃないこと、更に泣きのバラードが数曲収録されている点が大きいですね。これだけで評価がググンと上がってますし。そして、それらの楽曲を時には前任者をイメージさせる歌い方で、そしてその殆どで彼自身以外の何者でもないという歌唱を聴かせてくれるティムの表現力。このアルバム一番の肝はそこだと思うんですよね。

これに続くアルバムがどういう感じになるのか‥‥ロブのHALFORDもいい感じで成功してただけに、その融合となるような凄まじい内容になるのか‥‥リリースはまだまだ先の話ですが、これはちょっと注目に値する作品になるのだけは間違いないですね。



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投稿: 2003 07 14 03:31 午前 [2001年の作品, Judas Priest] | 固定リンク