« JEFF BECK『WHO ELSE!』(1999) | トップページ | 安倍なつみ『22歳の私』(2003) »

2003/08/11

DEAD END『shambara』(1988)

自身の音楽人生に於いて『原点的存在といえる重要作品』を紹介していくという企画。その第二弾となるのが、'80年代中~後期に活躍した日本のバンド、DEAD ENDのメジャー第二弾アルバム(通算3作目)「shambara」。そうですね、前回紹介したGUNS N'ROSESとほぼ同時期にここ日本で活躍したバンドになるわけですが、このバンドの場合‥‥カテゴライズに困るというのもあるんですが、とにかく活動期間が短くて(メジャーでアルバム3枚、実質3年ちょっとしか活躍してないわけですよ)、逆に今の若い子なんて知らなくて当たり前な存在ですよね。ま、例えばこのアルバムからプロデューサーが、後にかのL'Arc-en-Cielを手掛ける岡野ハジメ(元PINK)だなんてことから、ラルクが影響を受けたバンドとして一部ファンの間では知られているし、また元黒夢~現SADSの清春が最も影響を受けたバンドとして名前を挙げることが多いのも、このバンドだったりするわけで‥‥そういった関係で、ビジュアル系の元祖的に捉えられているかもしれませんね。ま、それもあながち間違いではないんですが‥‥元々はこのバンド、メタルバンドなわけですよ。それこそ、X(後のX JAPAN)的というか。いや、実際には全然違うわけですが。

俺ね、それまでDEAD ENDってそんなに興味がなかったのよ。インディー盤はまぁカッコイイかなぁなんて思ってたけど、メジャー1発目「GHOST OF ROMANCE」ってアルバムが何となく苦手で。今では全然そんなことないんですが、16才の俺はそう感じてたんですね。元々ニューロマンティックとかビジュアル要素の強いロック/ポップスが好きだったし、ゴス系やそういった影響を受けたパンク~ニューウェーブなんてのも好んで聴いてたわけですが‥‥これだったら、まだGASTANKの方がカッコイイじゃない?とか思ってた程で。

ところがね、'88年にリリースされたこのアルバムを聴いて、印象が全然変わっちゃったのね。いや、正確には「変わった部分」と「変わってない部分」がしっかり同居してるんだけど、俺にはもう‥‥1曲目"Embryo Burning"のインパクトがかなり強烈だったわけ。つうか何、このギターオーケストレーションによる大袈裟なイントロは!?って。いや、大好きなのよ、こういったクラシカルな要素を持ちつつ、それでいてモダンなサウンドっていうのが(勿論、「モダン」ってのは当時の話ね)。で、しかもあの流れるような怪しいメロディに魑魅魍魎な世界観の歌詞。実際には魑魅魍魎度は前作より退化してるんだけど、それでもこういうサウンドに見事マッチしてるのね。前作までが「アングラなメタル」だとしたら、このアルバムでのサウンド・メロディ・歌・アレンジ全てが「ムーディーなゴシックロック」という方向に進んでるように感じられるんだわ。アレンジなんて本当に凝ってるし、実際各メンバーの技量ってのはハンパじゃないわけだし、それに見合った複雑で、けどそれでいてポップでキャッチーな演奏・アレンジだったりするんだよね。リリースから15年以上経った2003年に聴いても(多少の古臭さは拭えないものの)全然アリなんだよね、不思議と。

例えばね、このアルバムの前年('87年)にリリースされたDEF LEPPARDの「HYSTERIA」とか、当時一部で台頭していたポンプ・ロック(プログレ風味の強いロック/ハードロックバンドを指してこう呼んでいた時代があったのです。MARILLIONなんかがそう呼ばれていたと記憶してます)等からの影響や流れも感じるし、同時にプロデューサーである岡野ハジメが在籍していたPINK的なものも感じられなくもない。それでいてギターソロなんてまんまマイケル・シェンカーみたいなメロウで泣きまくりだし、リフやバッキングはただ歪んだ音1色ではなく、クリーントーンやいろんなエフェクターを通したサウンドを取り入れたり‥‥って、まんまその後のビジュアル系ですよね、この流れ。そうね、確かに彼等があのまま活動を5年、10年と続けていたら(それって全く想像できないわけですが)、ビッグヒットこそないものの、多分カルト的な人気バンドになっていたのかもしれませんね。

個人的にはアルバムトップの"Embryo Burning"や、ミドルヘヴィな"Junk"や"Blood Music"、最近でいうとGacktなんかがやっても何ら違和感のない中東風アレンジのアコースティックナンバー"Heaven"みたいな曲が特に好きだったりするんですが(勿論、その他の『前作の流れを組むメロウなハードロックチューン』も大好きですよ)、中でもとりわけ、アルバムラストの"I Can Hear The Rain"というマイナーチューンがね、もう大好きでして。英語詞の、泣きのギターソロ炸裂の名曲なんですよ。ダークなAメロ、それに相反する情熱的なサビやエンディングといった素晴らしいメロディ、派手さはないものの的確にメロディを盛り上げていくリズム隊。けどね、やっぱりこの曲のメインはギターなわけですよ。メインリフ部分に挿入されるアコギや、歪んだバッキングと共に鳴っているクリーントーンのアルペジオ、どれを取っても印象的なんですね。ギター弾きの人には是非聴いて欲しい名プレイだと思っております。いや、このアルバムでの足立祐二(Gt)のプレイは特筆すべきポイントが山程あるんで、是非機会があったら聴いてもらいたいですね、うん。

個人的には足立のギターよりもボーカルのMorrieからの影響の方が強いんですけどね。ホント、「伝説の~」って表現がピッタリなバンドですよね。たった数枚のアルバムを残しただけで未だにこうやって語られる機会があるってことは、それだけ強烈なインパクトを当時放っていたってことですからね。リアルタイムで通過した人達は、今でも彼等を引きずってたりするんじゃないかな?(ま、当然俺もそのひとりなわけですが)



▼DEAD END『shambara』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 08 11 07:47 午前 [1988年の作品, DEAD END] | 固定リンク