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2003/08/15

U2『WAR』(1983)

自身の音楽人生に於いて『原点的存在といえる重要作品』を紹介していくという企画第三弾は、今やロック好きならその名を知らぬ者はいない程にまで巨大化してしまった、アイルランドが誇る不動の4人組、U2。巨大化してしまった後しか知らない人にとって、'80年代前半にリリースされた4枚のアルバムってどういう風に映ってるんでしょうか? まぁ数年前にその'80年代の代表曲をまとめたベスト盤も出たので、特にどうとか思わないのかもしれませんが、この自分にとっては‥‥勿論オールタイムで気に入っていますが‥‥この「WAR」というアルバムとの出会いが、その後の人生を変えてしまったと言い切っていい程、重要な役割を果たしてるんですよね。

というのも‥‥このサイトを観てくださってる人の中にはバンドをやってる(た)人って、少なからずいると思うんですよ。で、そういう人達、特に楽器を弾く人達に聞いてみたいんですが、皆さんはどういう切っ掛けでその楽器を手にしたのでしょうか? モテたいから? バンド始めたはいいけどそのパートしか残ってなかったから? 親に勧められて? 理由はいろいろでしょうけど、やはり大半の人達は「ある特定のアーティストに憧れて」っていう理由なんじゃないですかね? だって俺、そうだったもん。

小学生の頃、何となく友人の勧めでロックを聴き始め、ロックギターの格好良さに惹かれたものの、決して自らは手を出そうと思わなかった世界。何故なら俺、幼い頃からピアノだのエレクトーンだのといった鍵盤楽器を習ってたんですよ。だから最初はそっち(ピアノとかシンセの音ね)に惹かれてた部分が大きかったんですよね、ロックの世界って。けど、そんな俺にも転機が訪れまして‥‥エディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALENのギタリスト)との出会いです。彼のプレイに耳を疑い、そして実際に弾く姿(PV)にヤラれ。「ロックギターってメッチャカッコイイじゃんか!」と。で、手を出すわけですよ、ギターを持ってる友人の家で。まぁ当時はフォークギターでタッピングやらライトハンド奏法の真似事をするわけですが、当然あんな風に弾けるはずもなく。小学生の少ない小遣いでバンドスコアを買ってきて、弾ける奴にタブ譜の読み方教わったり、コードを教わったり‥‥で、敢えなく挫折。ま当たり前の話ですが。

その後、ギターを弾く真似事は暫く控えるようになるわけですが‥‥このバンド、このギタリストとの出会いがまたまた俺を悪の道へと引きずり込むわけですよ。そう、それがU2であり、そこのギタリストであるエッジなわけです。

初めて本気で「こういう風なギターが弾きたい。弾けるようになりたい」と思わせたのがエッジ。見た目の格好良さとか派手さではなく(=エディ・ヴァン・ヘイレン)、その音色だとか和音に惹かれたわけ。で、その手ほどきをしてくれたのが、「WAR」だったと。

今聴けば、もう単純にギターの格好良さだけでなく、ドラムの音色や迫力だったり、若き日のボノのシャウトだったり、曲の若々しさ・熱さだったり、そういった「惹かれる」要素は沢山あるわけですが、もう10代前半の自分にとっては「カッティングやコードストロークの格好良さ、音色・ハーモニクスの綺麗さ、曲によって挿入されるアコギの格好良さ」が全てだったわけ。だってさ、ロックアルバムで「ああ、アコギが入るとこんなにカッコイイんだ」って初めて思わせてくれたの、ROLLING STONESじゃなくてU2でしたからね、自分にとっては。そのくらい、その後自身で音楽を作る上で非常に重要な要素になったアルバムなんですね。その後、ストーンズやらAEROSMITHのアルバムにもそういったアコギの要素を再発見して、おおっ!って唸るようになったりで、そういう事に気づかせてくれた大切な存在でもあるわけですよ。

勿論、曲のカッコ良さは言うまでもないですよね。いきなり"Sunday Bloody Sunday"ですからね。って俺、この曲のカッティングやストロークにヤラれたのが切っ掛けなわけですが。いや、違うな‥‥最初はあれか、1枚前のアルバムに入ってた "Gloria" のPVでか? どっちだったかなぁ‥‥まぁいいや。とにかく何かの切っ掛けでU2という名前を知って、このアルバムに手をだした、と。最初はレンタルレコードだったわけで、当然アナログレコードからカセットテープにダビングしたものを聴いてたわけです。で、数年後に輸入アナログ盤を買って、更に数年後にCDも買って‥‥ってGUNS N'ROSESじゃないけど、何度か買い揃えてるわけですよ。アナログとCDとで持ってる作品ってそんなにないけど‥‥ガンズのファーストと、エアロの「LIVE BOOTLEG」と、DURAN DURANの「ARENA」と、ブルーハーツのファースト、尾崎豊の「回帰線」、それとモーニング娘。のベスト盤くらいか(‥‥って最後のは蛇足だけどな)。

脱線、脱線。アルバムの内容だったね。というわけでアルバム1曲目はそういうわけで文句なし。2曲目の"Second"も独特な重さとメロの冷たさがいい感じで、これまたアコギがカッコイイ。3曲目"New Year's Day"も言うまでもない程の名曲。ピアノのフレーズ、よく真似したなぁ。で、そのバックにフェードインしてくるカッティングがまた絶妙に格好良くて。アームバーを使ったあのギターソロもコピーしたよなぁ。俺、ギターに付いてるあのアームってやつ(「ってやつ」って)、使わない派なのね。初めて買ったギターはストラトだったから付いてたけど、ガキの頃に真似事で使っただけで、その後は外してたし。それから買ったギターって全部アームが付いてないやつばっかり。テレキャスターでしょ、レスポールでしょ、SGでしょ。自分が「生涯一リズムギタリスト」っていう信念があるもんだからね。いや、ソロを弾いたりもするんですが、どうしてもリフやバッキングを弾いてる時の方が数倍気持ちいいわけで。ギターがもうひとりいるバンドだったら、そいつが弾くリフやバッキングと違うことを弾いたりという。そういうのが好きなのね。

‥‥ってまた脱線してるし。っていうか何時から全曲解説になってるんだ、これ。危ないアブない。とにかくその後も熱い疾走チューン"Like A Song..."や"Two Hearts Beat As One"だったり、アイリッシュ特有の暗さ・冷たさなのかどうかは判りませんが、とにかくそういう色を感じさせる"Drowning Man"や"Red Light"、"Surrender"だったり。ちょっと彼等にしては風変わりな"The Refugee"だったり、当時のライヴではかならずラストに演奏されていた隠れた名曲"40"だったり。10曲中10曲がどれも思い出深いものばかり。ホントによく聴いたなぁ、歌詞の意味も判らずに。

アルバムタイトルから、このアルバムは『戦争(=北アイルランド紛争)』について歌われているのかな、なんて思った時期もあったのですが、後に読んだインタビューでボノは「(このアルバムは)国vs国、宗教vs宗教といった大きな争いだけではなくて、もっと個人レベルの‥‥恋愛についてだったり、家族についてだったり、人間の内なる葛藤についてだったり、そういった身近にあるレベルの争い、そういった全てのことについて歌ってる」というようなことを語っていたと記憶してます。確かに"Sunday Bloody Sunday"みたいな直接的な歌もあるんだけど、それだけじゃない。もっと深い意味を持つ曲もある。(今、ふとアルバム付属のライナーノーツに目をやる)あ、書いてあるじゃん、アルバムタイトルの意味について。全く同じようなこと書いてるわ。あ、もしかしてこのライナー読んでそれを記憶してたのか? ま、どっちでもいいや。そう、俺が言いたかったのは「このアルバムのタイトルは『WAR』、もしくは『LOVE』にしようと考えていた」っていう、ボノの言葉ですよ。戦争と愛、LOVE & HATE、それらは表裏一体なもの。だからこそこのアルバムには熱さや力強さの中から、優しさをほんのりと感じるわけ。そしてそれこそがU2の持ち味なわけですよ。今も昔も変わらず、ねっ?

だいぶ長くなっちゃいましたが‥‥それだけ俺にいろんなことを教えてくれた、大切なアルバム。今でもU2の中ではこのアルバムが1,2を争うほどに好きなのね。気づけばリリースから20年も経ってしまったわけですが('83年リリースだしね。ってことは、既に彼等と出会って20年も経ってしまったというわけか‥‥そりゃそうだ、当時このアルバムと出会った頃はまだ小学生か中学生だったわけだしね)、全く色褪せない力強さと優しさ、そして作品としての素晴らしさにはただただ感服するばかり。もっとも、彼等のこれ以降の作品はどれもそういうものばかりですけどね。

‥‥あーやっぱり自身の原点や歴史を語ろうとすると、長くなっちゃうもんですね。最近は意図的に短く、短くまとめてるつもりなんですが‥‥このサイトを始めた頃って、全部こんな長文だったんですよね。ああ、昔に戻ったみたいだわ。つうか自身に制限とか設けないと、ホントにこの調子ですからね。このシリーズ、毎回こんな感じでいこうかしら?(読む方は大変だろうけどね!)

あ、最後に。このアルバムの音・世界観が気に入った人は、是非彼等のライヴアルバム(「WAR」ツアーで録音されたもの)「LIVE "UNDER A BLOOD RED SKY"」も聴いてみてください。初期の4ピースバンドとしての、最高に輝いていたU2を余すことなく収めているんで。まぁもっとも、俺は当時のライヴは観れてないので、実際にはもっと凄かったとは思うんですけどね。最近('90年代以降)の彼等しか知らない人にこそ是非触れて欲しいアルバムですね、「WAR」とそのライヴ盤は。



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投稿: 2003 08 15 05:20 午後 [1983年の作品, U2] | 固定リンク