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2003/09/01

Cocco『ベスト+裏ベスト+未発表曲集』(2001)

  2000年10月6日、日本武道館でのステージを最後に彼女はステージを降り、そして翌2001年4月20日の「ミュージックステーション」出演を最後に彼女は完全に我々の前から姿を消しました。「音楽活動中止」という、ちょっと考えられないようなショッキングな出来事。それが現実に起きてしまったのです。Coccoというアーティストの特異性を考えると、それは至極当たり前のことなのかもしれないな‥‥当時は残念だという思いと同時に、そうも考えてみて自分を納得させてみたものです。

  しかし、あれから2年半近くが経ち、彼女は二度我々の前に姿を現した。一度目は沖縄で、そして二度目は昨日(8/31)神戸(野外イベント「RUSHBALL」)で。彼女は自らギターを弾き、新しい歌を2曲披露した‥‥これがどういった意味を持つのか現時点では判りません。完全復活の序章なのか、それとも単なる気まぐれなのか。そういえば音楽活動中止後すぐに大阪で深夜弾き語りをした、といった話もありましたが‥‥

  J-POPと呼ばれる日本の音楽界の中で今現在、所謂「情念系」(なんて呼び名、ホントにあるのか!?)とカテゴライズされる女性シンガーにとって、そのお手本のひとりとなっているのは間違いなくCoccoでしょう。'90年代末、椎名林檎と双璧を成すかのように語られることの多かったCocco。林檎も長い沈黙の末、ようやく今年完全復活しました。ま、Coccoの場合とは状況が全く違いますからホントは比べるのもアレなんですが。

  このベストアルバムは、彼女が完全に人前から姿をくらました後にリリースされた2枚組。選曲自体は彼女が行っていて、そのタイトル通りシングルコレクション的側面もあり(とりあえず公式リリースされたシングルタイトル曲は全部収録)、そのカップリング曲やアルバム収録曲で彼女が気に入っている曲を「裏ベスト」と呼び、更には完全未発表の新曲を5曲(初回盤には更に2曲入りCDシングルが収録されていたので、未発表曲は都合6曲ということになりますが)収録。全26曲(初回盤は28曲)というボリュームもさることながら、やはり改めて思うのはその楽曲の素晴らしさ、そして時に優しく、時に刺さるような表現(歌詞や歌唱)の素晴らしさ。既発曲については以前自分が書いたレビューを読んでもらえばいいし、未発表曲に関してはこちらで当時の担当ディレクター氏が解説してくれてるので、それを読んでみてください。

  ‥‥ってそれじゃこのレビューも終わっちゃうじゃん。いや、とにかく一度この2枚組をじっくり腰を据えて聴いてもらいたいし、何度か聴き終えた後に俺の書いた全作品レビューと上の寺田氏の解説を読んでくれればいいと思います。特に「まだ一度もCoccoの歌に触れたことのない人」や「シングル曲は何曲か知ってるけどアルバムまでは手を出したことがない人」には、こんな駄文を読む前にまず一度聴いて欲しいな。まぁこれを読んで興味を持って、それから聴いてくれるのもアリだけどさ。

  個人的なこのアルバムのハイライト、それはディスク2ですかね。名曲"焼け野が原"でいきなり目頭が熱くなるし、続けざまに"ポロメリア"、"あなたへの月"、"星に願いを"、"けもの道"って流れ、反則過ぎ。更に後半‥‥超名曲"遠く儚い者たち"、未発表曲にして名曲の仲間入りを果たした"もくまおう"、初期の隠れた名曲である"星の生まれる日。"ときて、最後の最後に‥‥ラストツアーとなった2000年秋のツアー、そして先の武道館公演でも歌われ、その日歌われた未発表強の中では一番印象に残った"荊"で終わる流れ‥‥何故こういう曲順になったのか、それは本人に聞いてみないと判りませんが(上の解説によると、この曲をアルバムラストに選んだのはCocco本人だとのこと)‥‥もの凄くCoccoらしい終わり方だな、と。このベストを聴いて、彼女の音楽活動中止を妙に納得できたんですよね‥‥ああ、ホントに一度完結したんだ、って。

  そして彼女は再び人前に立った。今後のことは判らないけど‥‥期待しちゃってもいいんですよね? まだ「おかえりなさい」は言わないでおくよ。けど、いつ帰ってきてもいいように、みんなもこのベスト盤やオリジナルアルバムを聴いてちゃんと予習・復習しておこうよ。そして本当の復活の日には‥‥みんなで声を大にして言ってあげようよ。「おかえりなさい」って。



▼Cocco『ベスト+裏ベスト+未発表曲集』
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投稿: 2003 09 01 12:00 午前 [2001年の作品, Cocco] | 固定リンク