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2003年10月23日 (木)

KORN『LIFE IS PEACHY』(1996)

前2回が既に解散してしまっている、あるいは一旦解散し最近再結成したバンドの、10数年前の作品だったわけですが、今回は比較的最近……といっても既に7年も前なんですけどね。やっぱり俺にとっては「最近」だわ、悪いけど。そんな今でも現役で活躍するKORNのセカンドアルバム『LIFE IS PEACHY』を取り上げたいと思います。

正直な話、今回の企画で取り上げるバンド/アルバムはどの時期からどの時期までのものにするか、これに非常に悩むわけです。当初考えていたのは「'80年代末~'90年代初頭のオルタナ/クロスオーバーに括られたバンド達、そしてその後に現れたシアトル勢」を中心に、最後はRAGE AGAINST THE MACHINEが登場する辺り(それでも'92年頃ですからね、彼等のデビューは)とカート・コバーンの死('94年)辺りまでにしようかと考えてたんですよ。だってさ、誰もKORNのことをオルタナなんて呼ばないでしょ? アルバム出せば常にチャートのトップ3に入るような「メインストリーム」的存在なわけですから。けど、彼等だって最初からヒットチャートの上位組だったわけじゃない。そんな彼等にも切っ掛けとなる作品があったわけで。それがこのアルバムなわけですが(ま、切っ掛けとかいいながらも全米初登場3位を記録したヒット作なんですけどね)。そういった意味で、文字通りの「オルタナティヴ」だった時期‥‥ま、ほんの一瞬ですけどね‥‥を紹介するって意味で、敢えてKORNのこの作品を「オルタナティヴ」で括ってみようと思ったわけです。勿論この辺の解釈は人によって全然違うでしょうから、ツッコミはナシの方向で。ひとつヨロシクです。

このアルバムを、当時付き合いのあったとあるバンド(一時期メジャーでも活躍し、現在もインディーシーンで活躍し続ける某ラウド系バンド)のギタリストから教えてもらって買ってみたわけですが‥‥やっぱりね、いきなり頭の理解不能な言語的歌唱法で度肝を抜く "Twist" にやられるわけですよ。そして組曲的に流れている "Chi" にノックアウト。この2曲で購入するに十分なインパクトを与えられたわけです。CDショップの視聴機の前で固まりましたもん、あまりの衝撃に。

所謂「KORNタイプのバンド」なんて表現は、このアルバムから生まれたといっていいでしょう。プロデュースを手掛けるロス・ロビンソンが得意とする生々しいミックスが功を奏して生まれた「KORNサウンド」は、ロビンソンが関わらなくなったその後の2作でも引き継がれたりしましたが、現在ではちょっと変わった、好き嫌いが分かれるサウンドに変化しています。

スカスカなスネアドラムのサウンド('02年の5作目『UNTOUCHABLES』から厚みのある太いスネアサウンドに変化してます)、ゴリゴリでパキパキする5弦ベースの音、不協和音的なハーモニクス音を奏で、絶妙にリフとリフが絡み合う2本の7弦ギター。そしてジョナサン・デイヴィスによる、時に人間離れした歌唱法、時に感極まりすぎて本当に泣いてしまうそのボーカルスタイル……全て'90年代半ばにおいて新鮮であり強烈なインパクトを持っていたわけです。

このアルバムにはその後も代表曲として演奏し続けられている「Good God」や「Wicked」(ラッパー、アイス・キューブのカバー)、「A.D.I.D.A.S.」、上記の「Twist」~「Chi」の他に、WARのカバーである「Lowrider」('80年代にスラッシュメタル・バンドのEXODUSもカバーしてました)や不気味な「Kill You」といった人気曲が幾つも収録されています。一聴して取っつき難いようなイメージがあるんですが、実は曲自体は意外とポップなんですよね。ヒップホップ的なスカスカのリズムを取り入れたり、ラップなのか歌ってるのか判らなくなるような歌メロがサビに入ると急にポップでメロウになったり(あるいはその反対に、デスメタル調に絶叫するだけの轟音になったり)、とにかく変化自在。先駆者としてFAITH NO MOREという偉大なバンドがいましたが、彼等がもっとプログレチックなのに対し、KORNはもっとユルユルなんですよね。リズムの取り方の違いってのも大きいでしょうけど、やっぱりこの人達が元々はヘヴィメタルが大好きだった、その後ヒップホップ等の洗礼を受けるという、正に俺なんかの世代と同じ流れなんですよね。確か年齢的にも近いし。聴いてきたものが恐らく似てるんだと思いますよ(ガキの頃に流行った、あるいは人気があった音楽を共に聴いてきてるでしょうし)。世代的にはひとつ上になるFNMとはそういった点で相違点が出てくるんでしょうね。

とまぁ、他のアーティストとの比較はさておいて、所謂「レイジ以降のラップメタル/ラウドロック」と呼ばれるようなバンド群の中で最初に数歩リードしたのがKORNであり、それを自ら『FOLLOW THE LEADER』なんてアルバムタイトルに引っ掛けたりする程、'96~'99年頃のKORNは神がかっていたといっていいでしょう。'98年のサードアルバム・リリース直前のフジロック@豊洲、そして'99年初頭の単独来日‥‥これ以降彼等は日本の地を踏んでいないわけですが‥‥やっと、5年振りに帰ってきます、6作目のアルバム『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』と共に。

そうそう、KORNといえば「ファミリー・ヴァリューズ・ツアー」についても書いておかなければいけませんね。KORNが中心となって、彼等と親しいバンドや注目のバンド数組を引き連れて行うパッケージ・ツアーのことで、'98年からスタートしていて、当時はまだ無名だったINCUBUSやブレイク前夜のlimpbizkitも出演していました。その後、親バンドがリンプになったり等して数年続きました。所謂「ロラパルーザ」の縮小版みたいなもんでしょうか。如何に当時のKORNがシーンを率先していたかが伺えるエピソードなのではないでしょうか。



▼KORN『LIFE IS PEACHY』
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