« ミニモニ。『CRAZY ABOUT YOU』(2003) | トップページ | KOOK『the beautiful scum』(2000) »

2003年10月17日 (金)

SOUNDGARDEN『BADMOTORFINGER』(1991)

'90年代初頭にアメリカはシアトルを中心に勃発した「グランジ・ムーブメント」。その代表的バンドのひとつに挙げられるのが、今回紹介するSOUNDGARDEN。彼等はシーンの中でも古参と呼べる存在で、既に'80年代半ばから活動していて、'87年には既にEPをリリースしていた程。そしてメジャーデビューもシーンの中ではかなり早く、'89年秋に「LOUDER THAN LOVE」でここ日本でもデビューしている程(当時の「BURRN!」ディスクレビューを読んで惹かれた俺は、このアルバムで彼等と出会い恋に落ちるわけです)。しかし来日となるとかなり遅く、大ヒット作「SUPERUNKNOWN」リリース直前の'94年2月、しかもクラブチッタ公演(当然俺も行きました)。如何に彼等がここ日本で過小評価されていたかが伺えるエピソードではないでしょうか。

今回紹介するのは、'91年秋にリリースしたメジャー2作目、通算3作目となるアルバム「BADMOTORFINGER」です。このアルバムで一気にブレイクを果たしたといっていいでしょう。しかしリリース当初はまだグランジ・ムーブメント勃発前。NIRVANAの「NEVER MIND」やPEARL JAM「TEN」とほぼ同時期のリリースだったのですが、ここ日本では2枚目のアルバムということもあり、また当時かの伊藤政則氏が積極的に自身のラジオやイベントでSOUNDGARDENの "Jesus Christ Pose" をかけたことでその名前やサウンドはある程度認知されていたようでした。しかしそれも一部のメタルファンにのみ。普段「rockin'on」等を読む音楽ファンには見向きもされない存在だったのです。

そんなSOUNDGARDENがブレイクする切っ掛けが'92年に入り、幾つか訪れるのです。まず2月のグラミー賞「ベスト・メタル・パフォーマンス部門」へ "Jesus Christ Pose" がノミネートされたこと。残念ながらこの年の受賞者はMETALLICAのブラックアルバムだったわけですが、それでもANTHRAXやMEGADETH、MOTORHEADといった錚々たるメンツの中に唯一、誰だこれ?的存在が食い込んだのですから、それだけでも大健闘ですし、名前を売るいい切っ掛けになったはずです。

そしてその後のNIRVANA、PEARL JAMの大ブレイク。そう、PEARL JAMのブレイクがSOUNDGARDENに思わぬ幸福をもたらします。PEARL JAMのメンバーが以前在籍していたMOTHER LOVE BONEというシアトルのバンドのシンガーが亡くなったことを切っ掛けに、SOUNDGARDENのクリス・コーネル、マット・キャメロン、PEARL JAMのストーン・ゴッサード、マイク・マクレディ、そしてエディ・ヴェダーによるユニット、TEMPLE OF THE DOGのアルバムが'91年5月にひっそりとリリースされていたのですが、これがPEARL JAMブレイクの余波で'92年春~夏にチャートを急上昇し、結果ビルボードのトップ5入りしてしまうのです。

こうしたチャンスを得て、この「BADMOTORFINGER」はリリース後1年経った'92年夏に再びチャート急上昇、結果アルバムチャートのトップ40入りし、100万枚以上ものセールスを記録することになります。

このバンドの凄みはやはりなんといっても「パンクの精神を持ったBLACK SABBATHにロバート・プラント(LED ZEPPELIN)が加入した」かのような音楽スタイルでしょう。時に滅茶苦茶ヘヴィ、時にパンキッシュな疾走感、時にZEP並みにブルージー、等々‥‥とにかくNIRVANAのようなバンドとも、ましてやPEARL JAMとも違った独自性を持ったバンドだったと言えます。実は最もオーソドックスなハードロックスタイルを持ちながら、それでいてオルタナティヴな要素・世界観を前面に押し出す。ギターリフといいソロといい、そしてクリスの歌唱スタイルといい完全にハードロックのそれなのですが、いざバンドとして演奏すると必ずしもそうとは言い切れないような独特な空気感を生み出す。その後登場したグランジ~ラウドロックの若手バンド達が如何にこのバンドから影響を受けたか、このアルバムを聴いていると自ずとそれが見えてくるはずです。

しかし‥‥リリースから12年経った今聴いても、本当にオーソドックスで、それでいて風変わりなハードロック・アルバムだなぁ。現在クリス・コーネルがやってるAUDIOSLAVEと比べてみても判るように、SOUNDGARDENよりもAUDIOSLAVEの方がもっとオーソドックスなハードロックに感じちゃうんだから‥‥そういう意味では、本当に上記の「パンクの精神を持ったBLACK SABBATHにロバート・プラント(LED ZEPPELIN)が加入した」みたいなキャッチフレーズがお似合いなバンドだったんだなぁ、と。

とにかくアルバムの頭4曲だけでいいんで、視聴してみて欲しいな。NIRVANAやPEARL JAMは知ってるしAUDIOSLAVEはRAGE AGAINST THE MACHINE絡みで聴いてるけど、クリス・コーネルもSOUNDGARDENも知らないって若者よ、"Rusty Cage" の疾走感に、"Outshined" のうねりに、"Slaves & Bulldozers" の地獄の底から押し寄せるヘヴィネスに、そして "Jesus Christ Pose" のカッコよさに痺れ、やられるがいい。そこまで聴いてしまえばもうこっちのもの、後は最後まで身を委ねるだけですよ。ホントいいアルバムだなぁ、これは。

バンドは'97年4月に突然声明を発表して、いとも簡単に解散してしまうわけですが、現在でもドラムのマット・キャメロンはPEARL JAMで、クリスは先述の通りAUDIOSLAVEでそれぞれ活躍。ベースのベン・シェパードといいギターのキム・セイルといい非常に才能を持ったミュージシャンなので、今後何らかの形で活躍してくれることでしょう(そういえばキムとマットは、日本の亜矢とかいう女性シンガーのアルバムに、元NIRVANAのクリス・ノヴォセリックと共に参加してたみたいですね)。

最後に。このアルバムでハマッた奴ら、是非「SUPERUNKNOWN」も「LOUDER THAN LOVE」も聴いて欲しいです。



▼SOUNDGARDEN『BADMOTORFINGER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

« ミニモニ。『CRAZY ABOUT YOU』(2003) | トップページ | KOOK『the beautiful scum』(2000) »

Soundgarden」カテゴリの記事

1991年の作品」カテゴリの記事

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

カテゴリー

無料ブログはココログ