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2003/10/10

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『GEAR BLUES』(1998)

  THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが1998年11月にリリースした、通算4作目のフルアルバム「GEAR BLUES」。リリース当時、このサイトを始める直線だったんだけど、もうね、このアルバムの話題ばかりだったよ。ミッシェルがとんでもないアルバムを作っちまった、って。本当にギリギリのところまで到達しちゃった感が強い、速さやフットワークの軽さよりも重心の低さ、縦ノリよりも横ノリ、そういった要素を重視した14曲、55分の快楽。なんて言い方はカッコつけ過ぎか。

  前作「chicken zombies」のところでも書いたように、あのアルバムが出た頃、そしてそれから暫くは「このアルバムを越えるのは正直難しいだろうなぁ‥‥」とずっと思ってたのね。ところがさ、それから1年近く経ってリリースされた2枚のシングル、"G.W.G" と "アウト・ブルース"。これが「chicken zombies」の楽曲群よりも遙か先に行っちゃってたのね。特に "G.W.G"‥‥ワザとそんなにいい録音状態じゃなくして、いかにもなガレージ臭をプンプンさせる全体像。正直あれを初めて聴いた時は「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」って思ったもんね。そして "アウト・ブルース" に至っては、初のオリコン・トップ10入りを果たしてしまうんだから。とうとう時代がミッシェルに追いついた‥‥そんな気さえした程、この頃の彼等は上へ上へと昇りっぱなし。そして豊洲でのフジロック‥‥もはや伝説でしょ。マジに時代が追いつく瞬間ですよ、この辺の事象は。

  そういう環境の中で制作され、完成したのがこの「GEAR BLUES」。悪いわけがない‥‥っていうか、言葉にならない程に素晴らし過ぎるのさ。理想的なロックアルバムとか、日本のロックの宝とか、そんな豪勢な比喩はどうでもいいよ。頭からケツまで、ただひたすらカッコイイ。ブッチギリの1枚。

  このアルバムの凄さはズバリ上に書いたように「スピードよりも重さやグルーヴ感」を前面に打ち出したヘヴィサウンドでしょう。ヘヴィといっても昨今のラウドロックのそれではなくて(当たり前でしょ!)、もう全て‥‥彼等が持つ空気感から世界観、表現される一音一音、それによって構成される演奏・楽曲‥‥全てがヘヴィなわけ。「chicken zombies」がどんなものでも簡単に、スパッと綺麗に切れるナイフだとすると、この「GEAR BLUES」は何百キロもありそうなデカい斧。そんな気がしない?

  1曲1曲の素晴らしさについては敢えてここでは書きません。それは聴けば簡単に判ることだから。つうかさ、俺にとってはこのアルバムって "ウエスト・キャバレー・ドライブ" から "ダニー・ゴー" までの14曲が並んだ構成で1曲といった感じなんだよね。「GEAR BLUES」っていう、人間の狂気を切り取ったかのようなサウンドトラック。今でもムシャクシャした時や仕事で疲れて頭空っぽにしたい時は、このアルバムを大音量でかけて車飛ばすもんな。

  このアルバムの頃からつい最近まで、俺は彼等のライヴに足を運ぶことがなかったわけだけど‥‥後悔? そりゃね、観たかったよ。けどチャンスがなかっただけ。そして明日、俺はもう1回だけこの目に焼き付けてくるわけだ‥‥

  これより上はないってくらいの高みまで達し、臨界点を突破するかしないかの状態だったミッシェル。それより上に行ってしまうと、どうなるんだろう‥‥これよりも「良い」アルバムは作れるかもしれないけど、本当にこれより「凄い」アルバムが生まれることがもう一度あるのか。俺にとっての、この長い旅は結局その後4年以上もかかるわけです‥‥。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『GEAR BLUES』
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投稿: 2003 10 10 12:00 午前 [1998年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク