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2003/11/04

Buffalo Daughter『Pshychic』(2003)

  Buffalo Daughter2年振り、通算4作目(でいいんだっけ?)のアルバム、「Pshychic」。これまでは「Grand Royal」からのリリースだったのですがレーベル自体が閉鎖してしまった為、今回から「V2 Records」からのリリースとなっております。しかもこのアルバム(日本盤ね)、通常のCD(CD-DA)とスーパーオーディオCD(SACD)とのハイブリッド盤となっていて、これまで同様普通のCDプレイヤーでも楽しめるし、更にSACDプレイヤーを持っていればもっと高音質のサウンドを体感することができるという代物でして。最近この手のディスクが増えていて面白いなぁとは思うんですが、いかんせんSACDプレイヤー自体を持ってないものでして、そのサウンドの凄さは未だに体感したことはありません。そもそもSACD自体(ハイブリッド盤含む)買うのが今回初めてでして。まぁ結局俺は普通のCDプレイヤーでしか聴けない環境なので、その辺に関しては「音がどう凄い!」等のコメントは出来ないわけでして‥‥

  前作「I」がポストロック色を強めながらもどこか「歌モノ」的雰囲気が強かったこともあり、個人的にはかなり気に入っていた1枚なんですが、この新作ではそういった「歌モノ」的要素はかなり後退、ひとつのフレーズ/リフを延々リピートするという意味では非常にテクノ/トランス的ではあるんですが、そこまで機械的でもなく、リズムの躍動感なんかは完全に「血の通った」リズムといった印象を受けるし‥‥ま、確かに「ポストロック」と呼んでしまえばそれまでなんですが、でも前作とは違ったものを強く感じるし。どっちかっていうと前々作「New Rock」に近いかな、なんて気もするし。多分ストレートなロック色が復活してる分、余計にそう感じるんでしょうね。

  歌にしても「聴かせる」というよりも、楽曲の中のひとつの「フレーズ」といったような使われ方をしてるのが新作の特徴のひとつなんじゃないですかね。そういった使い方は前作にもあったのですが、このアルバムの場合は全てにおいてそういう方向に進んでいるっていう点において、非常に興味深いものを感じますね。曲自体も5曲で51分、殆どの曲が10分近いものだし。そんな長尺な楽曲の中において歌の占める割合は1~2割といった程度。元々このバンド自体がそういった指向性(歌を聴かせる)が強いバンドではなかったわけだから、それはそれで納得いくんですが、それにしてもこの割り切りは正直凄いなと思います。声にしても大野由美子による高音とシュガー吉永による低音のユニゾンが相変わらず気持ちいいしね。

  圧巻なのはやはり、最後に収録された代表曲のひとつ、"303" のライヴテイクでしょうか。これ、20分以上もあるもの凄いテイクでして‥‥実験音楽とか前衛音楽とかいろいろ呼び方はあると思うんですが、素直にすげぇ!と言わざるを得ない1曲ですね。冒頭部での音のやり取りを聴いて引いてしまう人もいるかと思いますが、そのまま聴き続けていると段々リズムが入っていって、楽器がひとつひとつと増えていって、独特なグルーヴが生み出され‥‥いろいろ呼び方/呼び名はあると思うんだけど、ただひたすら凄くて圧倒的。なんていうか‥‥音の広がりも凄く気持ちいいし開放的だし、去年のフジロックで彼等を観たことを思い出す‥‥そんな気持ちいい音。それはライヴテイクのみならず、全体に言えることなんだけどね。

  聴くところによると、ここに収録された殆どの楽曲が一発録りだったとのこと。コンセプトとか決め事等を一切決めずにスタジオで音を出したものを、そのまま収めたのがこのアルバムらしい‥‥ってこれがホントに一発録り!? 楽器やってる人なら判ると思いますが‥‥有り得ねぇ‥‥やっぱ凄いとしか言いようがないわ。世界に出しても恥ずかしくない日本のバンドって沢山いるとは思うんですが、Buffalo Daughterは間違いなくその先頭に立つべき、誇るべき日本のバンドですよ。来年1月にはこのアルバム、海外でもリリースが決定しているそうなので(勿論「V2 Records」からね)、来年は海外での活動が増えることでしょう‥‥そして夏にはフェスで更にひと回りもふた回りも大きくなったBuffalo Daughterを期待したいところです。



▼Buffalo Daughter『Pshychic』
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投稿: 2003 11 04 12:36 午前 [2003年の作品, Buffalo Daughter] | 固定リンク