BRIDES OF DESTRUCTION『HERE COMES THE BRIDES』(2003)
噂の大物バンド、いよいよその全貌を露わにする‥‥といったところでしょうか。
今年に入って元GUNS N'ROSESの残党がSTONE TEMPLE PILOTSのシンガーと共にVELVET REVOLVERという新バンド(プロジェクト?)を結成しましたが、こちらもある意味そういった類のバンドになるのかな。MOTLEY CRUEのベーシストにしてメインソングライターであるカリスマ、ニッキー・シックスが元L.A. GUNSのギタリスト、トレイシー・ガンズと共に結成した新バンド、それがこのBRIDES OF DESTRUCTION。当初は元MOTLEY CRUEの二代目シンガーだったジョン・コラビもギタリストとして参加していましたが(どうやらこのアルバムのレコーディングには一部彼の音がそのまま残されている模様)、結局は新人シンガーであるロンドン・レグランドと、セッションドラマーとして活躍してきたスコット・クゥーガンとの4人編成でいくことになったようです。
で、このアルバム。日本先行で2003年12月にリリースされたファーストアルバム『HERE COMES THE BRIDES』(海外では04年3月に「Sanctuary Records」からリリース予定)。全9曲入り、約37分という決して長くはない収録時間なのですが、それなりに、いや、2003年というこんなご時世に聴くとかなり新鮮な印象を受ける1枚なのかもしれません。
ブレインとなってるのは、明らかにニッキーとトレイシーのふたり。彼らがリーダーとして活動してきた各バンドの色合いを感じさせつつ、それらをヘヴィな音像で表現したかのようなハードロックを展開しています。ダークなんだけど、思いの外ポップなのは、やはり百戦錬磨のニッキー&トレイシーの個性なんでしょうね。ありがちなラウドロックやヘヴィロックへ行かずに、むしろ'80年代後半~'94年頃に時代を席巻したハードロック、といった印象が強い楽曲が並んでいるんですよ。まぁ1曲目「Shut The Fuck Up」みたいなパンキッシュなラウドチューンは、明らかに意識したものなんでしょうけど、その後に登場する‥‥3曲目「I Got A Gun」や4曲目「Two Times Dead」なんて、まんまMOTLEY……ジョン・コラビが参加した『MOTLEY CRUE』でやってそうなタイプですよね。ま、全体的にあのアルバム前後にやってたことや、トレイシーがやってたソロバンド・KILLING MACHINE的なことを新しいシンガーでやってるといった印象が強いですかね。ただ、その割にはMOTLEY色がかなり強いんですが‥‥これはまぁ、ニッキーが現在そのMOTLEYで動けないジレンマをそのまま象徴してるようで、ファンとしてはちょっと複雑な心境なんですが……だってさ、ここでやってるようなことをミック・マーズがギターで、トミー・リーがドラムで、ヴィンス・ニールがボーカルでやれば‥‥勿論これとは違ったものになっちゃうんですけど……十分にカッコイイ作品になったはずなんですよ。けど現実は‥‥いや、このバンドの、このアルバムも十分にカッコイイと思うんですが……暫くこの手のハードロックを聴いていなかったからか、新鮮に感じるものの、結局彼ら(ニッキーやトレイシー)は「グランジ前後」で止まっちゃってるんだな、とも気づかされちゃうわけですよ。いやいや、ここで自分達が最も好きなものを、最も得意とする方法でやってみただけだ!と言われてしまえば納得もしますが……でもねぇ……。
と、ネガティブなことを書いてみたものの、それでも「Natural Born Killers」や「Life」、「Only Get So Far」といった曲を聴くと、やっぱりこの人達のポップセンスは枯れてないよな、とも思うわけで。自分にとって最高のメンツ(MOTLEYの4人)で作ったものじゃないから、「あのメンツなら……」というもどかしさもありつつ、それなりに楽しめてしまう自分もいたりで、本当に心中複雑です。
あ、シンガーのロンドンについても書いておきますか。まだ確たる個性というのは確立してないような気もするんですが、面白いシンガーではありますよね。曲によってイギー・ポップみたいになったり、また時にはフィリップ・アンセルモだったり、あるいはバンドメイトだったジョン・コラビだったり(いや、ジョンというよりもクリス・コーネルなのかしら?)。良く言えばカメレオン的、悪い言い方すれば「他人の物真似」……このバンドでどの程度ライヴをやっていくのか判りませんが、全てはライヴ次第でしょうね。あとさ、このバンドってドラムのスコットもリードボーカル取れるのね。7曲目「Life」で澄んだストレートな歌声を披露してるのが、そのスコットなんですよ。この曲だけ聴いちゃうと、声のせいで……パワーポップ寄りのハードロック・バンドかと錯覚しそうになっちゃうのね。濁声(ロンドン)と澄んだ声(スコット)という対比が面白いと思うし、まぁドラム叩きながら歌ってるので今後どの程度歌っていくのか判りませんが、フロントマンになることはないでしょうから、バランス的にはこれでいいのかな、と。
どうもニッキー絡みになると厳しいことを書いてしまいたくなるんですが、それも彼に対する愛からくる言葉なので。俺の中での最高のロックスター……マイケル・モンローとニッキー・シックスには常に最高でいて欲しいわけですよ。HANOI ROCKSが現在順調に活躍してる反面、MOTLEYは……って悔しい思いをここ数年してるわけですからね。勿論本家で大活躍してくれるのが一番ですが、それでもこうやってフットワーク軽やかに新しいバンドでアルバムを出してくれたことを、今は素直に喜びたいと思います。ライヴも期待していいんですかね?

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