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2003/12/25

MO'SOME TONEBENDER『TRIGGER HAPPY』(2003)

  MO'SOME TONEBENDER、約1年振りのニューアルバムは、再びインディーズからのリリース。メジャーからドロップしてしまったのか、あるいは今回の『作風』が原因で、たまたま今回だけ古巣(インディーズ)からのリリースなのか‥‥真相は判りませんが、とにかくこれはとんでもないアルバムだ、ということだけは間違いのない事実です。

  モーサムというと「ヒンヤリとしてて、鋭くてザクザクするギターと、絶叫に近いボーカルと、それを支える鉄壁のリズム隊」というようなイメージがあると思うんですね。楽曲的にもグランジだったりニューヨークパンクだったり、そういったものからの影響が強い3ピースのロックバンド。シンプルだけに生々しい。ところがこのアルバムはどうでしょう‥‥1曲目の "trigger happy (in the evening)" はまだいいんですよ。オープニングSEと考えれば‥‥納得がいくものだし。しかし、2曲目 "hang song" で我々の度肝を抜くわけですよ。完全に我々が思い描いたモーサムのパブリックイメージをぶち壊す1曲。打ち込みリズムの上を這い回るギターとベース、そしてトランペット‥‥ダブ? ポストパンク? それともポストロック??‥‥いや、ジャンルの括りなんてどうでもいい、とにかく何だかよく判らない「凄み」、あるいは得体の知れない「塊」が我々の耳に、大音量で飛び込んで来る‥‥従来の「らしさ」と新しい「らしくなさ」とを併せ持った "BIG-S"(かのフリクションのカバー)ではスライドギターがのたうち回り、ヒップホップ的手法まで取り入れる。何だこれ!? マジでモーサム、どうしちゃったの!? まぁ普通そう思うだろうね。

  これがね、アルバム1枚ずっと続くわけ。しかも手を変え品を変え、そして表情を変え。けど全てに於いて一環してる点がひとつあるのね。それは‥‥「得体の知れなさ」。とにかく‥‥何だかよく判らない凄さがあるわけ。何度も聴き返して、そして何日も聴き込んでも全然判らない、その凄さの中身。従来の彼等らしくもあるんだけど、これまでとは明らかに違う要素もある。けど、いざアルバム通して聴いてしまうと‥‥間違いなくモーサムそのもの。何なんだろう、これは?

  去年、これに似たような体験をしたことがある。ナンバーガールのラスト作となってしまったスタジオ盤、「NUM-HEAVYMETALLIC」が正にそれだった‥‥あれと全く同じとは言わないよ。あのレベルには正直達してないと思うし、作品としてもモーサムの方はちょっと散漫すぎると思うし。けど、そこに達することが出来るだけの「片鱗」は十分に感じられるわけ。というか‥‥これはもしかしたら、とんでもないモノが生まれる前の「前兆」なのかもしれないよ。何かそんな気がする。

  確かにナンバガにも通ずるようなポストパンク/ダブ的要素もあるのね。ディレイが効いたトランペットなんて正にそれを意識してるし、中には "VIEW VIEW" なんていう「まんま」な曲まであるし。けど、モーサムがナンバガとは違うのは、そこだけに固執してない点。上にも書いたような要素だったり、更にはホントにポストロックに接近しつつあるんじゃ?なんて思わせる "rainy" ~ "candy & friday" ~ "trigger happy (in the morning)" があったり、歌詞も英語や日本語を使い分けてるし(多分、その辺は意識してないだろうけど)、インストものが結構収録されてたり。とにかくひとつ言えるのは、決してモーサムはナンバガにはならないし、目指してないこと。モーサムはモーサムなりの高みを目指しているんだと。このアルバムを聴けばそれは十分に理解してもらえると思います。

  とにかく‥‥何だかとんでもない作品に出会ってしまったような気が‥‥決してこれが「答え」なんじゃなくて、単なる「設問その1」に過ぎないんだろうな、と。間違いなく次の作品はとてつもない、我々の手に負えないような「モンスター」になるんだろうな‥‥そう実感させる1枚。決して彼等のベストアルバムではないんだけど、今後続く彼等の歴史の上で、間違いなく重要な1枚になるアルバム。それがこの「TRIGGER HAPPY」でしょう。そう、間違いなく、ね。



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投稿: 2003 12 25 12:00 午前 [2003年の作品, MO'SOME TONEBENDER] | 固定リンク