TEENAGE FANCLUB『BANDWAGONESQUE』(1991)
明らかに全てを変えてしまった1枚であり、このアルバムによっていよいよTEENAGE FANCLUBはその名を世界中に知らしめたという、記念すべき作品。Creation Recordsからの2作目であり、アメリカではメジャーのGeffen Recordsからの配給第1弾、そして俺が最初に手にしたアルバムでもあるこの『BANDWAGONESQUE』(通算3作目のスタジオアルバム)。「The Concept」「Star Sign」「What You Do To Me」といったシングルナンバー、"Metal Baby"等といったポップで親しみやすい楽曲で構成されれた名盤です。
つうかね……ホントにさ、「The Concept」から緩やかに始まって、「Is This Music?」で再び緩やかに終わる構成といい、その間見事な緩急具合である個性的な楽曲達によって埋め尽くされてるわけですよ。1stアルバム『A CATHORIC EDUCATION』(1990年)からの流れである「ヘヴィメタリックな硬質ディストーションギターと、甘くとろけるようなメロディとハーモニー」はさらに追求されつつも、その2要素が明確に二分化されつつあるように感じられます。
というか、武器としてのメタリック的要素は完全な「飛び道具」としてしか機能しておらず、どちらかというともっと普遍的なギターロック/ギターポップといった方向へと大きく傾き始めたかな、という気もします。元来、そういったギターポップやパワーポップのバンドからの影響が大きかったこともあり、それが3作目にして一気に開花したのでしょうね。
時代はNIRVANAブレイク直前。ほぼ同時期のリリースということもあり、ここ日本でも以前より注目されていたように思います。例えば共にPIXIESやDINOSAUR JR.同様「メタリックなディストーションギターに甘いメロディ」といった要素が共通項であり、ドン・フレミングやブッチ・ヴィグといったその筋では名の知れたプロデューサーがメジャー流通作を手掛けることで大きなブレイクを果たした、等(まぁTFCの場合はそこまで大規模なものではありませんが)。ここ日本で大々的に名が知れ渡ったのも、共にGeffen移籍後からですしね。そういった点から比較するのも、意外と面白いかもしれませんね(ま、聴いてもらえば判る通り、サウンドやバンドのスタイルは全く別物ですけどね)。
ホントねぇ……このアルバムに関しては、書くことないのよ。だって本当に良すぎるんだもん。捨て曲ないし。上に挙げた以外にも「Metal Baby」だったり「Sidewinder」だったり「Alcoholiday」だったり「December」だったり……って、結局は全部名前を挙げちゃうんですが。ホントにそれくらい名曲揃い。全12曲、42分がアッという間。確かにNIRVANAとは対極にいるタイプですけど、俺はどっちも好きだったな。そして勿論、今現在もその両方のバンドがリリースしたアルバム、全部大好きだしね。
強いて挙げるとすると、やっぱりこのアルバムの肝は1曲目の「The Concept」なのかな。ここに全部詰まってるようにも感じるし。そしていい気分に浸ってるところを、疾走ヘヴィメタル・チューン「Satan」がぶち壊してくれるという。もうこの流れだけで完璧すぎ。後はオマケ‥‥とまでは言わないけど、この2曲で全てが一度完結してしまうかのような錯覚に陥るんだわ。
まぁあれですよ。能書きはいいから、とにかく聴け、と。つうかこのアルバムを未だに聴いたことがないって人、俺からすれば信じられない人種ですよ。ああ、こんなに素晴らしい作品を分かち合えないなんて……人生の内の半分以上を損してる気がするね! ま、この手のサウンド(ギターポップやパワーポップ)が苦手だという人は仕方ないけど(そしてそういう人とはきっと、今後も互いを分かち合うことは出来ないんだろうね)。とにかくTFC入門編としてはもってこいの1枚。正直、これから聴いてみようって思ってるなら、ベストに手を出すよりこのアルバムか、あるいは5作目『GRAND PRIX』(1995年)をオススメします。マジで。
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