2017/05/02

LINKIN PARK『METEORA』(2003)

2000年秋にアルバム『HYBRID THEORY』でメジャーデビューを果たしたLINKIN PARKは、たった1枚のアルバムでアメリカのみならず世界中で人気バンドに仲間入り。アルバムは1000万枚を超える大ヒット作となり、同作からのシングル「In The End」もビルボートTOP10入り(最高2位)を記録しました。2002年夏には『HYBRID THEORY』収録のリミックストラックを集めたアルバム『REANIMATION』(最高2位)を発表。現在に至るまで彼らはこういったリミックス曲を多数発表していますが、このへんも彼らの立ち位置を明確にさせるのに一役買ったように思います。

そしてLINKIN PARKは2003年春、待望の2ndアルバム『METEORA』をリリースしました。本作は発売と同時に全米1位を獲得。発売初週に80万枚以上を売り上げる記録を作りました。プロデュースは前作から引き続きドン・ギルモアが担当。作風的にもデビュー作の延長線上にある内容に仕上がっています。あれだけ爆発的大ヒットを記録したアルバムに続く作品ですもの、そりゃあ一気に路線を変えることはできませんよね。

ただ、よくよく聴くとこの『METEORA』には続く3rdアルバムへの布石もいくつか見え隠れしております。つまり、“変化の前にどうしても必要だったステップ”という点において、この『METEORA』の果たした役割は非常に大きなものがあったわけです。

リズム的には軽やかさすら感じられたデビュー作と比べると、この『METEORA』で聴ける楽曲群はもっと重心が低く、重く引きずるようなものが多い印象。このへんは当時のラウドロック/ニューメタルがどうこうよりも、ヒップホップ的観点でそうなったのではないか、と推測します。また、本作発売前に『REANIMATION』というリミックスアルバムを発表したのも、そのへんに大きく影響を与えているでしょうしね(『METEORA』に関しても、ジェイ・Zとのマッシュアップアルバム『COLLISION COURSE』を発表していますし)

興味深いことに、本作収録曲はどれも2〜3分台で、4分を超える楽曲は皆無。インタールードやインスト小楽曲なども含め、全13曲で36分という聴きやすさも、このアルバムを繰り返し聴きたくなる要因になっているはずです。いわゆるロックやHR/HMのアルバムのように頭からエンディングまでをひとつの流れで聞かせてしまう作風というよりも、もうちょっと雑多な印象が強いのが、この『METEORA』というアルバムが前作『HYBRID THEORY』とは大きく異なるポイントかもしれません。実は最初に聴いたLINKIN PARKのアルバムがこの『METEORA』。このバンドに対して苦手意識が強かったけど、不思議と入っていきやすかったのを今でも覚えています。また、このアルバムを聴いてから『HYBRID THEORY』に入っていくと、以前よりも苦手意識が解消されていたことにも気づかされました。

『HYBRID THEORY』がバンドにおけるすべての原点ならば、この『METEORA』は何にも縛られずにどこにでも行ける、どんな姿にだって変身できるという最初の意思表明だったのかもしれませんね。



▼LINKIN PARK『METEORA』
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投稿: 2017 05 02 12:00 午前 [2003年の作品, Linkin Park] | 固定リンク

2015/09/08

Metallica『St. Anger』(2003 / 再掲)

Facebook上でこのアルバムの話題が上がり、ふと12年前に書いたテキストのことを思い出しました。以下は当時書いたものに若干手を加えた文章になります。基本的には当時聴いた感想をそのままに、表現などをよりわかりやすく少し修正しています。

いや、いいアルバムなんですよ。今日久しぶりに通して聴いてみたけど、やっぱりよかった。結局この後もアルバムは1枚しか出てないけど、『ブラックアルバム』以降で一番好きなアルバムです。って24年も経ってるのかよ! いい加減、これらを更新するようなスゴイの、作ってくださいよ!


==========本文ここから==========


『ブラックアルバム』から12年。ずっとこういう作品を待ってました。

Metallica待望のニューアルバム『St. Anger』はオリジナルアルバムとしては1997年の『Reload』以来だから、約6年ぶりの新作。通算8枚目、デビュー20周年を迎える2003年に“原点回帰”とも“さらなる未来を見据えた”とも取れるような非常に素晴らしい、なおかつ非常にいびつな作品を我々に届けてくれました。

1999年に発売されたオーケストラとの共演ライブ盤『S&M』以降の流れは今さら書くまでもないでしょう。もし『St. Anger』の日本盤を買ったのなら、このアルバム発表までの経緯がライナーノーツに載ってますし、2004年(日本では2005年)には映画『メタリカ:真実の瞬間』でがっつり描かれてますからね。

アルバムリリース1週間前にリードトラックとして公開された「St. Anger」を聴いて以来、このアルバムに対する期待はドンドン高まっていました。実際、音源を聴く前からインタビュー等で「今度のアルバムは初期に戻ったかのような速い曲ばかり」という発言を目にしていたから妙な期待感があったんだけど、実際に聴いた「St. Anger」は自分の想像を遙かに超える強烈な1曲だったんですから。そこから1週間後、発売されたアルバムを手に取り、CDプレイヤーのトレイに乗せ、1曲目「Frantic」から順々に聴いていくわけです……するとド頭からものすごいテンションと異常な音圧にビックリし、続く「St. Anger」に「ああ、CDで聴くとラジオでは聴き取れなかった細かなところまで耳に入ってくるなぁ」と感嘆し、3曲目「Some Kind Of Monster」の“速くて、重くて、複雑で、長い”展開に驚愕し、4曲目「Dirty Window」のブルータルさに爆笑する。でも、これが5曲、6曲と進むうちにそういう楽しむ余裕さえなくなっていくんです。どれも本当に“速くて、重くて、複雑で、長い”んだ、これが。もう最後の「All Within My Hands」にたどり着いた頃には無言でスピーカーを見つめてたし、75分11曲すべてが終了したと同時に深い溜息をついたくらいでした。

アルバム『St. Anger』は決して初期スラッシュ路線への回帰ではなく、どちらかというと『Load』や『Reload』の延長線上にある作品だと思います。しかしラーズが言うように「昔住んでいた場所を懐かしみながら通り過ぎ、新しい目的地を目指す」ような作風でもあるんですよね。そういう意味では過去の集大成とも呼べるんだけど、単なる焼き直しで終わらずさらに過激に前進している。1983年のアルバム『Kill 'Em All』でデビューしてから20年後にたどり着いたのがここかと思うと、ただただ驚くというかなんと言うか……。

確かにここでやってることは決して革新的なことではないかもしれないし、2000年前後に登場したSlipknotやSystem Of A Downといった新世代バンドからの影響が強い音だといえるでしょう。ではMetallicaはそういった新世代バンドのフォロワーに成り下がってしまったのかというと、そうとも言い切れない。確かに前作、前々作あたりでは自身が『ブラックアルバム』(1991年発売の5thアルバム『Metallica』)を産み落としたことでガラリと変えてしまったシーン自体のフォロワーという、すごく複雑な状況に陥っていたと言えなくもないですが、むしろ今作は「SlipknotやSystem Of A Downといったバンドからヒントを得て、今のMetallicaなりに消化したサウンド」と呼んだほうがしっくりくるように感じます。ほとんど一発録りに近く、ほぼ手を加えていないような生々しいサウンド。ドラムの皮がギターサウンドでビリビリ共鳴してる音まで拾うほどに生々しいし、ボーカルもほぼノンエフェクトのように聞こえる。『St. Anger』においてはこの“生々しさ”がブルータルさをさらに増長させているし、ノイズやハウリングまでをも味方に付け、個々の楽器が共鳴し合って混沌とした「変な周波数の音」まで生みだしてる。そういう点は上記2バンドやその類のバンドとは一線を画するところだと思います。

最初にこのアルバムの楽曲に触れたとき、僕はそれについて「無感情な冷たさと複雑な曲展開が『...And Justice For All』を彷彿とさせる」と表現しました。しかしアルバム全体を通して聴いたときに感じたのは、確かにその感覚に近いんだけど、もっと無軌道さ、無修正っぽさを強くイメージさせるというか。比べるのも変な話ですが、これを聴くと『...And Justice For All』でさえちゃんと計算された様式美性が強く感じられる(ように思う)。だけど『St. Anger』の場合は次に何がくるかわからない、そんな展開の仕方をするんです。Metallicaは今作の楽曲をスタジオでジャムセッションしながら作っていったそうですが、一度ジャムった音源を後でプロ・トゥールズを使って編集して、その編集した構成でもう一度ジャムることを繰り返していたみたいで……通常ならそこで整理されてスッキリするはずなのに、ある意味真逆の“いびつ”なものに仕上がっているという。それをメンバー全員(レコーディングにはプロデューサーのボブ・ロックがベーシストとして参加)で顔を突き合わせて作業してる感じがまた……今作はメロディや歌詞までもが共同作業。だからクレジットに「Hetfield-Ulrich-Hammett-Rock」とメンバー全員の名前が入ってるわけです。

と、いろいろ書いてみたものの、これ以上変な先入観を植え付けたくないので、とにかく1回通して聴いてほしい。聴き終わったら、続いて歌詞や対訳を手にしながらもう1回聴いて、さらに付属DVDでのスタジオライブを通して観る(『St. Anger』全収録曲を新ベーシスト、ロバート・トゥルージロを含む体制で演奏したもの。アルバムと同じ曲順で収録している。日本では現行のユニバーサル盤には付属されておらず、ソニー盤のみに付いているので、中古で探すことをオススメします)。そうすると、このアルバムの凄味がストレートに伝わってくると思います。1回目よりも2回目、2回目よりも3回目。回数を重ねるごとにその凄味はどんどん増していき、DVDでのスタジオライブが究極の決定打となることでしょう。

そしてこのアルバムを聴いたら『Load』や『Reload』でやったこともなんだか許せてきた。あれがあったから、ここにたどり着いたんだ、と。確かにジェイソン脱退は残念だったけど、ロバートを含む今の編成だって悪くない。いかにもライブ栄えするパフォーマーだと思うしね、ロバートって(DVDを観る限りでは)。そして、その相乗効果でジェームズやカーク、そしてラーズまで生き生きとプレイしてる。ホント、早くライブが観たいよね。しかも古い曲じゃなくて、このアルバムからの曲を演奏するライブを。ああ、愉快愉快。最高の気分だ!



▼Metallica「St. Anger」
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投稿: 2015 09 08 01:10 午前 [2003年の作品, Metallica] | 固定リンク

2006/10/11

MONDO GENERATOR『DRUG PROBLEM THAT NEVER EXISTED』(2003)

 元QUEENS OF THE STONE AGEのニック・オリヴェリのバンド(というかソロユニットかな)「MONDO GENERATOR」の、2003年リリースの2ndアルバム「DRUG PROBLEM THAT NEVER EXISTED」を初めて聴きました。今更?って突っ込まれそうだけど、たまたま入ったTSUTAYAでワゴンセールをやっていて、どれでも1枚500円という輸入盤の中にこのアルバムがあったんですよ。パッケージに貼ってあるステッカーにニックとQOTSAの名前が表記されていて「あっ!」と思い出して、そのまま購入したわけです。そういえば最近このアルバムに続く新作「DEAD PLANET : SONICSLOWMOTIONTRAILS」も出たばかりだし、ちょうどいい機会なんで取り上げておきます。

 KYUSSやQOTSAはストーナーロック直系(ていうかKYUSS自体がUSストーナーの教祖的存在でもあるわけですが)のスタイルを取っているわけですが、このMONDO GENERATORはもっととっ散らかったサウンドスタイルで、自由奔放にいろんな曲をやっているイメージが強いです。このアルバムでもパンキッシュな疾走チューンからモロにガレージなナンバー、QOTSAにも通ずるヘヴィサウンド、アコースティックと、とにかく何でもアリ。そしてそのどれもがカッコいいんだから、文句を言えるはずもなく(って誰に文句言えばいいんだよ?って話ですが)。"F.Y.I'm Free"(「F.Y.」とは当然「Fuck You」のことです)での爆走ガレージサウンドは絶対に聴いておくべきものだし、その他の曲にしても勿論。あり得ないくらいにバカデカイ音で聴いてほしい1枚ですね。

 ゲストもとにかく豪華。この作品をリリースした当時はまだQOTSAのメンバーだったこともあり、盟友ジョシュ・オムやマーク・レネガン、さらに元KYUSS時代のドラマー(その後FU MANCHUでも叩いてましたよね)Brant Bjorkも参加してますからねぇ。豪華っちゃあ豪華だわな。まぁQOTSAのファンは当然聴いているであろうこのアルバム。俺みたいなライトファンやガレージロック好きでまだ聴いてない人がいたら、ホント早く探して聴いた方がいいって。ナマヌルいロックもどきを聴いて満足してる場合じゃねーですよ!

 そういやぁニックとジョシュが仲直りしたなんて話もありますが、元相方のジョシュがドラマーとして参加するバンド「EAGLES OF DEATH METAL」の2ndアルバムが間もなく日本発売されます。アルバムタイトル及び収録曲の邦題が相当ステキなので、あわせてチェックすることをオススメします!



▼MONDO GENERATOR「DRUG PROBLEM THAT NEVER EXISTED」(amazon:US盤

投稿: 2006 10 11 05:39 午後 [2003年の作品, Mondo Generator] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック

2005/03/18

JOMI MASSAGE『ALOUD』(2003)

 先日紹介した「Loveless Records」について、そして前回取り上げたTRAENINGについて、多少は話題になってくれたようで個人的には嬉しく思っています。こうやって少しずつでもいいんで、草の根的に名前やその良さが広まってくれれば、俺としても非常に嬉しいです。明日(3/19)放送の「RADIO TMQ」でもこちらのレーベル所属アーティストを幾つか取り上げる、ミニ特集を組む予定ですので、興味がある人は是非聴いてくださいね。

 さてさて。今回もその「Loveless Records」所属アーティストについて書いてみたいと思います。今回紹介するのもTRAENING同様デンマークのアーティストです。「JOMI MASSAGE(ヨミ・マッサージ)」というユニットの、昨年3月に本国でリリースされた(日本では昨年11月リリース)1stアルバム「ALOUD」、これが兎に角個性的で良いんですよ。

 JOMI MASSAGEというのは『シグネ・ホイラップ・ウィリー・ヨルゲン』という女性によるユニットの名前です。彼女は元々、デンマークでは名の知れたノイズロックシーンのカリスマ的バンド、SPEAKER BITE ME(SBM)のフロントマンだったそうで、このJOMI MASSAGEというユニット自体は1999年頃からスタートさせたそうです。この名義で音楽活動だけでなく、アートの個展を開いたり等、ソロとしてのアーティスティックな活動は全てこの『JOMI MASSAGE』名義で行ってきたそうです。

 ドラムを除く殆どの楽器をシグネひとりで演奏し、レコーディングやライヴではそのSBMでの盟友、エミル・ランドグリーンが参加し、更にMOGWAIの最新作やツアーにも参加しているルーク・サザーランドがギターやバイオリンで参加し、2003年後半に制作されたのが、今回の「ALOUD」というアルバムなんだそうです。

 一聴すると、ローファイで刺々しく、硬質で苦みばしったサウンドがPJハーヴェイを彷彿させたりしますが(隙間だらけで硬質な感じが余計にそう感じさせるんだよね)、他にもSONIC YOUTHのキム・ゴードン、PIXIESのキム・ディールといった『カリスマバンドの中の、女性アーティスト/シンガー』を彷彿させます。要するに、非常に個性的なサウンドに個性的な歌が乗る、と。

 時にシューゲイザーのように激しいディストーションサウンドの壁が飛び出したり、ノイズの海に飲み込まれたりしますが、その轟音の後に無音に近い静寂が訪れたり、不気味なまでの冷たさを感じさせたり‥‥ルークが参加してるからってわけじゃないですが、こういった強弱法を用いたアレンジから、MOGWAI的なものも感じられたりします。ボーカルも時に囁くように歌ったり(というよりも呟いたり)、時にエフェクトをかけたかのようなディストーション・ボイスが飛び出たり、何だろう‥‥ヒステリックには決してならない、けど暴力的な程に冷たい感情の塊を言葉に乗せてぶつけてくるような、そんな感じとでも言えばいいでしょうか。

 俺は先のSBMも聴いたことないし、そこでどういった音楽をやっていたのか実際知らないので、このアルバムを聴いただけの評価になってしまいますが‥‥凄くエモーショナルな1枚だな、と。先日、このアルバムを聴き始めた時にウトウトしてきちゃって、実際に3曲目の "I See Those Who Died" 辺りで眠っちゃったんですよ。で、この曲の後に無音に近いような静寂が訪れるんですね‥‥フェードアウトして、そのまま暫くして4曲目の "Is There A Light?" にフェードインしていくような‥‥まるでホントに夢の中へと引きずり込まれていくような錯覚に陥って。で、これが‥‥決していい夢が見れるような状況/状態ではないんですよね。悪夢とは言わないまでも、なんつーか‥‥ジンワリと嫌な寝汗をかくような、そんな音とでもいいましょうか‥‥

 で、歌詞もまた女性的で‥‥多分男性の俺が語るよりも、もっと同性の方々が語ってくれた方がより判りやすく伝わるんじゃないかな、と思うんで、俺は今回コメントを避けます。「○○っぽい」とか書くことも可能だけど、それともちょっと違うような気もするんで。

 今再び、シューゲイザー的なものがリバイバルしようとしてるのかどうか、俺には判りません。ただ、その流れがシーンの中に(小さいながらも)存在するのは確かなようです。それはギターロック・シーンだけでなく、テクノ方面においても同様で、昨年辺りから実際にそういう音に出会う機会が何度かありました。しかもそういう並がアメリカやイギリスからではなく、他のヨーロッパ諸国だったり、カナダみたいな国からだったりするんですよね‥‥これが何時英米に飛び火するのか、そしてその時にTRAENINGやこのJOMI MASSAGEといったアーティストも日の目を見ることになるのか‥‥いや、なって欲しいし、なってもらわないと困るんですよね。こんなに良いアルバムを作ってるんだから。

 デンマーク、面白いことになってるなぁ。MEWは勿論、TRAENINGといい、このJOMI MASSAGEといい。まだまだ個性的で良質なバンド/アーティストが沢山いそうですね。そういったアーティストを沢山我々に紹介してくれることを、今後「Loveless Records」さんに期待したいところです。楽しみにしてますよ!



▼JOMI MASSAGE「ALOUD」(amazon

投稿: 2005 03 18 12:10 午前 [2003年の作品, Jomi Massage] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/03/12

TRAENING『BETTER THAN THIS』(2003)

 先日の「RADIO TMQ」放送終了後に、「Loveless Records」というレーベルの方からメールをいただきまして。以前からよく「RADIO TMQ」を聴いてくださっているそうで(ありがとうございます!)、ネットラジオというものの可能性に関しても非常に興味を持っておられるようでして。

 で、そのメールで同レーベル所属アーティストをいろいろ紹介していただきまして。実はですね‥‥このレーベル、偶然にも以前BARKSでの紹介記事を読んでいて記憶には残っていたんですね。けどこの時はリンク先の試聴とかはしなくて。

 今回メールをいただいてから改めて試聴してみたら‥‥非常に個性的なアーティストばかりでとても強く興味を持ちまして。まだ所属アーティスト及びリリース数は少ないのですが(何せ去年の春からスタートしたレーベルですしね)、その分1枚1枚が濃密な作品ばかりなので、今回から数回に渡ってその「Loveless Records」所属アーティストについていろいろ紹介していこうかと思います。

 というのもですね‥‥今回のメールを切っ掛けに、我らが「radio.gs」ではこの「Loveless Records」の音源を番組内で放送する許諾をいただきました! スゲエ! 初めてだこういうの! 凄く嬉しい!

 まず最初に紹介するのは、レーベル最初のリリースとなった、デンマークのTRAENINGというバンド。昨年4月に日本でもファーストアルバム「BETTER THAN THIS」をリリースしています(本国では'03年10月リリース)。メンバーは6人で、女性が2人(リードシンガーが女性)。デンマークというと最近ではMEWなんてバンドもいますが、このTRAENINGはそのMEWのオープニングアクトとしてヨーロッパを回った経験を持ち、MEWのシンガー・Jonasも「今まで聴いた最高作品の中のひとつ」としてこのTRAENINGのアルバムを挙げている程なんだとか。

 サウンド的には‥‥まぁ試聴して貰えば判りますが、非常にヒンヤリとした印象なんですね。北欧特有の冷たさなのかどうかは判りませんが、とにかくシンプルでスカスカでローファイなバンドサウンドがクセになるんですわ。ボーカルのMarieの歌声も決して上手いタイプではないんですが、このサウンドに合った声/歌い方なんですね。

 あんまり「○○に似てる」っていう表現をすると怒られそうな気もしますが‥‥同じ北欧・アイスランドのMUM辺りとの共通項も見え隠れするような気がするし(多分曲によってピアニカとか鉄琴を使ってるからかも)、あと‥‥曲によっては「KID A」以降のRADIOHEAD辺りとの共通点もあったりなかったり。時にシューゲイザー的な色もあったり、時にはスウェディッシュ・ポップにも通ずるような朗らかなメロディを持つ曲もあったりするんだけど、基本的にはモノトーンに近い‥‥ザラついた、限りなくモノトーンに近いサウンド。これが彼等最大の特徴であり、魅力だろうね。

 デンマークからこういうバンドが出てくるってのが面白いし、もっと外に向けて(=イギリス等)活動していけば更に面白いことになるんじゃないかな‥‥そんな気がするのね。

 うん、凄くいいアルバムですよ。これ、2004年に出会ってたら多分「BEST OF 2004」に選んでたかもしれない。それくらい個人的にはツボだったんだわ。アルバム、何度もリピートしてるもの。とりあえず皆さんはリンク先やオフィシャルサイト等で試聴してみてください。そして、今度の「RADIO TMQ」で彼等の曲流しますので、気に入った人は是非買ってみてください。たまんねーよ、マジで。

 ちなみに彼等、現在セカンドアルバムに向けて既に動いているそうです。早ければ年内には聴けるかな。そして‥‥セカンド発表の際には、是非来日公演を実現させてください! つーかライヴ観たいって。めっちゃ観たいし!



▼TRAENING「BETTER THAN THIS」(amazon

投稿: 2005 03 12 01:00 午前 [2003年の作品, Traening] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/26

とみぃ洋楽100番勝負(100)

 いよいよラスト‥‥最後は思い入れタップリに語らせていただきます‥‥


●第100回:「Coma Girl」 JOE STRUMMER & THE MESCALEROS ('03)

 

「早くくたばれっ!」って冗談ぽく言ってはみるものの、そこには「絶対に死ぬもんか‥‥死んでもらっては困るんだよ!」という祈り/願いも沢山込められてるんだよね‥‥当たり前の話だけど。最高の愛情を込めて吐く悪態。それはある意味では彼等にとって最高の賛辞なのかもしれない。

 でも。そんな冗談すら言えない、言いたくても言えない相手だっている。この連載を続けてきた中で、故人を扱う機会が沢山あったんだけど、最後の最後もその故人‥‥比較的最近亡くなったこの人で締めくくりたいと思います。丁度12月だしね、これが発表される頃は‥‥

 2002年12月22日、彼は静かに息を引き取りました。日本では23日に伝わって来たこの知らせ。最初知った時は「へっ、嘘‥‥」と、にわかには信じられませんでした。情報が少ない/錯乱していたことから、いろいろネットサーフしてみたものの、それは間違いない事実であることが判明しました‥‥愕然としたよ。ほんの3ヶ月前、あんなに元気な姿をその年最後の「夏フェス」で目撃したばかりだったのに。一緒に "I Fought The Law" を大合唱したばかりだったのに‥‥

 俺にとってのジョー・ストラマーという親父は、THE CLASHの偉人というよりは、ロック・フェスティバル、野外フェスティバルってこんなにも楽しいもんなんだぜ、自ら進んで楽しむものなんだぜ、という至極簡単なことを教えてくれた、大先生でした。俺が初めて体験した夏フェス‥‥'99年のフジロックで出会ったジョーは、大好きだったTHE CLASHの曲を出し惜しみすることなく連発してくれ、当時の新曲も過去と何ら変わらず「レベル・ロック」していることを証明してみせました。

 そして3年後。今度は朝霧JAMで再会。正直、最後の最後だったし天気も悪く霧で視界も悪かったし、演奏される曲も今回は新バンド・THE MESCALEROS以降のものが多かったことから、あんまりのめり込めなかったんだよね‥‥けどそれって、結局「俺はジョーにTHE CLAHSしか求めてなかった」ってことと一緒だったわけで。だから "Bankrobber" や "I Fought The Law" という曲に過剰反応してたんだよね‥‥恥ずかしいけど。

 ジョーの死後から1年経って、志半ばで頓挫してしまったレコーディングを仲間達で完了させたのがこの「STREETCORE」というアルバムで。買ってから暫くは聴けなくてさ‥‥こんなにも重く感じさせるアルバムは随分久し振り。ジャケットといい、並んだ曲目といい、全てがその頃の俺には重過ぎて‥‥

 年が明けて2004年。やっとパッケージを開けて‥‥1曲目の "Coma Girl" の歌い出しに胸が熱くなってさ‥‥

  「遥か西のフェスティバル会場を這うように歩いてたんだ」

‥‥嗚呼、この人は死ぬまで「ジョー・ストラマー」で在り続けたんだな、と。当たり前の話だけど、その事実に涙が止まらなくて。アルバムが進んでいく中、いろんな音が聞こえてきて‥‥6曲目の "Redemption Song" で更に泣いて。この瞬間、今更だったけど‥‥ジョー・ストラマーって親父は俺にとって、とても重要な人間のひとりになったんだ。

 今でこそ笑顔で聴くことができるこのアルバム。THE CLASHの5作と同じように、自分にとって大切なアルバムです。こんなにパンクで活き活きした親父、イギーとジョーの他に知らん。

 だから‥‥今更だけど‥‥ホントに悔やまれる。もう一度、ただもう一度だけ会いたかった‥‥

 ありがとう。そして‥‥死ぬまで勉強させてもらいます!



▼JOE STRUMMER & THE MESCALEROS「STREETCORE」(amazon

投稿: 2004 11 26 12:06 午前 [2003年の作品, Clash, The, Joe Strummer & The Mescaleros, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/07/10

忌野清志郎『KING』(2003)

次々と新しいバンド/ユニットを組んではアルバム出したり、またはライヴだけだったり、はたまたシングル1枚こっきりだったりと、特にここ4~5年の忌野清志郎の活動は精力的過ぎ。その間にはデビュー30周年記念のイベントがあったりしたけど、純粋なソロ名義でのアルバムとなると、'99年の「Ruffy Tuffy」以来なんだね(といっても、結局その後はRuffy Tuffyなるバンドが誕生してしまうわけですが)。その間にいろいろ音源は出てたんで全然そんな気はしないし、むしろ全く有り難みは感じないわけだけど‥‥そう思ってこのアルバムをスルーすると、とんでもない目に遭いますよ。

多分‥‥ここ10年くらい‥‥いや、RCサクセション活動停止後で最も充実した内容を持つ傑作アルバムじゃないですか、これ。清志郎が過去やってきたことの、ある意味集大成と呼べるような『Simple is best』なR&B/ロックンロール・アルバムに仕上がっていて、どれも過去の彼の作品をトレースしたかのような既出感が強いんだけど、だからといって悪いというわけじゃなく、むしろ‥‥だからこそ最高なんじゃないか、と。声を大にして言いたいわけです。

いきなりソウルフルなスローチューン "Baby 何もかも" からスタート。しかもこの曲が後半、テンポアップして盛り上がっていくという構成。その後、ファンキーだったりブルージーだったりソウルフルだったり。小気味いいロックンロールがあれば、ドス黒くてドロドロした濃さを持つR&Bナンバーあり。清志郎らしい言葉遊び満載の歌詞、何故50越えたオッサンにここまでピュアな歌詞が書けるんだ?と、いつも以上に感動してしまうナンバーの数々。そしてそれらを盛り上げるバックメンバーの面々。お馴染みの三宅伸治をパートナーに向かえ、懐かしい面々から新しい仲間まで、とにかく「くんずほぐれず」なセッションの数々。もうどれも最高なわけ。自宅にMac(マッキントッシュ)を導入したことで、そこでデモテープを作っていった‥‥なんていう「子供が新しいオモチャを手に入れた」ことからスタートした、今回のアルバム・セッション。結局完成したのは、如何にも清志郎らしい生音を大切にした温かみのあるロックンロール・アルバム。そこら中にブラスが入ってたり、ガットギターの音がしたり、生々しいエレキギターのサウンドに鳥肌立てたり、そして迫力があり、時に優しい清志郎の『声』があり‥‥つまり、聴き手が彼に望む要素が、ある1点を除いて全て揃ってるわけ。そりゃ悪いわけがない。

で、その残る「ある1点」というのが‥‥要するにみんな、心のどこかで「もうあり得ないよな‥‥」とガッカリしながらも、それでも期待してしまうRCサクセションの影‥‥その復活を期待してしまう、と。チャボとの共演でもいいから、って思ってる人は多いと思うけど‥‥果たしてこのアルバムを聴いた後になっても、その言葉を吐くことが出来るかな? いや、俺には出来ないね。このアルバムがあれば、俺はライヴで "雨上がりの夜空に" や "スローバラード" や "トランジスタラジオ" が聴けなくても、全く文句言えないね。それだけの魅力と迫力がパンパンに詰め込まれているもの。そうじゃない?

俺、今年のフジロックは未だに悩んでるのよ‥‥2日目のグリーンステージ、清志郎。2年前は目の前ほんの数十センチの距離で彼の歌を堪能してしまったから‥‥それを越えることはもうないだろうけど、それでも年に1度は清志郎観ないと納得いかないんだよね。ちなみに去年はフジロックに出なかったから、一度も観れなかったんだよね‥‥あー、そろそろ禁断症状が‥‥



▼忌野清志郎『KING』
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投稿: 2004 07 10 04:54 午前 [2003年の作品, 忌野清志郎] | 固定リンク

2004/07/09

SNOW PATROL『FINAL STRAW』(2003)

苦節10年‥‥ってわけじゃないけど、ここまでたどり着くのにホントに10年かかってるんですよね、このバンド。グラスゴー出身の4人組ギターロック/ギターポップ・バンド、SNOW PATROLのメジャーでの1作目、インディー時代から数えて通算3作目となるこのアルバム、「FINAL STRAW」。既にイギリスでは昨年秋にリリース済。シングルヒットもポツポツと出ていたようで、それが今年に入った辺りから少しずつ話題になり始め、この2月に本国でボーナストラックを加えて再リリース、更に3月にはいよいよアメリカでのリリース、そして4月に入って日本ではフジロックに出演が決まる等、いろんな要素が重なって少しずつ知名度がアップ。来日記念盤の如く、本国から約9ヶ月近く遅れてこの6月にようやく日本盤もリリースされたのでした。

俺はUS盤が出てすぐ、4月の頭にこのアルバムを購入しました。友人関係にオススメしてきたり、更には自分のラジオで彼らのヒット曲 "Chocolate" を流す等して、少しでも彼らのブレイクに貢献できれば‥‥と動いてきました。ま、このサイト的には一番最初にすべきだったのは、こういうレビューを書くことだったわけですが(ホント、お待たせしました!って感じですね。期待してた皆さん、スマンです)。

もうね‥‥悪く書きようがないんだわ。元々こういう湿り気だったり陰りのあるギターポップ/ロックは大好きなわけで、そこにきてグラスゴー出身とくれば‥‥ねぇ? 悪いわけがない(いやマジで)。ドリーミーな要素も持ちつつ、と同時に時々訪れるラウドな側面‥‥という要素から、同郷のTEENAGE FANCLUB等と比較されるのかもしれませんが、個人的にはもっと暗い奴らなんじゃないかな、と思ってます。US盤には歌詞カードがないのでどういうことを歌っているのか判りませんが(それがこのアルバム・レビューを遅らせた最大の理由でもあったわけですが)、聞くところによると、意外とサイケなことを歌っている‥‥なんていう話が。ホントですかね、日本盤を買った皆様??

だとしたら‥‥尚更気に入ってしまうかも。あー、そういうダメダメ加減、好きだわ。外資系CDショップではTHE FLAMING LIPSと比較する意見も見かけますが、それもあながち間違ってないな、と。ドリーミーでドラッギー。陽気なようで絶望的‥‥あー、もう最高じゃないですか!

‥‥って全然レビューにならないな、これじゃ。ホント、「イイ!」以外の言葉が浮かばないし、それ以外の表現が見当たらない‥‥どの曲がどんな感じで他所のバンドでいうと○×△に似てる、とか他に例えようがあるんだろうけど、とにかくね、KEANE同様‥‥特にアメリカではCOLDPLAYやTRAVISの次に来るようなバンドになれると思うんですよ。そういう風に書けば、何となく理解してもらえるかしら?(勿論、KEANEが上記2バンドとは異なるタイプのバンドだったように、このSNOW PATROLもそういうバンドではないですよ。けど通ずる空気感はあるな、と)

シングルヒットしたような "Chocolate" や "Run" といった名曲に、まずは先入観なしで接して欲しいな。勿論、1曲目の "How To Be Dead"(なんて素晴らしい曲名なんだろう!)から最後の "Same" まで(日本盤には更にボーナストラックが入ってるわけですが)、とにかく独特な空気感と存在感を持った個性的な楽曲が並ぶ。全てが同じ方向性を持ちながらも、その「純度」や「濃さ」の濃淡/コントラストが絶妙。時に爽やかだったり、時にドロドロしてたり。時に切なくなったり、時にふさぎ込んだり‥‥ある意味、静かに感情に訴えかけるアルバムといえるかな。とにかく心に響く1枚なのですよ。

個人的には今年前半は、非常に良いアルバムに恵まれたな、と思ってます。周りの人達はCD買う枚数が減ったとか、良い曲が少ないとか言ってるようですが‥‥全然外に向けてアンテナ張ってないんじゃないの!?との疑念がね‥‥ずっとあるわけですよ。で、だからこそ俺はネットラジオの方で、少しでも良い音楽をみんなに伝えられればな、切っ掛けになってもらえればな、と思っているわけですよ。

だからね‥‥是非このアルバムも買って聴いてみて。



▼SNOW PATROL『FINAL STRAW』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2004 07 09 04:35 午後 [2003年の作品, Snow Patrol] | 固定リンク

2004/04/30

HOOBASTANK『THE REASON』(2003)

正直バカにしてたところはあるのね、彼らに対して‥‥ところが、ここにきて急ブレイク。昨年12月にリリースされたこのアルバムが、前週の18位から翌週にはいきなり3位まで急上昇。シングル曲もチャートアクション好調で、これがきっかけだったのか、それともLINKIN PARKとのツアーが大盛況だったことが要因なのか‥‥いつ何時、どんなチャンスが待っているか判らない、そしてその切っ掛けをいきなり掴んでしまったりする。それがアメリカなんだよね、今も昔も‥‥

というわけで、hoobastankが2003年12月に発表したセカンドアルバム「THE REASON」。です。上に書いたように、アメリカのビルボード・チャートでいきなり3位まで上昇してしまってるんですよ(ちなみに初登場はトップ40入り程度の記録でした)。恐らく今現在の最新シングル "The Reason" の受けがかなり良いこともあり、それも影響してるんだろうな、と思うんですが‥‥だって、この俺自身もその曲を聴いて「あれっ、hoobastankってこういう曲もやるんだ!?」って驚いた程ですからね。彼らに対する印象って、2年前のサマソニで観たのと、ファーストアルバムからのPV、そしてこの最新作からの先行シングル曲 "Out Of Control" の印象しかなかったんですね。で、それで十分だと思ったのも正直なところで。所謂ニューメタルの範疇に入るであろう音楽性で、ちょっとパンク色もあるかな?程度の感想。ライヴもボーカルの日系人の子が頑張ってるのを観ると、ちょっと嬉しくなるという‥‥LINKIN PARKもそうなんだけどね‥‥

で、その "The Reason" という曲がね、これまで持っていたニューメタル的な側面とは違った、所謂ミディアムテンポのメロウ・チューンなんだけど‥‥懐かしい香りがするのよ。'80年代的な‥‥そう、産業ロック的な匂いというか。アコースティックギターとストリングスを取り入れた、本当の「歌モノ」で聴いてて心地よい。大陸的なおおらかなノリも持ちつつ、どことなく繊細さも持ち合わせている、みたいな。前者だけだったらホントに産業アメリカンロックの焼き直しで終わってたんだろうけど、後者の繊細さ‥‥これって結局『EVANESCENCE以降』、最も必要とされている要素なのかもね‥‥これのお陰で『'80s クローン』で終わらずに済んでる。むしろそっちよりも、ここ数年のCREEDやNICKELBACK辺りと並べても何ら引けを取らない。もうね、そこが意外で意外で。あーこういう曲も出来るんだ‥‥アルバム聴いてみたいな、って。

で聴いたのよ、アルバム。ファーストはちゃんと聴いてないんで、今回が初hoobastank。いきなり1曲目の "Same Direction" と先行シングルの2曲目 "Out Of Control" にやられる。普通にカッコいいよね。適度にメタリックで、適度にパンキッシュ。ラップメタル的方向に走らず、むしろ最近主流のエモ/スクリーモの範疇にある作風かな、と。特に2曲目のスクリームパートなんてまんまだしね。

ところがね、このアルバムの肝ってそういったエモ的要素ではないのね。勿論大半をそういったアップテンポのマイナーチューンが占めているわけだけど、聴き終えた後に印象に残るのは‥‥3曲目 "What Happened To Us?" や先の "The Reason"、"Lucky" や "Disappear" といったスロウ~ミドルテンポのメロウチューン。アコースティックギターを多用して、音の感触を柔らかくしてるのね。で、そこに彼ら独特の繊細なメロディが乗って、更に独特な世界観を展開しているという。しかもマイナーにばかり頼らず、メジャーキーの曲も結構ある。そこも意外でしたね。

アコギやストリングスを導入したミドルチューンを聴いていると、どうしても先駆者‥‥ってわけでもないけど‥‥EVANESCENCEを思い出してしまうんだけど、女性的な向こうと違ってこちらはもっと男臭さが強く、そこがまた哀愁味が溢れててイイ感じ。ヤバい、めっちゃ好みかも‥‥ハードロック少年だった昔の血が騒ぐね。

もうさ、ニューメタルとかラウドロックとかエモとか、そういったのどうでもいいよ。普通にハードロックじゃんか、これ。EVANESCENCEの時も思ったけど、結局はみんなそこに戻ってくんだよ。最近アメリカではパンキッシュだったバンドがよりポップでハードな方向へと進んでいってるし、ニューメタルとか呼ばれてた連中もよりメロディを強調し始めて、歌ものバンドへと進化している。'90年代に暗く陰を落とした『混沌さ』に耐えられなくなった奴らがひとり、またひとりと離脱し、自身のルーツにある音楽‥‥もしかしたらそれは、NIRVANA以前にヒットチャートを賑わしていたBON JOVIやDEF LEPPARDやGUNS N'ROSESなのかもしれない‥‥そういった音楽へと戻っていった‥‥そうは考えられないかな? 最近の傾向を見てると、嫌でもそう思えてきちゃうんだよね。ANDREW W.K.が登場した時点で、みんなうっすらと気づいてたんじゃないの? いつかはそういう時代がまた戻ってくるって。現に当のBON JOVIだって、新作がアメリカで初登場2位を記録したわけでしょ。GUNSも最近出たベスト盤が、新曲すら入ってないのに世界中で大ヒットしてるわけだし。もうね、そういう時代なんだよ、きっと。

EVANESCENCEにしろLINKIN PARKにしろ、コアなロックファンからは敬遠されがちですが、そういったメインストリームを引き受けた存在ならではの魅力ってがあるはずだし、それはこのhoobastankからも十分に感じられるんですよね。ちゃんと聴いてないからファーストとの比較は出来ないけど、少なくとも2年前に観たサマソニのステージの数倍は良くなってた。それがこのセカンドアルバムを聴いた感想ですかね。とにかくいいアルバム。今更ながら、暫く愛聴しそうです。



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投稿: 2004 04 30 04:46 午前 [2003年の作品, Hoobastank] | 固定リンク

2004/04/29

22-20s『05/03』(2003)

成る程、彼らが22-20sですか‥‥とひとりで勝手に納得してますが。早くも某音楽雑誌でも「今年期待の新人」として紹介されちゃったりしているイギリスのトリオバンドが、昨年秋に海外でリリースした6曲入りのライヴEPがこの「05/03」。タイトル通り、'03年5月に行われた英国公演を収録した内容。ギター/ベース/ドラムというシンプルな構成に、ゲストでハモンドオルガンやキーボードといったサポートメンバーが入ったりしてますが、基本となるのはやはりトリオですね。

6曲入りで、オリジナル曲が5曲に、カバー("King Bee")という構成。これだけあると、かなりバンドの雰囲気や勢いを体感できるんじゃないですかね? しかもライヴ音源だし。殆ど修正されてないでしょうから(せいぜい各楽器のボリュームくらいでしょう)、音楽的にはギターを中心とした、本当にシンプルな'70年代ブルーズ・ロックで、曲によっては昨今流行のロック・リバイバル的なノリを感じるし、R&B的なノリからはMANDO DIAO的なものを感じるし‥‥という意味では、彼らの登場は正に今だから、今じゃなきゃならなかったんだろうな、というのがヒシヒシと伝わってくるわけですよ。

トリオでブルージーで'70年代的‥‥というと、どうしてもCREAMやジミ・ヘンドリクス辺りと比較してしまいたくなるんですが、そっち方向(各楽器のインプロビゼーションを中心としたアンサンブル)にドップリ浸かっておらず、意外とアッサリしてるのが印象的。曲自体が3分前後のものばかりなんだよね。普通スタジオテイクだとわざと短めのアレンジにして、ライヴだとその数倍の長さになってるというパターンがこの手のバンドには多いんですが(って偏見?)、そういう意味では彼らも「最近のバンド」なんだなぁ、と。ただの「'70年代かぶれ」で終わってないな、と。

まだまだ未熟な面も見受けられるし、アレンジももっと煮詰める必要があると思うし、何よりも曲のバリエーションが狭いかな、という見方もできるし‥‥そういう意味ではホント「これから」という存在だよね。決して「最高!」とは言えないと思う。過剰な期待を寄せるのもいいかもしれない、メディアのパワーを使って「2004年台風の目」とか捲し立てるのもアリだと思うけど‥‥正当な評価は、この春にリリースされるスタジオ音源によるシングルと、夏頃に予定されているというフルアルバムを聴いて下したいなと思います。

ただ、個人的な趣味でいえば、完全にストライクゾーン。特にギター・プレイに関してはクリスピアン・ミルズ(元KULA SHAKER~現THE JEEVAS)をちょっとだけ彷彿させるものがあるし(ま、音楽的にもふたつのバンドの中間といった印象があるしね)、昨今のガレージ/ロック・リバイバル/リフロックの流れにあるスタイルの中でもかなり異質な音を出す存在だと思うしね。残念ながら、これから出る日本盤はCCCDでのリリースとなってしまいますが、今出回ってる輸入盤(主にUS盤)はCD-DAみたいなので、その辺を気にする人は是非輸入盤で買ってみてください。6曲も入って1,000円ちょっとだしね。



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投稿: 2004 04 29 06:13 午後 [2003年の作品, 22-20s] | 固定リンク

2004/03/19

DIFFUSER『MAKING THE GRADE』(2003)

先日放送したネットラジオ「RADIO TMQ」でも紹介し、その時もなかなかの評判だったアメリカ出身の4人組、DIFFUSERのセカンドアルバム「MAKING THE GRADE」がやっとここ日本でも発売されました。とはいってもこのバンドのこと、俺もつい最近知ったんですけどね。いや、音はずっと前に聴いてるはずなんだけど‥‥全然記憶に残ってなくて。

3~4年前、映画「MI:2」のサウンドトラックに彼ら、参加してるんですよ。ファーストアルバム収録曲の "Karma" で。全然記憶に残ってないよ‥‥どんな曲かもね。で、最近聴き返してみたんだけど‥‥このセカンドの音と全然違うのな。ちょっと驚いた。ま、たった1曲との比較だし、実際ファーストアルバムはまだ聴いたことがないから、本当の「違い」はまだ判らないんだけど‥‥

これを書いている今まさに、彼らは来日中でして、しかも「MAGIC ROCK OUT」への出演も決まってる。アメリカでは昨年7月にリリースされたこのアルバムも、ようやくこの2月にはリリースされた(但し日本盤はCCCDなので注意。US盤はエクストラ仕様なのに‥‥)。そう、正にこれからというバンドですよ、彼らは。

聴いてもらえば判るように、彼らのこのアルバムでのスタイルは、ハードポップ/パンクポップの流れにあるサウンド。FOO FIGHTERS以降の流れといえばいいのか‥‥最近ではAMERICAN HI-FIみたいに「HM/HRからの影響を見せるパンクポップ/ハードポップバンド」が増えてますが、間違いなくこのDIFFUSERもそのひとつと呼んでいいと思います。

適度にパンク的疾走感があり、サウンド自体は重厚、メロディも親しみやすく、コーラスの重ね方なんてメロディアス系のハードロックバンド的。この辺は例えばHR側でいうところのHAREM SCAREMやSZUTERS、ENUFF Z'NUFF、あるいはANDREW W.K.なんかとも共通するものがあると思います。実際にこのバンド、そういったHM/HRからの影響を口にしてるそうですし。

ある時期まで、HM/HRを好きだと公言することはダサイことだ、という認識がありました。恐らくグランジ以降の流れでしょうか。が、ニューメタル系が台頭し始め、もう一方からはパンク系のハードポップ/ハードロックも盛り上がり始める。AMERICAN HI-FIなんて正にその代表例といっていいでしょうし、その兄貴分と呼べるだろうFOO FIGHTERSのデイヴ・グロールなんて、自身はグランジの中から登場したのに、今では自分が好きな/影響を受けたメタル/ハードコア系バンドとのコラボレーションを楽しんでいる。別にBON JOVIやMOTLEY CRUEが好きだった、と言っても誰にも責められない時代。それがここ数年の流れのようです。

間違いなく、DIFFUSERは'80年代以降のメロディアスなアメリカン・ハードロックの延長線上にいるバンドでしょう。そして、上に挙げたようなハードポップ系ハードロックバンド(なんつー呼び名だこれ)を好んでいるHRファン、AMERICAN HI-FIやSUGARCULT、BUSTED、FUZZBUBBLE、MARVEROUS 3といった辺りが好きなパワーポップ/ハードポップバンド好きに注目されるべき存在、それが今のDIFFUSERのポジションなのかな、と。「MRO」というフェス/イベントがイマイチ盛り上がってないようなので、是非今年の夏にもう一度、巨大サマーフェスに出演して、その良さを理解してもらわねばなりませんね!



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投稿: 2004 03 19 08:20 午前 [2003年の作品, Diffuser] | 固定リンク

2004/03/05

PRIMAL SCREAM『DIRTY HITS』(2003)

「この程度で俺等のこと、解った気になるなよな!」っていうボビー・ギレスピーの叫び声が聞こえてきそうな気がしないでもないですが、とりあえず本人達の選曲ってことである種の開き直りすら感じられる、このベストアルバム「DIRTY HITS」。既にPRIMAL SCREAMも結成して20年近くが経ち、こうやってベスト盤が出せるまでに成長しました‥‥けど、このベスト盤はいろんな意味で厄介な存在でもあるわけでして。

本来、ベスト盤って「それまでそのアーティストに対して興味がなかった(あるいは知らなかった)初心者が、手っ取り早くそのアーティストの歴史を理解するための教科書的アイテム」なわけですよ。まぁ出す側としては「ここらで活動にひと区切りつけたいし、新しいことにチャレンジしたいから、ベスト出しておくか」とか「レコード会社の移籍も無事決まったし、とりあえず未発表曲が数曲あるから、これを古巣に渡してベストでも出してもらうか」程度の軽い気持ちで出すのかもしれませんが。あるいは「契約残ってるし、消化するために出しますか」とか「んーだよー、契約消化する前に解散すんなよなー! しょーがねー、アルバム2枚しか出してなかったけど無理矢理ベスト盤出して消化しますか」っていう大人の事情でリリースされる場合もありますが(実は大半がこれだったりして)。

プライマルの場合はどうだったか知りませんが、とにかく出ちゃったわけですよ。ま、こうやってベストでも出ればツアーも出来るし、バンド側にとってはいい口実なのかもしれないよね。実際、このベスト出してからUKツアーもやったし、この3月にはまたまた日本にやって来るし(この約1年ちょっとの間に3回くらい来てるしね)。

で、これまでそんなプライマルに「取っ付き難い」という印象を持っていたロックファンにとって、正に「これから聴いてみれば大丈夫かも‥‥」と思わせるような存在が登場した。それがこのベスト盤なのかな、と。しかし、いざ蓋を開けてみると‥‥ファースト&セカンドからは選曲されず、出世作となったサード「SCREAMADELICA」から'02年の最新作「EVIL HEAT」までの5作からしか選曲されておらず、しかもアルバムタイトル通り、その殆どがシングル曲という豪華さ(そしてある意味の手抜き加減)。そりゃね、初心者からするとそういったヒット曲から入って行くのが一番なんだろうけど、ことプライマルに関してはそうはいかないのね。このバンドってアルバム毎にコンセプトやサウンドが異なるでしょ。同じダンスミュージックを背骨に持ちながらも、「SCREAMADELICA」と「VANISHING POINT」とでは全くの別物だし、アメリカ南部への憧れをそのまま体現してしまった「GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP」に関してはもう‥‥ねぇ。そんな彼らの(ある意味)代表曲を年代順に並べているんだけど、やはり3~4曲毎にスタイルが変わるっていうのは、初心者的にどう映るんだろうね。その辺はちょっと聞いてみたいかも。

ぶっちゃけ、もしプライマルを本気で知りたいのなら、アルバム単位で聴いていった方が絶対いいと思います。勿論、1曲1曲を抜き出して聴けば当然カッコいいわけですが、これがね‥‥ "Higher Than The Sun" の後に "Rocks" がきたりしちゃうと、さすがにね。勿体ないと思うんですよ。

そうはいっても、何度も言うようにやはりどの曲も優れものなのは確かなので、流し聴きする分には丁度いいコンピレーション盤かもしれませんね。ただ、彼らの歴史を勉強するにはちょっと不向きな気がします。それでも‥‥各アルバム毎にまとまって曲が収録されてるから、気に入った時期があったら、それらが収録されているオリジナルアルバムに手を出す、そういう風に聴いていけば確かに役立つかも。ええ、そういう風に使ってみてください。むしろそうすべきです。

個人的には、もしこれからプライマルを聴こうと思っているのなら、迷わず最新オリジナルアルバムの「EVIL HEAT」を聴けばいいと思うし、彼らのライヴでの爆裂振りを伺い知りたいのなら、昨年日本限定でリリースされた「LIVE IN JAPAN」を聴くのもいいかと。こっちもある種ベスト盤的役割を果たしてくれるのでね。

最後に。もしこれからこのベスト盤を買おうと考えている人がいたら、注意してもらいたい点がひとつ。実はこのベスト盤には初回限定仕様が用意されていて、その特典が日本盤とUK盤(US盤も含む)とでは全然違うのね。日本盤はPV9曲が収録されたDVDが、UK盤は過去のシングルに収録されていたリミックスワークが13曲入ったCDが付いてきます。PVも普段観る機会がない人にはいいだろうけど、ここで声を大にして言いたいのは‥‥「迷わずUK初回限定盤をゲットせよ!」ということ。これから聴いてみようって人、このロックバンドが如何に「ダンスミュージック(テクノ/ハウス/ダブ/ファンク等)」にこだわっているか、それがこのリミックスワークから存分に伝わってくると思います。参加してるリミキサー陣の名前だけ挙げてみても、エイドリアン・シャーウッド、THE ORB、SABRES OF PARADISE、TWO LONE SWORDSMEN、THE CHEMICAL BROTHERS、MASSIVE ATTACK、アレック・エンパイア等々。どうよこれ? 2002年に出たMANIC STREET PREACHERSのベスト盤付属のリミックスCDも凄かったけど(これもシングルに収録されてたものをひとまとめにしたもの。UK盤は初回限定のみ、日本盤は常に2枚組仕様)、こっちも改めて聴いてみて、やっぱり凄いな、と。正直、これだけの為にこのベストを買ったとしても決して高い買い物ではないはず。解説とか歌詞が載ってないけど、それでも2,000円以下でヒット曲も、リミックス曲もそれぞれ70分強楽しめるんだから、絶対にUK盤でしょう!



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投稿: 2004 03 05 03:41 午後 [2003年の作品, Primal Scream] | 固定リンク

2004/03/04

SOUTH『WITH THE TIDES』(2003)

どうしてもSOUTHというと、「MO'WAX」に所属するギターロック・バンド、親分がジェームズ・ラヴェル(U.N.K.L.E.)、という事柄が最初に挙げられることが多かったんだけど、まぁあのダンス系レーベルに所属した数少ないギターロック・バンドってことで、確かに注目されてもおかしくないわけで。けど、それが時として足枷になることだってあるんですよ。

ロンドンを拠点に活動するこのバンドの、約2年振りのセカンドアルバム「WITH THE TIDES」はそんな「MO'WAX」を離れ、新たにBMG傘下の「Kinetic」からのリリース。当然プロデュースにジェームズ・ラヴェルは絡んでません。当たり前か。

ここで繰り広げられている音楽は、以前実践されていた「テクノロジーとギターロックの融合」とはある意味真逆の、人肌の温度に近い「生身のロック」。プロデューサーにMANIC STREET PREACHERSやASHを手掛けたデイヴ・エリンガを迎え、トリオの演奏を軸にしながらもストリングスやバンジョー、ハープシコードといった楽器を導入、中心にある「歌」を劇的に盛り上げるのに一役買っています。

多分、誰もが「これがあのSOUTH!?」と驚くのではないでしょうか? ここまでメランコリックに、且つソウルフルに「歌」を聴かせるバンドに変わっているとは。ゆったりとした空気を保ったまま、サウンドに身を委ねてゆらゆらしていると、最終曲に到達している‥‥そんなアルバム。当然ダンサブルな要素は皆無。そういったものを彼らに求めていた人にとっては、この変化は裏切り以外の何者でもないでしょう。が、個人的には前作に全く思い入れとかなかったから、すんなり受け入れることができました。ま、確かに「これ、ホントに同じバンド!?」と耳を疑ったりはしましたが。

所々、前作で養った要素‥‥効果音やサウンドエフェクト面ですが‥‥を感じつつも、それはほんの飾り。RADIOHEAD辺りがそういう要素を前面に出すのと違い、ここでは必要最低限に抑えられてる印象。無理矢理こじつければ、U2が「ALL THAT YOU CAN LEFT BEHIND」で実践したことを、更にエモーショナルにした感じ‥‥ってのはどうでしょう? ちょっと強引かな?

今現在、こういったサウンドを鳴らすバンドはイギリスにごまんといるでしょう。'90年代中盤以降、大ヒットを連発していた頃のマニックス、ある時期のRADIOHEADもここに入るだろうし、最近じゃTRAVISみたいなバンドだっている。そういう意味で、まだSOUTHは「その他大勢」なのかもしれません。確固たる個性みたいなものはちょっと希薄かな?と感じる瞬間もあるし。けど、良い作品なのには違いない。ここまで「聴いていて落ち着ける」ギターロックアルバム、最近あんまり聴いてなかったので、とても新鮮でした。

これらの楽曲をライヴではどう表現するのか‥‥3人で全部やるのか、それともサポートを入れるのか、あるいは全く違うアレンジにするのか‥‥そう考えると、今度の「MAGIC ROCK OUT」はある意味見物なのかもしれませんね。

上にも書いたように、RADIOHEADの「THE BENDS」やマニックス「EVERYTHING MUST GO」辺りが好きだというUKロックファンなら間違いなく気に入る1枚。俺は大好きですよ。



▼SOUTH『WITH THE TIDES』
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投稿: 2004 03 04 04:39 午後 [2003年の作品, South] | 固定リンク

2004/03/01

KRAFTWERK『TOUR DE FRANCE SOUNDTRACKS』(2003)

オリジナルアルバムでいう前作「ELECTRIC CAFE」がリリースされたのが1986年。当時、中学生だった俺は「CGを駆使したPVが面白かったから」といった理由でこのアルバムをレンタルしました(LPの時代にね!)。これが俺とKRAFTWERKとの出会い。あれから17年以上もの月日が経ち、その間にリリースされたKRAFTWERKの新譜は‥‥ゼロ‥‥あ、いや、'91年に「THE MIX」っていうセルフ・リミックス集が出たっけ‥‥あの時でさえ俺、ハタチだもんなぁ‥‥十代に1枚、二十代に1枚、そして三十代になって1枚。次に彼らのアルバムが聴けるのは、あと7~8年経ってからとか? そんな皮肉さえも言いたくなってきますが、ま、こうやって久し振りのオリジナルアルバムも聴けて、更に来日公演も観れたんだから、良しとしましょうよ。

というわけで、正に前作から17年振り(!!)、通算10作目(「THE MIX」を含めても11作目)となるアルバム「TOUR DE FRANCE SOUNDTRACKS」。その名の通り、'83年にリリースされたシングル "Tour de France" から数えても20年、何故この時期に再び「Tour de France」なのか。何やら2003年で「Tour de France」という競技自体が100周年なんだそうで、それを記念して作られた公式認定サウンドトラックなんだそうですよ。20年前の時は協会から依頼されて作ったのか、単に競技からインスパイアされて作ったのかは知りませんが、まさか20年前のあの曲がこういう形で蘇り、またその曲を軸にオリジナルアルバムが完成するとは、当の本人達も、そしてファンの側も思ってもみなかったでしょうね。

そんなこのアルバム。20年前の "Tour de France" をリメイクし、更に2003年バージョンとして3つのバージョンを制作し(というよりも、3つの楽章からなる組曲といった方が正しいかも)、それらを軸にして「Tour de France」という競技をモチーフにいろいろ新曲が作られています。

とにかく一聴して感じたのは、全然古くさくないということ。当たり前か、大半が完全新曲なんだから。リメイクされた "Tour de France" はちょっと懐かしさが程よくブレンドされていて、逆に心地よかったりするんだけど、それ以外の曲‥‥例えば2003年バージョン組曲なんて、完全に今の音でテクノしまくってるからね。4つ打ち仕様、クラブ仕様。ビートも1983年のビートではなくて、2003年のビート。勿論これよりも今っぽい、真新しいビートはいくらでもあるし、聴く人が聴けばこれすら「古くさい」のかもしれないけど、俺にはそうは聴こえないし、全然「アリ」なわけ。UNDERWORLDやCHEMICAL BROTHERSというよりは、ORBITALとかLEFTFIELDといったイメージかな。そういうサウンドを持った1枚に仕上がってると思います。

で、勿論そういった "Tour de France" シリーズ以外の新曲も、良い意味でKRAFTWERKらしく、そして現代的なダンスチューンに仕上がっています。ミドルテンポでメロウなシンセが気持ちいい "Vitamin" もユニークだし、アッパー系の "Aero Dynamik" も単純にカッコいい。この曲が第二弾シングルというのも頷ける話(個人的には、もし第三弾リカットがあるなら、絶対に "Vitamin" だと思ってるんですが)。そして自転車競技という「孤独との戦い」「敵は自分」というテーマをそのまま音にしたかのような "Electro Kardiogramm" も如何にもな印象(ま、テーマは今俺が勝手に思いついて付けてみたんですが)。"La Forme" も従来の彼ららしさを包括しながらも今を主張してる印象。古めかしくもあり、今に通ずる色も見いだせたりもする。だから聴く人によって「止まってる(=時代遅れ)」とも「現代的」とも取れる。この辺がこのアルバムの面白味でもあるんですけどね。

ライヴを観てしまった後だから余計に感じるのかもしれないけど、全体的にストイックな空気が流れる中、最後の最後にオリジナルの "Tour de France" のシンセの音色が聴こえてくると、自然と顔がほころんでしまうんですよね‥‥孤独なレースからゴールした瞬間に似てるのかな。とにかく優しくて温かい印象。 "Tour de France" で始まり "Tour de France" で終わるという構成はそういうテーマがあったからこそなんですが‥‥けど、これは本当によく出来たアルバムだなぁ、と。

残念ながら2003年の10枚には選ばなかったのですが、それでも昨年後半よく聴いた1枚であり、その10枚に限りなく近い作品であるのは確か。もし昨年中にライヴが実現していたら、間違いなく10枚の中に入れてましたけどね。

「とりあえずKRAFTWERKを聴いてみたいんだけど‥‥」と思ってる若い子達には、まずこのアルバムから聴くことをオススメします。無理してアレンジ的にもサウンド的にも時代の流れを感じるアルバムを聴いて切り捨てられるよりは、現代的に処理されたこの「新作」から聴いた方が入りやすいと思いますしね。



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投稿: 2004 03 01 03:52 午前 [2003年の作品, Kraftwerk] | 固定リンク

2004/02/28

DEFTONES『DEFTONES』(2003)

前作「WHITE PONY」から約3年半振りに届けられた、DEFTONES通算4作目のオリジナルアルバム「DEFTONES」。この時期にセルフタイトルのアルバムを発表するということは、恐らくそれなりに自信があるのか、それともこれまでの活動の集大成となるような作品になるのか‥‥とにかく前作があまりにも恐ろしい傑作だったこともあり(そして予定されていたフジロックのキャンセル等、未だに大ブレイク後の来日が果たせていない事等も付け加えて)いろいろ期待していたのですが‥‥ま、良くも悪くも「前作の延長線上」にある作風といえるでしょう。

ニューメタルとかスクリーモとかいろいろ呼び名はあると思うんですが、こういった「ポストロックとのクロスオーバー」的サウンドを実践した先駆者として、今後後続達との差別化を図るためにどういう方向に進んでいくのか。この3年間に所謂「ニューメタル」と呼ばれるタイプのバンドは飽和状態に入り、平凡なバンドはどんどんと消えていき、成功を収めたバンドは更に自らの個性に磨きをかけ、独自の方法論で新作をリリースしていく中、このDEFTONESだけは沈黙を守り続けていたような思えます。海外からツアーやフェス等に参加した等の情報は伝わってきたものの、やはり前作に伴う来日公演が実現しなかったことから、ここ日本では殆ど盛り上がりに欠け、未だに「どこがそんなに凄いのか!?」といった感じで静止するロックファンが多いのではないでしょうか。考えてみれば過去、彼らが来日した際にはクアトロ・クラスでのツアーでしたからねぇ。それだけ観た人が限られるわけで‥‥だからこそ、フェスのような大舞台で彼らの魅力を余す事なく見せつけて欲しかったんですけどねぇ(結局、この「DEFTONES」リリースから1年近く経った今現在においても、来日は実現していません)。もしかしたら彼らって、'01年までのTOOLに近いものがあるのかもしれませんね。

そんな彼らの新作。悪いわけがない。いや、普段ヘヴィロックやラウド系をバンバン聴いてるファンにとっては、この程度のラウドさは日常茶飯事でしょう。しかし、やはり最近この手のバンドを聴く機会が少なくなった自分からすると、良い意味で聴きやすいサウンドなんですね。勿論、依然ラウドなサウンドには違いないのですが、前作辺りから顕著になりだした「RADIOHEADやMOGWAI等にも通ずるポストロック感」が一部の楽曲で激化しているように感じます。頭3曲はこれまでの流れを汲むミドルテンポのラウドロックで、適度にグルーヴィーで気持ちいいのですが‥‥その3曲目 "Minerva" 辺りから、少しずつですがMOGWAI辺りの色合い‥‥静と動のコントラストを強調した色合いが見えだします。5曲目 "Deathblow" になると、もはやラウド系やニューメタルということさえ忘れそうになる空気が漂い、打ち込みを多用した8曲目 "Lucky You" になると完全に「AMNESIAC」辺りのレディヘとイメージが被り、10曲目 "Anniversary Of An Uninteresting Event" ではそのレディヘやMASSIVE ATTACK辺りの色合いすら感じられ、既にラウドロック/ニューメタルなんて域を完全に抜け切っていることに気づかされます。ゴスとも違うダークさ‥‥例えば同時期にリリースされたEVANESCENCEと比べても、全く方向性や向かっている場所が違っていることに気づくことでしょう。

が、そういった要素がアルバム全体を覆っているわけではなく、あくまで「バンドとしての、何分の一かの個性」であり、やはり残りの楽曲はこれまでのフォーマット‥‥所謂ニューメタル/スクリーモの系譜に属するものなんですね。そこがその手のファンにとっての安心要素であり、且つ残念な点でもあるんですが。完全に向こう側に突き抜けることなく、あくまでこっち側に居座ってその居場所の面積/間口を広げている。それがDEFTONESの立ち位置なのかな、と。それはそれで否定しませんが‥‥NEUROSISのようなバンドもいるわけですし、今後はラウド系だけでなく、そういったポストロック系との付き合いも深めてみてはどうでしょうか? この手のサウンドを好むポストロック系アーティストも多いでしょうし、最近では普通にUKギターロックバンドでも、こういったバンド達とツアーをする人達がいるみたいだし。そうやってどんどんクロスオーバーを重ねていき、次のアルバムでは更なる「深化」を進めていってもらいたいものです。

やっぱり俺がこのバンドに望むのは、現状維持しつつ間口を広げていく形ではなく、いっそのことあっち側にどっぷり浸かって、「ポストロック側から鳴らされるラウドロック」という手法でアルバムを1枚作って欲しいんですけどね‥‥ちょっとズレてますかね?

ま、とにかくです。前作やこのアルバムを引っ提げて、是非一度来日してもらいたい。今年のフジロックやサマソニ‥‥一気にブレイクするチャンスだと思うんですけどね。



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投稿: 2004 02 28 12:00 午前 [2003年の作品, Deftones] | 固定リンク

2004/02/27

BACKYARD BABIES『STOCKHOLM SYNDROME』(2003)

作『MAKING ENEMIES IS GOOD』から約2年半振りに届けられた、BACKYARD BABIES通算4作目のオリジナルアルバム『STOCKHOLM SYNDROME』。日本でその地位を確立したセカンド『TOTAL 13』と比べて明らかにスピード感を抑えたその作風に賛否両論だったけど、今回はどうだろう‥‥スピード感とか爆走ロックにこだわるファンにとっては今度のアルバムも期待を裏切る内容なのかもしれないね。けどさ、そうじゃねぇだろ?と。そういった点でここ日本でブレイクしたからといって、それを水増しし続けて作品を重ねていくことを選ばなかった時点で、俺はこのバンドを信用できると思ったし、何よりもソングライティングの能力がアルバムを重ねる毎に向上し続けているんだから‥‥そこに焦点を当てた場合、このアルバムは間違いなく過去最高の完成度を誇る1枚と呼んでいいと思います。

今回のアルバムの面白い点って、俺はそういった楽曲面での向上と、そして「聴く人によっていろんな聴こえ方をする」という点だと思うのね。例えばさ、俺はこのアルバムを「80年代末以降に登場したアメリカン・パンクの流れを汲む」作風だと思ってるのね。ところが、別に人に言わせると「LAメタル的」だと解釈され、また別の人は「オルタナの延長線上にあるダークな作風」と解釈し、またある人は「北欧らしさをこれでもかと強調したポップなロックンロール」と解釈。自分の周りの人間だけでも、これだけバラバラな解釈をしてるわけですよ。で、全員の言ってる意味も理解できるのね。確かにそういった要素も十分感じるし。けど、絶対にそれだけに固執してるわけでもない。恐らくそういった路線を狙ってるようで、実は全く狙っていない‥‥限定しないからこそ人によっていろんな解釈ができ、いろんな魅力が見えてくる。そんなアルバムじゃないですかね、これ。

で、メロディーだけを抜き出してみると、確かに「哀愁漂う北欧さしさを強調」してるようにも感じられる。けど俺の場合、特に今回のアルバムの楽曲を聴いてると、例えばアメリカのBAD RELIGION辺りに共通する色合いを感じるのね。そこから「80年代末以降に登場したアメリカン・パンクの流れを汲む」作風と解釈したんだけど。勿論、BAD RELIGIONだけでなく、いろんなバンドからの要素も感じるわけですよ。それは決して借り物じゃなくて、ちゃんと「BACKYARD BABIESのオリジナル」として昇華できてるからさすがなわけで。

確かに、ここにセカンドにあったようなスピード感が加われば無敵だったかもしれません。けど、2003年の彼らはそれを選ばなかった。何故なら「周りがやってるから」でしょうね‥‥他人と同じことをやっても‥‥っていう「別に俺等はそれがなくても勝ち続けられるぜ?」的な自信の表れとでもいいましょうか、とにかくそんな心強さをアルバム全体から感じるわけ。速い曲もあるにはあるけど、アルバムの核を形成するのはあくまでミドルテンポの楽曲達。ミドルテンポにすることで、更にメロディの素晴らしさを際立たせようという試みなのか‥‥だとしたら、思いっきり大成功してますよね。シングルにもなった「Minus Celsius」という曲があるんですが‥‥これ、完璧過ぎませんか? 前作以降、彼らが目指していたモノの完成形がこれなんじゃないか?と思える程、素晴らし過ぎるんですよ。マイナーキーで、アッパーミドルテンポで、適度に隙間があって、メロウで、ギターがカッコ良くて、男臭くて‥‥俺が今、このバンドに求める要素の全てがこの曲に凝縮されているんです。名曲。名曲中の名曲。誰が何と言おうと絶対に食い下がらないからね。名曲なんだからさ。

勿論、他にもいい曲が沢山あるし、適度にスピード感がある曲も後半に進むに連れて登場するし、前作に引き続きドレゲンがリードボーカルを取る「One Sound」もある。AC/DC的なノリを持つ「Friends」ではゲストとしてマイケル・モンロー(HANOI ROCKS)、今は亡きジョーイ・ラモーン(RAMONES)、昨年のフジロックにも出演したダンコ・ジョーンズ、タイラ(DOGS D'AMOR)、ニナ・パーソン(THE CARDIGANS)、コリー・クラーク(元WARRIOR SOUL)がそれぞれ数小節分の歌詞を書き、それぞれのパートを自ら歌っていて、コーラスにTHE HELLACOPTERSやL7のメンバーが参加しているという、正に曲名通りの「酒呑み友達によるパーティーチューン」に仕上がってるし、ノリ的に一辺倒だった気がする前作と違いかなりバラエティ豊かに仕上げたように感じます。これもアメリカ人プロデューサー、ジョー・バレッシによるところが大きいのでしょう。そして、そういったことが上手く影響したのか、前作以上に「Roll」しまくってる作品に仕上がった。これもスピードを抑えた結果なのかもしれませんね。

多分、このアルバムも賛否両論激しいんでしょうね。けどそれくらいでいいと思いますよ。全然話題にならない/印象に残らないアルバムではない、強過ぎる程の個性を持った作品集なんだからね。



▼BACKYARD BABIES『STOCKHOLM SYNDROME』
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投稿: 2004 02 27 12:00 午前 [2003年の作品, Backyard Babies] | 固定リンク

2004/02/05

JOSS STONE『THE SOUL SESSIONS』(2003)

既にここ日本でもFM局を中心に局地的に盛り上がりつつあるジョシュ・ストーンというシンガー。彼女、イギリスの片田舎に住む16歳の女の子だというのだから‥‥いやはや、恐れ入ったというか何と言うか‥‥

この「THE SOUL SESSIONS」と題された彼女のファーストアルバムは、そのタイトル通り、古き良き時代のソウル/R&Bを、'80年代後半生まれのジョシュが、ソウル界/R&B界の大御所ミュージシャン達と「セッション」することで作り上げられた1枚。どの曲もどこかで一度は耳にしたことがあるんじゃなかろうか?と言えるような、その筋では知られた曲ばかり。ちょっとソウルに疎い人でも、"Some Kind Of Wonderful" くらいは知ってるでしょ? そういったスタンダードナンバーを、とても16歳の白人女性には思えない程ディープでソウルフルな歌声で自分のものにしてるんだから、もうなんて言ったらいいのか‥‥日本に数百万人はいると思われる「自称・ディーヴァ」系の方々。ジョシュの爪の垢でも煎じて飲んで、もうちょっと控えめに生きていきなさいって!

例えば、ソウルやR&Bの世界に疎い俺からすれば、ベティ・ライトとかアンジー・ストーンなんて人は「音は聴いたことないけど、名前くらいは知ってる」っていう存在でして、その凄さを実感してないからこそ「超有名なアーティストがプロデュース!」という付加価値は俺にとって意味がないもの。そりゃ、ここでカバーされてるアレサ・フランクリンやカーラ・トーマス、THE ISELY BROTHERSは知ってるし、実際ここに入ってる曲の原曲を知ってるものも多い。だけど、俺にはその辺の重みって殆ど意味がないものでして‥‥単純に「ソウル/R&Bとして以上に、ロックやポップスとしても十分に機能するアルバム」なのですよ。きっとそれは、ラジオでいきなりTHE WIHTE STRIPESのカバー "Fell In Love With A Boy" が流れてきて、俺の中にもの凄い勢いで飛び込んできたからでしょうね。曲が終わってから、これが噂のジョシュ・ストーンの曲だと知って、2度驚いたわけ。以前、うちのサイトのニュースで取り上げたことがあって、その名前は知ってて、しかもWHITE STRIPESのカバーもやってるってのも頭に入ってたから、余計にね。

タイプはちょっと違うけど、マライア・キャリーのファーストアルバムを初めて聴いた時に似たような衝撃を受けましたね。マライアの場合は純粋な意味でのR&B調ポップスと呼べるけど、ジョシュの場合は‥‥ドンズバのソウルをやってるはずなんだけど、もっといろんな可能性を感じさせる作風のアルバムだなぁ、と。全編生バンド(しかも名うてのミュージシャンばかり)ってのも大きいし、アレンジがシンプルながらもズシンとくるものばかりってのも関係あるでしょう。とても16歳の女の子相手のバンドとは思えませんよね? 30代半ば辺り‥‥それこそシェリル・クロウとかあの辺にも共通する色を持ってるし。また曲によっては、昨今流行のリバイバル・ロックにも通ずるし。そう、彼女の登場は必然だったんでしょうね。時代に呼ばれた人だったのかもしれません。

とにかくね、"Fell In Love With A Boy" がカッコ良すぎて‥‥THE ROOTSのメンバーが参加してたりするんですよね、これ。あと、ラストの "For The Love Of You Pts.1&2" での「歌」とか。全編がハイライト。そりゃ16歳なりの「未熟さ」を感じさせる瞬間もあるにはあるんだけど‥‥それが何?っていう感じですかね。そんな「重箱の隅をつつく」ようなことを言ってるような人達は放っておいて、純粋に楽しめばいいと思いますよ。だってさ、これが1作目なんだから‥‥5年後とか10年後って、ホントどうなってるんだろうね‥‥ゾッとするね。

デビュー作が完全カバー集だったこともあり、まだまだ彼女の方向性とか本当の魅力がピンボケしてるようにも思えますが、それは今後彼女に付いたプロデューサーの仕事次第ですよね。折角ベティ・ライトみたいな大物が彼女を支えてるんだから、彼女が曲を書き下ろしてもいいし、あるいは‥‥それこそWHITE STRIPESのジャック・ホワイトが書き下ろして、このアルバムのメンツでアレンジしてみてもいいし。カチッとした個性がまだない分、可能性だけは尽きないですね。ホント、先々が楽しみな人が現れましたよ‥‥



▼JOSS STONE『THE SOUL SESSIONS』
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投稿: 2004 02 05 03:27 午前 [2003年の作品, Joss Stone] | 固定リンク

2004/01/22

Cacoy『human is music』(2003)

  dj klockとsaya(tenniscoats等)とueno(プカプカブライアン等)によるエレクトロニカ・ユニット、Cacoy(「囲」の意)が'03年4月に発表したファースト・フルアルバム「human is music」。エレクトロニカと一言でいっても、その中にもいろいろと細分化されたジャンルがあるようでして、ヒップホップ的なものから完全に室内での観賞用に作られた厳かなものまで、今では多種多様なスタイルが存在しているようです。ただ、少ない経験ながらも「あ、こういうのもエレクトロニカだよな?」なんて聴いて理解できるものもありまして‥‥今回紹介するCacoyの音楽性も正にそれといえるものなのではないでしょうか。

  個人的にはdj klockがどういう仕事をしてきたか、そしてtenniscoatsやその他のバンドがどういう音楽性なのかという事前情報は一切知らず、単純に「CD屋で試聴したら、気持ちよかった」から買ったアルバムなんですね。もう、ホントそれだけ。このアルバムが現時点においてもどういった評価がくだされているのか?なんてのも、全然知らないわけで。ま、そもそも興味ないですからね、メディアのその手の評価は。

  これはね、もう完全に「リスニング用のエレクトロニカ」と言っていいと思いますよ。勿論、作り手本人達はそういった意識の元、これらの音楽を創造していないのかもしれませんが、俺自身はそういう目的‥‥つまり、自分の部屋で深夜、リラックスしたい時に聴く音楽‥‥でこのアルバムを聴いていますからね。確かにエレクトロニカ特有の、あのピキピキしたサウンドはここにも含有されているんですが、特にそれが神経を逆撫でるようなこともなく(例えばエイフェックス・ツインみたいにね)、全体的にダウナーなノリということもあり、聴いていて高揚感を得るような感じではない‥‥だけど、気持ち良くて何度も聴いてしまう。

  多分その理由は幾つかあるとは思うんですが‥‥最大の理由は、エレクトロニカだけど人の暖かみを感じる音だから。勿論電子音がそこら中に振り撒かれているわけですが、そこに同じくらい同居する生楽器‥‥サックスやトランペット、更にはsayaによるボーカルの存在が大きいのです。最近、こういった生楽器を導入したエレクトロニカをやってるユニットを見かけますが、このCacoyもその一連の流れにいるユニットといっていいんでしょうね。個人的には‥‥ちょっと路線的には違うけど‥‥アイスランドのMUM辺りと同じ匂いを感じるんですよ。だから気に入ってるのかな‥‥

  よく「テクノには人間が作り出すサウンドみたいに、人の暖かみを感じない」という声を耳にしますが、確かにそうかもしれない‥‥けど、こういう方法もあるんだよな、と。これは純粋なテクノミュージックではないし、正直エレクトロニカと呼ぶに相応しいのかどうかも判りませんが‥‥けど、聴いていて気持ちいい、暖かい何かを感じる。それは間違いない事実なんですね。個人的にはそれで十分じゃないかな、と。難しいこと考えすぎて、その音楽本来の良さを見過ごしてしまうのは、ちょっと勿体ないですもんね。



▼Cacoy『human is music』
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投稿: 2004 01 22 12:00 午前 [2003年の作品, Cacoy] | 固定リンク

2004/01/17

THE PLAYMATES『LISTEN!』(2003)

  姫路が誇るパワーポップ/ギターポップバンド、THE PLAYMATESが約1年振りに発表する通算4作目のフルアルバム「LISTEN!」。このアルバムの3ヶ月前には、ここにも収録されている "IF" や "BABY LOVE" の「STEREO VERSION」や、ニール・セダカやキャロル・キングといった王道ポップクリエイター達のカバーを含む全6曲入りのミニアルバム「A SESSION WITH THE PLAYMATES」をリリースしていて、結成10周年を迎える2003年は本当に精力的に活動していくんだな?というのが伺えて、ファンには嬉しい限り。しかも、そのどれもが本当に素晴らしい楽曲ばかりなのだから、さすがとしか言いようがないですよね。暫く活動が停滞していた時期があっただけに、ここ最近の充実振りには正直嬉しいものがあります。

  上にミニアルバムでは「STEREO VERSION」なんてことを書きましたが、この「LISTEN!」というアルバム、ジャケットにも表示されているように「モノラル」なんです。今やギターの振り分けとかドラムのタムタムやシンバルの位置が全てステレオ録音によって、まるで目の前で演奏されているかのように実感することができるわけですが、録音技術が乏しかった'50~'60年代の録音物はほぼ全部「モノラル録音」だったことはご存知でしょう。BEATLESのアルバムひとつをとっても、ある時期から急に「モノラル」から「ステレオ」に切り替わっていたり、あるいは「疑似ステレオ」なんていうのまである始末で。ステレオ録音は勿論、現代の音楽界ではごく当たり前と思われがちですが、そんなの誰が「当たり前」って決めたんですかね? そういったセオリー通りの音楽、面白くないよね?

  このTHE PLAYMATESはそういったセオリー通りに面白みを感じなかったから敢えてモノラルにした‥‥のではないと思います。これはもう単純に趣味の問題であり、自分達のサウンドに一番フィットする録音方法/表現方法だったから、時代に逆行するかのような技術を採用したんでしょうね。ていうかさ、3ピースのロックバンドが至極シンプルなそのサウンドを、ライヴ感そのままに録音物に閉じ込めようとした場合、実はこういった方法が一番伝わりやすいんじゃないかな‥‥なんて思うんですけど、どうでしょうか? 勿論人それぞれ、趣味も好みも違うから、一概にはそれが正論とは言い難いですが‥‥そして、それが合っているバンド/似合わないバンドが存在するのも事実。単純にTHE PLAYMATESの場合、見事にその方法とサウンドが合致したわけですよ、奇跡的に。

  このバンドのサウンドを言い表す時、必ず「マージービート」だとか「リバプールサウンド」といったキーワードが出てくると思うのですが、勿論そういったものをルーツに持ちつつもただ再現するのではなく、ちゃんと同時代性‥‥全員が20代後半~30代前半ということもあり、パンクやガレージ等を通過してるはずなので‥‥も表現しつつ、彼らなりの表現方法で「THE PLAYMATESらしいロックンロール」を展開しているわけです。歌詞は全て英語、2声~3声によるコーラス、シンプルな演奏、甘くとろけるようなメロディ、全部2~3分以内で収まる楽曲(アルバム自体も12曲で30分ちょっとという聴きやすいランニングタイム)。これだけ書くと「そんなの、似たようなバンドが腐る程いるじゃないか?」と返されそうですが、確かに。けどさ、聴いてもらえば判ってくれるはず‥‥決して勢いとかで押し切るタイプではなくて、あくまで「メロディ・歌(コーラス)・演奏」で勝負するバンド。そして聴いて納得してしまう説得力。伊達に10年もやってないな?と思わされるわけですよ。確かに初期はもっと勢いがある楽曲をやってたりもしたんでしょうけど、例えばTEENAGE FANCLUBがどんどん轟音から鳴りを潜め、「静かなる攻め」を突き詰め始めたのと同じものをTHE PLAYMATESからも感じるわけです。

  とはいっても、彼らはTFCよりもまだまだ若いですから、完全に「枯れて」しまうには勿体ない。若さ故に表現できるものもあるわけで、そういった楽曲もちゃんと収録されている。映画「アメリカン・グラフィティ」の中のダンスタイムで流れてきそうな楽曲から、ストレートでスピード感をちゃんと伴ったロックチューンまで。「ポップ」というキーワード繋がりで約30数分、全く飽きさせない至福の時を与えてくれるアルバム。それがこの「LISTEN!」という1枚。日本のインディーシーンには有名無名問わず、まだまだ素晴らしいバンドが沢山いるんです。チャートやテレビ、雑誌だけが全てじゃないってことがお判りいただけると思いますよ、特にこのアルバムを聴いてしまうとね!



▼THE PLAYMATES『LISTEN!』
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投稿: 2004 01 17 12:00 午前 [2003年の作品, Playmates, The] | 固定リンク

2004/01/11

BON-BON BLANCO『バカンスの恋』(2003)

  BON-BON BLANCOが'03年6月にリリースした、通算5枚目となるシングル「バカンスの恋」はこれまでどのシングルとも違った、非常に「聴かせる要素」が強い作品に仕上がっています。3月にリリースされたファーストアルバム「BEAT GOES ON」以降最初のリリースとなるわけですが、決して路線変更というわけでもなく、かといって前作の延長線上にある楽曲と言い切るにはちょっと違った、非常に深みを持ったタイトル曲 "バカンスの恋" と、アルバム収録曲の中でも1~2を争う完成度の高さを誇るバラード "The sea of the time" の2曲から成るこのシングルで、ボンブラはまた新たなステップを踏み出したと言っていいでしょう。

  ラテンテイストという共通項を持ちながらも、それまでのシングル曲とは違った趣きの "バカンスの恋" は、アイドルポップという枠をはみ出しつつあることを伺わせる、非常に完成度の高い1曲に仕上がっています。こういう傾向はアルバムを聴いた時点で見え隠れしていたのですが(その顕著たる例がカップリングにも収録された "The sea of the time" でしょう)、その傾向はこの曲で一気に進んだと言っていいでしょう。この曲が誰の曲だか知らずに聴いたとして、一体どれくらいの人が「アイドルグループの曲」だと判るでしょう? そういう楽曲なんですよね、これ。残念ながら某歌番組での悲しい弄りのイメージの方が強かったためか、曲自体が話題になることは殆どありませんでした。同時に古参のファンからは「ちょっと‥‥」という声も聞こえてくる程。確かに「アイドル」としての彼女達が好きだった人にとっては、この曲の路線はちょっと違うのかもしれませんね。けど、個人的にはこういう路線に進むこと、大歓迎です。決して「アイドル」だから悪いのではなくて、良い意味での差別化を図るためにも必要かな、と思うのです。現在、アイドルグループで成功を収めているのはモーニング娘。を含む一部のハロー!プロジェクトの面々と、「バンドル(バンド・アイドル)」という形態を取るZONEくらいでしょうか。そんな中に食い込んで行くには、ラテンの要素の他にも「完成度の高い楽曲」という要素が重要になってきます。そりゃデビュー時の路線のままで成功を収めるのが一番良いのですが、「キワモノ」「色モノ」で終わらないためにも「こういう曲も歌えるんだよ!」というのを誇示しておく必要があったのかなぁ、と。リリースから半年以上経った今、この曲を聴いて改めて思うわけです。

  別にアーティスト路線で売ろうとは考えてないはずなんですよ、製作陣も。確かに "バカンスの恋" といい "The sea of the time" といい、普通にJ-POPとして通用する楽曲ですけどね。じゃなかったら、これに続くシングルをアニメ「ワンピース」主題歌にぶつけるという大ネタをかましたりしないでしょうしね(ま、思った程このシングルが売れなかったから、また路線を変えた/戻した、というのも考えられますけど)。とにかく曲としては非常に優れた2曲なので、もしボンブラに興味を持ったなら、まずはこのシングルから聴いてみては如何でしょうか?

  とにかくね‥‥アルバムで聴いた時から既に名曲だと感じていた "The sea of the time"。これだけでも是非聴いてみてください。正直、こっちがA面でもよかったんじゃないかと思える程なんですよ。あ、タイアップ取ってきて両A面ってのもありだったかも。それだけに、本当に勿体無いなぁ‥‥とも思うわけで。一回生で歌う姿を観てみた1曲ですね。



▼BON-BON BLANCO『バカンスの恋』
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投稿: 2004 01 11 12:30 午前 [2003年の作品, BON-BON BLANCO] | 固定リンク

2004/01/09

JEFF BECK『JEFF』(2003)

改めて実感するのは、やはりジェフ・ベックというオッチャン(というか爺サマ)の貪欲さ‥‥勿論そのプレイの凄さや醍醐味については書くまでもないと思うんだけど‥‥多分何の説明もなしにこのアルバムを聴かせたら、大体の人は「どこぞの若手インダストリアルユニット?」とか「新手のデジロック」「ダンス界の新星」なんて言っちゃうのかも。そういった要素を持ち、見事に消化しきっているのが、この「JEFF」というアルバム。

ある意味、ここ数作の集大成ともいえる作風だし、尚かつ更に前を見据えている作品と取ることも出来る。とにかくひとつ言えるのは、過去2作‥‥「WHO ELSE!」や「YOU HAD IT COMING」よりもこなれてきたという点。勿論その2作でも、ただの借り物では済ませられない程の完成度を見せていた「ジェフ・ベック流テクノ」ですが、ここで一旦完成型を見せ、それでいて更に最新型の武器を披露するという、とにかく凄いアルバムなのですよこれ。

ブルーズあり、サーフミュージックあり、ファンキーあり、ヒップホップあり、フュージョンあり、ハウスやテクノ系あり、インダストリアルあり、といった具合にとにかく雑多。けど、その根底にあるのは「踊る」という行為そのもの。つまりはダンスミュージックなわけですよ。如何に聴き手を踊らせるか、それが彼の根底にある重要なファクターのひとつだと思うんですね。JEFF BECK GROUPでもいいし、その後のソロ活動でもいいし、とにかくいろんな要素のダンスミュージックを、その時その時で違った方向性・違った手段で料理してきたベック。しかも「流行に乗って借り物的に手を出してみました」的な胡散臭さがあまり感じられず(中には失敗作もあるんだけど)、やるからには常に追求する男、ジェフ・ベック。とくに「テクノ三部作」と呼ばれている「WHO ELSE!」以降の流れは圧巻で、完全に時代とリンクしているんですよね。UNDERWORLDやTHE CHEMICAL BROTHERS、PRODIGYといったダンスユニットがオーバーグラウンドへ浮上したのと同時に、ベックもああいった作風のアルバムを制作する。しかも若手との作業を経て、どんどん若返っていく。

今回の作品でも前作で起用したアンディ・ライトを筆頭にCURVEのディーン・ガルシア、APPOLO440、デヴィッド・トーン、ミー・ワンといった有名・無名アーティスト達と共同作業で制作にあたってるし。バックトラックを作るのがそうった若手達なんだけど、最終的にはその上にベックの自由奔放なギターが乗ることで完全に「ジェフ・ベックの作品」へと昇華していく。さすがというか何というか。やっぱり凄いオッサンですよこの人。

一時期エリック・クラプトンがテクノロジーに興味を持って、そういった方向に片足を突っ込んでいた時期があったけど、結局あの人はブルーズの人なんですよね。最終的にはそこに戻っていく。けどそれは決して保守的というわけではない。方やジミー・ペイジはひとつのスタイルの中でいろんな可能性を見出そうとしてきたけど、ここ20年くらいは完全に停止してしまってる。はっきり言っちゃえば保守的‥‥なんだろうね。けど、それだからこそ彼は支持されるのかもしれない。そしてジェフ・ベック‥‥この人の事を好きだという人は、一体どういった音楽を愛する人達なんでしょうね? オールドロックのファン? ギターキッズ? それともダンスミュージック好き?? 何かよく掴めないんだけど‥‥間違いなく言えるのは、60歳を間近に迎えても尚、このオヤジは守りに入らないという事実。一体何時までこの進化を続けるのか、とくと見届けていこうではないですか。



▼JEFF BECK『JEFF』
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投稿: 2004 01 09 03:00 午前 [2003年の作品, Jeff Beck] | 固定リンク

2004/01/05

曽我部恵一『瞬間と永遠』(2003)

  サニーデイサービス解散後、2枚目となる曽我部恵一のセカンド・ソロアルバム「瞬間と永遠」。以前から何度も書いている通り、俺はサニーデイが非常に苦手なバンドで(ある時期までは普通に聴けたんですが、'98年頃から何故か苦手意識が出てきて、それ以降は完全にダメに)、だから曽我部のソロに対しても特に興味を持たなかったんですよ。だから俺が彼のソロと接することになったのは、このアルバムが最初でして。ま、その直前にライヴで接していたので、かなり好意的に耳を傾けることが出来たんですけどね。

  ここで聴けるのは非常にバラエティ豊かな楽曲ばかりで、例えばフォーキーなものからストレートなロック、ヘヴィなブルーズ、セクシーなソウル風、テクノやエレクトロニック調、等々。しかしどれもが「借り物」で終わっておらず、ちゃんと「曽我部恵一の音」として成立しているのは、さすがといったところでしょうか。アルバムは全9曲と少ない印象を受けるのですが、1曲が5分を越えるものが大半を占め、"浜辺" に関しては約9分にも及ぶ大作となっていることもあって、たった9曲ではなく「非常に濃密な9曲」と言うことができると思います。実際このアルバム、全く飽きがこないんですよね。

  所謂「ロック特有の躍動感」だとか「煌びやかで溌剌としたロック」といった要素は皆無に近いですし、実際そういったものを曽我部に求める人はいないと思うんですが‥‥そういったものだけが「ロック」じゃないわけですよ。ロックというのはある意味「現実離れ」したものなんだけど、それとはまた対極にある「より身近にあるリアリティ」を表現したものもまたロックなわけですよ。そういった意味で、サニーデイ時代から一貫して曽我部のロックというのは後者なんですね。ただ、それを表現する手段の違いだと思うんですよ、バンド時代とソロとでは。たまたま俺にとってよりリアルに感じられ、スッと入ってきたのがソロの方だったってだけで、多分バンド時代の方が劣っているというわけじゃないはずなんですね。

  曽我部恵一は自分と同年代。だからこそ理解できるという点がかなりあります。最初アルバムを聴いた時、ちょっとだけ「枯れすぎじゃない?まだまだ早いんじゃ‥‥」と思ったりもしましたが、それを補完してるのが実はライヴだったんだな、と何度か彼のステージを観る内に気づかされました。ライヴでは完全にロックンロールしてる。その手段は決して派手なものではないですが、完全にロックンロールしてる。別物とはでは言い切れませんが、これも表現手段の違いなんだな、と思うんですね。アルバムはアルバムとして楽しめる、けどライヴはその延長線上として表現しつつも「プラスα」を体験することができる。この辺が今の彼の面白味なのかな、という気はします。

  けど結局、そういう風に俺が彼を捉えるようになったのは、彼のステージを複数回観ているからであって、だからといってライヴを観なければこのアルバムの本当の良さが理解できないというわけではありません。アルバムはアルバムとして純粋に楽しむことができる、そういう完成度の高い作品だと思いますよ。2003年の夏、実は最もリピート回数が多かったのがこのアルバムかな‥‥と今ふと思い出したりして。2003年の10枚に選び忘れちゃったけど、実際には入れてもおかしくない1枚なんですよね。うん、本当にいいアルバムだと思います。若い子は勿論、最近ロックから離れつつある30代の方々にこそ聴いてもらいたい1枚。



▼曽我部恵一『瞬間と永遠』
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投稿: 2004 01 05 12:00 午前 [2003年の作品, 曽我部恵一] | 固定リンク

2004/01/03

クレイジーケンバンド『777』(2003)

  2002~2003年は何かと話題になることが多かったクレイジーケンバンド。テレビCMでのタイアップや地上波音楽番組への出演、更にはテレビドラマへの出演や和田アキ子への楽曲提供&プロデュース等、他ジャンルのアーティストとのコラボーレート等々。とにかくサブカル界だけでなく、段々とその名前や風貌、そして音楽が一般のシーンへと浸透しつつあったのが2003年だったように思います。

  そんなCKBの人気を決定づける為に発表されたのが、通算5作目となるアルバム「777」。既に前作「グランツーリズモ」でその下地は出来ていたし、そこへ間髪入れずに連続リリースされた一連のシングルがチャートのトップ20入りしたり等、注目だけでなく結果が伴い始めていた時期でのアルバムリリースで、見事14位という結果を叩き出したのでした。それまでは「大人が熱狂する、大人のためのロック」なんて触れ込みで語られることの多かった彼等が、10代~20代の子達にも受け入れられることになったのです。正に「昭和歌謡」的なものが新しいと持てはやされていた時期と見事合致したのも多きかったといえます。

  が、CKBの魅力はそんな型にはまったものだけじゃないんです。それこそホットロッド調ロックンロールあり、ジミ・ヘンドリクスばりのブルージーなヘヴィロックあり、お洒落なポップソングやボサノヴァあり、以前にもコラボレートしているRhymesterと再共演したヒップホップ調あり、ダニー・ハザウェイやマーヴィン・ゲイも真っ青なエロR&Bあり、とにかく何でもあり。それら全てを指して‥‥俺は「大人のパンクロック」と呼びたいですね。そんな型破りなところ、正にパンクじゃないですか。あのダンディな風貌で、こんなことやっちゃうんだから‥‥カッコイイったらありゃしない。

  とにかく、これだけいろんな要素をひとつのバンドの中に取り込もうとすると、普通は散漫になってしまいがちなんだけど、そこは百戦錬磨の大人。とにかく何をやっても「CKB風」ロックとしてちゃんと成立しているのは、さすがとしか言いようがないです。バンドとしての力量もとにかくハイレベルだけど、やはりここは横山剣というソングライターの突出した才能、ここに注目したいところです。10年近く前から特に変わったことをやってるわけじゃない。つまり、いろんな要素を取り込みつつも、根底にあるものは頑固一徹に守り通した。その結果、時代が彼等に追いついた‥‥横山剣やバンドがその間にやってきたことはといえば、個々の力量に磨きをかけることと、如何に聴き手を惹き付けるか・楽しませるか、ということ。それらに対してちゃんと結果が伴うようになったのが、ここ数年ということなんでしょう。ホント、全てはタイミングなんだなぁと思わずにはいられませんね。

  途中に入る寸劇的なジングルも面白いし、何よりも箸休めとして十分機能している。70分強、全21曲というかなりの長丁場なんですが、全く飽きさせないのはそういったバラエティ豊かさ、それらを説得力を持って聴かせるバンドの力量からなんでしょう。勿論、魅力的な歌声や歌詞もですけどね。

  ここまでくると、次はどんな楽曲を聴かせてくれるのか‥‥と期待が大きくなるばかりですが、次のアルバムはどうやらベストアルバムになるようです。オリジナルアルバムに未収録のシングル曲、沢山ありますしね。ここらでひとつ大きな区切りをつけるのもいいでしょうし、そういった入門編的作品をこの時期に発表して、更にファンを増やすことにも一役買うことでしょう。とにかく、本格的大ブレイクを前に、今一度この最新作で予習しておくのもいいかもしれませんね。2003年の10枚には選ばなかったものの、これも年間通してよく聴いたアルバムの1枚です。



▼クレイジーケンバンド『777』
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投稿: 2004 01 03 12:00 午前 [2003年の作品, クレイジーケンバンド] | 固定リンク

2004/01/01

Cocco『Heaven's hell』(2003)

  Coccoが約2年振りに帰ってきた‥‥いや、正確には「帰ってきた」と言い切れないもどかしさを伴う、人前への登場といった方がいいのかな? とにかく、2001年4月に我々の前を去った後、一切の音楽活動を中止していた彼女が、再び自分の音楽を、自分の言葉で表現し始めた。個人的にはそれだけで十分なんだけどね。

  2003年8月15日。正に「日本中でみんなが黙祷する日」に、彼女は我々に対する問題提議を伴い戻ってきた。真新しい楽曲と、百数十人の子供達を引き連れて‥‥それがこのDVDの中で歌われている "Heaven's hell" という楽曲。たった1曲の新曲ではあるけれど、この時の生演奏会では約10分に及ぶ長丁場を、素人同然の子供達と共にやり遂げ、聴き手を十二分に惹き付ける、本当に素晴らしい歌と演奏を我々に見せて/聴かせてくれたのでした。この映像を最初に目にしたのは、同年8月末のTBS系「NEWS23」での特集にて。約30分に及ぶドキュメント(舞台裏やメイキング、そしてCoccoとのインタビュー等)の中で、彼女が何故2年前に音楽活動を中止したのか、そして何故再び人前で歌うことを選んだのか、それらが彼女の言葉で語られています(勿論今回のDVDの中にもその場面は収録されています)。

  このDVDはその番組、そして沖縄のテレビ局で放送された同イベントのドキュメントを合わせ、市場流通用に再編集した、約60分に及ぶドキュメントDVDです。当然イベント当日の歌の模様も完全収録されています。

  しかし、ここで注目すべきなのは‥‥実は彼女の新曲についてではなく(それはまた別の機会にちゃんと語りたいと思います)、何故彼女が「歌」と「ゴミ拾い」を結びつけたか、そしてそこに向かわせたかなんじゃないでしょうか。勿論その答えの全てがこのDVDの中に存在するのですが‥‥ま、俺が改めて書くまでもないので、とにかくあなた自身の目で確認してもらいたいな、と思います。

  自分の住んでいる場所もまた、海に囲まれています。夏になれば海水浴客やリゾート客で栄える、それなりに名の知れた町のようです。が、決して綺麗な海ではありません。昔は綺麗だったんです。けど、段々と汚くなっていった。勿論、そういった観光客が汚した結果がそれ、とは言い切れません。地元に住む人達による汚染だって間違いなくあります。いろんな要因が重なり合った結果が、今の汚い海なんでしょう。

  よく自分が子供の頃‥‥小学生の頃だったかな? 海開きの前になると必ず、土曜の午前中を使って近くの海水浴場へ行って、砂浜のゴミ拾いをするんです。観光客が捨てていった空き缶やビニール、家庭ゴミ等。酷いモノになると使用済みのコンドームとか‥‥勿論、全部が全部観光客が捨てていったものではなく、中には他の海からたどり着いたゴミ‥‥明らかに余所の土地にしか存在しない品物だったり、あるいは海外から漂着したゴミだったり‥‥そういったものを「何で僕達が拾わなくちゃいけないんだろう?」といった疑問を抱きつつ、強制的に拾わされていました。全ては「観光客に気持ちよく海を使ってもらえるように」と‥‥

  このDVDを観たとき、そういった子供の頃に感じた違和感をふと思い出しました。けどもし今、同じようなことを強いられたとしたら‥‥多分あの頃とは違った考えの下、ゴミ拾いをすると思います。そういえば以前、女の子と地元の海に行った時、あまりにゴミが凄かったんで無意識のうちにゴミ拾いしてたんですよ。遊びながらですが。そしたらね、その子は俺に言うわけですよ‥‥「なんでそんなことするの?」って。自分にとっては落ちてるゴミを拾うことは、普通のことなんですよね。フジロックとか行くとそうでしょ? まぁ落ちてるゴミを拾わないまでも、絶対に自分からゴミをゴミ箱以外に捨てようなんて思わない。あんまり酷い散らかりようだったら無意識のうちに拾ってしまう、みたいな。その感覚だったんですよね。けど、そんなこと知らない普通の子達にとっては、むしろゴミを捨てる方が普通の感覚で、拾うなんて恥ずかしい行為、あるいはバカみたいに映るわけですよ、極端な話。それを改めて認識した時、ちょっとショック受けましたね。だってさ、自分らの海じゃないか、って。誰のものでもない、だけど俺らの海なんだよ、って。説明しても無駄だと思ったから、その場はそのままやりすごしたけど。後になって、その時にそれを説明できなかった自分に腹立たしく感じたりなんかしてね‥‥

  DVDの内容から脱線してるように見えるかもしれないけど、つまりはそういうことなんです。このDVDを観るってことは、そういった問題意識と向き合うこと。決してCoccoは「沖縄に来てゴミ拾いをして」と言ってるんじゃないんですよ。それぞれ身の回りで、個人レベルで出来ることをやっていこう。それを考える切っ掛けを我々に与えてくれてるんですよ。そういったことを判りやすく伝えるために、彼女は今回「歌」に託した。イベントのサブタイトルにあるじゃないですか、「もしも歌が届いたら 海のゴミを拾ってね」って。海じゃなくてもいいんですよ、山でも、川でも。もっともっと、身の回りの自然を大切にして欲しい。そうすることが、いろんなことに繋がっていくと、彼女は信じてるんです。それが最終的に世界平和に繋がるんじゃないか、と‥‥

  歌が世界を変えることは不可能でしょう。ジョン・レノンも成し得なかったんだから。けど何度も書くけど、世界は変わらなくても人間の意識を変えることはできる。大きな成果は得られなくても、個人レベルの小さな変化をもたらすことは可能なんです。だって、この "Heaven's hell" という曲を聴いて心動かされた人、沢山いるでしょ? それはあなたの心の中にある「何か」が動かされたからでしょ? それをそこで終わりにして欲しくないんです。考えることをそこで放棄して欲しくないんです‥‥彼女はそう言いたかったんじゃないかな‥‥

  最後に‥‥ちょっと話題から逸れちゃいますが‥‥このDVDを観ていて何度か涙してしまうシーンがあったんですが、個人的に最も涙を堪えきれなかったのは、彼女が子供達の前であの "Raining" を弾き語りするシーン。勿論そこに至るまでの会話込みで、ですが‥‥とにかく全てを観て欲しいです、音楽のみではなくね。



▼Cocco『Heaven's hell』
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投稿: 2004 01 01 12:00 午前 [2003年の作品, Cocco] | 固定リンク

2003/12/30

宇多田ヒカル『COLORS (EP)』(2003)

結局、今年宇多田ヒカルがリリースした音源はこのシングル1枚、しかもカップリングの "Simple And Clean" はその前年春リリースした "光" の英語バージョンでバックトラック自体は殆ど一緒だし。ということは、2003年は "COLORS" 1曲しかこの世に出さなかったことになるのか。2002年初夏に発表したサードアルバム「DEEP RIVER」前後から、入院~長期休養~結婚~成人と私生活でいろいろあったわけで、それを尊重しての音楽活動スローペースだったんだろうけど、ファンとしてはちょっと淋しいところ。いや、ファンだなんて言ったら烏滸がましいかな。彼女の歌は大好きだ、って意味なんだけど。

というわけで、2004年はその分を取り返すかのように武道館5デイズ、新曲&アルバムリリース、全米デビュー等目白押しなんだけど‥‥まずそのまえに、現時点で唯一の『「DEEP RIVER」後』であるこのシングルについていろいろ語ってみたいと思います。

正直なところ、このシングルを初めて聴いた時はちょっとだけ肩透かしを食らったな、と思ったのを覚えてます。例えばカップリングの "Simple And Clean"("光")と比べてみてもいいんだけど、バックトラックが今までよりも弱いかな、という気がしたのね。勿論彼女の歌や歌詞に関しては文句なし。というよりも、彼女に関しては共感する/しない以上に大きなパワーを『歌』から感じるわけ。勿論内容がない歌をうたうことはまず考えられないんだけど、だからこその大前提があって、その上でバックトラック云々という話をしてますので、ご了承を。

インスト・バージョンを聴いてもらえば判ると思うんですが、全体的に少し古い印象を受けるんですね‥‥時代がひと回りして、こういった'80年代~'90年代前半的な打ち込みサウンドが今では、新しいとまでは言わないもののかなり新鮮に聞こえるような時代になっているのは確かなんですが、それにしても‥‥ちょっと安直過ぎないか?って思える程にチープな印象を受けたんですよ。で、リリースから約1年近く経って、CDだけでなくテレビで歌う姿やCMソングに起用されたりして、ずっと耳にする機会があったわけですが、やっぱり慣れって怖いですね。最初に感じた違和感が今では殆ど感じなくなってるわけですから。というよりも、テレビで聴くとそういったバックトラックよりも歌に耳が行ってしまうんですよね。ショボイから耳に入らない、というのもあるんですが、やっぱりそれ以上に宇多田ヒカルの「歌の存在感」なんでしょうか。あのブレイク後に飛び込んでくる彼女の歌声、このインパクトが全てな気がしますね、この曲は。

方や "Simple And Clean" は、"光" という「既に存在するヒット曲」が先に世に出てしまったこともあり、そちらのイメージが強かったわけですが、こうやって聴くと同じようでいて全く違う印象を受けますね。特にサビ部分はメロディを歌詞に譜割り等に合わせてるせいか、歌い回しがかなり変わってる部分がありますし。慣れないうちは違和感があったものの、決してそれは「良くない」という違和感じゃなくて、単純に "光" のイメージが強いせいで感じるものだったんでしょうね、暫く聴いていると全く違和感を感じなくなったし。これも慣れのひとつなのかもしれませんが、逆に今度は "光" の方を聴くと違和感があったりしてね。まぁどっちの方が好き、という明言は避けますが(だって選べないしマジで)、人の好みによって好き嫌いはあると思いますよ。英語でカッコイイっていうのもあるでしょうし、日本語じゃなきゃ伝わらないって人もいるでしょうし。

最後に "Simple And Clean" のリミックス。正直リミックスに関してはそこまで詳しい人間じゃないし、まぁ浜崎あゆみみたいに無駄なリミックスが多いのと比べれば、まだマシな気がしますけどね。本来、こういったリミックスってクラブで使われることを前提として作られたものでしょ? それがいつの間にか「こういうアーティストにリミックスしてもらいました」的品評会の場に変わっちゃってる気がするんですが‥‥そっちが正解なの? いや、面白ければ全然いいんですけどね。で、今回のヒッキーのやつは‥‥まぁ可もなく不可もなくといった印象。テンポを上げて、かなりダンサブルな印象が強くなりましたが、まぁ別にいいんじゃないの?くらいの感想しか出てきません。普通にクラブとかで聴いたら気持ちいいのかもしれないけど、これを書いてる今は自室で素面状態なので。これ以上何とも言いようがないというのが本音です。

とまぁ辛口なコメントもしつつ、いろいろ書き連ねてきましたが‥‥これ1曲で次の作品集を占うことは不可能ですよね。シングルが何枚かあって、初めて見えてくるものが今まではあったのですが、今回に関しては‥‥次のアルバムって全米デビュー用の英語アルバムでしょ? じゃあこの "COLORS" はちょっと別路線なんじゃないかな? このままの色合いで日本市場向けの作品を作るってわけじゃないでしょうし‥‥だからといって "Simple And Clean" の路線で行くとも思えないし(これもある意味日本市場向けですしね)。何とも先が読めない彼女でありますが、とにかく今言えるのはただひとつ。ライヴ楽しみだ、と。そして‥‥どんなタイプであろうと、彼女が生み出す楽曲が楽しみで仕方ない、と。もうそれだけですよ。



▼宇多田ヒカル『COLORS (EP)』
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投稿: 2003 12 30 12:00 午前 [2003年の作品, 宇多田ヒカル] | 固定リンク

2003/12/29

RAGE AGAINST THE MACHINE『LIVE AT THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM』(2003)

RAGE AGAINST THE MACHINEの、結果としてはラストライヴとなってしまった'99年9月12&13日に行われたロサンゼルス「THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM」での模様を収めたライヴアルバム。あの衝撃的な解散('00年秋にボーカルのザック・デ・ラ・ロッチャ電撃脱退)から丸3年経った今年11月(日本では12月)に発売ということで、その3年の間に彼等を知った、あるいは結局彼等のライヴを体験することが出来なかった人にとっては正に「待望の~」「衝撃の~」ライヴ音源ということになるのではないでしょうか?

日本では初回限定版としてライヴCDにライヴDVD(9/13ラストライヴの模様を完全収録)をセットにした形でリリースされていますが、海外ではCDとDVDは別売りになってます。しかもUSのDVDはリージョンコードの関係で、家庭用DVDプレイヤーでは観れないと思いますので、無くなる前に是非日本限定版をゲットしてもらいたいと思います。

だってさ、この音源だけを聴いてたら‥‥絶対に絵を見たくなるもの。こんな凄い音を出すバンド、一体どんな風にステージで音を出してるのか、そして客席は一体どうなっているのか‥‥ってさ。少なからず彼等に興味を持っている人、そしてこの音源で初めて彼等の音に触れた人なら絶対にそう思うはず。だけどバンドは既に解散している。もう二度と観れない。ならば‥‥DVDで体感したいですよね?

まぁ今回はライヴCDの方のレビューってことなので、そちら中心で話を進めていきます。俺がライヴ盤大好きなのは以前から何度も、いろんな所で書いてますが‥‥今回の場合、ライヴ盤としての役割以上に‥‥例えば「ベスト盤」としてのカタログ的役割も大きいし、そして何よりも「ラスト音源」‥‥バンドとしての最後の様子を実況しているという記録的役割も非常に大きい。まぁ純粋なラストライヴはDVDに完全収録されているわけで、このCDの方は2日間同会場で行われたライヴからベストテイクを拾って編集した内容なので(だからセットリスト的にもちょっと変わってくるし)、そういった意味では実況中継というよりも、よりベスト盤的要素が強いように感じられます。選曲にしても各アルバムから非常に良いバランスで演奏されてますし。当時はリリースされていなかったカバー集「RENEGADES」からも入ってるし。セカンド「EVIL EMPIRE」から2曲しか選ばれていないのは、まぁ仕方ないでしょう。このアルバムのみ意外と評価が低いんですよね。俺はこのアルバムから彼等に入っていったわけですが、実際聴く頻度としては実は一番低いし。ある時期からのライヴでも事実、セカンドからは2曲("People Of The Sun" と "Bulls On Parade")しか演奏してないですしね。出世作ではあるものの、バンド自身もこのアルバムに対してはちょっと‥‥という思いがあったのでしょう。まぁ‥‥そうはいっても他のバンドとは一線を画する、非常に優れたグルーヴィーなアルバムだと思いますけどね。

所謂『ラップメタル』だとか『ラウドロック』と呼ばれるジャンルの先駆者的存在として語られることが多いレイジですが、その後に登場する他のバンドと比べれば明らかに異質です。それはこのライヴ盤を聴けば更にご理解いただけると思います。ギターにしても音使いが全く違うし、リズムもヘヴィメタルというよりはファンク/ブラックミュージックのそれに近い。LED ZEPPELINとDEEP PURPLEが同じようで実は全く異なるタイプのバンドだ、というのと同じだと思うのですよ。例えば‥‥KORNでもいいしlimpbizkitでもいい。そういったバンドを「DEEP PURPLE側」だとすると、レイジは明らかに「ZEP側」の立ち位置にいるバンド。勿論音楽性を指して「パープルみたい」「ZEPみたい」と言ってるんじゃないですよ?(ま、判ってもらえてると思いますが)

音楽性という意味でなら、レイジって結局思ってる以上に幅が狭い音楽性だったような気がするんですよ。実際にはもっと多彩だったと思うのですが、それが完全に開花する前に空中分解してしまったのかな、と。事実、分裂前後にリリースされたカバー集ではいろんなジャンルのアーティストの曲を取り上げているわけで、そういったものを消化した新しい音楽が今後もっと生まれる可能性があったはずなのに‥‥なんて書いても後の祭りですが、本当にオリジナルアルバム3枚というのは勿体ない。ま、だからこそ伝説になったのかもしれませんが。

けど‥‥言い方を変えれば、あれが「RAGE AGAINST THE MACHINE」としての限界だったのかも‥‥とも取れるわけで。だからザックはバンドを飛び出してしまったのかもしれないし。う~ん‥‥既に存在しないバンドに対してああでもない、こうでもないと好き勝手に憶測で書くのはよくないのですが‥‥そうでも思わないと納得できない部分が多いんですよ、あの解散劇には。俺、3年経った今でも納得いってないし。

更に納得いかない理由に‥‥俺は日本でのラストツアーとなってしまった'00年6月の公演に、チケットを持っていながら行けなかったというのもあるんですが。これがわだかまりの原因になってることは間違いなんですが‥‥まぁ身内の不幸があったのですから仕方ないですけどね(その当時は残念とかいう気持ちは全くなく、深い悲しみに暮れてましたからね)。それから約5ヶ月後ですよ、解散劇は‥‥幸い俺はその前年、'99年7月のフジロックで体験できているので、一度も観たことがないという人からすればマシなんですけどね。それにしても‥‥やっぱり悔やみますよ、そりゃ。

まぁそんなこともありつつも‥‥このCDを爆音で聴きながら踊ったり暴れたりして、今年1年の嫌な出来事を忘れたいな、と。部屋でチマチマ聴くタイプのバンドじゃないですからね。クラブでもいいし、野外にラジカセ持ってって聴いてもいいし、カーステレオでアホ程デカイ音で聴いてもいいし‥‥誰かと共有したい音ですよね。そうすることでより力強いものを得る。それが彼等最大の魅力だったのではないでしょうか? だからこそ、多くの人にライヴを観て欲しかった‥‥それを是非CDやDVDで疑似体験してみてください。自分の人生観を変えた、大切なバンドですからね。



▼RAGE AGAINST THE MACHINE『LIVE AT THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM』
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投稿: 2003 12 29 05:27 午前 [2003年の作品, Rage Against The Machine] | 固定リンク

2003/12/28

クラムボン『imagination』(2003)

最初に断っておきますが、俺はクラムボンに関しては殆ど素人というか、初心者に限りなく近い存在です。だって聴いたことがある作品が、以前リリースされた再構築盤「Re-clammbon」と今年夏にリリースされたベスト盤だけ。あとは岡村靖幸トリビュートでカバーしてた "カルアミルク" とか、ホントそのくらい。そんな人間が初めてオリジナルアルバムに触れる機会を得た。とにかく前評判が高かったこの5作目のオリジナルアルバム「imagination」なんですが‥‥驚いた、というのが正直な感想。こんなにも判りやすかったっけ!?という、ね‥‥

どうしても彼等に対して俺、小難しいイメージがあったのよ。多分リコンストラクト盤とかから入ったからなんでしょうけど‥‥ポップ職人というよりも、もっとマニアックな世界観を大切にする、そんなユニットのような印象がずっとあって。更に原田郁子さんの声がね、そういう俺の気持ちを増長させるかのようなタイプなわけ。人間ってさ、一度そういった印象持っちゃうと、それが固定観念として残って、暫く聴かず嫌いになったりしない? 正にそれでさ、俺。ベスト盤とか買ってみたものの、数回聴いて、その後は聴く頻度がそんなに多くなかったのね(最近はよく聴き返してるんですが)。

で、このアルバム。まず聴く前に評判の良さを耳にしていたんで、ちょっと意地悪に「ふふふ、そんなにいいのか? だったら聴いてやろうじゃねぇか!」くらいの心構えでアルバムに臨んだわけですよ。もうね、ちょっとでも気に入らないところがあったら、それこそレビューしないで‥‥いや、レビューで「いいんだけどさ‥‥」とか遠回しに「判んねぇーよ!」ってのを書いてやろうかと。嫌な奴だね俺。ところがさ‥‥全然。貶すどころが、目下連続リピート記録更新中でして。後を引くアルバム?っていうのかな‥‥兎に角「余韻」を大切にする、聴き終えた後に非常に気持ちよくなれる作品だと感じたわけ。しかも聴きやすい。これが最大のポイントね。小難しさが減退してるのよ(少なくとも俺にとってはね)。

どうやら前作辺りからいろいろ変化を続けてるらしいんだけど、俺にとってはこのアルバムでの変化は非常に嬉しい方向に進んでるように思います。まず生音を重視したアレンジ。所々にエレクトロニカ的要素も感じつつ(例えば海外でいうとMUM辺りと同じ香りがしたりして)、全体を覆うのはそういった冷たさではなくて、あくまで暖かみ。それも人肌の暖かさ。適温なのよ。そういったエレクトロニカ的な色合いを持ちながらも緩やかに、まるで朝陽が昇っていくかのように段々と温度の上昇が感じられるイントロダクション "いってらっしゃい" からスタートして、緩やかなテンポの曲が10曲続き、最後に再びスタート地点に戻り、今度はゆっくりと太陽が沈んでいくかのようなアウトロ "おかえり" で終わるアルバム構成。しかも間にある10曲の歌は、全て人間らしいテンポと人間らしい温度と人間らしい高揚感と人間らしい安らぎを持ち合わせている‥‥ここが一番大事なわけ。ただ緩いだけじゃないのね。

例えば、音楽がマニアックでカルトになればなる程、そういった人肌の暖かが段々と希釈されていく。逆にポップになるにしても、人工甘味料をこれでもかと注ぎ込んだポップさとなると、その人肌の暖かさが過剰過ぎて煩わしく感じられたりする。

今回のクラムボンのアルバムを聴いてると、ミュージシャンとしてのマニアックさも十分に持ち合わせながらも決して突き放し感がない、そして程良いポップさが満遍なく散りばめられている。それは後からシュガーコーティングしたものではなくて、素材本来が持つポップさ。紙一重でそういった絶妙のバランスを保ちながらも、最終的には人としての暖かみ‥‥つまりポップさが前面に出てしまう。それがこの「imagination」というアルバムなのではないか、と俺は思うわけです。

「いや、クラムボンは前からこうだったよ!」とファンから力説されてしまうと返す言葉もないわけですが、少なくとも以前上に書いたような小難しい固定観念を持っていた俺にすれば、この発見は非常に大きいわけ。勿論、そんな理屈っぽく考えながらこのアルバムを聴いてるわけじゃないですよ(レビューを書く上で、今こういうことを初めて考えてみたわけですからね)。だってさ、このアルバムに接している時は俺、本当に無心でその気持ちよさに身を寄せているだけなんだから‥‥いやー、多くの人がこのアルバムを絶賛する理由、よ~く判りました。本当にいいアルバムですよ、これ。間違いない。



▼クラムボン『imagination』
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投稿: 2003 12 28 12:00 午前 [2003年の作品, クラムボン] | 固定リンク

BELLE & SEBASTIAN『DEAR CATASTROPHE WAITRESS』(2003)

BELLE & SEBASTIANの約3年半振り通算5作目(サントラ盤を除く)となるアルバム『DEAR CATASTROPHE WAITRESS』は、いろんな意味で注目される1枚となっています。まず、このバンドの顔のひとつであるイザベル・キャンベルの脱退後初のアルバムであること。次に、レーベル移籍(かの「ROUGH TRADE」に移籍。アメリカでも「MATADOR」から「SANCTUARY」へ移籍)後初の作品集であること。最後に、今作のプロデューサーとしてトレヴァー・ホーン(古くはART OF NOISE、最近ではt.A.T.u.で有名)を迎えていること。こういったいろんな要素が複雑に絡まって、多くの人の興味を惹き付けることに成功しています。だってさ俺、今までベルセバって全然聴いてこなかった人なんだもん。いや、数曲は知ってるけど、自分でアルバム買ってまで聴こうとは思わなかったのね。その程度の知識・認識なわけ。

で、そんな人間が聴く「初めてのベルセバ」なわけですが、普通にいいアルバムだと思いました。確かにイザベル嬢の声はここにはありませんが、バンドのブレインであるスチュワート・マードックがそこにいる限り、特に問題はないようです。勿論、欠けたものを埋め合わせるためにいろいろな変化は仕方ないでしょう。むしろそういったマイナス要素を切っ掛けに、変化を遂げるには絶好のチャンスだったのかもしれませんね。そこにレーベル移籍や外部プロデューサー(しかも超大物)起用という別の切っ掛けがあった。バンドとしてステップアップするのに、丁度いい時期にきていたんでしょう。

しかし自分が以前から抱いていたイメージと、それ程大きな違いは感じられないんですよね、このアルバムでのベルセバのサウンド。勿論、ちゃんと聴いてきた人間ではないので、正確には「とんでもない!こんなに変わっちゃったじゃんか!!」って言われる可能性大なんですが、少なくとも自分の中に出来上がっていた「ベルセバ像」を壊してしまうような、駄目な変化はしてないように感じました。むしろ、全体的にメジャー感が増し、ゴージャスになったような気がしますね。何というか、イギリス人による穏やかなパーティーを見てるような、そんなイメージ。アルバムを聴いてるとそんな紳士的な空気がひしひしと伝わってくるようで、聴いてるこっちまで顔がほころんでしまう、そんな作品ですよね。

また、ベルセバというとネオアコ的なイメージも持ち合わせていたと思うんですが、確かにその延長線上にある作風なんですが、今回のアルバムでは曲によって打ち込みを導入していたりして、「おおっ!?」と唸ってしまうアレンジがあったりで、その辺も環境の変化がもたらした意欲から来るものなんでしょうかね。個人的には適度な導入だったこともあって、アルバムの良いアクセントになってると思います。ま、そんな気にする程なものではないと思うので‥‥全体的には生音や歌を重視したバンドサウンドですしね。

トレヴァー・ホーンが手掛けたことによる変化‥‥例えば彼がこれまでに手掛けてきたようなエレクトロニック系サウンドをイメージしてこのアルバムと接すると、意外なまでに彼の「色」が感じられないんですよね。勿論既にスチュワートという中心人物がいるわけですから、トレヴァーは全体の雰囲気作り程度でいいのかもしれません。司令塔はあくまでスチュワートであり、そのお膳立てをしたり最後の仕上げをしたりするのがトレヴァー。そんな関係性だったのかもしれませんね。勿論憶測ですけど。それくらい、過去のトレヴァーの仕事と比べると異色作なんですよ。

多分古くから彼等を知るファンからすると、今回の変化(脱退や大物プロデューサー起用、音楽性の変化等)は非常に大きな影を落としているのかもしれません。が、個人的にはこのアルバムを気に入っているので‥‥そういった人とは意見が違うかもしれませんね。アルバム全体に漂うブリティッシュ臭、ネオアコ臭、ギターポップ臭、等々、どれもが自分的に好みであり、この人間臭さがたまらないんですよね。その割りにそこまで癖が強いわけでもない(多分この辺がトレヴァーによる功績なのかも)。けど癖になる、スルメ的アルバムですな。来年の今頃も、そして数年先もこれを聴いてる自信がありますよ。それくらい普遍的なポップ・アルバム。だから最高傑作とかそういう言い方はしません。普通に受け入れられるべき作品。決して孤高の作品とかではなく、ね。



▼BELLE & SEBASTIAN『DEAR CATASTROPHE WAITRESS』
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投稿: 2003 12 28 12:00 午前 [2003年の作品, Belle & Sebastian] | 固定リンク

2003/12/27

BRIDES OF DESTRUCTION『HERE COMES THE BRIDES』(2003)

噂の大物バンド、いよいよその全貌を露わにする‥‥といったところでしょうか。

今年に入って元GUNS N'ROSESの残党がSTONE TEMPLE PILOTSのシンガーと共にVELVET REVOLVERという新バンド(プロジェクト?)を結成しましたが、こちらもある意味そういった類のバンドになるのかな。MOTLEY CRUEのベーシストにしてメインソングライターであるカリスマ、ニッキー・シックスが元L.A. GUNSのギタリスト、トレイシー・ガンズと共に結成した新バンド、それがこのBRIDES OF DESTRUCTION。当初は元MOTLEY CRUEの二代目シンガーだったジョン・コラビもギタリストとして参加していましたが(どうやらこのアルバムのレコーディングには一部彼の音がそのまま残されている模様)、結局は新人シンガーであるロンドン・レグランドと、セッションドラマーとして活躍してきたスコット・クゥーガンとの4人編成でいくことになったようです。

で、このアルバム。日本先行で2003年12月にリリースされたファーストアルバム『HERE COMES THE BRIDES』(海外では04年3月に「Sanctuary Records」からリリース予定)。全9曲入り、約37分という決して長くはない収録時間なのですが、それなりに、いや、2003年というこんなご時世に聴くとかなり新鮮な印象を受ける1枚なのかもしれません。

ブレインとなってるのは、明らかにニッキーとトレイシーのふたり。彼らがリーダーとして活動してきた各バンドの色合いを感じさせつつ、それらをヘヴィな音像で表現したかのようなハードロックを展開しています。ダークなんだけど、思いの外ポップなのは、やはり百戦錬磨のニッキー&トレイシーの個性なんでしょうね。ありがちなラウドロックやヘヴィロックへ行かずに、むしろ'80年代後半~'94年頃に時代を席巻したハードロック、といった印象が強い楽曲が並んでいるんですよ。まぁ1曲目「Shut The Fuck Up」みたいなパンキッシュなラウドチューンは、明らかに意識したものなんでしょうけど、その後に登場する‥‥3曲目「I Got A Gun」や4曲目「Two Times Dead」なんて、まんまMOTLEY……ジョン・コラビが参加した『MOTLEY CRUE』でやってそうなタイプですよね。ま、全体的にあのアルバム前後にやってたことや、トレイシーがやってたソロバンド・KILLING MACHINE的なことを新しいシンガーでやってるといった印象が強いですかね。ただ、その割にはMOTLEY色がかなり強いんですが‥‥これはまぁ、ニッキーが現在そのMOTLEYで動けないジレンマをそのまま象徴してるようで、ファンとしてはちょっと複雑な心境なんですが……だってさ、ここでやってるようなことをミック・マーズがギターで、トミー・リーがドラムで、ヴィンス・ニールがボーカルでやれば‥‥勿論これとは違ったものになっちゃうんですけど……十分にカッコイイ作品になったはずなんですよ。けど現実は‥‥いや、このバンドの、このアルバムも十分にカッコイイと思うんですが……暫くこの手のハードロックを聴いていなかったからか、新鮮に感じるものの、結局彼ら(ニッキーやトレイシー)は「グランジ前後」で止まっちゃってるんだな、とも気づかされちゃうわけですよ。いやいや、ここで自分達が最も好きなものを、最も得意とする方法でやってみただけだ!と言われてしまえば納得もしますが……でもねぇ……。

と、ネガティブなことを書いてみたものの、それでも「Natural Born Killers」や「Life」、「Only Get So Far」といった曲を聴くと、やっぱりこの人達のポップセンスは枯れてないよな、とも思うわけで。自分にとって最高のメンツ(MOTLEYの4人)で作ったものじゃないから、「あのメンツなら……」というもどかしさもありつつ、それなりに楽しめてしまう自分もいたりで、本当に心中複雑です。

あ、シンガーのロンドンについても書いておきますか。まだ確たる個性というのは確立してないような気もするんですが、面白いシンガーではありますよね。曲によってイギー・ポップみたいになったり、また時にはフィリップ・アンセルモだったり、あるいはバンドメイトだったジョン・コラビだったり(いや、ジョンというよりもクリス・コーネルなのかしら?)。良く言えばカメレオン的、悪い言い方すれば「他人の物真似」……このバンドでどの程度ライヴをやっていくのか判りませんが、全てはライヴ次第でしょうね。あとさ、このバンドってドラムのスコットもリードボーカル取れるのね。7曲目「Life」で澄んだストレートな歌声を披露してるのが、そのスコットなんですよ。この曲だけ聴いちゃうと、声のせいで……パワーポップ寄りのハードロック・バンドかと錯覚しそうになっちゃうのね。濁声(ロンドン)と澄んだ声(スコット)という対比が面白いと思うし、まぁドラム叩きながら歌ってるので今後どの程度歌っていくのか判りませんが、フロントマンになることはないでしょうから、バランス的にはこれでいいのかな、と。

どうもニッキー絡みになると厳しいことを書いてしまいたくなるんですが、それも彼に対する愛からくる言葉なので。俺の中での最高のロックスター……マイケル・モンローとニッキー・シックスには常に最高でいて欲しいわけですよ。HANOI ROCKSが現在順調に活躍してる反面、MOTLEYは……って悔しい思いをここ数年してるわけですからね。勿論本家で大活躍してくれるのが一番ですが、それでもこうやってフットワーク軽やかに新しいバンドでアルバムを出してくれたことを、今は素直に喜びたいと思います。ライヴも期待していいんですかね?



▼BRIDES OF DESTRUCTION『HERE COMES THE BRIDES』
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投稿: 2003 12 27 10:50 午前 [2003年の作品, Brides of Destruction, Motley Crue, Wildhearts, The] | 固定リンク

ハロー!プロジェクト『プッチベスト4』(2003)

  というわけで、毎年恒例となった「プッチベスト」シリーズの第4弾。年々、当初の意味合いから少しずつ外れてきてるような気がしてたんですが、今年の「プッチベスト4」収録曲を見てもらえば判るように、完全に『YOUNG PERSON'S GUIDE TO ハロー!プロジェクト』の役割を果たしていないと思うんですよ。単なるオムニバス、今年リリースした曲の寄せ集め。しかも、現時点ではモーニング娘。以上に影響力を持っていると言っても過言ではない松浦亜弥と、2003年最も活躍したといえるであろう後藤真希の楽曲が収録されていない。多分、来年早々彼女達のアルバムがリリースされるからカットされた‥‥という政治的理由があるのかもしれません。同じような理由で安倍なつみもソロシングルではなくて企画モノの方が収録されている、等々‥‥不透明な部分が多々あるんですが‥‥まぁ2003年のハロープロジェクトを振り返るという意味も込めて、1曲1曲簡単にコメントしていきますか(何か今年の年末って、振り返ってばかりだな、ハロプロに関しては)。


●M-1:壊れない愛が欲しいの / 7AIR
  7月リリースのシャッフルユニットEPより。レビューはこちら。個人的にはやはり3組の中で一番テンション的に落ちるかな、と。けどどれもここ数年のシャッフルの中ではかなりレベル高い方なんですけどね。そんな中での3番手。あくまで俺の中でね。

●M-2:GET UP! ラッパー / SALT5
  同EPより。レビューはこちら。バックトラックが一番好きなのがこの曲。EPのバックトラック(カラオケ)で一番聴いたのが、実はこの曲。松浦がサードアルバムの中でこの曲をソロで歌うようだけど(既にライヴでは披露済み。ま、あの時は稲葉貴子とのデュエットだったけど)、これをひとりで歌うのはかなりキツイんじゃないか‥‥と。

●M-3:BE ALL RIGHT! / 11WATER
  同EPより。レビューはこちら。一般的に一番人気があったのがこの曲みたいですね。最も「モーニング娘。らしさ」を伝承してるのがこの曲なのかな、と。俺も好きですけどね。

●M-4:晴れ 雨 のち スキ♡ / モーニング娘。さくら組
  9月リリースの「~さくら組」名義のファーストシングル。レビューはこちら。時間が経ってみて気づいたけど、音がちょっと良くない気が‥‥シンバル系の音にちょっと難あり。ま、それが楽曲の良さに影響するとは思いませんけど。やっぱりバンドサウンドで聴きたかった1曲。

●M-5:愛の園 ~Touch My Heart!~ / モーニング娘。おとめ組
  9月リリースの「~おとめ組」名義のファーストシングル。レビューはこちら。これもリズム隊、生バンドにすべきでしたよね。江川ほーじんがあんなに素晴らしいベースを聴かせてくれているのに。勿体ないです。曲もホントに良かったのにさ。

●M-6:行くZYX! FLY HIGH / ZYX
  8月リリースのファーストシングル。レビューはこちら。"白いTOKYO" を聴いてしまった今となってはちょっと個人的に軍配は後者に挙がるんだけど、それでも今年のハロプロを代表するナンバーだと思いますよ。いろんな意味で今年は「キッズの躍進」の年だったんだな、と。"がんばっちゃえ!" から始まってたんですよね、全部(その曲を外した時点で、このコンピ盤の意味合いが弱くなってる気が)。

●M-7:SEXY NIGHT ~忘れられない彼~ / ROMANS
  8月リリースのファーストシングル。レビューはこちら。何だかんだ言われながらも、やっぱり好きです、全てにおいて。勿論、カップリング曲 "ロマン" の方がもっと好みなんですけどね。第2弾は本当にあるんでしょうか‥‥

●M-8:FIRST KISS / あぁ!
  10月リリースのファーストシングル。レビューはこちら。文句なしの名曲。普通にポップスとして十分機能してると思う‥‥だけに、現状に泣けてくる。一般層からも無視され、ヲタからも無視され。多分2~3年後に大絶賛されてるような気が。つうかここまでのアルバムの流れ、かなり良くないですか? 自分が作ったCD-Rとほぼ同じ構成なのでビビッたもん(自分の場合、この後にミニモニ。の "CRAZY ABOUT YOU" を入れるんですけどね)。

●M-9:浮気なハニーパイ / カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)
  7月リリースの「~紺野と藤本」名義のファーストシングル。レビューはこちら。怪作とか迷作とかいろいろ言われたこの曲、今更的ユーロビート&パラパラサウンドが玉に瑕だと思ってたけど、やっぱりこのバランス感が良かったんだね。意外とあさみの声がこういう曲に合ってることにも気づかされたし(って今気づいたんですが)。

●M-10:チャンス of LOVE / メロン記念日
  5月リリースの9枚目のシングル。レビューはこちら。よりによって、何でこの曲選ぶかなぁ~? 普通 "赤いフリージア" じゃねぇの? (メロン的に)大ヒット曲ですよ!? アルバム未収録曲を選んだ結果だというのはよく判るんですが、このセンスの駄目さ加減がハロプロ及びアップ・フロント・エージェンシー最大の欠点なんだよね。

●M-11:WOW WOW WOW / プッチモニ
  お蔵入りしていた、第3期プッチモニのファーストシングルとなる予定だった曲。今回初出にして、このアルバムの売り要素。'03年正月ハロプロコン及び同年春のモーニング娘。ツアーにて披露されていたこの曲、やはりアレンジが少し変わってる気が。ギターが重厚になってるし(多分)‥‥気のせいかしら? 最初の印象だと、もっとチープなイメージがあったんだけど‥‥まぁチープには違いないんですが、それでも許せるチープさだと個人的には思います。全部ギターに誤魔化されてる気がしないでもないけどね。

●M-12:ミニモニ。数え歌~お風呂ば~じょん~ / ミニモニ。
  5月リリースの7枚目(ミニハムず名義を含めれば9枚目)のシングル。ゆきどんを除けば俺が今年唯一買わなかったシングル‥‥かな? ミニモニ。ものは買ったり買わなかったりなんですが、正直この曲に対しては俺、かなりの嫌悪感があったんですよ。子供相手のユニットであるミニモニ。というのは理解できるのだけど、いくらなんでもこれは子供をバカにしてないかい?という疑問があって。未入学児あたりなら受け入れられなくもないだろうけど、小学生がこれ聴いてどう思うか‥‥結局彼女達のCDを買ってくれるのって、大人のファンか、そういった小学生児童なわけでしょ? その人達が買って恥ずかしくない作品かこれは!?っていうね‥‥ちょっと度が過ぎるぞ、つんく♂よ、とずっと感じてたわけ。
  けどね、今回このアルバムで、初めてちゃんとしたCD音源で聴いてみると‥‥思ってた程悪くなかったんですよ。まぁ確かにこの歌詞はやっぱりないよな‥‥って気持ちは変わらないですが、バックトラックや曲自体には特に文句ないんですよね。むしろミニモニ。にしては普通過ぎるくらい。そして "CRAZY ABOUT YOU" を通過した後だからこそ、この振り幅こそミニモニ。なんだな、と改めて実感したわけです。まぁだからといってシングルを買ったりはしないでしょうけど。

●M-13:母と娘のデュエットソング / おけいさんと安倍なつみ(モーニング娘。)
  5月リリースの企画ものシングル。レビューはこちら。改めて聴くと、なっちの歌声が凄く良いんですよ。"22歳の私" や "ピ~ヒャラ小唄" での歌声や歌唱法って、レコーディング方法の影響もあるでしょうけど、とにかく「重い」んですよ。ベッタリしてるというか。それと比べると、ここで聴けるなっちの歌声、本当に楽しそうで自然体。俺がこの曲を評価してるのって、実はそういった所が大きく影響してるのかもしれませんね。そして、今後はそういった「安倍なつみ」をもっと観たい/聴きたいと思うんですけどねぇ‥‥アルバム、期待してます!

●M-14:GET ALONG WITH YOU / 中澤裕子
  5月リリースの8枚目のシングル。レビューはこちら。最近ステージからまた離れつつありますが、来年2月には早くも新曲が。ホントに、ホントーに、そろそろアルバムお願いします。いい曲があんなに貯まったじゃないですか!

●M-15:東京きりぎりす / 前田有紀
  7月リリースの4枚目のシングル。「zetima」移籍後初の作品。移籍したからってわけじゃないでしょうけど、今年からシャッフルにも参加してるから、その兼ね合いもあってアルバムにも初収録。過去にもライヴオンリーであか組4に参加した経緯があるんですが、それを別としても今回の参加は興味深いですね。そしてこの曲。中澤の演歌時代の曲と比べると、演歌度が低い気が。バックトラックが薄っぺらいのは仕方ないとしても、メロとかは意外とポップス/歌謡曲の範疇なんですよね。勿論、そっち方面を狙った作品だとは思うんですが。これなら確かに若い子がハロコンとかで聴いても口ずさめるわな。

●M-16:夏 LOVE ロマンス / ハロー!プロジェクト
  今回初出の楽曲。ハロプロ勢全員で歌っていること、バックトラックが夏っぽい(スチールドラムやウクレレが登場したり、タイトルにも「夏」の文字が)ことから、"OH! BE MY FRIEND" ではなくて本来は実はこっちがシャッフルEPに収録される予定だったんじゃないかな?という気がするんですが、如何でしょう? で、この曲。いいんですよね、全体的に。飛び抜けて素晴らしいとは言いませんが、如何にも河野伸らしいアレンジで、非常に好感が持てる1曲。ピアノがカッコイイですよね、特に。モーニング娘。のアルバム曲として聴きたかったかも。

●M-17:シャボン玉(asia mix) / モーニング娘。
  7月リリースの19枚目のシングルの、リミックス・バージョン。オリジナル・テイクのレビューはこちら。毎回お馴染みのリミックスですが、これまでは原曲のイメージを残しつつ味付けするといった作風が多かったんですが、今回はかなり解体/再構築して遊んでる気が。いきなり石川のセリフから始まる辺り、ちょっとした悪意さえ感じてしまいますよ‥‥いやいや、俺はこれ好きですね。自分でDJの真似事とかする時には是非使いたいと思います。


●総評
  というわけで、全曲駆け足で解説してきましたが、如何でしたでしょうか? こうやって1枚にまとまって聴いてみると、必然的に今年を振り返ってしまうわけですが‥‥やはり何度も言うように、2003年って‥‥特に中盤辺りから‥‥そんなに悪い年でもなかったような気がするんですよ。初頭はアルバム連発で、ちょっと厳しい楽曲も多かったりしましたが、結果良ければ全て良しじゃないですが、個人的には2002年以上に平均的に楽しめたかも。ただ、突出した楽曲がなかったのも今年の象徴ですね。去年でいったら "そうだ!We're ALIVE" だったり "Yeah!めっちゃホリディ" だったり "さぁ!恋人になろう" といったタイプの曲がね。全体的に "香水" とかその辺の流れに行きつつあるという。それはそれでいいと思うんですが、やはり多くの人は前者的な楽曲を求めてるようですし、バランス的にもそろそろそういった「大きな一発」が欲しいところ。

  で、やっぱり選曲的にはこれが正解とは思えないよなぁ。去年の「プッチベスト3」の方が選曲だったらまだ良かったように思うんですが‥‥これからハロプロ聴こうって人に対してはオススメしません。ある程度好きで普段シングルとか買わない人、ある特定のユニットだけ追ってて他のユニットには興味もなければシングル1枚も持ってない人とか、そういった人にはオススメできるけど。

  でもね、いざ聴いてみると‥‥普通に聴けちゃう。いや、カタログとしての意味合いは薄いけど、ただ鳴らしておく分には凄くいいアルバムだと思います。だっていい曲ばかりだし。真剣に聴く作品集ではないけど、まぁパーティーアルバムですよね。これで松浦の "ね~え?" と後藤の "うわさのSEXY GUY" か "スクランブル" が入ってたら文句なしだったんですけどねぇ‥‥

  というわけで2003年、「最後のハロプロ論」をお送りしました。おしまい。



▼ハロー!プロジェクト『プッチベスト4』
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投稿: 2003 12 27 12:00 午前 [2003年の作品, ROMANS, ZYX, あぁ!, カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。), ハロー!プロジェクト, プッチモニ, ミニモニ。, メロン記念日, モーニング娘。, モーニング娘。おとめ組, モーニング娘。さくら組, 中澤裕子, 安倍なつみ] | 固定リンク

2003/12/26

THE STROKES『ROOM ON FIRE』(2003)

前作「IS THIS IT」から約2年。若いロックファン待望のTHE STROKESセカンドアルバム、「ROOM ON FIRE」。ファーストを気に入ったであろう人なら間違いなく気に入るであろう、まんま前作の延長線上にある作風。悪くない。けど最高でもない。多分このバンドはライヴをやるために曲を作って、そしてアルバムは単なる通過点であり、最終的にライヴでそれらの曲を完成型に持っていくバンドなのかな‥‥という気が、今回のアルバムを聴いてまず感じたこと。やっぱり‥‥自分にとってこのバンドは、そんなに重要な存在ではないな、と。それは多分未だにライヴを一度も観たことがないという事実が影響してるんだと思うけど‥‥いや、少なくとも映像で観る限りでは‥‥う~ん。

いろんなバンドと比較してみてもいいんだけど、何かそれも違う。最近主流の「リバイバル・ロック」だったり「リフ・ロック」だったり、そういった枠の中にはめようとしてみる。けどそれも違うと感じる。アティチュードや佇まい、面構えは完全にそれらの枠の中にいるバンド達に引けを取らないものなのに、発するサウンドは完全に別物‥‥いや、別物ってのは言い過ぎかな。でも決定的に違う「何か」がSTROKESには備わっている。きっとそれが彼ら最大の魅力なんだろうけど‥‥それが何だか判らない。そして‥‥多分それは、今の自分には必要のないものなのかもな、とも思うわけで。

例えばね、このアルバムを通して聴いてみると‥‥アルバムとして完成されていないんですよね。何て言うか‥‥作った(レコーディングした)楽曲をそのまま詰め込んでいったかのような、構成を無視した曲順‥‥いや、これ自体が彼らの計算なのかもしれないけど、少なくとも俺にはそうは感じられない。このぶっきらぼうさが魅力という声も判らないではないけど、やっぱりずっと残るものだしなぁ。曲単体では非常に魅力的なものばかりなのに、いざアルバムとしてまとめて聴いてみると伝わらないものがある。これはファーストの時にも感じたことなんだけどね(実際それが原因で、彼らの良さに気づくまで相当の年月を費やしたし)。

そしてね‥‥ただパワーコード一発鳴らせば世界を変えることができる‥‥そんなバンド達との決定的な違い。それはやっぱり「音の鳴らし方」なんだと思う。言い方が悪いんだけど‥‥インテリ過ぎるのね。サウンドのひとつひとつから知的さを感じるのよ。演奏自体はとても熱いものなんだけど、伝わってくるサウンドは何故かヒンヤリとしていて、どこか冷静さを感じる。それが彼らのインテリジェンスからくるものなのかどうかは判らないけど、とにかくそこは他の「リバイバル・ロック」と呼ばれるようなバンドと大きく異なるよね。基本的にロックンロールって頭悪い音楽じゃない?(凄い偏見だ)バカがお山の大将になりたくて、なりふり構わず暴れまくる‥‥凄く偏ったイメージだとは思うけど、そういうバカが好きで俺はロックが大好きになったわけで、未だにそういったものをロックに求めちゃうのね。でも、残念ながら「CDの中のSTROKES」からはその要素が感じられないのよ‥‥ライヴが凄い!っていう声は散々耳にしてるし、実際に観たらそういった「バカ要素」をステージで補完してるのかもしれない。上に書いたように、このバンドってライヴで楽曲を最高のものに持っていくタイプなのかもしれないし‥‥まぁそこら辺は俺なんかよりも、実際にライヴを観てるあなた達の方がよくお判りでしょうから、俺の考えはここら辺で‥‥

あとさぁ‥‥いろんな所で言われてると思うけど、ニューヨーク・パンク的なものよりも、もっとニューウェーブ的な‥‥例えばTHE CARSとかBLONDIEとか、そういったバンドとの共通点が多いような気がするのね。ま、サウンド的にですけど。そこら辺もROLLING STONESやガレージバンド~グランジからの影響が強い他のバンドとの大きな違いかな。STROKES自体もそういったバンド達から影響を受けてスタートしたバンドらしいけど、最終的には「らしさ」を手に入れたんだから‥‥勝ち組? まぁそうでしょうね。そういった要素が更に強まってるのがこのセカンドなんだ、と。そういう意味では非常に好感が持てますよね、俺的には。

まぁいろいろといい事も悪い事も書き連ねてきましたが‥‥要するにね、曲は好きなんだけど、アルバムとしてはイマイチ好きになれない。そんな微妙な関係なわけよ、俺とSTROKESってのは。多分この先もずっとこの関係を保ったまま、つき合い続けていくのかもしれないね‥‥ライヴ観たら変わったりして。いや判らないけどさ。

何かさ、「恋仲にはならないんだけど、気づいたらずっと側にいてくれる腐れ縁の女友達」って感じだな、STROKESって‥‥



▼THE STROKES『ROOM ON FIRE』
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投稿: 2003 12 26 04:49 午後 [2003年の作品, Strokes, The] | 固定リンク

2003/12/25

フラワーカンパニーズ『東京タワー』(2003)

フラワーカンパニーズ今年2枚目、通算9枚目のオリジナルアルバムとなる「東京タワー」は、曲数や収録時間(8曲入り、27分半)からいえばミニアルバムと呼ばれても仕方ない作品なんだけど、内容だけでいったらフルアルバム並みなんですよね。いや、熱量と濃さからいえば十分すぎる程なんで、多分8曲程度で丁度よかったのかも。前作「発熱の男」が13曲入りで、その前の「吐きたくなるほど愛されたい」も13曲入りだから‥‥まぁスケールダウンは否めないかな。単純に曲が貯まって早くリリースしたかったから、無理して10曲以上作らずに(出来るまで待たずに)すぐレコーディングしてリリースしたんだろうね。このフットワークの軽さもインディーズならでは。物事ポジティヴ・シンキング。インディーズ落ちとか言うなや。

曲の方は相変わらず、暑苦しいまでに熱血ロケンローを繰り広げております。文句なしでしょう。過去の彼等、そして俺のようにここ数作で彼等のことを好きになった人、イベントライヴ等で目撃して気に入った人なら絶対に好きになる、むしろ嫌いになんてなれない「いつもの顔」がそこにはあります。変わり映えがないと言ってしまえばそれまでですが‥‥つうかフラカンにそんな風変わりなことを求めてもねぇ‥‥変わらず10年間、こうやってやり続けてきたから凄いんだよ。インディーズに行って、逆に何のしがらみもなくなった分、メジャー時代よりも更に純度は増してると思いますよ。そうじゃない?

相変わらず、30男のセンチなハートを振るわす歌詞の連発。"捨鉢野郎のお通りだ" での「捨鉢男は30越えて みっともないほど 燃えている あはは あはは あはは あはは 思春期なんだと言ってやれ」がね、もう俺の心臓鷲掴みなわけ。そうそう、そうなんだよ!って。握り拳で机バンバン叩いちゃったもん。

それと、タイトルナンバー "東京タワー" ね。歌詞が手元にある人は是非じっくり読んで欲しいな‥‥こういう歌を、こういう言葉使いでストレートに、尚かつ説得力ある表現方法でひとつの曲の中に閉じこめることに成功してるバンド、少ないと思う。いや、もしかしたらこういうのって時代遅れで、もはや誰もやらないことなのかもしれない‥‥けど、だからこそ、地道に頑張るフラカンのようなバンドにはずっと、こういう路線で頑固に戦い続けて欲しいな、と。そう心から思い願っているわけですよ。

最近「フラカンを聴くならまずどれから聴いたらいいですか?」って質問をよく受けるんだけど、ちょっと前までは俺、最新作だった「発熱の男」を薦めてたのね。過去のベスト盤聴くよりも、こっちの方がバンドとしての「今」を感じることができるし、何よりも傑作だし。けどさ、これからはこの「東京タワー」をまずお薦めしようかと思ってます。初心者がいきなり濃いのを13曲も聴かされるのは、ちょっと酷かな、なんて思ったので。バンドの魅力・素晴らしさがちゃんと表現されていて、コンパクトで聴きやすい。ライヴの様子も何となく見えてくるしね‥‥つうわけで、これからフラカンを聴いてみようと思ってるそこのあなた。まずはこのアルバムから。そこから過去に遡っていくことをオススメします!



▼フラワーカンパニーズ『東京タワー』
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投稿: 2003 12 25 03:52 午前 [2003年の作品, フラワーカンパニーズ] | 固定リンク

MO'SOME TONEBENDER『TRIGGER HAPPY』(2003)

  MO'SOME TONEBENDER、約1年振りのニューアルバムは、再びインディーズからのリリース。メジャーからドロップしてしまったのか、あるいは今回の『作風』が原因で、たまたま今回だけ古巣(インディーズ)からのリリースなのか‥‥真相は判りませんが、とにかくこれはとんでもないアルバムだ、ということだけは間違いのない事実です。

  モーサムというと「ヒンヤリとしてて、鋭くてザクザクするギターと、絶叫に近いボーカルと、それを支える鉄壁のリズム隊」というようなイメージがあると思うんですね。楽曲的にもグランジだったりニューヨークパンクだったり、そういったものからの影響が強い3ピースのロックバンド。シンプルだけに生々しい。ところがこのアルバムはどうでしょう‥‥1曲目の "trigger happy (in the evening)" はまだいいんですよ。オープニングSEと考えれば‥‥納得がいくものだし。しかし、2曲目 "hang song" で我々の度肝を抜くわけですよ。完全に我々が思い描いたモーサムのパブリックイメージをぶち壊す1曲。打ち込みリズムの上を這い回るギターとベース、そしてトランペット‥‥ダブ? ポストパンク? それともポストロック??‥‥いや、ジャンルの括りなんてどうでもいい、とにかく何だかよく判らない「凄み」、あるいは得体の知れない「塊」が我々の耳に、大音量で飛び込んで来る‥‥従来の「らしさ」と新しい「らしくなさ」とを併せ持った "BIG-S"(かのフリクションのカバー)ではスライドギターがのたうち回り、ヒップホップ的手法まで取り入れる。何だこれ!? マジでモーサム、どうしちゃったの!? まぁ普通そう思うだろうね。

  これがね、アルバム1枚ずっと続くわけ。しかも手を変え品を変え、そして表情を変え。けど全てに於いて一環してる点がひとつあるのね。それは‥‥「得体の知れなさ」。とにかく‥‥何だかよく判らない凄さがあるわけ。何度も聴き返して、そして何日も聴き込んでも全然判らない、その凄さの中身。従来の彼等らしくもあるんだけど、これまでとは明らかに違う要素もある。けど、いざアルバム通して聴いてしまうと‥‥間違いなくモーサムそのもの。何なんだろう、これは?

  去年、これに似たような体験をしたことがある。ナンバーガールのラスト作となってしまったスタジオ盤、「NUM-HEAVYMETALLIC」が正にそれだった‥‥あれと全く同じとは言わないよ。あのレベルには正直達してないと思うし、作品としてもモーサムの方はちょっと散漫すぎると思うし。けど、そこに達することが出来るだけの「片鱗」は十分に感じられるわけ。というか‥‥これはもしかしたら、とんでもないモノが生まれる前の「前兆」なのかもしれないよ。何かそんな気がする。

  確かにナンバガにも通ずるようなポストパンク/ダブ的要素もあるのね。ディレイが効いたトランペットなんて正にそれを意識してるし、中には "VIEW VIEW" なんていう「まんま」な曲まであるし。けど、モーサムがナンバガとは違うのは、そこだけに固執してない点。上にも書いたような要素だったり、更にはホントにポストロックに接近しつつあるんじゃ?なんて思わせる "rainy" ~ "candy & friday" ~ "trigger happy (in the morning)" があったり、歌詞も英語や日本語を使い分けてるし(多分、その辺は意識してないだろうけど)、インストものが結構収録されてたり。とにかくひとつ言えるのは、決してモーサムはナンバガにはならないし、目指してないこと。モーサムはモーサムなりの高みを目指しているんだと。このアルバムを聴けばそれは十分に理解してもらえると思います。

  とにかく‥‥何だかとんでもない作品に出会ってしまったような気が‥‥決してこれが「答え」なんじゃなくて、単なる「設問その1」に過ぎないんだろうな、と。間違いなく次の作品はとてつもない、我々の手に負えないような「モンスター」になるんだろうな‥‥そう実感させる1枚。決して彼等のベストアルバムではないんだけど、今後続く彼等の歴史の上で、間違いなく重要な1枚になるアルバム。それがこの「TRIGGER HAPPY」でしょう。そう、間違いなく、ね。



▼MO'SOME TONEBENDER『TRIGGER HAPPY』
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投稿: 2003 12 25 12:00 午前 [2003年の作品, MO'SOME TONEBENDER] | 固定リンク

2003/12/23

MUSE『ABSOLUTION』(2003)

前作「ORIGIN OF SYMMETRY」から約2年3ヶ月振りに届けられた、MUSEのサードアルバム「ABSOLUTION」は前作以上に『深化』した、非常に過剰で味わい深い1枚に仕上がっています。前作にみられた北欧系ヘヴィメタル的な色合いは若干後退しながらも、シアトリカルな側面は更に激化。ロック的な攻撃性よりもズッシリと構え、腰を据えたかのような重さを感じさせる印象を全体から受けます。

例えば、前作ではまだ飛び道具的存在だったピアノメイン曲が、この新作ではいきなり1曲目から登場します。ミディアムテンポで激しいピアノが印象的な "Apocalypse Please" がそれで、ボーカル/ギター/ピアノ担当のマシュー・ベラミーのオペラチックなファルセット・ボーカルもここで存分に堪能できます。更に従来の路線を追求したシングル曲 "Time Is Running Out" や "Hysteria"、ヘヴィなリフが印象的な "Stockholm Syndrome" や "The Small Print"、ミディアムバラード "Sing For Absolution"、劇的な盛り上がり方をする "Falling Away With You"、ストリングスを導入した新境地 "Blackout"、ちょっとだけダンサブルな要素がみられる(けど予想の範疇内な) "Butterflies & Hurricanes"、これまた新境地といえる "Endlessly"、ありそうでなかったタイプの "Thoughts Of A Dying Atheist"、ちょっとだけここ数年のRADIOHEAD的な方向性を感じるラスト曲 "Ruled By Secrecy"‥‥確かに新境地といえるような新たな曲調もあるにはあるんだけど、それら全てが予想の範疇内であり、つまりは前作の延長線上にある作風なわけ。ファースト「SHOWBIZ」からセカンドへと移行する時に見られた劇的な変化/成長は今回見られず‥‥しかしながら、大成功を収めたセカンドの路線を更に追求した形での成長がこの新作で大きくクローズアップされてるんですね。

基本的にはこのMUSEというバンド、RADIOHEAD以降のバンドの中でもかなり特異な存在で、UKギターロック的な色合いよりも、ダークでゴシック調でヘヴィメタリックな側面をフューチャーしたバンドなんですよね。ポップで判りやすい歌メロに、ラウドロック真っ青なヘヴィリフ、時にはギターレスでピアノやシンセをメインに据えた耽美な楽曲まで登場する。決してポストロック的な方向へは行かず、あくまで判り易さ全面に出す。実はこのバンド、THE DARKNESS辺りに通ずるバンドなんじゃないかって気がするんですよね。伝統的ブリティッシュロック・バンドという意味でね。プログレッシヴでヘヴィで、メロウで耽美でゴシックで。ただ、こういう表現の仕方をするバンドが同時代に存在しなかったから目立ってしまったという。それとファルセットを多用したヒステリックで線の細いボーカルが、如何にも「RADIOHEAD以降」という風に捉えられてしまった。タイミング的なものも大きいし、まぁ登場の仕方も大きいし。世が世なら、間違いなく「時代錯誤」とか「'70年代のレトロック・リバイバル」なんて呼ばれてハイプ扱いされてたんでしょうね。アートワークにストーム・トーガソン(元ヒプノシスのメンバー)を起用する辺りにも、その筋の匂いがプンプンするし。

多分‥‥2003年にこのアルバムを持ってデビューしてたら‥‥絶対にTHE DARKNESSと比較されてたと思います。ライヴを観ても判るように、このMUSEも非常にアート面とエンターテイメント面をバランス良く強調したステージを繰り広げるし。そういう意味でも比較されるべき対象なのかもしれませんね。本当はRADIOHEADではなく、THE DARKNESSと肩を並べるべき存在。それが2003年に於けるMUSEの在り方なのではないでしょうか。前作同様、非常に気に入っている1枚です。しかし、癖が強い為‥‥THE DARKNESS同様、好きな人にはとことんアピールするものの、苦手意識のある人にはとことんダメな1枚にもなるでしょう。万人にはオススメしないものの‥‥実はハードロック・ファンにこそ聴いて欲しいアルバムだったりして。



▼MUSE『ABSOLUTION』
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投稿: 2003 12 23 02:36 午前 [2003年の作品, Muse] | 固定リンク

中澤裕子・保田圭・矢口真里・メロン記念日『FS4 FOLK SONGS 4』(2003)

  フォークソングの名曲をハロー!プロジェクトのメンバーがカバーするという企画盤「FOLK SONGS」シリーズも、今回で4作目。前作「FS3」では、当時モーニング娘。を卒業したばかりの後藤真希と、そして後にモーニング娘。に加入することになる(当時はまだソロだった)藤本美貴、そしてお馴染み中澤裕子の3人による作品集だったけど、今回は‥‥

  とりあえず、以下に収録曲名を記しておきます(カッコ内は原曲歌手名)。


01. ひとりぼっちの部屋(高木麻早)
02. 異邦人(久保田早紀)
03. 真夜中のドア ~Stay With Me(松原みき)
04. 秋桜(山口百恵)
05. 22才の別れ(風)
06. 旅の宿(吉田拓郎)
07. 心の旅(チューリップ)
08. 雨の物語(イルカ)
09. 中央フリーウェイ(荒井由実)
10. 若者たち(ブロード・サイド・フォー)
11. ケメ子の歌(ザ・ダーツ)


で、これを歌うのが‥‥


中澤裕子(M-4、7、10、11:コーラスM-2)
保田圭(M-2、5、8、11:コーラスM-7)
矢口真里(M-1、5、9、11:コーラスM-7)
メロン記念日(M-3、6、10、11:コーラスM-9)


という布陣。中澤はまぁレギュラーなので割愛。メロンは「FOLK SONGS 2」以来2度目の参加。そして重要なポイントとなる、モーニング娘。卒業後初の音源となる保田と、ソロとしては初参加(というか初音源)の矢口の二人。これで市井紗耶香含め、モーニングの第二期メンバーは全員参加したことになります。所謂「コーラス要員」としても実力を持つ彼女達がソロシンガーとして、どこまで実力を発揮できるのか‥‥

  プロデュースは相変わらずたいせーが受け持っていて、正直‥‥な気分なんですが、まぁこの際それは無視します。で、アレンジャーなんですが、前作から参加し始めたCymbalsの矢野博康が4曲で参加しています。他にはお馴染みの高橋諭一、朝井泰生、上野雅和、そしてたいせーといった面々がアレンジャーとして参加しています。

  選曲的にいって、正直今回は「‥‥これってフォークソングなの!?」という厳しさを感じずにはいられないものもありますし、アレンジも出来・不出来がまちまちなんですね。それは正直に書いておきます。が‥‥やはり充実度という意味では同シリーズの中でも一番なんじゃないかな、という気がするんです。それは矢野氏が手掛けた楽曲("ひとりぼっちの部屋"、"真夜中のドア ~Stay With Me"、"秋桜"、"中央フリーウェイ")の完成度によるものが大きい気がします。特に矢口が歌う2曲‥‥"ひとりぼっちの部屋" と "中央フリーウェイ" は凄く良いですよね。タンポポ以降、なかなか味わうことが出来ない『可愛らしい歌声の矢口』を存分に堪能できる前者、そしてアーバンポップスとしての完成度が非常に高い後者。"中央フリーウェイ" が何故そんな完成度の高さを誇るのか、それはきっとサックスによるものも大きいのでしょうね。このサックス、かの菊地成孔(DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENやSPANK HAPPYでお馴染み)によるものなんですよね。矢口好きの菊地さんのこと、さぞかし嬉しかったことでしょう‥‥ってそれは関係ないか。とにかくスパンクスでも実現した矢野&菊地によるコンビネーションが、ここでも違った形で再現されたわけです。正直な話、この1曲だけの為にこのアルバムを買っても損はしないと思いますね!(ちなみに矢野アレンジ曲でギターを弾いているのは、NONA REEVESの奥田だったりします。これも興味深い)

  同様に‥‥メロンが歌う矢野アレンジ曲 "真夜中のドア ~Stay With Me" も非常に素晴らしい。アレンジの良さもありますが、何よりもメロンのボーカルワークが過去最高に素晴らしいんですね。実はこの曲、今年メロンがリリースした作品の中でも1、2を争う完成度なんですね。俺の中でも "赤いフリージア" に匹敵する作品ですね、これ。同じメロンが歌う曲でも、高橋諭一アレンジの "旅の宿" は「FOLK SONGS 2」で彼女達が歌ったフォークソングと同じ路線で、色合い的にも同じなんですね。けど‥‥明らかにボーカル力がアップしてる。場数を踏んだことによる自信なのか、各メンバーの個性を感じられるようにまでなってるのが面白いですね。

  そして‥‥やはり保田ですか。ソロでしっとりと聴かせる "異邦人" や "雨の物語" はアレンジ的には平凡なんですが、保田が歌うことでそれなりに聴けるようにレベルアップしてる‥‥というのは言い過ぎでしょうか。まぁ平均点的内容ですね。彼女がモーニング時代に見せた『個性』がイマイチ伝わってこない。抑え気味で歌う曲ばかりだからなのか、それとも彼女自身に迷いがあるのか。どちらにせよ、この2曲や矢口とのデュエット "22才の別れ" だけで彼女の今後を占うのは少々酷ですね。今後に期待ということで。

  中澤は‥‥相変わらずですね。可もなく不可もなくといった印象。もうちょっと歌い込めば更に良くなると思うんですが‥‥残念ながら "GET ALONG WITH YOU" で聴けたような奇跡はここには感じられません。彼女も平均点的内容ですね。ま、だからといって悪いって言ってるんじゃないですけどね(矢口やメロンの曲と比べれば、って意味ですからね)。

  アルバムは最後、保田のテーマ曲ともいえるような "ケメ子の歌" で終わるんですが‥‥保田、この曲で聴ける歌が一番活き活きしてるじゃんか! 何だよ、結局こういった感じの曲をもっと与えてあげればよかったのに‥‥だから能なしプロデューサーは(ry

  とまぁ苦言も呈しつつ、いろいろと感想を書いてきましたが‥‥やはり一番充実してると思います。例えば「FOLK SONGS 2」では松浦亜弥の "ひこうき雲" や "さとうきび畑" といった突出した作品があったりしたものの、それ以外は平凡だったし、「FS3」も後藤や藤本のソロに幾つか良いモノがあったけど、アレンジ的に‥‥な曲もあったりで、結局は全曲通して何度も聴けるといった感じではなかったんですが、今回は曲数や収録時間の程良さ(11曲で約40分)も影響して、非常に聴きやすく、尚かつリピートしやすい内容なんですよね。平均的にレベルが上がってると思うし、前述の矢口やメロンの曲の良さ、平均点的ながらも中澤や保田の歌もなかなか良いし。まぁまず何よりも先に原曲の良さってのがあるんですけどね。

  来年2月にはシリーズ第5弾がリリースされるようですが、次作は『卒業』というテーマ縛りがあるようです。モーニング娘。を卒業する安倍なつみやカントリー娘。等も初参加するようですので、それはそれで楽しみですね。今後も定期的にこういった完成度の高い企画盤、期待してます。



▼中澤裕子・保田圭・矢口真里・メロン記念日『FS4 FOLK SONGS 4』
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投稿: 2003 12 23 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日, 中澤裕子, 矢口真里] | 固定リンク

2003/12/22

THE MARS VOLTA『DE-LOUSED IN THE COMATORIUM』(2003)

我々の前に衝撃的な登場をしたAT THE DRIVE-IN。しかしアルバム「RELATIONSHIP OF COMMAND」をリリースした翌'01年。まさかの分裂/解散。予定されていたフジロックへの出演も果たせぬまま、彼等はバンドとしてずるい幕引き‥‥勝ち逃げの状態で我々の前から姿を消したのでした。

そして'02年。彼等はふたつのバンドで我々の前に戻ってきます。SPARTAと、そして今回紹介するTHE MARS VOLTA。正直に言っていいですか?‥‥俺、SPARTAには全然興味が湧かなかったのね。何故なら、俺にとってのATDIってのは、セドリックのボーカルそのものなんですよ。勿論バンド全体としての雰囲気や生み出されるサウンド・楽曲、全てにおいて好きでしたが、やはりあの「声」があってこそ、俺は好きになったんですね。

だからこそ、その「声」を有するTHE MARS VOLTAの方に興味が行くのは、当たり前の話なんですね。けどさ‥‥やっぱり怖かったわけですよ。ATDIが最高だっただけに、その後に出てくるものが‥‥しかも分裂してしまった後ですから。あの5人だからこそ成し得たサウンドだというのは重々承知してるんです。だからこそ、聴くのが怖かった‥‥結果、昨年リリースされていたEPは聴かなかったんですよ。

で、このデビューアルバムですが‥‥実はこれもリリース後すぐには手を出しませんでした。同様にずっと引きずってたんですね、そういった思いを‥‥けど、ある切っ掛けで踏ん切りがついた。それは彼等のPVをたまたま観てしまったから。もうね、一発でノックアウトですよ。そうそう、俺がずっと待ってたのはこういうものだったんだ!って。それを一瞬にして思い出させてくれたのが、THE MARS VOLTAだったんです。やっぱりセドリックの「声」だったわけですよ。

ゲストとしてベースにRED HOT CHILI PEPPERSのフリーを迎えているとか、更にジョン・フルシアンテもゲスト参加してるとか、かのリック・ルービンがプロデュースしてるとか、いろいろ話題となるポイントはあると思うんですが、そんなことがどうでもよくなる程に、アルバム全体を覆う雰囲気やヴァイブ感が抜群に良い、良すぎるんです。ATDIに見られたパンク的要素は若干後退し、ラテン要素はそのままに、更にジャズやプログレ、ジャムバンド的フリースタイルなインプロビゼーション、そしてエレクトロニカ等‥‥とにかく他ジャンル/多ジャンルを包括した独自の感覚で構築されたロックがここには詰め込まれています。ATDIを気に入っていた人なら間違いなく受け入れられるだろう1枚。

とにかくね‥‥言葉にならない、いや、出来ない凄みを感じるんですね。感情の塊をそのまま素手でぶつけられたかのような、胸に大きな穴がポッカリ空いてしまったかのような衝撃。第一印象はとにか「衝撃」。ATDIのアルバムを初めて聴いた時にも似たような感覚を受けましたが、あれ以上でしたね。まさかこんなご時世に、こんなアルバムを聴こうとは‥‥嬉しいのと、焦って冷や汗かいたのと‥‥何だかよく判らない感情と、いろんな思いが入り交じる音。「アート」とか「ラウドロックの新星」とか‥‥そんなのどうでもいい。とにかく熱いロックンロール。感情を揺さぶるロックンロール。それだけが真実なんです、このアルバムの中では。

何でもっと早く聴かなかったんだろう‥‥と後悔したし、結局来日公演にも間に合わなかったし(来年1月にも再来日公演が予定されていますが、日程的に無理なんですよね)‥‥そしてアルバムリリースを待たずに、このアルバムでも大きな役割を果たしているサウンド・エフェクト担当のジェレミーがツアー先で亡くなってしまったこと。結局間に合わなかった‥‥って残念な気持ちもあるんですが、まだまだバンドは健在。ATDIのように短命に終わることなく、このままセカンドアルバムまで突っ走って欲しいです。



▼THE MARS VOLTA『DE-LOUSED IN THE COMATORIUM』
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投稿: 2003 12 22 09:28 午後 [2003年の作品, Mars Volta, The] | 固定リンク

ウルフルズ『ええねん』(2003)

  ジョン・B・チョッパー復帰後初となる、通算8枚目のオリジナルアルバム「ええねん」。ここ数作も悪くはなかったものの、どこかスッキリしなかったのがホントのところで‥‥ところがこのアルバムはどうだろう。久々の改心の一撃(一曲)となったシングル "ええねん" からスタートするんだけど‥‥まぁこの曲に関しては今更書くまでもないでしょう。全肯定ソングと呼ばれているこの曲、一聴すれば力強さ、ポジティヴさが十分に伝わってくるし、本当にここまで「歌」に励まされたのって、そしてそれが十分に機能したのって何時以来だろう!?って考えてしまう程に凄いわけで。彼等がカバーした "明日があるさ" という曲も、正にそういった類の楽曲だったものの、あれはあくまでカバーであり企画モノ。ここにあるのはウルフルズとしての、正真正銘の所信表明なわけですよ。

  そんな所信表明からスタートするこのアルバム。実はそのタイトルナンバーがアルバムの肝なのではなくて、それ以降‥‥ "たった今!" からスタートする2曲目以降こそが、このアルバムの、そして「ウルフルズ」本来の肝なんですよ。意外とここを見落としがちな人が多くて、個人的にはビックリしてるんですけどね(見方を変えれば、それだけ "ええねん" という楽曲から彼等に入っていった音楽ファンが多いってことか?)。ウルフルズの、そしてトータス松本の本質的な面を考えた場合、どう見ても "ええねん" ではなく、それ以降の14曲のスタイルの方がウルフルズらしく、そしてトータスらしいと思うんですけどね。彼等、そして彼の根本にあるソウルやブルーズといったブラック・ミュージックをルーツとしたオールド・スタイルのロックンロール‥‥多分、ここまで素直に原点回帰的シンプルなスタイルへとたどり着いたのは、今年初頭にリリースされたトータスのソロアルバム、そこで奏でられたロックやソウルのクラシックナンバーを通過し、灰汁抜きし‥‥そしてジョン・B復帰という特別な要素が加わったからこその、複合要素による結果なんでしょうね。良くも悪くもその後の彼等に影響した "ガッツだぜ!" やアルバム「バンザイ」の大ヒット、更には "明日があるさ" の予想外の大ヒット‥‥こういった事実が全て「過去のもの」として捉えることが出来たからこそ、"ええねん" やこのアルバムに辿り着けたのではないかな、と。このアルバムをヘヴィローテーションしながら、勝手にそう想像しています。

  ポップソング・クリエイターとしてのウルフルズはここには居ません。いや、そんなの最初っから居なかったんです‥‥勿論、トータスの生み出す楽曲やメロディにはポップな要素が豊富に含まれています。しかし彼は宇多田ヒカルでもなければ桜井和寿でも草野マサムネでも奥田民生でもない。トータス松本なんですよ。それを力強く証明し、自らを力強く肯定したのがこのアルバムなのですよ。他の誰かには決してなれないし、なる必要もない。自らのルーツを再確認し、結局それを再現しようとした時に偶然オリジナルメンバー4人が揃った。たったそれだけのことなんだけど、最終的にはそういった要素がこのアルバムにとって必要不可欠な要素となった。全てが偶然の産物なんだろうけど、やっぱりこれは必然だったんでしょうね。回り道したけど、ウルフルズはまた「ウルフルズ」になった。再デビュー盤なんて言い方はしたくないけど‥‥やっぱりまたここから何かが始まる予感はしますよね(って俺だけか?)

  とにかく、大音量で聴きたいアルバム。全てがライヴを想定して作られたであろう、必要最低限のサウンドで構築された非常にシンプル且つ判りやすいロック&ソウル・ナンバー。ある意味で山崎まさよしと同じような孤高さを感じるんですが、今後はそういった「真似できそうで誰にも真似できない高み/深み」を追求した、唯一無二の存在になってもらいたいもんです。

  そうそう、ディスク2(「A John B CD」)についてもコメントしておきますか‥‥まぁ早い話がジョン・B復帰を祝った2曲入りディスクなんですが‥‥1曲目 "Sleep John B" はかのBEACH BOYSの "Sloop John B" の替え歌で、実際にジョン・B自身が歌ってるんですね。上に書いたポップ要素をここで補ってるって言い方もできるんですが‥‥まぁあくまでこれはボーナスですからね。コーラスとして参加してるゲスト陣が兎に角豪華で‥‥って俺が書くまでもないか。長くなるので割愛。もう1曲は "風に吹かれている場合じゃない" はMC SQUAREDがヒューマン・ビートボックスで参加、メンバー全員がコーラスを取り、その上でジョン・Bが自身の詩の朗読をするという異色作。ちょっとヒップホップ色が強い、如何にも今風の1曲なんだけど‥‥結局これら2曲は番外編ですからね。本編(15曲入りのディスク1)とは別ディスク収録という事実を見るまでもなく、ね。ただ、こういう余裕があるってんも、今のバンドの状態を物語ってるようで、何だか嬉しくなるんですけどね。

  兎に角今、ウルフルズのライヴが観たいんです。このアルバムの曲を生で聴きたいんです。そしてアルバム聴いてライヴ観た後に、初めてこの作品が完結するんじゃないかな‥‥そう思うんですよね。



▼ウルフルズ『ええねん』
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投稿: 2003 12 22 04:21 午後 [2003年の作品, ウルフルズ] | 固定リンク

2003/12/21

KENZI & THE TRIPS『青春BABY II』(2003)

  2年前('01年)に「青春BABY」というカバーアルバムをリリースしているKENZI & THE TRIPS。その第2弾として今年5月に発表されたのが、今回紹介する「青春BABY II」というアルバム。前回はKENZIが影響を受けた日本のロックを取り上げた企画盤だったけど、今回はちょっと勝手が違って、所謂「セルフ・カバー」アルバムとして仕上がっています。要するに解散前‥‥'80年代の全盛期と呼ばれた時代の名曲達をKENZIが16曲選出して、現在のメンバーでリアレンジ/再録音したのがこのアルバムというわけ。これ、両刃の剣ですよね‥‥再結成後の、全盛期を知らない若い子達にとっては、名曲達を今の音で聴くことができるわけだから有り難い作品だろうけど、その当時‥‥全盛期をリアルタイムで通過してきた、そう若くはないファン達にとっては「やはりオリジナルが最高」っていう思いが強いだろうから、受け入れ難い作品なのかもしれないし。年を取れば取るほど、新しいモノや新しい試みに対して拒絶したり、過去の思い出に拘るばかりに今を否定しがちになっちゃうんだけど‥‥俺はこれ、本当に有り難く聴かせてもらってるのね。

  やっぱりね、今のケントリをライヴで観たのが一番大きいと思うのね。単なるノスタルジーで今回の企画盤を制作したんじゃないことは、現在の脂の乗ったバンドを見ればよく理解できると思うんだけどね。最近の曲も決して悪くない。むしろ再結成後の曲を重視するばかりに、意識的に解散前の名曲達を封印していた時期があったらしいけど、そういう拘りが馬鹿馬鹿しくなるくらいに、このアルバムでは開き直ってるのね。けどさ、それが功を奏して、その辺の若手青春パンクバンドよりも説得力を持った、KENZIの言葉を借りるなら『REAL PUNKS』へとまた一歩近づいたんじゃないかなぁ‥‥そう感じずにはいられないわけですよ。

  個人的にはこの辺の音、高校生の頃にリアルタイムで通過してるわけで、やっぱり最初に今年のライヴでこれらの曲を聴いた時はノスタルジーに浸ってしまったんだけど、曲が進むにつれて‥‥逆に今の方がリアルに感じられるんじゃないかって気がしてきたのね。最初のリリースから20年近く経ってる曲もある。あの頃十代だったKENZIも俺も、今じゃ30代。KENZIなんて40歳に手が届きそうな年齢に達してるわけでしょ。けど、いい意味で『16 PUNK ROCKER』のままなわけ。ルックスにしろ、精神面にしろ、やってることにしろ。途中、挫折したこともあったけど、最終的にはスタート地点と同じ立ち位置で、同じことをやってる。パートナーはいろいろ変わったし表現力も増したけど、やはり変わってないわけ。それを強く感じることができ、KENZIのルーツをカバー集以上に強く感じさせてくれたのが、今回の「青春BABY II」というアルバムだったように思うんですね。

  ある人にとっては受け入れがたい現実(=セルフカバーなんて以ての外、オリジナルが全て)だろうし、ある人にとっては懐かしい青春の1ページをVHSからDVDに変換したかのような現象だろうし、またある人にとっては新しい音楽との出会いとなったであろうこのアルバム。少なくとも俺にとっては無条件で楽しめるアルバムであり、それ以上でもそれ以下でもない。だってKENZI & THE TRIPSは『過去のバンド』じゃなくて、今を生きるバンドなんだから。今を生きるバンドが、今のメンバーで、今の表現力を持ってリメイクした、自分達の為に作ったアルバム。ファンの為ではなくて、自身のスタート地点の再認識。それがこの「青春BABY」というシリーズなんじゃないかな、と。だとしたら、これは20年近くに渡って活動してきたバンドにとって、どうしても必要な作業だったんですよ。だから周りがとやかく言う権利、ないよ。ここからまた新たに何かが始まって行くんでしょうからね‥‥

  ゲストとして氣志團やロリータ18号のメンバーが参加してるとか、そういった付加要素はこの際どうでもいいです。生ぬるい青春パンクに満足し切っている10代の少年少女達に向けて、胸を張ってオススメしたいのがこのアルバム。何も俺達の世代はブルーハーツやJUN SKY WALKER(S)だけじゃなかったんだよ。もっと素敵なパンクバンドが山程いて、そして未だに現役で活躍してるんだから‥‥。



▼KENZI & THE TRIPS『青春BABY II』
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投稿: 2003 12 21 12:00 午前 [2003年の作品, KENZI & THE TRIPS] | 固定リンク

2003/12/18

IRON MAIDEN『DANCE OF DEATH』(2003)

本当に、心の底から「いいメタルのアルバムだな」と思えたのが、今回の「DANCE OF DEATH」。ブルース・ディッキンソンとエイドリアン・スミスが復帰しトリプルギター/6人編成としての2枚目、通算13作目となるIRON MAIDENのオリジナル・アルバム。制作には前回とほぼ同じメンバーが当たり(ケヴィン・シャーリーがプロデュース)、作風的にも前作の延長線上といえるような内容なんですが、今回の方が遙かに良い出来なのは何故なんでしょうかね?

個人的には前作「BRAVE NEW WORLD」も嫌いじゃなかったんですが、まぁあれですよね、『ブルース&エイドリアン復帰に対するご祝儀』的な甘い評価が目立ったじゃないですか。で、俺もそういった好意的な気持ちで迎えた1枚だったんですよ。ただ、個人的評価としては‥‥'92年のブルース在籍時ラスト作となった「FEAR OF THE DARK」以降のアルバムは、正直「帯に短し~」なんですよね。悪くはないんだけど、決定的な何かが足りない。それは「決めの1曲」とかそういった類のものではなく(「決めの1曲」という意味では、前作には "The Wickerman" がありましたからねぇ)。

今回のアルバム、決して短いアルバムではないですよね。冒頭のシングル曲2連発("Wildest Dreams"、"Rainmaker")で「おおっ、どこから聴いてもMAIDENだ!」って感じで勢いをつけて、3曲目から如何にもな長編がバンバン飛び出すという仕組み。叙情詩的な "No More Lies" からヘヴィなシャッフルナンバー "Montsegur"、そこからアルバムの肝となる長編タイトルナンバー "Dance Of Death" への流れは圧巻だと思うし、如何にもMAIDENらしい "Gates Of Tomorrow" や "New Frontier"(これ、久々に俺内で大ヒット)の後に再び長編の嵐‥‥"Paschendale"、"Face In The Sand"、"Age Of Innocence"、"Journeyman" の4連発。特に "Paschendale" のオーケストラを導入した劇的な盛り上げ方は個人的にはかなりツボ。例えば往年のRAINBOWなんかを彷彿させるノリ、と言えばお判りいただけるでしょうか?

アルバムを通して聴くと‥‥後半にそういった長編が続いてるからってわけじゃないですけど‥‥何となく作風的に「POWERSLAVE」に近いような印象を受けます。これって要するに「バンドとして新しいピークに達しつつある」ってことなんですかね‥‥'80年代のMAIDENは明らかに「POWERSLAVE」というアルバムで、世界的にひとつのピークを迎えてますよね。そしてその後、ある意味迷走とも取れるような「SOMEWHERE IN TIME」や「SEVENTH SON OF A SEVENTH SON」等をリリースし続ける(しかしこういった迷走時期の作品が実は名盤だったりするから侮れない)。そしてエイドリアンの脱退(解雇)~ブルースの脱退‥‥勿論、今後の彼らが再び同じような道を辿るという意味ではないですよ? ただ、こうやって20年以上に渡って活躍してきたバンドとして、今回のアルバムで再び「高み」に到達しそうだな、という気がするというだけ。このアルバムのツアーが10数年振りに大がかりなセットを用いたものになるのも、その表れなんじゃないでしょうか?

最近の若手メタルバンドは一切聴かない、というか昨今のメタルに全くといって興味がない俺なんですが、こうやって往年のバンドが今でも活躍してると応援したくなるというか、聴きたくなっちゃうんですよね、素直に。で、久し振りに聴くから余計に良く聞こえるというね。いやいや、いいアルバムじゃないですか。毎日何時間も聴き込んだり、決して自身の「BEST OF 2003」に入れてしまうようなタイプの作品ではないですが、やっぱりたまにはいいもんですね。ほら、毎日あっさりした食事をしてると、たまに油ギトギトでコッテリした食事がしたくなる時、あるじゃない? あれと一緒。今の俺にとってのヘヴィメタルって、多分そういう存在なんだと思います。

最近のイギリスではTHE DARKNESSの大ブレイクを筆頭に、再びこういったメタルに脚光が当たっています。MAIDENはまぁある意味国民的バンドですから‥‥と思ってたら、まさかそのTHE DARKNESSに1位の座を阻まれるとはねぇ‥‥アメリカでも久し振りにトップ20入りしたそうですし、普段ラウドロックばかり聴いてる人も、たまにはこういった正統派もいいんじゃないですかね?(ただし日本盤はCCCDなのでご注意を)



▼IRON MAIDEN『DANCE OF DEATH』
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投稿: 2003 12 18 05:05 午前 [2003年の作品, Iron Maiden] | 固定リンク

2003/12/14

2 MANY DJ'S『AS HEARD ON RADIO SOULWAX PT.2』(2003)

先日の「ELECTRAGLIDE」にも出演した2人組DJユニット、2 many dj's。彼等が今年の初めに発表したDJミックスCD第2弾がこれ。彼等はベルギー出身の2人組で、実はSOULWAXというバンドのメンバーであるステファン・ディワーラとデヴィッド・ディワーラの兄弟によるDJユニット。既に地元ベルギーでは有名らしく、彼等のミックスを流すラジオ番組まである程なんだそうで。その延長線上で制作されたのが、このCDなわけですが‥‥純粋に考えて、これは凄い労力の塊だと思いますよ。

実際に彼等のDJを体験したことがある人なら判ると思いますが、とにかくジャンルが幅広いんですよ。最新のテクノやダンスのヒット曲から、'90年代のR&B、グランジ、ガレージ、'80年代のMTVヒット曲、そして'70年代のルーツロック、パンク等々。何でもありなのが、彼等のDJスタイル。エレグラでもビヨンセやらNIRVANAやらNEW ORDERやら、挙げ句の果てに西城秀樹まで飛び出す始末。このスタイルでミックスCDを作ろうとすると‥‥まぁ権利関係で揉めるわけですよね。単なるコンピレーション・アルバムを作るだけでも、レコード会社の枠を超えた問題等から収録出来ないなんてことがあるのに、ここではAというバンドのバックトラックの上にBというダンスユニットの歌部分のみを被せてしまったりしてるわけですから‥‥ヒップホップでいうところの「サンプリング・ネタ」なわけですからね。'90年代に入ってから、この手の権利問題がかなり厳しくなったんで余計ですよね。

で、そんな労力をかけて作られたこのミックスCD。凄いいいんですよ! オフィシャルサイトに行くと、このアルバムに収録された楽曲のジャケットが載っていて、そこをクリックすると「如何にその楽曲の使用許可を貰うまでに苦労したか」とか「どういう風に使った」というコメントがいちいち細かく書いてあるんですよ。更にこのアルバムを作るにあたって許可を貰えたにも関わらず、使用しなかった楽曲のリスト。最後に「アーティスト側から拒否された、あるいは最後まで返事を貰えなず使えなかった楽曲」のリストまであるんでね。一度聴いた後にこれらのリストを見ると‥‥何か判ってくるんですよね。この人達、ドップリと'80年代に浸かってきた奴らだなぁと。CD聴いても判るんですが、兎に角使われてるネタが俺のストライクゾーンばかり。例えばオープニングでいきなりEMERSON, LAKE & PALMERのライヴアルバムから "Peter Gunn" でスタートしたかと思うと、その上にBASEMENT JAXXの "Where's Your Head At (Head-a-Pella)" を被せるし。もうこのオープニングで俺の心を鷲掴み。更にその後もVELVET UNDERGROUNDの "I'm Waiting For The Man" が登場したり(クレジットはないけど、この曲の後のドラムってもしかしてPRIMAL SCREAMの "Rocks" だったりしませんか?)、THE STOOGESの "No Fun" のバックトラックの上にSALT 'N PEPAの "Push It" を被せてしまったり、もうそのアイデアの奇抜さにはただただ驚かされるばかり。この後も懐かしいNENAの "99 Luftballons" が出てきたり、10CCの "Dreadlock Holiday" のバックトラックの上にかのDESTINY'S CHILDの大ヒット曲 "Independent Women Part 1"(映画「チャーリーズ・エンジェル」主題歌ね)のボーカルトラックを被せちゃったり、THE BREEDERSは飛び出すわ、THE CRAMPSは飛び出すわ、ELECTRIC SIXからKISS(の "I Was Made For Loving You" をカバーした女性ボーカルのエレポップ)へ繋いで、そのまま上手いことNEW ORDERの "The Beach"("Blue Monday" のインストバージョン)へ繋いじゃったり。もう60分笑いっぱなし。大音量でかけてると、自然と踊っちゃってるんだよね、家の中で。

自分でもDJとかよくやってたけど、俺の場合は単純に曲と曲を上手いこと繋いでくだけで、ここまで芸が細かくないわけ。つうかやっぱりこういうのを聴いちゃうと、「こういう人達をDJっていうんだよなぁ~」と改めて尊敬の目で見てしまうわけ。そしてだからこそ、俺はあくまで「なんちゃってDJ」なわけよ。絶対にDJだなんて口が裂けても言えないッスよ。

何やらこのミックス・シリーズ。今後も続々とCDが出ていくようですよ。有り難いことですが‥‥本家のSOULWAXの方もそろそろねぇ‥‥一昨年の「SUMMER SONIC」での来日以来、音沙汰がないような気がするんですが、気のせい?

そうそう、最後に‥‥このCDには46曲のクレジットがあるんですが、実はクレジットにない楽曲も使用されていたりします。所謂「シークレット」的存在ですかね。上に書いたPRIMAL SCREAMももしかしたらそうかもしれないし‥‥それ以上にもっと大ネタがあるんですよね‥‥洋楽ファンなら聴けば判ると思いますが‥‥例えば「最近逮捕されてすぐに釈放されたキング・オブ・ポップス」とか「かつて名前を放棄して記号表記とかするようになってた王子様」とか‥‥他にもあるようなので、判ったら俺にそっと教えてください。

とにかく、これからのパーティー・シーズンに持ってこいの1枚。これかけてるだけで気持ちいいし、あるいは話のネタになるし、とにかく重宝すること間違いなし。踊り狂ってくださいまし。



▼2 MANY DJ'S『AS HEARD ON RADIO SOULWAX PT.2』
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投稿: 2003 12 14 06:07 午後 [2003年の作品, Soulwax, 2 Many DJ's] | 固定リンク

2003/12/10

THE RAPTURE『ECHOES』(2003)

今年もまぁ例年通り、いろんな新人さんがデビューしてそれなりに話題になったりしました。最近は音楽雑誌、全く買ってないので(まぁ立ち読みする程度ですか)「ROのイチオシ!」とかその辺はイマイチ判らないんですが‥‥こうやってネットをやってると、それなりに話題になるバンドってのは、やっぱり雑誌とかでも騒がれてる存在なんですかね。

ここ数ヶ月、洋楽のニュースサイトの真似事を続けてるけど、暫く疎かった最新の洋楽情報にもちょっとずつ着いて行けるようになってきたんですね、再び。まぁだからといって全部聴いてるかと言われると全然そんなことないわけで。基本的には知ったかぶりはやめて、知らないものは知らない、知ってるものに関してはそれなりのコメントを付けるようにしてます。なんつーか、基本的には「ニュースクリップで、洋楽のお好みテープ(今ならMDかCD-Rか)を作る」ような感覚でページ作ってるんですね。アイドルポップの後にヘヴィロック持ってきて、その後にテクノを繋いで、最後はファンクの大御所、みたいな‥‥ニュースでDJやってるような感覚とでもいいましょうか。ま、それは言い過ぎですけどね。

大体最近話題になる新人バンドの傾向って、どうしてもリバイバル・ロック系が多いじゃないですか。今更「ブリットポップの流れを組むUKギターロック!」とか力説されても、全然説得力がないというか、そんな流れ組まれても‥‥みたいに思っちゃうし。かといって、そういったリバイバル・ロック系の流れにもちょっと食傷気味だし。ダンスの要素を取り入れたバンド? 去年THE MUSICとか出てきたけど、それ以降でいいのってあまりいないし。つうかさ、そういった上に挙げたような要素全部を含んだバンドが出てくれば、一番手っ取り早いんだけどねぇ‥‥

そこでお客さん! 今日紹介するのはこのバンド、THE RAPTURE。今挙げたようなものを全部含んでこのお値段!‥‥っていう深夜の某TVショッピング風な冗談はこの辺にして‥‥

冗談抜きで、このTHE RAPTUREのアルバム「ECHOES」を聴いてると、俺が最初に書いたような「お好みテープを聴いてる」ような錯覚に陥るのね。ブリットポップだったり、ハウスだったり、ファンクだったり、パンクやガレージやグランジだったり、あるいはダブだったり‥‥そういったような要素をアルバムから感じられるのよ。ただこのバンドの場合、ひとつの曲にそういったいろんな要素が詰まってるのではなくて、曲毎に表情を変えていくのよ。ハウス風の "Olio" でダンサブルに始まったかと思えば、そのまま狂気じみたボーカルを聴かせるパンキッシュなファンク "Heaven" に続くし、かと思うとムーディー且つダウナーなバラード "Open Up Your Heart" がフェイドインしてくるし。ある意味「音のおもちゃ箱」なんだけど、意外と統一感はあるかな。打ち込み主体の曲の後にヘンテコなリズムを持ったファンクが続いても、全然違和感なし。それはきっとバンドとしての確たる信念がちゃんと備わってるからなのかもしれないね。

バンド編成もギター/ベース/ドラム/サックスという4ピースで、他のバンドと比べてもやはり風変わり。サックスが加わることで、曲によっては更に狂気度が増してたりするんだよね。管楽器の音って、時に人の神経を本当に逆撫でるからね。官能的だったり、狂ってしまったり。使う人/使い方ひとつでこんなにも表情を変える楽器‥‥エレキギターもそうだけど、本当に凄い楽器だと改めて思うよ。

さてさて。このバンドの場合曲の良さやバラエティ豊かさも確かに特徴だけど、やはりシンガーのルーク・ジェナーによる狂気じみたハイトーン・ボイスが一番の武器かもしれないね。時にトム・ヨーク(RADIOHEAD)のように弱々しく、そして時にロバート・スミス(THE CURE)のように狂ってる。タイプはちょっと違うけど、TALKING HEADS時代のデヴィッド・バーンを思い浮かべちゃうんだよね‥‥ああ、そういえばバンド自体も何となく全盛期のTALKING HEADSを彷彿させるしね(って思ってるの、俺だけ?)。ポスト・パンクからファンク等のダンサブルな方向へと進化していったTALKING HEADSのように、このTHE RAPTUREも多分ガレージロック的な道から一歩踏み出して、ハウスやファンクといったダンサブルな要素を吸収していったのかもしれないし。その結果が "House Of Jealous Lovers" という超名曲を生んだんだろうし‥‥ま、ホントのところは判らないんだけどね。

とにかく面白い存在なのは間違いないです。こういうバンドってきっと「ハイプ」だの「一発屋」だのいって貶されることが多いと思うんですが‥‥サマソニでのライヴも面白そうだったし、是非単独来日を期待したいところ。時代を変えるようなタイプのバンドではないだろうけど、間違いなく記憶に残るバンドだと思います。



▼THE RAPTURE『ECHOES』
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投稿: 2003 12 10 03:53 午後 [2003年の作品, Rapture, The] | 固定リンク

2003/12/09

Spaghetti Vabune!『summer vacation, sunset vehicle』(2003)

  うわーっ、何か嬉しいなぁ。今年を締め括ろうとしている年の瀬に、こんなにキラキラしてて暖かくて気持ちよくて、聴いててホントに笑みがこぼれちゃうようなアルバムに出会えて。こういうのをずっと待ってたのかもしれないなぁ、俺。

  というわけで、Spaghetti Vabune!の記念すべきファーストアルバム「summer vacation, sunset vehicle」を紹介します。既に一部で大絶賛の嵐ですが(って俺の周りの身内だけか)、これは絶対に多くの人に聴いてもらいたい1枚なんですよ。だからね、ホント久し振りに‥‥強気も強気、ホントにもうね、これ今年聴かなかったら絶対にウソ!損するよ!!ってくらいに大プッシュしたいわけですよ。

  実はこの俺も彼等のサウンドに初めて接したのは、先週末‥‥つまり、まだ数日前のことなんですよ。友人が放送したネットラジオで流された彼等の曲を聴いて、もうね、一発でノックアウトされてしまったわけですよ。最近この手のギターポップから少しだけ遠ざかりつつあったんですが、イントロから歌に入った瞬間、胸ぐら掴まれてもの凄い勢いで引っ張られましたからね! そのくらい、やられちゃったというか、一目惚れですよ。

  神戸在住の6人組(ご本人達は6~7人組と言ってますが)バンド。トリプルギターってだけで思わず唸りそうになるのに、更に男女混合ボーカル、そして煌びやかなギターポップ‥‥どこに「俺が好きにならない要素」があるっていうのさ! いやー参った。ラジオでは確か "cherokee"(限定シングルとしてもリリースされてます。俺、最初に行ったお店でこのシングルしか置いてなくてとりあえず買っておいて、次の店でアルバムを買えたんですよ。で、シングルの2曲がアルバムにも入っていることに帰宅してから気づきました!まぁ300円だし、ジャケットも気に入ってるんでノー問題ですが!)と "drive" が流れたと思うんですが‥‥それだけだと思うなよ!っていう強力なナンバー目白押しなんですね、このアルバム。

  曲によって日本語/英語を使い分ける歌詞、女性ボーカルのcheeさんとギター&男性ボーカルのcageさんによるツインボーカル、時に激しく、時に優しく、そして時にはスペーシーなサウンドで聴き手を包み込む3本のギター、甘くとろけるようなメロディ。我々が『ギターポップ』という言葉を聞いて頭に思い浮かべるイメージそのものといえるサウンド/楽曲を連発するんですが、ただそれだけならその辺の学生バンドでも出来るわけですが、ここで一番重要なのが『心に響くか否か』なわけで‥‥少なくとも上記のような要素にアンテナがビンビンに反応する音楽ファンなら、間違いなく感情揺さぶられまくりでしょうね。断言しますよ。

  アルバムに付属しているライナーノーツにもあるように、単なるギターポップという枠内には収まらない‥‥シンプルなロックンロールだったり、北欧系(スウェディッシュ)ロック/ポップだったり、『CREATION』系ギターポップだったり、シューゲイザーだったり‥‥そういった、自分が'80年代末から'90年代前半に送った青春時代に聴いてきたサウンドがギューッと凝縮されたかのようなスタイルを持っているバンド、それがこのSpaghetti Vabune!というバンドであって、それを見事に具体化したのがこのアルバムなわけですよ。

  よくロックであることとポップであることは同居できない、なんてバカなことを言い出す人がいますが、そんなわけないじゃんか! 周りを見回してみなよ。日本であろうと、余所の国であろうと、第一線で活躍する一流バンドはみんな『ロックでポップ』な奴らばかりじゃないかい? どっちか一方だけじゃダメなんだよ。ロックであるということは即ちポップだということ、そしてポップであるということは即ちロックなんだということ。ちょっと哲学入っちゃいそうだけど、俺はそういうもんだと信じて疑わないわけ。

  そういう意味では、このバンドのこのアルバムも、見事にロックしていてポップしている。それで十分じゃない? 理屈なんかいらないよ。ただただスピーカーから溢れる暖かいサウンドに包まれて、この冬を過ごしてみようよ。そして春になったら暖かい日差しに包まれながら、夏にはカンカン照りの中日に焼けながら、秋には‥‥ってもういいか。とにかく好きな奴にはたまらない、そしてちょっとでもロックだとかポップだとかそういった音楽に興味を持った奴なら絶対にどこかした引っ掛かる要素を持ってる。そんなアルバムですよこれは。とにかく黙って聴け! 話はそれから。



▼Spaghetti Vabune!『summer vacation, sunset vehicle』
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投稿: 2003 12 09 12:00 午前 [2003年の作品, Spaghetti Vabune!] | 固定リンク

2003/12/06

メロン記念日『かわいい彼』(2003)

  メロン記念日通算11枚目のシングルとなる「かわいい彼」。今年の締めくくりに相応しいアッパーで激しい、いろんな意味でメロンらしいタイトルチューンと、正反対でしっとりと、そしてじっくりと味わい深いカップリング曲という硬軟両揃えで我々を魅了します。とにかくこの1年、『成長』と『迷走』の繰り返しだった彼女達そのものといえるでしょう。

  タイトル曲 "かわいい彼" はアレンジャーに守尾崇(カン紺藤 "浮気なハニーパイ" 等)を迎えた、如何にもなユーロビート風歌謡ナンバー。ま、早い話が如何にもつんく♂という、ねっ。世間で言われてる程ユーロビートっぽくも感じてないんですが、まぁ大まかに言えばそうなるんでしょうね。(ハロプロにしては)意外と細部まで作り込まれてる印象があるんですが、どうでしょう? メロディも最近のつんく♂らしい、なかなかの出来だと思いますが‥‥まぁ俺の感覚が世間一般のヲタの皆様とずれてきてるようなので、恐らく多くの人が「イマイチ」とか「糞」とかいって切り捨てるんでしょうね。「B級っぽい」とかさ‥‥

  けどね、その「B級っぽさ」こそがメロン記念日最大の売りだったんじゃないですかね? 確かにここ1年ちょっとの間にリリースされたシングルは楽曲としての精度も完成度も高めのものが続いたので、特に "チャンス of LOVE" と "MI DA RA 摩天楼" はクオリティが落ちたように感じられましたが(いや実際に落ちてたのかもしれませんが)‥‥これらに漂う「B級っぽさ」こそデビュー時から備わっていた持ち味だと思うんですよね。まぁデビュー時はホントに普通の売れなさそうなB級アイドルだったわけですが、現在ではそれを『演じる』ことさえできる。真の意味ではA級アイドルに片足突っ込んでるんでしょうけど、そう感じさせないのはやはり周りのブレーンによる仕掛けであり、そして彼女達の力量なんだろうな、と。

  B級であり続けることは決して悪いことではないと思います。確かにそれが足を引っ張ることが多いでしょうけど、そういったリスキーさを常に孕んできたのが『メロン記念日』なんですよ。メロン・イズムなんですよ。ねぇ、そう思いません?

  一方、カップリング曲である "初雪" はこれまでの彼女達のイメージからすると、ちょっと驚いてしまう程に穏やかで味わい深いバラードナンバー。アレンジにはお馴染み高橋諭一を迎え、ちょっとオリエンタルな雰囲気づくりに成功しています。線の細いギター(恐らくライン録り)、アコギのストローク、ストリングス系シンセがメイン、そんな中に生バイオリンを取り入れたりして‥‥そんな細かな仕掛けが何となくカントリー娘。を彷彿させますが、やはりこれもメロン記念日なんですね。デビューから約4年近く経ち、ようやくこういう楽曲にもチャレンジできるだけの力をつけたんだと、今だからこそのチャレンジなわけです。この1年でツアーを数回経験し、松浦亜弥や後藤真希といった後輩達の助っ人を経験し、シングルヒットやアルバムリリースも経験し‥‥そういった『経験』を凝縮した、ひとつの結果提示なんじゃないでしょうか。そう思えて仕方ないんですよ、この曲での彼女達の歌を聴いていると。

  このシングルでの2曲は、今一度初心を思い出せという『原点回帰』と、実力を着実につけていった彼女達に対して新しい課題を設けようという『未来への展望』を体験できる、正に『第一期・メロン記念日』を締め括るに相応しい内容なのではないでしょうか。勝者のみが味わえるウィニングラン。しかしそこにふんぞり返るんじゃなく、常にチャレンジャーの精神で戦い続けるのがメロン記念日‥‥いや、それはモーニング娘。にもいえる(いや、『いえた』ですね正確には)ことなんですが。

  このシングルを持って、彼女達は祝賀パーティー的内容になるであろうスペシャルライヴを12/13&14に東京オンリーで行います。さてさて、ハッピームードで今年を終えるメロン記念日、来年はどういう戦いを我々に見せてくれるのか‥‥楽しみですね!



▼メロン記念日『かわいい彼』
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投稿: 2003 12 06 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク

2003/12/03

THE BEATLES『LET IT BE...NAKED』(2003)

このアルバムを語る上でいろんな情報を書いておくべきなのかもしれないし、むしろそういった事実を踏まえた上で語られるべき作品なんでしょうけど‥‥ゴメン、今日はそういうの、一切抜きで。むしろ今回のは‥‥暴言に近い物言いをすると思うので、読んでて不快に感じる箇所もあるかと思います。予めご了承ください。

さてさて。ビートルズのニューアルバムです。ま、ニューアルバムという言い方に多少語弊があるかと思いますが、実際そういう表現で扱われることが多いのもまた事実。確かに「ニュー」アルバムですよ、これは。

ご存じの通り、33年前にリリースされたビートルズのラストアルバム『LET IT BE』を“本来の形”に近づけたとされるアルバム、それが今回リリースされた『LET IT BE...NAKED』。名前通り、本当に“裸”になったのかどうか‥‥個人的見解を記しておくと、「ドラマ性を持たせ一般流通目的でソフト編集されたアイドルAV」が「ヘア出し中出し無修正!こんな生々しいのが見たかった!的裏ビデオ」という風に編集前の形でリリースされたと思ったら、実際には「ヘアは出てるけど薄ボカシ入り、しかもゴム付きで本番なし!」だった‥‥みたいな感じでしょうか?(非常に判りにくく、且つ下品な例えで申し訳ないッス)

オリジナル(フィル・スペクターがプロデュースしたものを、敢えて「オリジナル」とします)の『LET IT BE』が上記のような「ラストアルバムとして、そしてあの無機質な同名ドキュメント映画のサウンドトラックとして成り立たせる為に、過剰なまでにドラマチックに演出し、尚かつ殺伐さを抑えてウワモノを被せた」作品だとすると、今回の『LET IT BE...NAKED』って本当の意味での“NAKED”ではないですよね。判る人には判ると思いますが、ひとつの楽曲の中にいろんなテイクが混在していて、いわば“サイボーグ”と化してるわけですよ。ブートなんかでも流通していた音源と聴き比べてもそれは顕著で、そういった意味では“作られた裸”‥‥つまり「無修正といいつつ、薄ボカシ入ってるじゃんか!」だとか「ナマ本番とかいって、ゴム付けて、しかも実際には挿入してないし!」といった詐欺紛いの謳い文句だったりするわけです。その辺に対しての憤りみたいなものは、確かに感じます。

けどね‥‥だから何?ってことですよ。じゃあこのアルバムが質の悪いものなのかというと、全然そんなことはなく、むしろこの生々しいミックス(音の粒が粗く、ボーカルがオリジナルよりも前に出てる)は下手なガレージバンドより何万倍もカッコイイじゃないの? 言っちゃ悪いけど、結局オリジナル盤リリースから33年経っても、このアルバムを超えるようなバンド/作品って数える程しかなかったってことなんじゃないの? その駄目押しとしてカッコ良さ重視の編集盤が制作された、と。自分にとってこのアルバムの存在意義、その程度で十分よ。あとは音が全てを物語ってくれるから。

曲の良さについては今更ここに書くこともないでしょう。むしろハードロッキンな「Dig A Pony」や 「I've Got A Feeling」、「One After 999」とか聴いちゃうと、改めて『LET IT BE』っていいアルバムだったんだな、と再確認しちゃうわけよ。装飾をそぎ落とした「Let It Be」や「The Long And Winding Road」については好き嫌いとかあると思うけどね。個人的にはフィル・スペクター・バージョンに慣れ親しんだせいか、あっちの方が好きかも。ただ『LET IT BE...NAKED』というアルバムに関していえば、こっちのテイクで正解だと思うけどね。

最近このアルバムに対して、したり顔で「“NAKED”とかいって編集しまくりだからダメ」とか「結局オリジナルの方がいいに決まってる」とか言ってる人、見かけるでしょ? ちゃんと聴かないでほざいてる奴らは問題外。つうかそんな奴らに「音楽ファン」とか「ロックファン」とか軽々しく名乗って欲しくないね! そしてオリジナルを尊重するあまりに今作を否定する輩。気持ちは判るけど、結局あなた達も「最近のつんく♂はだめぽ、モーニング娘。はもう終わったよ」とかいって今あるもの全てを否定しようとする一部のモーヲタと同類。俺から言わせりゃ同じよ! だってメンバーが『オリジナルアルバム』と言い切ったところで、どうあがいても今作は編集盤以外の何ものでもないわけですよ? ポール・マッカートニーが公式アルバムと言ったから? 冗談じゃない! 「楽しみ方がひとつ増えた」くらいの軽い心構えができないもんかね‥‥。

何度も言うけど、下らない能書きたれて、大して聴きもしないで文句タラタラな奴らなんか信用するな! 自分の耳を信じろ! 自分が良いと感じたもの、それが全てなんだからさ。



▼THE BEATLES『LET IT BE...NAKED』
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投稿: 2003 12 03 12:00 午前 [2003年の作品, Beatles, The] | 固定リンク

2003/12/01

LED ZEPPELIN『HOW THE WEST WAS WON』(2003)

「とみぃの宮殿」5周年を記念する月、そしてその記念すべき日に何を取り上げようかと悩んだのですが‥‥やはり自分の原点となるようなアーティストを毎年12/1には取り上げてきてるので、今年もそんな感じで行こうかなと思ってたわけですよ。

そしたらさ、今年新譜出したじゃないの、こいつらが。いや、純粋な意味での新譜ではないんですが‥‥けど、間違いなく「新譜」ですよね、これ。

というわけで、俺の人生観を大きく変えやがったバカバンドの中のひとつ、LED ZEPPELINが今年リリースしたライヴアルバム、「HOW THE WEST WAS WON」を取り上げたいと思います。ベタとか言うなそこ。

ZEPと出会って早20年近く。当時「FMステーション」という雑誌を買っていた中学生の俺が、お約束ともいえる「ロックの名盤100選」みたいな特集記事を読んで、思いっきり惹かれまくったのがDEEP PURPLEの「MACHINE HEAD」とこのZEPのセカンドアルバムだったわけでして。同時に2枚、今や懐かしい存在となりつつある貸しレコード店「友&愛」に行って借りてきて。ある意味耳に優しいパープルは一発で気に入ったのですが、ZEPは‥‥なんじゃこりゃ!?的衝撃があったわけですよ。とにかく曲が良いとか何が凄いとか言えず、ただただ「凄い」と。結局、あれから20年以上経った今でも、俺にとってのZEPというのは「何だかよく判らないけど、凄い存在」なわけですよ。

その20年近くの間に、何度もリバイバルヒットをするわけですよ、彼等は。「LIVE AID」というチャリティーライヴでは、ドラムにフィル・コリンズとトニー・トンプソン(R.I.P.)を迎えて無理矢理再結成したり、'88年に行われた「ATLANTIC RECORDS」40周年記念ライヴでもドラムに亡くなったジョン・ボーナムの息子、ジェイソン・ボーナムを迎えて簡単に再結成してしまったり。'90年代半ばにはジミー・ペイジとロバート・プラントが活動を共にし「PAGE・PLANT」名義でMTVアンプラグドに出演したり、'98年にはアルバムまで作ってしまったりといろいろ無茶なことばかりし続けてきたわけですよ、オッサン達は。しかもその合間、'90年にリマスター・ベスト&ボックスセットをリリースしたり、やれ紙ジャケだ、新リマスターだ、新しいベストだと手を変え品を変え我々の購買意欲に火を着け、'97年には秘蔵音源集その1といえる「BBC SESSIONS」をリリースしたりして、新たに若いファンを産み続けているわけですよ。何なんでしょう、このオヤジ達は‥‥

そして2003年。バンドのデビューから約35年、解散から数えても23年近く経った今年、秘蔵音源集その2といえる今回の3枚組ライヴCD「HOW THE WEST WAS WON」と、「どこにそんな映像が残ってたんだよ!?」と思わず唸ってしまうような2枚組DVD「LED ZEPPELIN」を同時リリース。DVDの方なんて全部で約5時間ですよ!? これ全部観るのにひと月近くかかりましたもん。つうか集中力が続かないって、そんなに。ライヴアルバムもだけどさ‥‥本当に体力使うのよ、ZEPの音源聴く時は。半端な体力じゃ保たないもん、この「音の塊」に身を委ねるっていう行為は。

簡単な解説を。このライヴCDは、'72年6月25日のLAフォーラム公演と同27日のロング・ビーチ・アリーナ公演(共にカリフォルニア)の音源から、オイシイ所をひとまとめにして、あたかも1本のライヴを観てる(聴いてる)かのような錯覚を与える程の統一感を持たせた、所謂「疑似ライヴ実況盤」として編集されております。が、そんなことは言われなければ気づかないことであって、実際この3枚をぶっ通しで聴いていると‥‥知っている人は多いと思いますが、彼等のライヴというのはとにかく長く、特に初期は気分によってその長さが3時間にも4時間にもなったという逸話がある程なんですね。例えば2度目の来日時だったか、大阪かどこかではやはり4時間近く演奏したという伝説も残していますしね。このライヴ盤では約150分程度に収まってますが、まぁそれでもこれくらいが基本スタイルだったんじゃないかな?と思わせるような、本当に「度を超した」ライヴなんですよ。

曲数にしたら17曲。普通のバンドだったら90分もあれば十分でしょうけど、そこはZEP。同じ曲でも日によって長さが全然違ったりするんですからね。特に "Dazed And Confused" やジョン・ボーナムのドラムソロを含む "Moby Dick"、終盤の山場である "Whole Lotta Love" なんていうのは、本当に長いですからね。このアルバムでもそれぞれ20分を軽く超える即興の嵐ですから。楽曲至上主義の音楽ファンが聴いたら正直キツいと思うかもしれませんが、特にバンドをやってたような人なら誰もが唸ってしまうようなプレイの応酬ですよ。ホント、「凄い」以外の言葉が浮かばない程に「度を超した」ライヴ。

そしてこの頃('72年)頃になると、アルバムだと5作目「THE HOUSE OF HOLY」リリース前なのですが既に "Over The Hills And Far Away" や "Dancing Days"、"The Ocean" といった新曲もプレイしてるんですね。非常に興味深い。更にディスク1後半のアコースティック・コーナー(サードや4作目収録の "Going To California"、"That's The Way"、"Bron-Yr-Aur Stomp")も興味深いし(それまで唯一のライヴ作品とされてきた「THE SONG REMAINS THE SAME」では聴けないものですからね)。そうそう、何よりもその「THE SONG REMAINS THE SAME」と比べてもロバート・プラントの声が張りまくっていて、高音も気持ち良いくらいに出てるんですね。この後になると高音が厳しくなってきて、段々オリジナルのメロディーを端折って歌うようになりますからね("Rock And Roll"に顕著ですよね)。そういう面から見ても、当時の勢いや凄み、「TOO MUCHさ」が十分に伝わるんじゃないでしょうか?

それにしてもこの音源、本当に音がクリアですよね。当時のライヴ・レコーディングにはかのエディ・クレイマーが当たっていたんですが、今回リリースするに当たってケヴィン・シャーリーがミックスし直してるんですわ。この人、デジタル面で特に抜きん出てるプロデューサー/エンジニアなので、相当いじりまくったとは思うんですが‥‥聴いてて全然違和感感じませんから、さすがというか。

‥‥ってここまで小難しいことをいろいろ書いてきたけど、これら全部頭から一旦消し去ってください。そしてただひたすら150分、ぶっ通しで聴いてみて。ホント凄いから。何だかよく判らないけど凄いからさ。

‥‥って、5年サイト続けてきて、締めの言葉が「何だかよく判らないけど凄いからさ。」ってのも凄いよな。いろんな意味で。この成長の無さが5年も続く秘訣だったのか!(驚。のち号泣)



▼LED ZEPPELIN『HOW THE WEST WAS WON』
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投稿: 2003 12 01 03:40 午前 [2003年の作品, Led Zeppelin] | 固定リンク

2003/11/27

後藤真希『原色GAL 派手に行くべ!』(2003)

  後藤真希通算9枚目のシングルとなる「原色GAL 派手に行くべ!」。古くからのファンはこれを聴いていろいろ思うことがあるんじゃないですかね‥‥恐らく誰もが思い浮かべるであろうことだとは思いますが、ここでも敢えて書いてみたいと思います。

  タイトルナンバー "原色GAL 派手に行くべ!" という曲は、明らかにプッチモニでの後藤を意識して作られた(あるいはアレンジされた)楽曲だと思うんですね。イントロやエンディングでの布袋寅泰の "POISON" を彷彿させるギタープレイとリズムで「おお、ちょっとパンキッシュ!?」と思わせて(男性コーラスもそれっぽいしね)、歌い始めのサビでこれでもか!?ってくらいにキャッチーでポップでつんく♂らしいメロディを持ってくる。そしてAメロ~Bメロでの構成や挿入される「声ネタ」、これらが全て往年のプッチモニをイメージさせるようなものなんですね。いや、イメージさせるというよりもあからさまに狙ってるように感じますけどね。ちょっと素っ頓狂なんだけどカワイらしい後藤の歌い方も、"ちょこっとLOVE" や "ぴったりしたいX'mas!" といったコミカルな「女の子・後藤真希」を強くイメージさせるものだし、高橋諭一が手掛けたアレンジもプッチらしい「音のおもちゃ箱」的な騒がしいものだし(例えば松浦亜弥の一連のキラーチューンを思い浮かべてもらえば何となく想像つくでしょう)。結局空中分解してしまったかのような第三期プッチに代わり「私が引き継ぐから!」という強い意志というか力強さが存分に味わえる。恐らく今後のライヴでもキラーチューンとなるんじゃないですかね、これは。

  この曲を最初に聴いた時、そのコミカルな歌詞や振り付けも相俟って‥‥一瞬ですが、聞こえないはずの保田圭や吉澤ひとみ、あるいは市井紗耶香の歌声や踊る姿が聞こえてきたり見えてきたりしたような気がしたんですよ。ホント、それくらい「あの時代」がフラッシュバックしてきて‥‥けど、最終的にこれがただのノスタルジーで終わらなかったのは、ひとえに今の後藤が持つポテンシャルの高さのお陰じゃないかな、と。この1年で彼女は相当実力を付けたと思います。それは彼女のライヴを観たことのある人なら誰もが首を縦に振る事実でしょう。そんな1年の集大成としてこの曲を歌う。恐らくモーニング娘。卒業当時の彼女がこの曲を歌ったとしたら、ただのプッチモニ・リバイバルで終わっていたでしょう。もしかしたら「‥‥保田や吉澤がいないと淋しいなぁ」くらいの物足りなさを感じてたかもしれませんね。けど、実際には違った。それが「今の後藤真希」なわけですよ。

  一方カップリング曲 "恋人募集中" はロッカバラード調の8分の6拍子ヘヴィバラード。同じく高橋諭一によるアレンジで、ギター以外は全編打ち込みなんですが‥‥例えばBON JOVIとかAEROSMITHみたいなアメリカン・ハードロック・バンドがやりそうなロッカバラードといったイメージで、しっとりというよりは派手に歌い上げる後藤の歌を存分に味わえる1曲に仕上がってます。そういえば後藤、今回のシングルリリースに際して「そろそろバラードが歌いたかったんだけど‥‥」みたいな発言をしてたみたいですが、これを聞いて俺‥‥まぁ勝手な想像ですが、何故つんく♂が今回バラードを用意しなかったのを考えてみたんですよ。

  その前に‥‥後藤が公の場で歌ったバラード曲となると、自身のソロ曲となると昨年末にリリースされた "サン・トワ・マミー" と "君といつまでも" だけなんですよ。それ以外だと、テレビの歌番組で歌った "Who..."(浜崎あゆみ)と "Time goes by"(EVERY LITTLE THING)くらいでしょうか? これら2曲が彼女が大好きで、よくカラオケで歌う曲なんだそうです‥‥つまり「自信を持って他人に聴かせられる曲」として選んだのが、このバラード2曲なわけです。

  たったこれだけの情報で判断してしまうのは危険だというのは承知してますが、それでも言ってしまうと‥‥ほら、よく「俺/私、歌そこそこ上手いのよ。自信あるんだ」って他人に言い回る人程、勝負曲って感情を込めて歌い上げるバラードだったりしません? 今回の後藤の発言を耳にした時、そしてつんく♂が未だにバラードらしいバラードを彼女に用意しない事実に気づいた時、これを思い出したんですよ。

  言い方は悪いですが、今回の後藤の「そろそろバラードが歌いたかったんだけど‥‥」云々の発言って、考えようによっては「この1年でミュージカルもやった。ツアーも2回もやって大成功した。今のワタシ、相当イケてるんじゃない!?」ってな風にテングになりつつあるんじゃなかろうか、と‥‥いやいや、そんなことはないとは思ってますが。「今のワタシがバラード歌ったら、スゴイんじゃない!?」みたいな風に思ってたとしたら‥‥そりゃつんく♂も「まだまだや!」って焦らしますよね? 俺がつんく♂だったら焦らすもん、絶対に。シングルではまだ2~3枚先まで切らないと思う。アルバム用には‥‥微妙なところですね。来年1月末に待望のセカンドアルバムがリリースされるそうですが、今年リリースしたシングル4枚("うわさのSEXY GUY"、"スクランブル"、"抱いてよ!PLEASE GO ON"、"原色GAL 派手に行くべ!")を軸として、どこまで音楽的な枠を広げていくのか。ファーストアルバム「マッキングGOLD (1)」が非常に幅の狭い、遊びの少ない作風だったことを考えると、今回はバラードもありえなくないんだけど‥‥さて、どうなるんでしょうね?

  今回何故つんく♂がこういった楽曲を用意したか、それは本人にしか判りませんが‥‥きっと今年1年頑張った後藤に対する彼なりのご褒美みたいなもんだったんじゃないですかね? 今年最後の日に、ソロとしては初めてとなる紅白歌合戦があるし、年末年始の音楽番組にもいろいろと出演するでしょう。そこで歌い上げるような綺麗なバラードを用意するのではなくて、あくまで「後藤とバカ騒ぎしようぜ!」的な脳天気チューンを持ってくる。松浦だったり藤本美貴の場合は年末のリリースでは毎回ミディアムスロウ・ナンバーを用意してきましたが、あくまで後藤は後藤、そのシステムに則る必要はないわけです。「最も後藤らしいやり方で最高の1年を締め括る」‥‥そういう意味では、本当にピッタリで、そしてもってこいの1曲だと思います。その代わり、今後の伏線ともいえるようなロッカバラードをカップリングに用意して、しっかりと彼女の今現在の実力まで見せつける。十分じゃないですか!

  売れる/売れないは別として、俺はこのシングル大好きですよ。2曲ともバランス取れてるし。俺の中ではかなり上位にランキングするシングルですね。

  ま、この "原色GAL 派手に行くべ!" で紅白に挑むとは思いませんけど、それでも‥‥おめでとうございます!ってことで。ねっ?



▼後藤真希『原色GAL 派手に行くべ!』
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投稿: 2003 11 27 01:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2003/11/25

the pillows『PENALTY LIFE』(2003)

  「あれっ、こんなもん!?」。それがthe pillows待望の新作を初めて聴いた時の感想でした。期待が大き過ぎたのか、それとも俺の耳がどうにかしちまったのか‥‥

  前作「Thank you, my twilight」が昨年を代表する大傑作だったし、先日リリースされたこの新作からの先行シングル「TERMINAL HEAVEN'S ROCK」も十分期待に応えてくれた楽曲だったんだけど‥‥どうにもこの「PENALTY LIFE」の第一印象は、地味。何か前作を通り越して再び「Smile」辺りにまで戻ってしまったかのような地味さだったのね。いや、悪くはないのよ。悪くはないんだけど、一発で唸ってしまうような衝撃度は皆無だったのね。シングルに収められてた3曲には少なからずそういった要素を感じていたんだけど‥‥あー、何か悪い方に空回りしてるんじゃないかな、考えすぎなんじゃないかな、とかいろいろと勝手に考えちゃいましたね。

  楽曲自体はどれも小粒でポップなロックチューンばかりで、それはそれで問題ないんですよ。多分1曲1曲を取り出して聴いてみたら、絶対にシングル「TERMINAL HEAVEN'S ROCK」を聴いた時と同じような反応をすると思うし。けど、これが1枚のアルバム、11曲入りの作品集として聴いてみた時、どうしてもシングルの時に感じたようなドキドキ感が体感できなくて。何故なんでしょうね? 絶対に悪い作品集だとは思わないし、曲も全然悪いとは思わないのに‥‥

  自分自身の心境とか今現在聴いてる音楽の趣味とかも多少影響してるとはいえ‥‥いや、それでもpillowsの新作には大変期待してたんですよ? 来年行われる単独ライヴにも足を運ぶつもりでいたし。あー何でこんなことになっちゃったのかなぁ‥‥って。

  もし俺自身に理由がないのなら‥‥pillows側に変化があったってことですよね。で、これも勝手に想像で書いちゃうんですが‥‥このアルバムを制作するに当たって、相当苦労したんじゃなかろうか?なんて思うのですよ。このアルバムを聴いた時に「あれっ、こんなもん!?」って思ったのと同時に「考えすぎじゃねぇの?」とも感じたんですね。多分、前作を踏まえてこの新作の制作に当たったと思うんですが‥‥煮詰まっちゃったのかなぁ、と。「pillowsとして平均点以上の楽曲」を作ることは難なく出来たと思うんですよ。現に前作のツアー中に、このアルバムにも収められてる "TERMINAL HEAVEN'S ROCK" と "Moon Marguerite" の2曲を制作、ライヴで発表してたわけですし。このアルバムで聴いてもこれら2曲はやっぱり素晴らしいと思うし、勿論それ以外の楽曲もこれら2曲に勝るとも劣らない内容なわけですし。ところが、これがアルバムとなると前作を超えられなかった。何故だろう? これがpillowsとしての限界なのか、それとも‥‥いや、前作が特別過ぎたんだ、なんて考え方もあると思うんですね。波に上手く乗れたんだ、と。で、その波に再び乗ろうとした結果、いろいろ考えすぎたのかな、と。

  アルバムを通して聴くと、何となく曲順に難があるような気がするんですね。それとアレンジ。非常にロックしてるんですが、ちょっとソフトコーティングしてない!?って感じたんですよ、今回の楽曲。メロが前作以上にポップになってるように感じられるし、それに対応したアレンジだったと思うんですが、どうにもそれが良くなかったんじゃないか、と‥‥いや、その辺はもう俺個人の趣味の問題ですからね。

  何度も聴いているうちにドンドン気に入っていく‥‥というのもあるんですが、これってもしかして「自分が聴き慣れただけなんじゃないの?」なんて穿った見方もしてしまいたくなる程、このアルバムに対するテンションが下がり気味なんですよ、俺。当然聴く頻度も前作程じゃないし‥‥「iTunes」に落として曲単位でシャッフルして聴くことは今後多々あると思うんですが‥‥う~ん‥‥

  まさかpillowsの新作に対して、こんなにキツいことを書こうことになろうとは‥‥ファンの皆さん、期待に応えられなくてゴメンナサイ。けどこれが偽らざる俺の感想なんですわ。pillowsを好きだからこそ、愛してるからこそ、正直に書いておこうと思います。大して気に入ってもないのに「今回もサイコーでしたねっ!」なんて嘘は書けないですからね。それに、数ヶ月経ったらここに書いたことを否定する程に気に入るようになってるかもしれないし。

  そうそう、ライヴにはちゃんと行こうと思ってますよ。ライヴで聴いたらまた感想が判るかもしれないしね。いや、絶対にそうだと信じてるし!

  最後に‥‥俺がこのアルバムで一番気に入ったのが、実はシークレットトラックのあの曲だったってことは、ここだけの秘密ですよ。「本編気に入ってないのかよ!」ってツッコミはナシの方向でねっ。



▼the pillows『PENALTY LIFE』
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投稿: 2003 11 25 12:00 午前 [2003年の作品, pillows, the] | 固定リンク

2003/11/22

ミニハムず(ミニモニ。)/プリンちゃん(安倍なつみ)『ミラクルルン グランプリン!/ピ~ヒャラ小唄』(2003)

ここ数年、年末の恒例行事となっているアニメ『とっとこハム太郎』映画版へのミニモニ。参加。映画自体にも「ミニハムず」というキャラクターで出演し、更にはその主題歌まで務めるようになり今回で3回目。前作ではモーニング娘。のメンバーも参加していたが、今回はミニモニ。の他に安倍なつみがソロで参加していることもあり、新作映画用に企画された「ミニハムず」名義のシングルにはその安倍のソロ曲(映画でのキャラクターとなる「プリンちゃん」名義だが)も同時収録され、ダブルA面的なスプリットシングルとなっています。

まぁアニメ映画用の企画盤だし……ってことで軽く流そうと思ってたんですが、ミニモニ。の方は相変わらず面白いと思い、安倍の方には「……??」と疑問を感じたので、思い切って取り上げてみることにしました。取り上げたら取り上げたで、一部の属性の方々は喜ぶでしょうしね!

まず「ミニハムず」の方。「ミラクルルン グランプリン!」というGS風味のコミックソング調……といったイメージの小曲。比較的初期のミニモニ。のイメージに近いかな?というのが第一印象。それとメロン記念日のシングル『チャンス of LOVE』のカップリングだった「夏」を思い出しましたね、曲調から。ちょっとオペラっぽいファルセットコーラスが入る辺りは従来のつんく♂らしさを感じるし、冒頭部でのラップとも呼べないような語り口調の歌やバカバカしいまでの歌詞、所謂「声ネタ」満載な点等、たった3分の楽曲の中にいろんな要素が詰まったという意味では正しく「従来のミニモニ。らしさ」を上手く表現した完成度かと思います。アレンジを担当した高橋諭一氏もさすが勝手が判ってるようですね。思いっきりやってくれてます、いろんな意味で。歌に関してですが、加護や辻も前作「CRAZY ABOUT YOU」で聴けたような大人っぽいイメージ皆無だし、高橋に関しては存在感が希釈。ミカが唯一奮闘してるようですが、個人が目立つというよりは「4人でミニモニ。」的なイメージが強いかも。ちょっと歌ってる姿がイメージできないんだけど(ま、ミニハムず名義の曲がステージで歌われることはまずないですからね、これまでも)、ちょっと観てみたい気がするわ、これに関しては。

で、そういった好印象なミニモニ。とは相反して、安倍の方の曲「ピ~ヒャラ小唄」なんですが……アレンジャーが小西貴雄という時点で嫌な予感がしたんですが‥‥やはりですか。あのチープなシンセ音、チープな打ち込み、バラード調……「22歳の私」の流れを組む1曲といっていいでしょうね。ただこれまでと違う点がひとつ。タイトルの「ピ~ヒャラ」にひっかけてか、ピッコロが使われていたり、その他にも弦楽器としてバラライカやマンドリンが導入されていて、ちょっとだけ「生」っぽさが加わってます。これまで安倍がメイン(あるいはソロ)を取ってきた曲をみてみると、モーニング娘。での「ふるさと」や「22歳の私」といった打ち込みメインのスローナンバーと、「せんこう花火」「トウモロコシと空と風」といった生バンド(生楽器)主体のアップテンポナンバーに二分されると思うのですが……この「ピ~ヒャラ小唄」の場合、全体としての印象は前者なんですが、生楽器を積極的に導入している点においては後者の要素もあるんですよね。

肝心の曲ですが……可もなく不可もなくといった印象。悪くはないけど、特別良くもない。前回の「22歳の私」の場合は曲としてはそこまで最高というわけじゃないけど(という意味では今回と一緒)、「ソロデビューシングル」で「卒業発表後」という要素が強く(俺の感情に)影響して、ご祝儀的に評価を高めに下しましたが‥‥今回の場合はちょっと……という気がします。確かに企画モノ、映画のシーンに合った曲を作り歌ったという観点からみれば全然問題ないわけなんですが、これを「安倍なつみのソロ活動」としてみた場合、やはり評価が厳しくなると思うんですね。特に曲がね……安倍がしっとりとしたバラードを歌う姿は確かに観ていて(聴いていて)気持ちいいですが、それにしてもメロディーが穏やかすぎて、例えば「ふるさと」みたいな盛り上がりに欠ける、とかいろいろ不満なあるわけですよ、個人的には。安倍は悪くないんだけど……どうもつんく♂は安倍に対してある種のパブリック・イメージを植え付けようとしてる気がするんだよね。そういうの、後藤真希の時に失敗してるわけだから、全然必要ない要素だと思うんですけどね……まぁ安倍自身が「モーニング娘。そのもの」というイメージがこれまでは強かったわけですから、それとは違ったイメージを大衆に持たせようという気持ちは判るんですが……俺だけじゃなくて、多くのファンが「せんこう花火」とか「トウモロコシと空と風」とか、それこそ『FACTORY』で歌ったブルーハーツ・ナンバーのアコースティック調とか、そういった要素を求めてるんですよ。これ読んでたら寺田さん、今一度考え直した方がいいですよ、マジで。彼女の歌手としての才能をわざわざ潰すような真似だけは止めてください、ホントに。

というわけで……ミニモニ。のシングルなはずなのに、気づけば安倍に大半を注ぎ込んでしまったわけですが。ま、それだけ俺は彼女の今後に期待してるってことですよ。実力/才能共に備えたシンガーだと思ってますからね、ええ。



▼ミニハムず(ミニモニ。)/プリンちゃん(安倍なつみ)「ミラクルルン グランプリン!/ピ~ヒャラ小唄」
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投稿: 2003 11 22 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, ミニモニ。, 安倍なつみ] | 固定リンク

2003/11/19

Mr.Children『掌 / くるみ』(2003)

  この9月に "タガタメ" というラジオでしか聴けない新曲を発表したMr.Children。CD音源としての新曲は昨年末の "HERO" 以来、約11ヶ月振り。メディアにも少しずつ露出が増えていき、いよいよテレビの歌番組にも登場するというし、ゆっくりですが順調に「転がり」始めているようですね。

  今回は初の両A面シングル。タイプの違う2曲を敢えて両方ともリーダートラックとして選び、それぞれにPVまで制作。しかもそのPVがCD-EXTRAとして2曲分収録されているんだから、ホント豪華。DVDというフォーマットを選ばずに敢えて「エンハンスド仕様」にした辺り、何となく『今の風潮』に対する主張のような気が‥‥ってのは深読みし過ぎでしょうか。

  そうそう、これまでうちでやってきたミスチル関連のレビュー。某雑誌みたいな深読みばかりでしたが、今回はそれを止めようと思います。面白がってくれてる人が少なからずいるのは知ってるんですが、今の俺にはああいうのは書けません。いや、書きたくないんです。この先とか過去とか今はどうでもよく(本当はよくないけど)、ただ目の前にあるこの2曲とだけ触れ合っていたい。そう強く思うんですよ。ああいうのは俺よりもっと上手く書ける人が沢山いるだろうから、そういう人達にお任せします。

  さてさて、本題に入りましょう。まず1曲目の "掌"。「攻撃的なロックチューン」という話を聞いていましたが、実際にはそんな攻撃的な曲というわけではなく、ミドルテンポで心地よい跳ね気味なリズムを持つポップロックといった印象。アレンジ的にも "ニシエヒガシエ" 以降の流れを組むもので、スティングとかU2辺りを彷彿させる色合いかな。サビの「ひとつにならなくていいよ」という歌詞が非常に印象的な、いろんな意味で「ミスチルらしい」‥‥いや、「桜井和寿らしい」楽曲に仕上がっています。最初聴いた時は幾分地味な印象を受け、「これ、シングルっていうよりアルバム曲だよな‥‥」と思ったりもしたんですが、もしかしたら今のミスチル/桜井がこういったモードなのかもしれませんね。

  2曲目の "くるみ" はこれまた彼等らしいバラードナンバー。これもシングルにするには地味過ぎて、かといってカップリングにするにはよく出来すぎてる1曲で、やっぱりアルバムの5曲目とか8曲目辺りに登場しそうなタイプの曲かな、というのが第一印象。勿論悪い意味ではなくてね。使われているシンセやアコーディオン、ストリングスといった音色が「従来のミスチルらしさ」を醸し出しているので、何となく懐かしい香りもしつつ、それでいてずっと大人な「色気」も感じる。これは「IT'S A WONDERFUL WORLD」にも通ずる要素であるんだけど、ここで聴ける2曲はその前作ともちょっと違った色合いが見え隠れする。勿論それは成長なんでしょうけど、それだけじゃない気もするし。

  2曲に共通して言えるのは、「IT'S A WONDERFUL WORLD」周辺のシングル曲と比べて、まず第一印象が「地味」に感じられるという点。所謂シングル特有の「キラーチューン」的側面が完全になりを潜め、もっと「深さ」を追求してるように思えますね。さっき「成長」と書きましたが、これは『進化』というよりも『深化』といった方が近いかもしれませんね。Mr.Childrenを総括しつつ追求していったのが「IT'S A WONDERFUL WORLD」だとしたら、現在制作されているアルバムは更に重心の低い作風になるんじゃないのかな‥‥という気がしますね、このシングル2曲や "タガタメ" を聴いてしまうと。振り幅が非常に大きかった前作に対し、トーンは同じなのにいろんな形をしてるような‥‥そんな新作が期待できるんじゃないでしょうか? そういう意味では俺、「Q」に比較的近い作品が誕生するんじゃないかな、と読んでるんですが‥‥

  あっ、いけね。深読みしないとか最初に宣言したのに、結局調子に乗ってやっちゃったよ。まぁいいか、いつものことだし。

  アルバムが来年の早い時期にリリースされるとは思いますが‥‥個人的にもう1枚、シングルが欲しい気がします。上に書いたような「同じトーンで奏でる異形の楽曲」をもうワン・パターン欲しいかな、と。まぁあんまり既出曲が増えると、アルバム聴いた時の驚きが少なくなるからなくてもいいような気もするけどね。

  今回のシングル、これまでミスチルをバカにしてきたような人にこそ聴いて欲しいかな、と思ってます。この正反対なようで1本筋の通った2曲の「従来のミスチルみたいだけど、それでいて新しいミスチル」を聴いて、どういう反応を示すのか‥‥ちょっと楽しみですね。



▼Mr.Children『掌 / くるみ』
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投稿: 2003 11 19 12:00 午前 [2003年の作品, Mr.Children] | 固定リンク

2003/11/18

DAVID BOWIE『REALITY』(2003)

ええ、今度の1月8日で57歳ですよ、デヴィッド・ボウイ翁は‥‥ったく、何なんだよ、このジイサマは‥‥通算26作目となるオリジナルアルバム「REALITY」。前作「HEATHEN」リリースからたったの15ヶ月しか経ってないっていうんだから、驚きというか何というか‥‥'70年代の『ベルリン3部作』と呼ばれるアルバムの内、「LOW」と「HEROES」の2枚がたった9ヶ月の間に作られたというのに何となく似てますよね。ただ大きな違いは、あの頃のボウイは30代で脂が乗りきった時期、そして今は還暦間近のジイサマという現実。ま、こればっかりはどうしようもないですけどね。特にこの2枚ってボウイのディスコブラフィーの中でも特殊且つ名盤と呼ばれることの多い作品ですし、それと比べること自体が間違ってるのは承知してるんですが、それでもこの「1年3ヶ月というインターバル」、しかも56歳のオヤジが成し遂げたという事実は称賛に値すると思うのですよ。

ご存じの通り、前作「HEATHEN」以降ボウイは再びトニー・ヴィスコンティと手を組んでアルバム制作に当たっています。当然今回の「REALITY」もヴィスコンティとの共同プロデュースなのですが‥‥これがね、悪くない。いや、いいんですよ。俺ね、周りの評価に反して'90年代の作品‥‥特にブライアン・イーノと共に制作した「OUTSIDE」と、ボウイなりの「インダストリアル」アルバムである「EARTHLINK」の2枚、大好きなんですよ。この人って結局、如何に周りの期待を裏切り続けるか、そしてそれが上手く機能するのか?って人だったわけでしょ。'70年代、少なくとも'80年代初頭まではそうあり続けたわけですよ。ところが「LET'S DANCE」での大成功以降、その成功を維持しようっていう魂胆が見え見えで、そういった冒険心が薄れていったように感じるんですね。確かに'80年代末にTIN MACHINEというバンドを組んでみたものの、話題性は十分ながらもやってる音楽は「LET'S DANCE」以降の延長線上でしたよね、良くも悪くも。で、「BLACK TIE WHITE NOISE」でちょっと持ち返しつつ、「OUTSIDE」と「EARTHLING」で完全に吹っ切れた‥‥と俺は解釈してたんですね。だからこそ、'96年の来日公演も楽しめたわけですよ。

でも、多くのボウイ・ファンからすると、完全に逆みたいなんですね。特に古くからのファンだと論外らしく‥‥頭硬いんじゃねぇの!?とか神経を疑ったものの、まぁ気持ちも判らないでもないんだけどね。実際、俺も'70年代のボウイを最も愛しているわけだし、やはりあの頃の幻影を追ってしまうわけですよ(リアルタイムで体験してないから、余計にね)。

'99年にリリースされた「HOURS...」というアルバムは、そういう意味では従来のボウイ・ファンが唸りそうな「地味渋ボウイ」を再現した、非常にアーティスティックで深い作品だったと思うんですが、どうしても決定打に欠けた1枚だったように思うんですね(個人的には好きですよ。一般論としての話ですからね)。で、「HEATHEN」‥‥ここでも「あと一歩」という感じだったんじゃないですかね、古き良き時代のボウイを求めるファンからすると。

そして短期間で登場したこの「REALITY」。俺はこれ、本当にいい意味での「開き直り」が感じられる作品集だと思うんですよ。だけど、決して下世話な感じがしない。深さという意味では「HOURS...」よりも深い。だけど派手さという意味ではここ数作で一番なんですね。アッパーでウルサイ曲があるってのもあるんですが、徹底的にバンドサウンドに拘って鳴らされる「音」がちゃんと主張してる。そういう意味で「派手」だと思うわけですよ。多分これは前作を制作してツアーも一緒に回ったメンツでの制作というのも大いに影響してるんでしょうね。それと楽曲の幅が前作よりも広がったという意味でも派手さを感じますね。シングルにもなった "New Killer Star" や "Looking For Water"、"Reality" のような攻めの曲もあれば、ジャズかと錯覚する "The Loneliest Guy" や "Bring Me The Disco King" という地味目な曲もある。そして "Pablo Picasso" や "Try Some, Buy Some" というようなカバー曲まである(前者がジョナサン・リッチマン、後者がジョージ・ハリスンの曲。日本盤には更にTHE KINKSの "Waterloo Sunset" がボーナストラックとして追加収録されています。個人的にはアルバムの流れを断ち切るかのようで蛇足に感じるんですけどね)。「HOURS...」や「HEATHEN」が全体的に統一されたトーンのアルバムだったのに対し、この「REALITY」ってもっと多彩で、そして明るいトーンのアルバムに感じられるんですよね、サウンドだけ聴いてると。

ところが、歌詞を読んでしまうと印象が一変します。というのも、このアルバムで歌われている新曲の殆どが「9・11」以降に書かれた曲‥‥ニューヨークに住むボウイにとって、いや、例えニューヨークに住んでいなかったとしても彼が(意識的にだろうが無意識にだろうが)そういった現実から影響を受けるのは必然であり、それが直接的表現ではなくても聴き手の我々は彼の歌からいろいろと感じ取っていくわけです。そしてそれは「REALITY」というアルバムタイトルに端的に表れているのではないでしょうか。

そういったポリティカルな側面がこのアルバムをより「強い」ものにしてるのかもしれませんね。だからこそボウイの歌やひとつひとつの「音」が「派手」に鳴っている。そして我々は(その歌詞の意味が判ろうが判るまいが)新しいボウイに惹かれていく。取っ掛かりはそれで十分じゃないでしょうか?

いよいよ正式発表になったボウイ8年振りの来日公演。前回は布袋寅泰と武道館で共演したんだっけ。さてさて、今回はどういったステージを見せてくれるのか‥‥そしてこの新曲達をどんな風に鳴らすのか。非常に楽しみですね!



▼DAVID BOWIE『REALITY』
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投稿: 2003 11 18 07:44 午前 [2003年の作品, David Bowie] | 固定リンク

2003/11/14

METALLICA『St.Anger (EP)』(2003)

来日記念ってことで、シングルも取り上げておきましょうか、ってことでMETALLICAです。最新アルバム『St.Anger』のリリースから遅れること1ヶ月、今年の7月上旬にリカットされたのがこのシングル「St.Anger」。丁度日本盤は来日が発表になった頃だったのかな? だからなのか、CD帯に「来日決定記念盤」って書いてあるんだよね。ま、そんなのこじつけなのはみんな知ってると思いますが、とりあえず短めにいろいろ書いてみたいと思います。

ご存じの通り、海外でシングルをリリースする場合、タイトルトラックだけ一緒でカップリング曲だけ何枚かに振り分ける「CD-1&2」形式みたいなのが主流になってますが、METALLICAの場合も『LOAD』の頃からこの形式に則ってシングルCDを2枚、場合によってはそこに7インチのアナログ盤も加えてリリースしちゃったりしてます。90年代はそこまでコアな追っかけ方をしてこなかったので内容がどう違うのかは判りませんが(詳しくはオフィシャルサイトのディスコグラフィーをご覧になるのが一番かと)、とにかく今回も海外ではシングルCDが2枚と7インチ1枚の計3フォーマットでのリリースとなっています。が、日本の場合はそんな阿漕な商売はせず、ちゃんと1枚にまとめてリリースしてくれるんですから本当に有り難いものですね。

というわけで、今回はその日本盤を中心に話を進めていきますのでご承知ください。

まず今回、カップリングには全てカバー曲が用意されています。しかも全部RAMONES。これは恐らく今年2月にリリースされたRAMONESのトリビュートアルバム用に、試しに数曲レコーディングされたんだと思います。丁度アルバム制作期間中だったこともあって、リラックスするには良い企画だったんじゃないでしょうか。いつも以上にまったり気味のMETALLICAが堪能できますし。

プロデュース……というかいつもの如く「NOT VERY PRODUCED」ということで、アルバム同様ボブ・ロックが担当しています。日本盤にはレコーディング・クレジットが載っているんですが、全部タイトル曲「St.Anger」と同じ(エンジニア等が)、レコーディング時期も2002年12月となっています。トリビュート盤に採用された「53rd & 3rd」は残念ながらシングルには入っておらず、代わりにそのトリビュート盤のタイトルにもなった「We're A Happy Family」や「Commando」、「Today Your Love, Tomorrow The World」、「Now I Wanna Sniff Some Glue」の4曲が収録されています。また日本盤には収録されませんでしたが、UK盤のディスク2には「Cretin Hot」が収録されています。ということで、今回のトリビュート盤に際し、METALLICAは6曲ものRAMONESナンバーを録音したことになります。まぁ6曲とはいっても全部カバーというよりはコピーに近い代物ですし、全曲実質2分前後の短い曲なので、本当に肩の力を抜いて、1日でドバーッと録音してしまったのかもしれませんね。

シングルのタイトルトラック「St.Anger」については、今更何も言うことはありません。完璧すぎる名曲。未だ初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。間違いなく今年一番の衝撃でしたしね。そんな緊張感漲るナンバーの後に、ユルユルなパンクカバー(コピー)が約8分(「St.Anger」1曲分と同じ長さ!)が続く辺りが、またMETALLICAらしいというか‥‥これは「GARAGE DAYS RE-RE-REVISITED」ではなく、日本盤ブックレット内に書かれている通り「GARBAGE DAYS REVISITED」と呼んだ方が正しいですね。サウンド自体は間違いなく今のMETALLICAなんだけど……いや、これはこれで好きですよ。曲はもう名曲揃いなわけで……ただね……これまでMETALLICAのパンクカバーというと、MISFITSとかANTI NOWHERE LEAGUEとかDISCHARGEみたいなコアなバンドばかりだったからね、ここまでメジャーで直球なカバーは意外というか……笑っちゃうんですよね、聴いてて。面白いんだけどさ。ユルすぎよマジで。

そういえば現在行われている来日公演、13日の大阪ではこのEPから「Commando」が演奏されたそうですね。確かに、ここから何かやるとしたら「Commando」か「We're A Happy Family」くらいだよなぁ。メジャー度からいったら後者なんだろうけどさ。まぁとにかくアレです。このシングルは新作からファンになった人というよりも、METALLICAの音源なら何でも持ってないと気が済まないって人とか、彼等のカバーソングなら全部聴いてみたいっていう人にはうってつけなんじゃないでしょうか。あと『GARAGE INC.』での彼等が気に入ったって人もね。



▼METALLICA『St.Anger (EP)』
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投稿: 2003 11 14 05:00 午前 [2003年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/11/13

中島美嘉『LOVE』(2003)

やぁ、今年もこの時期が来たんだね!

そう、我らが中島美嘉サマのニューアルバムのリリースなのだよ君ぃ!

いやー長かった!

ソニーが今年に入ってから導入したレーベルうんたらっていうコピーコントロールCDのお陰で、
一切彼女のシングルとか手を出せなかったからね!

けど大丈夫、全部職場の有線で嫌になる程聴いたからさっ!

凄いよねこのアルバム!

今年出したシングル全部入ってるんだよっ!

しかも去年の暮れに出た限定ミニアルバムの曲も全部入ってるし!

正にファーストアルバム「TRUE」以降の集大成!

ベスト盤って感じだよね!

っていうか毎回アルバムがベスト盤化してるよね!

そこが美嘉タンの凄いところだよねっ!!!



















  ‥‥我ながら書いてて気持ち悪くなってきましたが、まぁそんな感じですよ(どんなだよ)。前作から約1年2ヶ月振りのセカンドアルバム、「LOVE」。正にタイトル通り、いろんな愛の形を歌った楽曲で綴られた作品集。全13曲でトータルランニング72分強。レーベルゲートCDだったら間違いなくセカンドセッションが入らないんじゃないの?って位に豪華。しかも13曲中、シングル等の既発曲が10曲。中には限定シングルとかもあったけど、毎回ご丁寧にシングルにまで手を出してる人にはかなり物足りない内容になってるかと思われますが、そもそもCCCDなら絶対に買わない、アルバムまで待つ!と約1年間我慢してきた俺みたいな人からすると、ホントに有り難くて有り難くて。やっぱり俺的にはベスト盤というよりかは「待ちに待ったセカンドアルバム」って要素の方が強いかな。

  今回このアルバムの制作に携わったメンツもかなりのもので、例えば "Love Addict" の作曲&プロデュースにはMONDO GROSSOの大沢伸一が当たっているし、"aroma" の作曲は五島良子だし、"You send me love" の作曲はNONA REEVESの西寺郷太だし、"Be in Silence" のストリングス・アレンジはJazztronikだし、"Venus in The Dark" のギターは何と外道の加納秀人だし! 勿論それ以外にも前作から参加してるようなメンツが制作に携わってたりするんで、楽曲やバックトラックの面では何ら心配はなく、逆に「1枚のアルバムにこれだけいろんなジャンルのミュージシャンが参加しちゃって、こんなに豪華でいいの!?」とこっちが心配してしまう程。

  曲のタイプも本当に多彩。アシッドハウス風の "Venus in The Dark" が頭から来たかと思えば、いきなりスイングジャズ風の "Love Addict" もある、オリジナル・ラヴの名曲中の名曲、"接吻" のラヴァーズロック調カバーまであるんだから。ホール&オーツみたいなブルーアイド・ソウル風 "You send me love" もあるし、アルバムの柱にもなっている3大バラード・シングル "雪の華"、"FIND THE WAY"、"愛してる" もある‥‥ホント、何でもあり。前作にあったようなアーバンなR&B風ポップスは完全に後退し、中島本人が好きだと公言しているジャズ‥‥そのものではないものの、その要素をふんだんに取り入れて、それを高純度なポップスとして1曲1曲の完成度が以上に高い。そりゃ約半分がシングルのタイトル曲だし、手抜きはないわな普通。それにしてもねぇ‥‥ここまで完成度が高い曲が13曲も、しかも70分強も入ってるわけでしょ。普通なら聴いてて窮屈さを感じてしまうよね‥‥けど、これが意外にも安心感を持ったまま最後まで聴けてしまう。それは間違いなく中島美嘉の「歌」によるものですよね。これがありがちな「ディーヴァ」系シンガーだったら、絶対に70分も聴いてられないと思うのね。個人的には濃すぎて50分でも長すぎると思うくらいだから。けど、これが中島の場合だとサラリと聴けてしまう。派手に歌い上げるでもなく、押しが強いわけでもなく、かといって無個性というわけではない。「ディーヴァ」系と比べて孤高さとか神々しさみたいなものは皆無だし、むしろ本当に自然体で我々に最も近い存在感を持つ。勿論そこは「選ばれた」人間。歌い始めれば彼女なりのオーラを発するんだけど‥‥手軽に楽しめる感が非常に強い。その辺が彼女が嫌味なく親しまれる理由なのかな、と。ヴィジュアル要素が皆無なCD音源だけをじっくり聴いてみて、改めてそういう結論に達したわけですよ。

  ま、能書きはどうでもいいです。要は楽しめるか、楽しめないか。好きか、嫌いか。常にどちらかなわけで、俺にとっては常にカーステレオや家のコンポ、そしてPCの前で鳴ってる音なわけですから‥‥言うまでもないでしょ? さぁ、これからまた1年間、このアルバムに長いことお世話になります‥‥残念なのは来年1月末から、彼女が所属するソニーがアルバムにもレーベルゲートCD(CCCD)を全面導入することです‥‥次のアルバムは来年末か、それ以降か‥‥今回みたいに70分以上ある作品集ならギリギリ逃れられるかなぁ‥‥という気もしますが。残念でなりません。

  さてさて。こうなると後は‥‥彼女の歌を生で聴いてみたいな、と。アルバム2枚出して、しかもそれらがここまで素晴らしいものなんですから、ライヴが楽しくないわけがない。昨年のライヴは日程的に厳しいこともあって行けませんでしたが、今回は結構大規模のツアーをやるようなので、チャンスがあれば是非足を運んでみたいと思ってます。



▼中島美嘉『LOVE』
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投稿: 2003 11 13 12:00 午前 [2003年の作品, 中島美嘉] | 固定リンク

2003/11/12

カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『先輩 ~LOVE AGAIN~』(2003)

  カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)名義になって早くも2枚目のシングルとなる今回、前作 "浮気なハニーパイ" から約4ヶ月で届いたこの "先輩 ~LOVE AGAIN~" は珍しく3曲も入ってるマキシシングルとしてのリリース。内訳は新曲が2曲("先輩 ~LOVE AGAIN~"、"何が愛かわからないけど…")と太陽とシスコムーンの名曲 "丸い太陽" のカン紺藤バージョン。通常より300円高い価格設定ですが、これなら満足のいく内容ではないでしょうか。というのも、どの曲も粒ぞろいで、特にタイトルトラックは‥‥今年の5曲の中に食い込みそうな程俺の心を揺さぶっているんですから。

  タイトル曲 "先輩 ~LOVE AGAIN~" はつんく♂の楽曲で、アレンジには平田祥一郎という始めて名前を目にする人が当たっています。曲調としてはR&Bテイストをほんのり匂わせつつ、実はメロがしっかりした純歌謡曲というもの。あくまでこれまでの「つんく♂歌謡」の範疇で語られるべき作品ではあるんですが、これがなんの、かなりツボなんですよ。タイプとしては藤本美貴がソロ時代にリリースした "ボーイフレンド" 路線。しかし、こちらの方がもっとゆったりしたノリで、若干地味かな、と。しかしサビへの転調やそのサビのメロ等はここ最近のつんく♂作品のノリとはちょっと違うような気が。つうかそこがいいんですが、この曲の場合。全体的な雰囲気としてこれからの時期に合いそうなノリ。つんく♂って毎年、こういったミディアムスロウのマイナーチューンをこの時期にぶつけてきますよね?('01年は松浦亜弥 "100回のKISS"、'02年は先の "ボーイフレンド")で、そういうこともあってか、どうしても藤本に用意された曲なのかな‥‥なんて穿った見方をしてしまいそうで。けど、要所要所で聴ける里田やあさみの歌声もいい味を出してると思うし、みうなに関してはまだ2枚目ってこともあってやっぱりこれからかなぁ‥‥という気も。そして‥‥紺野がいい味出してるんですわ。紺野の掠れ気味の声で危うい歌声がまたこういったミディアムスロウのマイナーチューンに合ってるんですわ。そういえば モーニング娘。"Do it! Now" でもいい味出してたしね。

  中間部に登場する藤本のセリフに関しては‥‥ファンなので正視できません。なのでコメントはパス!

  2曲目、"丸い太陽" は上にも書いたように太陽とシスコムーンのヒット曲。当然ながら「2003Ver.」ってことで、バックトラックは新しくなっています。アレンジャーは土肥真生という人。原曲がもっとソウルフルなポップソングといったイメージが強かったのに対し、こちらは使われているサウンドひとつひとつにしても「軽さ」が目立ち、「冬」って面を強調してるかな‥‥という音色も数多く使われていますよね。そういった意味で、真冬の軽快なポップチューンといった新しい服を着せられたイメージ‥‥かな? 歌に関しては‥‥絶対に原曲のイメージが強いし、「前の方が良かった」っていう人が多いのは判ってて敢えて言うけど、これはこれでいいんじゃないかと思います。ティーンエイジャーが歌うことで原曲よりも若々しくて軽やかなイメージが増長したしね。コーラスに加わった本家の稲葉貴子も心中複雑というよりは「こうやって自分達の歌が後輩達に歌い継がれている」現実に喜んでいるんじゃないでしょうか?

  3曲目、"何が愛がわからないけど…"。実は最初にブックレットに目を通さずに3曲続けて聴いた時、この曲が最も「従来のカントリー娘。」らしいな、と感じてたんですよ。サウンドやアレンジ自体は現代的だし、1枚のマキシシングルとして他の2曲とのトータル性を強く感じたのですが‥‥どうしてでしょうね? メロの運び方がりんね在籍時のカントリー娘。っぽいと感じたからでしょうかね? つんく♂にしては古めかしい、いいメロディだなぁ‥‥と思ってたらこれ、たいせー作曲なんですね! ビックリした。けどさ、たいせーだから悪いとは思わなかったのね。逆に‥‥先にクレジットを見てから曲を聴いていたら、こんな風に純粋に曲と向き合うことができなかったかもね。どうしてもイメージ悪いからさ、たいせーの書く曲って。

  たいせーは作曲のみで、作詞・プロデュースは勿論つんく♂、アレンジはメロン記念日 "赤いフリージア" や先日のああ! "FIRST KISS" 等を手掛けている湯浅公一。俺内でかなりのヒット率が高いアレンジャーですね。で、これも当たりだったかな、と。バックトラックには高橋諭一もギターで参加してるんで、余計に古き良き時代を思い出しちゃったのかなぁ‥‥もしかしたらこの曲って市井紗耶香に用意した曲だったのかもしれないけど‥‥やはりプロデューサーにしろ作詞家にしろアレンジャーにしろ、優秀な人が関われば関わる程、元のメロディが持った良さ以上の魅力を持ち得るものなのでしょうか‥‥たいせーにしてもまさかこんな風に俺に褒められてるなんて思ってもみないでしょうね!

  というわけで、相変わらずベタ褒め状態なんですが‥‥「カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)」というユニットとして見た場合、まだシングル2枚ですし方向性も両極端、これといったカン紺藤らしい魅力というのはあと一歩といった印象なんですが、そういうのを抜きにしても "先輩 ~LOVE AGAIN~" は素晴らしいなぁ、と。これ、仮に藤本のソロとしてリリースしてたら‥‥それなりに高く評価してたでしょうけど‥‥ここまでの評価はしなかったかもなぁ。結局、あさみや里田、みうな、そして紺野の個性が加わったことで藤本にない部分をフォローしている‥‥だからこその魅力なのかなぁ、と。ま、それは藤本サイドからのモノの見方ですけどね。カントリー娘。サイドから見たら、またこれはこれで悩みの種なんでしょうけどね‥‥

  あー、今年は5曲選ぶの、本当に大変そうだなぁ‥‥。



▼カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『先輩 ~LOVE AGAIN~』
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投稿: 2003 11 12 12:00 午前 [2003年の作品, カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2003/11/06

モーニング娘。『Go Girl ~恋のヴィクトリー~』(2003)

  いきなりこのサブタイトルを見て、驚く人が多いんじゃないでしょうか。けど早とちりしないで、ちゃんと最後まで読んでくださいね‥‥

  モーニング娘。通算20枚目のシングルは、初期メンバーである安倍なつみを含む15人編成での、恐らく最後になるであろう1枚。タイトル曲 "Go Girl ~恋のヴィクトリー~" は近々開催されるハロプロ運動会でのフットサルと連動した(また同時期に松浦亜弥主演のフットサルをテーマとしたドラマも放送)、ある種「企画モノ」と呼ばれても仕方ないかな‥‥というような楽曲。ま、内容自体はフットサルとあんまり関係ないんですけどね。カップリング曲 "恋 ING" 共々作詞・作曲・プロデュースはつんく♂、アレンジは両曲共にお馴染み鈴木Daichi秀行。まぁファンなら一聴してそれと判るアレンジなので、今更説明するまでもないですが‥‥

  本題に入る前に、各曲の簡単な説明を。タイトル曲 "Go Girl ~恋のヴィクトリー~" は各メンバーのソロパートが一切ない、最初から最後まで全員(パート毎に3~4人)でユニゾンで歌われる、「15人全員がセンター」なユーロビート調ダンスチューン。初めて聴いた時(10/5の横浜アリーナ)はもっと「レイヴ調」とか感じてたんだけど、完全に勘違い。あれは横浜アリーナという大会場で、大音量で体験したことによる影響かな、と。ライヴだともっと全体的にリバーブが強めに掛かってたような記憶があったし、更に低音もきいてた。けどこれがCDとなると、本当にスカスカなのね、良い意味でも悪い意味でも。確かに意図的に低音を強調して、ちょっと深めのリバーブをかけてあげると全体的に面白味が増すんだけどね。

  曲自体は悪いとは思わないよ。いや、第一印象はかなり悪かった。というより、全然印象に残らなかった。こうやってCDでのフルレングスで聴いてみると、何故印象に残らなかったのかが判った気がした‥‥メインとなるサビ(歌い出しのパートね)がライヴやテレビ等で歌われるショートバージョンだと、頭と最後にしか出てこないのね。ショートサイズだと「イントロ~サビ~Aメロ~Bメロ~間奏~Bメロ~サビ繰り返し~エンディング」という感じで、折角キャッチーなサビを持っていても殆ど反復されることがないので、そこまで頭に残らない。せめて間奏に行く前にもう1回このサビがあるだけでも全然違うんだけどね。個人的には "Mr.Moonlight~愛のビッグバンド" 以降のシングル曲ってショートサイズでは魅力が半減以下という傾向が強いと思ってるのね。それが上手く作用してくれればいいんだけど、今回に関しては(個人的には)最悪かな、と。

  そういうこともあって印象が悪かったタイトル曲とは相反して、カップリング曲 "恋 ING" ‥‥これがなかなかの佳曲で。「4th「いきまっしょい!」」 収録の "何にも言わずにI LOVE YOU" やさくら組の "晴れ 雨 のち スキ♡" の流れを組むバラードナンバーなんだけど‥‥悪い言い方をしてしまうと「さくら組のアウトテイク」かな、なんて気も。要するに、上記のようなバラード曲が気に入っている人なら間違いなく気に入る1曲だと。俺ですか? ええ、タイトル曲よりも気に入ってますよ。しかもこの曲って、メインを取ってるのが5期&6期メンバーなんですよね。高橋愛や藤本美貴、田中れいな辺りの声が目立ってますが、サビでのユニゾン以外はそういった「ゴロッキーズ」によって歌われているわけですよ。

  そうしたゴロッキーズによって歌われるこの曲、これがね、本当にいい感じなんですわ。新鮮というのもあるけど、それ以上に安心して聴いていられる。例えばここに4期が加わると‥‥個人的には苦手な部類に入る加護亜依の甘ったるい声や石川梨華による‥‥いや、止めておこう。そういった要素が加わることで確かに「モーニング娘。」らしくなるのかもしれないけど、俺は今回の冒険(ゴロッキーズがメイン)、評価したいと思います。


  ‥‥こんなもんでいいですか、曲解説は? というわけで‥‥ここからが本編。先に書いておきますが‥‥他人が書くことに対して「他者の意見」として冷静に受け止められないような人は、ハッキリ言ってこの先、読まない方がいいと思います。絶対に誤解すると思うんで。ここから先は‥‥俺個人の感想であり、妄想であり、そして身を切るような思いで綴るひとつのけじめです。


  この曲("Go Girl ~恋のヴィクトリー~")を最初に聴いた時、それはもう暗い気持ちになりました。けど「初見の印象が悪くても、CDでのクリア音源で聴けばまた印象も変わるだろう」と思い、とにかくリリースまでの1ヶ月、ネットで流出音源を拾うこともなく、静かに待つことにしました。

  しかし、リリースの数週前からテレビの歌番組への出演が始まり、意識的に観ないようにしていた俺も結局誘惑に負けて観て/聴いてしまうわけです。

  2度目、テレビで歌う姿を観て感じたこと。正直な気持ち/感想です。

  真面目な話、今この曲が
  「モーニング娘。のラストシングルです」
  と言われても、俺は信じてしまうよなぁ、と。

20枚目という「区切り」、敢えてソロパートやセンターポジションを設けない「15人によるユニゾン」、「モーニング娘。のマザーシップ」と例えられた安倍在籍時のラストシングル、何となく「地に足が着いた」ようなイメージ、等々‥‥そういった要素もあって、俺の中でこの曲が「モーニング娘。最後の曲」のように感じられたんです。

  これまでのモーニング娘。のシングル曲って(特に "LOVEマシーン" 以降)非常に振り幅の大きいものだったはずなんですよ。けどこの曲って彼女達特有の「過剰さ」が一切感じられない、「ド真ん中」にある曲なんですよね。良く言えば「親しみやすい/キワモノ要素が殆どない/キャッチー」、悪く言えば「毒がない/印象が薄い/聴き流せる」等(勿論この辺は個人の解釈ですからね)。少なくとも俺が彼女達に求めるのはそういった「過剰さ」‥‥KISS風に言えば『Larger Than Life』なわけですよ。

  この感覚こそが「今のモーニング娘。」なんだ、と言われてしまえばそれまでですし、何の反論もないんですが‥‥だからこそ、上に書いたような要素と相俟って「ああ、ラストシングルっぽいよな?」と思えてきたんですね。あの歌う姿やPVでの笑顔‥‥湿っぽいのが似合わない彼女達なりの、「モーニング娘。のお葬式」だな、と‥‥

  安倍なつみがモーニング娘。にとってどんなに偉大だったか、それは皆さんご存じの通り。現時点でまだ彼女は残っているので「安倍がいなくなったモーニング娘。」というのが想像つかないわけですが‥‥その片鱗を伺わせるのが、カップリング曲 "恋 ING" だったのかなぁ、と。初期メンバーや矢口真里、そして4期メンバーという今や誰もが思い浮かべることができる「モーニング娘。の顔」を敢えて外し、これからを支えていくであろう5期・6期にメインを取らせる‥‥もう後藤真希も保田圭もいない『モーニング娘。』。まだ飯田圭織や矢口は残っているものの‥‥やはり安倍の卒業はモーニング娘。に関わる全ての人々にとってひとつの節目であり、ひとつの区切りだと思うんですね。勿論、モーニング娘。自体はこの先もまだ続いていくでしょう。けど、少なくとも『モーニング娘。』はこのシングルで終わるんだなぁ‥‥と。そういった感慨深い想いが、テレビでこの曲を聴いた後からずっと付きまとっていたわけです。そしてこれを文章としてアップすることにずっと躊躇していたことも‥‥

  多分ここまで読んで、本気で怒っている人もいると思います。けど、これが俺の偽らざる気持ち。やはり「けじめ」として公開しておくべきだな、と判断してレビューにこの妄想ともいえる駄文を付け加えることにしました。

  さよなら、俺が大好きだった『モーニング娘。』。これからもずっと聴き続けるだろうけど、ここで一度ちゃんと言っておくよ。ありがとう。そして、さよなら‥‥。



▼モーニング娘。『Go Girl ~恋のヴィクトリー~』
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投稿: 2003 11 06 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2003/11/05

MOGWAI『HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE』(2003)

スコットランドの「ノイズ・テロリスト」、MOGWAIが'03年春にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム「HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE」は、ある種それまでの活動に一区切りつけるかのような集大成的内容になっているだけでなく、それまでとは違う「色合い」も見出すことができます。前作「ROCK ACTION」はそれまでの轟音ギターサウンドを後退させ、ムーディーで聴かせる曲(そう、前作ではアルバムの半数がボーカル入りだった)、穏やかな空気感を持った曲に支配されていたけど、今度のアルバムはどうだろう‥‥確かに前作の延長線上にある作風でもあり、尚かつ前作以上に轟音サウンドをちゃんと取り入れつつ(ま、そうはいっても初期程のうるささや狂気は感じないですけどね)、曲もコンパクトにまとまっていて(殆どの曲が4~5分台)、非常に聴きやすくて取っ付きやすいアルバムになっています。

新作では普通のボーカル・トラックは皆無。ボコーダー等を使ったコラージュ的なナンバーは幾つかありますが、とても歌モノと呼べる代物ではなく、完全に「楽器のひとつ」として機能しています。

穏やかさや緩さといった点では前作に近い印象を受けますが、ドラマチックに盛り上がっていく曲が多く、例えば静かにギターのアルペジオから始まり、徐々に徐々にとノイズギターが被さっていってクライマックスを迎える "Killing All The Flies" や、3本のギターが微妙に違ったフレーズ(アルペジオ)を絡ませていき、轟音ギターが加わった瞬間に何かが取り憑いたかのような激しさを見せる "Ratts Of The Capital" といった辺りは最も「MOGWAIらしさ」を感じることの出来る楽曲なのではないでしょうか。この辺りの楽曲は「COME ON DIE YOUNG」辺りを好むファンにもアピールする内容かと思いますし、また前作しか知らない人には(って、そういう人は少ないと思いますが)驚きに値する楽曲かもしれませんね。

前作を覆っていた独特な暗さ・冷たさが減退し、多少なりとも幸福感のようなものを感じられる‥‥正にタイトル通りかもしれませんが‥‥それもこのアルバムの特徴のひとつと言っていいでしょう。それは良い意味での「殺伐さ」の減退かもしれませんし、またある種のファンにとっては「緊張感の緩和」を意味するものかもしれません。確かに初期のような怒りに満ちた轟音サウンドも彼等の魅力であり、自分自身もそういった面に魅了されたひとりなのですが、前作の路線も好む自分としてはこの新作のサウンドもまた「MOGWAIらしさ」を存分に感じ、楽しむことが出来るものとして成り立っているんですよね。

例えば5曲目 "Boring Machine Disturbs Sleep" で聴ける、まるで賛美歌のような穏やかさ、そして7曲目 "Golden Porsche" で感じることのできる優しさ、等‥‥そういった「これからのMOWAI」的な新しい面もまた、こういう形で取り込まれると「ああ、何かMOGWAIらしいよな‥‥」と思えちゃうんですよね。決して違和感は感じることなく、ごく自然な形で変化・進化してるように感じられますよね。

バンドはこのアルバムを「作っていて楽しかった」そうです。そういった「純粋に音楽を楽しむ心」が、このタイトルに繋がっているのかもしれません。しかし、ここで俺はひとつ、わざと曲解をしてみようと思います。「ハッピーや人々の為の、ハッピーな曲」というタイトルの作品集ではあるんですが、これって逆説的に捉えちゃってもいいんじゃないかな、と‥‥つまり「決してハッピーになれない人達に向けた、現実的な曲達」‥‥そんな中からほんの一筋の光を見出すように、このアルバムには轟音や静寂に紛れて、ひと握りの幸福感も添えられている。全てがハッピーの塊じゃないからこそ、そういった人々にとってよりリアルに響く‥‥そういう類のアルバムなのかなぁ、と。深読みし過ぎだとは思いますが、この音の渦の中に身を委ねていると、自然とそういう気持ちになってくるんですよね‥‥



▼MOGWAI『HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE』
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投稿: 2003 11 05 02:50 午前 [2003年の作品, Mogwai] | 固定リンク

2003/11/04

Buffalo Daughter『Pshychic』(2003)

  Buffalo Daughter2年振り、通算4作目(でいいんだっけ?)のアルバム、「Pshychic」。これまでは「Grand Royal」からのリリースだったのですがレーベル自体が閉鎖してしまった為、今回から「V2 Records」からのリリースとなっております。しかもこのアルバム(日本盤ね)、通常のCD(CD-DA)とスーパーオーディオCD(SACD)とのハイブリッド盤となっていて、これまで同様普通のCDプレイヤーでも楽しめるし、更にSACDプレイヤーを持っていればもっと高音質のサウンドを体感することができるという代物でして。最近この手のディスクが増えていて面白いなぁとは思うんですが、いかんせんSACDプレイヤー自体を持ってないものでして、そのサウンドの凄さは未だに体感したことはありません。そもそもSACD自体(ハイブリッド盤含む)買うのが今回初めてでして。まぁ結局俺は普通のCDプレイヤーでしか聴けない環境なので、その辺に関しては「音がどう凄い!」等のコメントは出来ないわけでして‥‥

  前作「I」がポストロック色を強めながらもどこか「歌モノ」的雰囲気が強かったこともあり、個人的にはかなり気に入っていた1枚なんですが、この新作ではそういった「歌モノ」的要素はかなり後退、ひとつのフレーズ/リフを延々リピートするという意味では非常にテクノ/トランス的ではあるんですが、そこまで機械的でもなく、リズムの躍動感なんかは完全に「血の通った」リズムといった印象を受けるし‥‥ま、確かに「ポストロック」と呼んでしまえばそれまでなんですが、でも前作とは違ったものを強く感じるし。どっちかっていうと前々作「New Rock」に近いかな、なんて気もするし。多分ストレートなロック色が復活してる分、余計にそう感じるんでしょうね。

  歌にしても「聴かせる」というよりも、楽曲の中のひとつの「フレーズ」といったような使われ方をしてるのが新作の特徴のひとつなんじゃないですかね。そういった使い方は前作にもあったのですが、このアルバムの場合は全てにおいてそういう方向に進んでいるっていう点において、非常に興味深いものを感じますね。曲自体も5曲で51分、殆どの曲が10分近いものだし。そんな長尺な楽曲の中において歌の占める割合は1~2割といった程度。元々このバンド自体がそういった指向性(歌を聴かせる)が強いバンドではなかったわけだから、それはそれで納得いくんですが、それにしてもこの割り切りは正直凄いなと思います。声にしても大野由美子による高音とシュガー吉永による低音のユニゾンが相変わらず気持ちいいしね。

  圧巻なのはやはり、最後に収録された代表曲のひとつ、"303" のライヴテイクでしょうか。これ、20分以上もあるもの凄いテイクでして‥‥実験音楽とか前衛音楽とかいろいろ呼び方はあると思うんですが、素直にすげぇ!と言わざるを得ない1曲ですね。冒頭部での音のやり取りを聴いて引いてしまう人もいるかと思いますが、そのまま聴き続けていると段々リズムが入っていって、楽器がひとつひとつと増えていって、独特なグルーヴが生み出され‥‥いろいろ呼び方/呼び名はあると思うんだけど、ただひたすら凄くて圧倒的。なんていうか‥‥音の広がりも凄く気持ちいいし開放的だし、去年のフジロックで彼等を観たことを思い出す‥‥そんな気持ちいい音。それはライヴテイクのみならず、全体に言えることなんだけどね。

  聴くところによると、ここに収録された殆どの楽曲が一発録りだったとのこと。コンセプトとか決め事等を一切決めずにスタジオで音を出したものを、そのまま収めたのがこのアルバムらしい‥‥ってこれがホントに一発録り!? 楽器やってる人なら判ると思いますが‥‥有り得ねぇ‥‥やっぱ凄いとしか言いようがないわ。世界に出しても恥ずかしくない日本のバンドって沢山いるとは思うんですが、Buffalo Daughterは間違いなくその先頭に立つべき、誇るべき日本のバンドですよ。来年1月にはこのアルバム、海外でもリリースが決定しているそうなので(勿論「V2 Records」からね)、来年は海外での活動が増えることでしょう‥‥そして夏にはフェスで更にひと回りもふた回りも大きくなったBuffalo Daughterを期待したいところです。



▼Buffalo Daughter『Pshychic』
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投稿: 2003 11 04 12:36 午前 [2003年の作品, Buffalo Daughter] | 固定リンク

2003/11/01

INCUBUS『LIVE AT LOLLAPALOOZA 2003』(2003)

'90年代後半、ラウドロック・ブームの波に乗って登場したINCUBUS。そんな彼等も今や全米ナンバーワン・バンド。だからってわけじゃないだろうけど、PEARL JAM辺りがよくやってる「オフィシャル・ブートレッグ」を今回インターネット上でリリースしまして。ただINCUBUSの場合は、チャリティー名目でこのライヴ盤をリリースしたんだよね。流通にレコード会社を介さないことで、10ドル以下に抑えた値段設定になってたり、紙ジャケにCDが素で入ってる辺りも手作りっぽさがあるし。PEARL JAMのブートシリーズに習ってのことなんだろうね。

けどさ、音に関しては西新宿辺りで売ってるブート盤と比較にならない程、良いわけで。ま、アーティスト側が自ら出す「公式海賊盤」だもん、そりゃ音いいわな普通。ライヴレコーディング自体はどのライヴでも行ってるんだろうけど(後のチェック用に録音自体はしてると思いますよ)、ちゃんとミックスされてるように感じられるのね、このアルバムの音。バランスもいいし。リリースするためにしっかり金かけてる感じ。録って出しって感じじゃないところはまぁブートっぽくないかな、と思うけど。出すことに意義があったんでしょうね、彼等の場合。

タイトルの通り、今年全米をツアーした「ロラパルーザ」ツアーで録音されたものなんだけど、いつ・どこで録音されたものかは明記されていません。最初の数曲は途切れなく進んでいくんだけど、途中から曲毎にブツ切り状態で終わったり始まったりすることから、多分ロラパルーザ・ツアーの中でのベストテイクを集めたものなんでしょうね。ここには13曲、約60分のライヴ音源が入ってるんだけど、実際にはもっと長いのかもしれないよね。だってこのアルバムにはセカンドアルバム「MAKE YOURSELF」からの大ヒット曲 "Drive" が入ってないんだもん。基本的にはナンバーワン・アルバム「MORNING VIEW」からの曲が大半を占め、残りはセカンドからと、ファーストからも2曲。後は同じロラパルーザにも参加したJURASSIC 5のDJ等が参加したジャズ風のインストナンバー "Battlestar" と、俺が持ってる3枚のアルバムには入っていない曲 "Pistola"。バンドのヘヴィな側面ではなく、あくまで "Drive" 以降、「MORNING VIEW」でのエモーショナルな歌モノ路線を強調した選曲になってます。彼等のライヴってまだ一度も観たことがないんだけど‥‥昔「ファミリー・ヴァリューズ」ツアーの映像(ファーストリリース後)を観た時はもっとヘヴィロックしてたような気がするんだけど‥‥きっとサード以降の流れとして、こういうったナチュラルな路線で突き進み、そしてそれが支持されてるんだろうね。何となく納得できるもん、この音源聴いてると。

で、それまでどうしても釈然としなかった点があってね。それが上に書いたように‥‥ずっとヘヴィロックがソフトでエモーショナルな側面を取り入れていったバンドだと思ってたのよ。だから「MORNING VIEW」って‥‥いいアルバムなんだけど、どうにも馴染めないものがあったのよ。けどさ、このライヴ盤を聴くと‥‥見えてくるのね、彼等の出所が。時流に合わせてヘヴィな色合いやDJプレイを取り込んでいたけど、元々はナチュラルなアメリカンロック・バンドなんだなこいつら、って‥‥グランジの波に飲み込まれちゃったけど、正にPEARL JAMがそうであったようにね。

例えばさ‥‥プロデューサーが一緒だったからっていう理由じゃないけど、同じアメリカのバンドとしてR.E.M. 辺りとの共通点も見え隠れするのよ、そういったエモーショナルな曲を聴いてると。勿論、PJなんかの色も見えるし。それって要するに「アメリカ人による、オーソドックスなアメリカンロック」ってことなんじゃないかな、と。表現の手段や方法が違うだけで、根元にあるものはどれも一緒なんじゃないかな、という気がするのね。どうでしょう?

とかいいながらこのバンド、まだ全員20代前半くらいでしょ!? デビューした頃がハタチそこそこだったはずだからさ。きっと次のスタジオ盤(来年前半リリース予定)ってさ、その「MORNING VIEW」よりももっと地味で深いアルバムになるんじゃないかな、って気がするんだよね、このライヴ盤を聴いてると‥‥いやぁ‥‥けどそんなに急ぐ必要もないか。若いなら若いなりの表現方法があるはずだしね。

元々ジャズとかファンクからの影響が強いのもあるし、各メンバーがそういった音楽をやってたらしいから演奏にもそういったノリやテクニックを見出せるんだよね。ターンテーブル担当もただヒップホップ的なスクラッチをするだけじゃなくて、キーボーディストがいるような感じのエフェクト音を沢山取り入れてくれるので、音に広がりを感じるし。願わくばそういった要素を更に微妙に出しつつ、歌を前面に出した「広意義での」ラウドロックを産み続けて欲しいな‥‥と願っております。

機会があったら是非聴いてみてください。スタジオ盤とはまた違った彼等の「顔」を見つけることが出来ますから。



▼INCUBUS『LIVE AT LOLLAPALOOZA 2003』
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投稿: 2003 11 01 04:58 午前 [2003年の作品, Incubus] | 固定リンク

2003/10/30

GOING STEADY『青春時代』(2003)

今年1月に電撃解散した、GOING STEADY。その彼等が最後の置き土産として同年4月にリリースしたのが、この「青春時代」という3曲入りマキシシングル。リリース後すぐにチャートのトップ10入りしたので、記憶に残っている人も多いでしょう。

俺自身、彼等に対して何の思い入れもなく、まぁ普通に音源を楽しむといった程度の存在でした。この手のバンドって正直腐るほどいるだろうし、そんな中で彼等が10~20代の子達に支持されたというのは、そのサウンドよりも実直な歌詞だったのかなぁ‥‥とオッサンの俺は思うんですが。青すぎる程に青い。中学~高校生の頃、悶々としながらもちょっと深いことを考えてみたり、けどホントは夢見る夢子ちゃんだった、そんな誰もが通過する「あの時期」をそのまま真空パックしたかのような純度の高さ。だからこそ、聴き手によって反応は様々。ま、それこそが「音楽」なんだけどさ。

ゴイステの作品を取り上げようと思った時、アルバムではなく、このシングルを真っ先に思い付き、そして選んだ理由は単純明快。これが一番俺の中でしっくりきて、尚かつ共感できたから。楽曲的にいったら他のシングル曲の方が彼等らしいんだろうけど、何の思い入れもない俺にしてみればそんなの関係ない。響くか、響かないか。そのどちらかだから。

表題曲の「やりっぱなし」感‥‥というか、制作作業中に解散してしまったかのような「ヤリ逃げ」感がたまらないし、その歯が浮くような青臭さが充満する歌詞も含めて、素直に好きと言える。最初に聴いたのは仕事中に流れる有線でだったんだけど、気づいたら歌詞に耳が行って集中して聴いてたし。ある意味大したことは言ってないんだろう‥‥大人の観点からすればね‥‥けど、何かね‥‥こういう気持ちをまた取り戻したいな、という気持ちにはなった。そしてこの曲に恋した。ホントそれだけの曲。いや、それで十分だよね。

カップリングの "駆け抜けて性春" はライヴ音源なんだけど、とにかくその音の酷さが強烈で曲自体は殆ど記憶に残らないんだけど‥‥まぁそれもゴイステらしさなのかな? 去年のフジロックで観るチャンスはあったものの、結局スルーしたんだよね。ま、いつでも観れるだろう‥‥って思って。結局「次」はなかったわけだけど。けど特に惜しいとも思わないし。それでよかったのかもね。

もうひとつのカップリング曲 "惑星基地ベオウルフ" はスタジオ音源。"青春時代" 程ストレートな表現ではないものの、これもまたゴイステらしい歌詞。途中で挿入される "星に願いを (WHEN YOU WISH UPON A STAR)" と、そこで読まれるセリフもまた彼等らしい。ちょっとググッとくるかも。

ライヴ音源を除いたスタジオ音源2曲が共にミディアムスローのバラード調というのは、解散等を意図せずにそうなったのか、それとも最後のリリースってことでワザとこの2曲を選んだのか‥‥その真相は判らないけど、少なくとも俺にとっては意味のある2曲だったと思う。単純に良い曲だと思うし。

何度も書くけど、やはり自分にとってはそこまで重要な存在というわけではないんだよね(ファンの皆さんには申し訳ないと思います)。けど、少なくともこのシングル‥‥特に "青春時代" は自分に強くアピールするものでした。多分、今後も春先になる度にこの曲を聴くと‥‥いろいろ思い出すんだろうなぁ‥‥今年の春にあったいろんな出来事を。そしてそれがまたこの曲と見事にシンクロするもんだから‥‥切ないというか、やるせなくなるよ。



▼GOING STEADY『青春時代』
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投稿: 2003 10 30 04:02 午前 [2003年の作品, GOING STEADY] | 固定リンク

2003/10/29

あぁ!『FIRST KISS』(2003)

多分みんなビックリしてることかと思います。だってさ、モーニング娘。の6期メンバーにして既に次期エース候補のひとりといえる田中れいなと、ハロー!プロジェクト・キッズから2人(鈴木愛理と夏焼雅)連れてきて組まされたユニットごときに、こんなに完成度の高い楽曲を与えられるなんて……しかもそれを歌う方もそれなりの力を持ってたもんだから、さぁ大変。

ハロプロ19番目のユニット、あぁ!。正直前評判は高くなかったですよね。田中を売り出そうっていうのは判るんだけど、何でよりによってハロプロキッズなんだよ……って。ところがいざ出来上がった楽曲(カップリング曲含む)、これが今年のハロプロ内でも1、2を争う程の素晴らしさ。夏以降、本当につんく♂の「外し率」は低下し、打率はドンドン上がっていき、しかも1本1本のクオリティがある程度以上の内容。その決定打がある意味松浦亜弥「THE LAST NIGHT」だったと思うんですが、それに勝るとも劣らない出来のミニモニ。「CRAZY ABOUT YOU」に続き、今度はこのド新人の楽曲。そりゃみんな首も傾げたくなりますわな。

タイトル曲「FIRST KISS」、カップリング曲「正夢」共につんく♂作、アレンジには共に湯浅公一が参加。タイトル曲のみストリングスアレンジにCHICAが加わっています。

「FIRST KISS」はミニモニ。同様、昨今のR&B歌謡の流れにある楽曲。もっとテンポ的にはゆったりで、隙間の多いアレンジになってます。とにかくバックトラック制作を丁寧に行ったことが伺える作りになっていて、あくまで「3人の歌」が中心。地味ではないんだけど歌を殺すまでの派手さもない、丁度よい加減のアレンジかと。そこにサビ前辺りからストリングスが加わり楽曲を劇的に盛り上げます。コーラスにも外国人女性が参加してることもあってか、聴き応え十分。先のミニモニ。といいZYX「行くZYX!FLY HIGH」といい、かなり本格的且つ判りやすい曲作りに成功していると思います。

同様にカップリング曲「正夢」もタイトル曲に引けを取らない完成度。R&B調バラードといった曲調で、こちらもあくまで「3人の歌」中心。キッズが参加してるってことで歌に不安を感じたものですが、実際に出来上がった作品を聴くと全く心配無用。むしろ「……ここまで出来るのか、小3~4程度で!」という驚きの方が大きい。

そう、このシングルを終始安心して聴いていられるのは田中の歌唱力が抜きん出ていてキッズを引っ張っているから……というわけではなくて、キッズの2人も田中に劣らぬ歌唱力を持っているからなんですね。3人がハロプロ内でも水準並み(あるいはそれ以上)の実力を持っているからこそ、誰が目立つという感じでもなく、普通に安心して聴いてられる。誰の番になった途端にレベルが下がるということがないんですね。

勿論、ここで聴けるのは「子供が歌う」歌そのものです。最年長の田中でさえ中学2年生です。9~13歳の正しく少女達が大人びた歌を歌ってるわけです。これに対し嫌悪感を持つ人もいるでしょう。別にそういう人を否定しようとは思いません。ただ、これは別に今に始まったことじゃないですし、昔からこういった「ローティーンに大人びた曲を歌わせる」ってのはありましたし。だから特別そこをつつくのはちょっと違うかな、とは思いますね。

別に子供声が特別好き、とかそういうのはないですが、こうやって聴いてみて違和感なく聴けるし、心地よく感じるのも事実なんですね。だから……まぁそういった面でこの曲を拒否・否定して、曲そのものの評価を下げるのは勿体ないよなぁ、と。別に現在の6期メンバーに何の思い入れもない、ましてやキッズなんて‥‥って思ってる俺ですが、これは素直に受け入れざるを得ないと思いますよ。

ただねぇ……モーニング娘。の新曲を聴いてしまった後となると……複雑な心境ですよ、いろんな意味で。別にこういう曲をやれ、とは思いませんが、それにしてもねぇ……。



▼あぁ!『FIRST KISS』
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投稿: 2003 10 29 12:00 午前 [2003年の作品, あぁ!, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2003/10/26

柴田淳『ため息』(2003)

  単純に女性ボーカルものが好きってのもあるんだけど、特に最近はガンガンにロックしたものを聴くよりもこういった「癒し系」と呼ばれるような女性ボーカルもののJ-POPやら頭を空っぽにして聴けるようなアイドルポップを聴く頻度が高いのね。疲れてるのかな、俺‥‥

  というわけで、柴田淳です。このサイト的に「あり」か「なし」か、と問われれば‥‥全然「あり」なんですね申し訳ないけど。いや、むしろ今だからこそ出来るっちゅうか? 1~2年前だったら絶対に反感買ったであろう選出だけど、普段聴いてるんだから仕方ない。しかも好きなんだからさ。

  多分彼女のことを知ったのは、昨年リリースされたシングル "月光浴" だったと思います。NHKの「POP JAM」か何かに出演したのを観たのかな。それ以前から名前は目にしてたけど、音を聴いたのは初めてで。いや嘘です。耳にしてたんですよ、それ以前から、有線で。ただそれが誰なのか知らなかっただけで。テレビで観て初めて顔と名前と音が一致したというね。

  その後も普通にテレビの音楽番組に出演するようになったしシングルもそこそこヒットするようになって、まぁ普通に認知されつつあるわけですが、何ですか、世間的には「癒し系」ってことになってるんですか。いやね、確かにそのサウンドだったり彼女の歌声っていうのには「癒し」の要素が十分あるわけですよ。実際歌詞さえ耳に入ってこなければ、男の俺でも癒されるし。

  ところがね‥‥結構、歌詞エグくないかい? 例えばね、これを10代の女の子が歌ってたとするよね‥‥いや、それでも男性からしたら怖いか。いやいや、怖いってのとはちと違うか‥‥とにかく男性リスナーからすると「う‥‥」と唸ってしまうような歌詞が多いわけですよ。敢えて引用はしないけど、ヒットした "隣の部屋" とかさ。アルバム曲でいうと "拝啓、王子様☆" とかね。まぁ "拝啓、王子様☆" なんかはホントに10代の女の子が歌ったらカワイイかな?って思えるような内容でもあるんだけど‥‥歌ってるシバジュン自身、20代後半ですよね‥‥素じゃないですよね!?

  なんて書いてみたものの、そういう面も含めた全てが彼女の魅力なわけで、聴いてる俺としてもただ「癒し」だけを彼女に求めてるわけじゃなくてそういう要素も受け入れつつ「イイ!」と思ってるんですね。ただ垂れ流されてしまう要素の強いジャンルなわけじゃないですか、この手のポップスって。けど一度歌詞が耳に入ってしまったらさぁ大変。気づいたらシバジュン・ワールドの虜になってしまってるわけですから‥‥えっ、そんなことないって!? まぁ俺はそうだったのよ、うん。

  まぁ‥‥でも普通に聴いてたら癒される要素の方が強いかな。例えば今みたいにちょっと疲れ気味の時は、単純に彼女の嫌味ない歌声が心地いいと思うし。女性の方々が彼女のことをどう捉えていて、そして気に入っているのかどうかが気になるところですが‥‥。



▼柴田淳『ため息』
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投稿: 2003 10 26 12:00 午前 [2003年の作品, 柴田淳] | 固定リンク

2003/10/24

PANTERA『THE BEST OF PANTERA : FAR BEYOND THE GREAT SOUTHERN COWBOYS' VULGAR HITS!』(2003)

いろんなテキストで何度か書いてきたけど、'91~'92年というのはその後のロックシーンに影響を与える「大きな波」が幾つも生まれた年でした。HM/HR系アーティストの相次ぐビルボード・アルバムチャート初登場1位(SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」やVAN HALEN「F.U.C.K.」等)に始まり、METALLICAのブラックアルバム、GUNS N'ROSESの「USE YOUR ILLUSION」2枚同時リリース、NIRVANAやPEARL JAM、SMASHING PUMPKINSといったシアトル勢のメジャーデビュー、RAGE AGAINST THE MACHINEの誕生、そして今回紹介するPANTERAのオーバーグラウンドへの進出。数年後にラウドロック/ヘヴィロックと呼ばれるようになるジャンルの、いわばルーツといえるであろうMETALLICAとPANTERA。'80年代と'90年代の代表的ヘヴィメタルバンド。共にメタル勢では数少ない「'90年代にナンバー1アルバムを生みだしている」バンドなんですよね。

PANTERAがインディーズ時代、DEF LEPPARDみたいな音楽性のバンドだったというのはもはや有名な話で、'90年代に入りメジャーデビューを果たすと共に現在のようなヘヴィメタルとハードコアを足したようなラウドでエクストリームなサウンドへと移行していったわけです。メジャーファーストとなる「COWBOYS FROM HELL」('90年)ではまだ中途半端さが目立ちますが、大出世作となった「VULGAR DISPLAY OF POWER」('92年)で現在のスタイルがほぼ完成型に達し、このアルバムによって多くのメタルファンに注目されることになるのです。

俺とPANTERAとの出会いは、多分'91年頃だったと記憶してます。当時大好きだった(いや今でも好きは好きだけどね)MOTLEY CRUEの(当時)ドラマーだったトミー・リーが「PANTERAはいい!」と大絶賛してたことでその名前を知ったんだよね。けどその時は音を聴いてみようとは思わなくて。で、そんなことも忘れていた'92年2月。当時イギリスにホームステイしてたんだけど、現地で愛読していた「ケラング!」や「メタル・ハマー」(そこそこ、懐かしい!とか言わない)でPANTERAという聞き覚えのある名前のバンドの「VULGAR DISPLAY OF POWER」というアルバムが5つ星で大絶賛されてたわけですよ。が、これを読んだ時にはまだリリースされておらず。結局このアルバムを最初に見かけたのはドイツに旅行中の時で、我慢できずに現地で買っちゃったんですよね、帰国しないと聴けないのにも関わらず。

もう1曲目 "Mouth For War" から鳥肌立ちまくり。"A New Level"、"Walk" と来て、究極のスラッシュチューン "Fucking Hostile"!!! "This Love" みたいな聴かせる曲もちゃんと入ってる。勿論、当時これを純然たるヘヴィメタルとは思えなかったし、かといってハードコアとも違うし、一体何だこれは!?と頭を悩ませたものです。当時俺がやってたバンドのギタリストはスラッシュとかコアは一切聴かない(苦手な)人だったんですが、それでもPANTERAのギター、ダイムバッグ・ダレルのプレイ(リフワークやハーモニクスの使い方、そしてソロの運び方等)をべた褒めしてたんですよ。それくらい、当時のロックファン(ま、主にメタル通過組)には衝撃だったわけですよ。

そして'94年には「FAR BEYOND DRIVEN」というアルバムをリリースし、全米初登場1位を記録してしまうわけです。グランジ全盛の'94年にね! カート・コバーンが亡くなる、ほんのちょっと前のことですが‥‥

その後、2枚のオリジナルアルバムとライヴ盤を1枚リリースしてますが、毎回買って聴いてはいたものの、以前程夢中になって聴くことはありませんでした。いや、それでも気に入ってたんですけどね。きっと俺自身、ラップメタル的なラウドロックを愛聴するようになったからかもしれません。

このベストアルバムは正直、選曲はダメダメだと思います。選出されてるのは全てPVになったりシングルカットされたりラジオ用プロモーションに使われた曲だったりするわけですが、実際にはそれ以外の曲の方が重要なものが多かったりするんですよね。初回限定盤に付いてるDVDには入ってますが "Primal Concrete Sledge" だったり "Psycho Holiday" だったり。あるいは上記の "A New Level" や "Fucking Hostile"、"Strength Beyond Strength" とか "The Great Southern Trendkill" とか "War Nerve" とか "Hellbound" とか‥‥もっと入れるべき曲はあったはずなんですよ。結局レコード会社主導でメンバーが一切関わっていないという点が大きいわけですが。そういう事実からも「現在のバンドの状態」が何となく伺えてくるようで、ちょっと嫌だなぁ‥‥

曲順もただ発表順に並べただけなので、いきなりアルバムトップの "Cowboys From Hell" の次に名バラード "Cemetery Gates" が来ちゃう。曲順は聴く人が好きなように並べ替えるべきかもしれませんね。個人的には1曲目は "Mouth For War" で決まりなんですが。

ま、悪いことばかり書いてもしょうがないんで‥‥だからといって曲が悪いとかそういったことは一切ないです。まだPANTERAを聴いたことがないっていう若いファンには持ってこいのベスト盤なんじゃないでしょうか。レアトラックも数曲入ってますし(テッド・ニュージェントのカバー "Cat Scratch Fever" やBLACK SABBATH のカバー "Hole In The Sky" とかね)。このアルバムでPANTERAにピンと来た人なら、オリジナルアルバム聴いて絶対に損はしないはず。むしろもっと好きになるだろうから。

やっぱりこのアルバムの売りは「日本盤の初回限定盤に付いたPV集」なのかもしれませんね。彼等が発表したPV全てが収録されてるわけですから。更に以前「VULGAR」というセルビデオに収録されていた'92年夏のライヴも2曲入ってるので、その凄さをビジュアル付きで更に味わうことが出来るわけですから、もう買うなら絶対に初回盤ですよ。

というわけで‥‥PANTERAの不在から2年近くの歳月が流れたわけですが‥‥METALLICAみたいな劇的復活を期待しつつ、このベスト盤を聴きながら彼等の「第二章」の始まりを一緒に待とうではないですか(いや、DVDの方を観ながらですね)‥‥



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投稿: 2003 10 24 03:11 午後 [2003年の作品, Pantera] | 固定リンク

2003/10/22

飯田圭織『パラディノメ ~恋に身をゆだねて~』(2003)

  モーニング娘。の現リーダーである飯田圭織の、今年4月にリリースされたファーストソロアルバム「オサヴリオ ~愛は待ってくれない~」に続くソロ第二弾、「パラディノメ ~恋に身をゆだねて~」は前作同様'60~'70年代のイタリアンポップス、フレンチポップスの代表曲と、'90年代のギリシャの名曲を原語でカバーしております。この春のモーニング娘。のツアーでも前作からの曲が幾つか日替わりで歌われていましたが、今回のアルバムの曲もいずれ何らかの機会に歌われることがあるでしょう。いや、むしろそうしてもらわなくちゃ困っちゃうんですよね‥‥敬遠してる人にアルバムを聴いてもらえるような切っ掛けを与えてあげなきゃ‥‥ねぇ。

  内容に関しては、前回は初めての試みってことで聴く前からドキドキ・ハラハラしたりしてたわけですが、今回はそんな心配は無用。むしろ安心して臨むことができたんじゃないでしょうか。製作陣も前回と一緒、コンセプト・スタイルも一緒、後は飯田のコンディションさえ良ければ文句なしなわけですから。で、実際その安心は最後まで崩されることなく、アッという間に1枚通して聴けてしまったのでした。前作の延長線上というよりは、完全に第二弾であり、対となるような作品なわけですから、それも当然っちゃあ当然ですよね。

  歌に関しては勿論最後まで安心して聴いてられたし、むしろ他のモーニング娘。のメンバーと比べてここまでひとりのメンバーの歌を堪能できるって点においては文句なしでしょう。人によっては「日本語で、もっと圭織らしい選曲でアルバムが作れたんじゃないか?」って不満に感じてるかもしれませんが、逆にこっちの方が俺は「飯田圭織らしい」と思うんですよね。そう、「モーニング娘。の飯田圭織」じゃなくて、「歌い手・飯田圭織」としてね。

  ただ、今回の歌い方は前回よりもストレートに感じましたね。バリエーションが減ったというよりも、飯田自身がこなれてきたのかもしれません。曲毎に歌い方を変えたりして聴き手を驚かせた前作と実はそんなにやってることは変わってないとは思うんですが、そう感じさせない、悪い言い方をしてしまえば「平坦」に聞こえてしまうのは多分、そういった歌い方の個性以上に飯田自身の色や個性が以前よりも強く前に出てしまっているからなんじゃないでしょうか‥‥勿論、俺がそう感じたってだけで、実際に皆さんが聴いた時にはそう聞こえないかもしれませんが(あるいは前作を聴かずにいきなりこのアルバムから聴き始めたら、そういう風には感じず、もっと新鮮に聞こえるんでしょうね)。

  バックトラックも前作がちょっとチープかな!?と感じていたのに対し、同じような打ち込みメインなはずなのに今回は意外と自然に聞こえるのは、多分どの曲にも生楽器(ガットギターやストリングス、サックス等のブラス)をふんだんに取り入れているからかもしれませんね。前作でも同じようなアプローチだったはずなのに、何故今回は余計にそう感じてしまうんでしょうか‥‥多分、聴き手側にもある程度楽しむ余裕が出来てきたってことなのかも。いや、ホント俺だけかもしれないけど。

  個人的ハイライトとなるのは、超有名曲 "オー・シャンゼリゼ" ではなく5曲目の "マリン・ブルーの瞳" なんですよね。原曲はセルジュ・ゲーンズブルグの手によるもので、ここでは如何にも打ち込みというようなリズムトラックとシンフォニック調シンセをバックに飯田が切なそうに優しく歌うのですが、問題はそのバックで鳴っているエレキギター。個人的なツボだったんですが、これを弾いているのが「ジェットフィンガー」の愛称で知られるメタル系ギタリスト、横関敦なんですよね。BRONXというバンドでデビューした後、筋肉少女帯のレコーディングやツアーに参加したり、ZIGGYやVOW WOWのメンバーと共にLANCE OF THRILLというバンドをやったり等、その他にもいろんなミュージシャンとのセッションで有名なこの人が、まさかハロプロと絡む日が来ようとは‥‥15年前の俺に聞かせてあげたいね! と、ここまで書くと多分多くの人が「速弾きしまくり!?」とか心配するでしょうけど、ご心配なく。まぁ確かに結構雰囲気モノで如何にも「ジェットフィンガー」なプレイを聴かせてくれてますが、それでも曲の雰囲気に合ったトーンで弾いてますのでそんなに耳障りではない、はず。メタルと縁がない人が聴いたらどうか判りませんが‥‥

  というわけで、全体的に好印象なこのアルバム。前作が気に入ったという人なら間違いなく満足していただけると思いますし、飯田の声が好き!って人や彼女の声に癒されるって人、とにかくモーニングが好きで洋楽ポップスが好きな人なら間違いなく楽しめる作品です。



▼飯田圭織『パラディノメ ~恋に身をゆだねて~』
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投稿: 2003 10 22 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 飯田圭織] | 固定リンク

2003/10/20

推定少女『16 ~sixteen~』(2003)

  既に存在自体がマジなのかギャグなのか判断つかなくなってますが、何はともあれ推定少女ですよ。2001年8月にアニメ「ワンピース」のエンディングテーマ、"しょうちのすけ" でデビュー、その後現在に至るまで6枚のシングルを発表してきましたが、その登場から約2年、ようやくファーストアルバムの登場なのです。が‥‥収録されている全12曲中10曲が既発曲(シングルタイトル曲6曲、c/w曲4曲)で、新曲はラスト2曲の "BABY BABY" と "あの日何か言いかけたキミをまだ覚えているよ" のみ。ファンからすれば「え~っ!?」な内容なんでしょうけど、これから聴いてみようという俺みたいな初心者にはもってこいの1枚になってます。

  シングル曲ばかりということでベスト盤的ともいえるわけですが、それもあってかとにかく各曲のクオリティーがアイドルポップスの中でも非常に高いのです。楽曲自体は正統派といえるようなタイプだったりするんですが、曲やバックトラックがよく出来ているから、聴いてて全然違和感みたいなものを感じない。普段ハロプロ系ばかりで耳が慣れていることもあるんでしょうけど、それにしてもメロディーの質だとか、歌詞だったりとか、いいんですよね。勿論俺自身、そんなにこの手のジャンルに精通してるわけじゃないんですが、そんな俺でも安心して聴いていられる。それがこのアルバムなんですね。

  ボーカル・パフォーマンスについては、まぁその殆どがふたり(RINOとLISSA)のユニゾンだったりするので、基本的にはPuffy辺りに近いものを感じたりもするんですが(特に1曲目 "エッジな気分" みたいなタイプの曲を聴いちゃうとね)、けどあそこまで力んで歌ってるわけでもなく、サラーリと流れていく感じ。悪く言えば「聞き流せてしまう」わけですが、こういうタイプのジャンルの場合、そこまで自己主張が強いと逆に嫌悪感というかファンに引かれたりするんじゃないかと思うので、これはこれでいいのかな、と。あと所々でハモリとか入ってるけど、これって実際にステージ(TV等)で歌う時ってちゃんと再現されてましたっけ? 何度かTVで歌ってるところを観た限りでは、普通にユニゾンだった記憶があるんですが‥‥こういう音源で聴く分には、非常にきめ細やかでぬかりなし、といった印象が強いですね。

  そういえば、このアルバムを入手するちょっと前に、会社の有線のとあるチャンネルでこのアルバムがまるまる放送されてたんですよ。最初推定少女だと気づかなくて、普通に同僚と「これ、いい曲じゃない?」と言い合ってたんですね。で、途中で知ってる曲("失恋ソング" だったかな?)になって初めてそれが全部推定少女の曲だと気づいて。ああ、偏見とか思い入れとか関係なく、普通に聴いていい曲だと思えるっていうのは、やっぱりいいなぁ、と。先入観とかあるとどうしても「アイドルだし‥‥」とか「ああ~○×かぁ‥‥」っていう風に穿った見方をしてしまいがちだし。そういう意味では、アルバム買って聴く前にああいう場で試聴出来たのは、自分にとっても良かったなぁと。同僚も「ええっ、あの制服着て歌ってるイタい二人組ですよね!?」って驚いてたし。そういう先入観でちゃんとした判断や評価ができなくなるってこと、あるしね。

  そういえばこのアルバムのラストに収録されている "あの日何か言いかけたキミをまだ覚えているよ" って曲。これがちょっと興味深いものでして。作曲をスネオヘアーが、作詞をRINOが、楽曲のプロデュースをLISSAが手掛けているんですね。一体どういった経緯でプロデュースなんてすることになったのか事情が判りませんが、名前だけのプロデューサーにしろ、こういったお遊びは面白いかなぁ、と。まぁ「大人の事情」なのかもしれませんが‥‥

  デビューしたときは二人とも14歳(中学2年生)ということが売りでもあった彼女達。既に現在高校1年生。「推定少女」の名の下で活動できるのもあと僅かだと思うのですが‥‥このアルバムを「推定少女の集大成」とはせずに、せめてもう1枚くらい既出曲とオリジナル曲が半々くらいのアルバムを出してから解散して欲しいかなぁと思ってるんですが‥‥って気が早いって!?(「解散とか言うなー!」とか怒られそうですが)

  まぁとにかく。これはかなり優れモノの1枚なのではないでしょうか。多分上に書いたような偏見とか持ち合わせていない人、普段モーニング娘。とかBON-BON BLANCO辺りのアイドルポップスを好んで聴いている人には間違いなくヒットするアルバムだと思いますよ。下手したら今年の10枚に選びたいくらい(今年は藤本美貴といいソニンといいボンブラといい、アイドル系が多く選出されそうな予感‥‥)。可能であれば無理してでもDVD付き初回盤を探し出して欲しいのですが‥‥

  その初回盤。お陰様でうちのビジターさんのご厚意で入手することができたのですが(アルバムの他に、シングル6曲のPVが収録されたDVDが付いている)、このDVDが‥‥ヤバイです。下手な児童ポルノ観てるよりも恥ずかしい気持ちになってくるんですから(いや、その手のビデオは観たことないんだけど)‥‥もの凄い中毒性を持った「飛び道具」ですから、くれぐれも扱いには細心の注意を払ってくださいね‥‥。



▼推定少女『16 ~sixteen~』
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投稿: 2003 10 20 12:00 午前 [2003年の作品, 推定少女] | 固定リンク

2003/10/16

ミニモニ。『CRAZY ABOUT YOU』(2003)

  ミニモニ。約5ヶ月振りの新曲は、過去最大級の問題作と言えるでしょう。だって「器(『ミニモニ。』という名前)だけそのまま残して、中身(音楽性やスタイル)をそっくりそのまま取り替えてしまった」んですから、そりゃおこちゃまだけではなくて、普通にハロー!プロジェクトに興味を持つ者なら誰もが驚いたはず。いや、驚いたというよりも、怒った人の方が多かったのではないでしょうか?

  これまでの「現代版童謡」かつ「世の中を舐めきった」そのスタイルとは相反する、非常にありがちなR&Bスタイルの楽曲‥‥所謂『つんく♂歌謡』と呼べるような路線に変化してしまったわけですよ、この "CRAZY ABOUT YOU" という曲の中で。

  しかし、その「ありがちなR&Bスタイル」、無駄にクオリティが高いんですよね。もしかしてこれ、ホントは他のユニットの為に作られた楽曲だったんじゃないの?って疑ってしまう程、バックトラックの丁寧な作りやメロの冴えが素晴らしいんです、カップリング曲 "恋愛一周年" 含めて。

  SPEED辺りが歌っても何ら違和感のないR&B調のその楽曲は、確かに過去のミニモニ。と重ねてみると非常に違和感を感じるものです。がしかし、本来ミニモニ。ってそういった『音楽のおもちゃ箱』的側面を持ったユニットだったはずなんですよ。少なくともアルバムを発表した時点までは。そりゃ『子供向け』というポイントは非常に重要な要素ですよ。ここにはそういった配慮は殆ど感じられませんし。でも、固定した音楽スタイルを取らない、守りに入らないという意味では今回のシングル、俺は前向きに評価したいと思ってます。

  大体ね、楽曲の出来がいいんだもん。貶しようがないよ。高橋愛シフトに完全に移行したかのようなこの路線、当然ながらメインで歌うのも彼女。それを脇で固めるのが辻希美の歌であり、加護亜依とミカのラップであると。勿論、加護やミカもポイントポイントで印象深いフレーズを歌っているんだけど、やはり耳に残るのは高橋の歌声。"ロックンロール県庁所在地" や "ミニモニ。数え歌" といった楽曲でいろいろ試したものの、結局はこういう路線に至ったわけですか。けど、これだって最終地点ではないでしょうし、今後もミニモニ。はいろんなタイプの楽曲にチャレンジしていくと思うんですよね。でなきゃ他のユニットとの差別化がどんどん難しくなっていくでしょうし(特に最近はZYXやあぁ!、ROMANSといったユニットもあるわけですしね)。

  同じように、カップリングの "恋愛一周年" も非常に素晴らしい出来でして。これなんてEE JUMPやソニンのアルバムに収録されてたとしても何ら違和感のないタイプの楽曲。あるいは後藤真希とかね(それだったら "CRAZY ABOUT YOU" だって後藤向きだよな)。何でここ最近、こんなにクオリティーが高い楽曲が連発するんですかね‥‥そりゃ、2~3年前の楽曲と比べれば落ちるのかもしれませんよ。けど、少なくとも昨年夏以降でここ最近の充実振りはちょっと目を見張るものがあるはずなんですけどね‥‥ま、その辺の感じ方は人それぞれでしょうけど。とにかく個人的には最近のこの手の路線は非常に好みの楽曲が多いんで嬉しいですね、素直に。

  こういった路線変更は確かに勇気がいる実験だと思いますが‥‥作品がどれだけ充実しようが、やはり世間の目は「ああ、売れなくなったから~」とか「子供が見向きしなくなったから~」なんて見るわけで。その辺はやはり両刃の剣となってしまうわけです。今度の楽曲が仮に大人に受けたとしても、それまでミニモニ。の人気を支えてきた低年齢層が離れていく可能性も高いわけで。その辺のバランスをどう取っていくかが今後の課題でしょうね。

  まぁ、あれですよ。俺はこの2曲、とても気に入っていますよ、と。これなら恥ずかしげもなくヘヴィーローテーションできますしね!



▼ミニモニ。『CRAZY ABOUT YOU』
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投稿: 2003 10 16 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, ミニモニ。] | 固定リンク

2003/10/11

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『エレクトリック・サーカス』(2003)

  THEE MICHELLE GUN ELEPHANTはこの曲のリリースと同時に本日10月11日、幕張メッセでのライヴを最後に解散します。そういうことを踏まえてこの曲を評価しようとすると、どうしても違った見方・違った解釈をしてしまいそうなので、敢えて解散という現実から目を逸らしてこのシングルについて語ってみたいと思います。難しいとは思うけど‥‥

  ミッシェルのシングル曲でここまでメロウな曲は多分初めてなんじゃないかな。いや、当然これまでの楽曲全てが冴えたメロディを持ったロックナンバーばかりだったけど、これはちょっと異色作かな、と。勿論これまでと比べればの話だけど。ただね、これは今年に入ってからリリースされた2枚のアルバム、「SABRINA HEAVEN」と「SABRINA NO HEAVEN」、そしてそこから派生したシングル「Girl Friend」の流れから誕生した、いわば延長線上にある楽曲ですよね。特にタイトル曲、"エレクトリック・サーカス" なんて正にそれだし。ズッシリとしたリズムに乗る歪みまくったギターのストローク、そこに重なる枯れたアルペジオ、そしてチバユウスケの絶叫。何も変わってない。何も変わっていないんだけど、何かが違う。質の違い? いや、もっと本質的なものが変化した? ただ、ライヴを観る限りでは、俺が最後に観た'97年頃と今年のフジロックとではその違いは判らなかったんだよね。バンドとしてのオーラはモンスター級になっていたけど、何も変わっていないような。けど何かが違う。

  例えばこれが、カップリングの "デビル・スキン・ディーバ"みたいなタイプだったら判りやすいのね。これはもう完全にアルバムの流れにある、ある意味プログレッシヴな1曲。コード自体は4つしか使っていなくて、所謂『強弱法』(Aメロで静か/弱く演奏・歌い、サビで一気に爆発する表現方法。THE POLICEの "Every Breath You Take" が始まりと言われ、その後NIRVANAの "Smells Like Teen Spirit" やRADIOHEADの "Creep" といった楽曲で更に広まった。グランジ以降に多い表現手段)を用いたアレンジなんだけど‥‥ミッシェル流グランジといえば聞こえはいいけど、もっとこうプログレッシヴというか。ジャンルとしてのプログレじゃなくてさ‥‥単調なようでかなり起承転結がしっかりしてるし、6分以上って単調なコード進行なのに全然飽きさせない。もうそれってミッシェルの完全勝利じゃない? そういう意味では完全にアルバムと同方向の流れなんだよね。

  しかし、タイトル曲は同じ方向を向きながらも、ちょっと『質』の違いを感じさせる。それは何故だろう‥‥チバの歌い方? サウンドのミキシング? 各楽器のタッチの違い? いや、判らない。本当に判らない。ミッシェルらしさを十分に感じさせながらも、歌詞やメロディから‥‥閉鎖感みたいなものをちょっと感じたり。

  ってここまで書いて、結局「解散」という事実からは逃れられないのかな‥‥と改めて思ったり。ああ、ダメだ。これ何回か書いては消して、また書き直しては消してということを、かれこれ2時間もやってるんだよね。解散に触れずに曲について書こうと思ったけど‥‥どうしてもそこに行き着いてしまう。

  単純に、いいメロディを持った、男らしいロックナンバーと言いたいだけなのにね。

  よりによって、何で最後の最後にこんな泣きのメロディを持ったミディアムテンポの曲をシングルで出すかなぁ。確かに "デビル・スキン・ディーバ" はシングル向きじゃないよ。人によっては疾走感に溢れるアンセムナンバーを期待してたはずなのに。そういう意味では「本当にこれがファンが望んでいた『世界の終わり』なのか?」と思うわけで。ま、思い悩んだところで彼等の解散に変わりはないわけで。

  でも、この曲に出会えたこと、それは素直に嬉しいよ。やっぱり昨年以降のミッシェルはバンドとして本当にいろんなことにトライしようとしていた、そしてそれを実践してきたんだなぁ、と。改めて思いますよ、ホントにすげーバンドだとね。

  さぁ。泣いても笑っても今日が最後の日。決して俺にとって「世界の終わり」でも何でもないわけだけど‥‥やっぱり気持ち的に晴れやかじゃないよね。いつも思うけど‥‥こうやって偉大なバンドの最後の日って、何だか「ロックのお葬式」を執り行うみたいで凄く嫌な感じなんだよね‥‥。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『エレクトリック・サーカス』
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投稿: 2003 10 11 12:00 午前 [2003年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク

2003/10/08

ソニン『合コン後のファミレスにて』(2003)

  ソニンの約半年振り、通算4枚目となるソロシングル "合コン後のファミレスにて" は、ある意味これまで以上に強烈で、そして優しくて、そして切ない。そんな楽曲に仕上がってます。つうかさ、もうこれってソニンにしか歌えない曲なんじゃないの? ある意味アーティスト冥利に尽きるし、そしてある意味「有り難迷惑」でもあるこの路線。以前は与えられたモノを戸惑いながらも可能な限り前向きにこなしていこうとする彼女が垣間見れたわけだけど、もうここまでくるとある種確信犯的な匂いすら感じられるのね、俺からすると。けどさ、これを他の女性シンガーがやると嫌味に感じたりするのに、ソニンがやると何故か許せちゃうんだから。俺がソニンに対して好意的というのも大いに影響してるだろうけど、それ以上に彼女が持つ天性の空気感みたいなものがそう思わせるんだろうね。ホント、損なのか特なのか‥‥

  楽曲は勿論つんく♂の手によるもので、アレンジは過去3枚のシングルとはうって変わって鈴木俊介が担当。楽曲は‥‥ちょっと疑似ライヴ風になっていて、ソニンのMCからスタートするのね。アコギのストロークにスライドギターが絡んでくるという出だしで‥‥歌い出しが完全に吉田拓郎風。'70年代フォーク風という前評判通りの作風なんだけど‥‥本当にそうかな?と。いや、確かにAメロ~Bメロの歌い方やアレンジはそれ風だけど、俺にはこれまでのシングル路線‥‥"カレーライスの女" や "津軽海峡の女" なんかと地続きの作品だと思っててね。ミディアムテンポで、力強いんだけど情けない、そんな「ソニンらしさ」が思う存分発揮された快作なんじゃないかな。

  あとね、つんく♂でいえば‥‥桜庭裕一郎(TOKIOの長瀬)でやったような仕事がここで上手いこと完成型に至ったのかな。この春に出た彼のシングルは「あと一歩だよなぁ‥‥」と感じていた俺なんだけど、音楽面であそこでやろうとしてたことが今回見事完結したような気がするのね。まぁ思い過ごしかもしれないけど、これを男性シンガーの曲じゃなくて女性シンガーの曲で完成型に持っていった辺りが、つんく♂らしいというか。

  そりゃね、これが一般受けするかしないかは判らないよ。こんな時代だから、ホントに何がヒットしても不思議じゃない。脱力系なんだけど芯が太くてパワフル。ただのコミックソング、あるいは「ハロプロと一緒で痛い系」と切り捨てる人も間違いなくいると思う。でも、俺はこれ、今年のつんく♂ワークスの中でもトップクラスの作品なんじゃないかな、と感じたわけでして。松浦亜弥 "THE LAST NIGHT" とはある意味真逆を向いた、それでいて肩を並べるような名曲なんじゃないかな、と。何度も言うけど、これはソニンが歌ったからこそ成し得た成功なわけですよ。他のつんく♂関係のシンガーが歌っても全然意味がないんですよ。ホント、いい歌に巡り会えたんじゃないかな、彼女。

  そしてカップリング曲。EE JUMP幻のデビューアルバムから、既にライヴでもお馴染みの "ADA BOY & DA GIRL" のソニン・バージョン。例の如くユウキのラップパートをつんく♂がやり直してることで、つんく♂が前面に出まくりで人によってはウザいと感じるかもしれないけど、楽曲の良さが全てを帳消しにしてるような気が。ホントこれ、お蔵入りにされちゃうには勿体ない曲だよね。ライヴで盛り上がるのもよく判るわ。アレンジは石塚知生という人。かれこれEE JUMPのアルバムに収録予定だった楽曲がもう3曲もカップリングとして発表されたわけだけど‥‥もういいじゃない、この際リリースしちゃいましょうよ、EE JUMPのファーストアルバム。ライヴでユウキのパート、そのままなんでしょ? しっかりライヴじゃEE JUMPのシングル曲もやってるのに、それらの殆どが廃盤なんでしょ? だったら、もう‥‥ねぇ?

  これはもうソニンとしては最強のシングルだとハッキリ断言できますね。"合コン後のファミレスにて" はソニンのファンでも「これはさすがに‥‥」と感じてる人がいるみたいだけど、彼女にしか出来ない仕事を、彼女は100%以上のパワーを使ってやり切ったんだから、もっと自信を持ちましょうよ!



▼ソニン『合コン後のファミレスにて』
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投稿: 2003 10 08 12:00 午前 [2003年の作品, ソニン] | 固定リンク

2003/10/05

THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』(2003)

久々にこういう濃くてバカバカしいバンドがイギリスから登場してくれて、とても嬉しく思ってます。そもそもイギリスは「センス・オブ・ユーモア」の国。時々そのセンスが度を超すこともありますが、個人的にはそういうところも含めてそういったものを気に入っています。

それは例えば「モンティ・パイソン」といったものだけでなく、音楽(ロック)の世界からも存分に感じられるものでした。そう、BEATLESの時代から。しかしここ最近、そういったコテコテなものを見せ聴かせてくれるアーティストが少ないこと少ないこと‥‥特にロックの世界ね。みんなクール過ぎるんだよ。そりゃカッコイイにこしたことはないけどさ、やっぱり「ブリティッシュ・ロック」ならではの、そういった世界観に十分浸りたいじゃない?

そんな中登場したのが、このTHE DARKNESSという4人組。もうね、ルックスからしてバカっぽい。いやいや、これって最高の褒め言葉ですよ? ボーカルのジャスティン・ホーキンスなんてフレディ・マーキュリーも真っ青な全身タイツ着てるし。しかも虎縞だし。胸からへそ下までしっかり開いてるし。他のメンバーに関してもとても2003年のファッション/ルックスじゃないし。明らかにパンク勃発前の、古き良き時代のブリティッシュ・ロックバンドを彷彿させるものだし。普通だったら時代錯誤だ、ハイプだといって切り捨てられてるんだろうね。実際、彼らが登場した頃はそういった声も少なからず聞こえてきたし。

しかし、この春頃からでしょうか、彼らに対する評価がどんどん高まっていったのは‥‥イギリス国内ではIRON MAIDENからロビー・ウィリアムズまで、とにかく幅広いアーティスト達とツアーを重ね、この7月に本国でリリースされたこのアルバム「PERMISSION TO LAND」はチャートで初登場2位を記録、その後も夏フェス出演等の効果もありトップ10圏外に落ちることもなく、リリースから2ヶ月経った9月にはとうとうチャート1位を獲得、しかも4週連続で。再リリースされたシングル"I Believe In A Thing Called Love"もチャート初登場2位。本国での音楽賞でも最優秀新人賞は勿論、最優秀ライヴバンドみたいな賞まで獲得、彼らがその奇抜なルックスではなく「実力(=ライヴ)」で人気を獲得したことを証明することになるのです。

そして本国でのリリースから2ヶ月遅れでこのアルバムはアメリカで、更に1ヶ月遅れてここ日本でも発表されることになったのでした。遅い、遅過ぎだよ! アメリカを見習いなさいよ!(アメリカでは当初、来年初頭にリリース予定だったものの、イギリスでの大ブレイクに煽られ急遽リリースを大幅に繰り上げることになったのです)

もう何も言うことはないでしょう。QUEENでありAC/DCでありTHIN LIZZYであり、SLADEでありSWEETでありゲイリー・グリッターであり‥‥そういった古き良き時代のブリティッシュ・ロック(まぁ厳密にはAC/DCはオージーですが)からの影響バリバリ受けまくりなサウンドで、一歩間違えば本当に時代錯誤で切り捨てられていたはずなのに、上手い具合に最近の「リバイバル・ロック」や「リフ・ロック」といった流れに便乗できた。これは偶然なんだろうけど、本当にラッキーだったと思います。もう2~3年登場が早かったら、間違いなくハイプとして切り捨てられてたでしょうから。だってさ、歌だけ聴いたらホントにね‥‥ハイトーンボイスとファルセットを織り交ぜた歌唱法なんて、一歩間違えばギャグ以外の何ものでもないしね。若い子達からするとこういうのって笑いのネタなのかな、それとも新鮮に映るのかな?

ギターにしても(ボーカルのジャスティンの実弟、ダン・ホーキンスが担当。ジャスティンも曲によってギター弾いてます。ツインリードとかあるしね)ジミー・ペイジや上記のブリティッシュ・バンド‥‥特にTHIN LIZZYを彷彿させるプレイが所々に見つけられるんですよね。事実、ダンはTHIN LIZZYのスコット・ゴーハムの大ファンらしく、実際ライヴでもTHIN LIZZYのロゴTシャツとか着てますしね(THIN LIZZYのロゴTシャツ着てライヴやる人なんて、'88年頃のW・アクセル・ローズ以来じゃないの?)。

確かに万人に受け入れられるタイプのサウンドではないかもしれません。が、俺は10代の頃からこういうのを聴いて育ったんだよな。そして今でもそういうサウンドに飢えている。それが判っただけでも大収穫。勿論、このバンドと出逢えたこともね。

既に11月の初来日公演はソールドアウトと聞いています。日程が日程だったので(全部平日、しかも東京はZepp Tokyo)俺は断念したんですが‥‥やっぱり観たいですよね! 来年のフェスでの再来日に期待しますか。とにかく観れる環境にある人は絶対に観ておいた方がいいって!



▼THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』
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投稿: 2003 10 05 12:00 午前 [2003年の作品, Darkness, The] | 固定リンク

2003/10/03

ELECTRIC SIX『FIRE』(2003)

この夏、初来日にしてフジロックフェスティバルへの出演も果たし、更に11月には単独来日公演も控えているデトロイトの新星・ELECTRIC SIX。メンバーが5人しかいないのにバンド名に「Six」と付いていたり、デトロイト出身のくせしてディスコパンクだったり(それはあんまり関係ないか)、本国アメリカよりも先にイギリスでブレイクしてしまったり、とにかく風変わりなのに妙に親近感を感じてしまう、そういうサウンドを持ったバンドなんですね。自分は最初、シングル曲の"Danger! High Voltage"を聴いてこのバンドの存在を知ったんですが、正直これ1曲でどういうバンドだ、というのは判断つかなかったんですよ。'80年代的なバンドなのかな?と最初に感じたものの、どうも昨今のリフ・ロックの枠で括られてるみたいだし(それもどうかと思うけど)。で、続く"Gay Bar"のバカバカしいまでの爆走振りに更に惹かれて。気づけばアルバム買って、フジロックのステージ観て余計にハマって。そこで演奏されていたQUEENの "Radio Ga Ga" カバーを聴いて、何となくこのバンドの方向性みたいなものが見えてきたりして。いや本当はまだこのバンドのこと、何も判ってないのかもしれない‥‥といった具合に、どこまでがマジでどこまでが冗談なのかが正直判断つかないんですよね。ま、それがこのバンドの魅力なんでしょうけど。

ディスコ・ロックというかディスコ・パンクというか、とにかくそういったダンスビートを取り入れたパンキッシュなリフ・ロック‥‥大まかに言えばそんな感じなんじゃないでしょうか。サウンドは意外と骨太で男っぽいんだけど、そこに乗る歌は完全に聴き手をおちょくってるし。デトロイト出身ってことで、古くはイギー・ポップ率いるTHE STOOGES、最近では日英米で大成功を収めたTHE WHITE STRIPESといったバンドと比較されてるみたいだし、厳密に言えばデトロイト出身じゃないけどKISSなんかとも比較されることがあるみたいですね。"Detroit Rock City" を歌っただけで‥‥ま、"I Was Made For Loving You" というディスコ・チューンもヒットさせてるから余計に比較されるんでしょうけどね。エンターテイメント的要素で語れば、確かにKISSからの影響ってのもあるんでしょうね。ま、QUEENのカバーをやるくらいですからね。

'80年代から時代が一巡りも二巡りもして、今やあの時代にヒットしたニューウェーブやニューロマンティック、ヘヴィメタル等が新鮮に響く現在、同じような意味でこのELECTRIC SIXもヒットしたのか、それともTHE STROKESやTHE HIVES、あるいはANDREW W.K.と同じ流れで「次世代の○○○」みたいな感じでブレイクしたのか(ま、ANDREW W.K.も上記の'80年代リバイバルの流れにいるアーティストだと思いますけどね)。ただひとつだけ、確実に言えるのは、このELECTRIC SIXの楽曲が非常にポップでカッコよかったこと。じゃなかったら俺、絶対に見向きしてなかったって。上に挙げたシングル2曲以外にも引っ掛かる曲が沢山あったし、アルバムとしても十分楽しめたし。今年登場した新人の中では、個人的に一番面白いと思ったバンドですよ、彼等は。

やっぱりね、何か人と違ったことをやるには、徹底的に何かを演じ切らなきゃならないんですよ。このおバカさん達も、全てにおいて徹底的におバカですしね(そのサウンドに反してね)。まぁこのバンドに次作があるのかどうかはまた別の話ですが‥‥



▼ELECTRIC SIX『FIRE』
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投稿: 2003 10 03 08:40 午前 [2003年の作品, Electric Six] | 固定リンク

2003/10/01

SBK『Figure it out』(2003)

  SBKがこんな音を出すユニットになるなんて、2年前に誰が想像した? ホント、昨年からの流れには仰天の連続ですよ、こちらとしては。

  今年の8月から3ヶ月連続で音源リリースを開始した彼等。まず8月にシングル「Back to the basic」発表、9月には今回紹介するシングル「Figure it out」をリリースして、10月にはいよいよそれらのシングルを含む最新アルバムを発表する予定。とりあえず今回はその第2弾である「Figure it out」を取り上げたいと思います。

  今回これを書くに当たって上記のシングル2枚を購入したんですが、共に仰天するような内容だったんですね。特に俺は最初ネット上で試聴した"Figure it out"で得た衝撃が忘れられなくて‥‥だってさ、あのDragon Ash一派呼ばわりされてきたSBKが、まるでCHEMICAL BROTHERS的トランシーなダンスチューンを発表するなんて。しかもそれ以外の曲("Strike back"と"Back to the basic"。共に最新アルバムに収録予定)もヒップホップというよりはデジロックに近い構造を持った音だしさ。

  そういえば以前、アルバム「KILLING FIELD」におけるインタビューで、彼等がこういう方向に進むんじゃないか‥‥みたいな発言をしていたのを、何となくだけど思い出したよ今。当時のライヴでは既にそういう方向に少しずつ進んでいたみたいだし。そう考えると前作での成長から今作での変化も何となく頷ける話。

  ここできけるのはラップや韻踏み等ではなく、完全に「歌」そのもの。勿論、多くの人が想像するような「歌モノ」的なそれとは違い、テクノやダンスチューンによくあるような「歌」と考えてもらいたい。ほら、MONDO GROSSOで歌ったkjみたいな感じ‥‥ってまたDAか。そういえば、曲の構成とかその例の曲に似てなくもないですよね‥‥って要するに両方共CHEMICAL BROTHERSの「あの曲」をお手本にしてるからなのかな‥‥いや判らないけどさ。

  ふと思ったんだけど、何かこのSBKの成長の過程って電気グルーヴ及び石野卓球が辿ったものと同じような流れにある気がするんですが、そう感じたのは俺だけ? あるいはBEASTIE BOYSでもいいや。勿論電気やBEASTIE BOYSとSBKは全くの別モノですし比べること自体が間違ってるのかもしれませんが。それでも‥‥何か今後のSBKのことを考えると‥‥凄いことになるんじゃないかな、とワクワクしてくるんですよね。兎に角今はアルバム待ちですね。期待が大きすぎても問題ないくらいの傑作になってるような‥‥

  あーこの曲、フロアで鳴らしてみたい。もの凄い大音量で。またはそれに合わせて死に物狂いで踊ってみたい。



▼SBK『Figure it out』
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投稿: 2003 10 01 12:00 午前 [2003年の作品, SBK] | 固定リンク

2003/09/26

松浦亜弥『THE LAST NIGHT』(2003)

  松浦亜弥の3ヶ月振り、通算11作目のシングルとなる「THE LAST NIGHT」は、シングルとしては初の本格的バラードナンバー。これがね、もう‥‥なんつーかさ、完璧過ぎるのよ。手の込み具合だったり気合いの入れ具合あったり、もう全てにおいて。今年リリースされたつんく♂ワークスの中で、ここまで時間と手間をかけたであろう楽曲は他にないんじゃないかってくらいに。そう、モーニング娘。やメロン記念日に肩を入れてきた人間としては、これ程悔しいことはないんじゃないかってくらい‥‥ホント、完成度高すぎ。

  必要最低限の打ち込み(恐らく簡単なリズムトラックやエフェクト程度でしょう)の上にのるストリングス、アコースティックギター、ベース、ピアノ、そして松浦の声。ここに表現されているのは、完全に「松浦亜弥ひとりの世界」そのもの。最初この曲のテレビパフォーマンスを観た時、観てるこっちが凍りついちゃうくらいに引き込まれちゃうのね。なんていうか‥‥身動き取れなくなるのよ。それくらい‥‥俺にとっては異質なのね。

  そのアレンジを手掛けたのが、お馴染み鈴木俊介。ストリングス・アレンジもやはりお馴染み村山達哉。完全にストリングスがメインになっていて、リズムよりもそういったウワモノが強調されたバックトラックになっているんだけど、この曲はあくまで「松浦亜弥の歌」がメイン。それを劇的に盛り上げる為、まるでボレロのように徐々に、徐々にと盛り上がっていくわけ。そこに乗るのが松浦の歌なんだけど‥‥もう何も言うことないわ。目を瞑ってこの曲を聴いてたんだけど、珍しく彼女の歌に引き込まれて泣きそうになった程。多分、松浦の歌で涙腺が緩んだのって、「FOLK SONGS 2」で歌われた "さとうきび畑" 以来のことじゃないかな。今回は正直、それ以上だと思います。人によっては以前よりも癖が強くなった歌唱法に嫌悪感を示すかもしれませんが、もはやこれすら彼女の魅力のひとつだと俺は思ってるので、全然問題なし。

  最近、特にさくら組やおとめ組の楽曲に顕著なように、以前のバラエティ指向が強い方向から完全に楽曲指向が強くなりつつありますよね。で、この曲も当然その部類に入るわけですが、ある意味これってその最高峰というか、究極の形なのかなぁと聴いてて感じました。それはクレジットからも伺えるんですが‥‥コーラスとか一切なし。聞こえてくる声は松浦の歌のみ。当然つんく♂のあの変なコーラスもなし。今回はカップリング曲の"DO YOU LOVE ME?"にも参加してないんですよ、つんく♂。でもね‥‥珍しく"THE LAST NIGHT"にプログラミングで名前が挙がってるんですわ。これってホント珍しくないですか? つまり、それだけこの曲に肩入れをしてるってことなんじゃないですかねぇ‥‥

  けどさ、そのタイトルトラックに力を入れすぎたせいか、カップリング曲の方はちょっと‥‥あと一息って感じなんだよね。こっちはアレンジを高橋諭一が務めてるんですが、何となくね‥‥恐らく彼が手掛けた初期の楽曲‥‥ "ドッキドキ!LOVEメール" とか "トロピカ~ル恋して~る" みたいな路線を狙ったんだろうけど、ちょっとピントがずれてるかな、って気が。特にサビメロが弱いから、曲としてのピントが更にぼやけちゃうわけ。やろうとしてることは十分伝わるんだけど、詰めが甘いよね。タイトル曲の完成度が高い分、余計にそう感じちゃう。残念。

  とにかくこの"THE LAST NIGHT"。テレビサイズでは収まらない「物語性」を感じさせる歌詞なので、是非フルコーラスで聴いて欲しいです。レンタルでもいいから、一度しっかり自分の耳で聴いて、それから判断してみてください。今回はいつもよりも言葉少な目ですが‥‥これ以上何を書けばいいのか判らないんですよ。だって、本当にいい曲だと思うし、いいパフォーマンスしてると思うし、何よりもバックトラックの素晴らしさが(CDのカラオケ・バージョンだけでも聴く価値あるかも)。「松浦が歌うバラードをそろそろ聴きたいなぁ」と思ってたのは、何もつんく♂だけじゃなく、この俺もなんですよ。けど、ここまでのモノが来るとは思ってもみなかったよ‥‥

  恐れ入りました。



▼松浦亜弥『THE LAST NIGHT』
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投稿: 2003 09 26 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク

カーネーション『LIVING/LOVING』(2003)

  カーネーション通算11作目にして、3人編成になってから初のアルバム「LIVING/LOVING」。実は俺、カーネーションのアルバムを聴くのって「EDO RIVER」以来なんですよ。だから‥‥(と、手元にあるCDのリリース日に目をやる)‥‥げっ、9年振りですか!? そんなに経つんだ。結構聴いてるつもりだったんだけど、全然聴いてなかったのね。反省。

  それまで5人編成だったバンドからギターとキーボードが脱退して、辛うじてスリーピース編成が残ったわけですが、そういう事も影響してか、内容的には荒々しさと大人の色気が非常に上手くブレンドした素晴らしい1枚になっています。

  前半はどっちかっていうとポップで落ち着いた印象の楽曲が続くのですが、特にブラス(東京スカパラダイスオーケストラの面々)が参加した"春の風が吹き荒れているよ"のポップ感や、"LOVERS & SISTERS"のソウルフィーリングがいいですね。勿論、頭3曲の流れは個人的にもかなり好みなんですけどね。

  ところが4曲目で空気は一変、ヘヴィなディストーションサウンドが格好いい"あらくれ"はまんまタイトルの通り、埃っぽいシンプルなロックンロール。直枝政広のシャウトも若々しさよりも大人の色気を感じさせるもので、何故か先月取り上げたオリジナル・ラヴを思い浮かべてしまいました。ただ、荒々しいサウンドを取り入れても、そこはカーネーション。サビになると甘くて切ない程ポップなメロディが炸裂するんですね。そして再び落ち着いた"永遠と一秒のためのDIARY"。ブルージーというかソウルフルというか、そういうアダルトなバラード。この曲だけ今年1月のライヴテイク。"あらくれ"の後にこのテイクを持ってくる辺りに、彼等のセンスを感じますね。すっげー格好いいし、痺れる。とても20代のバンドには真似出来ない世界観・空気感。

  そして後半戦。攻撃的で荒々しいロックンロールショーが再開します。"COCKA-DOODLE DOOO"、ちょっとファンキーなロックンロール"ハイウェイ・バス"‥‥この2曲を聴いてて思ったんですが、直枝の歌声やちょっとした節回しってHEATWAVEの山口洋に似てないですか? 勿論山口の方がもっと太くてハスキーな声なんですが。特にこの"ハイウェイ・バス"のAメロを聴いてたらそう感じたんですよね。あれ?って。

  2曲走ったところで、更に埃っぽいブルーズナンバー"愚か者、走る"でクールダウン。個人的にはベストトラックですね。いや、捨て曲なしで全部いいんだけど、単純に好みの問題というか。ああ、こういう曲自分で歌ってみたいよなぁ、って。直枝のファルセットといい枯れた感じを上手く表現したギターといい、とにかくお見事。そしてちょっとだけテンポアップして、黒っぽいロックンロール"BLACK COFFEE CRAZY"。シンプルな曲は徹底的にシンプルなアレンジで、コード進行的にも基本はスリーコードなんだけど、サビになると「カーネーションらしさ」が炸裂しまくるという。その辺が数いるロックバンドとの違い。続く"USED CAR"も真似出来そうで実は簡単には真似出来ないという、ホント独特な色を持った曲。アルバム最後もブルージーなロックンロールナンバー"OOH! BABY"で閉めるという構成。頭3曲がちょっとお洒落な雰囲気を醸し出していたので「3人になってもサポートメンバーを迎えたりして、凝ったことをやっていくのかな?」と思わなくもなかったんですが、その後の展開は上記の通り。最後まで通して聴いてしまうと、決して頭3曲が浮いているわけでもなく、むしろ統一感がしっかり出てるなと再認識できるんですよね。徐々に体温を上げていくような、そんな構成というか。スロースターターという表現が合っているかどうか判りませんが、例えば「国産車やスポーツカーみたいなスタートダッシュで勝負をつける」ような若手バンドのそれと違って、カーネーションの新作の場合は「アメ車」的な印象を受けるんですね。勿論これ、最大級の誉め言葉ですよ。でも普通のアメ車と違って、日本人が乗りやすいように要所要所を改造してるという。その辺が「大味なアメリカンポップ」との違い。日本人による、日本人ならではの味わいといいましょうか。そんなところがこのアルバムの魅力なんじゃないでしょうかね。

  もしかしたら俺、10年前だったらこういうアルバムをこんな感じに楽しむこと、出来てなかったかもね。それって結局、俺も歳を取ったってことなんでしょうかね? だとしたら‥‥俺は歳を取ることを決して恥じたりしないし、むしろ大歓迎ですね。ここ数ヶ月のオススメ盤はこういった「30代後半以上の大人が鳴らすロック」を取り上げてきましたが、ホントしっくりくるんですよね。今年の秋はこのアルバム聴きながらドライヴしまくりたいです。



▼カーネーション『LIVING/LOVING』
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投稿: 2003 09 26 12:00 午前 [2003年の作品, カーネーション] | 固定リンク

2003/09/25

RIDE『WAVES』(2003)

今この時代にRIDEの凄さ・良さを伝えるには、どういう風に言えば上手く伝わるんでしょうねぇ? 「MY BLOODY VALENTINEと共に'90年代初頭のUKシューゲイザー・シーン(そんなシーンあったか?)を支えた4人組」、「その後ボーカル/ギターの奴がOASISに入ってベース弾いてる、そんなブリットポップの元祖的存在」、あるいはもう純粋に「轟音の中にもUKバンドらしい繊細さが存在する、素晴らしいギターロックバンド」と言った方がいいのか‥‥この時期に活躍したバンドで結局その後伝説的に有名になってしまったのはSTONE ROSESとHAPPY MONDAYS、それと今でも現役で頑張るPRIMAL SCREAMくらいになっちゃうのかなぁ。RIDEというバンドがそこまで重要視されて雑誌の表紙を飾るなんてこと、今じゃもう有り得ないもんなぁ‥‥

というわけで、ここ2年くらいの間に一部で「RIDE再評価」熱が高まりつつある中、2001年のベスト盤&ボックスセットに続き、2003年という時代に唐突にリリースされたのが今回紹介する「WAVES」というアルバム。サブタイトルにあるように、イギリス国営放送BBCの「RADIO 1」で放送されたスタジオライヴ5回分の演奏、合計17曲がここに収められているわけです。

時期的にも最初のEPをリリースした直後の1990年2月というごく初期から、サードアルバム「CARNIVAL OF LIGHT」リリース前後である1994年7月までの約4年間、それらの音源が収録年代順に並んで収録されている、さながら「ライヴで追うRIDEの歴史」的な内容になってるわけです。特に彼等はバンド存続中、公式ライヴ盤というのが一枚もなかったし(非公式で「LIVE LIGHT」というのがあったけど、あれも今では廃盤だし)、一昨年出たボックスに入ってた「LIVE - READING FESTIVAL 1992」というのもありましたが、あれも限定盤だったので今では手に入りにくいし。そういう意味では今回のリリースは広い範囲の時期で収録されているんで、解散後にファンになった人にとっては非常に有り難い1枚なのではないでしょうか?

とはいってもこのアルバム、純粋なライヴアルバムとは違うんですよ‥‥まずスタジオライヴってことで、オーディエンス一切なし。つまりバンド4人がライヴ演奏してるだけ。臨場感に欠けるかもしれませんが、バンドの持ち味は存分に堪能できるはず、それももうひとつ、ラジオ放送を意識してかフェイドアウトで終わる音源が幾つかあるんですよ。特にド頭"Like A Daydream"でいきなりですから‥‥あの名曲で! ちょっとガックリしてしまうんですが、まぁRIDEのライヴがどんな感じだったかはそれでも伝わるんじゃないですかね。

ホント、このアルバムの面白い点は収録年代が曲を追う毎に進んでいくんで、サウンドの変化・楽曲の柔軟性・バンドのスタイル・アーティストとしての成長がたった75分の間に味わえちゃうわけですよ。デビュー間もない頃の完全にシューゲイザー・バンドであった頃の音源(4曲。他に"Dream Burn Down"、"Perfect Time"、"Sight Of You"を収録)、ファーストアルバムリリース後、既にシューゲイザー路線から幅を広げつつあった1990年9月の音源("All I Can See"、"Decay"、"Severance")、更に数歩前進したセカンド「GOING BLANK AGAIN」リリース時、1992年2月の音源("Time Of Her Time"、"Not Fazed"、"Mouse Trap")、その後のOASISにも通ずる「男気ロック」路線へと移行していく過程の1993年2月の音源("Birdman"、"Walk On Water"、"Since Then"、"Crown Of Creation")、そして音楽的にもビルドアップしたサード「CARNIVAL OF LIGHT」リリース前後である1994年7月の音源("Let's Get Lost"、"1000 Miles"、"I Don't Know Where It Comes From")。ブロック毎に区分けして解説すればそれなりに違いや成長を指摘することもできるでしょうけど、こうやって1枚にまとめて、しかも続けて鳴らすと自然に聴けるんですよね。その成長が急激な変化ではなくて、徐々に、着実に変化していったんだなぁとこのアルバムを聴いて再確認しました。だってアルバムラストの"I Don't Know Where It Comes From"が終わった後に、再びトップの"Like A Daydream"や"Dream Burn Down"に戻ると‥‥サウンドだけ取ると完全に別のバンドみたいですからね。

けど‥‥そういう風に自然に聴けちゃうっていうのは、やはり楽曲の素晴らしさであり、メロディの親しみやすさだったりするんでしょうね。2003年の今、デビュー時から既に13年以上経ってる訳ですが、全然色褪せてないですからね。スタジオ盤だと多少時の流れを感じさせるサウンドプロダクションがあったりするもんですが、ことライヴ盤になるとそんなに違和感てないですからね。単純にカッコイイ。後期の、ある種その後アンディ・ベルが結成したHURRICANE #1にも通ずる男泣きの世界観もカッコイイし、初期のただひたすら轟音を鳴らす世界観もカッコイイ。そしてそういったサウンドプロダクションの中心にあるメロディ、これもひたすらカッコイイ。そう、RIDEってこんなにカッコイイバンドだったんだよ、みんなもっと気づいてあげてよ!

あの当時、ローゼズとかハピマンが苦手で、とにかくひたすらRIDEやJESUS JONESやEMFといったバンドばかりを追っていた俺。結局あれから13年経った今でもよく聴くのはローゼズやハピマンではなくて、RIDEやJESUS JONESだもん。やっぱり心底好きだったんだよね。

再結成は望んでないけど、もっとこういった「お宝音源」が発掘されて世に出てくれないかな、と当時のファンは切に願うわけです。

みんな、もっとRIDE聴こうよ! RIDEを評価しようよ!



▼RIDE『WAVES』
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投稿: 2003 09 25 04:10 午後 [2003年の作品, Ride] | 固定リンク

2003/09/24

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『MUSICAL FROM CHAOS』(2003)

  菊地成孔率いる大所帯のファンク/ジャズ/ダンス・バンド、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。間もなく第二期メンバー編成によるスタジオ新作が発表されますが、これはそれに先駆けてリリースされた「第一期メンバー編成による集大成」と呼べる2枚組ライヴアルバム。しかもこれがただのライヴアルバムじゃないのね‥‥ディスク1には同じ曲("CATCH22")のいろんなライヴ会場でのテイク5種類が、ディスク2には「IRON MOUNTAIN MENU」と題された「アイアンマウンテン報告」のショートバージョンといえる6曲が収められています。

  つうかディスク1‥‥ジャズなんかにはこういう「同じ楽曲のテイク違い」を集めた作品ってよくあるんですか? いや、俺はジャズに疎いんでアレなんですけど。クラブ系‥‥ダンスミュージックだったら、こういったバージョン違いを集めたEPなんてのはよく見かけますよね。リミックス違いみたいなのを集めたやつ。けどさ、リミックスって曲によって編集する人が違ったりするじゃない。DCPRGの場合は同じメンツで同じ曲を演奏してるんだけど、その日その日で導入部が全然違ってたり、メインとなるリフだけが一緒で後は全てその場でのアドリブだったり。ま、これは指揮する菊地氏によって全て構成等が変わってくるんでしょうけどね。

  これだけ同じ曲を5回も、しかも70分強も聴き続けて飽きないか?と思われるでしょうが、実際聴いてみると「オープニングで脳がグラグラして悪酔いしそうになる」けど(変拍子とツインドラムによるポリリズムが原因でね)、5曲どれもが同じ曲には聞こえないんですよね。多分知らないで聴いたら全部別の曲だと認識しちゃうんじゃないでしょうか。各楽器のソロパートにしろ決して同じ場所に同じ楽器がソロを取るわけじゃないし、例えばブラスがユニゾンになるパートなんてのも何度か登場するんだけど、それすら時々お決まりのフレーズが登場するくらいで、後は完全にその場でのアドリブといった印象が強いですしね。菊地氏のCD-Jを使ったサンプリング・ネタも毎回違ってますし。

  毎回決まったセットリスト・同じソロ・同じ決めフレーズ。そういったライヴもエンターテイメント面からすれば楽しいですよね。実際、そういったアーティストのライヴに求められるのって、そういう「ある種マンネリともいえるお約束」かもしれないし。でも、それとは対極にいるDCPRGのようなバンドも俺は素晴らしいと思うし、楽しいと感じるんです。いわば「器だけ一緒で、中身は毎回何が入ってるか判らない」びっくり箱的ライヴ。全編新曲を演奏する実験的なライヴと読んでもいいかもしれませんね。これを先のようなエンターテイメント性豊かなバンドがやったとしたら‥‥どうなるんでしょうね? ま、結局は個人個人の楽しみ方であったり価値観であったり、そういった要素が関係してくるでしょうから一概にどうとか決められませんけどね。DCPRGだって、そういうバンドだっていう認識が観る/聴く側にあるから楽しめるのかもしれませんしね(それを求めて楽しみに行ってるわけだし)。苦手な人はとことん苦手でしょうけど。

  ディスク2の方の話題も少し。DCPRGは単独ライヴ以外、イベント等に出演する時はよく「アイアンマウンテン定食」と呼ばれる「アイアンマウンテン報告」アルバムのソートバージョン的内容のライヴをします。このディスク2に収められたライヴは曲によって収録場所が異なりますし、ワンマンライヴで録音されたものが殆どなのですが、こういう形で編集されると正しく「アイアンマウンテン定食」といった流れになってますよね。まぁライヴ盤というと昨年暮れに「DCPRG3/GRPCD2」というリミックスアルバムの初回盤に、6曲入りライヴアルバムがボーナスディスクとして付いてましたが、若干曲目は被るものの、あっちと合わせて聴くと‥‥本来の単独ライヴみたいな流れが掴めるんじゃないでしょうか。ま、本当はもっと1曲1曲のアドリブが長かったり、菊地氏の饒舌振りが味わえたりするんでしょうけどね。

  そうそう、このアルバムにはもうひとつ売りがあって、それは菊地氏が所属するもうひとつのユニット、SPANK HAPPYで発表された曲、"ホー・チ・ミン市のミラーボール"のDCPRGバージョンが収録されていることでしょう。本来はDCPRGのセカンドアルバム用の曲として用意されたこの曲、結局当時(2001年後半~2002年)起こったいろんな出来事が原因でレコーディングは中止され、この曲はSPANK HAPPY用にリアレンジされて発表されることになるのでした。恐らく菊地氏のファンなら両方聴いてるでしょうから、その違い・各ユニットの持ち味を活かしたアレンジにニンマリすることでしょうね。俺ですか? どっちが好きとか比べられないって。エレポップ・ユニットとファンク・ジャズ・ダンス・ビッグバンドだよ!? 全くの別物として楽しむことにしてます。

  というわけで、約2年に及んだ第一期編成による「アイアンマウンテン報告」に伴う一連のリリースは、リミックス盤「DCPRG3/GRPCD2」(現在は「DCPRG3/GRPCD1」というタイトルで、1枚モノとして流通してます)とこの「MUSICAL FROM CHAOS」の発表をもって一応の完結となります。さぁ、第二幕はもう今週末スタートですよ!



▼DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『MUSICAL FROM CHAOS』
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投稿: 2003 09 24 12:00 午前 [2003年の作品, DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN, 菊地成孔] | 固定リンク

2003/09/19

ANDREW W.K.『THE WOLF』(2003)

ANDREW W.K.の約2年振りとなる2枚目のアルバム『THE WOLF』がリリースされました。海外では01年秋にリリースされたファーストアルバム『I GET WET』ですが、ここ日本では昨年2月のリリースだったので、まだ1年半なんですよね。その間にも3回くらい来てるから、非常に満腹感を感じていたんですが‥‥そんな我々の「もういいよ」感で一杯のお腹を力ずくで殴り倒すんじゃなくて、柔軟性を持ったいろんな方法でまたライヴへ行きたくなるような方向へ持っていく、非常に優れ物な1枚に仕上がってます。

ANDREW W.K.というと、どうしてもあのショッキングな「鼻血ジャケ」のイメージが強く、更に「やたらとタイトルに『Party』という単語が登場する」という如何にも「ただのロック馬鹿兄貴」というパブリックイメージを植え付けられてしまってるわけですが、今回の新作ではそういったイメージを引継ぎつつも更に次の地平へと進み始めたことを力強く宣言してるんですね。

ファーストの時点でANDREW W.K.のサウンドをよくDEF LEPPARDといった「如何にも80年代的なビッグ・サウンドプロダクションのハードロック」と比較してたりしましたが、その傾向はこのセカンドでも更に強まっていて、例えば全ての楽器をアンドリューが担当し多重録音していった点もLEPPS的といえなくないし、更にドラムは完全に打ち込みですから、この人工的リズムトラックは正に「HYSTERIA」以降のLEPPSと同方向にあると言っていいでしょう。ファーストシングルとなった「Tear It Up」なんてまんまLEPPSの流れにある1曲ですしね。

更に今回は、そんなLEPPSもお手本にしたQUEENやMEAT LOAFといった「ドラマチックな展開を持つサウンド」からの影響もかなり見受けられます。ポップな異色作「Free Jumps」はどことなくQUEENからの影響を感じるし、既に名バラードの仲間入りを果たしたと言える「Never Let Down」なんてイントロの大袈裟な展開からしてMEAT LOAFだし。楽曲そのものはホント'80年代的なんだよね。こんな時代にこういった曲を聴ける喜び。ホント素晴らしい。

勿論これまでの流れにあるファストチューン「Long Live The Party」や「Your Rules」といった曲もあるんだけど、前作以上にピアノやキーボードの音量が大きくフィーチャーされていて、本当に煌びやかで派手といったイメージが増幅されてるんだわ。これが人によっては鼻についたりして苦手ってことになりかねないわけだけど。特にANDREW W.K.を「次世代ラウドロック/リフロックの救世主」みたいに思ってた人にとっては「The Song」や「Really In Love」みたいなメロウで聴かせる曲をどう受け取るんでしょうね?

ファーストは正にジャケット通りの音/内容でした。いや、ああいう暴力的という意味ではなくて、あれすらもエンターテイメントなんだよ?という、ね。で、今度のアルバムジャケットは‥‥色男振りをアピール。自分の顔のアップをジャケットに用いるなんてある意味ナルシストか自分にかなりの自信を持っている証拠。そしてそんなジャケット通り、このアルバムの内容は本当に彼が自信を持って我々にオススメするものなんだろうね。俺はこういうロックを聴いて育ってきたんだよ、このアルバムはそんな俺に影響を与えたロッカー達への恩返しなんだよ、だからみんなで「I Love Music」と歌おうよ‥‥みたいな。いやーまさかANDREW W.K.のアルバム聴いて、こんな感動的な気持ちになるんなんて思ってもみなかったよ。

そういえば、11曲目の「The End Of Our Lives」を聴いてると、思わず「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じるぅ~こと♪」って歌いたくなるのは俺だけでしょうか?

冗談はさておき‥‥ホント、今年一番ビックリしたアルバム。そして安心して何度もリピート出来る1枚。



▼ANDREW W.K.『THE WOLF』
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投稿: 2003 09 19 12:00 午前 [2003年の作品, Andrew W.K.] | 固定リンク

2003/09/18

SUPERSNAZZ『INVISIBLE PARTY』(2003)

  SUPERSNAZZの約2年振り、通算5作目(まだ5枚かよ!?)のオリジナル・フルアルバム、「INVISIBLE PARTY」。とにかく文句なしにカッコイイ。ガールズバンドで(とはいいながらも、ギターとドラムは男性だったりするんですが)ここまで世界的に活躍し、そのカッコ良さを損なわずにいるギターロック/パワーポップバンドは多分少年ナイフとSUPERSNAZZくらいじゃないでしょうか。個人的趣味からいうと少年ナイフはちょっと違うんですが、このSUPERSNAZZはもうドンズバのストレートなんですよ。適度にパンキッシュで、ガレージ色が強めで、バブルガム・ポップみたいな甘いメロディがあって、演奏がしっかりしてて‥‥文句なしだよね。つうかこれをカッコイイと言えない人の感性を疑うねマジ。

  たった10曲、30分ちょっとで聴けてしまうアルバムなんですが、気づくと何度もリピートしてるんですよね。ところで今回のアルバム、ちょっとこれまでと違った印象がないですか? 何かね、弾け具合がちょっと後退したような気が‥‥いや、悪いって意味じゃないのね。その分楽曲のクオリティがかなり向上してるし、そして何よりも‥‥全体的に「重心が低い」というか、「腰を据えた」サウンドだな、という気がするんですよ。テンポ的なのもあるのかもしれないけど、もの凄く「歌/曲を聴かせる」姿勢が強く感じられるのね。例えばパンクやガレージバンド的な初期衝動性よりも、もっと熟練したバンドならではの味わいというか。これ、絶対に否定とかじゃないんで間違わないで欲しいんだけど‥‥バンドを10年以上持続させる上で必要な変化を常にポジティブに受け入れ、そして貪欲な姿勢で成長を続けた結果、そういった初期衝動性と引き換えに「音楽的成長」を手に入れたのかな、って。勿論、パンキッシュな曲もガレージ色の強い曲も入っているんですが、それ以上に耳に残るのは淡いメロディを持ったポップナンバーばかり。だからこそ、このアルバムは何度も聴き返したくなるし、口ずさみたくなるんだよ。

  サブタイトルに「ドリーミー・ガレージポップ」なんて名前を付けてみたけど、ホントそんな例えがピッタリはまるアルバムなんだよね。"There He Goes"で勢いよく始まるんだけど、エルヴィス・コステロのガールポップ版と言えなくもない"Shelter"や'80sポップソングみたいな印象のタイトルトラック"Invisible Party"と続き、その後もグラム色を感じる"Mr.Crazy"、アンセムソング的な"R&R Is Here"、パンキッシュな疾走チューン"Bad Letter"、極上のバブルガム・ポップ"Crying Over You"や"Calling You"、ラストを飾る元気のいい"Open Your Eyes"等々‥‥どれを取っても文句なしにカッコイイ。いや、さっきからカッコイイしか口にしてない気がするけど、そう思わせるだけの内容なんですわ。現在のメンバーでは2枚目となるんですが、今回は完全に4人でゼロから作り上げた作品なので気合いも違うでしょうし、何よりも「ただ曲を作って録音してアルバムにしました」だけでは済まされない、本当にパワーポップ/ガレージポップとしては極みを感じさせる1枚に仕上がってます。

  聴き終えた後にこちらのインタビューを読んでみたんですが、成る程納得です。多くのジャパニーズ・ガレージ/パワーポップ系バンドが'80年代に否定的なイメージがあるのに対し、このSUPERSNAZZの新作からはいつも以上に'80年代からの影響が感じられたのは、そういうことだったんですね。とにかく一度聴いてから読んでみてください。あるいはこれ読んで興味を持ったら絶対に聴いてみて。本当にカッコ良すぎるくらいにイカすロックンロールバンドだからさ。



▼SUPERSNAZZ『INVISIBLE PARTY』
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投稿: 2003 09 18 12:00 午前 [2003年の作品, SUPERSNAZZ] | 固定リンク

2003/09/17

モーニング娘。さくら組『晴れ 雨 のち スキ♡』(2003)

 今年1月末に発表された「モーニング娘。、2分割」。あの発表から8ヶ月近く経ってようやくリリースされたのが今回のシングル。モーニング娘。さくら組とモーニング娘。おとめ組、シングル同時リリースということで今回は別々にレビューをやってみたいと思います。ま、一緒でもいいわけですが、どうしても比較してしまいそうになるので、別々に、間に休憩を入れて書いてみたいと思います。

  こちらは「さくら組」のシングル、"晴れ 雨 のち スキ♡"。メンバーは安倍なつみ、矢口真里、吉澤ひとみ、加護亜依、高橋愛、紺野あさみ、新垣里沙、亀井絵里の8人。初期1人、2期1人、4期2人、5期3人、6期1人というパワーバランスがどう影響するのか気になっていたんですが、そんなの要らぬ心配だったようです。

  楽曲は勿論つんく♂の手によるもので、アレンジにはお馴染み鈴木Daichi秀行が手掛けているんですが、何度も言うようですが‥‥ここ最近の彼のアレンジワーク、一段と良くなっているように感じます。今年のシャッフル辺りから感じていたことだし、実際に何度もそう書いているので意識して聴いてくれてる人もいるでしょうけど。ホントそう思いませんか?

  楽曲自体はシングルとしてはここ数年なかったような、ストレートで'80年代のAOR的な雰囲気を持つ、壮大なバラード。サウンドやアレンジによる変化球、つんく♂の変なコーラス、変な歌詞や歌い方等、そういったギミックが一切ない「直球勝負」。そしてファルセットを多用した弧線に触れる良メロ。それを盛り上げるのが、高橋と加護による事実上のツートップ態勢。まさかあからさまにこういう形体でくるとは思ってもみませんでした。もっと安定感のある安倍や矢口も同等の扱いをされるだろうと踏んでたのですが、実際聴いてみて印象に残るのはやはり高橋と加護。加護の甘ったるい声と高橋の端正な声とのバランス感が絶妙で、聴いていて全然嫌味じゃないし、むしろ安心感というか温かみを強く感じる組み合わせだな、と。以前にもこういった組み合わせはあったのに、何故に今回こうも強く感じるのか、それは間違いなく楽曲のタイプやファルセット等によるものが大きいのでしょうね。

  勿論、先にも書いたような安倍や矢口も活躍しています。2コーラス目はこのふたりと吉澤が活躍します。特に吉澤の長いソロは随分久し振りな気がしますが、ここでは良い仕事をしてるんじゃないでしょうか。他の5期(新垣と紺野)も出番は少ないものの、的確に自身の個性的な面をアピールしてるように感じられます。6期の亀井に関してはまだちゃんと歌ってるところを聴いてないので、これが亀井か!という強い個性は感じられませんね。藤本美貴は別として、本体でもセンターを取った田中れいなに数歩も遅れを取ってしまった形となりましたが、今後に期待しましょう。

  「モーニング娘。」名義の楽曲としては、本当に久し振りの正統派路線じゃないでしょうか。多分、この辺も少人数化が上手く作用してるんだと思いますが‥‥ここ最近のライヴでのセットリストを見ると、初期の曲が増えていることに気づきます。そして今回のシングルでの音楽性‥‥何となく繋がるものを感じたのは、俺だけじゃないはず。別の項でも書きましたが、15人でやる時は破天荒なことを極限までやり尽くし、2分割の時は正統派路線で楽曲勝負。使い分けてるわけじゃないんでしょうけど、今後の流れとしても何となくこれが定着しそうな気がします。

  更に言わせてもらえば‥‥「さくら組」「おとめ組」として音源をリリースする際、別々のアルバムをリリースするのだけは止めた方がいいと思いますよ。いや、それはそれで楽しみが増えていいんだけど‥‥どうせ同時リリースとか無謀なことするんだったら、これらのシングル曲を「モーニング娘。」本体名義のアルバムに入れてしまえばいいんですよ。あくまで「15人のモーニング娘。」に包括される形での「さくら/おとめ」だと。アルバム自体がシングルの寄せ集め化しつつある昨今、アルバム用の新曲を書く時間が足りなかったりくだらない企画モノを入れるくらいなら、徹底的に「全曲シングル曲」的構成で突き通してしまえばいいんですよ。"AS FOR ONE DAY"があって"シャボン玉"があって、さくら組とおとめ組の2曲がある。曲の振り幅も大きいし、アルバムを買う方も知ってる曲/ヒット曲が多くて嬉しいだろうし(あくまで普段シングルをあんまり買わないような一般層へのアピールって意味でね)、何よりも「これら全部がモーニング娘。」という強い主張にもなる。俺は絶対にこっちの方がいいと思うんだけど。

  最後にカップリング曲にも触れましょう。2001年のヒット曲"でっかい宇宙に愛がある"のリアレンジ&さくら組ボーカル・バージョン。オリジナル・バージョンは鈴木俊介のアレンジでしたが、今回は高橋諭一がリアレンジを担当。非常に彼らしい、面白い曲に仕上がってます。ビートルズ・ライクというか‥‥ "Hello Goodbye" とか "Penny Lane" 辺りのサウンドを彷彿させるアレンジで、ちょっと第二期タンポポに歌わせてみたいかも、って気がします。この曲って、結局大人数の娘。がユニゾンで歌うからよりパワフルになるわけですが、ここでは8人が数チームに分かれてパート毎に歌ってるような印象で‥‥ちょっと弱っちぃイメージ。アレンジ自体は面白いと思うし嫌いじゃないんだけど‥‥原曲の完成度が高い分、もっと解体してから組み立て直した方が良かったかも‥‥って気がしました。ま、この辺は聴く人によっていろいろ感想が変わるでしょうけどね。

  というわけで‥‥これらの楽曲を『「セカンドモーニング」辺りの音楽性が一番好きで最近の音楽性はレベルが低いって思ってる人』は高く評価しないと思いますが(結局は何やっても批判の対象ですしね、もう)、ここ最近の流れを『上向き』と素直に感じられる人なら間違いなく満足出来る仕上がりだと胸張って言えます。



▼モーニング娘。さくら組『晴れ 雨 のち スキ♡』
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投稿: 2003 09 17 12:05 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。, モーニング娘。さくら組] | 固定リンク

モーニング娘。おとめ組『愛の園 ~Touch My Heart!~』(2003)

  今年1月末に発表された「モーニング娘。、2分割」。あの発表から8ヶ月近く経ってようやくリリースされたのが今回のシングル。モーニング娘。さくら組とモーニング娘。おとめ組、シングル同時リリースということで今回は別々にレビューをやってみたいと思います。ま、一緒でもいいわけですが、どうしても比較してしまいそうになるので、別々に、間に休憩を入れて書いてみたいと思います(‥‥と、ここまでは使い回しで申し訳ないです)。

  こちらは「おとめ組」のシングル、"愛の園 ~Touch My Heart!~"。メンバーは飯田圭織、石川梨華、辻希美、小川麻琴、藤本美貴、田中れいな、道重さゆみの7人。初期1人、4期2人、5期1人、6期3人という内訳だけみるとそのパワーバランスに疑問を抱いてしまいますが、6期には藤本も含まれているから、実質新人は2人、しかも田中は既に"シャボン玉"でセンターを張る程。そういう意味ではバランス的にはさくら組にも劣らないはず。個人的に気に入っているメンバーが多い(飯田、石川、辻、小川、藤本、田中、道重‥‥って全員かよっ!)こともあり、こっちに肩入れしてるんですが、まぁそれと楽曲の評価はまた別物なので‥‥

  楽曲は勿論つんく♂の手によるもので、アレンジは鈴木俊介が担当。ちょっとラテンも取り入れつつ、基本的にはベースのスラッピング(しかも弾いてるのは元・爆風スランプの江川ほーじん!)がバキバキと気持ちいいアッパーなダンスチューン。コーラスにも外人女性ボーカル(多分ZYXの曲に参加してた黒人女性ふたりだと思われ)が加わっていることもあって、必要以上にゴージャス感が漂ってます。唯一つんく♂がコーラスにも参加してるのがこの曲なんですが‥‥あんまり目立ってませんよね? そういう点からも、多くの人が「マトモだ‥‥」といってこの曲を評価してるのかもしれませんね。

  さくら組 "晴れ 雨 のち スキ♡"同様、この曲も直球ですよね。変なギミックがなく、純粋に楽曲のパワーとメンバーの個性&歌で押し通すタイプ。ある意味剛速球と呼べなくもないですが、まぁ本体を160キロも出る変化球だとすると、今回は150キロ前後のストレート真ん中といった感じかな。とにかく聴いてて変な恥ずかしさがない。例えば"シャボン玉"が有線でかかったとすると、その場が一瞬にしてパチンコ屋か場末のピンサロへと変わってしまうような強烈な磁場を持っているわけじゃないですか(「ないですか」って誰に同意を求めてるんだよ俺)。しかし、今回のさくら組やおとめ組の曲が有線でかかっても特にそういった気恥ずかしさは感じずに済むんですよ。逆に「これ、誰の曲ですか?」と質問されるくらいで(ってこれは実体験。職場で本当にあった話。場末のピンサロの例えも含む)。そういう可能性というかパワーを持ってるのか、今回の2分割によって誕生した楽曲の数々だと思うんですね。

  メインを務めるのは‥‥多分、石川・藤本・田中、ということになるんでしょうか? 自分の思い入れを抜きにしても、サーッと流し聴きして一番耳に飛び込んでくるのが、この3人の歌声なんですね。ま、石川の場合は別の意味で「耳に残る」わけですが、今回に関しては特に耳障りの悪さは感じられず、むしろ藤本と田中による「パワーゲーム」の合間に現れる「水の枯れたオアシス」というか‥‥ありゃ、全然癒し要素になってないや。まぁそんな感じで(‥‥)相変わらずいい意味でも悪い意味でも目立ってしまう石川の歌な訳ですが、俺は今回そんなに悪いと思いませんでした、と。逆に辻や小川がもっと目立ってもいいかなぁ、という気がしないでも‥‥いや、辻は強い個性を持ってるんですが、小川はちょっと劣るんですよね。一番弾けて欲しいメンバーのひとりなのに。飯田は可もなく不可もなくといった印象。ソロで歌う場を与えれれてる分、自分の役目を地味ながらも的確にこなしてるってとこでしょうか。道重は‥‥このまま頑張れ!

  カップリングはさくら組同様、"でっかい宇宙に愛がある"のリアレンジ&おとめ組ボーカル・バージョン。バックトラックは同一で、高橋諭一の手によるもの。こうやって同じ曲で歌ってる人間だけ違うっていうの、止めません? 最初俺、両方ともアレンジャーが違うって聞いてたんですが(実際、そう載ってた雑誌もあったはず)‥‥絶対に比べられちゃうじゃんか、同日発売なのにさ。どっち側は誰が足を引っ張ってるとか、どっちの方が安定感があるとか‥‥個人的には今回、そういった比較は止めたいと思います。正直興味ない。ただ、両方とも普通に聴く分には楽しめました。それで十分じゃんか。

  さとて‥‥さくら組とおとめ組、両方を聴き終えた後の感想ですが‥‥やはり現時点においても「どっちの方が好き」っていう答えは出せずにいます。正直、今回はこのまま答えが出ないんじゃないか‥‥そんな気さえします。タイプの違うふたつのグループが、全く正反対なタイプの楽曲をリリースした。両方とも自分のアンテナに引っ掛かった。それで十分だよ、俺は。



▼モーニング娘。おとめ組『愛の園 ~Touch My Heart!~』
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投稿: 2003 09 17 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。, モーニング娘。おとめ組] | 固定リンク

『ロッカーズ』オリジナルサウンドトラック盤(2003)

  陣内孝則初監督作品、「ロッカーズ」の公開が迫ってますが、それに先駆けて映画のサウンドトラック盤が今月発売になりました。先日、本家TH eROCKERSを取り上げたばかりですが、今回はそのサントラ盤を紹介してみたいと思います。これがね、ただのサントラと思って見過ごすとホント勿体ない1枚なんですよ‥‥

  映画の方はご存じの通り、最近人気の若手俳優5人(中村俊介、玉木宏、岡田義徳、佐藤隆太、塚本高史)がバンド「ロッカーズ」役を演じるわけですが、他にも玉山鉄二等が出演してるんですね。はい、ここまで聞いて「おお!」と唸った人、テレビの観過ぎです。過剰に反応し過ぎ。「ウォーターボーイズ」に「木更津キャッツアイ」に「百獣戦隊ガオレンジャー」かぁ‥‥とか言わないそこ。

  で、そういった若手俳優が実際に映画の中では楽器を弾いているわけですが(とりあえず玉木以外はそれぞれの楽器、経験者ですしね)、実際にサントラの方で彼等のパートを演奏しているのは、かのROCK'N'ROLL GYPSIES‥‥つまり、ロッカーズとはライバルといっていいだろうTHE ROOSTERZの面々なわけですよ。ルースターズのメンバーがロッカーズの曲をプレイする、これだけでも一大事なのに、更にサントラ盤の方ではそのロッカーズの代表曲("どうしようもない恋の歌"や"恋をしようよ")まで新録で収録されている、しかもそれを歌うのが花田裕之ではなくて、映画で陣内役を務める中村俊介なんだから‥‥この辺は賛否両論あるだろうけど、個人的には「映画のサントラ」という特殊なシチュエーションなわけだから、全然許せるんだよね。一種お祭りみたいなもんだしね。

  実はこのサントラのプロデュースを手掛けるのが、かのスマイリー原島。フジロックに行ったことがある人ならご存じかもしれませんね、あのグリーンステージで司会をやってる人です。この人、'80年代の「めんたいロック」シーンでも切っても切り離せない存在なんですね。そんな彼にプロデュースを託した陣内‥‥やるな、と。もうこれだけで個人的には安心なんですけどね。

  勿論ロッカーズの曲も多数収録されてますよ。ROCK'N'ROLL GYPSIESをバックにPOTSHOTのRYOJIが歌う"ロックンロールレコード"(コーラスにはそのスマイリー原島や、元SOUL FLOWER UNIONのうつみようこ等が参加)や、中村が歌う"キスユー"~"ジャッキー"のメドレー、テレビでも披露済み"可愛いアノ娘"、"ショック・ゲーム"といった代表曲の数々。演奏は文句なしにカッコイイ。歌は‥‥この程度なら別に気にする程でもないかな、と。そりゃもっとカッコ良くて上手いシンガーはいるけど、意外と陣内の歌い方や癖を真似してるんだよね、中村の歌。曲名を叫ぶところとかカウントする声とか、ちょっとした節回しとか特に。その辺は非常に好感持てるかな、と。やっぱり役者だね。

  それ意外には最近知名度を上げつつあるバンド‥‥勝手にしやがれやゴーグルエースといった若手、POTSHOTやザ・スリルといったベテラン勢も参加して華を添えてます。そのザ・スリルが玉山をシンガーに迎えてカバーする"ソーダポップ"。これ、「めんたいロック」の裏番長的存在として君臨する、知る人ぞ知るといった存在、モダンドールズのカバー。このバンドについては後日レビューで取り上げますので、知らない人はその時までお待ち下さい。とにかく、このバンドの曲を入れるということに個人的には感慨深いものを感じますね(とかいって、俺もにわかファンなんですが)。あと、GYPSIESバックに中村が歌う"メリージェーン"のカバー。これも笑った。ワンコーラス目は普通にバラード調なんだけど、途中から‥‥まぁ後は聴いてのお楽しみってことで。パンクにありがちな、あの展開ですよ、ええ。それをGYPSIESがやるんだから、もうね。

  そういえばここに参加してるThe TRAVELLERSってバンド。メンバーに武田真治の名前があるんだけど、ギター&ボーカルの人の名前も武田圭治っていうんだわ‥‥兄弟? って兄弟なのは間違いないみたいだけど、あの武田くんとは同姓同名の別人でした(→オフィシャルサイト)。ああ、このバンドも福岡のバンドなのか。成る程ね。そういう「新しい繋がり」も取り入れつつ(恐らくスマイリー原島のアイデアだろうね)、過去と未来を繋ぐサントラ盤‥‥ただの「過去の振り返り」系とか同窓会で終わってないところがさすが。

  サントラにありがちなインストナンバーも数曲入ってるんですが、それを担当するのが朝本浩文であったりキハラ龍太郎(元オリジナル・ラヴのキーボードの人ですよね?)や鈴木俊介(ハロプロ界ではお馴染み)等といった、その筋では有名な方々ばかり。特にキハラと鈴木による"アメイジング・グレイス"はなかなかの出来かと。鈴木のギターがかなりいい感じですね。

  最後に総括。企画モノとしては非常によく出来たアルバムだと思います。勿論リアルタイム通過組は「こんなので満足してるなんて、ありえねー!」とか怒ってるかもしれませんが、これって結局「今の若い子達」に向けて発してるんじゃないの? 映画にしてもさ、だからああいった若手人気俳優陣を起用したんだと思うし。そういう意味では俺、この企画は大成功だと思いますよ。勿論、映画の方はまだ観てないんでオールOKとは言い難いですが‥‥

  けどね‥‥やっぱり一番最後に入ってる本家ロッカーズの"涙のモーターウェイ"(多分「LIP SERVICE」バージョン)になると、急に胸がキューンとなっちゃうんだよね‥‥これって結局、俺が年寄りだってこと?



▼『ロッカーズ』オリジナルサウンドトラック盤
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投稿: 2003 09 17 12:00 午前 [2003年の作品, Compilation Album, ロッカーズ] | 固定リンク

2003/09/16

KORN『DID MY TIME (EP)』(2003)

'90年代のアメリカが生んだ『暗部』のひとつと言えるだろうKORN。そんな彼等も現在までにアルバム5枚リリース、とかなり順調に活動していて、早くもこの秋には初セルフプロデュース作となる6枚目のアルバムがリリース予定。それに先駆けてこの夏リリースされたのが、今回取り上げるシングル"Did My Time"。一部で(?)話題のアクション映画「トゥーム・レイダー」続編のテーマ曲として採用され、映画でも流れているようですね(日本公開はこれからなので、実際にどの辺りで流れているのかは判りませんが。ま、そもそも観に行かないと思いますが)。アメリカでは既にメガバンドのひとつとして数えられる彼等、前作「UNTOUCHABLES」ではそれまでのような難解さが薄れ、よりメロウで聴きやすく、更に爆音の壁も崩壊し、隙間すら伺えるスペーシーな側面すら見せる方向転換で我々を驚かせましたが、続くニューアルバムではどうなっているのか‥‥たった1曲で次のアルバムの方向性を占うのはちょっと厳しいとは思いますが‥‥

そう、このシングルには純粋な新曲はたった1曲しか入っていないんですよ。全3曲入りですが2曲はタイトル曲のバージョン違い、残る1曲もカバー曲ですから。そういった意味では本当にこれ1曲でアルバムの方向性は伺い知ることは出来ないと思います。しかしここで聴ける"Did My Time"という曲は、前作のサウンドプロダクションや方向性の延長線上にある作風と断言しても間違いではないでしょう。映画のサントラ用ということで最もポピュラリティの感じられる楽曲を選んだのだと思いますが、それと同時に「KORNらしいサウンド」を誇示する楽曲でなくてもいけないわけで。そういう意味では「今のKORN」を象徴する1曲と言っても過言ではないでしょう。ドラムサウンドは前作同様非常にタイトで、ギターリフにしても空間を埋め尽くすような類のものではなく、グルーヴ感はこれまで同様大切にしながらも非常に「隙間・空間」を重視したアレンジになってるように感じます。バックの演奏が強く自己主張していた初期の頃と比べると印象はちょっと薄くなっているんですが、その分歌(メロディ)が完全に前に出てきてるんですよね。勿論この辺の変化は3作目「FOLLOW THE LEADER」の頃から芽生えてきた変化・成長であり、前作で完全開花したといっていいでしょう。ということは、間違いなく次のアルバムでもこういった「空間を大切にしたグルーヴィーなバックにメロディアスなボーカル」といった方向性は間違いなく重視されてるようですね。

一方、カップリングとなるリミックスではデジロック寄りのバックトラックに差し替えられていますが、まぁこれが新しい方向性とは一概に言い切れないんですよね。というのもKORNは過去にもシングルではこういった類のリミックスは結構取り入れているので、これをアルバムに全面導入するとは‥‥まぁ多少は取り入れてるかもしれませんが、全面的にというのはないでしょうね。楽器隊は根っからのハードロック/メタル好きらしいですから(ということは、こういったエレクトロ方面を好んでいるのはジョナサン・デイヴィスなのか‥‥まんまGUNS N'ROSESと同じような構成だわ)。個人的にはリミックスの方が気に入ってるんですけどね、この曲。

で、最後が問題の1曲。かのMETALLICAの名曲、"One"のカバー。この5月にMTVで放送された「MTV ICON : METALLICA」という特別番組内でのスタジオライヴ音源をそのまま収録したもので、如何にもKORNらしい重厚なアレンジになってます。ま、基本的なアレンジは原曲のままなんですが、所々「ショートバージョン」化していて、例えばイントロが短かったり、途中の間奏やソロパートも短くされてる、最後の一番盛り上がるパート(テンポが速くなる後半部~ギターソロ)なんてバッサリ切られてるし。正しく「寸止め」な1曲。番組の構成上こういう尺になったのか(放送時間の関係でね)、それとも後半部を練習する時間がなかったのかは判りませんが‥‥どうせならフルバージョンで聴いてみたかったなぁ。そういえばKORNって以前もライヴで "Enter Sandman" をカバーしたことなかったでしたっけ? LIMPBIZKITにウェスが在籍してた頃はよく "Master Of Puppets" のカバーはやってたけど‥‥要するに「みんなMETALLICA聴いて大きくなりました」ってことですよね、うん。

‥‥というわけで、次作の参考になったでしょうか? いや、なりませんよね‥‥正直、俺にもどうなってるのか判りませんもの。まぁ‥‥この方向性を維持してくれていれば、間違いなく「悪い方向」には行かないと思いますが。どうせなら大袈裟なまでに聴かせるアルバムを作ってくれたら、いっそ初期の方向性を愛する俺としても諦めがつくんですが‥‥いや、今の方向性も嫌いじゃないですよ? ただね‥‥何か‥‥一時期のMETALLICAみたいじゃないですか、今のKORNって。正に「LOAD」や「RELOAD」をリリースした頃のね。そういう鬱屈をはね除けるような名作を期待してます!



▼KORN『DID MY TIME (EP)』
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投稿: 2003 09 16 12:00 午前 [2003年の作品, Korn] | 固定リンク

2003/09/10

THE WiLDHEARTS『THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED』(2003)

‥‥やっと届いた。いや、発売延期には慣れっこになっていたものの、やはり実物を手にするまでは安心できないんだよね。特に先行リリースされたUK盤はコピーコントロールCDだったこともあって、尚更心配になったのも事実。けどそんなの無用でした。

THE WiLDHEARTSが最後に発表したオリジナルアルバムは'97年11月の「ENDLESS, NAMELESS」。それも活動休止宣言をした後のこと。あれから6年近い月日が経ち、ようやくそれに続くオリジナル・フルアルバムが完成しました。フルアルバムとしてカウントすると‥‥まだ通算4作目という‥‥笑えないな。とにかく約6年振り、そして2001年春の復活以来初となるオリジナルアルバム、それがこの「THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED」という如何にもジンジャーらしいタイトルの付いた11曲(日本盤はボーナストラック2曲追加の全13曲)入り作品集。ここ日本では昨年秋に「RIFF AFTER RIFF AFTER MOTHERFUCKING RIFF」というミニアルバムがリリースされましたが、あれは本国で発表されたシングル "Vanilla Radio"のCD-1&2+7インチに収録された全6曲と、後にリリースされることになる復活第2弾シングル曲 "Stormy In The North - Karma In The South" の計7曲を1枚にまとめた編集盤。単なるシングル曲とそのカップリング曲の寄せ集めなんですね(その割りには1枚のアルバムとしての構成・完成度は異常に高かったですが)。なので本当の意味での復活作はこの「THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED」だということになるんでしょうかね。ま、個人的にはどっちでもいいか、って気がしないでもないですが。

そんなわけでとうとう我々の前にその姿を現した復活アルバム。その内容はというと‥‥確かにどこから切っても「ワイハー印」といった印象の強い、ポップでパンキッシュで親しみやすい粒ぞろいの楽曲が並んでいるわけですが‥‥最初通して聴いた時、期待が大きすぎたからでしょうか、とてもあっさりし過ぎてるように感じたんですよ。というのも‥‥どの曲にも言えることなんですが、非常にコンパクトにまとまってるのはいいとして、とにかく変化球なしの直球勝負ばかりなんですよね。つまり「RIFF AFTER RIFF AFTER MOTHERFUCKING RIFF」でいうところの "O.C.D." とかシングル "So Into You" 収録の "Lake Of Piss" 等といった複雑な構成を持つプログレッシヴな曲がひとつもないんですね。シングルのカップリングでは散々そいうう変化球を放って我々のような古くからのファンを期待させておいて、いざフルアルバムになると全部ストレート球という。だから最初「はっ、こんなもん!?」って呆気にとられちゃったのよ。収録時間も30分ちょっとで更にあっさり聴けちゃったし。

けどね、何故こういう作風にしたのかも判る気がするんですよ。シングルが本国イギリスで好意的に受け入れられ、古いファンだけでなく新しくファンになった子供達も多く増えた。となると、そういった人達‥‥'90年代の彼等をリアルタイムで体験していない今の子供達に向けてアルバムを作ったのではないかな、と。ここ日本でも去年の「SUMMER SONIC」出演が切っ掛けで多くの新参ファンが増え、同年12月の単独公演では初めてワイハーを観たって人もかなり多かったようです。そういう子達に向けて「ひねった変化球」を狙いすまして放つのではなく、「最もワイハーらしいストレート球」を最高のコンディションで全力で投げ込む。このアルバムの狙いはそこにあったように思います。決してそういった複雑な構成を持つ曲が書けなかったわけではなくて、敢えて外したのではないか、と。だって現にシングルにはそういう曲、必ず毎回入ってるわけだし。

それと驚いたことがひとつ。「RIFF AFTER RIFF AFTER MOTHERFUCKING RIFF」ではソングライティングのクレジットがバンド名義になってたんですが、このアルバムではソングライティング、ジンジャー名義が殆どなんですよ。"Out From The Inside" がCJ単独、"So Into You" がジンジャーとCJの共作名義になってるんですわ。「バンド」ということに拘っていたように感じられた昨年までの彼等、今年に入って何か心境の変化でもあったのでしょうか。その原因のひとつなのか‥‥このアルバムにはダニーのクレジットが一切ありません。敢えて「現在のバンド編成」をぼかしてるようにも感じられるのですが‥‥とにかく、ここにきて「これまでの殆どの曲を書いてたのは実はジンジャーだった」という真実が突きつけられたわけです。まぁ全てをひとりで書いたとは思いませんが、とにかくソロシングルよりは面白い曲が沢山生まれてるんで、個人的には安心したんですけどね。

で、以上のことを踏まえた上でリピートを繰り返すこと数十回‥‥ジワジワと効いてきましたよ、俺にも。ド頭の "Nexus Icon" でまずはガツンとやられて、続くBEATLESライクな "Only Love" のメロディにやられ、王道中の王道 "Someone That Won't Let Me Go" にまたまたやられ、シングル曲の再録音である "Vanilla Radio" が更に格好良くなっててやられ‥‥って頭4曲は既に何度もさわりを耳にしていた曲ばかりなのに、決して飽きることなく何度でも惹き付けられてしまう魅力を持ってる。ちょっと落ち着いた印象の "One Love, One Life, One Girl" もジワジワ効いてくるし、THERAPY?のアンディ・ケアンズが参加した2分にも満たない爆走チューン "Get Your Groove On" に失神寸前。後半戦1発目は既に名曲の域に達しつつある "So Into You"、風変わりなリフやギターフレーズが印象深い "There's Only One Hell"、アルバム中最も異色作といえるミドルヘヴィチューン "It's All Up To Me"、「あれっ、もしかしてリードで歌ってるの、CJ?」な "One From The Inside"、そしてアルバム最後を飾るこれまた王道チューン "Top Of The World"‥‥ここまで約30分ちょっと。全ての曲が2~3分前後。4分を越える曲はたった1曲。まぁ日本盤の場合はこの後にボーナストラックが2曲("Stormy In The North - Karma In The South" シングルに収録されていた "Bang!" と "Move On")入って結局40分弱の作品になったわけですが‥‥それにしても集中して聴いてると、あっという間に終わってしまうのがこのアルバム。確かに何度もリピートして聴きたくなる作風ですし、実際何度聴いても疲れないですしね。適度にハード、適度にヘヴィ、そしてそれらを包み込むような甘美なメロディ。今回のWiLDHEARTSはそういう球を選んだってことでしょう。へっ何? いいか悪いか、だって!? そんなの、いいに決まってるじゃないか! 間違いなくこれは「あのWiLDHEARTS」が生みだしたアルバムですよ。そして俺はそんなアルバムに収録された楽曲達を愛していきますよ!

こうなると、ライヴでこれらの曲をどう表現するのか、そして過去の名曲達とどういうバランスで披露されるのか‥‥ちょっと意地悪な見方をしちゃいそうですが、やっぱり12月の来日公演は観なきゃいけないみたいですね。




▼THE WiLDHEARTS『THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED』
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投稿: 2003 09 10 06:39 午後 [2003年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2003/09/09

メロン記念日『MI DA RA 摩天楼』(2003)

  我らがメロン記念日通算10枚目のシングルは、これまでとはちょっと毛色の違ったタイプの楽曲で勝負‥‥って前回の"チャンス of LOVE"レビューをそのまま流用したかのような出だしですが、これが本当なんだから仕方ない。とにかくメロン、全てのシングル曲、どれもてんでバラバラなんだよね。そこが彼女達の凄みであり、逆に言えば一般層に定着しない欠点でもあるんだけど。モーニング娘。や松浦亜弥が成功を持続させる為に、ある程度同じ路線をなぞり続けたり、あるいは同じアレンジャーを連投したりする等の工夫があるのに対し、メロンの場合は10曲10様というか、とにかく同じアレンジャーを連続して使うことは決してしないのね。これはつんく♂の拘りなのか、はたまた「たまたま空いてるアレンジャーを使ったらこうなった」だけなのか。どっちにしろ、だからこそ彼女達のライヴはバラエティに富んでいて楽しめるものになってるわけですが。

  今回は事前の情報として「アッパーなラテンチューン」「久し振りに激しく踊る」「演歌みたいな歌詞」「淫らなんて事がが出てくるけど、実は一途な女の子の歌」等の発言が、彼女達自身の口から語られていたわけですが(ラジオで自らそう発言していたんですよね)、実際にリリースされた"MI DA RA 摩天楼"はアッパーとは決して言い難いミドルテンポ、確かにラテンパーカッションとか入ってるけど‥‥どっちかっていうとフラメンコとかああいったイメージの方が強いかも。アレンジは珍しく高橋諭一が当たっているんですが、スパニッシュ風のガットギターが印象深いバックトラックで、前作"チャンス of LOVE"みたいな安っぽさはあまり感じられないかも。音もそんなに詰め込んでる印象ないし、テンポ的にもこれからの時期にピッタリなんじゃないですかね。歌メロに関しても特に文句ないし。気づくと鼻歌うたってたり口ずさんでたりするような、そんなメロ(だと俺は思ってるんですけどね)。

  歌詞は確かにメロンのメンバーが言うように、「乱れた天女も舞い踊る シーツの中は摩天楼」っていうサビの箇所がそれっぽいですよね。前作に引き続き、ハロー!プロジェクト内でこういう歌詞を歌えるのも、今やメロン記念日か中澤裕子くらいですからねぇ‥‥とか思ってたら、最近じゃ後藤真希も普通にこういう路線に片足突っ込んでますからね。てっきり「音楽面だけでなく、歌詞の面でも太陽とシスコムーンの後を継ぐのはメロンだ!」って思ってたのに。まぁその辺はつんく♂Pのさじ加減ひとつで決まることでしょうから‥‥とにかく面白ければ俺はいいんで。今後もドンドン楽しくて心に残る楽曲を連発してくださいね!

  そしてカップリング曲。"二人のパラダイス"は上杉洋史がアレンジャー。生ピアノに打ち込みを融合させた「デジタル・ブギー」といった感じでしょうか。そのピアノを弾くのは、小川文明。後期すかんちやローリー寺西のソロプロジェクト等にも参加していたキーボーディスト。チープな打ち込み(薄っぺらいリズムトラックに如何にもシンセっぽいブラスサウンド)は如何なものかと思うんですが、それに相反してピアノは本当に素晴らしいですね。歌メロも良いのに、何でこんなアレンジにOK出したかなぁ、つんく♂Pは‥‥もうちょっと低音利かすだけで全然違うのにね。メロンのここ最近のカップリング曲の中では一番弱いかなぁ、残念ながら。いや、楽曲自体は良いんですけどね。如何にアレンジが左右するかってこと、つんく♂自身が一番よく判ってるはずなんですが‥‥

  というわけでいろいろ書いてきましたが‥‥俺はこれも「メロン記念日らしい」と感じているし、好意的に捉えているんですよね。タイトルナンバーを気に入っているのは勿論(特にこの曲はフルコーラスで、しかもライヴで体験すべき1曲だと思ってるので。パフォーマンス等の視覚要素を含めて、初めて完成する1曲なんじゃないですかね?)、何だかんだでカップリング曲も既に何度もリピートしてますし。

  その「メロンらしら」、人によってその基準っていろいろだと思うんですよ。例えば"This is 運命"や"さぁ!恋人になろう"といったハイパーチューンこそ最もメロンらしいと未だに信じて止まない人もいるでしょうし、"告白記念日"みたいな曲こそ真のメロン記念日だと言い張る人もいるでしょうし、"香水"や"赤いフリージア"みたいな楽曲至上主義こそメロンが一番魅力を発揮すると信じてる人もいるでしょう。で、俺はそれら全て間違ってないと思うんですね。全て正しいと。何故なら、そういった「一貫性の無さ」こそがメロン記念日の真の魅力なんだと信じてる人だからですよ、この俺が。いや、「一貫性の無さ」って書くとネガな印象が強いですが、要するに「何をやってもメロンらしく魅せて/聴かせてしまう強引なパワー」こそが彼女達の魅力なんだと。だから別に音楽的には何をやっても違和感がないはずだし、どれが一番合ってるからそれをずっとやり続けろっていうのよりも、如何に前と違ったことをやって我々の期待を(そう、良くも悪くも)裏切り続けるか‥‥それこそが「メロン記念日がメロン記念日であるために」必要な要素なんじゃないですかね。初期衝動!? う~ん、ちょっと違うような気もするけど‥‥ま、ロック的に言えばそういうことになるのかな?(いや、全然違うと思うが)

  ご賛同いただけるかどうかは判りませんが‥‥俺がそう信じ続ける以上、彼女達が「この4人で」あり続ける限り、俺はメロン記念日を応援し続けますよ。



▼メロン記念日『MI DA RA 摩天楼』
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投稿: 2003 09 09 09:21 午後 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク

the pillows『TERMINAL HEAVEN'S ROCK』(2003)

  「あれっ、こんなもん!?」。それがthe pillows待望の新作を初めて聴いた時の感想でした。期待が大き過ぎたのか、それとも俺の耳がどうにかしちまったのか‥‥

  前作「Thank you, my twilight」が昨年を代表する大傑作だったし、先日リリースされたこの新作からの先行シングル「TERMINAL HEAVEN'S ROCK」も十分期待に応えてくれた楽曲だったんだけど‥‥どうにもこの「PENALTY LIFE」の第一印象は、地味。何か前作を通り越して再び「Smile」辺りにまで戻ってしまったかのような地味さだったのね。いや、悪くはないのよ。悪くはないんだけど、一発で唸ってしまうような衝撃度は皆無だったのね。シングルに収められてた3曲には少なからずそういった要素を感じていたんだけど‥‥あー、何か悪い方に空回りしてるんじゃないかな、考えすぎなんじゃないかな、とかいろいろと勝手に考えちゃいましたね。

  楽曲自体はどれも小粒でポップなロックチューンばかりで、それはそれで問題ないんですよ。多分1曲1曲を取り出して聴いてみたら、絶対にシングル「TERMINAL HEAVEN'S ROCK」を聴いた時と同じような反応をすると思うし。けど、これが1枚のアルバム、11曲入りの作品集として聴いてみた時、どうしてもシングルの時に感じたようなドキドキ感が体感できなくて。何故なんでしょうね? 絶対に悪い作品集だとは思わないし、曲も全然悪いとは思わないのに‥‥

  自分自身の心境とか今現在聴いてる音楽の趣味とかも多少影響してるとはいえ‥‥いや、それでもpillowsの新作には大変期待してたんですよ? 来年行われる単独ライヴにも足を運ぶつもりでいたし。あー何でこんなことになっちゃったのかなぁ‥‥って。

  もし俺自身に理由がないのなら‥‥pillows側に変化があったってことですよね。で、これも勝手に想像で書いちゃうんですが‥‥このアルバムを制作するに当たって、相当苦労したんじゃなかろうか?なんて思うのですよ。このアルバムを聴いた時に「あれっ、こんなもん!?」って思ったのと同時に「考えすぎじゃねぇの?」とも感じたんですね。多分、前作を踏まえてこの新作の制作に当たったと思うんですが‥‥煮詰まっちゃったのかなぁ、と。「pillowsとして平均点以上の楽曲」を作ることは難なく出来たと思うんですよ。現に前作のツアー中に、このアルバムにも収められてる "TERMINAL HEAVEN'S ROCK" と "Moon Marguerite" の2曲を制作、ライヴで発表してたわけですし。このアルバムで聴いてもこれら2曲はやっぱり素晴らしいと思うし、勿論それ以外の楽曲もこれら2曲に勝るとも劣らない内容なわけですし。ところが、これがアルバムとなると前作を超えられなかった。何故だろう? これがpillowsとしての限界なのか、それとも‥‥いや、前作が特別過ぎたんだ、なんて考え方もあると思うんですね。波に上手く乗れたんだ、と。で、その波に再び乗ろうとした結果、いろいろ考えすぎたのかな、と。

  アルバムを通して聴くと、何となく曲順に難があるような気がするんですね。それとアレンジ。非常にロックしてるんですが、ちょっとソフトコーティングしてない!?って感じたんですよ、今回の楽曲。メロが前作以上にポップになってるように感じられるし、それに対応したアレンジだったと思うんですが、どうにもそれが良くなかったんじゃないか、と‥‥いや、その辺はもう俺個人の趣味の問題ですからね。

  何度も聴いているうちにドンドン気に入っていく‥‥というのもあるんですが、これってもしかして「自分が聴き慣れただけなんじゃないの?」なんて穿った見方もしてしまいたくなる程、このアルバムに対するテンションが下がり気味なんですよ、俺。当然聴く頻度も前作程じゃないし‥‥「iTunes」に落として曲単位でシャッフルして聴くことは今後多々あると思うんですが‥‥う~ん‥‥

  まさかpillowsの新作に対して、こんなにキツいことを書こうことになろうとは‥‥ファンの皆さん、期待に応えられなくてゴメンナサイ。けどこれが偽らざる俺の感想なんですわ。pillowsを好きだからこそ、愛してるからこそ、正直に書いておこうと思います。大して気に入ってもないのに「今回もサイコーでしたねっ!」なんて嘘は書けないですからね。それに、数ヶ月経ったらここに書いたことを否定する程に気に入るようになってるかもしれないし。

  そうそう、ライヴにはちゃんと行こうと思ってますよ。ライヴで聴いたらまた感想が判るかもしれないしね。いや、絶対にそうだと信じてるし!

  最後に‥‥俺がこのアルバムで一番気に入ったのが、実はシークレットトラックのあの曲だったってことは、ここだけの秘密ですよ。「本編気に入ってないのかよ!」ってツッコミはナシの方向でねっ。



▼the pillows『TERMINAL HEAVEN'S ROCK』
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投稿: 2003 09 09 12:00 午前 [2003年の作品, pillows, the] | 固定リンク

2003/09/05

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『Girl Friend』(2003)

  THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが今年リリースした2枚のアルバム、「SABRINA HEAVEN」と「SABRINA NO HEAVEN」は共にアルバム最後を同じ曲の別バージョンが飾っています。「SABRINA HEAVEN」では "NIGHT IS OVER"、「SABRINA NO HEAVEN」では "夜が終わる" といったタイトルで。彼等にしては珍しい、ピアノを導入したスローバラード風のインストナンバーなのですが、実はこの曲、同時に歌の入ったバージョンもレコーディングされていて、そちらは単独シングルとしてリリースされることになったのでした。それが今回紹介する"Girl Friend"という曲。

  確かにこれ、ミッシェルにしては異色作ですよね。ガツガツしたイメージの楽曲ばかりがシングルとしてリリースされてきたわけですが、特にここ2枚‥‥"太陽をつかんでしまった"といい、この"Girl Friend"といい、それまでの彼等からするとかなりイメージの違うシングルナンバーなんですよね。特に"Girl Friend"はその楽曲スタイルだけでなく、歌詞の面においても異色作と呼ぶに相応しい内容になってるんですから。

  最初この曲を聴いた時‥‥絶対にそういう人が多かったと思うんですが‥‥BLANKEY JET CITYの "悪いひとたち" を思い出しちゃったんですよね。いや、比べること自体が間違ってること、ちゃんと判ってますよ。ただね、ブランキーにとってあの曲がいろんな意味でターニングポイントになったのと同様、ミッシェルにとってもこの"Girl Friend"ってもしかしたら‥‥って思ってたんですよね。それまでの彼等と比べるとかなり実験色が強い「SABRINA HEAVEN」と同時にレコーディングされたものですし、このままいったらこのバンド、どんどん変化し続けていくのかなぁ、けどそれって似合ってないよなぁ、とか何とか考えたりしてね。よくミッシェルってTHE ROOSTERSと比べられることが多いと思うんですが、このシングル曲を聴いてしまうと否が応でもTHE ROOSTERSの中期以降を思い浮かべちゃいますよね。ま、結局は要らぬ心配だったわけですが。

  歌詞については、つい最近(というは、たった今放送を観終えたばかりなのですが)放送された「トップランナー」という番組内でチバユウスケが話していたので、それを観てもらえば判ると思うんですが‥‥いや、俺の口から今更説明するまでもないよな。あれが全てだし。

  そういうスタイルの楽曲でも、「歌う」のではなくて「がなる」チバ。正直なところ、その一点が安心要素なんですよね。もっと落ち着いた歌い方も出来るはずだし、むしろこういう静かな曲にはそっちの方が似合ってるんじゃ!?なんてこっちが余計な心配をしてしまったり。けど、チバはそうしなかった。「僕はあの娘と二人でぶっとんでいたいのさ」と歌い、でも「この子達は守りたい/I LOVE YOU.」と何度も繰り返す。歌の表現スタイルはいつもと同じようでも、内容はいつも以上に愛や優しさに溢れてる。どちらかというと排他的な歌詞が多かったチバにしてみれば、単純に気まぐれなのかもしれないけど‥‥こういうミッシェルを、もっと観てみたかったなぁ、聴いてみたかったなぁ‥‥

  正直なところ、この曲がラストシングルにならないでよかったなぁって思ってます。最後の最後、「けじめ」としてリリースするシングルは恐らく王道スタイルの疾走チューンなんでしょうね。ま、そんな散り際も彼等らしいんですけどね。

  これ‥‥ライヴで聴いたら俺‥‥絶対に泣くわ。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『Girl Friend』
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投稿: 2003 09 05 12:00 午前 [2003年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク

2003/09/01

Mr.Children『タガタメ』(2003)

  まずはオフィシャルサイトに目を通して欲しい。この曲を聴く前に、何故彼等は「CDリリース」という形体を取らずにまずラジオでオンエアしてもらうことを選んだのか、どうしてこの曲だったのか、そういったことをちょっとだけ考えて欲しいな、と。そこにはスタッフの説明(何故この曲が通常のプロモーション形体を取らずリリースが決まる前にラジオでオンエアすることを決めたのか)、桜井和寿本人からのメッセージ、そして最後に問題の楽曲、"タガタメ"の全歌詞が載っています。

  Mr.Childrenの新曲がそろそろ出るぞ、という噂はちょっと前から耳にしていました。早ければ年内には何らかの形で聴くことができると。しかしそれは我々が想像していたような形での発表ではありませんでした。CDとしての発表でもなく、ましてやライヴを行うのでもなく、まず出来た曲をラジオで流すというこれまでには考えられないような手段を取ったのです。

  オンエア解禁は9月1日。未だリリース日程も、本当にリリースされるのかも決まっていない曲。とにかくただ早くみんなの耳に届けたかった。それだけの理由で、彼等はラジオオンエアという手段を選びました。

  幸運にも、本日某FM局で放送されたその音源を手に入れることができました。6分40秒以上にも及ぶ大作。およそシングルには選ばれそうもない、彼等にしては地味な曲。単調な曲進行とメロディ、そこには「メガヒットを飛ばすミスチル」の姿はありません。ただ、彼等をよく知る人ならこれが「彼等の別の側面」であることもご存じでしょう。過去の楽曲のタイプでいえば"Hallelujah"や"終わりなき旅"に通ずる、曲自体はシンプルなのに桜井の歌とバンドの演奏でドンドンと熱く盛り上げていくタイプ。アルバム後半のハイライトになるようなタイプの楽曲、それがこの"タガタメ"だといっていいでしょう。

  何故桜井が、そしてバンドがこの曲を早く世に出したいと願ったのか。それは歌詞の内容も大きいでしょうけど、俺はそれと同時に「如何に今このバンドのポテンシャルがもの凄いことになってるか」というのを上手く表現できているから、この曲を選んだんじゃないか‥‥そんな気がします。曲としてはAメロがあってBメロがあってサビがある、そしてその繰り返しというシンプルさが耳につくタイプなんですが(最初はカントリー調のアレンジで‥‥と桜井も書いているし)、バンドの4人+キーボード(小林武史か?)+ブラス&ストリングスという壮大な楽器隊。更に曲が進むにつれてドンドン盛り上がりを見せるアレンジ。レコーディングの現場が非常にいい状態にあることが何となく伺えますよね、これ聴いちゃうと。

  そして‥‥やはり桜井のボーカルは今まで以上に強く、そして優しく、時には刺々しく我々の胸に飛び込んできます。後半、特にエンディングでのリフレインで声を枯らしながらシャウトする桜井は、これまでには見られなかったような一面ではないでしょうか?

  曲の歌い出しの一声で、フッと肩の力が抜けて、ああミスチルがホントに帰ってきたんだな‥‥という安心感を感じ、しかし曲が進むに連れてそういう安堵感は高揚感へと変化していき、最後には‥‥自分でも上手く表現できないような、何とも言えない気持ちに。それがこの曲を最初に聴いた時の第一印象でした。かれこれこの数時間で何度リピートしているでしょうか、モニターに映る歌詞とにらめっこしながら、何度も、何度もこの曲を噛みしめています。

  これはシングルにすべき曲ではない。だからこういう形でまず世に出したんでしょう。今制作しているアルバムの中で、間違いなくハイライトのひとつとなる曲。一体今度のミスチルはどういうことになっているのか‥‥何の不安要素もないですね、これを聴いちゃったら。「深海」の方へも行かないでしょうし、かといって「Atomic Heart」へも行かない。「IT'S A WONDERFUL WORLD」を更に濃厚にしたような、そんな凄いモノが我々を待ち受けているんでしょうね。

  最後に‥‥この歌詞を斜に構えて斬ることはいくらでもできるでしょう。単純に曲が好みでない人もいるでしょう。けど俺は目の前にある、この楽曲と素直に向き合っていくつもりです。



▼Mr.Children『シフクノオト』
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投稿: 2003 09 01 11:30 午後 [2003年の作品, Mr.Children] | 固定リンク

2003/08/30

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA NO HEAVEN』(2003)

  結果論でしかないけど、確かにここ数年のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを見ていて「‥‥そろそろ(解散)かなぁ?」なんて思ってた人、いたんじゃないでしょうか? 少なくとも、自分はそうでした。アルバム「CASANOVA SNAKE」以降は特に、ね(実際、その類のことを掲示板等にも書いてきたしね)。でもこのバンドの場合、そういった噂と対峙していきながら、どんどんデカクなっていくんだろうなぁ‥‥そういう期待感も同時にあったのも確か。だから嫌いになれなかったんだよね、どんなに醒めた目で見つめていようと。

  この3月にリリースされたアルバム「SABRINA HEAVEN」は久々の傑作と呼ぶに相応しい内容でした。その気持ちは今でも変わりありません。このアルバム制作におけるレコーディングでは、アルバムに収まりきらない程沢山の楽曲を制作・録音したと聞いていたし、実際アルバムリリースと同時に「初夏にミニアルバム「SABRINA NO HEAVEN」リリース決定!」と発表する程でしたしね。そして約4ヶ月後、ツアー終了前後にリリースとなったのがこのアルバム。全6曲、31分というランニングタイムは決して長くはないし、曲数的にもミニアルバムと呼べるものでしょうけど、内容的にはフルアルバム以上に濃いものになってるのではないでしょうか?

  「SABRINA HEAVEN」がどちらかというと(それまでの彼等からすれば)実験性の強い内容だったように思えるのですが、この「SABRINA NO HEAVEN」はよりプリミティヴで我々がよく知るミッシェルが顔を覗かせます。が、ただの「過去の焼き直し」に終わっていないのは聴いた人ならお判りいただけるでしょう。だって同時期に制作された楽曲だもん、ここの6曲だけが違ったものになるはずはないでしょう。単純に「あっちにはあの10曲が相応しかった、あっちの10曲を先に出したかった」からああいう選曲になっただけ。元々あるもの(録音した楽曲)全部を出すつもりだったみたいだし、でも2枚組にはしたくなかったからこういう形になっただけ‥‥ホントそれだけの理由なんでしょうね、こういう形にまとまったのは。

  ここには昨年秋のツアーでもいち早く演奏されていた楽曲も入っているし、アルバムリリース後に出演した「ミュージックステーション」で生演奏したことで話題となった2曲も入ってるし、チバユウスケが昨年やったバンド・ROSSOを彷彿させる楽曲も入ってる(当たり前だって、両方のバンドで曲作りに参加し、歌ってるのはそのチバ本人なんだから)。6~7分ある曲もあれば、いつも通りの疾走チューンもある。そう、逆に発表する順番は間違ってなかった。「SABRINA HEAVEN」という意欲作を先に発表することで我々の度肝を抜き、実はその延長線上にある作風ながらも何故か「従来通りの安定路線」的安心感を与えてくれる「SABRINA NO HEAVEN」を続けざまにリリースする。2枚組じゃなくてホントよかったな、と。これ2枚組だったら、衝撃強過ぎるのと同時にボリュームもあり過ぎて、1曲1曲とちゃんと向き合おうとしなかったかもね、俺ならさ。

  確かに普通のアルバムとして考えると6曲って短いし、ひとつのストーリーとしてのトータル・コンセプトみたいなのは皆無かもしれないけど‥‥だからこそ、純粋に楽曲の1曲1曲と向き合おうという気にさせてくれるし、そして改めてその1曲1曲の濃度に驚愕するという、ね‥‥ホントにスゲェバンドだわ、ミッシェルは。

  今後、バンドとして発表される新曲は10/11リリースの「エレクトリック・サーカス」というシングルに収録される2曲のみ。それ以降にリリースされる楽曲って、多分バンドの意思に反してリリースされる未発表曲だったりするのかもしれないけど‥‥バンドのイメージを著しく落とすようなモノなら正直この世に出さないで欲しい。それだけこのバンドに対しては「常にフルテン状態」というイメージがあったし、そして最後の最後までそうであって欲しいから。最後のシングルがどういった作風になるのかは現時点では判らないけど、真面目な話どういう曲を持ってくるのかが興味深いなぁと。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA NO HEAVEN』
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投稿: 2003 08 30 12:00 午前 [2003年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク

2003/08/27

後藤真希『抱いてよ!PLEASE GO ON』(2003)

  後藤真希、今年3枚目、通算8作目のシングルとなる"抱いてよ!PLEASE GO ON"は、シングル曲として過去最速のBPMを記録するダンスナンバー。後藤本人が「みんながイメージする後藤」と言うように、歌詞にしろ曲調にしろ『ゴマキというパブリックイメージ』をそのまま形にしたかのような楽曲なんだけど‥‥これがね、いいんですよ。「またかよ‥‥いつも誉めてるし‥‥」と思われるでしょうけど、ホントにそう感じるんだから仕方ない。何つーか、そういった外野のパブリックイメージを逆手に取った、かなり攻撃的なナンバーなんですよ、これ。

  アレンジはカップリング曲"おふざけKISS"共に、お馴染み鈴木Daichi秀行。今年のシングルは全て彼が手掛けてるわけですが、意外と相性いいのかなぁ‥‥って気がしないでもない、かな? ま、確かにこれまでの楽曲では詰めの甘さが目立ってた彼ですが、ここ最近のアレンジ‥‥特にシャッフル以降は意外といい仕事してると思うんですよ、個人的に。今回の"抱いてよ!PLEASE GO ON"も、この手のアレンジとしてはかなり良い出来なんじゃないかな、と。系統的にソニンの"東京ミッドナイトロンリネス"と同じ流れにある楽曲だと思うんですが、こちらの方がより完成度が高い。いや、ソニンの方はああいう「狙い」だったとは思うんですが‥‥個人的には後藤の方に軍配を挙げたいかな、と。

  もうね、ボーカルパフォーマンスもかなり素晴らしいんですよ。この春に行われたツアーの成果が端的に表れてるんじゃなかろうか、と思うわけです。曲調もあるんだろうけど、こういう力んだ歌い方って妙に合ってるんだよね。特に後半の煽り部分なんて、もう‥‥

  歌詞もね、前作"スクランブル"とは正反対の女の子(というよりも、「女」か)で、前作が自然体で本来の彼女に近いものだとすると、こちらは他人が彼女に対してイメージする「後藤真希」像をそのまま演じたような形ですよね、良くも悪くも。今回、後藤自身が「みんながイメージする~」と語ってる辺り、確信犯なんじゃないかな?なんて思える程、躊躇や隙が一切なく完璧に演じきってますよね。その辺はビジュアルが一切ない音源の状態からも伺えるはずです。

  一方、カップリング曲"おふざけKISS"は、ミディアムテンポのラテン系。ボッサと呼んでいいんですか、こういうのも‥‥曲調だけなら中澤裕子やソニン辺りが歌っても違和感ないんですが、歌詞はやはり後藤っぽいというか。「ああ、何となくだけど、ゴマキってこういう感じかなっ?」って思っちゃうんでしょうかね、ファンでもない普通の人達って。だとしたら、制作側の思惑に見事ハマッてるという。まぁそういうのは個人的にどうでもいいんですが、こういうタイプの楽曲もこれまでの後藤にはなかったものだし、ここで聴けるパフォーマンスもまた今の彼女らしさを十分に堪能できるものなので、個人的にはかなり好きな部類です。

  多分、この9月からスタートする2度目の全国ツアー(現時点で全国20カ所、39公演)はこの"抱いてよ!PLEASE GO ON"からライヴがスタートすると思うんですが‥‥ピッタリじゃない、1曲目に? 間違いなくつんく♂が「こういう曲、ライヴに欲しいやんか?」とか言って作ったんだろうなぁ。1曲目じゃなかったら、本編終盤辺りとか(けど絶対にラストではないという、ねっ?)。

  散々「モーニング娘。を卒業したはいいけど、恵まれてない」と言われ続ける彼女。確かにアルバムはちょっと‥‥だったけどさ、"うわさのSEXY GUY"といい、"スクランブル"といい、個人的には彼女のこと(パーソナリティではなくて、実力的な部分)をよく判ってるな、と感じるんですけどね。与えられた課題を毎回見事にこなしてみせる後藤真希。そろそろ本格的に本領発揮しそうな予感。今度のツアーを経て、年末年始辺りが最初にピーク‥‥になるかも。



▼後藤真希『抱いてよ!PLEASE GO ON』
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投稿: 2003 08 27 12:58 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2003/08/26

THE WiLDHEARTS『SO INTO YOU (EP)』(2003)

2003年5月に英国でリリースされた復活シングル第3弾「So Into You」。またもや全英チャートでトップ30入りを記録しました。バンドとしての活動も順調、いよいよ夏にはアルバムが‥‥という時期に、何度目かのダニー離脱。替わりにSILVER GINGER 5でベースを弾いていたジョン・プールが参加してツアーが続いたわけですが‥‥またもやここにきて、「ワイハーらしさ」全開という。いや、そんなところまで復活させなくていいから。

今回も恒例のCDシングル2枚+7インチアナログ、という3種類にそれぞれダブらないように新曲が各2曲ずつ入っているという構成。ただ、CD-1とアナログに入ってる"Dancin'"はバージョン違いなのでご注意を。

タイトルトラック"So Into You"は、これぞワイハーという王道チューン。Aメロのらしさ、そしてBメロからサビにかけての盛り上がり方等、とにかく全盛期に匹敵するソングライティング。単調なんだけど飽きさせないというか。絶対にライヴで盛り上がる曲でしょうね。"Dancin'"は離脱したダニーがボーカルを取る、1分少々のファストソング。如何にも彼らしいストレートな曲調は、やはりTHE YO-YO'S的といいましょうか。"Lake Of Piss"は転調が如何にもなポップロック。意外と大らかなノリを持った1曲で、イントロのリフもそういう空気感を持ってるような。メロの持ってき方とかアレンジは、この編成で作った「EARTH VS THE WiLDHEARTS」の頃に非常に近いのではと思います。特に中盤のギターソロとかね。"Action Panzer"はどことなくTHE HELLACOPTERSやBACKYARD BABIESを彷彿させる疾走チューン。とにかくカッコイイの一言に尽きると思います。最後はちょっとALICE COOPERっぽいかな?というポップな"The People That Life Forgot"。勿論これも間違いなくワイハー的な1曲。これだけ録音状態が他の曲と違うのね(ちょっとチープな印象)。もしかしたら、前回のアウトテイクとか‥‥ま、それにしては水準が高いんですけどね。

あ、残念ながらアナログ盤は入手できなかったので、ここでは割愛させていただきます(音源自体は持ってるんですが)。

何度も言うように、ジンジャーが完全に復調してきているのか、それとも「4人組バンド」としてちゃんと機能してきているのか‥‥真相は本人達じゃなきゃわかりませんが、とにかくこれだけ聴いちゃうとアルバム、メチャメチャ期待できそうな感じだよね。実際、数曲試聴しましたが、これまでの楽曲に勝るとも劣らない名曲揃いっぽいし。

でもねぇ‥‥だからこそ、「あの4人」揃った状態でアルバムリリースにこぎ着けて欲しかったなぁ。勿論レコーディング自体は「あの4人」で行われたものだと思うんですが‥‥多分冬頃にはその「THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED」というアルバムを引っ提げて来日を果たすと思うんですが‥‥もう1度、サマソニは昨年12月みたいな奇跡を起こして欲しいな、と。ソングライティングも面も、受け入れる側の状態も既にベストな状態なんですよ。後は‥‥あなた方だけですよ。



▼THE WiLDHEARTS『COUPLED WITH』(シングルカップリング全曲を収録)
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投稿: 2003 08 26 06:49 午後 [2003年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2003/08/24

フラワーカンパニーズ『発熱の男』(2003)

今年の4月にリリースされた、フラワーカンパニーズ通算8作目、インディーズから2枚目のオリジナルアルバムとなる「発熱の男」。フジロックでの「フラワーカンパニーズ34歳、今日から全盛期に入らせていただきます」って発言がホントだったことを実感させてくれる、本当に素晴らしい1枚。何でこんなにいいバンドがメジャーから切られたの?とかいろいろ思うことはあるのですが、逆にこういう逆境に陥ったからこそ、ここまでの傑作を生み出せたんじゃないか、とも思えるわけで。特にインディー落ちしてからの2枚(前作「吐きたくなるほど愛されたい」と今作)の充実振りを考えると、それも納得が行くというか。

基本的には古き良き時代のブリティッシュロックからの影響が強いサウンドに、馬鹿で情けないんだけど、どこか憎めない、そして愛着が湧いてしまう歌詞。俺の中でRCサクセション以降の日本のロックシーンの、一番いい形を体現してるバンドのひとつがフラカンなんじゃないかな、なんて思うんですね。RCが撒いた種のひとつだ、と。それらの種はブルーハーツだとかSOUL FLOWER UNIONだとか、その後登場するいろんなバンドとして成長したわけですが、遅咲きながらもフラカンもそのひとつだと、間違いなく言い切れるわけですよ、このアルバムを聴いてしまうと。いや、過去のどのアルバムを聴いてもその予感はあったわけですが、特にこのアルバムはその決定打といっても間違いないでしょう。

それこそTHE WHOであり、KINKSであり、QUEENであり。そういったバンドの色を感じることの出来る個々の楽曲。それぞれが個性的で、荒々しさを残しつつも、完成度は高い。しかも各楽器のアンサンブルも素晴らしい。そうそう、ロックってこうじゃなきゃ!みたいな。30代半ばのオッサン4人が、ここまで初心を忘れずにロック出来るってのは、ある種奇跡なんじゃないかな、と。そう、フラカンの存在というのは、奇跡そのものだと。なのに何故、人々は彼等を無視し続けるのか。もっと注目すべきですよ!

ライヴを一度観れば、絶対にやられるはずなんですよ。実際、俺もライヴでやられた口ですから。中毒性のあるライヴは、ある種先のソウルフラワーにも通ずる要素があると思うんですね。土着的な"真冬の盆踊り"の存在が更にその思いを強くさせてるわけですが、ブリティッシュビートに拘る辺りも、ソウルフラワーの前身、NEWEST MODELにも通じるしね。

とにかくね、ロックは部屋の片隅で膝を抱えておセンチ気取る為の道具じゃないんですよ。このアルバムを聴いてると、そういう小難しいことがどうでもよくなる、とにかく大音量で鳴らして頭振るのが一番なんだっていう至極簡単なことに気づかせてくれるわけ。今年の10本指に入る傑作。間違いなく5年後も聴いてるであろう1枚。



▼フラワーカンパニーズ『発熱の男』
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投稿: 2003 08 24 03:50 午前 [2003年の作品, フラワーカンパニーズ] | 固定リンク

レミオロメン『電話』(2003)

  前回の「雨上がり」の時に「メジャーに行ってどこまで化けるのか、そして『駄目押しの決定打・その2』が今から気になって仕方ありません」と書いていた俺。そんな役割を十二分に果たすであろうレミオロメンの新シングル、「電話」。曲自体はメジャーデビュー決定前からライヴで演奏されていた楽曲で、先日のROCK IN JAPAN FES.でも演奏されていた2曲。予感めいたものは十分感じていましたが、改めて音源として聴いてみると、うん、これは売れるわ。そう実感するのです。

  メディア側も完全に売る態勢に入ってるしね、レコード会社含めて。うちの近所のCDショップでさえも、このシングルを大プッシュしてる程ですから。特に大きなタイアップが付いたわけでもなく、テレビ出演したわけでもないのにこの扱い。それはきっと「かの小林武史が関わっている」というポイントが大きく影響してるんでしょうね。彼が過去に手掛けたアーティストを考えれば、まぁそれも判らなくないですが。「雑誌で話題騒然」とか言われても、騒いでるのって「あの」雑誌でしょ‥‥騒げば騒ぐ程、うちを観てるような人達には悪影響なんじゃないかって気がしないでもないですが、ここはまぁ無視しましょう。

  さてさて、肝心の楽曲。まずタイトルトラックの"電話"を聴いての第一印象。とにかく「いきなりスケールがデカくなった」の一言に尽きると思います。それまでがインディー制作だったことも影響してか、小難しいことをやろうとしても録音状況や技術がそれに追いついていないように感じられた「雨上がり」までの音源。勿論曲の良さやバンドの良さは十分に伝わっていたんですが、今回のは今までの比じゃない位にデカい。多分小林プロデュースではないだろうけど、彼の元で仕事をしてきたスタッフが携わることによって、そこで培ったノウハウを今回レミオロメンに使った結果、予想以上の効果を発揮した、といったところでしょうか。曲は問題ない。このスケール感のデカさを上手く活かすアレンジもさすがだし、ボーカル・藤巻の歌声もホントにいい。ああ、これで完全に人気がホンモノになるわな。

  カップリングの"タクシードライバー"もグルーヴィーなロックチューンで、好印象。"電話"とはまた違ったタイプで、どっちかっていうと流れ的にはそれまでのインディー時代のものに近いかな、全てにおいて。まぁカップリング曲、アルバムの中の1曲といったタイプかな。

  多分、こういうタイプのロック(サウンドだったり、歌われている歌詞だったり)が苦手、興味の範囲外という人も多いでしょう。けど、もし貴方がこういったタイプのロックが好きなのに「雑誌で騒がれてるから」とか「BUMP OF CHICKENみたいだから嫌」といった理由で敬遠してるのなら、それは間違い。まずは偏見持たずに"電話"聴いてみな。現在、CSの音楽番組でもPVをよく目にするし、多分大手CDショップでも大プッシュしてるはずだから‥‥ちゃんと聴いて判断して欲しいな。バンドとしてもしっかりしてるし、この手のバンドの中ではとにかく面白い存在だと思うな。まぁ最後に判断を下すのは、聴いた貴方ですえけどね‥‥



▼レミオロメン『電話』
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投稿: 2003 08 24 12:00 午前 [2003年の作品, レミオロメン] | 固定リンク

2003/08/20

ROMANS『SEXY NIGHT~忘れられない彼~』(2003)

  ハロー!プロジェクト内、久し振りの問題作の登場です。モーニング娘。の矢口真里と石川梨華、メロン記念日の斎藤瞳、カントリー娘。の里田まい、ココナッツ娘。のアヤカの5人から成るROMANS(ロマンス)というユニット。関東地区では毎週月~金曜深夜0時50分から放送されている「セクシー女塾」という番組があるのですが、そこに出演しているこの5人がセクシーなユニットを結成してデビューする為に修行する的内容で毎晩バカなことをやらかすわけですよ。って番組内容の説明はこの辺にしといて‥‥当初このユニットは4人組で、石川・斎藤・里田とモーニング娘。加入前の藤本美貴が参加してたんですが、1ヶ月で脱落(番組的に。恐らくこの辺でカントリーへの助っ人参戦が決まったのでは!?)、代わりに矢口が加わり、更に1ヶ月後にアヤカが加わり現在の5人に。恐らく番組自体は2クール(6ヶ月)の予定みたいですから、この9月いっぱいで終わる運命だと思います。だとすると、このシングル自体リリースされる事が奇跡というか‥‥たった1回の企画モノ、として捉えた方が賢明かと思われます。

  最初に書いたようにこのユニット、賛否両論‥‥というよりも、明らかに否の方が多いような気が‥‥それはこのビジュアルイメージと、発表された楽曲"SEXY NIGHT~忘れられない彼~"が大きな原因となってるわけですが‥‥

  確かにね、俺も最初ラジオ音源をネットで拾って聴いた時、悪いとは思わなかったけど微妙だったのね。更にその後、テレビでの歌う姿を観たんですが‥‥正直厳しいと。歌メロが微妙というか、表現が難しそうなメロディかな、と。タダでさえ危うそうなメロなのに、それを歌う石川ときたら‥‥メロメロなわけですよ。矢口とか里田はかなり頑張ってるんですが‥‥もうね、正直「あー、CD買うかどうか疑問。レビューはとりあえずナシだな、こりゃ」と考えてたんですね。

  けどさ、買っちゃったと。勢い余って。

  確かにクリアーな音源(CD)を聴くと、印象がかなり良くなるわけですよ。アレンジにはAKIRAが全面的に参加(c/w曲含めて)してるせいもあってか、かなり手の込んだR&B歌謡といった印象で、テレビで聴くとちょっと平面的に聞こえたサウンドも、大音量で聴くと印象がガラリと変わり、確かに軽めなんだけど意外とゴージャス、みたいなそんな感じ。特にカーステレオで聴くと(まぁ我が車の設定もあるでしょうけど)更に良く聞こえたのね。もしかしたら安物のラジカセとかで聴くと更に良く聞こえたりして(avexモノが比較的そう聞こえるように、ね)。

  正直なところ、何で斎藤を歌に加えないんだよ!?とかいろいろ思うことはあるんですが、こうやって完成品を聴くと石川もそんなに悪くないし、むしろいい雰囲気出てると思うんですよね。矢口も歌い出しは結構いい感じなんですが、途中でちょっと印象が薄くなる場面が‥‥そういう意味ではこの曲、里田がかなり目立ってるように感じます。メインボーカルの3人(矢口・石川・里田)の個性が三者三様なこともあり、また普段のユニットみたいに歌パートが1小節のみとかそういったこともなく、安心して聴いていられるんですね。またラップ担当(斎藤・アヤカ)もそんなに耳障りでもなく、むしろつんく♂に同じ事やられるよりマシというか。

  決して「最高!」とは言い難いですが‥‥まぁ実験作ですしね。本来ならこういうの、T&Cボンバー辺りがやってた路線ですから。そういう「つんく♂にとっての捌け口」がなくなった今、こういう企画モノで消化するのも悪くはないかな、なんて思うんですよね。

  で‥‥話はここでは終わらないのです。カップリング曲"ロマン"の話題に移るわけですが‥‥これがね、予想外の出来で正直ビックリしてます。みんな、これの為にこのシングル買ってもいいんじゃない?って思える程、「ROMANS」というユニット名からは想像できないタイプの楽曲だったんですよ、これが。

  セクシーでもなく、R&Bでもなく。どちらかというと可愛らしい路線とでもいいましょうか‥‥ゴージャスなポップスというか‥‥例えば初期のモーニング娘。がやっても違和感がないタイプのポップス、と言えば判ってもらえるかなぁ‥‥いや、判ってもらえないか。タイプとしては小西康陽がアレンジしてもおかしくないような方向性。でね、これが石川や矢口の声に非常に合ってるわけですよ。勿論、里田や斎藤、アヤカも頑張ってるんですが、個人的にはどうしても石川と矢口の声に耳がいってしまう。で、気づくと脳内で飯田圭織や加護亜依の声をプラスしてシュミレートしてる自分がいたりで‥‥つまりはそういう楽曲。決してこの4人が例のユニットでやってたような方向性とは言い難いけど、別にやったとしても何ら違和感はないですよね、これ。途中に挿入されるフレンチっぽいスキャットや、急に登場するラテンアレンジとかはメロン記念日的と言えなくもないけど‥‥ああ、これって隠れた名曲の仲間入りしそうな1曲じゃない? 正直レベルはかなり高いと思うんですが。

  というわけで、タイプの違う2曲が収録されたこのシングル。「表」と「裏」、「光」と「影」といった2面性を持つこのユニット。別にセクシーに拘らなければ何でもこなせそうな5人が揃ってるって意味では、本当にアルバム向きなのかもしれませんね。あのビジュアルイメージに騙されず、一度このシングルを手にとってみてください。きっと新たなる発見が各自あるはずですから‥‥



▼ROMANS『SEXY NIGHT~忘れられない彼~』
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投稿: 2003 08 20 12:00 午前 [2003年の作品, ROMANS, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2003/08/19

CHEAP TRICK『SPECIAL ONE』(2003)

正直に申します。最初このアルバムを聴いた時「あちゃーっ、6年待たされてこれかよ。俺‥‥ダメだ‥‥緩すぎる‥‥」……期待が大きかっただけに、凄く大きなショックを受けたのね。こんなの俺が思い描いた、俺が望んだCHEAP TRICKの新作じゃない、って。そりゃね、確かに聴けばそれがチートリのものだって判るのよ。けどね、違うのよ。俺が待ってたのは、「6年分の穴を埋め合わせるどころか、そんな穴無視して猪突猛進してくようなサウンド」だったはずなのよ。

俺、誰が何と言おうが、世間的には駄作呼ばわりされてる前作『CHEAP TRICK』(1997年)が、凄く好きなのね。何故なら、守りに入ってなかったから。恐らく多くの人達が待ち望む「70年代全盛期の、古き良き時代のチートリ・サウンド」を再現するでもなく、あくまで「90年代のバンドとしてのCHEAP TRICK」を体現していて、彼等から影響を受けたであろう若手バンドと対峙してこうという意気込みと、20年以上に渡って活動してきたバンドの貫禄が同居する、非常に印象深いアルバムだと思ったのね。確かに懐メロツアーみたいなのもいいよ。けどさ、今の状況でそれやっちゃダメでしょ。VENTURESと変わらなくなっちゃうでしょ? KISSくらい派手に割り切ってやるならまだしも、今のチートリはそういう環境にないわけだし‥‥

だからこそ、この新作『SPECIAL ONE』を聴いた時、あまりに落ち着き過ぎてて、思いっきり拒否反応を示しちゃったのさ。ハッキリ言って、全部聴かないで、全曲の頭出し数十秒聴いて判断してそれっきり。1回も通しで聴かないまま、1ヶ月以上放置していたのでした。

ところがね。時間が経って気持ちも落ち着き、改めて通しで聴く時間が取れたんですよ。で、じっくりと腰を据えて耳を傾けたわけですよ、ネガな感情を抱えつつ。

これがね、悪くないのよ。いや、むしろアルバムの出来としてはこの10数年の中では一番良いんじゃないか?って断言できる程、トータル的に優れてると思ったのね。最初、全てが全てまったりしたバラード調、あるいは肩の力を抜いた埃っぽいアメリカンロックばかりといった印象だった各楽曲も、実はかなり考えられて作り込まれているな、という風に印象が変わったり、確かに落ち着いているんだけど、その中にもちゃんと「チートリらしい奔放さ」は封じ込まれているのね。そりゃさ、確かに10~20年前の作品と比べればその奔放さのレベルも格段と落ちますよ。正直、前作よりも年取った感は拭えないし。でも、いいんだわ。今なら素直に言えるもん。これいいよ!って。

大体さ、ここ数作(といっても彼等、この10年でオリジナル・アルバムってこの『SPECIAL ONE』を含めて3枚しか発表していないわけですが)必ずトップは勢いのいいのか、あるいはヘヴィでガッツのあるナンバーだったんだけど、今回の「Scent Of A Woman」ってちょっとタイプが違うよね。静かに始まって、一瞬「バラード!?」と思わせるものの、曲が進むにつれてテンションが高くなっていって、最終的にはチートリ以外の何者でもない楽曲になってるわけで。おいおい、BON JOVIじゃないんだから‥‥って思ったものの、確かにこれもチートリ。曲が良いんだもん、これ以上悪く言いようがないし。

そこからミディアム~スロウな曲が続くんだけど、確かに1曲1曲のクオリティは過去数作の中でも一番優れてるんだわ。ま、70年代に拘る方々には少々厳しいのかもしれないけど、80年代から入っていった人達(俺を含む)はむしろこういった方向性、有り難いんじゃない? ま、俺はどちらの路線も好きなんだけど、ちょっと頭からこういった曲調が続くと‥‥ねぇ?

ところがね、このアルバム。中盤から後半にかけて、徐々にテンションが高くなってくのよ。決して初期のアッパーな曲みたいなのがあるわけじゃないんだけど、何ていうか、こう‥‥静かに熱が高まってくような、台風がゆっくりと、徐々に、徐々にと近づいてくるような、そんな雰囲気なのね。特に4曲目「Pop Drone」でチートリ流「LED ZEPPELINの "Kashmir"」を体現し、5曲目「My Obsession」でサイケなポップロック、6曲目「Words」で甘くとろけるようなポップソングで小休止し、7曲目「Sorry Boy」と8曲目「Best Friend」で「ヘヴィ&ダークサイド of CHEAP TRICK」の決定版を至極自然体に表現してみせるという。完全にこの辺がアルバムのハイライトといっていいでしょう。更にアルバム本編のラストとなる2曲(「Low Life In High Heels」「Hummer」)は、同じ曲を違うプロデューサーに預け、それぞれの持ち味を活かした形へと成長した2曲を並べることによって組曲のようになっているという、非常に面白い仕組みになってるんですね。前者をかのスティーヴ・アルビニに、そして後者をGORILLAZ等でお馴染みのDan The Automatorに任せることで、シンプルで地味なこの曲もいろんな意味でカラフルになっています。それでいてチートリらしさは損なわれていないんだから、さすがというか(ま、この場合はチートリの個性がそれだけ強いんだ、と解釈しておきましょう)。

あ、日本盤ボーナストラックの「Special One」日本語バージョンはこの際無視。蛇足だと思ってます、個人的には。こんなの入れるくらいだったら、ボーナストラックなんていらなかったのに‥‥。

と、最初はかなり否定的な感情が付きまとったこのアルバム。最終的には「非常に良いアルバム」という結論に落ち着いています。ただ、それでもこれは俺が思い描いたチートリの姿ではないし、残念ながらそういった姿はもう二度と観られないのかもしれませんね‥‥そこは割り切るべきなのか、それとも諦めずに夢を追い求めるべきなのか悩むところですが。まぁこの6年、散々ベスト盤だのライヴ盤だのでそういった溌剌とした面は散々味わってきたので(実際に観たライヴでもそういった面を堪能できたし)、これはこれで楽しむことにしましょう。だってこれ‥‥決して名盤とは言わないけど、忘れた頃に聴きたくなる、恐らく付き合いが長くなりそうな1枚になると思うからさ。



▼CHEAP TRICK『SPECIAL ONE』
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投稿: 2003 08 19 11:37 午前 [2003年の作品, Cheap Trick] | 固定リンク

2003/08/18

ROCKBOTTOM『THROW AWAY』(2003)

  TREEBERRYSのボーカル/ギターのINAGAKI氏が参加するもうひとつのバンド、ROCKBOTTOM。このバンドは昨年5月のFLASHCUBESのライヴで初めて観て、一発で気に入ってしまったんですよ。もうね、サウンド・スタイル・佇まい‥‥全てにおいて、自分が愛して止まない'70~ '80年代のアメリカン・ハードロックやパワーポップの香りがプンプンしまくってるんだもん。正直、カッコイイを通り越して「羨ましい‥‥」って嫉妬に駆られる程。

  そんな彼等が、待望のファーストアルバムをリリース。全10曲、予想通りの、そして予想外の内容に正直驚きを隠せないでいます。勿論、良い方の、ねっ? このアルバム、プロデュースとレコーディング及びミックスをFIRESTARTERのFINK氏が手掛けているんですね。だからなのか判りませんが、ROCKBOTTOM本来が持つ荒々しさが更に強調された、正にライヴレコーディングと呼ぶに等しい程の生々しさがそのまま真空パックされてます。インディーズの低予算だから、とも取れるわけですが、こういうバンドの場合は極端に派手なサウンドになるか、逆にこういう極端に装飾を剥ぎ取った生々しいサウンドになるか、どちらかだと思うんですね、個人的に。ファーストアルバムってことで、彼等の持ち味を上手く活かした結果がこれだった、と俺は確信しています。

  楽曲はライヴで定番の、バンドのテーマ曲ともいえる"ROCKBOTTOM"からスタートするんですが、これが以前ライヴで聴いたものよりも、そして昨年流通していた3曲入りCD-Rのテイクよりも更にカッコ良くなってるんですわ。大まかなアレンジはそのままなんですが、細かな味付け‥‥ドラムのフレーズだったり、ボーカルの歌い方だったり、そういった辺りに成長を感じずにはいられない程頼もしくなってるのね。

  それ以降もヘヴィだけどポップな"FEEL LIKA DANCE TONITE"、ハードポップ/パワーポップファンにこそ聴いて欲しい名曲中の名曲"TV KILLS"、ベースのKOZY氏がボーカルを取る"SHAME ON YOU"と"THROW AWAY"(特に"THROW AWAY"はRAMONESにも通ずる色合いを感じずにはいられませN)、ライヴでは大合唱間違いなしの"IT'S ALRIGHT (TO ROCK'N'ROLL)"、サミー・ヘイガーが在籍していた頃のMONTROSEを彷彿させる疾走チューン"ROCK'N'ROLL TERRORISTS"等‥‥とにかく捨て曲なし、どの曲も「心のヒットチャート」上位にランキングしそうな名曲・佳曲揃い。洋楽ロック、特に30代以上の人が彼等の曲を聴いたら絶対に胸キュン状態に陥るはず。そういうバンドなんですよ、彼等は。

  俺ね、常々思ってたのは‥‥このバンドの凄みって、「ポール・スタンレー(KISS)とロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)が同居する」ようなそのスタイル(サウンドや楽曲・、ボーカルスタイル等も含めて全てにおいて)だと思ってたのね。TOMMY氏、INAGAKI氏のどっちが誰ってことじゃなくて、共にそういう要素を持っていて、それが相互上手く滲み出てる、と。それでいてバンドは'70年代ハードロックやパワーポップ的な色合いと、RAMONESのようなパンクの色合いとを兼ね備えている。更にこのアルバムでは新たに「エース・フレーリー(KISS)的ポジションの第3の男」まで登場するわけですよ。最近のライヴを観てなかったので、ベースのKOZY氏がボーカルを取ること、知らなかったから余計に驚いたわけですよ。決して上手いとは言わないけど、それこそエースみたいな雰囲気モノのシンガーとして、既にバンド内でのポジションも獲得してるし、なくてはならない要素にもなってると思うんですね。それだけこの1年ちょっとの間でパワーアップしていた、と。もうね、それが嬉しいのと同時に、悔しいの何のって‥‥だって、俺がこんなバンドやりたかったもんマジ。

  ‥‥って愚痴っても仕方ないんですが、とにかくこのアルバム、上記のように俺と同年代のロックファンだけでなく、10代、20代のファンにも聴いて欲しい1枚。絶対にどこか引っ掛かる箇所があるはず。メジャーとかインディーとかじゃなしに、ロックの一番カッコイイ部分、気持ちいい部分をよく知り尽くした男達が作り出すサウンド、悪いわけがない。とにかく聴いて!



▼ROCKBOTTOM『THROW AWAY』
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投稿: 2003 08 18 12:00 午前 [2003年の作品, ROCKBOTTOM] | 固定リンク

2003/08/01

O.P.KING『O.P.KING』(2003)

  YO-KING、奥田民生、Theピーズのはる、the pillowsのシンイチロウによる今夏限定ユニット、O.P.KING。まさかアルバムまで作る程本格的に活動するとは思ってもみなかったよね?

  事の発端は、今年3月に行われたこのイベント。YO-KING主催で、彼の友人や親しいミュージシャンが集ったイベントなわけですが、この時出演したのは他でもない、民生とピーズなわけですよ。で、そのイベントの最後にはこの4人で、いわば「プレO.P.KING」と呼べるようなライヴをやったわけ。その時に演奏されたカバー曲("BAD BOY"、"RIP IT UP ~ Ready Teddy"、"Hippy Hippy Shake")は全て今回のアルバムに収録されているんだけど、そういったカバー曲のみならず、O.P.KING名義での作品2曲、YO-KING、民生、はるによるオリジナル曲がそれぞれ1曲ずつ、計8曲の最高にイカすロックンロールが詰まったミニアルバムがここに完成したわけです。

  いきなりこのメンツでバンド組みましたって言われると、普通は「おおっ、スゲエ! スーパーバンドだよ!!」って興奮するんだろうけど、冷静に考えるとこの組み合わせって、単に初期YO-KINGバンド(倉持・はる・シンイチロウ)に民生がゲスト出演したような形ともいえるんだよね。実際、民生ってYO-KINGのセカンドアルバムにも2曲ゲスト参加してるんでしょ? その片鱗みたいなものはずっと前から見え隠れしたたわけか‥‥

  ハッキリ言っちゃえば、YO-KINGの楽曲はまんまだし、民生の曲もまんま民生、はるの曲もピーズでやっても何ら違和感のない、当たり前の曲。つうかそれが当たり前の話だろってことなんですが。それだけ色や個性が強いミュージシャン/ソングライター/シンガーが3人も揃ってるんだもん、普通は個性のぶつかり合いみたいな、どぎつい世界観をつい想像してしまいがちだけど、ここにあるのはそういった「若さ故の争い」的サウンドはゼロ。目立つ時は思いっきり目立ちまくり、他者を立てる時は日陰の人として地味にする、でもそのスター性がそれでも滲み出てしまう、みたいなそんな内容。要するに「大人が頑張ってやんちゃしちゃいました!」的1枚。30代後半、40代に手が届きそうなオッサン4人による「夏の想い出音日記」なサウンドトラック盤。それがO.P.KINGなんじゃないでしょうか?

  ま、言い出しっぺは間違いなくYO-KINGでしょう。民生が進んでこのメンツを揃えて「バンドやろうぜ!」なんて言うわけないし、はるはピーズで精一杯だと思うし、シンちゃんにしろピーズとpillowsで手一杯だからYO-KINGバンド辞めたわけだし。もうね、王様のワガママから始まったといっていいんじゃないかな? だからって、決してYO-KINGが悪者だと言いたいんじゃなくて、よくぞ実現させてくれた、ありがとう!と心から感謝したいわけよ。だってさ、それぞれがそれぞれのバンドのリーダー格な存在ばかりでしょ?(ま、ソロのYO-KINGと民生は当たり前だけど、ドラマーのシンちゃんはちょっと違うかも)そういった人間がリーダーでもなく、単に「バンドの一員」としてステージに立つ姿、あんま観れないわけじゃない? 特に民生なんてユニコーン解散してから10年近くだよ!? これを面白くない・楽しめないって言ったら嘘になるんでないの?

  そういう偏った楽しみ方もありつつ、肝心の音はもうストレートすぎる程のロックンロール。それぞれのソロ曲は上に書いた通りだけど、それらの音も一本筋が通ってる感じかな。そして問題の「O.P.KING」としての共作曲"O.P.KINGのテーマ"と"通り過ぎる夏"。これってどういう風に作っていったんでしょうね。前者は民生がメインで歌うパートが多く、ブリッジ1でYO-KING、ブリッジ2ではるといった感じで、それぞれが歌うパートのメロはやっぱりそれぞれが書く楽曲のそれに近いのね。更に後者に関しては、はる~YO-KING~民生~シンちゃん(!)という具合に各コーラスを歌っている構成で、コード進行とサビメロは一緒なんだけど、それぞれのメロディが全く違うという‥‥多分さ、それぞれが歌うパートに関してはそれを歌う人がメロディや節回しを作ってると思うのね。特に"通り過ぎる夏"の場合は確実にそれ。もう笑っちゃう位にそれらしいメロディだもん。んん、だとしたらシンちゃんのは‥‥おおっ!

  こういうのはね、レビューでいろいろ解説・分析するもんじゃなくて、爆音でひたすらリピートするのが正しい楽しみ方だと思うのね。この夏必須、特に同年代のオッサン達にこそ聴いて欲しい1枚。



▼O.P.KING『O.P.KING』
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投稿: 2003 08 01 12:00 午前 [2003年の作品, O.P.KING, pillows, the, YO-KING, ピーズ, The, 奥田民生] | 固定リンク

2003/07/31

モーニング娘。『シャボン玉』(2003)

  前作「AS FOR ONE DAY」から約3ヶ月振り、通算19枚目にして6期メンバー(藤本美貴、亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな)を含む15人体制での最初のシングルとなる「シャボン玉」。冒頭からいきなり言い切りますが、これはかなりいい曲。いや、かなりとかそんな柔らかい表現はいらないか‥‥いい曲。それで十分。

  まず、この曲ではサウンド、そして歌詞の両面において、過去のモーニング娘。からは考えられないような実験的要素を強く感じます。ま、実はその伏線というのは前作「AS FOR ONE DAY」から多少見え隠れしていたんですけどね。

  サウンド面。完全にロック調ですよね。しかも生ストリングスと生ブラスまで導入した豪華で分厚いサウンド。そういった装飾を取り除くと、実はチープな打ち込みだったりするのですが。今回のアレンジャーはお馴染み高橋諭一。実はモーニング娘。のシングルタイトル曲を手掛けるのは今回が初めて。更にブラス&ストリングスのアレンジに関しては河野伸が担当しているという豪華さ。この布陣に心動かされない人はいないでしょう。多くの人にとってこれらの名前が並ぶと、初期の高純度ポップスをやってた頃の彼女達を思い浮かべることでしょう。しかしここで披露されるサウンドは、それとは真逆のもの。如何にもつんく♂という、歌謡ロック路線。シャ乱Qでいうところの "いいわけ" 辺りの流れに通ずるものを持つ楽曲。しかし、このタイプの曲って実は過去にもあるにはあったんですよ‥‥その装飾こそ違うものの、実はファーストアルバム「ファーストタイム」収録の "どうにかして土曜日"、そして彼女達をトップスターへと導いた代表曲 "LOVEマシーン"。実はこういった楽曲達と同じ流れにあるんじゃないかな、と思ってます。前者2曲がポップス的だったりファンク風だったりしたのに対し、今回はもっと激しく重いロック調。根本にあるものはつんく♂本来が持っているもの、しかし装飾次第でいくらでもその形を変えていく。ここら辺が彼のプロデュースワークの面白味なのかもしれませんね。

  彼女達の歌い方はドスを利かせ、まるでがなるかのような歌声。ラ行の発音は完全に巻き舌。音程が外れる程の力み具合で、男っぽさを強調する表現方法。そして途中に何度も登場する「AI!」という掛け声のようなもの‥‥これってさ、ハッキリ言って西城秀樹だよね? 最近、つんく♂が西城秀樹を手掛けたことが影響したのか判りませんが、あの激しいダンスといい歌い方といい、そして'70年代的歌謡ロック風マイナーチューン。完全にヒデキ。違わない?

  更に歌詞。「愛する人はあなただけ」という行ではちょっと控え目な待つ女を演じ(これも演歌チックというか'70年代風だよね)、サビの「泣いて済むなら 泣きやがれ」ではそれとは正反対の男っぽさを感じさせ(この辺の歌詞なんてまんまヒデキ)、更に中盤に登場する石川梨華のセリフ‥‥あれこそヒデキのトレードマークですよ! 例えばヒデキに "ちぎれた愛" というヒット曲があります(そういえばこの曲もブラスが派手なマイナーチューンだよね)が、この曲では「僕の気持ちを信じて 君をはなすもんか すきだすきだよ すきなんだよ」というセリフが登場します。最後の「すきなんだよ」は正に石川の「抱きしめてよ~!」に匹敵する熱さ・ヒステリックさを感じますよね。同じように "ジャガー" という曲にもセリフがあって、ここでは"シャボン玉"と同じくらいの長台詞に挑戦しています(この曲もブラスがカッコいいマイナーキーの歌謡ロックだよね)。石川の長台詞は以前にも "ザ☆ピ~ス!" でも登場していますが、今回の場合は明らかに西城秀樹をモチーフにしてると思うんですよね。あの進むに連れてヒステリックになっていく様なんて、正に "ジャガー" のそれに近いし。

  えっと、ちょっと脱線しちゃいましたが‥‥今回言いたかったのは「ヒデキのパクリ」とかそういったことではなくて、最初の方に書いた「前作から見え隠れしていた実験的要素」ということね。まず、完全に歌謡ファンク路線からの脱却を図ること。何度でも書くけど「そうだ!We're ALIVE!」にて同路線を完成型に持っていってしまい、その後アレンジャーにダンス☆マンを全面的に使うことに躊躇してるように感じるつんく♂。似非R&Bだったりスカコア風ポップチューンだったりひょうたん島だったりいろいろ試行錯誤あったものの、ここで原点‥‥つまり「シャ乱Qロックボーカリストオーディション」からスタートしたところまで一度立ち返り、そこから新しい何かを始めようとしてるように感じるんですね。これが決して新しいものだとは思いませんが、間違いなくこれまでのモーニング娘。にはなかったカラーですよね。そういう意味では新メンバーを加えたことによって、そして彼女達に可能性を見出すことでつんく♂の中で何かが吹っ切れたのかもしれませんね。

  そしてもうひとつ。歌詞の面での変化。「ひょっこりひょうたん島」までに存在した、躁すぎる程の前向きな人生応援歌。モーニング娘。といえば‥‥という程に当たり前になっていたこの路線も、前作「AS FOR ONE DAY」では封印し、それまでになかったようなしっとりとした失恋ソング、しかもそれまでのローティーンやそれ以下の子供にも通ずるような歌詞作りから、もうちょっと上の層を意識したかのような内容。その傾向は"シャボン玉"で更に加速してるように感じられます。上にも書いたように、ひとつの曲の中に3つの顔‥‥控え目な女性、荒々しい男っぽさ、ヒステリックで押しつけがましい女‥‥が登場するという意味でも、つんく♂がそれまでとは違ったことをやろうとしてるのが汲み取れます。

  そういったことを踏まえてカップリング曲"涙にしたくない"を聴くと、ここではタイトル曲よりはインパクトが弱いものの、ここ数作のシングルc/w曲にあったような「普通の女の子の日常的な恋愛」を表現した安定路線になっています。アレンジャーは鈴木俊介。打ち込みメインですが、これはこれで彼らしいかな、と思えるような穏やかなポップチューンに仕上がってます。ちょっとファンキーでヒップホップ的な派手さを持ったアレンジなんですが、メロや歌詞はちょっと穏やかですよね。この曲にしても、本当にメロディがいいんですよね。特にサビでの盛り上がり方が、ちょっとここ最近のつんく♂にはなかった運び方ですよね。思わず「おおっ!」と唸ってしまった程で。まぁ捨て曲ではないものの、決してシングルタイトル曲になるタイプではない1曲ですが、こういう曲が入ってるとやはり安心してしまうんですよね。アルバムでいうところの4曲目とか7曲目辺りといった印象。

  ということで、新たな血を導入し、それに便乗して新たな波に乗ろうとするモーニング娘。とつんく♂。これはもう爆発的に売れるか、思いっきり転けるかのどちらかじゃないでしょうか? 一応現時点ではチャート誌のデイリーチャート2日連続で1位をキープしていますが‥‥個人的には今年に入ってリリースされた彼女達のシングルの中でも一番のセールスを記録すると思うんですよね。ま、決して一般受けするタイプではないし、実際に店頭なんかで流れてるとちょっと引いてしまいそうになるんですが‥‥

  これを「戦闘態勢が再び整った」と取るか、楽曲中盤に登場するような「断末魔」と取るか‥‥その辺で評価が大きく分かれるのかもしれませんね。ある種、ファンにとっても「踏み絵」的な1曲になるかもしれません。



▼モーニング娘。『シャボン玉』
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投稿: 2003 07 31 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2003/07/23

サザンオールスターズ『涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~』(2003)

  サザンオールスターズとしては2年半振りくらいですか? 2001~2年って桑田佳祐がソロで散々動き回ったせいか、そんなに長く出てなかったって気が全然しないんですけどね。まぁそうはいっても、その間にギターの大森隆志の脱退という大事件があたりしたので、結局はそれが原因でサザンとして活動しなかった(できなかった)のかなぁ‥‥なんて邪推してみたり。まぁ最終的には残された5人で活動を続行することを選んだのですから、良しとしましょう。

  今年でデビュー25周年。そういう年にリリースされる新音源1発目は、新曲5曲も収録されたボリューム満点の1枚。5曲中(とはいっても、3曲目"OH! FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~"は1分にも満たない、パロディ的コマーシャル形式の1曲なんですが)3曲にタイアップが付き、既に6月からテレビでバンバン流れているという露出振り。相変わらずです。

  タイトルチューン"涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~"は、某月9ドラマの主題歌。トレンディドラマ(死語)主題歌ということもあって、それらしい内容の出来になっていて、セルフパロディになるかならないかのギリギリラインにある1曲でしょうね。別にネタ切れとかワンパターンとは思いませんよ。むしろ聴き手(ここでは我々音楽ファンではなく、普段あまりCDを買わないような層)はこういうものを一番求めているでしょうからね。それにやはりサザンは、そういったポップ・イコンをこれまでも引き受けてきたわけだし、25周年という記念すべき年だから尚更余計に意識してるんじゃないですかね。「好き」か「嫌い」かで分けるなら、断然「好き」で。

  2曲目"雨上がりにもう一度キスをして"は、某航空会社のCMソングとして6月からテレビで流れてるポップチューン。メンバー本人が出演してることでも知られてますよね。これも過去のサザン節をそのままなぞらえたような楽曲で、特に目新しい要素・実験的要素は皆無。聴き手が安心して手を伸ばせるという意味では、これら2曲は大成功を収めていると思います。当然「好き」だし。

  3曲目"OH! FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~"は割愛して、4曲目"恋人は南風"も、上記の2曲同様の流れを持つミディアムポップ。3曲に共通してるのは、「夏にリリースする楽曲」と「25周年を記念するリリース」という2点でしょうね。家で、カーステレオで、町中で、リゾート地で、とにかくどこで聴いてもハマるようなポップチューン。これらが最高の出来とは言いませんが、ある意味最強ではあるでしょうね。3曲の中では、実はこれが一番趣味に走ってるように感じられます。コーラスアレンジにしろ、凝ってますしね。

  ラストは"経験II(セカンド)"。某歌番組でのゲームで桑田が負けたことから、その番組テーマ曲として作らされた、的設定を持つこの曲、唯一のロックチューン。こういうナンバーを聴くと何故か安心するんだよね。サウンド的には初期~中期のような「毒」は感じられないし、ここ数作のアルバムにあったような実験要素もない直球なんだけど、中盤の静かになるパートのアレンジと歌詞に救われてるような。アレンジやコード進行が単調だから余計にそう感じるんでしょうね。それと、ここんところ桑田ソロで極太ロックチューンを聴かされてきたので、どうしてもそっちを比べちゃうんですよね‥‥仕方ないわな。

  というわけで、今回のシングルはマニアックにはならず、サザンを長く支えてくれたコアな層というよりも、もっと広い層に向けて放たれたシングルという気がしますね。コア層には「勝手にシンドバッド」の限定盤を用意し、みたいな(んなわきゃないか)。多分、この後数枚シングルを切って、来年の夏~秋にはアルバムが待ってるんだと思いますが(いや、もしかしてもっと早いかも!?)、個人的にはそっちでの爆裂具合に期待。ただ、だからといってこのシングルをないがしろにするつもりはないですよ。これはこれで「ひとつの作品集」としてちゃんと完成されているし。これを書いてる今、まだ梅雨明けしてないので、きっと梅雨明けした後に改めて聴いたらもっと気持ちよく響くかもね。



▼サザンオールスターズ『涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~』
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投稿: 2003 07 23 12:00 午前 [2003年の作品, サザンオールスターズ] | 固定リンク

カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『浮気なハニーパイ』(2003)

  新メンバー、みうなが加入したのが今年の春。その後、「カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)」としての活動(形体)を一旦白紙に戻し(=石川梨華のレンタル終了)、今後の動向が注目されていたカントリー娘。。1~2ヶ月前に急遽、新しい助っ人に石川と同じモーニング娘。の紺野あさ美と藤本美貴が選ばれ、過去最大の5人体制となり、名前も新たに「カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)」と更に長くなってしまったわけで。

  というわけで、カン娘。関連としては昨年11月の"BYE BYE 最後の夜"以来、8ヶ月振りとなるシングル。これがかなりの曲者です。多分、古いファンになればなる程、賛否両論なんじゃないでしょうか?

  タイトルチューン"浮気なハニーパイ"は、思わず「"James Brown Is Dead"(ジュリアナ東京全盛期に流行ったダンスチューン。今から10年以上も前の曲ですね)かよ!」とツッコミを入れずにはいられないディスコチューン。あのメインリフがまんま流用されているわけですが、実際バックトラックはそこまで昔のジュリアナ・サウンドという程でもなく、もっと昨今のサイバートランス系の打ち込みなんですよね。よく作られていると思いますよ。ただ、練られているとは思わないけど(ここが微妙なポイントなんですよね)。この辺が気にならなければ、メロディもしっかりしてるし(ホント、ここ最近のつんく♂の冴え具合は目を見張るものがあるよなぁ)、新加入したみうなの歌唱もそれ程悪くないし、ハマったら抜け出せなくなる中毒性の高い1曲になってると思うんですよね。

  藤本のファンだからというのを差し引いても、彼女の声というのはもうそこにあるだけで存在感抜群なわけで。この曲の中でもズバ抜けて耳に残るのが藤本の歌声。続いて印象深いのが、藤本とパートを二分してるように感じる里田まい。正直デビューしたての頃はそれ程印象に残らなかったんですが、特にここ最近(シャッフル以降?)の成長には目を見張るものがありますよね? あさみも適材適所で役割を旨くこなしているように感じるし、逆にみうなはその初々しさが印象深いし。そういう観点からすると、紺野の声の薄さがここではちょっと足を引っ張ってるように感じるんですが‥‥まぁそれも彼女の個性だし。タンポポのような組み合わせだと見事に栄えるんですけどね。ちょっと今のカン娘。はパワーゲーム化しつつあるように感じますね。

  そして、カップリング曲。これが本当の問題作で(少なくとも旧来のカン娘。ファンにとっては、ね)‥‥りんね&あさみ時代の名曲、"恋がステキな季節"の2003年バージョンなんですわ。これ、発表になった時点で既に「否」の声が圧倒的に多かったんですよね。俺!? 俺はフラットな気持ちで「聴いてみなきゃ判断つかん」って思ってた。んで、聴いてみて。バックトラック及びあさみのボーカルは当時のままを流用し、そこに里田・みうな・藤本のボーカルを被せたようですね。紺野は歌ってるのかな‥‥全然判らないよ。ただ、クレジットにはコーラスにあさみと紺野の名前があるし、ハーモニーに紺野の声を見つけることができるので、そういう参加の仕方なのかもね。

  これは「りんねさんの歌」という風に捉える人が多いと思うけど‥‥俺、敢えてこの曲にしたのは制作側からの善意を感じるんだよね。だってさ、この曲の前のシングルまでは「北国」とか「北海道」をテーマにした曲ばかりだったじゃない? それこそが道産子のりんねさんの為の曲であって、むしろこの"恋がステキな季節"ってのはもっと違う次元の、普遍的なポップソングを目指したものだと思うのよ。もう、この時点で「りんねさん限定」というのはちょっと違うかなぁ、という気がするのね。そりゃファンからすりゃ「りんねさんの歌」には間違いないんだけど‥‥歌って本来、時間を経て、巡り巡って歌い継がれていくものなわけじゃない。敢えてこの曲を選んだのは、そういったファンに対する可能な限りの善意からと、そして「埋もれてしまうには勿体ない曲。これを切っ掛けにもっと多くの人の耳に届いて欲しい」という願望からだったんじゃないですかね? だから俺は今回のカバーを否定できないのね。むしろ好意的に捉えてます。だって、思ったより出来が良かったんだもん。これであさみのボーカルも再録してたらもっと良かったのにね。

  というわけで、新生カン娘。に新たな助っ人2人。俺は支持しますよ。今回の再編成が「ソロで歌う場を失った藤本を遊ばせる場」であったとしてもね(そういえば、藤本って「hachama」所属だったわけでしょ。今まで「zetima」等他のレーベルの音源に参加した時はそういうクレジットが入ってたんだけど、今回のシングルにはそのクレジットが一切なし。ということは、モーニング娘。編入と共に「hachama」との契約が終了、そのまま「zetima」に移籍になったってことなんでしょうかね?ってのは、邪推しすぎ??)。



▼カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『浮気なハニーパイ』
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投稿: 2003 07 23 12:00 午前 [2003年の作品, カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2003/07/21

RON RON CLOU『SECOND RUNNER』(2003)

  8年振りのセカンドアルバム。もうこれだけで感動なのに、その内容が文句なしに素晴らしいんだから、もう‥‥間違いなく、今年前半にリリースされた中でもトップ3に入る1枚だと思います。そんなRON RON CLOUのアルバム、「SECOND RUNNER」。全14曲で約40分、全ての楽曲が2~3分台、4分を超える曲なんて1曲もなし。ただひたすら突っ走り、ギターがザクザクリフを刻み、メロディアスなメロディに心ときめかす。そんなポップパンク/ギターポップ/パワーポップ‥‥呼び名なんてどうでもいいや、とにかくそんな傑作ロックアルバム。

  ギター&ボーカルのアライ・ヒトシが'90年代末からNORTHERN BRIGHTとしての活動も並行して行っていたため、ちょっとスローペースになっていたRON RON CLOUの活動も、ここに来て急に活発に。まさか2003年の今年にアルバムを聴けるなんて思ってもみなかったもんだから、最初その知らせを聞いた時はビックリしましたよ。そしてその知らせから数ヶ月、あっという間に我々の手元に届いたこのアルバム。何度も言うけど、この手のサウンドが好きな人には文句なしでしょう。少なくとも俺に関しては、この半年間にリリースされたこの手のものの中でブッチギリの1位ですから。

  全14曲中、5曲("STANDING IN THE SHADOWS"、"THE GOLDEN COUNTRY"、"DO SPORTS!!"、"SMASH IT UP"、"LUCKY STAR")がシングルでの既発曲なんだけど全てこのアルバム用に再レコーディングされたバージョン。加えてボーナストラック扱いの2曲("READY STEADY GO!"と"I DON'T MIND")は'96年にリリースされた"STANDING IN THE SHADOWS"のアナログ盤及びピクチャー盤に収録されていたカバー曲。現在は共に廃盤の為、ここでしか聴けない音源になってます。ちなみに前者がGENERATION Xの、後者がBUZZCOCKSのカバー。アルバムには他にもMY BLOODY VALENTINEのカバー、"SUNNY SANDAE SMILE"も収録されています。

  とにかくね、いきなり1曲目"MERRY-GO-ROUND"の疾走感&美メロにやられてしまうんですね。下手なメロコアバンドより気持ちいいし、何よりも主旋律&ハーモニーが気持ちいいの何のって。そのまま名曲"STANDING IN THE SHADOWS"、"THE GOLDEN COUNTRY"へと流れていく構成もさすが。中盤に並ぶ新曲群も安心して聴いてられるし、その後に訪れるシングル曲の数々も言うまでもなく。そして"LUCKY STAR"の余韻を引きずったままフェイドインする"DON'T BE AFRAID TO FLY"、本編ラストの"TEENAGE SONG"のミディアム2曲。これがもう素晴らし過ぎ。TEENAGE FANCLUBにも通ずる美メロ&コード進行にゾクゾクしっぱなし。いやーマジかっけー!

  ライヴでいうところのアンコール的なボーナストラック2曲も、カバー曲なので特に問題なし。アルバムの構成を壊すどころか、むしろそのままリピートして1曲目に戻ってしまうという。まんまとRON RON CLOUのペースにはめられっぱなし。

  こういうバンドの、こんなに充実したアルバムを聴いてしまうと‥‥ホントにバンドがやりたくてたまらなくなるんだよね。ギターとベースとドラム、3人揃ってスタジオで「いっせーのーせー!」でガツーンとデカイ音でこういう曲を勢いよく‥‥10代だろうが30代だろうが、年齢なんて関係なく、ねっ!



▼RON RON CLOU『SECOND RUNNER』
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投稿: 2003 07 21 12:00 午前 [2003年の作品, RON RON CLOU] | 固定リンク

2003/07/18

BON-BON BLANCO『BEAT GOES ON』(2003)

  3月末にリリースされた、BON-BON BLANCO待望のファーストアルバム、「BEAT GOES ON」。正にタイトル通りの、一本筋の通った高純度ポップアルバムに仕上がってます。シングル曲 "愛 WANT YOU!!"、"だって、女の子なんだもん!"、"愛のナースカーニバル"、"涙のハリケーン" のクオリティがあまりに高かったことから何となく凄いアルバムになりそうだなぁというのは想像できたんですが、まさかここまで完成度が高いとは思ってもみませんでした。

  全11曲中既発曲は上記の4曲に加え "涙のハリケーン" のc/w曲、"White♡" の計5曲。他の6曲がこのアルバム用の未発表新曲ってことになると思うんですが、ボンブラの場合既にライヴのみで披露されていた未発表曲というのが沢山あるそうなので、恐らくそういった「既にファンなら知ってる、ライヴで披露済みの楽曲」が数多く収録されているんだろうと想像します。

  んで、そういった新曲のクオリティもシングル曲に負けず劣らずの完成度。大体アルバムの頭3曲をそういった新曲で固める辺り、非常に挑発的ですよね? ハロプロに慣れてしまってる身としては、これはちょっと意外、というか驚き(ハロプロ系はアルバムトップに、その時点での最新シングルやヒット曲を持ってくるっていうパターンが殆どですからね)。アイドルとかそういった枠を超えた、評価されるべきJ-POPアルバムと呼んでも差し支えないと思います。

  頭3曲("この手につかんだ未来地図(ストーリー)"、"だいじょうぶ!! my firend"、"LIVE")に比較的落ち着いたミドルテンポのポップチューンを持ってきてるんですが、そのリズムパターンは様々で、"この手につかんだ未来地図(ストーリー)" がサンバ調のリズムだったり、"だいじょうぶ!! my firend" はレゲエだったりして、ミドルテンポながらも単調にならず、ちゃんと考えられているのはさすが。ちょっとまったりしてきたところに、ヒットチューン "涙のハリケーン" が出てきて高揚し、その後にこのアルバム最大のハイライトであろう名バラード "The sea of the time" を持ってくる構成、ホント良いよね。とにかくこの曲は特筆すべき出来で、何故これが現時点での最新シングル "バカンスの恋" のc/w曲としてリカットされたのかが何となく理解できますよね。

  後半になると知ってる曲が増え、ちょっと安心感が。ヒット曲 "だって、女の子なんだもん!"、"White♡" でいい感じに高揚したところにミディアムスロウの聴かせどころ "世界の始まりのように" で一息つき、ダンサブルな "Mysterious Heaven" で再び盛り上がり、デビュー曲 "愛 WANT YOU!!"、そして現時点での最大のヒット曲 "愛のナースカーニバル" で最高潮を迎え、アルバムは幕を閉じるわけです。ホント、隙のない完璧な作り。

  実は俺、ボンブラがBEING系所属のグループだなんて知らなかったんですよ、今回のアルバムクレジットを見るまで。「PRODUCED BY ZAIN PRODUCTS」、そして参加ミュージシャンにDEMENSIONや宇徳敬子の名前を見つけ、何となく彼女達の立ち位置が判ったような気がしたのでした。

  この完璧過ぎるアルバムに、ひとつだけ難癖をつけるとするなら‥‥「完璧過ぎて、面白味に欠ける。意外性が少ない」ってとこですかね。無理して嫌味のひとつでも言いたくもなるような、とにかく良く出来たアルバムですよ。同時期にリリースされたモーニング娘。の「No.5」と‥‥比べるまでもないか。同じ「ダンスミュージック」を骨格に持つポップスとして聴き比べるのも面白いし、ああいったダンサブルなアイドルポップが好きな人なら絶対に何か感じるものがある作品だと思いますよ。偏見持たずに是非聴いてみてください。



▼BON-BON BLANCO『BEAT GOES ON』
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投稿: 2003 07 18 12:17 午前 [2003年の作品, BON-BON BLANCO] | 固定リンク

2003/07/14

JET『DIRTY SWEET EP』(2003)

ここ数年、「リフロック」バンドがもてはやされています。このサイトでもそういったバンドを取り上げることが多いですが、特に昨年後半辺りからTHE WHITE STRIPESの英米での大成功、THE DATSUNSのブレイク、そして最近では昨年夏にこのサイトでもいち早く取り上げた「THE ELECTRIC SWEAT」がメジャーから再リリースされたTHE MOONEY SUZUKIといった辺りが人気を得ていますが、ここにもうひとつ、そういったバンドに負けず劣らずな存在になるであろう新人がいます。それが今回紹介するJETです。

オーストラリアはメルボルンにて結成され、結成から間もない頃にROLLING STONESのオーストラリア・ツアーの前座に抜擢されたというだけで話題性十分なのに、間もなくリリースされるであろうデビューアルバムがデイヴ・サーディー(オルタナ系・ラウド系ではお馴染み)のプロデュースでLAにて制作された、既にイギリスではライヴはソールドアウトで雑誌でも大絶賛されている、更に日本への初来日が今夏のフジロック等、とにかく既に大物としての貫禄十分なわけですよ。ここ日本でも7月にはリリースされたこのEP、昨年夏にレコーディングされ、限定盤としてリリースされたものの、すぐにソールドアウト。急遽メジャー配給で今年の春に海外でリリースされたという代物。俺もこの春に手に入れていたのですが、常習性十分なrawでアーシーなロックンロールを堪能できる、本当にいいバンドだと思いましたね。

昨今の爆走ロケンローの流れを組む勢い十分な"Take It Or Leave It"。同郷ということもあってか、よく名前の挙がるAC/DCからの影響を十二分に表現した"Cold Hard Bitch"、何故ストーンズが彼等を絶賛したのかが理解出来るカントリーテイストのバラード"Move On"(コーラスの入り方が、'70年代のミックとキースを彷彿させますしね!)、「ホントにこれが2003年のバンドかよ!?」と思えてしまうサウンドと空気感を持ったユルユルのロックンロール"Rollover D.J."と、EPということでたったの4曲しか入ってないのですが‥‥物足りないよ! 間違いなく、この手の音が好きな人にはたまらない1枚になってるんだけど、多分このバンドの凄さはこんなもんじゃないと思うのね。間違いなく「顔見せの名詞的内容」なんだけどさ、確かに名詞としては十分な役割を果たしてるんだろうけど、きっとフルアルバムやライヴではここにはないタイプの楽曲が幾つかあるんだろうなぁ、と大きな期待を寄せてしまうわけですよ。たった4曲ではあるんだけど、そう感じさせるだけの魅力がプンプン匂ってくるもの。

上に書いたようなバンド‥‥それこそストーンズであったりAC/DCであったり、そういったストレートなロックンロールを信条としてるようだけど(ジャケット写真でもストーンズやAC/DCのTシャツ着てるし、ギターリストがフライングVを使用してたりとか、それだけでも十分判りやすいよね)、多分30才超えたような人達は「リバイバルロックだろ!?」といって彼等に見向きもしないような気がするのね。けどさ、そういった30才超えたような俺らからすると、こういったサウンドをハタチそこそこの小汚いアンチャン達が勢いよくやる、そこに意味があるんじゃないかな? 10代~20代前半の子達はリアルタイムでLED ZEPPELINもSEX PISTOLSやTHE CLASHもGUNS N'ROSESもNIRVANAも実体験してないわけよ。そういったバンド達が持ってた「ライヴ感」であったり「リアル感」を、今もてはやされている「リフロック」バンド達に求めてるんじゃないのでしょうかね、彼等は。

‥‥なんて小難しい事を書いちゃったけど、早い話が「カッコ良ければ、それでいいじゃない!」ってわけですよ。俺が視聴して一発で気に入ったように、彼等も即効性を持ったこのサウンドにやられてしまったわけですから。とにかく、今からフジロックが待ち遠しくてたまらないよ!



▼JET『DIRTY SWEET EP』
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投稿: 2003 07 14 03:15 午前 [2003年の作品, Jet] | 固定リンク

2003/07/12

KULA SHAKER『KOLLECTED - THE BEST OF』(2003)

もはや彼等KULA SHAKERをリアルタイムで通過していない世代すら多くなりつつあるこのサイトですが、やはり開設当初に取り上げた彼等のセカンドアルバム「PEASANTS, PIGS & ASTRONAUTS」は今でも名作であり、結局最後の来日公演となってしまった'99年6月の2度目のジャパンツアーも強烈なインパクトを我々に残しました。その後、彼等は同年9月にクリスピアン・ミルズ脱退という想像もつかなかった形でバンドの終焉を迎えるわけです。その後、3年以上ものブランクを経てクリスピアンがTHE JEEVASを率いてシーンにカンバックしたことは、記憶に新しいでしょう。昨年夏のフジロック、今年1月のジャパンツアーに続いて、早くも今年の夏、再びフジロックに登場し、帰国後の9月には約1年振りとなるセカンドアルバムのリリースが決定しています。

そんな、今でこそ活動が順調なクリスピアン。THE JEEVASのライヴでもお馴染みのKULA SHAKERナンバーを多数収録した、所謂ベストアルバムが今回紹介する「KOLLECTED - THE BEST OF」という1枚。ヨーロッパでは'03年初頭、ここ日本では同年3月にリリースされました。

ベストアルバムというと、普通は数枚のアルバムをリリースした後、活動の節目となる時期(メンバーチェンジや解散・活動休止、レコード会社移籍等)に発表されることが多いのですが、今回の場合は単純にTHE JEEVASのヨーロッパ・デビューに合わせて、ということでしょう。それにしても、KULA SHAKERはたったの2枚しかアルバムをリリースしていないわけですよ。そんな彼等がベスト盤だなんて‥‥STONE ROSESのベスト盤というのも多少無理があると感じたことがありますが、まぁ彼等の場合はシングル・オンリーの楽曲やカップリング曲が充実してるから、意外と曲が多いんですよね。けど、KULAの場合は‥‥カップリング曲を含めても40数曲なわけですよ‥‥って、そんなにあったのか‥‥まぁ、なら出そうと思えば出せるのか。意外とKULAもシングルにしか入ってない曲、多かったのね?

さて、その内訳を見てみますか‥‥ファースト「K」から7曲(内シングル曲4曲)、セカンド「PEASANTS, PIGS & ASTRONAUTS」から4曲(内シングル曲3曲)、シングルオンリー1曲、シングルC/W曲3曲、そして未発表曲1曲の計16曲となっております。まぁファーストから一番多いのは判るとして、セカンドから4曲ってのは正直少ないかな、と。まぁコンセプトアルバム色が強い内容だったので、バラして収録するには厳しい楽曲もあるにはあるんだけどね。あとさぁ‥‥シングルのカップリング曲、もっと多くていいんでないの? ここに入らなかった、ライヴでの定番曲って沢山あるわけじゃない? ファーストの頃だったら "Under The Hammer" とか "Gokula" 辺り、セカンドの頃だったら "Hurry On Sundown" や "Guitar Man" とか‥‥ってここで気づいたんだけど、今挙げた楽曲ってKULA特有のリズム重視のアップテンポの曲ばかりなのね。で、実際に収録されたカップリング曲をみると"Drop In The Sea"、"Light Of The Day"、"Dance In Your Shadow"という、彼等のもうひとつの側面‥‥メロディアスでメランコリックなミディアムナンバーばかりなのね。前者が"Hey Dude"や"Grateful When You're Dead"のような路線であり、後者は"Tattva"や"Govinda"的な路線といっていいでしょう。どちらがよりKULA SHAKERらしいか‥‥この辺の認識の差が出ているのかもしれませんね。

つまり、我々日本人はどうしてもアッパーでグルーヴィーな前者を彼等に求める。STONE ROSES亡き後の救世主として彼等を見ていた人達にとっては、こういった楽曲こそKULA SHAKERだったと。しかし、当のクリスピアンにとっては後者のようなインド信仰的なミドル・グルーヴィーな曲こそKULA SHAKERだったと。彼等を嫌う人にとって最も鼻についたのが、このインド信仰だったわけですよね(特にここ日本でもそういった声をよく耳にしました)。ここに大きな溝があるわけですよ。だからこのベスト盤の選曲をしたクリスピアンにとっては、これが普通の流れであり、ファンの側からすると「グルーヴィー~ミドルでメロウ~グルーヴィーでアッパー~ミドルでメロウ‥‥」という繰り返しに違和感を感じたりする。結局、この辺に対する理解の差によって、KULA SHAKERに対する評価が大きく分かれるように思います。

俺自身、最初は「イマイチな流れだなぁ‥‥」と思っていたんですよ、上記のように。けど、聴き込んでいくうちに、そういったことに気づいていき、実際"Tattva"や"Govinda"も大好きな自分としては「こういうのもありだな」とさえ思えるようになっていったわけです。

このアルバムでしか聴けないボブ・ディランのカバー"Ballad Of A Thin Man"も、如何にも彼等らしい出来ですし、これが日の目を見ただけでも意味あるリリースだったのではないでしょうか?

確かにそれでも不満は沢山ありますよ。変な編集や中途半端なエディットをした曲("Sound Of Drums"や"Mystical Machine Gun"等。特に"Mystical Machine Gun"は酷すぎ。何でギターソロをカットするかなぁ。しかもアルバムバージョンの方だし。この曲、シングル用に別バージョンがあるんだから、そっちを入れた方がお得感が強かったと思うのに。ま、楽曲を作った当の本人が選んだのでこれでいいのでしょうけど‥‥)や曲の並べ方、お約束のシークレットトラック等々‥‥THE JEEVASのファーストが淡泊だっただけに、ここで今一度遊んでおくか!?って気合い入れたんですかね? まぁ何にせよ、これを手にした若い子達がKULA SHAKERに興味を持つにはよい参考書程度にはなってると思います。折角アルバムは2枚しかないんだから、これ聴いて気に入ったらTHE JEEVAS聴く前にKULAのオリジナルアルバムを聴こうよ、ねっ?

最後に。日本初回盤にはボーナスDVDが付いてます。KULAの全PVを収録している、唯一の映像作品です。悪いことは言いません、初回盤をゲットすべき!



▼KULA SHAKER『KOLLECTED - THE BEST OF』
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投稿: 2003 07 12 05:35 午前 [2003年の作品, Kula Shaker] | 固定リンク

2003/07/09

7AIR / SALT5 / 11WATER『壊れない愛がほしいの / GET UP! ラッパー / BE ALL RIGHT!』(2003)

  ハロー!プロジェクトのメンバーによる4度目のシャッフルユニット、今年のテーマは「人間が生きていく上で必要な三大要素」なのだそうで‥‥もうここまでくると、正直厳しいような。完全こじつけだもんな。1回目が「色」、2回目が「祭り」、3回目は「幸せ」という感じで毎回大きな柱となるテーマがあったんだけど、今回は完全に色が違うよね。まぁ前回のテーマ「幸せ」自体が、このハロー!プロジェクトの大きなテーマであるわけで、それをやってしまった今、後はどんなテーマでやろうが結局一緒なのよね。

  「既にハロプロ内ユニット(新生タンポポやプッチモニ、あるいは藤本美貴が編入したモーニング娘。等)自体がシャッフル化してるのに、今更やられても」って感もなきにしもあらずだったんだけど、今回はこれまでと違った試みが幾つかあるのね。例えば、毎回3つのユニットに分けて、各ユニット毎に1枚のシングルをリリース、計3枚のシングルが同時発売されてその順位を争うような感じになってたんだけど、今年はそれらを全部1枚にまとめてのリリース。それまで3枚全部買ってた人は毎回3,000円以上もの出費を余儀なくされてたわけだけど、今回は2枚買ってお釣りがくる値段(約1,800円)。ま、この値段だったらミニアルバムだろ普通!?という疑問もあるけど、それでもシングルと言い張ってるらしいですよ(なのでオリコンでの集計もシングルチャートで発表されるとのこと)。結局、人数が多いから印税とかの問題で割高になるんでしょうか‥‥んなこたぁないか。

  もうひとつの試み。それはつんく♂本人による「これまでにない音楽的実験をここで試す」といった発言。ここ2回程、必ずといっていい程「夏祭り」をイメージさせる容易な楽曲が必ずひとつはあったし、それを割り当てられたユニットは「負け組」の刻印を押されてしまう。しかし、今回の3曲に関していえば、全てが平均点以上の内容で、最も大所帯で本来なら「負け組」呼ばわりされていたであろう11WATERの楽曲が一番親しみやすいものだというのも、確かにこれまでになかったことかもしれません。そして残る2組(SALT5と7AIR)でも音楽的な実験と、これまでの集大成ともいえるような作風を上手く取り混ぜた、意外に上出来な作品を提供しています。

  ま、能書きはこの辺にして、各ユニットの楽曲について簡単に感想を書いていきましょうか。

7AIR「壊れない愛がほしいの」

  モーニング娘。から石川梨華・高橋愛・新垣里沙、ココナッツ娘。とミニモニ。のミカ、カントリー娘。の里田まい、メロン記念日の大谷雅恵、そして1回目の「あお色7」以来の参加となる稲葉貴子から成るのが、この「7AIR」。7人を「歌組4人(石川・高橋・里田・大谷)」と「ラップ組3人(新垣・ミカ・稲葉)」という風に分けるというもの、これまでにない新しい試み。まぁ「何で石川に歌わせて稲葉に歌わせないんだよ!」とかいろいろ思うことはありますが、とりあえず実験ですので、これはこれで良しとしますか。

  楽曲アレンジは、お馴染み鈴木Daichi秀行。「ラップ」「Daichi」という組み合わせで何となく想像がつくと思いますが‥‥そう、お約束の「似非R&B」路線。はい、ここで引いちゃった人、最後まで読んで。

  この1年、再びつんく♂は「似非R&B」路線を復活させました。一時は封印してたようですが、いざ解禁した途端にセクシー8の "幸せですか?" やモーニング娘。"Do it! Now"、ごまっとうの "SHALL WE LOVE?" 等、とにかくこの手のタイプが一気に増産されたんですが、その出来はというと‥‥悪くはないけど、絶賛するような類のものではなかったと思います。中には「いいんじゃない?」と思えるものもあったのですが、基本的には‥‥好みの問題もあったと思うんですが、やはり個人的にはしっくりこなかったというのが本音です。

  が、しかし。今回はどうでしょう。いきなり結論から書いてしまうと、これは今までの同系統路線の中で最も優れてるんじゃないでしょうか? アレンジ的にDaichi氏が手慣れた、というのも大いに影響してるでしょうけど、今回の場合はむしろメロディの質の向上が大きいでしょう。ここ最近リリースされた楽曲、特に後藤真希の「スクランブル」や中澤裕子の「GET ALONG WITH YOU」といった辺りと同質の「良メロ」ではないかと個人的に感じています。やはり復調してきている、というのは本当なのかもしれません。娘。本体の "シャボン玉" も然り。

  個人的には大谷のソロを長く堪能出来る、里田が思った以上に良かった等の収穫を得た1曲ですが、悲しいかな、3組の中ではこれでも一番印象が薄いんですよね‥‥。

SALT5「GET UP! ラッパー」

  モーニング娘。から安倍なつみ・加護亜依・小川麻琴、ソロとして確立された地位を得ている松浦亜弥、そしてシャッフル初参加にして異色の演歌歌手・前田有紀という5人から成る「SALT5」。安倍や加護、最近人気急上昇の小川、そしてもはや何も言うまでもない松浦がいるってことで、本来ならこの最小数組が「勝ち組」と称されるのでしょうけど、そうはいかないのが今年のシャッフル。

  この曲もアレンジは鈴木Daichi秀行。ラガマフィン風の前半部がどことなくASIAN DUB FOUNDATIONを彷彿させますが、サビになるといきなりQUEENの "We Will Rock You" まんまのリズムに力強いシンガロングが飛び出すという、確かに新たな一面を覗かせる異色作。曲名に「ラッパー」とあるけど、実はラップは登場しないという‥‥ま、語感的にしっくりきたからなんでしょうね。

  それにしても、この曲の力強さはどうだろう? 久し振りに「おおっ!?」と唸っちゃったよ。ただね‥‥もうちょっとアレンジを捻ってもよかったかな、と。例えば前半部のラガマフィン調のパート。折角ADF風なんだから(って本人達はそんなこと、微塵も思ってないだろうけど)途中でドラムンベース風リズムトラックを挿入するとか、もっとディープリバーブをリズムやボーカルにかけてダブっぽく仕上げるとかしたら、文句なしの1等賞だったのにね‥‥勿体ない。ま、そこまでやっちゃったら、完全に「あっち側」に行っちゃって一般受けしなくなるのかもしれないね。この辺りのラインが一般受けギリギリの境界線なのかな?

  ま、そこまでやらなくても、十分にカッコイイと思うし、1回目のサビ後のブライアン・メイ風のギターソロといい、完全に聴き手を舐めきった歌い方(特に加護!)といい、特筆すべき点は沢山あるよね。こういう楽曲、最近ではホントに少なかったと思うので、ホントに嬉しいなぁ‥‥と。ただのキワモノで終わってない辺りもさすがだな、と。「実験」は上手くいったんじゃないですかね?

11WATER「BE ALL RIGHT!」

  モーニング娘。から飯田圭織・矢口真里・吉澤ひとみ・辻希美・紺野あさ美・藤本美貴、ココナッツ娘。からアヤカ、カントリー娘。からあさみ、メロン記念日から柴田あゆみ・村田めぐみ・斎藤瞳という最多の11人から成るのが「11WATER」。これまでだったら完全に「負け組」と呼ばれていたこのグループ、今回はある意味最も「成功」を手中にする可能性を秘めています。

  アレンジは高橋諭一。曲調的にはレゲエやスカの色が強いポップロックといった印象。曲の出だしが前曲の雰囲気をそのまま引き継いでいますが、リズムインするとプッチモニの "ちょこっとLOVE" を彷彿させるスカのリズムとポップなメロディを持った良質の楽曲だということに気づきます。特にメインリフとなるブラスパートが "ちょこっとLOVE" に似ていたり、曲構成自体も何となく似てるかな‥‥なんて思えるんですが、メロディ自体はあくまで「最近のつんく♂」してるんですよね。いや、悪い方のつんく♂ではなくて、復調しつつある方のつんく♂。スカ調のロックってことで、何となく「ここにいるぜぇ!」と比較したくなってしまいますが、まぁスカコアというよりもストレートなスカに比較的近いように思いますけどね(そういう意味ではメロン記念日の "遠慮はなしよ!" に近いかも)。

  この曲ではとにかく辻の歌声が目立ちますね。前々から言ってるように、彼女はこの1年で相当実力を付けていると思うんですよ。が、本体ではその結果を示す場所を与えられない。それを受けて、満を持してのシャッフルユニットといった感じで、とにかく彼女の力強い歌声が心地よい。更にテレビサイズではカットされる2コーラス目では藤本のソロが多く与えられている。アクの強さでいったら間違いなくハロプロ一ですからね。個人的にはこのふたりがいるだけで、このユニットの成功は間違いなし!って気がしますね。

  そこに加えて、最近メキメキと実力を付けつつある紺野や柴田、地味ながらも的確なサポートで存在感抜群の飯田や矢口といったメンバーの活躍があるんだもん、悪いはずがない。11人という人数がこれまでで一番上手く機能しているダンスといい、それぞれを潰し合うことのない確立された個性を感じることができるボーカルといい、もしかしたら「12~13人時代のモーニング娘。」の良いところを一番上手く表現したのがこのユニットなのかもしれませんね。

●最後に

  最後にもう1曲、総勢23人で歌う"OH! BE MY FRIEND"についても触れておきましょう。これはアレンジャーに守尾崇という人があたっている、どことなくユーロビート調の力強いポップソング。こんなに「23人が楽しそうに歌ってる姿」をいとも簡単に想像することが出来る楽曲は、最初のシャッフルでの "Hello!のテーマ" 以来かもしれません。とにかく楽曲として優れているし、1回聴いて終わりにはならない常習性がちゃんと備わっていると思います。単なるカップリングに終わってない辺りもさすがだと思うし、この夏のハロコンではこの曲を出演者全員で歌うだろうから、コンサートに行く人はちゃんと聴き込んでおくことをオススメします。

  と、駆け足で感想をズラ~ッと書き綴ってきましたが、全曲ここまでべた褒めしたのって何時以来でしょうか? とにかく外れなし!というのが今回の印象。そりゃね、上を見ればキリがないですよ。「この程度で満足してんじゃねぇよ!」って気持ちも判らないでもない。けど、ここにある4曲は間違いなく「今の」最高レベルに最も近い4曲なんじゃないでしょうか? 3枚バラバラでリリースすることを止めたのは、セールス低迷を大いに関係してるでしょう。昨今のユニット改変で不信感を持つファンもいるでしょう。そういう人達を振り向かせる為に、つんく♂は今出来る最高の仕事をこのシャッフルユニットと新生モーニング娘。の新曲でしてくれたのかもしれません。

  というわけで、俺は今年のシャッフルユニットを全面支持します。



▼7AIR / SALT5 / 11WATER『壊れない愛がほしいの / GET UP! ラッパー / BE ALL RIGHT!』
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投稿: 2003 07 09 01:07 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2003/07/02

ORIGINAL LOVE『踊る太陽』(2003)

  オリジナル・ラヴの新作を聴くのって、一体どれくらい振りだろう。多分、最後に買って聴いたオリジナルアルバムは「DESIRE」だから‥‥'96年ですか。ってことは‥‥まる7年振り!? そんなに経つのか‥‥俺が好きなオリジナル・ラヴのアルバムってのが、実は東芝時代のラスト作となった「風の歌を聴け」と、ポニーキャニオン移籍後1作目の「RAINBOW RACE」の2枚なんですよね。要するに、田島貴男のソロ体制へと移行していく過程で生まれた2枚。完全なるソロ作と言えるだろう「DESIRE」は当時、アクが強すぎると感じて苦手だったんだよなぁ(が、先日久し振りに引っ張り出して聴いてみたら、これがいいんですよ。何だかんだいって "プライマル" は名曲だしね)。

  で、それ以来疎遠になっていたオリジナル・ラヴ。この7年の間にリリースされたアルバムは1枚も聴いて来ていないし、せいぜいシングル曲はラジオやテレビで目にする程度。お金を出して買ってまで聴こうっていう気にはならなかったのね。

  ところが、この1年くらい、俺の周りでのオリジナル・ラヴ熱が結構高いんですよ。ま、切っ掛けはこの人なんですが、確かに耳にする曲全部がビビッとくるものばかりだったのね。でも、まだまだ俺の中で何かが燻ってて、手を出すまでに到らず。

  しかし、とうとう俺にアルバムを買わせるまでに心を動かす曲が登場するのですよ。それが先行シングル曲である"Tender Love"と"恋の彗星"。ゴージャスでセクシーな前者に、上で挙げた名曲 "プライマル" にも匹敵するメロディを持つキラーチューンな後者。この2曲だけで俺的には十分だったわけ。そして前のアルバムが素晴らしかったというこの人の言葉も頭に残っていて‥‥迷わず買いましたよ、ええ。

  で、どうだったかだって? ここで取り上げてるんだよ、いいに決まってるじゃんかよ! いや、予想以上の内容でホントに驚いた。ゴージャス、グラマラス、グルーヴィー、セクシー、ポップ、メロディアス。そういった要素全てが1枚のアルバムに詰め込まれてるわけ。ある種「大人のおもちゃ箱」だよな、このアルバムは。肩の力がいい具合に抜けまくっていて、それでいて力強い。マニアックなことをやっていながらも、判りやすい表現方法を用いているから聴きやすい。多分、俺が苦手と感じた「DESIRE」ってアルバムは、マニアックなことをそのまま表現してしまったからアクが強すぎたんだろうね。

  ここ数作を聴いてないから比較のしようがないんだけど、グラムロック的な曲が多く目立ってますね。頭2曲("ブギー4回戦ボーイ"と"ふられた気持ち")なんて、ソウルフルなんだけど、どこかグラマラス。マーク・ボランがエルヴィス・プレスリーをカバーしたかのような感触。そしてモロにグラムロックな"Hey Space Baby!"みたいな曲まで出てくる。それでいて初期にやってたようなことを現代的解釈でアレンジした"美貌の罠"なんて曲もある(これもシングルナンバーなんだよね、ある意味冒険だよな)。そして和的なメロディやアレンジが心を打つ"のすたるぢや"(名曲!)やマーヴィン・ゲイの "I Want You" を和訳(しかも訳詞は友部正人)カバーした"欲しいのは君"、アルバムラストにお見舞いされる強烈なブギー"こいよ"(作詞は町田康)。全ての曲がポップでグルーヴィーでセクシーで‥‥ってクドイか。とにかく、そういった曲が10曲詰まった、本当に優れたロック/ポップ・アルバムなわけですよ。

  いろいろあるながらも、再びこうやってオリジナル・ラヴにたどり着いたわけですが‥‥本当に素晴らしいアルバムですよ。多分、今年の夏はこのアルバムをカーステでガンガンに鳴らしながら海や山へと出かけることでしょうね。若い人達にも聴いて欲しいけど、是非自分と同年代の人達に聴いて欲しい1枚。大人だからこそ鳴らすことが出来る「音」がここにはあります。



▼ORIGINAL LOVE『踊る太陽』
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投稿: 2003 07 02 12:00 午前 [2003年の作品, ORIGINAL LOVE] | 固定リンク

2003/06/23

LA-PPISCH『POP』(2003)

  いろいろ調べてみたらこのアルバム、2年3ヶ月振り、通算12枚目のオリジナルアルバムなんですね。そうか、この2年3ヶ月の間に不動の5人からふたり(雪好と上田現)抜け、3人になっちゃったんだよな‥‥というわけで、3人編成になってから初のアルバムってことにもなるわけか。そんなに長い間リリースしてなかったとは思わなかったよ。しかもこれ、インディーに戻って最初の音源でしょ? インディーリリースは‥‥もしかして一番最初の「ANIMAL BEAT」以来!? って‥‥16~7年も前の話でしょ、それ? 素直に14~5年もメンバーチェンジなしに頑張ってこれたのがむしろ奇跡だよな。

  さて、抜けてしまったメンバーの話をここで何時までもグダグダ愚痴っても仕方ないので、新作の話をしましょう。個人的には現ちゃんが抜けた時点で「さて、LA-PPISCHはこのまま続くらしいけど、どういう感じになるのかな?」と、ちょっと意地悪な見方をするようになってたんですよ。正直なところ、LA-PPISCH自体、この7~8年ちゃんと聴いてなかったもんで、その間どんな音を出してたのかも知らないし、2000年のフジロックに出た時も「素晴らしかった!」という話を伝聞していたものの、やっぱり自分の目で耳で体験するまでは‥‥ねぇ? そこに雪好や現ちゃんの脱退ですから。特に現ちゃんは曲も作ってたしね。

  今年の2月にリリースされたこのアルバムも、最初はちょっと聴くのが怖かったんですね。ほら、やっぱり自分の知ってるバンドがメンバーチェンジによって全く別のバンドに変わってしまった、とかそういうの、よくあるじゃない? このバンドも同じように変わってたら‥‥って、躊躇してたわけ。けど、視聴してみたらこれが意外にいいのよ。で、また暫く時間が経ってから同じように視聴すると、更に良く聞こえるのね。んで、3回目視聴した時にはとうとう買ってしまったんですわ。とにかく頭3曲の流れで個人的にはノー問題でした。

  変わっているようで実は変わってない。ドラムやブラス隊をサポートに迎えつつも、骨格を作るのは残された3人‥‥MAGUMIと恭一とtatsu。何か更に若返ってるようにさえ感じられるのね。1曲目"アルペジろ"でちょっと肩の力を抜かせておいて、間髪入れずに"Yeah! Yeah! Yeah! ~Beat up and down~"のパンキッシュビートで聴き手に鋭いストレートをお見舞いする。ただパンキッシュでストレートなだけでなく、ちゃんとこのバンドらしい「部分」も残してるのね。とにかくこれが活動歴20年近いバンドの勢いか!?って程にかっけー。全然無理してる感じがしない、むしろ昔からこうだっだかのように自然体。そして如何にもLA-PPISCHらしい緩い"SINGING THE RAIN"、やはりアッパーな" ゛(濁点)"、サイケなロックンロール"郷愁の空"、高速パンクチューン"Rider on the run"、アッパーなロックンロール"TRAP THREE"、ヘヴィなサイケチューン"Freed man"、ある意味最もLA-PPISCHらしい?"T.S.G ~Tyrolean Siberian Glorian~"、ファンキー且つパンキッシュな"ZERO FIGHTERS"、しっとり聴かせるバラード"内緒"‥‥と全11曲、全く飽きさせず、「緊張感」と「緩さ」が交互にやってくるホントに「LA-PPISCHらしい」、俺がよく知ってるLA-PPISCHの音になってるんですね。

  誰もが思い浮かべる「LA-PPISCH」らしさをちゃんと維持しながらも、単なる焼き直しに終わらず、尚かつ「3人になってパワーが弱まったんじゃないの?」なんてケチがつけられない程にパワフルで、そして(俺が聴く限りでは)いろんな「新しい顔」も見え隠れする。メンバーチェンジした後のバンドのアルバムとしては文句なし、いや、絶賛されるべき内容ではないでしょうか?

  だってさ‥‥俺、このアルバム聴いてたら、久し振りにLA-PPISCHのライヴ観たくなったもん。そんなアルバムですよ、これは。アルバムを聴いてライヴを観たくなるようなアルバム作り。ロックバンドにとってこれこそ理想なんじゃないですかね。結成から20年近く経っても、いや、20年近く活動してるバンドだからこそ成し得る技なのかもね。とにかく、数日後(6/28)には念願の生LA-PPISCHですよ。しかも‥‥多分14年振りくらいにライヴ観ますよ!



▼LA-PPISCH『POP』
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投稿: 2003 06 23 12:00 午前 [2003年の作品, LA-PPISCH] | 固定リンク

2003/06/20

中澤裕子『GET ALONG WITH YOU』(2003)

  モーニング娘。卒業後は「シングルは1年に1枚」のペース、その他は「FOLK SONGS」シリーズでお茶を濁してきた中澤裕子。勿論、全く音源をリリースする気配のない人と比べれば、テレビ番組にも度々出演し、こうやって歌う機会もあるだけまだマシなんですけどね‥‥やはり「中澤裕子の為に作られた、オリジナル楽曲」を聴きたいわけですよ、「彼女の声」フェチとしては。

  そんな彼女の、前作"東京美人"から約9ヶ月振りにリリースされた、通算8枚目、卒業後3枚目となるシングル"GET ALONG WITH YOU"。つんく♂にしては珍しく英語タイトルなのが印象的なんですが‥‥これがね、いい曲なのよ。

  何て言うんでしょうか‥‥勿論メロディの温かみや歌詞の優しさってのもあるし、アレンジャーである渡部チェルの仕事ぶりの素晴らしさってのもあるし‥‥けどね、それだけだったら「普通にいい曲」止まりだったはず。それに呼応するかのような中澤の歌いっぷり‥‥これがね、ホントにいいんだわ。恐らく昨年秋に行われたソロとして初のライヴツアーで得た経験が見事に活かされたんじゃないかなぁ、なんて思うんです。

  過去の彼女との大きな違いは、単純に歌を上手く歌うこと、上手く伝えることに徹していた以前に対し、この曲ではもっと大きな‥‥曲全体を盛り上げる為の歌い方をしてるんですよ。上手く歌う、上手く伝える、それはもう大前提としてあるわけですが、それよりも一歩進んだ、もっと突っ込んだ表現方法というか。ひとつの楽曲を「ひとつの物語」として、しっかり起承転結を持たせた歌い方をしてるように感じられるんですね。ただ力強く歌うのが鼻についた"二人暮し"とも違う、自信を得たからこそ成せる技‥‥特にラスト前のサビパート後半部での盛り上がり方はハンパじゃないですよね? 正直、ああここまで表現できるようになったんだ、と感動しましたよ。

  俺の中では、今年前半にリリースされたハロプロ関連の楽曲上位3曲に入りますね。もしかしたら年間を通して、2003年を代表する10曲の中に入れてもいいくらい。何度もリピートしたくなる1曲。声の心地よさ、メロディの気持ちよさ、バックトラックの親しみやすさ、全てが一体となってひとつの物語を作り上げよう、盛り上げようとする相乗効果といいましょうか、それが見事に成功した好例ではないでしょうか。こういう曲、最近のハロプロでは少なかったよなぁ。

  一方、カップリングの"東京発 最終"は、過去の中澤裕子が歩んできた道をなぞるような1曲。ラテンフレーバーも感じられる歌謡曲風なメロディ&アレンジで、歌詞も切ない系ということもあり、歌い方もこれまでの彼女らしいしっとりとしたもの。単純な好みの問題でいえば、明らかにタイトルトラックの方が全てにおいて上。勿論、カップリング曲みたいなのこそ本来の中澤裕子だ、という人もいるでしょう。決して悪い曲だとは思わないし、これも中澤らしいと思うんですが‥‥分が悪すぎ。あ、あとこの曲のアレンジャーが小西貴雄というのも、俺的にはポイント低いんですよね。

  ポップス路線に以降してから5枚、卒業してから数えても3枚ですよ、シングルが。いい加減そろそろアルバムを発表してもいいころだと思うんですが‥‥単純につんく♂が「中澤には下手な歌は歌わせられない」とホントに良い曲を書き貯めているのか、それとも単に冷遇されているのか‥‥シングル曲5枚だけでもかなりいい感じなんだから、ここにあと5曲、アルバム用に誰もが納得いく「中澤らしい」曲が加われば‥‥

  単純に今、すっげー聴きたいと思ってるのは、モーニング娘。の新曲でもなく、メロン記念日のセカンドアルバムでもなく、中澤裕子のセカンドアルバムなんです。年内には‥‥是非!



▼中澤裕子『GET ALONG WITH YOU』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 06 20 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 中澤裕子] | 固定リンク

2003/06/18

後藤真希『スクランブル』(2003)

  みんなこういう曲を待っていたんじゃないでしょうか? 後藤真希のソロ名義での7枚目のシングル「スクランブル」はカップリング曲含め、快心の出来となっております。

  今や「最もごっちんらしい名曲」として代表曲のひとつに数えられている "やる気!IT'S EASY" というポップで明るくて溌剌とした楽曲。それと相反する"うわさのSEXY GUY"みたいな似非セクシー路線。前者はファンが熱望する、そして「最も素の後藤真希に近い」というイメージであり、後者はそれ程詳しくなくても彼女の名前くらいは知ってるという一般人にとってのパブリックイメージ。それくらいの格差が常に後藤真希には付きまとっているわけです。モーニング娘。としての搭乗時のイメージが強烈過ぎた為、いくらプッチモニで年相応なことをやっても、その後のシャッフルユニットやソロデビュー曲 "愛のバカやろう" 等一連の流れによって、彼女のことをよく知らない人には更にそういうイメージが強く植え付けられていく。だから、いくら"手を握って歩きたい"みたいな子供受けしそうな童謡的ポップスを歌おうと、ミュージカル用に "サン・トワ・マミー" みたいなスタンダード曲をカバーしても、一般的には「違う」と判断されてしまう。いくら素晴らしいパフォーマンスを披露しようとも‥‥

  個人的には、その両方の面を持ち合わせ、尚かつそれを完璧にこなしてしまうのが「後藤真希」だと認識してるんですね。だから"うわさのSEXY GUY"も個人的には全然「アリ」だったし、むしろ好きな曲なのね。けどさ‥‥やっぱりこの曲を前にしてしまうと、そして笑顔で歌う彼女の姿を観てしまうと‥‥判るでしょ、俺の考えてること?

  タイトル曲"スクランブル"のアレンジはお馴染み鈴木Daichi秀行。オール打ち込み&ギター、全てDaichi氏の手によるものなんだけど、これが特に悪いアレンジでもないのよ。むしろ今回は曲調やメロディに助けられてるのかな。初期のモーニング娘。にあったようなポップチューン‥‥あえて例えれば "真夏の光線" とか、あのライン。後藤のソロなら "やる気!IT'S EASY" やアルバム「マッキングGOLD①」収録の "晴れた日のマリーン" の流れを組む、アップテンポで心弾むようなポップチューン。彼女の歌も素晴らしいし、なによりも昨今のつんく♂ワークスに多い「アーイェー」みたいなコーラスが皆無なのがいい。サウンド的にもストリングス系のシンセが前面に出ていて、Aメロのバックで鳴るディレイのかかったギターや、サビで盛り上げるのに一役買うブラス系シンセ等、普段だったら安っぽいと切り捨てそうなDaichiサウンドが、今回ばかりは上手く機能してるように感じられます。もっとも、これらの打ち込みサウンド(リズムやベース、更にブラスやストリングス)が全て生音だったら、この曲は本当の意味での「名曲」になっていたでしょう‥‥その点は残念。けど、現在のような状況の中でここまでやったんだから、個人的には高く評価したいと思います(あくまで「つんく♂ワークス」の括りの中での話ね)。

  カップリング曲"長電話"はSHO-1がアレンジ。過去のハロプロワークスでは主にリミックス仕事が多かった彼ですが、今回はタイトルチューンにも匹敵するポップチューンに仕上がっています。勿論元のメロディが最近のつんく♂作品の中でもかなり良い出来というのもあるんですが、上に挙げたような楽曲の流れを組む‥‥もっと言っちゃえば、 "やる気!IT'S EASY" とプッチモニの「ちょこっとLOVE」c/w曲の "DREAM & KISS" とを足して2で割ったようなアレンジ‥‥と言えば判ってもらえるでしょうか? そういう流れを組むシンセ主体の1曲。途中、ブレイク部で挿入されるごっちんのセリフが、曲のイメージと相反するような色っぽさを持っていて、これまた良い感じ。その後で暴れまくるギターソロも耳障りにはならない程度で、好印象。ホント、いい曲ですよ。

  アルバムや前回のシングルの時に、彼女が与えられる楽曲に対する不運振りについて書きましたが、これはある意味勝負曲、勝負作ではないでしょうか‥‥主演映画の主題歌だからってのもあるんでしょうが、やはりここらでモーニング娘。卒業後、本格的ソロ活動開始後の大きな一発が欲しいところなんですよね。「ごまっとう」がいい起爆剤になったものの、続くソロシングルが "サン・トワ・マミー" でしたからねぇ‥‥個人的には1位にしてあげたいものの、まぁ1位にならなくてもいいからロングヒットを飛ばしてもらいたいものです。それだけの作品だと思うしね。



▼後藤真希『スクランブル』
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投稿: 2003 06 18 12:55 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2003/06/15

EVANESCENCE『FALLEN』(2003)

売れてますねぇ、EVANESCENCE。3~4月頃から輸入盤店でよく見かけるようになったこのジャケット。丁度同じ頃に映画「デア・デビル」が公開され、その主題歌となった"Bring Me To Life"が大ヒットしたこともあり、アルバムはいきなり全米チャートのトップ5入り、今現在もトップ3前後を維持してる大ヒット振り。"Bring Me To Life"もシングルチャートの10位前後を維持し、イギリスにおいてもこの曲が初登場1位を記録。ここ日本ではまだアルバムがリリースになっていないものの(6月末リリース予定)、既にラジオでは"Bring Me To Life"がバンバンかかってる中、7月末には「FUJI ROCK FESTIVAL」出演の為、初来日決定。非常にいい時期にこのバンドの全貌を見ることが出来るわけですね。非常に楽しみであります。

さて、そんなEVANESCENCEですが、最初この"Bring Me To Life"を聴いた時(PVで観たんですよね)、既に下火となっているラウド・ロックやラップメタル一連の流れから登場したバンドだと思ったんですよ。実際この曲では女性シンガーの歌に絡むように男性ラップボーカルが登場しますし。やはり女性シンガー(しかもまだ10代という話ですが‥‥)がこの手のバンドで歌っているというのが物珍しくてヒットしてるのかな、なんて思ってて。けど、耳にしたこの曲は確かにいい曲なんですよね。1回しか耳にしなかったにも関わらず、それから数日間脳内でこの曲が延々リピートされていて、結局数日後にはこのデビューアルバム「FALLEN」を買ってしまったのですから。

アルバムを聴くまで、全体的にそういった感じ‥‥女性が歌い、男性がラップするラウドロック‥‥だと思ってたんですよ。LINKIN PARK以降の流れ、みたいな。俺、LINKIN PARKって出てきた時から苦手だったんですよね(以前どこかにも書きましたが)。このバンドの登場によって俺自身、この手のラウドロックに対する興味が薄らいでいった程。先日出たセカンドアルバムはちょっといいかな!?程度に感じられるまで嫌悪感は薄れましたが‥‥それでも「もうラウドロックとかニューメタルとか、そういう遠回しな言い方、やめれば? 普通にハードロック/ヘヴィメタルでいいじゃん??」っていう気持ちは消えないわけで。

んで、このアルバム。聴いてまずビックリしたのは、あの手のラップが絡む曲は"Bring Me To Life"1曲のみだということ。そしてPV等のビジュアルイメージからも何となく伝わってきてましたが、ゴスの影響を色濃く感じるということ。ラウドなナンバーに匹敵するだけのピアノバラードが数曲収録されていること、等々。とにかく新鮮だったのね。全体的にミドルテンポのマイナーチューンが殆どなんだけど、これもギターやベースがローキー(ダウンチューニングか7弦ギター/5弦ベースを使用してる?)為、昨今のラウド系の流れを組んでるように感じるけど、根本にあるのは'80年代的なメロディアス・ハードロック。そこに加えて'80年代後半にイギリスから登場したゴスやニューウェーブの影響を受けたハードロック調のバンドの色合い、その他にもビョークやトリ・エイモスといったオルタナ世代の女性ソロ・シンガーからの影響‥‥そういったものが融合した結果がEVANESCENCEかな、という気がします。

個人的には、アメリカっぽくないメロディの湿り気がモロ好みで、尚かつそこに乗るシンガー、エイミー・リーの声質が非常に心地よいんですよ。この声、絶対に日本人好みのはず‥‥だってさ、ちょっとした節回しやブレスが、どことなく宇多田ヒカルに似てるんだから‥‥って感じたのは俺だけ? ヒッキーがこの手のハードロックを歌ったら、きっとこうなるのかな‥‥なんて考えながら聴いてると、ちょっと面白いかも。

1曲1曲はやはりよく出来てますよね。ギターも出しゃばりすぎず、どっちかっていうとピアノの方が耳に残るという、ねっ? 要所要所に登場するストリングスも心地よいし、オペラチックな分厚いコーラスもいい感じ。これが'80年代だったら「産業メタル」に括られたんだろうけど、正直そんなのどうでもいいです。独特な世界観を持ち、曲が素晴らしく、演奏もしっかりしてる。個人的にはそれで十分。「話題の新人」的な大きなエピソードとかその手のやつは、流行のリフロック勢に任せればいいし。暴れる為のニューメタルではなくて、リスニング‥‥あくまで曲の良さで勝負する、そして歌をしっかり聴かせるニューメタル、それでいいんじゃない?

そういえば、ドラムにジョシュ・フリースの名前があったからってわけじゃないけど‥‥ある種、A PERFECT CIRCLEにも通ずる要素を感じるよね。最初に聴いた時、ドラムがジョシュだって知らなかったんだけど、やっぱりこのバンド名を思い浮かべたもんなぁ。その手の流れを組むサウンドが好きで、女性ボーカルものが好きって人なら絶対に気に入る1枚ですよね。話題の云々ってのは気にしないでさ。いいものはいい、それでいいじゃない?



▼EVANESCENCE『FALLEN』
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投稿: 2003 06 15 07:12 午後 [2003年の作品, Evanescence] | 固定リンク

2003/06/13

FUTURESHOCK『PHANTOM THEORY』(2003)

ヨーロッパでは既に3月末にリリース済み、ここ日本ではいよいよ8月にリリース決定したイギリスのテクノユニット、FUTURESHOCKがやっとリリースしたファーストアルバム「PHANTOM THEORY」。何故「やっと」なのかというと、彼等これまでの活動歴が結構長いんですね。以前はリミックスが主な音源でしたが(UNDERWORLDやMOBY、CHEMICAL BROTHERS、NEW ORDER等のリミックスを手掛けてきた)、ここにきてようやくオリジナルアルバムのリリース。しかもアルバムリリース前にシングルカットした"On My Own"も英国及びヨーロッパで大ヒットを記録。英国音楽雑誌の表紙を飾る程、今注目されているテクノユニットではないでしょうか。

俺はもう完全にこのアルバムで彼等を知ったくちで、そういうリミックスをやってるってのを知ってから家のCD棚を漁ると、確かに彼等が手掛けたリミックス音源が結構出てきましたよ。そういう凄い人達が、やっとオリジナルソングを収録したアルバムをリリースした‥‥なんか初期のCHEMICAL BROTHERSと印象が重なるところですが、実はこのFUTURESHOCKもそのCHEMICAL BROTHERSと同じ「JUNIOR BOY'S OWN」(現在は「JUNIOR」)レーベルからのリリースなんです。ダンス系では名門と呼ばれるレーベルで、過去にはUNDERWORLDやX-PRESS 2なんかも所属してた、と言えばその凄さが何となく判ってもらえるんじゃないでしょうか?

既にCD屋なんかでは「ポストUNDERWORLD」という売り文句でプッシュされているので、ジャケットを目にしたことのある人も多いかもしれませんし、実際に視聴した人もいるんでしょうね。俺も視聴してハマッたんですが‥‥言われてる程、UNDERWORLDっぽいと感じなかったのは、俺だけでしょうか? どうしても今の‥‥"Born Slippy" 以降の彼等と比べてしまいがちなんですが、例えば「DUBNOBASWITHMYHEADMAN」辺りと比べると、意外と共通するものが見えてくるような‥‥あと、個人的にはLEFTFIELD辺りとの共通点も感じ取れたし、DJ/リミキサーとして有名になって後にオリジナルアルバムでデビュー‥‥という流れは先輩のCHEMICAL BROTHERSと同じですし、その音楽にも彼等との共通点を感じずにはいられません。

基本的にはこういうの、ハウスになるんでしょうかね? プログレッシヴ・ハウスっていうのかしら? う~ん、その手の細かい名称までは俺、把握してないっつうか‥‥そんなの気にしながら聴いてないしね。基本的には俺、この手の音楽の場合は「気持ちよく踊れるか否か」だから。その点、このアルバムは聴いてるだけで身体が勝手に動くし、正直モニターの前でジッとしながら聴くタイプの音楽ではないよね。夜中、大音量でカーステで聴いたり、爆音のフロアで身を委ねたり、そういう楽しみ方をする音楽だと思います。

確かに曲が複雑な展開をする点なんかはUNDERWORLDに近いと思うけど、最大の違いが‥‥カール・ハイドの役目をする人間がいないのと、ギターの音がないことが大きいよね。それらが加わることで、UNDERWORLDの音楽ってよりロック的に感じられるんだけど、FUTURESHOCKの場合は完全にテクノやハウスのそれだと聴いて理解できます。どっちが良いとか悪いって意味じゃなく、取っ掛かりとしての「ポストUNDERWORLD」っていう触れ込みはいいんだけど、全く同じようなものを求めて接すると痛い目を見るよ、ってことです。FUTURESHOCKにはFUTURESHOCKの良さが沢山あるんですから。

あ、爆音って点では、ヘッドフォンで聴いても楽しめると思いますよ。勿論ジッとしながらじゃなく、踊りながらね。非常にスペイシー且つトランシーなシンセサウンドを堪能することができるはず。そういう点では特に目新しさは感じないんだけど、昨年のX-PRESS 2のアルバム同様、安心して楽しめる作品だな、と。個人的にはそういうの、大事だと思うんで。何もテクノは常に革新的でなければならないとは限らないし。ま、本来は常に革新的であるべきなのかもしれないけどさ。

さてさて、日記の方にも書きましたが、このアルバムにはCCCDの疑いが掛けられています。現在出回っているEU盤なんですが‥‥まっ、詳しい内容は日記の方をご参照ください。CCCDは絶対に嫌!って人にはちょっと博打になっちゃうと思うんですが‥‥勿体ないなぁ、いいアルバムなのにさ。



▼FUTURESHOCK『PHANTOM THEORY』
(amazon:国内盤CCCD / 海外盤CD

投稿: 2003 06 13 07:31 午後 [2003年の作品, Futureshock, 「CCCD」] | 固定リンク

2003/06/11

松浦亜弥『GOOD BYE 夏男』(2003)

  松浦亜弥の2003年度シングル第2弾は、前作「ね~え?」とは対極にあるような、ハードで男っぽい"GOOD BYE 夏男"。『夏男』は「なつおとこ」ではなくて「なつお」。架空の男性の名前なんだけど‥‥世の「夏男って名前のあややヲタ」はマジ凹みしたんじゃないでしょうか、このタイトルで‥‥俺が夏男って名前であややヲタだったら死にたいくらいに凹むような気がするけど、まぁそれはこの際放っておいて(こらこら)。

  あややもデビュー2年2ヶ月でシングル10枚ですかぁ。しかもリリースしたシングル・アルバム全てがトップ10入りしてるっていう‥‥正直凄いと思います。音楽的な変遷はいろいろありましたが、個人的にはどれも楽しませてもらってきたし。

  ‥‥なんてことを書くと、「ああ、きっととみぃは今度のシングル、ダメだったんだな?」とか「こういうピコピコした曲が苦手とか?」とか「へっ、とみぃって本名『夏男』なん?」とか勘ぐられそうですが(最後のは違うか)、いえいえ、俺この曲意外と気に入ってまして。ごっちんの「うわさのSEXY GUY」とか、こういう下世話なメロディの楽曲が好きなことに最近気づきまして。ま、言い方を変えれば「つんく♂の低迷振りに慣れてしまった」とも表現できるわけですが。いやいや、そんなに悪くないよな、メロディ? アレンジは一聴すれば判るように、最近のハロプロではお馴染み鈴木Daichi秀行。けど、彼が過去に手掛けてきた楽曲の中でもかなり好きな部類ですよ、これ。ミニモニ。の "アイ~ン!ダンスの唄" をもっと下世話にしたような印象。モーニング娘。の "SAY YEAH!~もっとミラクルナイト" とか "いきまっしょい!" のバックトラックは苦手なんだけど(共に小西貴雄アレンジだったりしますが)、Daichi氏が手掛けるこの手のタイプって全然平気、むしろ好意的に受け入れてるんですよ、不思議と。実は俺、周りが酷評する程Daichi氏のアレンジを悪いとは思ってなかったりしてね‥‥

  四打ちと呼べなくもないけど恐らく呼べない高速ビートに下世話なシンセサウンド、時々挿入されるオーケストラヒット音、中途半端なギターソロ。これだけ書いたら普通「‥‥。」って無言になっちゃうんだけど、これにあややの歌が乗ると、あら不思議。非常に高水準(みたい)な楽曲に聞こえちゃうんですからねぇ。今回は荒々しくて男っぽい歌い方が中心で、巻き舌連発、ミキティみたいなだらしない語尾等、とにかく徹底してます。「カワイイ」とも「カッコカワイイ」とも違う、明らかに「男っぽい」歌いっぷり。それが攻撃的なバックトラックと合わさると、とても力強く感じられるんですね。更にサビでの盛り上げ方や声の伸びも過去最高だと思いませんか? アルバム「T・W・O」でも感じられたのですが、ここではそれ以上。ここにきてまだまだ伸びるのか、この子は‥‥はぁ~(溜息)

  一方カップリング曲は"私の予定"(『私』は「わたくし」)は、鈴木俊介アレンジ曲。過去のあやや・カップリング曲にもあったような爽やかなポップチューンといった印象。ただ、それら同様に高水準かというと、実はそこまで素晴らしいとも言い切れない、平均的な出来。アレンジが平坦というか、他の鈴木俊介アレンジと比べると安っぽいんですよね。生楽器が少なくて、打ち込みメインになってしまってる点がそれに拍車を掛けてるんでしょうけど、もうちょっと頑張れなかったのかなぁ‥‥アコギの音色だけが耳に残って、後は全然‥‥聞き流しちゃうんですよ、悪いけど。勿体ないなぁ、メロディは全然悪くないだけに。

  今回のシングルね、最初聴いた時、あんまりパッとしなかったのよ。というのも、"GOOD BYE 夏男"を最初にテレビで聴いた時、殆ど聴き流し状態で真剣に聴く気になれなくて‥‥そのままCD聴いても同じような印象しか受けなくて。けど、日を改めて聴いたらそんなに悪いと感じなかった。で、続けて他のテレビ出演を観たら、更に良く感じた。そして聴き続けるうちに‥‥「悪くないじゃん、むしろイイじゃんか!」ってなっていったという、最近のハロプロ関係では珍しい曲なんですよ。多分、あややのパフォーマンスに圧倒されたというのが真相なんでしょうけど‥‥それにしても、本当にこの子は‥‥やっぱ今回のツアー、行ってみようかなぁ?



▼松浦亜弥『GOOD BYE 夏男』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 06 11 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク

2003/06/10

BLUR『THINK TANK』(2003)

99年3月にリリースした『13』から4年振り、通算7枚目のオリジナルアルバムとなる『THINK TANK』。その4年の間にblurとしてのベストアルバムをリリースしたり(1曲のみ新曲入り)、各メンバーのソロ活動があったり。その中でも、最も現在のバンドに影響を及ぼしたであろう活動が、デーモンがやっていた覆面ユニットGORILLAZ。ヨーロッパのみならず、アメリカでも成功を手中に収めてしまったこのユニットのお陰で、バンドのレコーディング開始が延びに延びたり、またその後デーモンがいろんな活動に手を伸ばしたりで‥‥痺れを切らしたグレアムはソロアルバムを出したりしてその場を何とか持ち堪えたものの、結局は脱退。バンドにとっては相当大きな打撃だったのではないでしょうか? 事実、俺がこのバンドを愛してきたのは、勿論楽曲の良さ・ひねくれ具合というのもありますが、それ以上にグレアムの弾くギターがそういった楽曲に絡まった時の凄みなんですよね。そういう魅力が薄れてしまうんじゃないか‥‥この新作を聴く前は、そう危惧していたわけです。

が、結果としては‥‥確かにギターに関しては物足りなさも残るものの、これはこれで非常に充実した「ポップアルバム」になったのではないでしょうか。そう、あくまでこれは「ポップアルバム」なのですよ。勿論、それまでロックだったものがポップになった、とかそういった次元の話ではなく。

音楽的には前作の延長線上にあるともいえるし、更に拡散方向へと暴走しているともいえるんだけど、思ってた以上に統一感があるのね。デーモンが歌ってるってのもあるだろうし、各楽曲のトーンが比較的似たようなものだからというのもあるでしょう。一聴して暴走気味なパンクチューン「Crazy Beat」や「We've Got A File On You」でさえも、その他のまったりとした楽曲達と似通ったトーンで表現されているし。唯一、そこから突き抜けてしまってるのは、アルバムラストに収められた「Battery In Your Leg」のみ。これだけグレアムが参加したテイクなんですが‥‥やっぱりギターは一聴しただけでグレアムのそれと判りますよね、ファンなら。そうそう、曲調云々は抜きにして、こういった演奏を聴きたかったわけですよ、俺は。

だからといって、それ以外の曲がダメだというわけではないですよ。ただね‥‥これまでのアルバムのように「1枚のアルバムに、アンセムソングと呼べるような超名曲が1~2曲は収録されている」といったお約束は、今回守れそうにはないようです(詳しくは『13』レビュー参照)。確かにヨーロッパでシングルカットされた「Out Of Time」やアメリカでのシングル「Crazy Beat」等はそれに肉迫する内容ですが、決定打に欠けると言わざるを得ません。その他の楽曲も非常に優れているんですよ。けど、以前の様な絶対的な存在となる1曲がないんですね。「For Tomorrow」だったり「Girls & Boys」だったり「The Universal」だったり「Beetlebum」だったり「Song 2」だったり「Tender」だったり‥‥そういう1曲が残念ながらここには見当たらないのです。勿論、ファンにとっては「そんなことはない!○×だってそれらに匹敵する名曲だぞ!!」って反論もあるとは思いますが、少なくとも俺の中ではそうなんですよ。あと一歩‥‥そういう印象が非常に強い楽曲ばかりなんですよ。

ところが、これらの楽曲をアルバムとして通して聴いてみると、決して悪くないんです。むしろ、トータルでなら前作よりも上をいってるとさえ感じましたし。きっとこれって、先に書いた「トーン」も影響してるんだろうなぁと思うわけで。同じようなトーンで表現されているものの、個々の楽曲が決して似通ってるわけではない。微妙な表現ですが、そこがかなり大きなポイントだと個人的には感じています。

それは楽曲毎にプロデューサーを多数導入したりといった事も大きく影響してるんでしょう。今回はバンドとBEN HILLIERという人が共同プロデュースで殆どの楽曲に名を連ねている他に、前作でも関わったウィリアム・オービット(「Sweet Song」)、FATBOY SLIMことノーマン・クック(「Crazy Beat」と「Gene By Gene」)といった大物がそれぞれ関わっています。殆どが味付け程度といった仕事ぶりなんでしょうけど、見事にそれらしい仕事ぶりを披露してくれてます。

全体的なトーンがダウナーで、決して初期のような高揚感溢れるサウンドはここにはありません。アッパーな曲にしろ、初期とも「Song 2」辺りとも違う次元の狂気を感じさせるし、まったりしながらも実はそういう「迫り来る狂気」みたいなものをジワジワ感じるアルバム。一番最後の「Battery In Your Leg」で、その狂気は静かに爆発する‥‥しかも対外的にではなく、自分の脳や心の奥底で破裂する。これはそういうアルバムなのではないでしょうか。

名盤か否か、と問われると‥‥正直答えに困ります。何故なら‥‥もっと聴き込んで初めて答えが出てくる‥‥いや、その断片が見えてくるアルバムなんじゃないかな、と思うからです。好き嫌いがハッキリする作風ではありますが、俺はこれを評価したいと思います。確かにこれをライヴでどう表現するのか、気になるもんなぁ。



▼BLUR『THINK TANK』
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投稿: 2003 06 10 12:00 午前 [2003年の作品, Blur] | 固定リンク

2003/06/06

レミオロメン『雨上がり』(2003)

  自分の耳を信じてるからこうやって取り上げるわけで。「rockin'on JAPAN」で騒いでるらしいね、今年の大型新人とかって。大型かどうかはこの際どうでもよく、確かに面白い存在だと思いますよ、このレミオロメンって。

  この3月にリリースされたファーストミニアルバム「フェスタ」を経て、5月にリリースされたファーストシングルがこの「雨上がり」。「フェスタ」の時点で何となくいいなぁ~程度だった気持ちが、"雨上がり"1曲で一気に突き抜けてしまったっていう点においては、BUMP OF CHICKENが「THE LIVING DEAD」からシングル「天体観測」で一気に化けたのと同じような衝撃を受けました。つうかこの曲、ホントにいいんだわ、うん。バンプとの比較で申し訳ないんだけど(実際メディアでは早くも「第二のバンプ」みたいな盛り上げ方してるみたいだしね。全然別のバンドなのに)、まずシンガーの声質が全く違う点。バンプみたいにハスキーなんだけどちょっと線が細い、おセンチなイメージがこのレミオロメンには全くないのね。太くて、ちょっと曇ったような声というか。まぁギターロックで等身大の自分達を歌うという点においては確かに共通しますが‥‥つうかさ、もう止めようや、そういう「第二の○×」ってのさ!

  疾走感があって溌剌としててポップで親しみやすいメロディがあって演奏もサウンドもしっかりしてる。そして日常のひとコマを切り取ったかのような歌詞。決して斬新ではないし、手垢のついた手法かもしれないけど、俺達はこういった楽曲を心のどこかで待っていたんじゃないだろうか? 革新的なロックを求めながらも、バンプの "天体観測" を大歓迎してしまうような、そんな感覚、みんなにはないかい? 俺にはあるよ。そして、現時点においてこの"雨上がり"は俺にとってそういう1曲なんだよね。

  カップリング曲"昭和"は、タイトルナンバーとはタイプの異なる、ミディアムテンポでマイナー調の1曲。何故「昭和」なのか‥‥歌詞からはその理由が伝わってこないんだけど、もしかしたらこのバンドにとって曲名ってそんなに重要なものじゃないのかなぁ、なんて思ったりして。ま、この曲のみに関しての話ですが。

  ミニアルバム「フェスタ」は確かに良い作品でしたが、決定打になるようなものではありませんでした。が、このシングルは間違いなくその決定打となることでしょう。そして彼等はこのシングルを最後にインディーズを離れ、夏にメジャーから音源をリリースします。既にこのシングルの時点でMr.ChildrenやMY LITTLE LOVERが所属する「烏龍舎」(プロデューサー・小林武史が運営する会社)と契約しているレミオロメン(シングルにもクレジットされてますしね)。一瞬「もしかして、このシングルって‥‥小林プロデュース!?」と勘ぐったりしましたが‥‥メジャーに行ってどこまで化けるのか、そして「駄目押しの決定打・その2」が今から気になって仕方ありません。それまではこのシングルとミニアルバムを聴いて更にその期待を高めつつ、いろんな人にこのバンドの良さを伝えていきたいと思います。



▼レミオロメン『雨上がり』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 06 06 12:00 午前 [2003年の作品, レミオロメン] | 固定リンク

2003/06/01

ソニン『華』(2003)

  2000年にEE JUMPとしてデビューして3年近く、ソロになって約1年が経った2003年5月に満を持してリリースされたソニンのファーストアルバム「華」。昨年5月にリリースされる予定だったEE JUMPとしてのファーストアルバムの内容がとても素晴らしいものだったと伝え聞いてるだけに(シングル曲のクオリティーは言うまでもなく、そこに収録予定だった新曲2曲は後のソニンのシングルにも収録されたので、レベルの高さは保証済み)、このソロになって初のアルバムに対する不安の声はよく耳にしました。実際、ソロになってからのシングルに対して疑問を持つEE JUMP時代からのファンにとっては、尚更不安が大きかったのではないでしょうか?

  しかし、実際に出来上がったアルバム‥‥正直なところ、この俺もさほど期待はしてなかったんですよ‥‥これ、今年リリースされたつんく♂関連のアルバムの中でも、かなりクオリティの高い内容ではないでしょうか? 個人的には藤本美貴「MIKI(1)」に匹敵するアルバムだと思っています。いや‥‥バラエティ面ではミキティに一歩譲るとしても、トータルではソニンの方が数歩上かもしれません。そのくらい優れてると思うんですね。

  個人的には評価しているシングル3部作("カレーライスの女"、"津軽海峡の女"、"東京ミッドナイトロンリネス")は勿論のこと、再収録されているEE JUMP時代のシングルナンバー("HELLO! 新しい私"と"WINTER~寒い季節の物語~")のクオリティも言うまでもなく素晴らしい。特に前者"HELLO! 新しい私"は「ソニンVersion」と銘打たれている通り、テイク自体はEE JUMPのそれと同じものの、ユウキのラップパートがつんく♂のラップに差し替えられていますし、若干ライムも変わっているようです(噂によると、ユウキの声がうっすらと残っているらしいです‥‥)。

  そして、注目はそれ以外の5曲‥‥ここで初登場する新曲ですね。これもシングル曲に勝るとも劣らない出来で、非常に安心して聴けます。意外性は皆無ですが、ソニンの安定感ある歌唱によって終始一貫した空気感を保ったままアルバムが進んでいきます。TM Revolutionにも通ずる空気感を持つ歌い上げ系の"好きな人だから"、アコースティックギターが気持ちいいアメリカンロック風"国領"、後半部でのコントがちょっとマイケル・ジャクソンの "Black Or White" を思い出させるハードロック風"奮起せよ!"、EE JUMP時代にも通ずるものの、どちらかというと松浦亜弥的かなと思わせるカワイイ系"平凡的女子な条件"、アルバムラストを飾るポップな"SEE YOU!"‥‥どれも平均以上の出来で、まぁシングルカットには向かないものの、ファンのみならずこういったガールポップが好きな人には堪らない楽曲ばかりだと胸を張ってオススメ出来る作品です。

  全10曲、トータルで40数分というトータルランニングも非常に好意的だし(ハロプロ系のアルバムと比べれば少ないですが、逆に散漫にさせないという意味ではこれで正解だと思います)、ソロデビュー後の「ロック」なイメージを押し進めつつ、EE JUMP時代に養ったポップな要素もそこら中に散りばめられている。何となくライヴの模様が想像できる作風ですよね。これを引っ提げて初のソロツアーに挑むソニンですが、このアルバム曲に加えて、高品質のシングルC/W曲、更にはEE JUMP時代のヒット曲の数々を披露するというのですから‥‥確かに過去の彼女にはネガな出来事が多く、実際ちょっと前まではそういったイメージで売っている感がありましたが、この充実振りを見れば決してそれらは無駄ではなかったと言い切れるはず。ホント、ホントにいいアルバムなんですよ。

  傑作とは言い難いけど、それに匹敵するアルバム。タンポポの「TANPOPO1」や松浦亜弥の「ファーストKISS」は超えなかったかもしれないけど、それに匹敵するアルバムだといえます。多分、この先もずっと聴き続けていく1枚になると思います。だからこれをオススメ盤に選んだ。そして多くの人に聴いて欲しい。このレビューが聴く切っ掛けになって欲しい。そう願いながら、今日もまたアルバムを聴いています。



▼ソニン『華』
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投稿: 2003 06 01 12:00 午前 [2003年の作品, ソニン] | 固定リンク

ASIAN KUNG-FU GENERATION『崩壊アンプリファー』(2003)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONが2002年11月にインディーレーベル「Under Flower Records」からリリースしたファースト・ミニアルバムがこの『崩壊アンプリファー』。しかしこれがどういうわけか、そのままの形態でメジャーレーベルから翌03年4月に再発売。通常、リミックスしたりジャケットを変えたりとかいろいろ手を加えてメジャーから再発、なんていうリイシューなら考えられるのですが、こういったケースはこれまであまりなかったのではないでしょうか。言い方を変えれば、それだけいじる箇所がない、既に完成された作品と呼ぶこともできます。

で、そんなこのアルバムなんですが、たった6曲にも関わらず今のアジカンの勢いが完全に伝わってくる作風となっています。いや、先日観たライヴでは既にこのアルバムをも超えるテンションだったので、そういう意味では「2002年後半の時点での」と呼ぶべきかもしれませんね。

恐らくこのバンドを語る時、ナンバーガールやくるりといったバンドが引き合いに出されるかもしれません。実際、ライヴのオープニングS.E.にナンバーガールの曲が使われたりメンバーが好きだったりというのもありそういった比較が成されるのだと思います。また、アルバムタイトルやそのジャケットから椎名林檎を彷彿させたりもします。実際のところ、そういったアーティスト達からの影響もあるのかもしれませんが、このバンド、インディーズ時代は英語詞でやってきたらしいんですね(彼等は当初、ブリットポップから影響を受けてバンドを始めたとのこと)。しかし、このアルバムから日本語で歌い出した。「日本語で歌うカッコイイバンドに影響された」とのことなので、上記のようなバンド達からの影響が強かったのかもしれませんね。

確かに「○○フォロワー」と表現することができるかもしれませんし、個性の面からいってもそういった先人達程確立されていないかもしれません。けど、俺は何故か惹かれた。何故か? 確かにこの半年間、ネット上でよく名前を目にしていた、ずっとライヴを観たかったというのもあるでしょう。音楽雑誌等でも大プッシュされているとも聞きます。しかし、そういった要素は二の次なんです。結果として、耳に残る楽曲、これが全てなんですね、俺にとって。アルバム1曲目の「遙か彼方」のイントロに、一発でノックアウトされたし、その後も続く「ポップで判りやすいメロディが載った、ガッツリしたギターロック」の嵐にやられっぱなしだったわけ。これ、6曲ってのは正直勿体ない。最近多いよね、こういう形態のアルバム。どうせならいきなりフルアルバムで勝負して欲しかったという気もしないでもないけど、まぁ寸止め感を興味を惹くという意味では大成功なんだろうな。こうやって俺みたいに「もっと聴かせろ!」って飢餓状態に陥ってライヴに足を運んじゃうようなファン、沢山いるはずだし。

8月には早くもメジャーからのファーストシングルがリリース決定(しかしソニー系列からなので、きっとCCCDなんだろうなぁ)、年内にはファーストフルアルバムのリリースも予定されているアジカン。きっとこの夏、いろんなところで彼等を目にするかもしれません。もし観る機会があったら、是非実際にライヴを観ることをオススメします。

最後に。彼等が雑誌やメディアで大プッシュされているからといった理由で聴かないのは正直バカバカしいと思います。メジャーかマイナーか、雑誌で取り上げられるか拒否するか、そういった問題ではなく、最後に判断するのは「その音を聴いた」あなたなんですから。そういった理由でアジカンが拒否/否定されることがあったとしたら‥‥ジョー・ペリー(AEROSMITHSのギタリスト)も昔から言ってるでしょ、「Let the music do the talking.」って。俺は初めて彼等をライヴで観た時の、あの感覚を信じています。



▼ASIAN KUNG-FU GENERATION『崩壊アンプリファー』
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2003/05/29

勝手にしやがれ『DECADANCE PIERROT』(2003)

  先日「FUJI ROCK FESTIVAL'03」への出演も決定したばかりの勝手にしやがれ。この春にリリースされたサードアルバム「DECADANCE PIERROT」を今回は紹介したいと思います。

  まずはバンド名に惹かれることかと思います。「勝手にしやがれ」‥‥ある人はジャン・リュック・ゴダールの同名映画を思い浮かべ、ある人はSEX PISTOLSを思い浮かべ、またある人は沢田研二を思い浮かべるであろうこの「勝手にしやがれ」というバンド名。ある意味どれも正解であり、どれも間違いではないか‥‥そんな気さえしてくる彼等。しかもこのジャケット写真だもの。一体どんな音を出すバンドなんだ‥‥と、彼等のことを全く知らない人はドキドキしながらこのアルバムに手を伸ばすことになるでしょうね。

  ビッグバンドによるスウィングジャズだったりビバップだったり‥‥そういったジャズ的なことをパンクのフィルターに通したもの。個人的にはそう解釈しています。勿論、感じ方は様々ですし絶対にみんな同じとは限らないので‥‥俺はそう感じたということで。ボーカルの歌声が時々THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケとダブる瞬間があったりで、しかもブラスが前面に出た音楽なこともあり、ちょっと東京スカパラダイスオーケストラを思い出したりなんてこともありますが、別にスカやってないし、似てるのは形態だけですかね(勝手にしやがれは7人組でギターレス)。ピアノやフェンダーローズの音がとにかく気持ちいい。そしてその上に載るブラスセクションもカッコイイし、土台を固めるリズム隊もスイングしまくりで聴いてて気持ちいいし。ジャズを聴いてるというよりは、やはりロックのアルバムを聴いてるっていう感覚の方が強いかな。ま、これも感じ方はそれぞれでしょうね。

  1曲目の"奴隷"が始まった瞬間、時間が凍り付くんですよ‥‥CD屋の視聴機で聴いた瞬間、俺が正にそういう状態に陥って、本当に聴き入ってしまいましたから。かっけー。それ以外に言葉が見つからない程、とにかくかっけー。歌モノとインストがほぼ交互に配置されていて、インストものが苦手な人にも飽きさせない構成になってるし、そのインストものも全然「歌がないマイナスイメージ」を感じさせない、独立した作品になってる。緊張感と開放感が交互にやって来る感じ‥‥アッパーな曲ではそれこそパンク的なイメージを受けるし、如何にもといった感じのジャジーなナンバーではまったりゆったりとした空気で包まれる‥‥この気持ちよさが理解できたら、もうこっちのもの。ジャンル分けなんてどうでもよくなりますよ。

  例えばEGO-WRAPPIN'の世界観に共感出来る人。例えばモダンなジャズに興味がある人。例えばブラスが入った音楽が大好きな人。例えばエレピやフェンダーローズの音さえ載っていればジャンルなんて関係ないという人。例えば全ての「音楽」に対して偏見を持たない人。そういった人達にオススメしたい1枚。全てが一発録り・オーバーダブ皆無の世界。爆音で聴くもよし。蒸し暑い夜、ビール片手に静かに流すもよし。カッコイイものはどんな聴き方したってカッコイイはずなんだから。聴き手が聴きたいように勝手にすればいいんだよね‥‥



▼勝手にしやがれ『DECADANCE PIERROT』
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投稿: 2003 05 29 12:00 午前 [2003年の作品, 勝手にしやがれ] | 固定リンク

2003/05/20

JUN SKY WALKER(S)『WALK TOWARDS THE FUTURE ~JUN SKY WALKER(S) BEST~』(2003)

  「'88年5月21日の衝撃から15年‥‥」だそうですが、果たして本当に衝撃だったのかどうかは別として、まぁとにかく15年も経ったわけですね。そして解散からも早6年。そう考えると結構時間が経ってるのね。しかもその6年の内、最初の5年くらいは再評価されることもなく、完全に忘れ去られていたような気さえするのに‥‥

  '80年代後半から約10年に渡ってメジャーシーンで活躍した、JUN SKY WALKER(S)。聴きやすい/判りやすい楽曲と甘いルックスを武器にシーンに登場し、尚かつバンドブームに後押しされ、結果としてはアルバムやシングルをチャートの1位に送り込んだり、武道館公演を何日間も実現させたり、とにかくピーク時の彼等の人気は凄いものがありました。それこそ今の「青春パンク」と括られるバンド群と同じように。

  このアルバムはデビューから15年経った'03年5月21日に、現在活躍する若手バンドによるジュンスカのトリビュートアルバム「WALK TOWARDS THE FUTURE」と同タイトルのベストアルバム。収録曲は、そのトリビュートアルバムに入っている原曲を、トリビュート盤と同じ曲順に収録するという、正にトリビュート聴いて興味を持った若いリスナーの為の教科書的内容となっています。実際、ジュンスカの旧譜って廃盤が多いんですよね。TOY'S FACTORY時代のオリジナルアルバムって全滅みたいだし、EPIC移籍後の3枚も生産中止状態で在庫のみらしいし。解散時にリリースされたベストアルバム「MY GENERATION」がまだ生きてるようだけど、ベスト盤だけってのもねぇ。当時を知るファン(俺)としては、やはり初期の2枚(「全部このままで」「ひとつ抱きしめて」)はマストなので、是非再発して欲しいんですが‥‥

  正直言ってしまえば、ベスト盤としては内容が中途半端です。もっといい曲/人気曲は沢山あるし、これならまだ先述の「MY GENERATION」をオススメするんだけど(収録曲自体もこのベストと10曲以上ダブってるし)、まぁあくまで「トリビュート盤との対比」が目的なので、これはこれで良しとしますか。値段的にもお手頃(税込み2,200円)だし。

  結論から書いてしまうと、これを先に聴いてしまうと旧世代の方々(全盛期にファンだった人達)はトリビュート盤のカバーが物足りなく感じるんじゃないでしょうか? 実際、俺は最初両方買うつもりで店頭でトリビュートを視聴したんですが‥‥ああ、まんまじゃん、と。確かにゆず辺りは独自の路線で変化球を放ってますが、基本的にあのメンツでこの選曲だもん、どうあがいてもオリジナルを超えることはないよなぁ‥‥と、最初から思ってたんですね。で、実際(俺が感じるには)その通りだったと。だから懐かしさもあってベスト盤だけ買ってしまったんです。

  ジュンスカを知らない世代がもしこのアルバムを聴いたら、きっと昨今ヒットチャートを席巻している幾多のバンド達を思い浮かべるんじゃないでしょうか。あえて固有名詞は挙げませんが、彼等は間違いなくジュンスカ・チルドレンですよね(実際、ファンを公言しているバンドもいますし)。つうか、まんまじゃねぇか、と。そういう意味では、全然古くさく感じませんよね、このベスト盤に収められた楽曲は。確かに録音の悪い楽曲等は時代を感じたりもするんですが、基本的には全然「あり」でしょう。つうか"すてきな夜空"とか"START"とか"声がなくなるまで"、"白いクリスマス"辺りは今、タイアップ付けてCMで流してシングルカットすれば、普通にヒットしちゃうんじゃないでしょうか。そんな普遍性を、今改めて聴いてみて感じるわけです。

  青臭い歌詞をパンク調ロック/ビートロックに載せ歌う。それを「青春パンク」と言い切ってしまうのなら、きっとジュンスカこそが「青春パンク」のルーツであり親玉なんでしょう。けど、個人的にはそんなのどうでもいいや。良いか悪いか、その判断基準で彼等を見るなら間違いなくジュンスカは良い曲を連発する良いバンドだったからね。

  個人的には、本当に久し振りに聴いたもんだから‥‥懐かしさ以上に新鮮だったんだよね。俺がちゃんと聴いてたのって、アルバムだったら多分「START」辺りまでだから‥‥'91年前半頃か。多分この頃もライヴ行ってたもんなぁ。後はテレビやラジオで流れる新曲に耳を傾ける程度で、更にベースの寺岡呼人が脱退した後は完全に興味を失っちゃったんだよなぁ‥‥高校の頃はバンドでコピーもしてたし。"全部このままで"、"いつもここにいるよ"、"JACK & BETTY"、"MY GENERATION"辺りはやってたのかなぁ‥‥今でもカラオケに行くと"すてきな夜空"や"声がなくなるまで"、"歩いていこう" 辺りは普通に歌うもんなぁ、「青春パンク」と関係なしに。

  ‥‥おっと、年寄りの昔話になっちまったぜ。ま、これを読んで喜ぶのは恐らく俺と同年代で当時バンドブームに夢中だった人くらいなのかな? 出来れば今の10代の子達にこそ新鮮な気持ちでこのベスト盤に接して欲しいなぁ‥‥と思ってます。

  最後に。このアルバムジャケット。これはジュンスカっぽくない! これじゃまるで「ゆず」じゃねぇか。ジュンスカっていったら、やっぱり4人の顔ジャケでしょ!(で、意味がありそうでなさそうな英文がズラズラと書いてあったりして。そしてそれを受け継いだのが、同じレコード会社で尚かつ初期は同じ事務所だったMr.Childrenだったという。へっ、そんな豆知識は要りませんか?)



▼JUN SKY WALKER(S)『WALK TOWARDS THE FUTURE ~JUN SKY WALKER(S) BEST~』
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投稿: 2003 05 20 12:00 午前 [2003年の作品, JUN SKY WALKER(S)] | 固定リンク

2003/05/07

メロン記念日『チャンス of LOVE』(2003)

  我らがメロン記念日通算9枚目のシングルは、これまでとはちょっと毛色の違ったタイプの楽曲で勝負。昨年からの勢いをそのままいい形で表現した前作「赤いフリージア」から一転して、アダルトな歌謡R&B"チャンス of LOVE"をタイトルトラックに、そして如何にもメロン記念日らしい元気でカッコカワイイGS風デジタルロックンロール"夏"という「挑戦」と「王道」が1枚に詰まったシングルになりました。

  タイトルチューン"チャンス of LOVE"はご存じ、鈴木Daichi秀行がアレンジ。サックスが印象的で、ちょっとWHAM!の "Careless Whisper"(西城秀樹が "抱きしめてジルバ" としてカバーした、あの名曲)を彷彿させる雰囲気を持った、ちょっと大人っぽい切ないナンバーに仕上がってます。これ、恐らく名曲「香水」の延長線上にあるタイプなんだろうけど、決定的な違いはやはりバックトラックとメロディ。「香水」がもっと「極力音数を減らし、隙間を大切にしたアレンジ」だったのに対し、今回の"チャンス of LOVE"って音の隙間は効果的に何度も登場しながらも、他のパートでの音数が多いんだよね。良く言えば豪華、悪く言えば詰め込みすぎっていう。悪いとは思わないんだけど、もっとシンプルでも良かったんじゃないかなぁという気もしないでもない。ただ、これは単調なメロディを補うために必要な手段だったのかもね。ハッキリ言ってこの曲のメロディ、手抜きと言われても仕方ない単調さなんですよね。覚えやすい/歌いやすいというメリットはあるものの、やはりこれまでのメロンの楽曲と比べてもちょっと‥‥と言わざるを得ない出来だよなぁ、と。けど、全体的な雰囲気は好きですよ。こういう路線を敢えて今やろうとした事に対しては、ちゃんと評価したいなと思うし。

  そういえば特にここ最近のつんく♂作品にはこういった「モロに悪しき'80年代歌謡」を彷彿させる楽曲が多くないですか? モーニング娘。「AS FOR ONE DAY」のストレートな歌謡曲路線といいソニン「東京ミッドナイトロンリネス」の大映テレビのドラマ主題歌的アッパーチューンといい。今回のメロンの楽曲もそういった'80年代歌謡路線だし、今や死後となった「カフェバー」を何となく思い浮かべてしまうノリというか‥‥元々つんく♂の書くメロディにはそういったノリがあったのでそれ自体は否定しませんが‥‥ここまで開き直られるともう‥‥頭が下がります。

  あ、この曲ってつんく♂の「アーイェー」ってのが皆無なのね。冒頭のセリフのみで、その後は一切登場しないんですよ。どうせなら頭のセリフもなきゃ尚良かったのに‥‥ってのは蛇足でしょうか? その辺は何となく彼のこの曲に対する「拘り」を感じちゃうんですけどね。

  そしてカップリング曲"夏"は、SHO-1という方がアレンジを担当。ハロプロ関係では過去リミックスワークが中心でした。これまでのロック路線の流れを組む1曲なんですが、これがもうね、我々がイメージする「メロン記念日」像をまんま表現した楽曲となってるんですよ(と、個人的には感じています)。ハイエナジーで、ちょっと似非セクシーで、それでいて男っぽさもあって、尚かつ可愛らしさもある。歌も4人が均等に歌い分けてる感じで好感触(ちなみに"チャンス of LOVE"が過去数作同様、柴田メインなのは言うまでもなく)。GS風にアレンジされたチープな打ち込みサウンドも妙に彼女達に合ってるし、何よりもこの曲、メロディがいいんですよね。"チャンス of LOVE"とは雲泥の差というか‥‥何でこっちをA面にしなかったの!?と初めて本気で思いましたね。過去数作のシングルの時も同じように感じる瞬間が何度かありましたが、それでもやはりタイトルナンバーは「如何にもA面曲」という豪華さがあったし、カップリング曲にはやはり「タイトルトラックにはなり得ない、足りない何か」を感じちゃったりしたんですよね。ところが今回に関しては2曲共、そこまでの差が感じられない。レベル的に低いんじゃ‥‥なんて穿った見方も出来ますが、ここ数作安定路線が続いたこともあり、聴き手側からすると「そろそろ意外性が欲しいよなぁ」って感じてる頃なんじゃないですかね。そりゃ"チャンス of LOVE"の意外性も強烈ですが、個人的にはここらでひとつ「バカっぽくてカッコカワイイ」メロン記念日を見事に表現した"夏"みたいな曲をシングルのタイトルチューンに選んでも良かったんじゃないかなぁ‥‥今回ばかりは本気でそう思いましたね。

  柴田メインがいけないとは言いませんよ。グループの顔として一番ルックスが良くてカワイイ柴田がトップを取るのは「アイドルグループ」としては当然の流れでしょう。けど、それ以前にメロン記念日って「4人組グループ」なんじゃないですか? アイドルとして売りたいのは当然でしょうけど、何もカワイイだけがアイドルじゃないでしょ? モーニング娘。だってカワイイだけじゃないでしょ、それは事務所が一番判ってるんじゃないかな? 歌い手としての実力をちゃんと持ったメンバーもいれば、天然で面白いメンバーもいる。そういった「4人バラバラの個性」をそろそろ本格的に活かした方がいいんじゃないでしょうか? 一昨年末に急遽設定された「ナチュラル・メルヘン・セクシー・ボーイッシュ」みたいなのも、今となっては無駄なような気がするんですよね‥‥折角ヒット曲も出てこれから更に飛躍‥‥って時なんだからさ、もっと頑張ろうよ、アップフロントエージェンシーさんとかよぉ!

  ‥‥ハァハァハァ。ちょっと興奮しちまったよ俺。ってまぁ、勿論悪いことばかりじゃないですよ。結局これって、それだけ彼女達に対する世間の注目度が高まってるから、もっとプロ意識を持った仕事をしろってことですから。きっとちょっと前までの俺だったら、そしてちょっと前までのメロン記念日だったら、この程度でも大満足だったんでしょうね。けどね、今やこの程度で収まるちんけな存在じゃないんだよ、メロン記念日は! モーニング娘。や松浦亜弥を蹴散らかすくらいの勢いがあるんだから、それに見合ったものを与えましょうよって話ですよ。そういう意味で、前作までが80~85点だとすると、これは70~75点かな(タイトルトラックに関しての話)。

  でもね‥‥「夏の夜はデインジャー!」の時もイマイチ気に入ってないみたいな書き方をしながらも、結局その後ライヴ等で体験するうちにドンドン好きになっていったわけで、今回の"チャンス of LOVE"に関しても、同じようになる可能性は十分に秘めてるんですよね‥‥って8月末まで待ちきれないよ俺。

  とにかく‥‥今回も無事トップ10入り出来ることを祈ってます。

  負けるな、メロン記念日!



▼メロン記念日『チャンス of LOVE』
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投稿: 2003 05 07 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク

2003/05/04

MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』(2003)

イギリスはブリストル出身のユニットMASSIVE ATTACKによる4作目のアルバム「100TH WINDOW」は、いろんな意味で興味深い作品となっています。まず前作「MEZZANINE」から約5年振り(考えてみれば、デビューした'91年からの12年間に、たった4枚しかアルバム発表してないのね、このグループ)。完璧主義だという噂通り、今回も一旦作ったものをお蔵入りさせて新たに作り直した、なんて話も伝わってきてます。納得いくまで作り込み、結局世に出回った時点で「既に過去のもの」「完全には納得いってない」なんていう具合に、早くも次の作品に目が向いているという程、作品作りに関しては拘りをもっているようですね(ま、それが当たり前なんですけどね)。

第二に。3人組だったはずのユニットからマッシュルームが脱退。で、ふたり(ダディ・Gと3D)で作ったのかというと、ダディ・Gは殆ど作品作りに携わっておらず(クレジットにも名前はありませんしね)、完全に3Dによる独裁体制で作られたのがこのアルバムのようです。更に9曲中4曲にてボーカルまで取っている、完全に「3Dのソロアルバム」と呼べるような内容になってます。

第三に。アメリカを除く日本やヨーロッパではこのアルバム、コピーコントロールCDとしてリリースされたという点。これによって「聴きたいけど聴けてない」という人も多いのではないでしょうか(ま、こうやってここでレビューしているということは、俺も無事アメリカ盤で入手することができたということですが)。今後、こういうアルバムがどんどん増えていくでしょうから、これはかなり大きな問題となるでしょうね。

さてさて、そういったポイントを踏まえつつ(ま、3番目は蛇足ですが)このアルバムを聴いていくと、やはり前作との違いに気づく人が多いんじゃないでしょうか。所謂「トリップホップ」とジャンル付けされることの多かった彼等のサウンドですが、その延長線上にありながらも、もっと昨今のエレクトロニカ的感触が感じられます。また、前作では要所要所で耳にできたギターサウンドも新作では減退し、ニューウェイブ的な暗く重苦しい空気感はそのままに、更に現代的なエレクトロニックサウンドになっているように感じます。比較という意味でいえば、前作よりも全体的に音が太いように感じられるのは、時代性なんでしょうかね?

また、そういったサウンドを更に盛り上げているのが、ゲストボーカルであるシンニード・オコナーでしょう。彼女は3曲("What Your Soul Sings"、"Special Cases"、"A Prayer For England")で共作及びボーカルを務め、彼女にしか出せない独特な雰囲気を楽曲の中に閉じこめています。残念ながら彼女はこの夏で音楽活動から引退するそうですが、そういう意味でもこれらの共演トラックは貴重なものになったのではないでしょうか。出来れば引退する前に、ステージ上で彼等の共演を観てみたいものですが‥‥

基本的には全体的にミディアム~スロウでダークな曲調なのですが、そこに急に登場する比較的アッパーな"Butterfly Caught"や、アジア的というかインド的なストリングスが印象的な"Antistar"がいいアクセントになっています。けど、やはりこのグループはダウナーな曲のイメージが強いですよね。ニューウェーブやダブ、ヒップホップ、エレクトロニカといったいろいろなダンスミュージックから影響を受けた結果生まれたものがトリップホップなのだとすると、もしかしたらここにあるサウンドはその先に進もうと試行錯誤して生まれたものなのかもしれませんね。ハッキリ言ってしまえば、その試みは大成功したとは言い難いですが(明らかに前作の延長線上であり、革新的な変化は見られないしね)、実はこのアルバムは5年間の空白の時間の中で、最後の1年で作られたものらしいんですね。つまり、それまでの4年間に作られたものは全てボツにして、最後の最後にもの凄い勢いで制作されたのがこの「100TH WINDOW」だというのです。実際、ボーカルトラックに関してはほぼ一発録りだそうですし。これだけのことが出来るんだから、それまでの4年間に作ったものって一体どんなことになっていたのか‥‥非常に気になるところです。

多分、本当の意味で「トリップホップ」というジャンルをぶち壊すような、新しいサウンドは次のアルバムまでのお楽しみということになりますが‥‥3Dは年内にもう1枚アルバムを出したい、とか言ってるそうですね。ま、ミュージシャンは基本的に嘘つきですし、基本的にMASSIVE ATTACKとDEF LEPPARDはオリンピックイヤーにアルバムが聴ければいい方くらいの気持ちでいるんで、当てにしないで待つことにしましょう。きっとその頃には「トリップホップ」や「ブリストル・サウンド」なる言葉すら風化してるんでしょうけど(ま、トリップホップ自体はもう使ってる人、殆どいませんよね??)‥‥



▼MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』
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投稿: 2003 05 04 03:24 午前 [2003年の作品, Massive Attack] | 固定リンク

2003/05/03

おけいさんと安倍なつみ(モーニング娘。)『母と娘のデュエットソング』(2003)

モーニング娘。の安倍なつみはこれまでソロで音楽活動を公にしてくることはありませんでした。それはつんく♂自身の「安倍こそがモーニング娘。の顔であり、マザーシップ」という表現が全てを言い表していると、俺自身も感じていたからね。言い方を変えれば、安倍が本格的にソロ活動をする時……それは「モーニング娘。の終焉」を意味する‥‥それくらいのことだと思うんですよ。ところが、今回リリースされたこのシングルはちょっと話が違う。そう、所謂「企画モノ」以外の何モノでもないですよね、これ。それにソロ活動という程でもなく、不確定なユニット形態。しかも相手はあの六文銭の四角佳子、しかも作曲にはその小室等が加わるという、正しくオリジナルソング版『FOLK SONGS』といった形になってるわけです。ま、『FOLK SONGS』にはこれまで、つんく♂は関わってきてないわけですから、そういった意味ではちょっと違うのかもしれないけど……。

安倍がこれまでソロで歌ってきた楽曲は、例えば本体では「せんこう花火」や「男友達」、また『プッチベスト』にて「トウモロコシと空と風」、そして2001年春の当時のメンバー10人によるソロシングル「真夏の誕生日」。この程度なんですよね。当然、これまで一度として歌手としての「課外活動」(=ソロ/ユニット活動)はなかったわけで、そういう意味では満を持しての……ってことになるんでしょうけど、ま、最初にこういう形でのソロ活動と耳にした時「あ、これ1枚の企画モノだろうなぁ……」とか正直思いましたね。多分、こういう形態でハロプロのメンバーを使ったコラボレートが今後も増えると思いますよ。それは個人的には悪いことだとは思いませんね、こういう風に「つんく♂以外のソングライターとの共作」という形だったら。だって、絶対に新鮮なものが生まれるはずだから。

で、今回のシングル収録の2曲ですが……良くも悪くも「モーニング娘。の安倍なつみ」のパブリックイメージを壊さない程度の作風ってことになるのでしょうか。正直、もっとフォークソング的なものを想像してたのですが、これってフォークというよりはニューミュージック的ですよね? ま、『FOLK SONGS』企画自体がホントにフォークなのかどうかっていう疑問の残る企画なんで、そう考えればこうなるのは当然なのかなぁ、と。

勿論、気に入っていないわけじゃないですよ。現にここで取り上げてるってことはここ数日、結構な頻度で聴いてるってわけですから。それに、この曲を聴いて俺が安倍に対して思い描いていた「ソロ構想」がちょっと変わってきたなぁ、と感じているのですから。

安倍がソロをやるとしたら、どういう形が一番いいのかなぁ……ってことを前々から考えたことがあったんですよ。どういう音楽性が一番彼女にフィットするのか、一番彼女らしさを表現することができるのか、と。でね、結局はモーニング娘。での路線を踏まえた、それこそ延長線上にある形。これが一番彼女らしいのかと思ってたんですね。勿論、安倍こそがモーニング娘。なわけですから、それは決して間違いではないと思うんですが。けどね、この1年くらい……『童謡ポップス』とかテレビ番組でのオリジナルソングによる童謡とか、そういうのを歌う彼女を観たり聴いたり、そして先日発売されたエッセイ集を読んだりすると、彼女には「アーティスティック」な方向性よりも……言い方は悪いですが……もっと下世話で、それこそ子供にまで伝わりやすい表現方法の方がより安倍に合ってるんじゃないのかな、と。決して安倍がアーティスティック路線無理とか幼稚とかそういう意味じゃないですよ。

彼女の「陽」の要素ってのはファンなら誰もが認識するところかと思います。そしてそれは多くの「闇」を切り抜けてきたからこそ得たものであって、それは決して彼女ひとりの力によるものではなく、周りのメンバーや友人、家族やスタッフ、そしてファンといった多くの人達の存在があったからこそのものだと思うんですね、個人的に。そして彼女はそういった「陽」の要素を逆にそういった周囲を取り囲む人間達にも振りまいている。単純に優しく・明るく振る舞うだけではなく、それを「歌」にしたためて……それって俺には真似できそうでできないよなぁ、と常々思っているわけです。そしてそれも「選ばれた人間こそが持つことができる才能」のひとつだと思うんですよ。やはり彼女は選ばれた人間だと。

そうした「選ばれた人間」として、我々のような大人や彼女と同年代の10~20代の人達だけでなく、それこそ小学生くらいの子供にまでストレートに届くような歌を彼女には歌って欲しいなぁ……このシングルを聴いてそこまで思ってしまったんですよ。そして彼女にはそれをやり遂げるだけの才能と力が絶対にある。俺はそう確信してます。

間違いなく今回のシングルは「母の日」を意識したものでしょう。リリース時期もその周辺だし。ちゃんとテレビ番組でのプロモーションもあることですし、それらを観て聴いた人達……そういった子供達やその親御さんにまで届けばいいなぁ……そう願います。

私事で恐縮ですが……先日、自分の母親が商売を初めて20周年ということで、その記念パーティーを開きまして。古くからの友人・知人、親戚、俺達家族、そして母を支えたお客さん達。こういった人達が100人以上も集まってくれました。母の人徳ってのもあるでしょうけど……なんかね、あれを見てからこの曲を聴いてしまうと、ちょっとウルッときちゃうんですよ。ああ、ヤベェなぁ。俺も歳なのかなぁ、と。たまたまそういうシチュエーションと重なってしまったこともあり、また安倍の屈託のない歌い方も相俟って………ちょっと今の自分にはググッとくる大切な曲になりそうな予感。決して名曲と呼べる類の楽曲ではないですが、例えば「握って歩きたい」みたいに子供や大人にも届くような歌い継がれる曲になってくれればなぁ……難しいかもしれないけど、そういうふうになってくれたら俺は嬉しいなぁ。

そして「安倍なつみというシンガー」には、これからもそういう曲をバンバン歌っていって欲しいと思います。モーニング娘。そのものがなくなったとしても、彼女はきっと歌い続けると思います。あるいは将来、結婚をして子供を持って表舞台から遠ざかる日が来るかもしれません。そんな日が来たとしても、きっと彼女は自分の子供達に向かってそういう「優しい歌」を歌い続けることでしょうね。いや、絶対にそうだと思いますよ。そしてやっぱり‥‥俺はそんななっちが大好きなんです。歌っている安倍なつみが大好きなんです。今後、再び「安倍なつみ」としてのソロ活動があるかどうか判りませんが、また心に響くような素晴らしい歌を期待しています。

なっち、ありがとう。



▼おけいさんと安倍なつみ(モーニング娘。)『母と娘のデュエットソング』
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投稿: 2003 05 03 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 安倍なつみ] | 固定リンク

2003/05/01

小泉今日子『厚木I.C.』(2003)

  キョンキョンこと小泉今日子 の、今世紀最初のオリジナルアルバム。昨年末でしょうか、これまでのキャリアをまとめた3枚組ベストアルバム「KYON3」が出たばかりですが、これは完全新曲によるアルバムで、とにかくゲストや作家陣が豪華なんですよ。ざっと名前を挙げただけでも、


・浜崎貴司(元FLYING KIDS)
・Nathalie Wise(高野寛、斉藤哲也、BIKKE)
・宮沢和史(THE BOOM)
・鈴木正人(LITTLE CREATURES)
・細野晴臣(SKETCH SHOW)
・永積タカシ(SUPER BUTTER DOG/ハナレグミ)
・ミト(クラムボン)
・曽我部恵一
・鈴木祥子


等々、とにかくそうそうたるメンバーであるのがご理解いただけるかと思います。またサウンドプロデュースも高野寛が6曲、Nathalie Wise名義で1曲、曽我部恵一が2曲、宮沢和史が1曲手掛けています。というわけで、上記のメンバーやプロデューサー陣の名前を見て、何となくサウンドのイメージが掴めるのでないでしょうか?

  多くの人が想像する通り、かなりアコースティック色の強い穏やかな作風となっていて、それが自然体な彼女の歌声に見事フィットしてるんですね。元々キョンキョンってそんなに歌が上手いって方でもないし、雰囲気モノというか、アイディア勝負なとこが強かった人じゃないですか。井上陽水&奥田民生をソングライターに起用したり、ラジオで一般から曲を集ってそこに歌乗せてアルバム作っちゃったりとか、リミックスものとか。ま、その辺は彼女のバックに付くブレーンが思いつくことなんだろうけど、今回の場合は意外と彼女のアイディア優先なのかなぁって気がしないでもないですよね。まず、共演してるアーティスト達が彼女と比較的親しい人達だということ。宮沢なんて音楽以前にドラマで共演したりしてるし。浜崎貴司とは以前共演してるはずだし、高野寛とか細野さんなんて意外と彼女と仲良さそうだしね。

  んで、何でこういう生音を重視した、アコースティックな作風になったのか。その理由は実は俺、知りません。雑誌とかのインタビューに載ってるんでしょうけど、それは各自探してみてください。で、今回俺はひとつの仮説を立ててみたいと思います。それはこのアルバムに収録された唯一のカバー曲、SUPER BUTTER DOGの"サヨナラCOLOR"という曲の存在です。この曲の延長線上にハナレグミがあるのはご存じの通り。恐らくキョンキョンはこの曲との出会い、あるいはハナレグミ(永積タカシ)との出会いによってこのアルバムのコンセプトを思いついたんじゃないかな、と‥‥勿論、直接永積と会ったとかそういったことではなく、単純に音楽との出会いでしょうね。それで、そういったアコースティックなものをやりたいとなった時、たまたま親しくしていた宮沢や高野に声をかけた、と。そしていろんな人間が集まってきて(各プロデューサーが声をかけ)、気づいたらこういうメンバーになっていた、と。

  そういう豪華なメンバーが参加した、女優さんが歌ったアルバム‥‥今の若い人達にはそういうイメージなのかもしれませんが、俺くらいの世代になるとやはりキョンキョンはアイドル中のアイドルであって、この人が今でもこういった作品を作って我々に届けてくれるっていう事実が本当に嬉しくて。特にここ数年‥‥少なくともこの4~5年ってこれといったリリースがなかったじゃないですか? 歌番組に出ることも無くなったし、それこそドラマにも年に1度出ればいい方で。そんな「KYON2不足」な我々キョンキョン世代は、きっとこういうアルバムを待ってたんじゃないかなぁ。勿論、俺もね。

  ハッキリ言って、ここで聴ける彼女の歌ってそんなに誉められる類のものではないのね。けど、何だろう‥‥多分、彼女じゃなきゃダメなんだろうね。キョンキョンじゃなきゃこういう世界観にはならなかったと思う。勿論、他の人が歌えば他の独特な世界観になるのは当たり前なんだけど、恐らくここに収められた世界観というのは俺が思い描いていた、そして俺が彼女に求めていた世界観そのものなんだろうな。だから聴いて特に驚きもしなかったし、興奮もしなかったし、ごく普通に、当たり前に‥‥それこそ空気のように流れていったのね。それって「音楽として存在感がない」って意味じゃないよ。そこは勘違いして欲しくないな。

  もうね、1曲目"厚木"のワンコーラス目途中の、本気で笑っちゃいながら歌ってるあのパートを聴いた瞬間、このアルバムの虜なのね。目の前で、俺が知ってる小泉今日子という女性が、囁きかけるように歌う姿が何となく見えてくる‥‥そういうアルバムですよこれは。

  思っていた以上に良かったのが、曽我部恵一が携わった2曲("Japanese Beauty"と"また逢いましょう")。曽我部がサニーデイサービス時代から苦手だったと日記に書いたけど、本当にそうだったのね。なんつーか、あの歌の世界観を彼の声で表現することに抵抗というか‥‥苦手意識がずっとあって。けどね、これを女性‥‥ここではキョンキョンね‥‥が歌うと、全く違った印象を受けるんだわ。勿論、曽我部自身が他人(キョンキョン)をイメージして書いたというのが一番大きいんだろうけど、ここで聴ける楽曲の世界観はすごくしっくりくるのよ。もっと言えば、本来のスタート地点であろう"サヨナラCOLOR"よりも良かった。曽我部って俺と同い年だと思うんだけど、多分彼もキョンキョン世代なんだよね。自らが思い描く「KYON2像」を歌にしてそれを本人に歌わせた。だからこそ、これらの楽曲が本当に「活きた」んだと‥‥そうは思えないでしょうか?

  もの凄く自然体。あって当たり前の音と歌声。このアルバムを表現するとそうなるんでしょうか。ハナレグミ「音タイム」と全く違った世界観を持ちながらも、実は似た匂いを持ってるアルバムだと思います。10年前の俺ならきっと、こういう世界観は苦手だったと思うんだけど、これを心底楽しめるようになってってのは、要するにそれだけ歳を取ったってことなのかなぁ‥‥でも10年前のキョンキョンも間違いなくこういうアルバムは作っていなかっただろうし。今は単純に、この人が再び歌を歌ってくれて、そしてこういうアルバムを作ってくれたことに心から感謝。



▼小泉今日子『厚木I.C.』
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投稿: 2003 05 01 12:00 午前 [2003年の作品, 小泉今日子] | 固定リンク

2003/04/30

aiko『蝶々結び』(2003)

aikoの通算12枚目のシングルにして、2003年最初のリリース音源となるこのシングル。いつも通りの3曲入りマキシシングルとなっております。にしても‥‥この人の楽曲のクオリティーの高さってハンパじゃないですよね。何時からだろう、俺が彼女に対してただならぬ感心を寄せるようになったのは‥‥Mr.Childrenの桜井和寿やスピッツの草野マサムネが彼女を注目していると発言してからだろうか。いやいや、もっと前かな。単純に "花火" や "カブトムシ" って楽曲が好きだったってのもあるし。でもね、彼女のルックスだけは‥‥惹かれるものがなかったのね。俺、女性シンガーを好きになる時ってやっぱりビジュアル面やルックスも含めて好きになる事が多いから。

けど、何時からだろう。aikoの事を本当にカワイイと感じるようになったのは‥‥少なくとも最新アルバム「秋 そばにいるよ」の時には完全にハマッてたような気がするし。けど「夏服」の頃はまだ楽曲にしか興味が湧かなかった。ということは、その2枚のアルバムの間‥‥1年数ヶ月の間に何かがあったってことか。その間といえば、aikoが声帯を痛めて休んだりしてた頃か‥‥それに何か関係があるのかな。いやないか。

で、今回の新曲ジャケット。まずビックリしたのは黒髪aikoですよ。aikoっていうとやっぱり茶髪ってイメージが強かったんだけど、ここまでハッキリした黒髪にされちゃうと、思わずドキッとしちゃう。しかもCDブックレットの写真を見るとどれも髪の長さが違ってたり、服装も表情も違ってて更にドキリ。

同意してもらえないかもしれないけど、aikoってやっぱり美人だと思う。しかもかなり古風な顔立ちのように思います。なんつーか、古き良き時代の日本人女性の顔立ちっていうか。それが黒髪に戻したことによって更に強調されてるのね。一般的に見たら美人ではないのかもしれないし、かなり個性的な顔だと思うんだけど‥‥どうも俺はそこに「エロ」を感じてしまうのね。

あ、そこ。「変態」とか言わない。言わない約束じゃないか。

んで、やっと曲の方に触れるわけですが(遅いよ)‥‥この人のメロディセンスといい歌詞のセンスといい、確かに上に挙げたようなアーティスト達がリスペクトを表明する意味がよく判りますよね、aikoの曲を聴くと。しかもそれが全く衰えない。リリースペースも上の大物クラスと比べると結構な枚数を出してるんですよね(年にシングル3枚、アルバム1枚ですから、少なくとも20曲近くは新曲を発表してるわけだし)。アレンジャーの力量もあるんでしょうけど、コード使いが本当に勉強になるというか、凄く難しいことを平気でやってのけてるんですよ。そしてそれに載る流れるようなメロディも非凡でドキリとさせられるものが多い。更にそのメロディに載る歌詞。男の俺から見てドキッとするような表現から、異性にも関わらず共感出来て胸が切なくなってしまう表現まで。比喩が上手いというのもあるけど、なんだろう、歌詞を読んでると情景が浮かぶんですよね。絵が浮かびやすい歌詞。決して難しい比喩を使ってるわけではなく、判りやすい表現なのにそのセンスが普通じゃない。このさじ加減が難しいんですよね。

表題曲"蝶々結び"は過去のaikoヒット曲同様、ストリングスやブラスを全面的に導入したファンキーなポップチューン。春っぽい爽やかで軽やかなノリの良いこの曲、メロディもさることながら、インスト部のコード進行が相変わらず難解。つうか普通のポップシンガーはこんなコード使わないし、ってなコードを沢山使ってるんだよなぁ。恐るべし。そして続く"雨の日"はちょっとBEATLESチックなマイナーポップ。何だかENUFF Z'NUFFにも通ずる要素があるよね。ピアノのリフに絡むギターのストロークといい、aikoのスキャットに絡むベースラインといい、メッチャ俺のストライクゾーン。正直、表題曲よりも好き。決してシングルのリーダートラックにはなることないだろうけど、こういう曲がカップリングやアルバムに入ってると、本当に嬉しかったりするんだよね。こういう曲があるからこそ、リーダートラックが更に映えるというね。更に3曲目"帽子と水着と水平線"はピアノとハモンドが気持ちいいアッパーなポップチューン。間奏のチープなリズムボックスだけになるパートとか、ピアノソロやオルガンソロ、そのバックを支える手数の多いドラムといい具合に歪んだベース。何だか豪華なBEN FOLDS FIVEって感じだよね(ちょっと聴いた限りではこの曲、実際にギターレスだしね)。

と、こうやって今回リリースされた3曲も文句なしに楽しめる作品に仕上がっていて、如何にも「春~初夏」をイメージさせるポップチューンばかり。ホントこういう時期に聴くには持ってこいの1枚。晴れた休日のカーステレオからは"蝶々結び"や"帽子と水着と水平線"みたいな明るいポップチューンが流れ、また雨の休日には部屋から"雨の日"が流れ出す‥‥ってまんまじゃないか!と突っ込まれそうですが、ホントそんな1枚なんですってば。

俺、aikoのシングルってまともに買ったためしがないんですよ。買ってもせいぜい中古流れ、しかもリリース時期からかなり遅れて買ってる程で。どういうわけか俺の中では「aiko=アルバムアーティスト」っていう図式が勝手に出来上がってしまってたんですが、勿論アルバムもいいけど、やっぱりこの人はこういうシングルでその魅力が更に発揮されるアーティストなのかなぁ、と今回改めて思い直しました。だってaikoのシングルに関しては、この3曲を視聴して、そのままCD持ってレジへ向かったのって、今回が初めてだもん。aiko好きには勿論のこと、こういうポップスに抵抗のないロックファンにもちゃんと聴いて評価して欲しいアーティスト/シンガーですよね。そういう魅力を十分に発揮するシングルです。



▼aiko『蝶々結び』
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投稿: 2003 04 30 06:11 午前 [2003年の作品, aiko] | 固定リンク

2003/04/24

飯田圭織『オサヴリオ ~愛は待ってくれない~』(2003)

  モーニング娘。の2代目リーダーである飯田圭織初のソロアルバムは、所属するレコード会社内にある「地中海レーベル」という、フレンチポップス、イタリアンポップスを原語でカバーしたアルバムをリリースするレーベルからリリースされた、文字通りそういった代表的な楽曲を10曲収めた、意外性タップリな内容となりました。飯田はこれまでもタンポポに'98年10月から'02年9月まで在籍し、その間にオリジナルアルバム1枚、ベスト盤1枚、シングル7枚をリリースした経験を持っていて、実際オリジナル作「TANPOPO 1」には彼女のソロナンバーも収められていたりもしました。また、'01年春には当時のモーニング娘。メンバー10人が同時にソロシングルを発表(ファンクラブ・オンリー)、そこでも彼女らしい歌声を聴かせてくれました。

  が、今回は全て飯田の歌声のみ、そしてノン・つんく♂プロデュース作、更に全て日本語以外の外国語(フランス語やイタリア語、更にはギリシア語まで!)の楽曲という、ある意味三重苦ともいえる課題を与えられたわけですが‥‥正直な話、ここまでやってくれるとは思ってもみなかったよ。いやいや、これは素晴らしいんじゃないでしょうか?

  正直なところ、俺は普段そんなにフレンチポップとか聴かないんで、原曲は勿論1曲も手元にないので比べようがないですが(とはいいながらも、10曲中の大半は耳にしたことのある楽曲ばかりでした)、それでも彼女の表現力にはただただ驚くばかりです。10曲10様というか、とにかく1曲1曲、見せる表情が違うんですよ。言語の違い、曲のタイプの違いも大きいとは思いますが、とにかくそれぞれに飯田らしさが溢れているし、自分が知ってる(つまり、パブリックイメージ通りの)飯田圭織がいたり、これまで見たことも聴いたこともないような飯田圭織が出てきたりで、全てにおいて「驚き」と「感動・感嘆」の連続なんですよ。

  上にも書いた通り、自分はこの手のジャンルに精通していないので、素人耳で判断するしかないのですが‥‥それでもね、苦言を呈しちゃっていいですか? あのね‥‥バックトラックが全部生音だったら、もっと素晴らしかったんだろうな、と。飯田には音数の少ない生音が合ってるように思うんだけど‥‥アコースティック楽器だったり、ギターもガットギターとかセミアコ・ギターとか。ベースは勿論ウッドベースで、そこにバイオリンとかフルートなんかが絡んだりして‥‥って、それでもこのアルバムでは結構生ストリングスが多用されてるので、まぁ満足っていやぁ満足なんですが。けど、視点を変えると‥‥チープなリズムトラックもまぁ悪くはないかなぁ、なんて思えたりして。やるならもっとチープでもよかったかなぁ、と。飯田圭織という歌い手には俺、極端に過剰なものを与えた方が映えるように思うのね。やるなら徹底的に、ね。

  まぁそうはいいながらも、この30分程度の作品集を今日もリピートしてるわけですよ。上に三重苦と書きましたが、改めて考えてみると‥‥モーニング娘。を、ハロー!プロジェクトを離れたからこそ、この三重苦が逆に有利に働くんじゃないかな、と。例えば「飯田の歌声のみ」というのは、まぁコーラスには他に専門の方々が参加してたりするんですが、基本的には飯田オンリーの曲が殆どで、例えばモーニング娘。の曲みたいにつんく♂の「アー、イェー」といったウザい合いの手も入らない。完全に歌に集中して聴ける。普段「つんく♂ウゼー」って言ってる人程、これは嬉しかったりするんじゃないでしょうか?(かといって、そういう人達がこういった音楽性に対して好意的かどうかは判りませんが)続いて「ノン・つんく♂プロデュース作」ってポイントも、新鮮さを保つという意味で非常に好意的に受け取ることができるし、今回のアレンジャーである前野知常という人は恐らくこの人だと思うのですが、こういう人選も「地中海レーベル」ならではのものなのか、それともあくまで飯田圭織が歌うことを前提として選ばれたのか、どちらかは判りませんが、これも昨年7月につんく♂が言った「意外性のある人とのコラボレート」の一環なのでしょうか。だとしたら(まぁこの手のジャンルにうるさい人には酷いものなのかもしれませんが)俺は今回大いに楽しませてもらいましたよ。最後に「全て日本語以外の外国語の楽曲」というポイント、これも日本語ではなかったお陰で飯田のいろんな面が表出したんじゃないでしょうか。だって日本語で歌えば絶対につんく♂風の歌い方になるの、みんなも判ってるでしょ?(伊達に5年も彼の下で歌ってるわけじゃないもの)そういった「つんく♂節」を排除した、丁寧な発音に発声に驚き、そして時々覗かせる「いつもの飯田圭織」にドキッとしたり、とにかく彼女の「歌」のみでここまでいろいろと感じることが多いとは‥‥いや、本当に驚きの多いアルバムですよ。

  飯田圭織ファンは間違いなく大絶賛するであろうこのアルバム。出来ればこの手のジャンルに興味があるポップス好きにも聴いて欲しいかな。多分普通に聴いても面白いだろうけど、「飯田圭織が歌ってる」ってのを認識して聴くと更に驚きが多い作品になるんじゃないかな。また、昨今のつんく♂不振に嘆いてるそこのあなたにも是非。飯田圭織だからこそ成し得た、美しい作品集。これからの時期、このアルバムは必需品になりそうな予感。安眠のお供に、清々しい目覚めに、雨降る休日の室内で、そして心地よい午後の日差しの中でそれぞれ堪能したいものです。その全てのシチュエーションで、全く違った顔を見せるアルバムになること間違いなし。



▼飯田圭織『オサヴリオ ~愛は待ってくれない~』
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投稿: 2003 04 24 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 飯田圭織] | 固定リンク

2003/04/22

モーニング娘。『AS FOR ONE DAY』(2003)

  前作「モーニング娘。のひょっこりひょうたん島」のチャート/セールス両面での惨敗からたったの2ヶ月で届けられた、モーニング娘。通算18枚目のシングルは、5月5日に卒業する保田圭を含む12人編成での最後のシングルとなります。まぁ前回はあくまでも「企画モノ」という意図があったので(それが理由か、先月リリースされたアルバム「No.5」にも収録されなかったし)、そういう意味からすれば「ここにいるぜぇ!」に続く、純然たる「12人娘。の新曲」となるのかもしれませんね。にしては‥‥これはちょっと面白いシングルだと思います。個人的には「そうだ!We're ALIVE」以降で、一番面白かったシングルですね。「ここにいるぜぇ!」はインパクト面では一番だったけど、トータル的に「面白い!」と素直に感じたのは間違いなくこの「AS FOR ONE DAY」の方。

  アレンジに鈴木Daichi秀行、ストリングス・アレンジに弦一徹という、「ここにいるぜぇ!」と全く同じ布陣にも関わらず、こうも正反対な路線でくるか‥‥というのが正直な第一感想。いや、これってワザと狙ったのかな、同じメンツで180度正反対のことをやろうっていう。だとしたら、それはまず大成功してると思います。誰もがイメージする「元気な人生応援歌を歌うモーニング娘。」というパブリックイメージを完全に覆す、切ないまでの失恋ソング。ポップスと呼ぶよりも、純粋な「歌謡曲」といったアレンジ/メロディ。つんく♂の持ち味の、最も悪趣味(演歌的)な面が強調された楽曲にも関わらず、これが意外としっくりくる。というより、新鮮。このメンツでこういう楽曲をやるなんて思ってもみなかったから、余計にそう感じるんでしょうね。

  オープニングでの加護のセリフ、そして歌い出しとエンディングの石川によるウィスパーボイス。上手い下手は別として、この「雰囲気もの」勝負なとこがこの楽曲のポイントでしょう。これまで「飛び道具」的配置だったメンバーがこういった雰囲気を演出する役割に回る。そしてセンターを取る機会が多かった主力メンバーの安倍や新機軸・高橋よりも、矢口や飯田といった「影の実力者」が所謂「Bメロ」を長く受け持つことで、歌に安心して聴き入ることができる。更にサビでは安倍や高橋、更には保田といった安定感あるメンバーがパンチの効いた歌を聴かせる(ま、時々石川も入ってくるんですが、それはご勘弁を)。基本的には12人がかりの、過去2作と同じパターンなんですが、ここでその構成の完成型を見たような気がします。敢えて元気溌剌な楽曲で「12人がかり」をアピールするのではなく、こういったじっくり聞かせる楽曲、そして独特な雰囲気を持った歌モノで勝負に出た点を、俺は高く評価したいと思います。

  そしてバックトラック。Daichi特有の、(いい意味でも悪い意味でも)安っぽい打ち込みサウンドを今回嫌味に感じないのは、生楽器を多用して尚かつそれが前面に出てるからでしょうね。ストリングスも非常に効果的な役割を果たしているし、何よりも間奏でのフルート。これがホントにいい味出してる。ちょっとだけ初期のモーニング娘。の香りを感じました(が、あそこまで高純度のポップスではなく、今回は'70年代末から'80年代初頭辺りの歌謡曲といったイメージ)。最後のピアノとストリングス、そして石川のウィスパーボイスで終わるパートなんでホント絶妙。ちょっとゾクゾクした。いい意味で石川の歌でゾクッとしたのは今回初かも。ホント、前のシングルが嘘のようです‥‥

  いや、「ひょっこりひょうたん島」も嫌いじゃないんですよ。テレビであのパフォーマンスを観る度に、やっぱりモーニング娘。ってスゲーやって思ったし。けど、やっぱりあのアレンジが解せないんですよね。だからこそ、今回の曲は余計に高く評価してしまってるのかもしれませんね。とにかく、この曲と出会えたお陰で、俺はまだモーニング娘。のことを好きでいられそうです。

  そして‥‥カップリングについても触れなくちゃいけませんね。名曲"Never Forget"のセルフカバー、今回は「Rock Ver.」という注釈付きです。アレンジには酒井ミキオと小西貴雄の名前が記述されてますが、恐らく殆ど酒井ミキオの手によるものでしょう。小西はあくまでオリジナル・バージョンの編曲者ということで名前が挙がってるんだと思います(あの印象的なメインリフとかあるからね)。

  基本的な構成は原曲のままで、演奏がバンドによるもの、ビートがより強調されている、ギターサウンドがメインとなっている点等が「ロック・バージョン」たる所以でしょう。クレジットを見て個人的に「!」となったのは、ギターに河口修司(‥‥で字は合ってるかな?)の名前を見つけた時。活動再開後のMr.Childrenにサポート・ギタリストとして参加、それ以外にもゆずのレコーディングやツアーにも参加した経験を持つこの人が、ハロプロ関係のレコーディングにまで参加することになるとは、正直ビックリ。いいギタリストだけに、今後もいろんな楽曲でギター弾いて欲しいなぁ、なんて思ったりして。

  話を元に戻して‥‥「旅立ち」「別れ」を歌ったこの曲、オリジナルでは福田明日香の卒業ソング的役割を果たしたのですが、今回はこの曲を保田がソロで歌い、他の11人がコーラスに回るという構成。ま、この曲をカバーすると発表した時点でこうなることは予測できましたが。

  今回この「保田バージョン」収録が発表された時点から、かなりネガティブな意見がネット上を飛び交ったわけですが、勿論俺みたいに好意的に受け入れた人間のポジティブな意見も多少はありました。しかし、これら全ては聴く前の勝手な意見なので、最終的にはラジオ等で流れ始めてからの意見を参考にしようと思ってました。

  発売数周前になって、ようやく俺もラジオで偶然聴けました。俺はね、「勿体ないな」とずっと思ってたんですよ。福田明日香の為に作られたといわれるこの曲、彼女の卒業後はただの一度としてステージで歌われることはありませんでした。けど、ベスト盤が出た時はちゃんと収録される程、人気はあるんですよね。実際この曲が好きだという現娘。メンバーもいるわけだし。

  俺が勿体ないと初めて感じたのは、昨年1月。初めて訪れた福井のビジネスホテルで観た(しかも初めてのハロプロライヴの後に観た)「BSジュニアのど自慢」で、出演した子供がこの曲を歌った時。その後ろにこの曲を口ずさむ後藤と加護の姿が映ったんですよ。この曲って後藤も加護も入る前の曲、彼女達がステージ歌ったことは勿論ないんです。そんな彼女達が普通に口ずさむモーニング娘。の曲。在籍時期の違いこそあれど同じモーニング娘。のメンバー、なのに歌われなままってのは勿体ない、と。変なしがらみに囚われず、モーニング娘。の曲なんだから、「モーニング娘。」として歌って欲しいなぁ‥‥ずっと心の片隅でそう思ってたんですよ。

  リリース前週、この曲のワンフレーズが「ミュージックステーション」で歌われた前後、「保田に合ってない」とか「福田のための曲なのに、何故保田に歌わす?」とか、そんなネガな声ばかりを目にします。つうかいい加減ウンザリ。みんな、器ばかり気にしすぎて、肝心の中身を見てないよ、「歌手・保田圭」を。何言ってんの? 歌い手としての保田の、この5年間の成果を発揮する最後の場でしょ。そして、そんな保田の成長を改めて確認する最後の場なわけじゃないか。ライヴ行ける人間なんて限られてるわけだし、多くの人にとってはこれが「聴き納め」なんだよ。なのに歌い手の評価以前にリメイクに関する不平不満ばかり。どこ見てんのさ!? 何が「保田が好きだから」だよ。それって結局「保田が好き」なんじゃなくて、「『保田圭が好き』だと思ってる、自分のことが大好き」なだけだよ。そんな自分が不憫で仕方ないだけだよ。バカバカしい。そうやって嘆いていた人は、このCDを手にして、フルコーラスでこの"Never Forget"を聴いて、どう思ったんだろうね。何を感じたんだろうね。是非それを聞いてみたい。

  結局、保田圭という歌い手はある時期を境に、常に過小評価を受けてきたような気がします。決してセンターを取ることもなく、酷い時にはソロパートさえない。それでも腐ることなく、常に前向きに、一生懸命自分の役回りを演じきった。そういう経験を積むことで、彼女は彼女なりに成長していった。そしてモーニング娘。加入から5年。最後の最後に与えられたソロナンバーで、彼女はこの5年間に蓄積したことを全てこの曲で出し切った。俺はこのテイクを聴いてそう感じました。ああ、保田はこんな風にも歌えるシンガーにまで成長してたんだなぁ、と。それを最後に確認できただけでも、このセルフカバーに意味はあった、とは思わないでしょうか?

  昨年9月23日以降、俺は今後どう「12人のモーニング娘。」と付き合っていこうか、ちょっと迷いがあったのね。だから「ここにいるぜぇ!」に対して過剰反応・大絶賛したり(勿論、今でもレビューに書いた内容には嘘偽りないけど)、「ひょっこりひょうたん島」に憤りを感じたり‥‥もうこれより下はないってところまで気持ちが落ち込んでた。けど、それってそういった彼女達の一挙手一投足に一喜一憂してたんじゃなくて、もしかしたらそれに過剰反応するモーヲタに対して一喜一憂してたのかもしれない。それを「モーニング娘。はもうダメかも‥‥」って錯覚してたのか俺は‥‥いや、それは言い過ぎだな。確かに最近の彼女達(というかつんく♂や事務所の判断)には疑問を感じることが多いけど、今度の"AS FOR ONE DAY"と保田バージョンの"Never Forget"を聴く限り、まだまだ彼女達のこと、好きでいられそう‥‥正直、気持ち的にもうこれ以下ってないと思うし。後は分裂までの約半年を存分に楽しんで、分裂後に「俺が知る」モーニング娘。の姿がこれっぽっちも感じられなかったら‥‥それでサヨナラするならサヨナラすればいいさ。「無理する必要はない。常に自分に正直でありたい。」‥‥俺が彼女達から学んだ、最も大切なこと。そんな態度で今後も彼女達と付き合っていきたいと思います。



▼モーニング娘。『AS FOR ONE DAY』
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投稿: 2003 04 22 11:03 午後 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2003/04/15

ソニン『東京ミッドナイトロンリネス』(2003)

  この半年の間によく質問されるんですが、「とみぃさんってソニンはどうなんですか?」とか「EE JUMPやソニンのソロにおけるつんく♂の仕事ってどう思います?」って質問。メールでも何通か貰ったことあったし、お会いしたことのある方々からも何度か同じ質問をされたことがあるんですよね。で、メールの方は最近あまりお返事を書く機会(というか、なかなか個別に返事書く時間的&精神的余裕がないんですが‥‥)がないので、ちゃんとした答えをしないままになってたんですよね。そんな感じで過ごしてたら、早いもんでEE JUMP崩壊(=ユウキ脱退)から丁度1年経ってしまったんですね。と同時に、いよいよソニンとしての初のアルバムも5月にリリースが決定したそうで。それに先だってリリースされたのが、今回紹介する「東京ミッドナイトロンリネス」。当然ソングライティングとプロデュースをつんく♂が手掛けています。

  EE JUMP時代にもPVが収録されたビデオがオマケについた初回限定版なんてのが何作かありましたが、今回はそれのDVD版が付いてくるってことで、早速入手しました。まず、PV観る前にCDの方から聴きました。ラジオ等で何度か耳にはしてたんですが、改めてクリアな音源で聴いてみると‥‥胡散臭さ満載の、非常に'80年代テイストのアレンジって印象は変わらないですが、意外と好きですねこれ。悪しき'80年代の象徴的なシンセドラム、なんちゃってテクノポップ~ユーロビート的なシンセサウンド。何かドラマ「スクールウォーズ」とか、ああいった時代を彷彿させる歌謡曲テイスト。サビのメロディなんて(いろんなサイトで語られていると思いますが)荻野目洋子がヒットさせた一連のユーロ歌謡的。アレンジャー表記を見なくても誰がアレンジしたか簡単に当てることが出来る程の、個性的なサウンド(お馴染み鈴木Daichi秀行が手掛けています)こうやって文字だけで表現すると何だか安っぽい楽曲のように思えますが‥‥いや、実際安っぽさにおいてはホームラン級の安っぽさなんですが、完成度の点からすれば非常に優れた作品ではないかと感じています。ただ、アレンジがアレンジなだけに、聴き手を選ぶというか、評価の分かれる1曲となるでしょうね。

  で、このCDを聴いてまず疑問に感じたことがあるんですよ。ボーカルのエフェクト。何でこんなに深いリバーブがかかってるのか? 非常に安っぽい、デモテープみたいな印象を受けるんですよね。サビは音数が増えるんでそこまで酷くは感じないんですが、Aメロは特に目立ちますよね。

  これ、PVを観て納得しました。この曲のPV‥‥ソニンがカラオケボックスでひとり、この"東京ミッドナイトロンリネス"のカラオケを歌う、という設定なんですよね。そうか、それでこのカラオケみたいなリバーブなのか‥‥ってPV観なきゃ判んねぇよ!(苦笑)いや、面白いとは思うんですが、CDだけ聴かされたら、絶対に「??」って思うよ普通。しかもこのリバーブのせいで、ソニンの歌がちょっと下手っぽく聞こえるっていう。彼女の声って独特な潤い感がちゃんと備わってるんで、もっとドライなエフェクトでも全然通用するし、逆にその方が声そのものの持ち味が活きると思うんですが‥‥まぁそういうコンセプトなら、それはそれでいいんですが。勿体ないなぁ、と。カップリング曲を聴いてしまうと余計にそう感じますね。

  そのカップリング曲ですが、"夏が来ない"という、ラテンテイストのクールなナンバー。「夏が来ない」で「ラテンテイスト」って‥‥これ、大黒摩季に対するアンチテーゼみたいなもん?(んなわきゃないか)アレンジは高橋諭一が担当。ほぼ同時期にモーニング娘。の方でもラテンテイストのシングル「AS FOR ONE DAY」をリリースするだけに、ちょっと比べてしまいがちですが‥‥全然違うタイプですね。あっちが「完全なる歌謡曲」で、こっちは「ポップス」くらいの違い(勿論、いい意味でそう差別化してるんですけどね)。ソニンはEE JUMP時代から、結構カップリング曲には恵まれてるんですが、特にソロデビューしてからは‥‥発売中止になってしまったEE JUMP幻のファーストアルバムに収録予定だった楽曲("愛はもっとそうじゃなくて" と "MISSING YOU")を収録していて、またそれがかなり素晴らしい出来だったんですよ。で、今回は表題曲/カップリング共に完全なる新曲なんですが‥‥カップリングもこれまた素晴らしい出来なんですよ。ハロプロがますます(悪い意味で)幼児化してく中、つんく♂がこういった艶っぽい曲を発表する場はもはやハロプロ外‥‥現時点ではソニンとの仕事しかないわけですよ。勿論、低年齢層に受ける楽曲を書くことに反論はないし、それが素晴らしければ俺は何の文句もないわけですが‥‥その点からすると、今回のソニンのシングル、"東京ミッドナイトロンリネス"は遊び心満載(?)の、かなり狙った変化球(それでいて王道的)ナンバーで、カップリング"夏が来ない"は昨今のハロプロでは表現しきれない艶っぽい路線‥‥という、非常に充実した内容になってるんですね。

  EE JUMP時代を高く評価している人からすると、ソロデビュー後の楽曲("カレーライスの女" や "津軽海峡の女")は評価が低いようですが、俺はどの楽曲も(サウンド/メロディ共に)好みだったし、ちゃんと評価してきたつもりです。そして今回も、アルバムへの大きな期待を込めつつこのシングル収録の2曲を高く評価したいと思います。

  それにしても‥‥この曲のPV、かなりバカバカしい内容で笑えるので、是非機会があったら観てください。初回DVD付きは通常盤と100円程度しか違わないんですよ。そりゃ初回版買うでしょ普通。で、観た際にはソニンの右手首に注目。結構目立つ傷があるんですよ。これが噂のリストカット‥‥ではなく、恐らく今回のパフォーマンスの中に含まれる「西城秀樹や大友康平(ハウンドドッグ)やダイヤモンド☆ユカイばりのマイクスタンド振り回しアクション」の練習中に作った傷なんでしょうね(多分)。何か、あの傷見たら泣けてきた‥‥いや、マジで応援してあげたくなったよ。



▼ソニン『東京ミッドナイトロンリネス』
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投稿: 2003 04 15 12:00 午前 [2003年の作品, ソニン] | 固定リンク

2003/04/13

ミニモニ。『ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~』(2003)

  2002年7月に発表された「ハロプロ構造改革」。そこではタンポポやプッチモニといったユニットに対するテコ入れだけでなく、ハロプロの中でも一番人気といえるであろうミニモニ。にまで手が及び、正直多くのモーヲタが「??」と思ったことでしょう。何故矢口じゃだめなのか? 何でユニットの創立者である(と一般的に認識されている)矢口が辞めさせられるのか?? その理由は今でも判らない。多分、5期メンバーを一般的に浸透させる為のテコ入れだったのでしょう(現に5期の4人はそれぞれタンポポ、プッチモニ、ミニモニ。に振り分けられたわけだし)。そう考えると‥‥納得いく、とはとても胸張っては言えないけど‥‥ならば、「矢口抜きのミニモニ。」が実際にどんなもんなのか、そのお手並みを拝見しましょう‥‥という、ちょっと意地悪な見方をしてしまう俺なわけでして。

  まず最初に、俺はミニモニ。の音源って昨年6月のアルバム「ミニモニ。ソング大百科1巻」以降買ってないし、昨年末に出た高橋やキッズを含む新曲やミニハムず名義のシングルもテレビやラジオ、ハロコンで聴く程度。そんな人間が今回の新曲を評価するという点をまずご理解ください。

  今回のシングルは、森高千里が過去に発表した楽曲「ロックンロール県庁所在地」のカバー。当然、つんく♂流の味付けが加味されてるわけで、本来ならここで原曲との比較をするべきなんでしょうけど‥‥この曲を聴いたのってもう7~8年も前の話で、しかも俺は音源持ってないんですよ。だから過去の記憶を辿って比較するしかないんですが‥‥比較的原曲に近いアレンジのように思いますが‥‥記憶違いだったりして。ま、アレンジャーがその森高も手掛けた高橋諭一ってのも大きいでしょうね。ただ、中~後期の森高に見られた「ローファイ感覚」がほぼ皆無で、もっとデジタルで、それでいて可愛らしいサウンドで表現されてますね。我々が「ミニモニ。サウンド」と言われて想像できる範囲内のサウンド、といったところでしょうか。ま、我々はミニモニ。に対して特に革新的なものを求めているわけではないので、これはこれでいいんじゃないかと思います。後は子供達がこれをどう受け入れるか?ですから、大人の俺達がああだこうだ言ったところでねぇ。

  カップリングには歌詞に関西弁を用いた"おしゃべりすきやねん"を収録。これもアレンジは高橋諭一。これまでのカップリングと比べればちょっとインパクトが弱いような気がしないでもないけど、きっとアルバムに収録されると「ああ、これはこれでありだな?」って思えるような‥‥そんな1曲。サウンド的にはちょっとマーチ風で、ノリとしては好きなんですけどね。あと、曲間に挿入される関西弁のセリフとか。「ミニモニ。ソング大百科1巻」での "あいらぶぶる~す" をちょっと彷彿させますね。ここ最近のつんく♂ワークスの中では意外と良い出来に入るんじゃないでしょうか(‥‥って自分で書いてて、どこまでが「良い部類」でどこからが「ダメ」なのかの線引き曖昧になりつつあるんですが)。

  でね。これら2曲を聴いて、ちょっと嫌な自分に気づいたわけですよ。脳内で高橋のパートを矢口の声に置き換えて聴いてる自分がいるわけですよ‥‥現実を受け入れられないアホな奴だ、と思われるでしょうけど、ちょっと嫌な言い方をしてしまうと‥‥これらの楽曲に対しては「別に高橋が歌おうが、矢口が歌おうがどっちでも構わない」と俺は感じた、と。つまり「高橋である必要性が感じられない」わけです。まぁカバー曲だから仕方ないじゃん、とか言い訳はいろいろあるでしょうけど‥‥例えばね、新生タンポポの "BE HAPPY 恋のやじろべえ" には紺野や新垣、メロン記念日の柴田が必要と感じるし、逆にこれを飯田や矢口が歌う姿ってのが俺は想像出来ないんですね。同じようにプッチモニに関しても、現在ライヴのみで歌われている新曲 "WOW WOW WOW" は正しく小川を含むメンバーを想定して作られているわけで、あれを後藤や保田が歌う姿をまた思い浮かべることが出来ない。つまりそういうことなんです。

  現在のつんく♂がかなり酷い状態なのはファンでなくてもお判りでしょう。だったらカバーで乗り切る。モーニング娘。の「ひょっこりひょうたん島」といい、今回の"ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~"にしろ、その選曲センスは面白いと思うんですが、プロデュースにおけるアイディアまで枯れつつある現状を見ると、ちょっと切なくなるなぁ。どんなに周りから「相変わらず酷い糞曲」と言われてもいいから、折角高橋を含むメンツでの再デビューだったんだから、ちゃんとしたオリジナル楽曲で勝負して欲しかったなぁ、と。その1点のみが非常に残念でなりません。

  「高橋にとって折角の晴れ舞台なんだから応援してやれ!」って声もあるでしょうけど、あくまで俺は「音楽」について書いてみました。現時点での俺にとって、音楽を語るのに「萌え」とか「推しメンバー」なんて必要ないんです。自分にとって「良い」か「悪い」か、「好き」か「嫌い」か。それで十分。そういう点で語ると、このシングルは自分にとっては非常に中途半端なんだけど、嫌いではない。むしろ"ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~"に関して言えば、ミニモニ。の楽曲の中でもかなり好きな部類に入る、とだけはちゃんと書いておきますね。ただ悪口書いてるように思われるのもシャクなので。

  5月には早くも新しいシングルが出ます。数え歌ってことですが、どういった遊びを音楽でやってるのか、そしてどれだけ高橋が活かされているのか(と同時に、最近急激に成長を続けている辻がどの程度フィーチャーされているのか)が非常に気になるところです。



▼ミニモニ。『ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~』
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投稿: 2003 04 13 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, ミニモニ。] | 固定リンク

AMERICAN HI-FI『THE ART OF LOSING』(2003)

新世代アメリカン・ハードロック・バンド、AMERICAN HI-FI待望のセカンドアルバム。当初はもっと早くリリースされる予定だったと思うんだけど(2002年7月に出演したFUJI ROCK FESTIVALでは「秋頃にリリース予定」とアナウンスしていたし)、慎重に作業した結果なのか、最終的には前作から約1年半というインターバルになりました。ファーストがここ日本でも、そして本国アメリカでもまずまずの成功を収めただけに、セカンドに対する意気込みは尋常じゃなかったと思うのですが、それに応えるに十分な内容になったのではないでしょうか。

個人的にはこのバンド、ファーストを手にした時もそんなに思い入れというか、最高にカッコイイという印象はなかったんですね。ボブ・ロックがプロデュースというのも関係してか、かなりカッチリ作られてた印象が強いし、楽曲にしてもかなり丁寧に作られた‥‥非常に優等生的な作品だと感じられたんですよ。勿論、それらの楽曲は素晴らしかったし、今でもあのアルバム自体はよく聴きますよ。けど‥‥新人のファーストアルバムにしては、妙に完成度が高すぎて‥‥キャリア5年目くらいのバンドの、サードアルバムっぽい作風に感じられたんですね。ま、中心人物であるステイシー・ジョーンズはこのバンド以前にVERUCA SALTにドラマーとして参加していたので、メジャーの世界での活動は今回が初めてってわけでもないんですよね(そういう経緯もあって、ファーストはボブ・ロックが手掛けたわけだし)。サウンドや楽曲の細かさ/高水準はそういったところから来てるのかもしれません‥‥。

で、そんなAMERICAN HI-FIに対して更に魅力を感じるようになったのは、上にも書いたFUJI ROCK FESTIVALでのライヴを観てからでした。残念ながら代表曲である「Flavor Of The Weak」を見逃すという大失態を犯してしまいましたが、それでも十分に楽しめる内容でした。ファーストの楽曲もライヴで聴くと全く違った印象を受けたし、そしてこのセカンドアルバムに収録される予定の新曲も何曲か演奏され、それらがかなりイイ感じだったこともあって、実は俺、このバンドを誤認してたんじゃないか‥‥とまで思うようになって。だからね、このリリースを本当に心待ちにしてたんですよ。

基本的にはファーストの延長線上にあるサウンドなんだけど、1曲1曲がもっとコンパクトになり(しかも計算されて短く凝縮されたのではなく、勢いで作ったらそうなっただけのような印象を受ける)、音の粒も粗くなったように感じられます。これはプロデューサが変わったことも大きく影響してると思うんですが(今作はLIVING ENDやSEMI-SONICを手掛けてきたニック・ロウネーを起用)‥‥乱暴に言ってしまえば、パンク色が若干強めに出てるかな、と。GREEN DAY辺りに通ずる曲調のファーストシングル「The Art Of Losing」や、ちょっとスカのリズムを取り入れた「The Breakup Song」、FOO FIGHTERS辺りにも共通する色が感じられる「Nothing Left To Lose」といった楽曲は、前作にありそうでなかったタイプの楽曲でしょう。また、アコースティック色を有する「Save Me」「This Is The Sound」からは新しい魅力が感じられますし(王道アメリカンロックですね)、「Beautiful Disaster」ではBACKYARD BABIES辺りの活きのいいバンドと同じような匂いを感じるし、「Built For Speed」なんてCHEAP TRICKの「He's A Whore」に似たリフ&コード進行を持ったパワーポップだし。楽曲の幅は明らかに広がったし、それぞれの曲は以前のような細やかさよりもワイルドさを強調しているんだけど‥‥やはりどこか優等生的なんだよね。無理して「俺達パンクだぜ!」みたいに悪ぶってる印象。それが決して悪いと言ってるんじゃなくて、非常に計算高いなぁ、と。

多分ステイシー・ジョーンズって男はとても頭のいい奴なんだと思うな。じゃなきゃ、あんな優等生的なファーストアルバムの後に「敗者の美学」ってタイトルのアルバム、作らないでしょう普通。GREEN DAY以降のパンクまで行かず、かといってここ数年ヒットチャートを賑わしたNICKELBACKみたいな音までいかず、ストレートなハードロックというわけでもなく、グランジの亡霊を追ってるわけでもなく(少なくとも前作には「グランジ以降」の文脈で語られてる楽曲が幾つか見受けられたけど、今作には皆無だし)‥‥そういう点から、俺の中でBON JOVIのジョン・ボン・ジョヴィと重なるんだよね、「策士」として。「インディー・バンドならMY BLOODY VALENTINE、メインストリームならFOO FIGHTERSが大好き」という発言にしろ、ライヴでCHEAP TRICKの「Surrender」をカバーしてること、そして勝負作となるセカンドでバラエティに富んだアルバムを作ったこと等‥‥VERUCA SALT時代に学んだことを、こうやって役立ててるのかも。だとしたら、この男はまだまだ化けると思いますね。そして、そんな策士を的確にサポートする他のメンバーの技量もさすがですね。まだ各メンバーの個性というのは感じられませんが(多分このアルバムにおけるライヴを観れば、また印象が変わるんでしょうね)、それが今後の課題といったところでしょうか。

やれ計算高いだの策士だのといろいろ書きましたが、そういうの抜きに十分楽しめるアメリカンロックが存分に詰まってるので、とりあえずこれを読む前に無心で一回聴くことをオススメします(そういうことは最初に書けよな俺)。ここ数ヶ月、頭を空っぽにして楽しめるアルバムとして我が家ではヘヴィローテーション中です。



▼AMERICAN HI-FI『THE ART OF LOSING』
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投稿: 2003 04 13 12:00 午前 [2003年の作品, American Hi-Fi] | 固定リンク

2003/04/10

松浦亜弥『T・W・O』(2003)

  2003年、ハロー!プロジェクトは年頭からアルバムのリリースラッシュが続きました。その第一弾が松浦亜弥のこのセカンドアルバム「T・W・O」。前作「ファーストKISS」から約1年1ヶ月という比較的短いブランクで発表されたことを考えると、やはり恵まれているというか、今やモーニング娘。以上に稼ぎ頭なのかしら‥‥なんて穿った見方をしてしまいがちですが‥‥リリースから早2ヶ月以上経ったものの、やはりというか何というか、他の皆さんと同様、ファーストと比べて聴く頻度は非常に低いと言わざるを得ません。何故か? その詳しい分析については最後に述べるとして‥‥

  全12曲中、シングルが4曲、ごまっとうのソロバージョンを含めて既発曲が5曲。それ以外の7曲が新曲という、ハロプロの中でも最も恵まれた環境(ちなみに新曲のみでいえば藤本美貴が4曲、後藤真希が4曲、メロン記念日が3曲、そしてモーニング娘。が6曲)。しかし、その贅沢さと内容の出来・不出来に関してはまた別の話。というわけで、他の4組同様、全曲レビューをしながら解説していきたいと思います。


M-1. Yeah!めっちゃホリディ
  '02年5月リリースの通算6枚目のシングル。詳しいレビューはこちらを参照のこと。アルバムの掴みとしては贅沢な1曲でしょう。頭から「あやや」印押しまくり状態。

M-2. The 美学
  '02年9月リリースの通算7枚目のシングル。詳しいレビューはこちらを参照のこと。ここに持ってきましたか‥‥正直4曲目とか7曲目くらいかな?と思ってたんですが。この2連発は結構強烈だなぁ。シングル云々を抜きにして、非常に個性が強すぎ、尚かつ音楽的にてんでバラバラな2曲が並ぶことで、この先一体どんな風になるんだ!?と予断を許さない空気に。

M-3. あなたの彼女
  アルバム用の新曲その1。アレンジャーは高橋諭一。中澤裕子の「東京美人」に通ずるアレンジ‥‥ということで、ナイアガラサウンドを意識したアレンジ。音楽オタクっぽい高橋らしい1曲。アルバムの中でもわりかしファーストに近い雰囲気/作風かも。しかし、そんな中でも「あやや」という個性が強烈に輝いているのはさすが。

M-4. ♡桃色片想い♡
  '02年2月リリースの通算5枚目のシングル。詳しいレビューはこちらを参照のこと。ここまでの4曲中、高橋諭一アレンジが3曲。2曲目で「おおっ!?」となったものの、この時点では比較的安定した色合いを見せていますね。

M-5. ダイアリー
  アルバム用の新曲その2。アレンジャーは酒井ミキオ。アルバムの新曲中、最も好きな曲は?と問われたら、間違いなくこれを挙げるでしょうね。単純に自分が酒井ミキオというシンガーソングライターに興味を持っているというのもあるけど、彼がこれまで手掛けてきたハロプロ・ソングがどれも好きな曲ばかりなんですよ。路線的にはファーストアルバムの延長線上なんだけど、もっと地に足が着いたイメージが。悪い言い方をすれば、前作は「オシャレ過ぎ」なのね。ま、贅沢だわな、そんな言い方。その点この曲の場合、そこまで贅沢でもなく、それでいて安過ぎずという、非常に普通な曲‥‥いい意味でね。如何にもアルバム用といった印象が強いけど、この位置にこういう曲を配置されるとやっぱり安心してしまうんですね。

M-6. SHINE MORE
  アルバム用の新曲その3。アレンジャーは小西貴雄。ラテン調のダンスチューンといったところでしょうか。何ていうか‥‥ここまでくると、逆に安っぽいんですよ。中途半端に打ち込みを使ったり、逆にアコースティック楽器‥‥アコギやパーカッションといった楽器が上手く活かされていないように感じるし。松浦なりに自分のものにしようと試行錯誤した後が節回しに伺えるんですが(とはいっても、それを考え指導するのはつんく♂でしょうけど)‥‥ちょっと空回りしてる感が。こういうダンスチューンに仕上げないで、それこそアコースティック楽器のみの、もっと落ち着いたアレンジにしてしまえば、松浦の歌い方も違ったものになっただろうし、何よりも彼女の声質に合っていたと思うんですが‥‥ちょっと残念な1曲。

M-7. SHALL WE LOVE?(松浦Version)
  '02年11月に「ごまっとう」がリリースした同名シングルの、松浦ソロバージョン。当然アレンジは全く変わっていて、ここでは鈴木Daichi秀行が担当。原曲よりも更に下世話なアレンジといった印象‥‥やはりAKIRAのアレンジって、ギリギリの一線を越えてないから素晴らしいんですよね。結局、松浦・藤本・後藤の各ソロバージョンでは、完全に違ったアレンジで勝負した藤本の一人勝ちといったところでしょうか。後藤の持ち歌というイメージが強いんで、やっぱり松浦ひとりで歌われても、ちょっと‥‥というか、こういうチキチキしたダンスチューンって彼女に合ってないよね、残念ながら。

M-8. From That Sky~替え玉は硬メンで~
  アルバム用の新曲その4。アレンジャーは鈴木俊介。イントロでのマウスワウを使ったギターを聴いた瞬間、誰もが思うことでしょう‥‥これってBON JOVIじゃねぇか!?と。明らかに "Livin' On A Prayer" からアイディアを拝借したアレンジ。ドラムのちょっとした叩き方やシンセの音色・フレーズ、そしてギターソロからもそれを感じ取ることができます。ハロプロ初のハードロックナンバーってとこでしょうか?(そして初のメタルは藤本の "涙GIRL")タイトルと歌詞の内容とのチグハグさをいろいろなところで指摘されているので、ここでは割愛。こうやって改めてつんく♂のメロディをハードロック調演奏に載せてみると‥‥まるでEARTHSHAKERじゃねぇか‥‥という気がしないでも。要するに演歌なんですよね。ま、そういう点ではBON JOVIにも通ずるものがありますが。これはこれで面白いと思います。

M-9. デート日和
  アルバム用の新曲その5。アレンジャーは高橋諭一。イントロのギターフレーズを聴いて、きっと誰もが思うことでしょう(ってまたかよ)‥‥これってCHEAP TRICKじゃねぇか!?と。しかも "I Want You To Want Me" のライヴ・バージョンまんまのアレンジ。そこに同じCHEAP TRICKがカバーした "Don't Be Cruel"(エルビス・プレスリーのカバー)風のフレーズやコーラス‥‥ロカビリー調ね‥‥が飛び込んできたり、また松浦の歌い方もまんまプレスリー調だったりで、なかなか面白い1曲。とうとうパワーポップにまで手を出したか‥‥と思ったりして。アルバム内でも1、2を争う出来だと思います。

M-10. 草原の人
  '02年12月リリースの通算8枚目となるシングル曲。詳しいレビューはこちらを参照のこと。この曲がアルバムに入ると知った時、一番のネックが曲順‥‥つまり、この曲の配置だろうな、と思ってました。実際にこうやって10曲目という、終盤に入ることで‥‥まぁ安泰かな、と。というか、逆にここ以外の場所はやっぱりマイナスに働いちゃうんだろうな、と思いますね。6曲目でも、12曲目でもダメ。いっそ入れないのが一番なんですが(ミュージカルのサントラも出たわけだしね)、結局バラードらしいバラードって今回少ないので、これはこれでいいアクセントになったのでは?

M-11. ナビが壊れた王子様(LOVE CHANCE)
  アルバム用の新曲その6。アレンジャーは小西貴雄。正直‥‥ガッカリな1曲。つうかこれ、アニソンじゃねぇか!?っていうね。前半が比較的いい流れ/クオリティーだと感じていたのに、中盤の似非ダンスチューン2曲にちょっと凹んで、"From That Sky~替え玉は硬メンで~"から"デート日和"で持ち返し、"草原の人"で小休止し、さぁラスト2曲‥‥っていう大事なポジションに、こんな曲を‥‥アレンジ次第ではもっと印象が変わったはずなのに。個人的には小西氏のアレンジって苦手なんですよね。この安っぽい打ち込みサウンドが。ミニモニ。くらいまでいっちゃうと逆に爽快なんですが、何かね‥‥うん。ダメでした。

M-12. 元彼
  アルバムラストを飾る新曲その7は、アレンジャーに河野伸を迎えたメロディアスなバラード風。みんなどうしてもファーストと比べてしまうだろうけど、やはりセカンドは全くの別物であって、そういう点からすれば俺はこの曲をラストに持ってきたことは決して間違ってないと思うし、つうかこの曲で終わるしかないじゃないか、そういうアルバムじゃないかこれは!?って思うんですが‥‥どうでしょう? けど‥‥そうはいいながらも、やっぱり詰めが甘いかなぁという気も。アレンジ次第では、もっと感動的な曲になれたはず。でも‥‥悪い曲ではないのよ。うん、むしろ好きな方ですね。


◎総評
  新曲に対してかなりネガなことを書いているんで、読んでる途中で気づかれたと思いますが‥‥そう、ファースト程は好きではないかな、と。曲のクオリティ云々もあるんですが‥‥それ以上にですね、クセが強いんですよ、楽曲にしろ、松浦の個性にしろ。

  何故「ファーストKISS」が名盤とされているのに、このアルバムは評判がそこまで良くないのか。それはアルバム制作の段階における「コンセプトの違い」でしょうね。ファーストは「松浦亜弥というシンガーをプロデューサー/アレンジャーが料理する」作品だったのに対し、このセカンドは「つんく♂やアレンジャーが用意したてんでバラバラな楽曲群を松浦亜弥が料理する」作品なんですよね。もうスタート時点から全く逆。ファーストはとにかく松浦亜弥を印象づけるために、とにかく完成度に拘った。その分、必要以上に丁寧に感じる部分もあった。しかし、今回は既に完成されてしまった「あやや」というパブリックイメージを増長させるためのブースターである、と。楽曲の出来にバラツキがあったりアレンジの完成度がまちまちだったりするけど、それを「あやや」が歌うことによって強引に聴けるモノにしてしまう。そういう意味では非常に暴力的で、ある種ロック的と言えなくもないです。

  しかし、そうはいってもファンの多くは「ファーストKISS」のような「完全無欠の名盤」を期待していたわけで、そういう点からすればこのセカンドは駄作なのかもしれませんね。ま、駄作というのは少々言い過ぎですが。けど、俺はこれはこれで受け入れたいと思います。DEEP PURPLEが「MACHINE HEAD」の後に「WHO DO WE THINK WE ARE」を出したようなもんだ、QUEENが「THE GAME」の後に「HOT SPACE」を作ったようなもんだと解釈しています‥‥ってことは「やっぱり駄作じゃん!」って突っ込まれそうですが、俺がそれら後者のアルバムを好きだということですよ、前者よりも。



▼松浦亜弥『T・W・O』
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投稿: 2003 04 10 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク

2003/04/01

BUCK-TICK『Mona Lisa OVERDRIVE』(2003)

BUCK-TICKがメジャーデビューして既に15年以上経っているわけですが、その期間特に落ちぶれることもなく常に第一線で活躍し、根底にあるポリシーは守りつつ、装飾を時代時代によって変化させ続け、尚かつメンバーチェンジのない不動の5人で活動をコンスタントに続けている‥‥考えてみると、とても不思議なバンドなんですよね。ファンに怒られるのを承知で書きますが、これほどファン層の見えてこないバンドというのも珍しいのではないでしょうか? 例えば80年代末からのバンドブーム。そして90年代中盤のビジュアル系ブーム。BUCK-TICKはそのどこにも属すことなく、常にマイペースな活動を続けていた(ま、バンドブーム時は多少恩恵を受けたと思いますが)。シングルを出せば常にトップ20入りするし、アルバムもトップ10入り。ツアーは常にソールドアウトだし、武道館をも満杯にする。けど、少なくとも自分の周りには「最近BUCK-TICKを好きになった」という若いファンはあまりいない、いるとすると自分と同年代の、古くから彼等を追っている年季の入ったファン‥‥恐らくこういったファンによって支えられているんだろうけど、果たして本当にそれだけなのかなぁ、と。常々不思議に思ってたんですよねぇ。

自分に関して言えば、BUCK-TICKは90年代中盤まではちゃんと追ってたんですが、ここ数年は完全にスルーしていた存在でして。ところが昨年、急に彼等の旧譜を聴き、自分の中で彼等に対する再評価が高まりつつあったんですね。そして今年に入ってシングル「残骸」がオリコンシングルチャートの6位を記録。おおっ!となったわけですよ。それで是非アルバムを聴いてみよう‥‥ということになりまして、2月にリリースされたこの『Mona Lisa OVERDRIVE』を先日購入。結構な頻度で現在に至るまで聴いています。

まず驚いたのは、基本的には彼等の音楽性ってある時期から一本筋の通ったものなんですよね。初期のゴス+ビートロック的サウンドもまた捨てがたいですが、90年代以降は常に現在のようなスタイルを貫いてきたように思います。アレンジ等の装飾はその時代時代にフィットしたサウンドを取り入れているので、一聴するとまず目新しさを感じますが、メロディのセンスは相変わらずだし、特に「流行モノに身売りした」というような印象は受けないんですよね。そういう意味では、例えばPRIMAL SCREAM辺りに共通するものを感じます。

普通にカッコイイ。もはやこれを「ビジュアルロック」だの「ゴス」だのといった名称で呼ぶ人もいないでしょう。既に「BUCK-TICKブランド」を確立しているし、誰の真似でもないオリジナリティがしっかり感じられます。そういえば、なかなかフォロワーが登場しないのもこのバンドの音楽性の特徴なんですよね。もしかしたらフォロワーはいることはいるのかもしれないけど、そういったバンドが登場した際には既にBUCK-TICK自体更に次の地点に到達してるから、大した才能のないフォロワーはそこまで追いつけずに終わってしまうのかも‥‥ってのは考えすぎ?

 あ、久し振りに聴いて驚いたのは、思ってた以上に今井寿がボーカルを取ってる曲が多かったこと。1曲とかならまだしも、数曲入ってるもんなぁ。作詞に関してもボーカルの櫻井敦司とほぼ同数(5曲。櫻井単独は5曲で星野との共作が1曲)というのも、もしかしたらこのアルバムのポイントなのかな? ここ数作の彼等を知らないので何とも言えないけど、この今井の比重の高さが新作のキーポイントなのかもね。

サウンドのカッコ良さは相変わらずで、もしかしたら昔よりも更に判りやすくなってるかも。1曲目「ナカユビ」のATARI TEENAGE RIOTばりの高速デジタルビートをバンドサウンドに取り込んだスタイルはさすがだし、シングル曲「残骸」の迫力は言うまでもなくだし、そのC/W曲だった「GIRL」のメジャー感溢れるポップセンスも脱帽モノ。そして「Sid Vicious ON THE BEACH」はそのタイトルの通り、ちょっとSEX PISTOLSっぽいパンクソングなんだけど、それでいてグラマラスなイメージを与えるのはやはり今井のボーカルのせいでしょうか。星野作曲の「BLACK CHERRY」も同じグラマラスでもまた違ったイメージを与えてくれるし、攻撃的な疾走ナンバー「原罪」や星野作曲のドラムンベース的シーケンス音が印象的な「MONSTER」等、とにかく印象的な曲の多いこと多いこと。「LIMBO」なんてモロにテクノだし、「BUSTER」は近作でのPRIMAL SCREAMと同じ文脈で語ることもできるし。多分、同時期に登場したバンドでここまで多彩な曲を書けるのは、他にいないんじゃないだろうか……とさえ思える程、とにかく聴いてていろんなことを考えさせられるアルバムだったなぁ。デビュー当時を知ってる人達(自分を含む)にとって、このアルバムの内容って本当に興味深いものなんじゃないでしょうか?

80年代後半に登場したバンドで、メンバーチェンジすることなく未だに第一線で活躍しているのって、間違いなくBUCK-TICKだけですよね。しかも解散も再結成もしてないわけだし。そしてフォロワーさえ生み出さない、唯一無二の存在。デビュー時、あの髪型を見て散々バカにしてた奴らは現在のBUCK-TICKを見て、今何を思うのでしょうか? 是非聞いてみたいね。そしてある意味、バンドブームの勝ち組は、奥田民生でもなく寺岡呼人でもなく、このBUCK-TICKなのでは?とさえ思えてくる今日この頃。これを読んでいるあなたは、BUCK-TICKと聞いて何を思い浮かべ、そしてこのアルバムを聴いてどう感じるのでしょうか。



▼BUCK-TICK『Mona Lisa OVERDRIVE』
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投稿: 2003 04 01 11:23 午前 [2003年の作品, BUCK-TICK] | 固定リンク

2003/03/29

CAROL『THE★BEST』(2003)

  ぶっちゃけた話、俺はキャロル及び矢沢永吉が大嫌いでした。ガキの頃‥‥なんていうか、彼等に対して「ヤンキーの音楽」「ヤンキーが好んで聴く音楽」っていう偏見があったんですよね。ほら、よくヤンキーが乗ってそうな車に「YA・ZA・WA」とかそういった文字がリアガラスに貼り付けてあったり塗装されていたり、とか‥‥そういった理由で。そう、音楽を聴く前からそういう強い偏見があったので、どうしても苦手意識があったわけ(同様の理由で、一時期RCサクセションやBOφWYも聴けなくなってしまった時期があったのを、ここで告白しておきます。ただ、このふたつに関しては最初は音楽を楽しんでいたのに、ある時期から苦手意識が働いて、時間が経ってまた聴けるようになった、というような経緯があるんですが)。だから、高校生の頃に同級生バンドがキャロルのコピーとかやってるのを見ると、「うわっ、ダッセー!」っていう風に小馬鹿にしてたところがあったんですよ。俺のやってるAEROSMITHやレッド・ウォリアーズの方がどうみてもカッコイイだろう、と。まぁ嫌なガキだったわけですよ、頭でっかちなね。

  ところが、それから10年近く経って、何故か急に永ちゃんを聴けるようになったんですね。単純に、当時親しくしていた人がやっていたバンドで永ちゃんやキャロルのコピーをやっていたってだけなんですけど。で、そこからまず永ちゃんのライヴ盤に手をだして‥‥純粋に感動したわけですよ、その音楽に。ただのロケンローバカ親父じゃなかったんだ、と。まぁハマるって程じゃなかったんですけど、偏見はなくなったんですね。で、今度はその注目がキャロルに向けられるわけです。けど、なかなか手が伸びなかったんですよ‥‥それから数年。ようやくこういう機会(リマスター・ベストとラストライヴのDVD発売)を得て、キャロルに手を出すことになったわけです。

  ‥‥ってすごい勢いでファンに刺されてもおかしくないようなことばかり書いてますが、これが事実なんですよ。ホントに苦手で、けどその苦手意識がなくなった今だからこそ、ちゃんとキャロルについて何か書いておこう、そう思ったわけです。

  ご存じの通り、キャロルは矢沢永吉が参加した4ピースのロックンロールバンド。その後役者としても活躍するジョニー大倉もギター/ボーカルで参加していたこと等は皆さんご存じかと思いますが、永ちゃんがベース&ボーカルってのはファンやそれなりに精通している人以外、あんまり知られていないんじゃないですかね。とにかく、この二人がある種中心になって楽曲を作っていったわけです(大倉が作詞、永ちゃんが作曲という形態が大半を占める)。そしてボーカルもこの二人が曲によって歌い分けるわけです。ハスキーで如何にもロックンロールを歌う為に生まれてきたかのような声を持った永ちゃんと、甘くセクシーな歌唱のジョニー。この好対照は性質はある意味、BEATLESのそれに通ずるものがあると思います。そしてそれは歌声だけでなく、その音楽にも端的に表れているわけです。

  キャロルを再評価するにおいて必ずといっていい程挙げられるのが、この「初期ビートルズからの影響」なんですね。「日本語ロックンロールの先駆者」という側面も確かに持っていますが、それ以上にこのビートルズとの比較の方が個人的には面白いと思ってます。

  ビートルズが大好きでロックバンドを始めた永ちゃんが、その自らの構想を形にし、自身の音楽オタク振り、ミュージシャンとしてのビートルマニア振りを遺憾なく発揮する場がキャロルというバンドだったわけで、更にそこにジョニー大倉という優れた作詞家/シンガーが加わることで、更にバンドとしての個性を高めたのです。ビートルズ好き、あるいはビートルズを極めたような人なら、このベスト盤を聴いても非常に楽しめるんじゃないでしょうか? ただの真似/パクリで終わっていない、オリジナルとしての完成度はかなり高いと思うんですね。

  初期のビートルズが持っていたR&Bやブルーズ、ロカビリー、モータウン等からの影響が強いロックンロールやポップスからの影響が強いそのサウンドからは、ただのヤンキー音楽では済まされないマニア度の高さを感じさせるし、普通に今聴いてもロックンロールアルバムとして楽しめる作品なんですね。メンバーの風貌(素肌に革ジャン、革パンツ、リーゼント等)のカッコよさからヤンキーが惹かれていったってのも判らなくないですが、単純にカッコいいからね、音楽も。

  けど、今回特に注目して欲しいのは、そういった3コード・ロックンロール的な側面ではなくて、例えば"二人だけ"や"CAROL(子供達に夢を)"、最近クレイジーケンバンドもカバーした"甘い日々"といったミディアム~スロウナンバーといった楽曲の完成度の高さなんですね。所謂ロックンロール的バラードとは違った‥‥例えばROLLING STONESの "As Tears Go By" とか "Ruby Tuesday" といったタイプ。ただの不良的イメージのロックンロールに終始することなく、音楽家としての高みを目指す曲作り。あるいは本気でビートルズを追い越すことを目標としたかのような曲作り‥‥特に"甘い日々"の途中での展開(ジャジーな雰囲気でスタートして、後半いきなりロックンロール風に曲調が展開する)等、当時のバンドとしてはかなりレベルの高いものだったのではないでしょうか?

  時代背景をみても、このバンドが結成された'72年頃というのは頭脳警察に代表されるような側面を持った時代だったといえるわけですよ。勿論、全てのロックバンドがそういう方向に進んでいたわけではなく、キャロルはただ単に「人間としての主義主張」を前面に出すよりも「ミュージシャンとしての主義主張」を前面に出したかったんだな、とこのベスト盤を聴いて何となく思いましたね。それはそれで間違っていないと思うし、だからこそこのバンドは成功し、矢沢永吉という人は今でも現役で活躍し、多くの人間の心を動かす曲を作ったり、観た人をハッピーにさせるエンターテイメントショーを年間数十本もやってのけているんですから。やはり「凄い」の一言に終始しますね。

  最近の、枯れた魅力も捨てがたいですが、やはり20代だった矢沢の若い声も魅力的だし、そして何よりもジョニー大倉の甘い声にこちらまで酔ってしまいそうになります。いや冗談抜きで。ロックのルーツを追ってビートルズやストーンズ、LED ZEPPELINやDOORSを聴き漁る洋楽ファンは多いと思いますが、例えば今の日本の若いロックバンドが影響を受けたような'70~'80年代のバンドを聴き漁る邦楽ファンってのは、正直なところどれくらいいるんですかね? はっぴいえんど等はよく話題にされると思いますが、同じような理由でキャロルに手を伸ばす人達がどれくらいいるのか、正直疑問です。幸い、このベスト盤はトップ10ヒットも記録したようですし、中年以上の「昔、少年少女だった」大人達だけでなく、それこそ10代のロックファンにも聴いてもらって、純粋に楽しんで欲しいですね。こうやって俺が偏見を乗り越え、純粋に楽しめたようにね。



▼CAROL『THE★BEST』
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投稿: 2003 03 29 12:00 午前 [2003年の作品, CAROL] | 固定リンク

2003/03/26

モーニング娘。『No.5』(2003)

  前作「4th「いきまっしょい!」」からたったの1年で届いた、モーニング娘。通算5枚目のオリジナルアルバムはまんまのタイトルでちょっと肩透かし。それに、前作の時に感じた有り難みが今回はあまり感じられないんだよね‥‥例えば前作はベスト盤を挟んで、約2年振りのフルアルバムってことも大きかったし、新曲が8曲も入ってたのも嬉しかったし。けど今回の場合、全12曲(オープニングのイントロを除く)中、シングルが2曲、映画サントラで発表された楽曲2曲、昨年末リリース「プッチベスト3」収録のCMソングの別バージョン2曲の計6曲が既発曲。というわけで、残り6曲がこのアルバムの為に作られた完全未発表の新曲ということになるわけです。既発曲が前作よりも多く感じられるのは、特にここ数ヶ月の間に連続リリースされた楽曲が大半を占めるからってのも大きいかもしれませんね(って俺がそう感じてるだけかもしれないけど)。ま、CMソングのフルバージョンもボーカルトラックは録音し直されているようなので、これも新曲と呼べないことはないですが‥‥

  そんな感じで、現体制での最初で最後のアルバムとなるこの「No.5」。想像してたのとかなり違った内容だったことに、まずビックリ。もっと日和った、ある種「安っぽい」作りになると思ってたんですよねぇ‥‥それって結局、ここ数ヶ月の間に彼女達に対して感じていた「違和感」だったり「危機感」が原因だったんだなぁと。けどね、やっぱりモーニング娘。はその程度で終わるような存在じゃなかったわけですよ‥‥というわけで、恒例の全曲解説、行きます。

●M-1. Intro ~
 M-2. Do it! Now

  '02年7月リリースの通算15枚目のシングル。詳しいレビューはこちらを参照のこと。イントロはサビのコーラス部のみを抜き出して、そこにつんく♂のボイスパーカッションを加えた、文字通りただの導入部。この素っ気ない始まり方は、ある意味今のモーニング娘。に合っているのかも。大袈裟/劇的に盛り上げてスタートするライヴと違って、この唐突なスタートは後藤を含む13人でのラストでもあり、現体制での導入部でもあるわけだから‥‥クールで落ち着いた印象でスタートするアルバム。この時点で前作とは全く違うんだな、と。

●M-3. TOP!
  このアルバム用の新曲且つ「今のモーニング娘。」のテーマソングと呼んでも差し支えないであろう名曲(そう、既にね)。アレンジは守尾崇という人が担当。前曲からのクールでちょっとダウナーな空気を一変させる無機質なシンセサウンド。そしてコンピューターボイス‥‥メンバー全員の名前がコールされ、かなり攻撃的なダンスサウンドがスタート。これ、無条件でカッコイイ! そう、真の意味での「12人のモーニング娘。」のアルバムはここからスタートするんですよ。"Do it! Now" ですら単なる導入部でしかないわけ。このデジタル感覚のファンクサウンドが、今の「ロックな娘。」をより強調していて、そして彼女達の「新たな決意表明」、あるいは「宣戦布告」的な歌詞に思わずドキッとしてしまう。もうね、ここで完全にノックアウト状態。そうそう、俺達はこういうタフでワイルドなモーニング娘。を待ってたんだよ! ライヴのオープニングに持ってこいの、というよりもそれを想定して作られたとしか思えない1曲。今からどんなパフォーマンスをするのかを考えただけでドキドキするよ。

●M-4. 友達(♀)が気に入っている男からの伝言
  このアルバム用の新曲その2。アレンジは渡部チェル。如何にも彼らしいシュガーコーティングされたポップソングといった印象。頭2曲でクールでワイルドな「戦う娘。」の姿を強調して、ここでストーンと女の子らしい、可愛くて切ないポップチューンを持ってきて一息つかせる感じ。コーラスに5期メンの名前があることから、メインボーカルは他の8人がやってるのかな?‥‥って思ったけど、ちゃんと5期メンも歌ってますね。特に誰かがメインという形態を取らない、「12人がかり」のスタイル。ラジオで聴いた時はあんまりいい印象は残らなかったんだけど、うん、クリアな音源で聴くとそんなに悪くない。アルバムの中の1曲といった、文字通りの作品。

●M-5. ここにいるぜぇ!
  '02年10月リリースの通算16枚目、現体制で最初のシングル。詳しいレビューはこちらを参照のこと。もはや何も言うことはないでしょう‥‥小粒ながらも心に残るメロディとメッセージを持った、「今のモーニング娘。」をそのまま体現した1曲。

●M-6. 「すっごい仲間」
  このアルバム用の新曲その3。アレンジはダンス☆マン。「4th「いきまっしょい!」」以降、ダンス☆マンが本体に関わることが一切なかったのは、"そうだ!We're ALIVE" にてダンス☆マンとつんく♂とのコラボレーションがひとつの完成を見たからだ、という推測を何度か書いてきたわけですが、このアルバムにもダンス☆マンはこれ1曲しか関わっていない、そしてこの曲がごく普通の曲で、ある種過去の路線の焼き直し的サウンドであることから、何となく本体で彼等が絡まなくなったのは本当にそれが理由なんじゃないかと、個人的には確信してしまいました。タイプ的には "ハッピーサマーウェディング" の流れを組む曲調ですよね。クールというよりは、ハッピーなタイプの楽曲。悪くはないけど、最高とも言い難い‥‥何となく今の彼女達を、そしてつんく♂を象徴してる1曲。

●M-7. 強気で行こうぜ!
  アルバム用新曲その4。アレンジは鈴木俊介。ヤングチーム(辻加護+5期メン)で歌われている(追記:ライヴで観ると全員で歌ってます)、勢い一発のデジロック‥‥というか、打ち込みサウンドのメタル系アレンジ。ギターリフがモロにそれ。最近の俊介アレンジ、ホントにこの手の曲が多いね? あややではBON JOVI、ミキティではジャーマンメタル、そして今回は‥‥これ何? 様式美系でこんなサウンド、なかったっけか? ベースラインがいいね、暴れまくってて。この暴れ具合、無軌道な感じがヤングチームっぽくて◎。ライヴではっちゃける6人の姿が目に浮かびます。つうかここまで前半の流れ、かなり「攻め」の姿勢を感じました。曲のレベルは前作より劣るものの、それを帳消しにするだけのパワーを12人から感じるんですよね‥‥贔屓目ですかね?

●M-8. 女神~Mousseな優しさ~ (Original Long Ver.)
  '02年12月リリースのコンピレーション盤「プッチベスト3」に収録されていた曲の、ロングバージョン。アレンジは小西貴雄。CM用に作られた曲に2コーラス目を追加して、新たなパート割りで歌を再録音してるようです。メンバーは飯田・矢口・吉澤・後藤。元々好きな曲なだけに、こうやってロングバージョンで聴けるのは嬉しいんですが‥‥オリジナルアルバムに入れるまでの曲かなぁ?という疑問はやはり拭えないわけで。穿った見方をしてしまえば、やはり曲数稼ぎと言われても仕方ないかなぁ、と。

●M-9. YES! POCKY GIRLS (Original Long Ver.)
  前曲同様、「プッチベスト3」に収録されたCMソングのロングバージョン。アレンジは高橋諭一。これも2コーラス目を追加し、パート割りも新たにボーカルを再録音されています。メンバーは安倍・保田・石川・辻・加護・高橋・紺野・小川・新垣。CMバージョンではサビは全員で歌ってるようでしたが、今回は2人くらいで前半/後半と歌い分けてる感じ。こうやってアルバムの中の1曲として聴いてみると、確かにモーニング娘。のアルバム曲としても通用するかなぁ、という気も。前作でいうところの "好きな先輩" をもっと陽気にした感じ、かな?

●M-10. HEY!未来
  '03年1月リリースのシングルV収録曲。詳しいレビューはこちらを参照のこと。やはりアルバム向きの曲ですね、うん。こういう流れで聴くと、この曲の良さが増すように思います。前の2曲が上手く引き立ててくれてますよね。

●M-11. がんばっちゃえ!
  同上のシングルV収録曲。詳しいレビューはこちらを参照のこと。後藤が抜けた後の、12人での底力を見せつけるべき作品に、その後藤が参加した曲が3曲も入ってるのは、正直如何なものか?と思います。だって‥‥折角12人一丸となって頑張ってるのに、所々に後藤の影がちらつくんだもん‥‥ま、卒業という風に呼ばないで、例えば出入り自由なファミリー‥‥P-FUNK軍団とか、SOUL FLOWER UNIONに対する内海洋子みたいなもんと考えればいいんですかね? 物事、いいように考えればどうにでもなるもんです。ポジティブにいきますか。

●M-12. 「すごく好きなのに・・・ね」
  アルバム用新曲その5。アレンジは酒井ミキオ。"強気で行こうぜ!" がヤングチームで歌われていたのに対し、こちらはアダルトチーム‥‥飯田・安倍・保田・矢口・石川・吉澤の6人で歌われる、ちょっと背伸びをした大人っぽさを感じさせる、切ないナンバー(ライヴではコーラスで全員参加してます)。ああ、俺こういう曲大好きだわ。これもラジオで聴いた時はサウンドがやたらとチープに感じたんですが、まぁ許容範囲内でしたね、クリアな音源で聴くと。後半の流れは、それこそ「平和なモーニング娘。」といったところでしょうか。和み系ですよね。こういう路線を嫌ってた感があるんですが、思った程酷くなかったので一安心。

●M-13. 卒業旅行~モーニング娘。旅立つ人に贈る唄~
  アルバムラストを飾る、新曲その6。アレンジは河野伸。ラジオで聴いた時はチープな打ち込みサウンドだと思ってたんですが、これほぼ生演奏なんですね。ストリングス系はプログラムみたいですが、リズム隊とブラスは生でした。そうなんです、クリア音源で聴くとしっかりしてるんですよね。うん、確かにこれはいい曲だわ。どうしても歌詞にある物語性(今年頭、保田・矢口・石川の3人+家族で、オフを使って温泉旅行に行ったという実話がモチーフになっている)や、これを保田以外の11人で歌っているという点に感情的になってしまうのですが、そういう気持ちを排除して向き合ったとしても、アルバム最後を飾るに相応しい、実に「今のモーニング娘。」らしい1曲だと思います。


◎総評
  確かにこのアルバムは「4th「いきまっしょい!」」を超えられなかったと思うし、だからといって駄作というわけでもない、音楽的には非常に評価に困る作品集と言わざるを得ません。が、そこで切り捨ててしまうには惜しい内容だとも思います。前作にあったようなバラエティー豊かさは後退し、どちらかというと「想定しうる範囲内」といった印象が強く、個々の楽曲のクオリティは平凡なんだけど、そこに漲るパワーや勢いはハンパじゃないという‥‥多分、これこそが「後藤を欠いた、12人のモーニング娘。」の、そして今のつんく♂が抱える問題点なんじゃないでしょうか? 楽曲云々はつんく♂の復調を待つか、アレンジャーに頼るしかないのですが、肝心の娘。は‥‥本当は、まだまだこれからだと思うんですよ。やっと12人体制が板に付いてきて、抑制できなかった有り余るパワーも上手くコントロール出来るようになってきたところだったのに‥‥俺はね、まだ「12人モーニング娘。」は完成には至っていないと思ってるんですね。だからこそ、もう半年でいいから、彼女達の成長を、完成型を観てみたかったなぁと‥‥今更言っても仕方ないことですが。

  ここに更に4つの異物(ミキティを含む6期メン)が投入されることで、更に混沌とし、しかもそこからふたつに細胞分裂してしまうという‥‥そういう意味では、こういう大所帯ならではのパワーを感じさせるアルバムってのは、これが最後になってしまうんでしょうか‥‥完成を見ないまま終わってしまうのは、正直残念でなりません。

  あと‥‥よく俺はモーニング娘。をエンターテイメント集団として、アメリカのロックバンド・KISSと比較しますが、もしかしたら今の時期ってKISSでいうところの「UNMASKED」とか「THE ELDER」の時期なんじゃないかなぁ‥‥と勝手に思ってます。ラヴマ・バブルの時期は明らかに「ALIVE!」~「ALIVE II」の期間ですよね。で、前作まで‥‥後藤在籍時までを "I Was Made For Lovin' You" の時期‥‥アルバムなら「DYNASTY」期とすると‥‥自ずと次に彼女達が進むべき道が見えてくるはずです。

  ‥‥そうか、ミキティはエリック・カー、そして問題児・6期メンはヴィニー・ヴィンセントだったのか‥‥成る程、確かにその通りかも(えーっ!?)‥‥なんて考えたら、このアルバムも更に楽しめるんじゃないでしょうか?

  いや、そんなの関係なしに、暫くはこのアルバムをヘヴィローテーション状態で聴きまくってみたいと思います。だって、「好き」か「嫌い」か?と問われれば、間違いなく「好き!」と即答するはずですからね!



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投稿: 2003 03 26 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2003/03/19

後藤真希『うわさのSEXY GUY』(2003)

  初のソロアルバム「マッキングGOLD①」をリリース後、最初のリリースとなる(ミュージカルのサントラを除く)後藤真希のシングル(通算6作目)は、大型タイアップ付きの"うわさのSEXY GUY"をタイトルチューンに持ってきた1枚。これまでのごっちんに対する外部でのパブリックイメージに沿った曲調と呼べる、ちょっと大人っぽくて、それでいて下世話なアレンジを持った曲(アレンジは、やはり鈴木Daichi秀行)なんだけど‥‥結構、周りの評判はよろしくないようですが‥‥俺、あややの「ね~え?」よりもこっちの方が好きかも‥‥もしかしたら俺って、こういう下世話で安っぽいアレンジを持った単純な曲が好きなのかもしれない。カン梨華「色っぽい女 ~SEXY BABY~」とか、ああいった流れの楽曲がね。

  この曲もあくまであややとの比較の上で「劣っている」とか「後藤が可哀想」なんて声が挙がると思うんだけど、果たして本当にそうなのでしょうか?と俺は疑問に思ってるわけよ。そもそもベクトルの向きが違うじゃないですか、あややとごっちんとじゃ。宇多田ヒカルと浜崎あゆみ程に向きが違うし、GLAYとラルクくらいにベクトルの方向が違ってる。どっちがどう、という決めつけはあえてしませんが、違うというのはご理解いただけると思うんですね。で、そういうあややとごっちんだからこそ、同じ "SHALL WE LOVE?" (ごまっとう)を歌っても、また違った印象を受けるわけだし、歌い方や発声、声質に違いがあるからこそ、それぞれに合った楽曲というのがあるわけですよ。で、やっぱり「ね~え?」はごっちんには無理があると思うし、逆にあややにこの"うわさのSEXY GUY"を歌わせてもそれなりに歌いこなせるとは思うんですが、ごっちん程ハマらないと思うんですね(そりゃ、実際にやらせてみないと判りませんけどね)。

  更に、何だかんだ言ってもこういう曲をごっちんに歌わせてみると、意外としっくりくるというか、合ってるんですよね。聴く前から我々にも「ごっちんに対して事務所や外界はこういうイメージを持ってる」ってのが、ある程度深層心理の中に植え付けられてるわけですよ。だから口では「またこういう曲調かよ!」と憤りを言葉にしてみても、実はそこまで違和感を感じてるわけでもないんですよね。要するに、元となる楽曲さえしっかりしてれば、この子には何を歌わせてみても(ある程度)我々は納得できてしまうんですよ。それはごっちんの才能であり、そして何だかんだいいながらもつんく♂の手腕によるもなのではないか、と思うわけです。つまりね‥‥「マッキングGOLD①」で "やる気!IT'S EASY" や "晴れた日のマリーン" のような曲を少数ながらも与えつつ、その大半は我々が「?」と感じるような曲ばかり。ごっちんにすればこれらって、公開スパーリングみたいなもんなんじゃないですかね? 何だかそういう気がしてきた‥‥このシングルを聴いてて。

  そりゃね、このジャケットでも身につけてる今回の歌衣装(ゴマキデビルですか?)といい、背中に生えた羽根といい、あややの今回の歌同様、普通の人は引くわけですよ。普通に引きますよ、あんな羽根を生やされた日にゃ。そこにきて、時節柄タイムリーなのかどうなのか疑問な某スパイ映画風のリフ、中途半端なラテンアレンジ、相当無理がある字余りなサビ。やっつけ仕事的な楽曲と捉えることもできますが、これをごっちんが歌うと‥‥あら不思議、そこまで駄曲に聞こえないんですよね(って思ってるの、俺だけ?)。もしかしたら俺、今までのごっちんソロの中で一番好きかもしんない、この曲が。ある意味"手を握って歩きたい"をも超えたかも。勿論、楽曲単体の良さでいったら向こうなんだけど‥‥何ででしょうね?

  んで、カップリングは更に今までなかったような、ボサノバ・テイストのナンバー。今まで味わえなかったようなごっちんワールドを堪能できます。ホント、こんな声/歌い方をするごっちん、聴いたことなかったよね? 彼女の新たな魅力を感じさせる1曲ではないでしょうか。アルバムに入っていたら、アクセントとしてかなりいい役割を果たしたと思うんだけど‥‥今更言っても遅いけどね。いやぁ、これもいい曲。カップリングやアルバムの中の1曲という印象が強いですが、"うわさのSEXY GUY"と好対照なイメージが上手く機能してます。タイプは違うけど、共に「背伸びした感じ」がいい具合ではないかと思いますね。

  もしかしたら、後藤真希というシンガー/アーティストはこのままずっと、固定されたイメージを持たぬまま、あるいは我々が望む路線をスルリとかわしながら、どんどん先へと前進してくのかもしれませんね。で、気づいたら思ってもみなかったような高みまで達していたりして‥‥ってのは楽観的ですかね?



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投稿: 2003 03 19 12:52 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2003/03/12

BUMP OF CHICKEN『ロストマン / sailing day』(2003)

  BUMP OF CHICKEN、2003年最初のリリースとなるシングルはダブルAサイド・シングルで、ジャケットも2種類。基本的には"ロストマン"の方が1曲目になる盤が一般普及盤(右ジャケットがそれ)で、限定盤として"sailing day"が1曲目がくるジャケ違い(アニメ「ワンピース」映画版主題歌ということで、黒地にルフィの海賊船マークをあしらったジャケット)も用意されています。多分、そっちはすぐ売り切れるでしょうけど、今回俺は一般盤の方を買いました。正直、どっちでもいいんですけどね。

  さて、バンプはアルバム「jupiter」を2002年2月にリリースした後、12月の "スノースマイル" まで一切新曲をリリースしてきませんでした。もっともこのバンド、リリースに関してはかなりのスローペースなので、まぁこれもいつものことか‥‥と納得できるんですが、今回はたった3ヶ月しか間が空いてないんですよね。まずそれに最初驚き、しかもその新曲がアニメ「ワンピース」主題歌となるという事実に二度驚き、とにかく驚き尽くめ。けど、何よりも驚いたのは、その新曲の完成度ではないでしょうか?

  まず"ロストマン"。メジャーデビュー後、「jupiter」までの路線の延長線上にあるといえるだろう作風なのですが、とにかくこの力強い「肯定」。これが全てですね。ある意味 "天体観測" も、そして "Stage of the ground" をも超えてしまった、本当の名曲なのではないでしょうか? そうえいば某音楽雑誌の方でもこの曲を名曲呼ばわりしてましたが、いろんな難しい理屈詰めで解説してたけど、これはもうとにかく聴いてもらうのが一番かと。歌詞をじっくり読んで、そのサウンドをしっかり受け止めて‥‥後は聴いた人の感じ方次第。勿論それでも「やっぱバンプ、クズだね?」って人もいるだろうし、「今までバンプ苦手だったけど、これはイイ!」って人もいるでしょう。とにかく変な偏見なしに耳を傾けてみてください。正直、俺もこんなにスゲェ曲だとは思ってもみなかったよ。

  そして"sailing day"の方も、完全無欠のバンプ節。第二の "天体観測" なんて安易に呼びたくはないけど、とにかく路線としてはああいうアップテンポの疾走ナンバー。サウンドもカッコイイと思うし、歌詞も好きだな。「ワンピース」に絡めて「船」や「航海」という言葉がキーワードとして登場しますが、今回の2曲に通していえるのは、大きな意味での「旅」がテーマになっている、と。それは長い人生の道のりを歌ったものであったりするわけですが、とにかくこのバンド、どんどん歌詞のテーマが壮大になってるのね。ま、これは今回に限ったことなのかもしれませんが、俺はこういう歌詞が嫌いじゃないんで、ちょっとこの路線を突き進めて欲しいな、と思ってたりして。 "天体観測" のような歌詞もいいんだけど、最近の彼等のサウンド自体がそういう壮大さを前面に出してきてるように思えるので、歌詞もそれに見合った素晴らしいものを提供して欲しいな、というのが素直な気持ち。期待してますよ。

  いやぁ、よく冗談で「バンプいいよね~」とか友人同士で言ったりしてるのですが、これはマジでイイ。バカに出来ませんよ。つうかこれが売れてるっての、よく判るよ。現時点では発売日のデイリーチャートでスマップや松浦亜弥を抑えての1位ですが、もしかしたら「ワンピース」効果も手伝って、 "天体観測" に匹敵する大ヒット曲に、そしてバンドにとっての第二章の代表曲になるんじゃないでしょうか?

  そうそう。今回も例のボーナストラック( "おもち" )、収録されてます。CDのトレイをパカッと開けると‥‥(笑)



▼BUMP OF CHICKEN『ロストマン / sailing day』
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投稿: 2003 03 12 03:04 午前 [2003年の作品, BUMP OF CHICKEN] | 固定リンク

松浦亜弥『ね~え?』(2003)

  あやや2003年1発目のシングルは、年頭からテレビCMとして大量露出してた(らしい。俺は殆ど見かけなかったけど)楽曲。昨年の「♡桃色片想い♡」同様、某化粧品メーカーの新製品シャンプーのCMタイアップ。今回はそういった露出面のみではなく、楽曲そのものに対して新たなテコ入れが行われています。それは‥‥もう皆さんご存じの通り、タイトルチューン"ね~え?"のアレンジャーが元PIZZICATO FIVEの小西康陽という点でしょう。

  今回の楽曲に関しては昨年末から噂だけが先行していたんですが、いざ情報が解禁になると今度は「‥‥ホントに小西氏がやるの!?」という疑問の声が聞こえてくる始末。けどね、小西氏といえばこれまでも結構な数のアイドルソングを手掛けてきてるんですよね。代表的なところでは慎吾ママとか深田恭子辺りでしょうか‥‥って俺、それくらいしか知らないわ。反省(小西康陽ワークスについてはピロスエさんのサイトの「小西康陽ディスコグラフィ」を参考にしてもらうと手っ取り早いと思います)。

  さてさて、その楽曲なのですが‥‥確かに一聴してすぐに小西氏の手掛けた作品だと認識できる作風ですよね。ピチカートに疎い人でも小西氏がどんなサウンドを手掛けるかという大体の想像はつくと思うのですが、それをそのまま表現したかのようなサウンドプロダクションですし、つんく♂の書くメロディ自体はこれまでと何ら変わらないのに、いざこのアレンジに乗ってしまうともはや「作曲まで小西氏?」という錯覚に陥ってしまいそうになるんですね。不思議です。結局、どれだけ惰性で作ったメロディでも、アレンジ次第でどうにでもなってしまうってことですかね?(いえいえ、決して今回の楽曲がやっつけ仕事で作ったメロだと思いませんけどね)

  ただ、アレンジが最高に素晴らしいお膳立てをしてもらったにも関わらず、肝心のメロディが‥‥Bメロがメロン記念日「赤いフリージア」のそれとほぼ同じという‥‥いや、それに気づく前は結構「めっちゃくちゃのキラーチューンじゃねぇか!」とか張り切ってたんですがねぇ‥‥ちょっとしらけムードですね、俺の中で。

  けど、これまでのつんく♂ワークスを考えてみれば、こんなの当たり前というか、日常茶飯事ですしね‥‥って自分に言い聞かせてどうする俺。

  サビはホント素晴らしいと思いますよ。あとAメロの気怠さとか。そして何より、松浦のパフォーマンスですね。テレビで観た感じではまだ歌いこなすにはちょっと時間がかかるかな、といった印象を得ましたが(一部の番組では既に完璧なパフォーマンスを披露してましたが、やっぱりムラあり)、これを完全に自分のモノにしちまったら‥‥ホント怖い存在だ、この人。

  あえてこれを駄曲とは呼びませんが、やっぱりメロディに関しては75点、いや、オマケして80点として、残りの20点を上手いことアレンジで埋め合わせしてますね。俺、こういう手法もありだと思いますよ。けど、どうせならメロディもアレンジも100点な完全無欠の名曲を松浦に歌って欲しいですね。今回みたいなパターンだとファンは喜ぶけど、普通の方々にはクセが強すぎるんじゃないかなぁ、という気がするんですが(特に歌詞が)。そういう意味ではこの楽曲、既に「アイドル・ポップス」というジャンルすら超越して、「松浦亜弥」というひとつのジャンルを築いてしまったかのような錯覚すらしてしまいます。何だかんだいって、やはり恐るべしあやや。

  一方、カップリング曲"女の友情問題"にはお馴染み鈴木俊介がアレンジャーとして関わってます。カントリー&ウェスタン調の楽曲ということで、同じ鈴木俊介アレンジのタンポポ "やるときゃやらなきゃ女の子" とイメージがダブりますね。ただ、タンポポの方がもっとロック色が強かったように感じます(歌が弱い分、バックトラックでカバーといった印象)。逆に今回の場合は、松浦の声が完全に前に出ていて、バックトラックはそれを邪魔しないように、丸みのある音色で演奏されています。歌詞の方はもうタイトル通りなんですが‥‥恐らくこれ、松浦と藤本美貴とのことを題材にしてるんじゃないか?と邪推できる内容でして。ま、アイディアとして戴いたといった程度で、殆どがフィクションなんでしょうけど。これまでもつんく♂の歌詞には、歌い手のちょっとしたエピソードを挿入するという手法は何度かあったので、多分これもそうなんでしょうね。いや、そういう気がします。

  松浦のシングルではここ2作ほどタイトルトラックよりもカップリング曲の方が優れてる、なんて声をよく耳にしましたが(実際、俺もその意見にはほぼ同意。ただやはり、メジャー感という意味ではタイトルトラックの方が勝ってると思いますが)、今回は完全にタイトルトラックのひとり勝ちって感じですか。メロディの使い回し疑惑は拭えませんが、それでも一聴して「いい曲」だと思いましたし、その気持ちは今も変わってません(テンションダウンは否めませんが)。

  この曲でいよいよ念願の1位獲得か!?と騒がれていましたが(ちなみに松浦、これまで一度として1位を取ったことがありません。「ごまっとう」では1位でしたが、ソロではシングルも5作連続2位止まり、アルバムも2枚共2位なんですよねぇ)、残念ながら無理そうです(モンスターシングル、SMAP「世界にひとつだけの花」がいるもんなぁ)。下手したらトップ3入りも厳しそうですね‥‥セールス的には10万枚前後なんでしょうけど、SMAPとかバンプとか、訳の判らないI WISHとかがいるからねぇ‥‥こうなったら、息の長いヒットを期待します。



▼松浦亜弥『ね~え?』
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投稿: 2003 03 12 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク

2003/03/11

メロン記念日『1st Anniversary』(2003)

  デビューから3年1ヶ月。やっとですよ、やっとメロン記念日のファーストアルバムが発売ですよ! もうね、どれだけこの日を待ち望んだことか(ってヲタ歴1年少々ですが何か?)。この際、内容がベスト盤的だろうがロック色が弱かろうが、そんなちっぽけな事なんて問題じゃないんだよ!? えっ、判るかそこ? アルバムすらリリース出来ないグループだっているんだよ。アルバムどころか、シングルすら何年もリリース出来てないユニットだっているんだから、これって恵まれてるんだよな? なっ、そうは思わないかい??

  そりゃね、あややとかミキティとかごっちんのついでに作ったようなものなんだろうけど、完成度の高いシングル曲が8曲も入ってるんだもん、悪いはずがない。ただ、問題はアルバム用の新曲の出来と、既発曲と新曲とでどうバランスを取るか、どういう風にアルバムを構成するか、そいういった点なんだよね‥‥正直、つんく♂でさえ、メロンがアルバムを出せるまでに成長するとは(そしてここまで続くとは)思ってもみなかっただろうからねぇ‥‥

  というわけで、歴史的リリースとなったメロン記念日のファーストアルバム、全曲解説をやってみたいと思います!


M-1. メロン記念日のテーマ(OP)
  昨年12月のファーストライヴにてオープニングSEとして使われていたのがこれ。そうか、メロンキャンディじゃなくて、ちゃんと「メロン記念日」って歌ってたんだね。全然そういう風に聞こえなかったよ(爆音と客の声とにかき消されてたもんな)。リゾート地か海辺で、たまたま点けたラジオから流れ出した音楽‥‥といった設定なのか、とにかく何かが始まるというワクワク感を高めるに十分なオープニング。

M-2. 赤いフリージア
  '03年1月リリースの通算8枚目となるシングルナンバーにして、現時点での最大のヒット曲(初登場10位!)。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。この曲からスタートっての、ある意味正解。今のメロン記念日を象徴する1曲なだけに、そしてSEから間断なくスタートするんで、かなりいい感じのオープニング。

M-3. 香水
  '02年10月リリースの通算7枚目となるシングルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。2曲目に持ってきますか!? 個人的にはアルバム後半の山場的ポジションに‥‥と思っていただけに、ちょっと意外。けど、こうやってブレイク前後のキラーチューン2連発を頭に持ってこられると、やっぱり彼女達に対する印象がガラッと変わるよね。けど、「運命」辺りのファンはこの頭2連発で引くんだろうなぁ‥‥

M-4. ANNIVERSARY
  アルバム用の新曲その1。アレンジには鈴木俊介を迎えての、大らかなノリを持ったポップチューン。生ブラスが気持ちいい、如何にもな「今のメロン記念日」らしさが前面に出た1曲。ライヴで聴いたら気持ち良さそうだな、というのが第一印象。柴田がメインぽいんだけど、結構他のメンバーともパートを分け合ってる、かな? ユニット名となる「記念日」をテーマとした楽曲なだけに、大切な1曲となるのかな。Bメロに絡んでくるエレクトリック・シタールの音色がいい感じ。単純に好きです。

M-5. This is 運命
  '01年10月リリースの通算4枚目となるシングルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。ポップで可愛らしく、それでいて切ない空気をぶち破るかの如く、唐突にスタートする「ジャジャジャン、ジャジャジャン、ジャジャジャジャーン♪」のコーラス。いやーやっぱり名曲。もっとこういう曲が欲しいと思ってる人は多いんだろうけど、俺はアルバム全体の中でこれくらいの分量が、今の彼女達にとって一番いいのかなぁ、と思ってる人なので。ポジション的には4曲目っての、正解だね。

M-6. 告白記念日
  '00年6月リリースの通算2枚目となるシングルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。この曲のシングルって、ちょっとマスタリングのレベル(音量・音圧)が他の曲と比べて低かったんだよね。ところがこのアルバムではちゃんとアルバム用にリマスタリングされているようで、急に音圧が下がったりもしないし、むしろシングルで聴いた時よりもバックトラックが更に前に出てるように感じられます。あと、ベース音もちょっと強めに補正されてるかな。とにかく、アルバムとしてのここまでの流れ、意外といい感じかも。既発曲だけでも、工夫次第で結構やれるもんなんだね? それに比べて、ごっち(ry

M-7. 眠らない夜
  アルバム用の新曲その2。アレンジャーはAKIRA。メロンとAKIRAって組み合わせは勿論初めてなんだけど、そもそもメロンにR&B的な要素って合うのかなぁ?という疑問が聴く前からあったんだけど、これがねぇ、いけるんですよ。ま、過去にも彼女達は「夏の夜はデインジャー!」のカップリング"愛メラメラ 恋ユラユラ"でそれらしい事にはチャレンジしてたし、ある意味「香水」だってR&B色を含んでいるわけでして。そういった観点からすると、今回の曲ってそれら2曲よりもR&B色が薄いんですよ‥‥もっとロック寄り。AKIRAってミュージシャンの懐の深さ/広さを改めて確認できる1曲。コーラスアレンジとかはさすがですね。メロン記念日の新境地と言っても差し支えないと思いますよ。うん、いい曲。

M-8. さぁ!恋人になろう
  '02年2月リリースの通算5枚目となるシングル曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。アナログでいうところのB面がここからスタートするといった感じかな。"眠らない夜"でちょっとゆったり聴かせる感じでA面が終わって、キラーチューンであるこの曲から再スタートという、なかなかの流れ。もうこの曲に関しては何も言うことはないでしょう‥‥名曲だしね(いや、ここまでの曲、全部そうなんですが)。

M-9. 電話待っています
  '01年3月リリースの通算3枚目となるシングル曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。おお、そうか、「連打」の次に持ってきたか、この曲を。正直俺も、この曲だけは「‥‥どこに持ってくるんだろう?」と心配してたんですが、まぁギリギリですね。A面はどちらかというと正統派的なイメージのメロンで持っていき、B面は従来の支離滅裂なメロンを表現する、といったところなんでしょうか(ま、そんな意図はないんだろうけど、結果としてそうなっちゃってるというね)。

M-10. 夏の夜はデインジャー!
  '02年6月リリースの通算6枚目となるシングル曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。再び正統派路線の1曲をここに交えるという構成。もうホント、正気かこのグループ!?とマジで心配してしまいそうな流れ(というか、音楽性)。正直、ベスト盤でもこんなに乱暴な選曲組まないような。で、勿論曲は良いんで問題ないですけどね。昨年辺りからの上り調子のメロンが垣間見れる1曲。

M-11. 甘いあなたの味
  '00年2月リリースのデビュー曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。シングルレビューやライヴレポートにも書いたように、個人的には「今のメロン記念日」で歌だけでも再録音して欲しかったんですが、音源そのままですか‥‥いやぁ何ですかこのパフォーマンスの落差は?「デインジャー」の迫力と比べると別モノですよね? けど「成長過程の確認」という意味では、この並びはアリなのかな、と。続く"ENDLESS YOUTH"との対比も非常に感慨深いものがありますしね。

M-12. ENDLESS YOUTH
  アルバム用の新曲その3。アレンジは高橋諭一。オリエンタルな雰囲気のイントロを持った、過去の彼女達とこれからの彼女達を繋ぐ、感動的な1曲。決意表明とも取れるような歌詞といい、全員均等に歌ってる構成といい、これぞメロン記念日!と呼べる名曲ではないでしょうか? 歌詞の内容的に、何となくシャ乱Qの「上・京・物・語」を思い浮かべたんだけど、正にそのメロン記念日版と呼んでも差し支えないでしょうね。この曲がメロンの4人にとって、例えばモーニング娘。における「ふるさと」や「I WISH」みたいな1曲になってくれることを願います。どうやらライヴもクライマックスで歌われるらしいこの曲、アルバムのエンディングに持ってこい‥‥というか、ホントにB面の流れは混沌としてるなぁ。このカラフルさこそがメロン記念日なり!

M-13. メロン記念日のテーマ(ED)
  オープニング曲の完全バージョン。ショーのフィナーレを演出する、そして終わりが始まりへと続いていく構成が完璧。また頭っから聴きたくなるもんなぁ‥‥


◎総評
  正直言って、ここまでまとまるとは思ってもみませんでした。既発曲が8曲、新曲が3曲のみと聞いた時点で、「う~ん‥‥」というネガな気持ちも多少あったし、多くのファン同様、それら新曲には「運命」や「連打」のようなロックチューンを少なからず期待してたのも事実。けど、実際に発表された新曲は、アルバムを構成する上で、既発曲8曲に足りないものを埋めるかのような、それぞれ存在感十分ないい曲ばかり。正直、アルバム通して聴いても全然ガッカリしませんでしたよ、俺は。そうか、そうきたか‥‥とニヤニヤしたりしてね。特に"眠らない夜"と"ENDLESS YOUTH"はメロンが歌うには素晴らし過ぎるくらいにいい曲だと思うし、多分アルバムじゃなかったら挑戦できなかった路線ではないかと思うんですね。そういった点では、ホントにこのアルバムがちゃんとリリースされてよかったなぁ、と。

  "ENDLESS YOUTH"の歌詞にもあるように、多分「今のメロン記念日」にとっては既にこのアルバム自体が過去のモノなのであって、単なる記念碑なんじゃないかな、という気さえします。やっと他のハロプロ・ユニットと肩を並べた、さぁここからが本番スタートだ!くらいの心構えなんじゃないか、と。そういう意味では、早くも5月にリリースされる9枚目のシングルにて真価が問われるんではないでしょうか。

  最後に‥‥もう一回だけ言わせてください‥‥


ありがとうメロン記念日!



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投稿: 2003 03 11 07:21 午後 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク

2003/03/04

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA HEAVEN』(2003)

  唐突ですが、まずは土下座します。ホントごめんなさい、ミッシェルファンの皆さん。

  正直、ここまですげーアルバムをミッシェルがまた作れるなんて、思ってもみなかったよ。俺の中ではやはり「GEAR BLUES」がピークなんだと判断下してたし。「CASANOVA SNAKE」も良いアルバムだったけど、決して100点をあげれるような作品だとは思わなかったし、「RODEO TANDEM BEAT SPECTER」なんてちゃんと通して聴いてもないしね。そんな感じだったので、完全に自分の中で盛り下がってたし、そこにきて2001年春から2002年末までバンドとしての新曲リリースが一切なし。更にチバはROSSOなんて始める始末。嗚呼、バンドってこうやって終わっていくのね‥‥と自分の中で決着がつきそうだったのに、レコード会社移籍しました、ツアー始めました、でアルバム作りました‥‥これがそれ、と。

  シングル「太陽をつかんでしまった」レビューで、俺は「これ1曲で今度のアルバムは名盤だ!と盲目的に決めつけたくない」と書きました。それはまだ、自分の中でミッシェルに対して何か燻ったものがあったからで、どうしても完全にスッキリしてなかったんだよね。きっと、このアルバム聴く前にライヴを観ちゃえば考え方も180度変わったんだろうけど、そうもいかず、結局今日この日までアルバムの視聴とか一切してきませんでした。いきなりアルバムを通して聴いて、そこで最終的な判断を下そう、自分の中で決着をつけよう、そう思ったのです。

  仕事が終わり、会社から一番近いCD屋に飛び込んでこのアルバムを購入しました。いつも使う近所のお店ではなく、会社周辺から自宅までの距離を爆音で、このアルバムを車内で聴きたかったからなんですね。

  もうね、1曲目"ブラック・ラブ・ホール"の、最初の一音で十分だった‥‥あの音が鳴らされた瞬間、空気が変わったもん。それに続くスキャット、そしてリフ‥‥ミッシェル以外の何者でもないのに、これまでの彼等とは違う何かも感じる。いや、四の五の言わず、とにかく最後まで聴けって‥‥かっけー‥‥それで十分。つうかそれ以外の言葉が浮かんでこないし。

  シングルのレビューでも書いたように、やはり全体的にジャムセッションから組み立てていったかのような楽曲が大半を占めていて、6分を越えるような長尺なナンバーが半数近くあるのね。けど、全然長さを感じさせないし、むしろシングルとして聴いた時は長さが気になった"太陽をつかんでしまった"ですら、全然8分超という事実を感じさせない。そんな長尺なナンバーの合間に"ヴェルヴェット"や"メタリック"のような、アッパーで短いナンバーが飛び込んでくる(短い、とはいっても全部4分超なんだけど)。"ブラック・ラブ・ホール"のギターソロに突入する前のアレンジとか"ヴェルヴェット"のメタルパーカッション辺りにKING CRIMSON的アプローチすら感じる今回のミッシェル。そう、ジャムの延長というよりも、そういうプログレッシヴな要素(ジャンルとしてのプログレではなく、文字通りの意味で)を所々で感じ取ることが出来ます。"ブラッディー・パンキー・ビキニ"の後半なんて、正にそれだしね。

  前半の、ヤケクソとも違う、テンションが異常に高いのにも関わらずヒンヤリとした冷たささえ感じる演奏に続いて、後半はジャジーな"マリアと犬の夜"で少々クールダウン‥‥すると見せかけ、途中から凄まじいテンションで音の塊を我々にぶつけてくる。"ジプシー・サンディー"なんてギターのストロークがレゲエ的なのでそれっぽい曲調なのかと思うと、また違った色を発してるし。決して派手な曲ではないんだけど、ユラユラと徐々に、徐々にと盛り上がっていく感じにゾクッとしたり。若干トーンダウンした空気を切り裂くようにスタートする"マリオン"は、ミッシェルの王道のように聞こえるけど、いやいや今までにないタイプじゃないか?とも思える、不思議な雰囲気の疾走ナンバー。叫びながらも、しっかり聴かせる要素を維持してるのはさすが。つうかホントかっけーの何のって。そしてハイライトとなる"サンダー・バード・ヒルズ"は、既に2001年のツアーから演奏されていたナンバー(だそう。俺はこの頃のライヴ観てないので、アレンジがどう変わったとか、その辺は全然判りませんが)。そうか、この曲から「今のミッシェル」はスタートしたのか‥‥いや、判らないけどさ。何だか判らないんだけど、とにかくもの凄い威圧感だったり刹那だったり高熱だったり絶対零度に近い冷たさだったり‥‥そういった「得体の知れないものの塊」がこの1曲の中でうごめいてる感覚‥‥カオスなんて一言では済ませられない「何か」を感じるわけですよ。決して「アルバムを大いに盛り上げて大団円」というタイプの楽曲じゃないんだけど‥‥何だかこのアルバムのラストにピッタリな気がする。そういう1曲。そして最後の最後に、エピローグともいえるインスト曲"NIGHT IS OVER"で静かに暗闇から抜ける、という‥‥"ブラック・ラブ・ホール"という「夜」に突入して、最後に"NIGHT IS OVER"‥‥計算されてるんだろうね、これ。

  まさかね‥‥まさか自分がまた、ミッシェルの新作でこういう気持ちになるとは思ってもみなかったのね。「GEAR BLUES」で感じた気持ちとはまた別のものなんだけど、何ていうか‥‥「ああ、こいつら、またやらかしやがったよ‥‥」という驚愕。恐怖すら感じるよね。で、こんなアルバム作っておいて、当のメンバーは「まだまだ行ける」とか言ってるし‥‥完成した時点で、既に「過去の通過点」として終了してしまってるのか!? 何だよ、このバンドは!?

  ‥‥とまぁ、グダグダと書いてはみたものの、まずはこれを読んだあなたがアルバムを聴かなきゃ何も始まらないよ。こんなの読んでる暇あったら、さっさとCDショップまで走りなって! へっ、買う金がないって!? 働け!そして稼いだ金でさっさと買って、可能な限りの爆音で聴けっ!!



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『SABRINA HEAVEN』
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投稿: 2003 03 04 11:30 午後 [2003年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク

2003/02/27

後藤真希『マッキングGOLD①』(2003)

  後藤真希がモーニング娘。でデビューして早3年半。ソロデビューして約2年。モーニング娘。を卒業して約半年。そういう風に考えると、遅かったのか、それとも早すぎるくらいなのか‥‥ようやくごっちんのソロアルバムがリリースされました。

  が、その内容が‥‥全11曲中、シングル既発曲が4曲、そのシングル曲のバージョン違いが1曲(しかも既発曲と重複)、過去のユニット(シャッフルや「ごまっとう」)での曲のソロバージョンが2曲、そして残る4曲が新曲という、なんだかなぁ‥‥と思ってしまうような内容。デビュー曲 "愛のバカやろう" でさえもう2年も前の曲なのに、そこに3年も前のシャッフル曲("赤い日記帳")まで入れるなんて、どうかしてるよ!(ま、入れた理由も判らなくもないですが‥‥)

  というわけで、簡単ではありますが全曲解説をやってみたいと思います


M-1. 愛のバカやろう
  '01年3月リリースの、後藤真希としてのソロシングル第1弾。初登場1位を記録、約50万枚近くものセールスを記録しました。似非エスニック風ダンスサウンドに、ちょっと大人びた女の子的内容の歌詞という‥‥ある種、その前年に成功した "赤い日記帳"(シャッフルユニット「あか組4」のヒット曲)での路線の延長線上にある作風で、あそこでの成功をそのまま「これが後藤真希のキャラクター」と勘違いしたファンやスタッフが多かったのか、それとも一般的なパブリックイメージをそのまま曲にしてしまったのか‥‥リリース当時は正直「?」な曲でしたが、今こうやって聴いてみるといい曲なんですよね、不思議と。ただ、1曲目に持ってくるのはどうかな‥‥と個人的に思ったりして。

M-2. 手を握って歩きたい
  '02年5月リリースの通算3枚目となるシングルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。いきなり全然違う路線の楽曲が登場してビックリ。とても同じ女の子が歌ってるとは思えないよね? ま、そういう歌い分けが出来るってとこがごっちんの魅力でもあるんだけど‥‥この名曲がこのポジションってのは、正直曲の良さを100%引き出すことに失敗してるように思います。ま、細かいことは一番最後に述べますけどね‥‥

M-3. 愛ってどんな×××?
  このアルバム用の新曲その1。アレンジャーはAKIRA。如何にも彼らしい今風R&B調ポップソング。BoAとかあの辺を狙ったのか?ってのは邪推かな。ま、あんな感じの黒っぽいポップスです。後半にラップとも呼べないラップもどきが出てくるんですが、もうつんく♂が出しゃばり過ぎ。「アー、アー、イェー」だけ言ってりゃいいのに(エフェクトしてない生声なので、余計に耳に残る)。お陰で折角頑張ってごっちんがラップしてるのに、全然印象に残りやしない。ま、そういう曲です(どんなだよ!?)。ただ、悪い曲じゃないですけどね‥‥詰めが甘いっつうか‥‥ま、それはこのアルバムに収められた全ての新曲に言えることだし、それこそここ最近のハロプロ・ワークス大半に言えることなんですけどねぇ‥‥

M-4. 溢れちゃう...BE IN LOVE (A Passionate Mix)
  '01年9月リリースの通算2枚目となるソロシングル曲。当時はアメリカの某アイドルシンガーのヒット曲にそっくりなアレンジってことでかなり話題になりましたよね?(しかもPVもかなりの割合で激似だったし)そういう事情からか、ここではリミックスが施されていて(何故にこの曲だけ!?不自然じゃない??)、それを手掛けたのがSHO-1という人。過去にもごまっとう "SHALLWE LOVE?" やモーニング娘。"Do it! Now" のリミックスを手掛けてきた人。個人的にそれらのリミックスがかなり好みだったのですが、その期待通りの出来。ちょっとラテンテイストを加味しつつも、原曲よりも音数を減らしたことによってメロやコーラスを際立たせたアレンジはさすがだと思います。

M-5. デート注意報
  このアルバム用の新曲その2。アレンジャーは高橋諭一。ギターがザクザクした、かなりロック色の強いナンバー。高橋らしくないと言えなくもないけど、Bメロ~サビへの流れはやっぱり彼にしか表現できないアレンジかも。ドラムサウンドの独特な歪み具合は、一聴して彼のそれと判るんじゃないでしょうか? 肝心の曲は‥‥可もなく不可もなく、といった印象。つうかさ、なんでみんな、ごっちんにこういうマイナー調の曲(特にR&B寄り)を歌わせようとするのかね? パブリック・イメージに拘りすぎ。意外性が全然ないんだよね、このアルバムをここまで聴いた時点では。

M-6. SHALL WE LOVE? (後藤Version)
  '02年11月に「ごまっとう」がリリースした同名シングルの、後藤ソロバージョン。当然アレンジは全く変わっていて、ここではUZAという人が比較的原曲に近いイメージでリアレンジ。ま、当然この曲は後藤の為に作られたようなもんなので、こうやってソロで歌っても全然違和感ないし、むしろ安心して聴けるんですが‥‥逆に意外性や驚きもないんだよね。「ごまっとう」で聴いた時と、何ら変わらない印象。それ以上でもそれ以下でもなく。

M-7. やる気!IT'S EASY
  '02年8月リリースの通算4枚目となるソロシングル曲。結果として、モーニング娘。在籍時最後のシングル曲となったわけですが‥‥みんな、こういう曲を聴きたかったんじゃないの? ごっちんにはもっとこういう曲を歌って欲しかったはずなんだよね。"手を握って歩きたい" はちょっと対象年齢が低いかな?と感じる瞬間があったんだけど(アレンジ的な問題ね)、この曲は全然問題ないと思います。むしろ遅すぎたくらい。丁度この年、Tommy Feburary6がユーロビート歌謡でヒットを収めた後だけにね‥‥テレビやライヴでバックを務めるメロン記念日も豪華でした。

M-8. 盛り上がるしかないでしょ!
  アルバム用の新曲その3。アレンジャーは鈴木Daichi秀行。打ち込みメインのデジタルパンクとでもいいましょうか‥‥言っちゃあ悪いけど‥‥モーニング娘。の "ここにいるぜぇ!" のボツテイク‥‥いや、プッチモニの "WOW WOW WOW"(現時点ではリリース未定)を更に薄めたような印象なんですよ。勿論悪い意味で。見方によっては「DEF LEPPARDがカバーした "Action"(SWEETの名曲)的なアレンジ」とか「布袋寅泰っぽいデジロック風アレンジ」なんて表現も出来ると思うんですが、それにしてもバックトラックが安っぽすぎる。デモテープレベルなんですよね、これ‥‥なんでもっと重厚なサウンドに仕上げなかったんですかね? 例えば、これが鈴木俊介だったら、生バンドでバックトラックを録音したと思うんですよ。いや、Daichiが悪いってことじゃなくて‥‥これにOKを出したつんく♂に疑問を感じるわけですよ。嫌いじゃないだけに‥‥残念だよなぁ‥‥

M-9. 晴れた日のマリーン
  アルバム用の新曲その4。アレンジャーは同じくDaichi氏。路線としては "やる気!IT'S EASY" と同系統のユーロ歌謡。しかし、これが悪くないんですよね‥‥ただの二番煎じに終わってないという。メロが良いというのもあるんだけど、やっぱ何だかんだで、こういう曲調とごっちんの声が見事にマッチしてるんですよね。だから言ったじゃんか、もっとこういうアイドルポップ路線のごっちんが聴きたいんだって! アルバム後半、ここに来てようやく盛り上がり始めます。

M-10. 赤い日記帳 (後藤Version)
  '00年3月にリリースされた、ハロー!プロジェクト初のシャッフルユニットの内のひとつ、「あか組4」が発表したシングル "赤い日記帳" のセルフカバー。当時、加入間もないごっちんも参加していたので、ハロプロに疎い人でも憶えてる人、結構いるんじゃないでしょうか? あの曲のレビューにも書きましたが、当時のごっちんの歌唱はホントにどうしようもないものでした。が‥‥昨年9月のモーニング娘。卒業公演@横浜アリーナで歌われたこの曲は、本当に素晴らしいものでした。ごっちんの今後に一抹の不安を感じていた俺は、アリーナで聴いたこの曲、そしてごっちんの歌いっぷりに感動すらおぼえましたし。この曲をこうやってまた再録音して、アルバムにまで入れたというのは‥‥あざとい商売かもしれないけど、彼女のこの3年間の成長を知らしめるにはいい選曲ですね。ただ‥‥この手の楽曲がホント多すぎるんですよね、このアルバム‥‥そこが難点かな。

M-11. 手を握って歩きたい (Album Version)
  アルバム2曲目とは別アレンジ/別テイク。2002年9月23日の横浜アリーナ最終公演、一番最後に歌われたバージョンに比較的近いアレンジ、かな?(よく判らないって人は、その公演を収めたDVDを観ることをオススメします)あのね‥‥このバージョン、メチャクチャいいんですよ。アレンジは鈴木俊介。ねっ、この人がアレンジすると、こんなに手の込んだ作品になるんですよ。楽曲に対する時間のかけ方、愛情の込め方の違いなんですかね? シングルバージョンのコミカルで、それでいて愛に溢れたアレンジもいいんですが、もうこっちは完全に別格。名曲が更に名曲へと変化した瞬間を目撃してしまったかのような、そんなアレンジ。最後の2曲って結局、ごっちん卒業ライヴを彷彿させる構成なんですよね‥‥何でこういうことするかなぁ? ま、聴く人によっては涙ボロボロもんなんでしょうけどね‥‥まぁ、こういう配置しかないか。ま、名曲・名アレンジには違いないんで、万人に聴いて欲しい1曲ですね。


◎総評
  あのね‥‥俺、考えたんですよ、このアルバムの最大の欠点を。ただでさえ既発曲多くて、しかも音楽的にもてんでバラバラなのに、もうね、曲順が悪いんですよ。だから聴く側もどんどんネガに考えて(受け取って)しまう。なもんで折角のラスト2曲の並びで感動出来ない。小粒ながら折角いい曲があるんだから、それを何故最大限に活かそうとしないのか。

  というわけで、俺が考えた「マッキングGOLD①」の曲順を発表します。


◎後藤真希「マッキングGOLD①」とみぃ・セレクション
01. 手を握って歩きたい (Single Version)
02. やる気!IT'S EASY
03. 盛り上がるしかないでしょ!
04. デート注意報
05. 愛のバカやろう
06. 晴れた日のマリーン
07. 溢れちゃう...BE IN LOVE (A Passionate Mix)
08. 愛ってどんな×××?
09. SHALL WE LOVE? (後藤Version)
10. 赤い日記帳 (後藤Version)
11. 手を握って歩きたい (Album Version)


‥‥とまぁ、こんな感じ。かなり無理がある曲順かと思いますが、現行のオリジナルのよりはいいんじゃないの? ま、後半の流れは個人的に不満あるんですが、前半はこんな感じでいいと思うんですよ、掴み的に。あるいは "盛り上がるしかないでしょ!" と "愛のバカやろう" を入れ替えてもいいかなぁ、とか。前半をポップ/ロック色で盛り上げて、後半をR&B的なダンサブルナンバーでのせて、最後の2曲で歌を聴かせる(=成長を誇示する)‥‥やりようによっては、もっと評価出来るアルバムになったはずなんですよね。

  どうもスタッフは、まだごっちんの進むべき道、進ませる方向に迷いがあるようですね。変なカバーさせたりとかさ(ま、あれはミュージカル絡みだから仕方ないか)‥‥これだったらこの時期にアルバムを無理して出さないで、3月に出る新曲のリリースを待って、4~5月を目処にリリースすればよかったんじゃないのかな? もう1曲ポップなナンバーがあるだけで、全然印象が変わると思うんですけど‥‥

  結局、松浦亜弥と藤本美貴のソロアルバムに合わせて、無理矢理作りましたっていう悪い印象が残るんだよね、全体のイメージとしては。個々の楽曲は小粒ながら決して悪くないだけに、尚更残念だよなぁ‥‥ミキティの場合と違って「如何にシングル曲が優れていても、曲順次第でこうもイメージが変わる」ってことを示してしまった悪い例として、今後つんく♂及びスタッフはこれを肝に銘じて、続くセカンドアルバムは「後藤真希」のブランドに恥じない名作を、時間を掛けて丁寧に制作して欲しいものです。



▼後藤真希『マッキングGOLD①』
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投稿: 2003 02 27 12:42 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2003/02/26

藤本美貴『MIKI①』(2003)

  デビューから11ヶ月。18歳の誕生日である2/26にリリースされる、藤本美貴のファーストアルバム「MIKI①」。全11曲中、シングルでの既発曲が6曲、「ごまっとう」での既発曲別アレンジ1曲。というわけで、完全なる新曲は4曲と、非常に淋しい感じ。先日リリースされた後藤真希のファーストソロ「マッキングGOLD①」も同様だった為、正直なところ「ああ、デビューだってぇのに、何か虐げられてるよなぁ‥‥」と凹んだもんでした。

  が、そういった印象を覆したのが、先日行われたファーストライヴで聴いたそれら4曲の新曲群の出来の素晴らしさでした。ライヴでの爆音で、アレンジや歌詞の細部までは聞き取り不可能でしたが、それでも全体像は把握できたし、それだけで十分でした。既発曲が大半ながらも、新曲があれだけ充実してるんだ、これはもしかしたらいいアルバムになるかも‥‥今度は逆に期待がドンドン膨らんでいったんでした。

  というわけで、ミキティのファーストソロアルバム、全曲解説をやってみたいと思います!(破格の待遇だな我ながら)


M-1. ブギートレイン'03
  '03年1月リリースの通算5枚目、現時点での最新シングル。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。ライヴ同様、アルバムも1曲目ってことで、ここで勢いづきます。確かにトップにはもってこいのナンバー。「今の藤本美貴」を余すことなく表現した、奇跡的な1曲と確信しております。

M-2. ロマンティック 浮かれモード
  '02年9月リリースの通算3枚目となるシングルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。現時点で最も売れたシングル曲で、昨年末の紅白歌合戦でもこの曲が歌われたので、ミキティに疎い人でもこの曲は知ってるって人、いるんじゃないでしょうか。キラーチューンを2曲目に持ってくるとは。一体この先、どんな構成になってるんでしょうか?

M-3. 駅前の大ハプニング
  このアルバム用の新曲その1。アレンジャーは渡部チェル。如何にも彼らしいドリーミーなサウンドのシャッフルナンバー。ドラムとベースの歪み具合、そしてメインとなるブルースハープ(アンプを通して歪ませたオートハープ)といった楽器がローファイ的なんだけど、それ以外の上モノ(ストリングス系シンセ等)が非常にクリアで甘い雰囲気を作り出していて、その対照的なサウンドを繋ぐ役割をしてるのが、中音域メインで歌うミキティの声。ライヴで聴いた時よりも音が濁ってるように感じるのに、あの時以上にポップに聞こえるのは、このミキティの歌声によるものなのかもしれません。確かに松浦とか2期タンポポが歌ったらもっとハマるのかもしれないけど、これはこれでピッタリだと思いますよ。こういう曲も歌いこなせるんですね、ミキティは。もっと幅の狭いシンガーなのかと思ってました。

M-4. そっと口づけて ギュッと抱きしめて
  '02年5月リリースの通算2枚目となるシングル曲。初のトップ10入りを記録。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。ここまでの流れ、完璧過ぎ。いろんな歌い方、いろんな音域、そしていろんな表情を見せるミキティ。彼女ってホントにこんなに多彩な面を持っていたっけ? もっと平面的なシンガーだと思ってたのに。特にこの曲がリリースされた頃は‥‥成長ってホント恐ろしい。

M-5. 涙GIRL
  このアルバム用の新曲その2。アレンジャーは鈴木俊介。ライヴレポにも書いたように、ハロプロ初のメタルナンバー。ジャーマンメタル系、特にGAMMA RAYとかマイケル・キスク在籍時のHELLOWEENを彷彿させる曲調・テンポ・演奏ですね。バスドラのブラストビート、ベースの歪み具合&ランニングフレーズ、ギターの歪み方等、これまでのハロプロ関係の楽曲からは見出せなかった要素満載です。ちょっとしたフレーズにIRON MAIDENとか、更には毛色は違うけどWiLDHEARTS系の爆走パンクロックの匂いも感じさせます。イントロなんてhideの "TELL ME" をちょっと思い出すしね‥‥まさか、つんく♂、俺が以前書いたあややシングルレビューでの「ハロプロがまだ手を出してないジャンル」を参考にしたんじゃ‥‥アワワワワ。
  それにしても、この曲でのミキティの歌いっぷりに感服。特に語尾のだらしなさが最高ですね。松浦や後藤が同じことやっても、つんく♂のコピーか、はたまた品が良すぎちゃうんですよね。この微妙さが彼女の売りのひとつだと信じて止まない俺です。

M-6. 会えない長い日曜日
  '02年3月リリースの、藤本美貴デビューシングルのタイトルナンバー。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。歌いっぷりが初々しいですね。独特な硬さが苦手だったんですよね、当時の俺は。表情も今よりも更に硬かったし(それにちょっとボヤけた印象が強かったんですよね)。楽曲は今聴くと、特に悪いとも思わない。この流れで聴くと全然違和感ないし、取り立てて騒ぐ程の駄曲だなんて思えないんですが‥‥ま、言いたい人には言わせておきましょう。死んだ子供の歳を数えるのを続けるよりも、俺は今を、そしてその先を見据えて進んでいきますよ、ミキティと共に。

M-7. 銀色の永遠
  アルバム用の新曲その3。アレンジャーはAKIRA。彼得意のR&Bテイストのポップナンバーといった印象。「ブギートレイン'03」C/W曲 "大切"に通ずるタイプのナンバー、かな。あと、同じAKIRAが手掛けたモーニング娘。の "初めてのロックコンサート" にも似たアレンジですね。ただ、あそこまで派手な印象はなくて、もっと軽くて親しみやすい音。それはサビでマイナーキーからメジャーキーに転調するからかも。オープニングのオーケストレーションが一瞬MADONNAの "Papa Don't Preach" を思い出させます(ってそう感じたの、俺だけ?)これも既に名曲の域に達してると思うんですが、如何でしょう?

M-8. ボーイフレンド
  '02年11月リリースの通算4枚目となるシングル曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。前半5曲の、てんでバラバラだけど「ポップ」をテーマにしたかのような構成に対して、"会えない長い日曜日"からの流れは「ダンサブル/R&B的」なイメージを受けます。この流れで聴くと、シングルとしてはちょっと弱かったかも‥‥と感じていたこの曲も非常に栄えてきます。メロの際立ちは他のシングル曲やアルバム曲同様、独特で素晴らしいものがあると思うんですけどね。

M-9. 満月
  アルバム用の新曲その4。アレンジャーは前曲から引き続き、鈴木Daichi秀行。彼だからというわけではないけど、EE JUMP辺りが歌ったらハマりそうな、適度にファンキーで適度にポップな、非常に印象に残るナンバー。このアルバム後半最大のハイライトといってもいいかもしれませんね。Aメロの運び方が黒人ファンクに影響を受けたニューロマンティック時代のDURAN DURANっぽいというか、そんなカッコ良さを持ってます。これ、ライヴで聴いた時は生バンドでの演奏だと思ってたら、実際には全部打ち込みだったんですね。ま、そんなの関係なしによく出来た楽曲。この曲での歌い方も、またそれまでとは違って、時に黒人ぽく喉を太くさせて歌ったり、時に可愛らしく歌ったり、そしてつんく♂ばりに「アー、アー、イェー」と合いの手入れたり。後半の「ダンサブル/R&B的」構成は、ここでひとつのピークを迎えるわけですね。この時点で、「もしかしてこのアルバム、名作の予感が‥‥」と誰もが思うことでしょう。

M-10. SHALL WE LOVE?(藤本Version)
  '02年11月に「ごまっとう」がリリースした同名シングルの、藤本ソロバージョン。当然アレンジは全く変わっていて、ここでは朝井泰生という人がバラード風R&Bとしてこの曲を蘇らせています。つうかこのアレンジ、お見事! ここまで、バラード曲が一切なかったので、丁度この辺りで聴きたいと思ってたところだったんですが、残り2曲は既発曲だし、ああ、バラードは今回望めないのか‥‥と思ってた矢先、この新たに生まれ変わった"SHALL WE LOVE?"が登場するわけです。松浦、後藤とそれぞれのアルバムの中でリアレンジされた"SHALL WE LOVE?"を披露してますが、もうミキティの一人勝ちといった印象。歌い方も当然、原曲のそれよりもちょっと力が緩んだかのような印象で、後半のフェイクは保田圭(モーニング娘。)のそれに匹敵するんじゃ!?と思わせる程。ミキティがモーニング娘。に編入後、保田のポジションを受け持つんじゃ‥‥という読みは、あながち間違ってないかもしれませんよ。

M-11. Let's Do 大発見!
'02年3月リリースの、藤本美貴デビューシングルのカップリング曲。詳しいレビューはこちらのシングルレビューを参照のこと。事実上のデビュー曲でアルバムを閉めるわけですか。後半のテーマとなった「ダンサブル/R&B的」構成は前曲"SHALL WE LOVE?"でしっとりと聴かせ、最後に原点であるこの曲で終わる形で完結。アルバムの構成としても完璧じゃないでしょうか? そして、こうやって聴くことで彼女の成長も一聴瞭然だし、このままリピートしてまた1曲目を聴くことで、それを具体的に体感したり。いろんな意味で興味深い1曲。そして「センキュー!」とミキティに言われて、「どういたしまして」と思わず返してしまいたくなる自分が、ちょっと好き。


◎総評
  途中で薄々気づいていたのですが‥‥これって名盤じゃないですか? 松浦が新曲7曲も入れながらファーストを越えられなかった点、後藤が満を持してのアルバムリリースだったにも関わらずコケた点を差し引いてこのアルバムと比べてみても、ダントツに「MIKI (1)」の方が優れてると思うんですよ。同じく既発曲が大半を占めた後藤の場合、古い楽曲のソロバージョン("赤い日記帳")や、同じ曲が別バージョンで2曲入ってる("手を握って歩きたい")といったマイナスポイントが目立つし、更にアルバムとしてのテーマもぼやけていて、統一感に欠けたんですよね(いい曲が多いだけに残念)。更に松浦も新曲7曲のクオリティーのバラつきが気になったし。新境地と呼べるようなナンバーもあるにはあったけど、誰もそういった路線を彼女に望んでいないというちぐはぐさ。悪くないアルバムなんですけどねぇ‥‥

  その点、ミキティのこのアルバムはどうでしょう。既発曲(シングル曲6曲)は当然クオリティが高いわけですが、それ以外の曲‥‥新曲4曲のバラエティー豊かさもハンパじゃないし、何よりもクオリティーの高さは折り紙付き。それぞれの楽曲を今のハロプロ界を代表するアレンジャー達によって手掛けられている点もさることながら、それらをミキティ自身が独特な色付けをしてる点も見逃せません。それはプロデューサーであるつんく♂によるところが大きいのは判っていますが、たった1年で彼の要求に十分応えられるだけの能力を身に付けたという事実には変わりないわけですからね。更に同じ曲を別のアレンジで、「ごまっとう」の3人に歌わせるというチャレンジも、ミキティは見事に戦いきったわけですよ。これはアレンジで得してますよね。松浦、後藤が原曲に比較的近いアレンジだったのに対し、ミキティのは違った印象を与える別モノ・アレンジとなっていたわけですからね。そういう意味では、藤本美貴のファーストアルバムっていうのは、我々が思っている以上に優遇されているんじゃないでしょうか?(その反面、後藤に対するケアが悪いように感じます。特にこれを聴いてしまうと尚更‥‥)

  誰もが期待してなかった作品が、実はかなり良かった、いや、もしかしたらこれは名盤なのかもと思えるようになってきた。そういうことってたまにあると思うんですが、これが正にそのアルバムですよね。松浦や後藤に期待するあまり、誰も藤本にまでそういった大きな期待を寄せていなかったのに、最後に勝ったのは松浦でも後藤でもなく、「ごまっとう」のナンバー3であるミキティだった、と。やはり2003年のモーニング娘。を、そしてハロプロを引っかき回すのは、間違いなくこのミキティですよ!

Name  けどね‥‥手放しで「名盤!」と叫べないんですよ‥‥ジャケットのミスプリントがねぇ‥‥(「last name : Miki」「first name : Fujimoto」って‥‥逆だろ普通!?)こんな凡ミスさえなければなぁ。ま、そこも含めてハロプロらしいってことで(いや納得出来るかぁ?)。セカンドプレスからちゃんと直ってるんですかねぇ‥‥未だオフィシャルから訂正が入ってないところをみると、今後はモーニング娘。加入を機に「姓を美貴、名を藤本」と改名するのかもしれませんね!(んなわきゃないって)



▼藤本美貴『MIKI①』
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投稿: 2003 02 26 12:09 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 藤本美貴] | 固定リンク

2003/02/22

BON-BON BLANCO『涙のハリケーン』(2003)

  BON-BON BLANCO通算4枚目、2003年初のシングルはアニメのタイアップ付き。これまで以上にラテン色を前面に打ち出して、尚かつ過去最高のBPMとテンションを持つ攻めの1曲 "涙のハリケーン" と、脳天気なパーティーチューン "White♡" という毛色の全く違う2曲を収録。これまでのようにリミックステイクが入ってないのは、ちょっと残念(結構これを期待してたんだけどね、俺)。

  "涙のハリケーン" を最初に聴いてまず思ったのは、そのテンションの高さとメロディのいい意味での下世話さ。これまでの楽曲って、どこかオシャレで品の良さがあった気がするんだけど、この曲にはあまり知性みたいなものは感じられないし(いや、今までもそんなに感じなかったけど)、なんつーか本能のみで動いてるような感じを受けたのね。ちょっと例えが違うかもしれないけど、モーニング娘。でいうところの "サマーナイトタウン" と "LOVEマシーン" くらいの違いがあるっつうか、そんな感じ。楽曲の完成度からすると(この辺はまぁ個人の趣味も加味されますが)以前のシングル曲の方が高かった気がするんだけど、そういう問題じゃないんだよね。もう、全てにおいて勢いを感じるわけですよ。

  今までのシングル、どの辺の層を狙って制作された楽曲なのかがちょっと謎な部分がありましたが(以上に完成度の高い楽曲とか、クラブ受けを狙ったかのようなリミックスとか)、今回は完全に絞ってきたように思います。そしてそれは、本日放送された「ミュージックステーション」出演時のパフォーマンスを観て、更に強く感じました。いえ、決してモー娘。の後を追うとか、そういうことじゃないですよ。

  女性の中でアイドルらしいアイドルで成功してる人達って、今あまりいないじゃないですか。それこそ、そこそこ成功してるとなるとみんなハロプロだったりするし。アーティストなのかアイドルなのかバンドルなのか、とても微妙な存在が多すぎるんですよ。女優とかまでやっちゃって、妙な幅利かせたりして。で、その割りに歌はあんまり成功してなかったり、とかね。

  で、ボンブラを見ると‥‥もう、直球勝負に出たな、と。いや、これまでもそうだったんだろうし、俺がそれに気づいてなかっただけなんだろうけど、今回は特にその力の入れ具合の違いを感じるわけ。「Mステ」出演とかもその一環だと思うし、タッキー&翼やモー娘。と肩を並べて歌うってことにも、いろんな意味合いが見えてくると思うんですよ。

  とにかく‥‥これは売れますよ。ま、大ヒットとまではいかないまでも、かなりいいとこまで行くと思う。で、後はアルバム出してブレイク間近までいって、次のシングルで本格的にブレイクするという‥‥そんなシナリオが既に出来てるんじゃないでしょうか?

  クールな一面はタイトルナンバーに任せて、アイドルらしい可愛らしい路線はカップリングの "White♡" に任せるという、ね。有名曲 "La Bamba" とか、ああいうノリのラテンナンバー。ハロプロ系がこの手ををやるとちょっと嘘っぽさを感じてしまうんだけど(いや、ココナッツ娘。とかなら違和感ないんだろうけど。ま、偏見でしょうね俺の)、やっぱりボンブラのあの佇まいを見てしまうと‥‥ラテンパーカッションがあれだけ並んでて、それを派手に踊り、ジャンプしながら叩くというね。そういうイメージが強いんで、もう曲聴いただけで絵が浮かぶんですよね。

  奇しくもモー娘。は最新シングルの中でレゲエ/ダブに接近し(「ひょっこりひょうたん島」c/w曲の "宝石箱" )、ボンブラはもっと違った方向に行く。勝手な妄想だけど、俺的にはこれだけで十分に面白い。どっちが上とか下とかの問題じゃなくて、同じ「アイドル」と呼ばれるグループが、こうやって音楽的に遊んでるという点。勿論それを作ってるのは彼女達じゃなくて、製作陣の方なんだけど、こういう風に作り手が深みのある「遊び」をドンドン試してくれることを楽しみにしてます。

  つうわけで、今夜も我が家ではボンブラがヘヴィローテーション中です♪



▼BON-BON BLANCO『涙のハリケーン』
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投稿: 2003 02 22 12:27 午前 [2003年の作品, BON-BON BLANCO] | 固定リンク

2003/02/21

ANTHRAX『WE'VE COME FOR YOU ALL』(2003)

80年代前半に登場したスラッシュメタルと呼ばれたジャンルの中で、そのシーンを支えた「四天王」と呼ばれたバンドがいたわけですよ。METALLICAであり、SLAYERであり、昨年春に解散してしまったMEGADETHであり、そして今回紹介するANTHRAXの4バンド。METALLICAはベースのジェイソン・ニューステッドが脱退した後、結局ベーシストが決定する前にスタジオ入りし、未だ新作完成の朗報は飛び込んで来ないし、SLAYERはドラマーのチェンジがあったりしたものの、昨年末に2年連続で来日し、改めてその凄さを我々に知らしめました。しかし、MEGADETHは先に書いた通りだし、ANTHRAXなんて‥‥もっと悲惨ですからね。

ANTHRAXなんて名前を一昨年末からよくニュースで目にしたのを、皆さん憶えているでしょうか? 「9・11」以降、アメリカ全土を襲った「炭疽菌」騒動。その炭疽菌、英語では「Anthrax」というんですね。俺、この件で初めて知ったもん、意味。皆さん知ってましたか? こんなことでもない限り、誰もその意味なんて考えもしなかったんでしょうね(その昔、WOLFSBANEというバンドがいたのですが、その意味なんて「トリカブト」ですからね。バンド名考える方もいろいろ大変なわけですよええ)。

この炭疽菌騒動が尾を引き、ANTHRAXはその活動にストップがかかってしまうんですよ。しかもそれまでメンバー各自がソロ活動を行い、よしこれから再びバンドで暴れるぞって矢先にですから。一時はバンド名変えるんじゃないか!?なんて噂もありましたが、2001年11月末、ニューヨークで行われたテロで犠牲になった消防士の為のベネフィット・コンサートにて、ANTHRAXのメンバーは「WE'RE NOT CHANGING OUR NAME」と書かれた作業服を着て登場(メンバー5人それぞれの服に「WE'RE」「NOT」「CHANGING」「OUR」「NAME」と書かれていたという、ね)、改めて「バンドのANTHRAXは炭疽菌(Anthrax)とは無関係、これからもみんなをハッピーにしてくぜ」という力強い「無言のアピール」をしたのでした。

で、今回のアルバム。実は約5年振りのアルバムなんですよね。そうか、前作『VOLUME 8 : THE THREAT IS REAL!』ってそんな前になるのか。'98年と'03年じゃそりゃ時代も変わるわな。ひと回りどころかふた回りくらいしてそうだもんな、流行が。世間がまだラップメタルだ何だと騒ぐ前だしな。メタルにラップの要素を取り入れた、というか、ラップそのものをかのPUBLIC ENEMYと共にやっていた元祖的存在が、最もそういうジャンルが主流だった時に不在だったわけですよ。これは大きいですよね。

ところが彼等、この5年振り、通算9作目のオリジナルアルバムで、一切そういう要素を用いていないんですよ。つうかANTHRAXが初めてヒップホップをやったのが87年でしたっけ?(「I'm The Manという曲)ヒップホップユニットがハードロック的要素を用いたのと同じ頃(BEASTIE BOYSの「Fight For Your Right」のことね)、同じようにメタルバンドがヒップホップの要素を取り入れてたわけですよ、既に16年も前に。けど、彼等が常に「ヒップホップ要素をメイン」にしたことなんて、一度もなかったわけですよ。それは、彼等がヘヴィメタルバンドだったから。スラッシュとかハードコアとかパンクとかいろんな要素を飲み込んだヘヴィメタルバンド、ANTHRAX。彼等がそういった方向を主要素としてアルバムを作ったことがなかったから、流行に流されることがなかったから、こうやって未だに生き残っているわけですよ。つうかもう20年ですよ、登場して!

今回のアルバムも、基本的には前作の延長線上にある作風。つうか現ボーカルのジョン・ブッシュが加わって以降のアルバム(『SOUND OF WHITE NOISE』(93年)、『STOMP 442』(95年)、そして前作)って、どれも同じ方向性を持った音楽をやってるんですよ。前任ボーカルのジョーイ・ベラドナ在籍時後期から突き進めていったヘヴィな音像を持ったミディアム/スロウでメロディアスなヘヴィメタル。それをよりモダンにさせた『SOUND OF WHITE NOISE』は初の全米チャート・トップ10入りを記録し、続く『STOMP 442』は初期のザクザクしたギターサウンドと生々しいサウンドが融合させ、更に深い方向へ進んでいくんですね。で、ちょっとだけ時流に乗ったかのようなヘヴィロック色を散りばめた前作。新作もこういった方向にある1枚なんですが、個人的には前作以上に好きなアルバムかもしれません。ちょっとセカンドの頃の彼等を思い浮かべつつも、モダンなギターサウンドが2003年らしい「What Doesn't Die」でスタートし、その後はミディアムテンポのヘヴィナンバーが続く前半。特に「Any Place But Here」なんて本来METALLICAが進むべき方向だと思うんですよ、これ。それをANTHRAXが我流でやってしまうという。そういえばジョン・ブッシュって昔、METALLICAもシンガーとして向かい入れたかったという話があったんですよね‥‥そう考えると、非常に面白い曲ですねこれ。そしてこの曲を境に、後半は更にバラエティ豊かな方向に進みます。パンキッシュでグルーヴィーな「Nobody Knows Anything」、PANTERAのダイムバッグ・ダレルが如何にも彼らしいギターソロで参加する、ちょっと風変わりなアルペジオを持った「Strap It On」、超高速ブラスト・ビートがメチャメチャ気持ちいい「Black Dahlia」なんて、サビだけ聴いたらSLAYERみたいですからね! 更に「Taking The Music Back」にはゲストボーカルとしてTHE WHOのロジャー・ダルトリーが参加。とても判りやすいので、すぐ気づくと思いますが‥‥ジョンとの対比も面白いですよね。

普通にメタルをずっと聴いてる人にとっては「取るに足らないアルバム」かもしれないけど、最近のメタルから殆ど離れている俺にとっては、とても興味深い1枚でした。特出した1曲があるとか、超名盤ってわけではないんだけど、安心して聴けるアルバム。ガキの頃から知ってる馴染みのバンドが、今でもあの頃と変わらない「音」と「歌」を聴かせてくれる。それだけで十分じゃない? 今の時代、確かに革新的なサウンドも必要だし、実際そういうアーティストも魅力的で惹かれるんだけど‥‥それだけじゃないんだよね。こういうベテランが「聴き手から求められるものを、的確に表現し、尚かつそこに留まるんじゃなくて前進している」ことを続ける限り、まだロックシーンは大丈夫だと思う。だから、METALLICAも、デイヴ・ムステインも考え過ぎだってば。セールス的に失敗することとかファンが失望するだとか、そういうことを考える前に表舞台に立って音を出し続けるANTHRAXやSLAYERの方が、俺は信用できる。メジャーとかインディーズ落ちとか関係ないよ。

これは暫くの間、ヘヴィローテーションになりそうな予感。つうかここ数年のヘヴィ/ラウド系を中心に聴いてる子達にとって、こういう音ってどうなんでしょうね? METALLICAとかは聴くんだろうけど、ANTHRAXやSLAYERといった「あくまでメタル」なバンドの音がちゃんと届いてるんでしょうか? 現役メタラーでもないくせに、妙に心配してしまうわけですよ。



▼ANTHRAX『WE'VE COME FOR YOU ALL』
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投稿: 2003 02 21 12:00 午前 [2003年の作品, Anthrax] | 固定リンク

2003/02/18

モーニング娘。『モーニング娘。のひょっこりひょうたん島』(2003)

  2003年、モーニング娘。としての最初の音源リリースはCD形式ではなくて、DVDとVHSによる「シングルV」形式による「がんばっちゃえ!/ HEY!未来」だったわけですが、シングルCDとしてはこれが2003年一発目となります。当初、「ここにいるぜぇ!」が12人編成最初で最後のシングルと言われていましたが、何故か急にこの「企画モノ」シングルが出ることになったわけですが‥‥ご存じの通り、タイトル曲"ひょっこりひょうたん島"は、NHKで'60年代に放送された同名人形劇の主題歌。知らない人はいないんじゃないか?って程に有名な、既に名曲の域に達している1曲。これをお馴染み小西貴雄がアレンジ、つんく♂がプロデュースして新しい「2003年バージョン」として生まれ変わったわけです。

  モーニング娘。は過去にもカバー曲を発表してきていますが、それはあくまで「企画モノ」としてでした。しかも、「モーニング娘。」名義での正式なカバーソングというのは、過去なかったんじゃないでしょうか? 「GARAGE」にしろ当時の娘。メンバー全員で歌っている曲というのはないはずだし、「童謡ポップス」にしても全員で歌う曲はないし。セルフカバーはあっても("モーニングコーヒー2002" や「ハワイアン」等)、他人の、過去にヒットした楽曲を公式に発表するのはこれが初めてなんですよね‥‥で、個人的な考えを書かせてもらうと、俺はモーニング娘。には常にオリジナルソングを歌っていて欲しいんですね。昨今、「亜麻色の髪の乙女」とか「大きな古時計」といった曲がリバイバルヒットしてますが、逆にモーニング娘。には時代を超えて歌われるような名曲を新たに生み出して欲しいと思っていたんですよ。だから、安易にカバーに逃げて欲しくなかったなぁ、と。ま、これを単なる「NHKに癒着した企画モノ」と見なせば、それはそれで納得できなくもないですが‥‥

  ご存じの通り、俺は今回のシングルに対して否定的でした。実際、日記では今回のシングルはレビューしない、と書きました。ただ、「カップリング曲の出来次第では取り上げるかも」とも書きました。というわけで、今回はカップリング曲を中心としたレビューになることをご了承ください。

  当然、今回レビューするにあたって、このシングルは購入しました。「こんなのを嬉々として聴けるか!?」と思ってたわけですが、やはりカップリング曲が気になって、CDショップで視聴したわけですね、カップリングの"宝石箱"を。

  今回のシングルがリリースされるちょっと前に、ネット上に「4月上旬にもう1枚、現体制でのシングルがリリースされる」という情報が出回りました。俺は当初、この"宝石箱"が圭ちゃんの卒業ソングになるんじゃ‥‥と想像してたわけですが、4月にもう1曲でるなら、やっぱりそっちが圭ちゃん卒業ソングだよなぁ時期的に、と思うようになって、今回のシングルはスルーするつもりでいたんですよ。

  ところがここ数日の間に「4月リリースは延期」という情報が‥‥もっとも、その4月リリースの情報自体も公式アナウンスではないので、本当かどうかも怪しいんですが‥‥というわけで、結局"宝石箱"に注目せざるを得ない状態になったわけです。

  この曲のアレンジはお馴染み鈴木俊介。この人がアレンジしてるってだけで俺的にはマルなんですが、実際に聴いたらば‥‥オオッ!?と唸ってしまったわけです。レゲエ・タッチの、如何にも最近のモーニング娘。らしい1曲なんですが‥‥ほんのちょっとしたフレーズなんですが‥‥ダブの要素を取り入れてるんですね、これ。レゲエ、ダブ‥‥丁度昨年末にジョー・ストラマーが亡くなったこともあって、何故かその名前が頭に浮かんだんですね。で、もしかしたらこれって、鈴木俊介氏(あるいはつんく♂)のジョーに対するリスペクトなんじゃないか?と勝手に解釈したわけですよ。とはいっても、アレンジはCLASHのダブと比べれば全然幼稚だし、実際言われなければ気づかないような、ほんのちょっとしたアレンジなんですよ。全体のイメージとしてはやはり「普通にレゲエ」ってことになるんでしょうけど、どうにもカーステレオで大音量再生すると、その深いリバーブをかけたパーカッションやギター、娘。達のコーラスの部分が異常に耳に飛び込んでくるんですね。

  子供向けの音楽にアシッドテイストを混入する手法は決して珍しいことじゃないですよね。欧米ではそういう楽曲が1位を取っていたりするし、ここ日本でも「ウゴウゴルーガ」みたいな番組があったりしたし。で、最近のハロプロ・ワークスの中にもそういった「似非アシッド臭」を感じさせる瞬間ってのが、時々あったんですよ。イビツで妙にリアルなCGを駆使したアニメ「リリパッド王国」だったり、ミニモニ。の存在自体だったり、そして前のシングル「ここにいるぜぇ!」のミックスだったり(俺、密かに「つんく♂はジャンキーになったんじゃ‥‥」と邪推してたんですよ)。ま、これも立派な妄想なんですが‥‥ホントのところはプロデューサー様に伺ってみないと何とも言えないですけどね。

  さてさて‥‥タイトルトラックについても少し触れておきますか‥‥相変わらずバックトラックの安っぽさは拭えませんが、そういう見方をすると、実はこっちも若干そういった方向で制作されてるんじゃ‥‥なんて思えてくるからあら不思議。国営放送でアシッド臭プンプンさせるなんて、バカだなぁつんく♂、とかね。

  とかいいながらも俺、最初にNHKで聴いて絶望的なったあの日よりは前向きにこの曲を捉えてます。いや、好きですよ、ひとつの楽曲としては。それは多分前述の通り「企画モノ」として認識しているからかもしれませんね。実際、3月に出る予定のアルバムにはこの曲、収録予定曲にクレジットされてないんですよね。単なる記載漏れかもしれませんが‥‥個人的にはシングルのみの楽曲にして欲しいです。もっと言ってしまえば、近い将来に出るであろう「ベスト!モーニング娘。2」にのみ収録って形にするとかね(「同1」のみ収録の "ハッピーサマーウェディング" や "I WISH"、"SAY YEAH!~もっとミラクルナイト" みたいにね)。

  というわけで、結局1,020円払って買ってしまったこのシングル。自分としては"宝石箱"に1,020円払ったつもりでいます。それにしてもこの曲、バックトラックはギター以外全部打ち込みなんだよね‥‥ブラスの波形とか、すっげー手の込んだプログラムしてるし。鈴木俊介の職人芸にお金を払ったわけですね俺。

  まぁそうはいいながらも、やっぱり"宝石箱"はカップリング曲特有の「キラーチューンになりきれない」空気感を持った1曲なんですよね。ひょうたん島のTVパフォーマンスは確かに素晴らしいと思いますが、肝心の音楽ではまだ今年は満足させてもらってません。「がんばっちゃえ!/ HEY!未来」にしろ、今回の2曲にしろ、何かが足りないんですよ。全てがアルバムからのリカットみたいな印象。去年出たシングル3枚があれだけバラバラで、それでいてキラーチューンとして成り立っていたんだから、決して出来ないことではないと思うんですよ。実際、今年リリースされた他のハロプロ系アーティストの楽曲(メロン「赤いフリージア」やミキティ「ブギートレイン'03」)が名曲の域に達しつつある楽曲だっただけに‥‥ねぇ(更にそれらのカップリングも強烈に個性の強い名曲揃いだったし)。

  なんだかんだ言いながらもアルバム「4th『いきまっしょい!』」って、結構充実した作品集でしたよね。シングル曲然り、アルバム用新曲然り。ま、クオリティーのバラつきは多少ありましたが、それでも十分に我々の期待に応えてくれたアルバムでしたし。そういった意味で、次のアルバムはどうなるのか‥‥メロンやミキティへ提供した楽曲クラスのクオリティを維持してくれるのか、それとも「がんばっちゃえ!/ HEY!未来」や"宝石箱"レベルでお茶を濁すのか(勿論、これらが酷いって意味じゃないですよ。ただ、もっと良くできるはず、と個人的に思ってるだけで)‥‥泣いても笑っても、答えは1ヶ月後。それまではこのシングルを聴いて過ごすことに‥‥なるのでしょうか?



▼モーニング娘。『モーニング娘。のひょっこりひょうたん島』
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投稿: 2003 02 18 01:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

モーニング娘。『がんばっちゃえ!/ HEY!未来』(2003)

  2003年、モーニング娘。としての最初の音源リリースはCD形式ではなくて、DVDとVHSによる「シングルV」形式によるものでした。それがこの「がんばっちゃえ!/ HEY!未来」の、所謂ダブルAサイド・シングルなわけですが‥‥楽曲自体は昨年末から既に露出してるので、多くの人がご存じかと思いますが‥‥モーニング娘。&後藤真希が出演した映画「仔犬ダンの物語」の主題歌として使われた楽曲です。当初、映画のみの新曲として「リリース予定はない」とつんく♂Pは言っていましたが、そんなわけないですよね。というわけで、映画の公開が終わりつつある1月末にまずシングルVを、そして2月14日には映画のサウンドトラック形態のミニアルバム(これら2曲+インスト等を収録)、更には3月26日に予定されているモーニング娘。として通算5枚目となるオリジナルアルバムにも2曲共収録予定になってます(もしかしたら、アルバム用に別バージョンになる可能性がありますけどね)。

  今回のレビューにあたっては、当然アルバムはまだ出てないし、サントラ盤も買う予定はないので、唯一入手しているシングルVの音源を参考にいろいろ書いてみたいと思います(一応、当サイトとしてはこれを「通常のシングル」と同じように捉えてレビューしていきたいと思います)。

●がんばっちゃえ!(モーニング娘。とハロー!プロジェクト・キッズ+後藤真希)

  読んで字の如くのユニット名。要するに、映画製作が発表された時点ではまだごっちんはモーニング娘。のメンバーだったわけで(が、その製作発表記者会見が同時に卒業会見にもなったんですが)、そういう意味では「13人娘。+キッズ」と捉えることも出来ます。ま、確かにごっちんのパートは娘。時代と比べれば明らかに少ないので、あくまで主役は今の12人娘。だというのは歴然としてますが。
  作詞作曲は当然つんく、アレンジには昨年のシャッフルユニットや「Do it! Now」のC/W曲 "ちょっとイカしたPURE BOY" を手掛けてきたTATTOが担当。これまではラテン・テイストのアレンジが多かったものの、ここでは "でっかい宇宙に愛がある" に通ずるような、大らかなノリのポップソングに仕上がっています。恐らくバックトラックは打ち込み中心だと思うのですが、それほど安っぽさを感じさせない、ちゃんと「映画主題歌」というのを考えて作られているように感じます。
  ただ、正直映画の内容とはあまり関係のない歌詞なんですよね‥‥普通に、これまで通りの「モーニング娘。の新曲」といった印象。ただ、シングルのタイトルトラックになるようなタイプではなくて、どちらかというとカップリングやアルバムトラックといった、ちょっと地味目の1曲。勿論、悪くはないですよ。ただ、2002年の攻撃モードを考えると、ちょっと「??」って思うかも。アルバムの1曲として考えるなら、まっ、箸休めとしてアリかな、と思いますけどね。
  "でっかい宇宙に愛がある" との大きな違いは、まぁ楽曲の完成度というのも大いにありますが、それ以上にキッズが大きいと思います。個人的には、サビで入るキッズの無邪気な(ある意味、歌とはいえない)声がちょっと苦手なんですけどね‥‥ただ、これがなかったらもっと良くなるか、と問われれば、それも疑問なんですけど。ライヴでのパフォーマンスとか観ても、折角12人+1人も「娘。&元娘。」が広いステージ上にいるのに、キッズがいるお陰で全体の動きが小さくまとまって、モーニング娘。特有のダイナミズムのようなものがあまり感じられなかったんですよね。この辺は俺の中で、次の単独ツアーで披露された際での課題としておきましょう(とかいって、春コンでもキッズが出てきたりしてね)。

●HEY!未来(モーニング娘。)
  こちらは現編成、12人でのモーニング娘。のみの楽曲。作詞作曲はつんく、アレンジは既にハロプロではお馴染みの酒井ミキオが担当。と、ここで改めて考えてみると、酒井ミキオのモーニング娘。での初仕事ですね、これ。プッチモニに始まりミニモニ。、カン梨華、あややときて、やっと本体。俺、この人のポップセンスが以前から気に入ってたので、もっと早く聴きたいと思ってたんですよ。
  で、この曲。その酒井ミキオの名前から想像できるような、軽やかでポップなシャッフルナンバーとなっています。シャッフルというと、アルバム「4th『いきまっしょい!』」収録の "いいことある記念の瞬間" といった曲を思い出しますが、あそこまでモータウン色の強いものではなく、もっとモッタリした、ちょっと重いリズムなんですよね。多分、リズムトラックは生バンドによるものだと思うんですが、ドラムのタム回しとかが、チューニングや録音方法のせいもあって、非常にダイナミックで1音1音に重みを感じるんですね。例えば‥‥モータウンとサザンロック、それくらいの違いがあるように思います。そう、昔MY LITTLE LOVERにそのままズバリ "Shuffle" という楽曲がありましたが、正にあんなタイプの1曲です(実際、曲のイメージもあれに近いかも)。

  これら2曲の楽曲は12人編成のモーニング娘。特有の、「誰がセンター/リードを務めるでもなく、全員が一丸となって歌う」傾向にあるんですが、特にこっちはPVのイメージもあってか、本当に全員が入れ替わり立ち替わり歌ってるという印象ですね。ま、結局要所要所はなっちがキメるわけですけど、例えば「ここにいるぜぇ!」と比べると、あそこまでなっちの比重が高く感じないんですよね、この曲にしろ"がんばっちゃえ!"にしろ。本当に全員でパートを分け合って、仲良く歌ってるというイメージそのままの楽曲。ある人にとってはそれを「平和なモーニング」と感じ安心し、またある人にとっては「ぬるま湯に浸かった状態」と酷評する。受け取る側によって感じ方は様々かと思いますが‥‥確かに俺もその両方を感じるんですよね。"HEY!未来"はPVの印象もあって、12人が仲良さそうにしてるシーンを観ると「平和だなぁ~」と心休まるし、逆に"がんばっちゃえ!"を聴くと「‥‥鬱」ってなるし。複雑な2曲ですよね。けど、これがある意味「今のモーニング娘。」を端的に表した楽曲なのかもしれません。この表裏一体な感じが、ごっちんのいない、2003年2月時点でのモーニング娘。なんだと‥‥

  ただ、そうはいいながらも‥‥ここには本当の意味での「キラーチューン」がないんですよね。一応両A面みたいになってますが、そのどちらもこれまでのシングル・タイトルトラックと比べると、数歩劣るクオリティーだし。同じ両A面でも「ザ☆ピ~ス!/ でっかい宇宙に愛がある」は共にキラーチューン中のキラーチューンでしたからね。しかも "でっかい宇宙に愛がある" は24時間テレビにピッタリな壮大さがありましたが、"がんばっちゃえ!"にはそこまでの壮大さも、感動させる「何か」も足りないし‥‥決して駄曲というわけではないんですが、やはり勿体ないですよね、折角初のシングルVオンリーのリリースとなった楽曲達なのに。

  けど、そうはいっても、アルバムで聴いたら印象が変わるかもしれませんしね(逆に、他の新曲がこれよりもクオリティーが低いものだったら、更に凹みますが)。そういう意味では、ちょっと次のアルバム、期待してるんですけどねぇ‥‥あまり大きな期待をし過ぎても‥‥ねぇ?



▼モーニング娘。『がんばっちゃえ!/ HEY!未来』
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投稿: 2003 02 18 12:00 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。, 後藤真希] | 固定リンク

2003/02/10

藤本美貴『ブギートレイン'03』(2003)

  「化けた。」その一言が第一印象となる、ミキティ通算5枚目、2003年一発目‥‥そしてモーニング娘。編入前最後となるであろうシングルは、とにかくいろんな意味で面白いものとなりました。

  まず、楽曲の良さ。人によっては「相変わらずつんく♂はダメ」って思うかもしれませんが、俺的にはかなりのヒット。メロン記念日「赤いフリージア」同様、発売前からかなり注目していた1曲です。こうやってCD音源にてフルコーラス聴いてみて、改めて楽曲の良さを実感。鈴木Daichi秀行らしい大味なアレンジは相変わらずですが、敢えてギターとピアノ以外を全て打ち込みで表現したことで、重いボーカルとは相反するバックトラックが生きてきたように感じられます。ギターもナチュラルなトーンを基本として、ソロパートでの歪み具合もかなり抑えられてます。そしてピアノ。タイトル通りの、ブギウギピアノプレイを堪能することが出来ます。

  そして先にも書いた、ミキティのボーカルの「重さ」。この曲一番のポイントは「シンガー・藤本美貴」の覚醒ではないでしょうか。既に既発の楽曲からも感じられていたし、何よりも「ごまっとう」での後藤真希や松浦亜弥との比較で、よりその特異性が際立ったのではないでしょうか。今回、ブギウギということで、かなり乱雑で蓮っ葉な歌唱スタイルで、尚かつ所々に飛び込んでくるファルセットや男っぽく喉をギュッと締め歌ったり等、これまで以上にいろんな技術を要する楽曲となっていますが、彼女はこれを見事にこなしています。彼女のこれまでの歌唱は、伸ばすフレーズの末音が不安定気味で、それが微妙なビブラートと相俟って、後藤とも松浦とも違った「個性」として受け入れられてきたり、また他の二人と比べてもかなり声質が太く、そしてベタっとした重さを持った、ハロプロ内でもかなり独特なものだと俺は認識しています。アイドルアイドルした楽曲("そっと口づけて ギュッと抱きしめて"や"ロマンティック 浮かれモード")でも決して媚びたような歌い方ではなく、自己主張を感じさせるような力強さすら感じられたと思います(逆にいえば、そういう危うさの希薄な点が、後藤や松浦と違って彼女をアイドルとして数歩劣った見方をさせていたのかもしれません)。

  しかし、俺はミキティにはそういった路線ではなく、もっと男性的な路線を与えることで、逆に彼女の女性らしさ‥‥艶っぽさのようなものが強く感じられるようになるんじゃないのかな?なんて思ってまして。「ごまっとう」で与えた路線も確かに面白いものではありましたが、やはり今回の楽曲を歌いこなすミキティを知ってしまうと「やっぱりこれだよ!」と思うわけです。

  歌唱スタイル、ちょっとした節回しは完全につんく♂のそれなのですが、ここまでコピーするか!?というような細かな癖(吐き捨てるような語尾の微妙さ等)も見事にトレースし、同じ「つんく♂作品」でも松浦や後藤とは全く異なる空気感を持った1曲となってます。後藤や松浦もかなりつんく♂歌唱のトレースは上手いと思いますし、ミキティのそれはまだふたりには追いついていないかもしれませんが、この微妙なさじ加減が個人的にはかなりツボなんですよね。

  とにかく、最初の歌い出し。これだけでもかなりゾクッとしますよ。ああ、ミキティもいよいよここまで来たか‥‥と思わずにはいられません。

  一方、カップリング曲の"大切"は、お馴染みAKIRA氏による今風のR&Bテイストのポップソング。とはいうものの、バックトラックがそれ的なだけで、メロディラインや全体の雰囲気はそこまで黒っぽくはなく、路線としてはメロン記念日「香水」に近いといえます。ここで聴ける抑えた歌い方は、前作"ボーイフレンド"カップリングの"幼なじみ"でのそれですね。メロディ的にも近いものを感じますし。こういう切ない感じの曲になると、彼女の力の抜き具合がどの程度上手くできるかで勝敗が決まるわけですが、今回もいい感じになっているんじゃないでしょうか。ただ、もっと緩くてもいいかなぁ‥‥と、個人的な趣味だとそう感じますけどね。ま、この辺は人それぞれの感じ方があるでしょうから、一般的に見れば結果オーライかもしれませんが。

  タイトルナンバーではアッパーで男っぽい力強さを誇張し、カップリング曲では女性的な切なさを表現。シンガーの表裏をみせる1枚のシングルとしては、上出来じゃないでしょうか? 昨年出たどのシングル曲よりもこのシングル収録の2曲が好きですね、俺。如何に今の藤本美貴が波に乗ってるか、(それが事務所の綿密な策略だとしても)如何にして彼女がモーニング娘。編入への切符を手にしたのかを感じさせるに十分な出来となってるのですからね。



▼藤本美貴『ブギートレイン'03』
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投稿: 2003 02 10 12:24 午前 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, 藤本美貴] | 固定リンク

2003/02/07

Theピーズ『Theピーズ』(2003)

  もう、このアルバムに関しては下手な言葉はいらないと思います。つうか、オススメしておいて、レビューを放棄したいと思います。

  俺の言葉以上に、ここに収められた12曲が、全てを物語ってくれてます。

  「おいおい、毎月このオススメ盤レビューを期待してるのに、手抜きかよ!?」とお怒りの人。騙されたと思って、すぐCD屋に向かいなさい。そして買いなさい。話は聴いてからです。

  だって‥‥近所のCD屋7軒回っても何処にも売ってなくて、仕方なくて今日、会社を早退して高速道路に乗って、往復の交通費がCD代金よりも高くかかるところまで買いに行って、帰り道で3回は通しで聴ける距離を、爆音で聴きながら、車ブッ飛ばしながら帰ってきたんですから。少なくとも俺にとって、それだけの価値がある1枚だということです。これでオススメ文、十分じゃないですか?

  このアルバムに多くの言葉は要らないです。ただ一言、付け加えるとしたら‥‥2003年に入って40日にも満たない現時点で、このアルバムは今年度のベストアルバムに決定です。なので、ちゃんと買って聴いて、それで皆さんそれぞれが、それぞれの心の中でレビューしてみてください。いや‥‥レビューなんて要らないか。

  今日この日、こうやって生きていられること、そしてこのアルバムに出会えたことに感謝。



▼Theピーズ『Theピーズ』
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投稿: 2003 02 07 03:57 午前 [2003年の作品, ピーズ, The] | 固定リンク

2003/01/28

メロン記念日『赤いフリージア』(2003)

  過去最大のヒット曲となった"香水"から早3ヶ月で届いた、メロン記念日にとって通算8枚目のシングルがこの"赤いフリージア"。作詞・作曲及びプロデュースは、ここ数作と同じように全てつんく♂の手によるもので、アレンジにはタイトル曲は湯浅公一、カップリング曲"遠慮はなしよ!"は前作同様、鈴木俊介が当たっています。

  ‥‥と、いきなりデータ面を先に書いておいて‥‥

  つうかさ、唐突だけどさ。普通にいい曲。もうね、これで全部済んでしまう程いい曲貰ったなぁと。"夏の夜はデインジャー!"からの流れである「普遍的な楽曲」というテーマの、ある意味完成型と呼べるんじゃないでしょうか? 

  多分、多くのメロンヲタは「何で"運命"とか"連打"みたいなのをやらせないんだよ!」とお怒りかもしれませんが‥‥ここでちょっと面白い仮説を立ててみようではないですか‥‥

  実はこの"赤いフリージア"という曲、本来は藤本美貴の為に作られた楽曲だったのではないでしょうか?

  というのも先日、恒例の正月ハロコン@横浜アリーナに行って来たのですが、そこでもこの"赤いフリージア"は既に歌われていました。と同時に、ミキティの方もこの横浜公演から2月リリースの新曲 "ブギートレイン'03" を歌い出したんですね。で、両者の楽曲を生で聴き比べて思ったんですよ‥‥嗚呼、これって多分入れ替わったな?、と。両者のシングルタイトルは共に昨年12月頭には発表されている(あるいは流出している)んですが、これ以前はこれらの楽曲‥‥"赤いフリージア"を藤本美貴の5枚目のシングルとして、そして "ブギートレイン'03" をメロン記念日の8枚目のシングルとして制作していた。が、ある出来事を切っ掛けとしてそれらを入れ替えて発表することに変更された。その「出来事」とは、もはやご存じの通り、ミキティのモーニング娘。入り。それだけではなく、個人的には"香水"という曲が思っていた以上にブレイクしなかった点、ミキティのソロコンサートが2月に決まり、ライヴ向けの弾ける曲が欲しかった、等々‥‥ま、考えてみれば思い当たる点はいろいろ見つかると思うんですよ(あくまで妄想ですが)。

  で、メロン側の視点で物事を考えると、やはり"香水"がトップ10入りしなかったのが大きかったのかなぁ、と。ここで再び「"運命"とか"連打"」の路線に逆戻りしたら、結局「キワモノアイドル」「モー娘。の下っ端」扱いで終わってしまうんじゃ‥‥と危惧したのかどうかは知りませんが、とにかくつんく♂としても事務所としても「もっと本気でメロン記念日を売り出そう」と考えたからこその差し替えだった、と。当然、そんなの全部妄想なわけですが、意外とそう思えてくるんですよね、今回のシングル収録の2曲を聴いていると。

  "赤いフリージア"は先にも書いた通り、普遍的なポップソングを目指して作られたであろう楽曲で、タイプとしては'80年代の松田聖子や岡田由希子辺りが歌っても何ら違和感のない、「古くさいアイドルソング」と一筋縄では切り捨てられない名曲。例えば世が世だったなら、「資生堂(orカネボウ)春のキャンペーンソング」としてタイアップが付いたかもしれない、そんな流れを汲む曲、と例えれば何となく理解してもらえるでしょうか? 多分20代後半以上の人が聴いたら思わずニヤリとしてしまうような、そんな春っぽくて聴いててウキウキしてくるようなポップソング。もうね、これをメロンが受け取った時点で、勝ちは手にしたようなもんですよ。これがヒットしないで何を売れっていうのよ、レコード会社!

  同時に、カップリング曲"遠慮はなしよ!"もリーダートラックに負けず劣らずの名曲。如何にもメロンらしい元気溌剌のアッパーチューン。タイプとしては完全なスカ。生ブラスを導入して、ベースには何とあのスティング宮本が参加。ドラムもてっきり生だと思ってたら、鈴木俊介氏の打ち込みだったのね‥‥そんなことを感じさせない位、完成度の高いバックトラック。最近のハロプロではスカ系の曲が幾つかあるけど(娘。「ここにいるぜぇ!」や、未だ未発売のプッチモニ新曲「WOW WOW WOW」)、あれらがスカというよりスカコアだったのにくらべ、メロンの方はテンポ的にももっとゆったり気味で、例えばスカパラ辺りが演奏してても何ら違和感のないメロやフレーズを持った楽曲なわけです。そこに柴田・斎藤・大谷・村田の4人によるワイルドではっちゃけたボーカルが乗るわけだから、もうね、完璧(多分大谷による「とりゃっ!」って掛け声がメチャクチャ男前でかっけー!!)。嗚呼、またライヴでヲタがモッシュやダイブをしたくなるようなロックチューンの誕生ですよ奥さん!

  もし今回のメロン記念日のシングル、タイトルチューンが "ブギートレイン'03" だったら‥‥間違いなくこれもメロンらしい、元気なハイパーチューンとして、ミキティが歌うそれとは全く違う楽曲になっていたでしょう。逆にミキティがこの"赤いフリージア"を歌っていたら‥‥それも間違いなくドンズバでハマってたでしょうね。だって今のハロプロで"赤いフリージア"みたいな正統派ポップソングを歌えるのって、ミキティぐらいでしょうから。あややにも歌えるだろうけど、ちょっと違うかも。

  だからね、そういう意味で考えると‥‥今のメロンのポテンシャルを考えれば、何でも出来ちゃうわけですよ。今この瞬間に "ブギートレイン'03" みたいな曲を歌うことも可能でしょう。しかし、常に毎回違ったタイプの楽曲に挑戦してきたメロン記念日は、今回も違った試練を与えられ、そしてそれを彼女達なりにクリアしているのです。試練が大きければ大きいほど、彼女達はどんどん大きく成長していく。そしてそれは今回も例外ではなく、またまたセンターポジションを務める柴田にしろ、そして前回以上にパートの増えた他の3人にしろ、既に"香水"よりも成長しているわけですよ。ある種、これまでの「普遍的な楽曲」シリーズってのは、「"運命"とか"連打"」路線のメロンにとって「大リーグボール養成ギブス」のような存在なんです。そしてそのストッパーを外し、ボブ・サップ級の野獣として暴れまくるのが、ライヴの場だという‥‥ねっ?

  ミキティにとっても "ブギートレイン'03" を与えられたことが大成功だったように、メロンに"赤いフリージア"を与えたことが必ず今後の彼女達にとって吉と出るはずです。そしてその結果はもうじき、形として表れるはずです‥‥もう「トップ10入り」は願望でも何でもありません。間違いなくこの曲は来週のオリコン・トップ10入りしてます!(多分8位くらいでしょうね)長かったね‥‥おめでとう、柴っち、斎藤さん、マサオ、村田さん‥‥


メロン記念日サイコー!



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投稿: 2003 01 28 09:15 午後 [2003年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク