BACKYARD BABIES『TOTAL 13』(1998)
例えば普段「BURRN!」を読んでたりとか、THE WiLDHEARTS系統のバンドに興味を持っている人なら間違いなく知っているバンドなんだけど、逆に「rockin'on」しか読んでないようなUKロック中心に音楽を聴いてるような人には殆ど無名な存在。それが今のBACKYARD BABIESの立ち位置なのかな?なんていう気がしますが、どうでしょうか? 間もなく日本でも4枚目のアルバムをリリースする彼らが、ここ日本でその名前を知らしめることになる第一歩、日本デビュー作(通算2作目)となったのがこの『TOTAL 13』というアルバム。
彼らはスウェーデンの4人組バンドで、既にスウェーデン国内では知らない人はいないと言われる程の知名度。初期のTHE HELLACOPTERSのメンバーでもあったドレゲン(このアルバムリリース前後まで2バンドを掛け持ち)が同じスウェーデンの人気者、THE CARDIGANSのメンバーと共にユニットをやったりしたこともあり、その辺で名前を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際にこいつらがどんなバンドなのかを知ってる人……正直、どれくらいいるんでしょうね?
上にも書いたように、THE WiLDHEARTSやTHE HELLACOPTERS辺りと同じ枠に括られることの多いバンドですが、まぁ早い話がパンキッシュだけどポップな要素も存分に備わった暴走ロックンロール・バンドといったところでしょうか。元々はGUNS N' ROSESみたいになりたかったようですが、このセカンドアルバムを聴いていると上記のバンド以外にもMOTORHEADだったりHANOI ROCKSだったりイギー・ポップだったり……そういったバッドボーイズ・ロックンロールの系譜にあるサウンドが爆音で詰め込まれています。疾走感があって、それでいてヘヴィで、だけどメロディアスでポップ。LAのバンドともUKのバンドとも、勿論日本のバンドとも違う。これが「北欧らしさ」なのかどうかは判りませんが、とにかく独特な色を持ったバンドなのは確かで、そのセンスは意外と我々日本人に共通するものがあったりで、何故彼らがここ日本でいち早く受け入れられたかが何となく理解できます。勿論、彼らの成功の陰にはジンジャー(THE WiLDHEARTS)の口コミ等があったのも事実ですが。
THE HELLACOPTERS程ガレージ色が強くなく、THE WiLDHEARTSよりもストレート。そういった意味では、これらのバンドの中で最も成功に近い位置にいるバンドなのも確か。実際、このアルバムの後にメジャーレーベルに移籍、『MAKING ENEMIES IS GOOD』という非常にアメリカナイズされたアルバムも製作された程ですしね(ま、結局現時点においても大成功は収めていないわけですが)。
とにかく。上記に挙げたようなバンドを普段聴いてる人は間違いなくBACKYARD BABIESも聴いてるはずでしょうから、今回はこれまで縁のなかった人に対してオススメしたいと思います。
US産のメロコアに飽き飽きしている人、湿っぽくて暗いUKロックに我慢ならない人、THE HIVESに続く北欧の新星を探している人、「自分世代のGUNS N' ROSESやNIRVANA」を求める10代の子達。そういった人達を満足させる可能性を十分に秘めた存在。それがこのBACKYARD BABIESだと俺は思っています。限られたコミュニティーの中だけでしか話題にされず、これまで日の目を見なかっただけで、今このアルバムを手にしたらきっと……ハマると思うんですよ。ミドルテンポの楽曲中心だった『MAKING ENEMIES IS GOOD』よりも、パンキッシュで疾走感あるこのセカンドの方が伝わりやすいと思うし、実際にここ日本でもこのアルバムを聴いてファンになったっていうミュージシャンも多いようですよ。SADSの清春もこのバンドが好きだと公言してるし(サードでは推薦文も書いてたしね)、元THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケも好きみたいで、自身のDJプレイでもこのアルバムからかけたりしてますしね(ってミッシェルは99年に富士急で行われた「OUT OF HELL」で共演してるんだっけ!?)
海外でもそれは同様で、上に挙げたジンジャーやTHE HELLACOPTERSの面々、このアルバムの日本盤やUS盤にもボーナストラックとして収録された「Rocker」という曲でデュエットも果たしたHANOI ROCKSのマイケル・モンローも気に入っているそうだし、生前ジョーイ・ラモーンも何かで彼らに対してコメントしてましたよね。アンダーグラウンドで有名、HM/HR界で有名‥‥そんな狭いカテゴリーの中に収めておくには勿体ない存在。それがBACKYARD BABIESなのですよ。
幸運にもこの1月末~2月頭にかけて幕張と大阪で行われる「SONIC MANIA」への出演も決まり、後は来場した未知の音楽ファンに対していつも通りカッコいいステージをやってくれさえすればいいんです……要は切っ掛けさえさればいいんだから。もしソニマニに行こうと思ってる人で、これを読んで彼らに興味を持ったら、まずはこの『TOTAL 13』を手に取ってみてください。そこで気に入ったら間もなくリリースされる4作目『STOCKHOLM SYNDROME』を聴けばいいんですから‥‥。
とにかく聴けや!
« YOSHII LOVINSON『SWEET CANDY RAIN』(2004) | トップページ | THE PLAYMATES『LISTEN!』(2003) »
「Backyard Babies」カテゴリの記事
- SAMI YAFFA『SATAN'S HELPERS, WARLAZER EYES & THE MONEY PIG CIRCUS』(2024)(2024.03.15)
- THUNDERMOTHER『HEAT WAVE』(2020)/『HEAT WAVE (DELUXE EDITION)』(2021)(2021.06.05)
- 2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編(2019.12.31)
- BACKYARD BABIES『SLIVER & GOLD』(2019)(2019.03.09)
- BACKYARD BABIES『DIESEL & POWER』(1994)(2019.02.07)
「1998年の作品」カテゴリの記事
- 「#プリンス三昧」プリンス全スタジオアルバム解説④(1996〜1999年)(2026.07.25)
- ARCH ENEMY『STIGMATA』(1998)(2024.08.13)
- SLY『VULCAN WIND』(1998)(2023.02.01)
- SKID ROW『40 SEASONS: THE BEST OF SKID ROW』(1998)(2022.10.25)
- HARDCORE SUPERSTAR『IT'S ONLY ROCK 'N' ROLL』(1998)(2022.05.05)
