JEFF BECK『JEFF』(2003)
改めて実感するのは、やはりジェフ・ベックというオッチャン(というか爺サマ)の貪欲さ‥‥勿論そのプレイの凄さや醍醐味については書くまでもないと思うんだけど‥‥多分何の説明もなしにこのアルバムを聴かせたら、大体の人は「どこぞの若手インダストリアルユニット?」とか「新手のデジロック」「ダンス界の新星」なんて言っちゃうのかも。そういった要素を持ち、見事に消化しきっているのが、この「JEFF」というアルバム。
ある意味、ここ数作の集大成ともいえる作風だし、尚かつ更に前を見据えている作品と取ることも出来る。とにかくひとつ言えるのは、過去2作‥‥「WHO ELSE!」や「YOU HAD IT COMING」よりもこなれてきたという点。勿論その2作でも、ただの借り物では済ませられない程の完成度を見せていた「ジェフ・ベック流テクノ」ですが、ここで一旦完成型を見せ、それでいて更に最新型の武器を披露するという、とにかく凄いアルバムなのですよこれ。
ブルーズあり、サーフミュージックあり、ファンキーあり、ヒップホップあり、フュージョンあり、ハウスやテクノ系あり、インダストリアルあり、といった具合にとにかく雑多。けど、その根底にあるのは「踊る」という行為そのもの。つまりはダンスミュージックなわけですよ。如何に聴き手を踊らせるか、それが彼の根底にある重要なファクターのひとつだと思うんですね。JEFF BECK GROUPでもいいし、その後のソロ活動でもいいし、とにかくいろんな要素のダンスミュージックを、その時その時で違った方向性・違った手段で料理してきたベック。しかも「流行に乗って借り物的に手を出してみました」的な胡散臭さがあまり感じられず(中には失敗作もあるんだけど)、やるからには常に追求する男、ジェフ・ベック。とくに「テクノ三部作」と呼ばれている「WHO ELSE!」以降の流れは圧巻で、完全に時代とリンクしているんですよね。UNDERWORLDやTHE CHEMICAL BROTHERS、PRODIGYといったダンスユニットがオーバーグラウンドへ浮上したのと同時に、ベックもああいった作風のアルバムを制作する。しかも若手との作業を経て、どんどん若返っていく。
今回の作品でも前作で起用したアンディ・ライトを筆頭にCURVEのディーン・ガルシア、APPOLO440、デヴィッド・トーン、ミー・ワンといった有名・無名アーティスト達と共同作業で制作にあたってるし。バックトラックを作るのがそうった若手達なんだけど、最終的にはその上にベックの自由奔放なギターが乗ることで完全に「ジェフ・ベックの作品」へと昇華していく。さすがというか何というか。やっぱり凄いオッサンですよこの人。
一時期エリック・クラプトンがテクノロジーに興味を持って、そういった方向に片足を突っ込んでいた時期があったけど、結局あの人はブルーズの人なんですよね。最終的にはそこに戻っていく。けどそれは決して保守的というわけではない。方やジミー・ペイジはひとつのスタイルの中でいろんな可能性を見出そうとしてきたけど、ここ20年くらいは完全に停止してしまってる。はっきり言っちゃえば保守的‥‥なんだろうね。けど、それだからこそ彼は支持されるのかもしれない。そしてジェフ・ベック‥‥この人の事を好きだという人は、一体どういった音楽を愛する人達なんでしょうね? オールドロックのファン? ギターキッズ? それともダンスミュージック好き?? 何かよく掴めないんだけど‥‥間違いなく言えるのは、60歳を間近に迎えても尚、このオヤジは守りに入らないという事実。一体何時までこの進化を続けるのか、とくと見届けていこうではないですか。
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