« Cacoy『human is music』(2003) | トップページ | コンタクト『君の夢を見たんだ』(2004) »

2004/01/23

JESUS JONES『PERVERSE』(1993)

間もなく久し振りの来日を果たすJESUS JONES。その彼らが世界的に大ヒットを記録した前作「DOUBT」から2年振りに発表した、'93年のサードアルバム「PERVERSE」。前作でイギリスや日本のみならず、アメリカでも大ヒットを記録した彼ら。特にシングル "Right Here, Right Now" と "Real, Real, Real" が共にチャートのトップ10入りを果たす程。当時イギリスでは「マッドチェスター」と呼ばれる、マンチェスター出身のダンサブルなロックバンド(STONE ROSESやHAPPY MONDAYS等)が絶大な人気を誇っていましたが、ことアメリカではさっぱりでして‥‥「イギリス臭」が強ければ強い程、アメリカでは嫌われるわけですよ‥‥そんな中、EMFは "Unbelievable" で全米ナンバー1を、そしてJESUS JONESは上記の2曲で同じように成功を収めたわけです。恐らく、'90年前後に登場したイギリスのバンドの中で、最もアメリカで成功したのはこの2バンドだったと記憶しています。

そんな成功に後押しされ、リリースされたのがこの「PERVERSE」だったのですが‥‥これが当時、賛否両論だったと記憶しています。つまり、成功した前作「DOUBT」の路線とは明らかに異なる、「ホントにやりたいこと、やっちゃいました!」的空気が漂う、非常にアーティスティックな内容なのです。大ヒットした "Right Here, Right Now" と "Real, Real, Real" 的なポップ路線は影を潜め、ヘヴィでダーク、更に当時主流だったハウスやテクノの領域に完全に足を伸ばしつつあることを伺わせる作風。アイドル的な側面すら見せていた前作にあったポジティヴさすら、あれは作り物だったんじゃないか、実はこっちの方が本当の彼らの姿なんじゃないか‥‥なんて当時は思ったりもしました。ま、要するに「DOUBT」を発表してから全世界をツアーで回り、その間にアメリカでの大ヒットがあって、そういった「これまで経験できなかったもの」を観てきた結果、人間として、そしてミュージシャンとしてひと回りもふた回りも大きく成長させたのだと‥‥根本にあるものは実はそんなに変わっていないんだけど、引き出しが増えた分だけいろんな装飾も増えたし、また「自分達は今後、どういう方向に進んでいけばいいのか‥‥?」というのも、多少なりとも見えてきたんでしょうね。それがこの「PERVERSE」だったと。リリースから11年(!)経った今、改めてこのアルバムを聴くとそう思えてくるわけです。

前作とは大きく変わるとはいいながらも、俺はこれを名作だと思ってますからね。ポップサイドを代表するのが「DOUBT」だとしたら、その反対‥‥ダークサイドを代表する作品がこれだと。ダークとはいっても、聴いていて膝を抱えて凹んでしまうようなものとはちょっと違うんですけどね。トーンは確かに暗く重いものなんですが、楽曲そのものはメロディアスなものが多く、過去の彼らと比べればポップ度は低いんですが、それでも十分にポップなわけですよ。例えばシングルにもなった1曲目 "Zeros And Ones" とか "The Right Decision"、"Magazine" といった辺りは前作の延長線上にあるといってもいい作風ですしね。

そんな中、アルバムからもファーストシングルとなった "The Devil You Know" の美しさ、怪しさといったら‥‥俺、当時から本当にこの曲が大好きで、それが高じて自身がDJやる時に思わずかけてしまった程。今聴いても全然アリですよね? そう思いません??

このアルバム、日本盤には2曲のボーナストラックが追加された全14曲入りなんですが、残念ながら現在は生産中止みたいなんですね。ボーナストラックである "Caricature" と "Phoenix" のハードコア・テクノ振りを聴いて、どれだけ当時ブッ飛んだことか。21世紀を迎えた今聴くと「別に、この手のバンドって腐る程いるじゃん?」って軽くあしらわれてしまうんでしょうけど、ホント当時は衝撃だったんですよ、良くも悪くも。

そういったハードな側面も備えつつ、特にこのアルバムは後半以降のダークな盛り上がりが絶品でして‥‥英米盤だとラスト3曲("Tongue Tied"、"Spiral"、"Idiot Stare"の流れね)、日本盤だとその前に "Phoenix" が入るので、ラスト4曲ってことになりますか‥‥ヘヴィでダークで耽美。あのJESUS JONESが!?って感じですよホント。

確かにね、ファーストやセカンドの路線が好きだった人に不評なのは、よーく判るんですよ。実際、当時俺の周りにいたJJファンにも、このアルバムを聴いて離れて行った奴、結構いたし。けど、俺は全く逆で‥‥更に好きになっちゃったんだよね。やるな、マイク・エドワーズ!って。

ちなみにこのアルバム、前作の余波を受けて大ヒット‥‥というわけにはいきませんでした。アメリカでは確か惨敗だったんじゃないかな? ま、この失速のお陰で、続く4作目のアルバムをリリースするまでに4年以上もの歳月を要することになっちゃったんだけどね‥‥

以前、もしJESUS JONESで最初に聴くなら「DOUBT」をオススメする!と書きましたが、あれを書いた'99年当時と比べ、かなりボーダレスな時代となった今だからこそ、この「PERVERSE」を最初に聴いてみるのもいいかな?なんて思います。ま、あれから5年近く経って、バンドも無事復活し、更にはベスト盤まで出たし、5年前と比べれば状況は良くなっているとは思いますけど(来日が決まるくらいですからね!)‥‥結局、日本盤とか出ないし、廃盤多いし。中古でもいいんで、ホント興味を持ったら聴いてみ!



▼JESUS JONES『PERVERSE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2004 01 23 03:07 午前 [1993年の作品, Jesus Jones] | 固定リンク