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2004/01/14

MOTLEY CRUE『DR.FEELGOOD』(1989)

MOTLEY CRUEが1989年秋に発表した5枚目のアルバム、「DR.FEELGOOD」はそれまで蔓延していたグラマラスでスリージーなロックンロール路線を一喝した、非常に力強いハードロック・アルバムでした。と同時に、MOTLEYを「LAメタルで有名なバンド」から一気に「世界的に有名なロックバンド」へと導いた、記念碑的な1枚でもあるわけです。

バンドがこのアルバムをリリースするまでの2年ちょっとの間に、とにかくいろんな出来事がありました。ニッキー・シックスがドラッグで死にかかったり、同じくニッキーが2人いた!?なんていう訴訟があったり、とにかくバンドとしてはいつ解散してもおかしくない状態。それは他のメンバーも同様で、とにかく再びバンドを立て直す為に全員がクスリや酒を断ち、初めてクリーンな状態でアルバム制作に挑んだのです。プロデュースにはそれまでの作品を手掛けたトム・ワーマンの元を離れ、当時売り出し中だったボブ・ロックを初めて起用。カバー曲を一切含まない、純然たるオリジナル曲が10曲(オープニングのSEを含めると11曲)詰まった、非常に純度の高いハードロックを展開する名作を作り上げてしまったのでした。

バンドにとって初のトップ10シングルとなった "Dr.Feelgood" をはじめ、合計5曲ものシングルヒットを生み出し、アルバムもリリース後数週で初の全米ナンバー1を獲得。最終的に500万枚を超えるセールスを記録する、バンドにとっても最大のヒット作となったのです。

とにかくこのアルバム、それまでとの最大の違いは「サウンドの無骨さ」でしょうか。ただ、無骨なんだけど非常にしなやかなんだよね。そこがさすがといいましょうか。ドラムサウンドひとつ取っても、かなりエフェクトがかけられたビッグプロダクションなんだけど、逆にそういった「人工的」な部分が如何にも胡散臭いMOTLEYらしくもある。ギターにしてもマーシャルのアンプ直結といったものではなくて、エフェクターいろいろ通して作り込まれたイメージが強く、ドラムサウンドにピッタリ合ってるんですよ。AEROSMITHやGUNS N'ROSESのサウンドを「サイケな色合い」と表現するなら、このアルバムでのMOTLEYはズバリ「どぎついまでの原色」といったところでしょうか。変化球なしの直球。マッチョで男臭い。だけどメロディアス。それがこのアルバム最大の魅力でしょうね。

曲に関しては文句無し。ニッキーやミック・マーズがメインで書かれた楽曲が殆どなのですが、1曲1曲どれもが素晴らしい。ヘヴィ且つグルーヴィーな "Dr.Feelgood" といい、同じくグルーヴィーながらも後半の展開がサイケ色豊かで、ちょっとBEATLESの "I Want You" が入ってる "Slice Of Your Pie"、復活後のエアロにも通ずるアメリカンロック "Rattlesnake Shake"、誰もが名曲中の名曲と認定するであろうスピードロック "Kickstart My Heart"、2曲目のトップ10ヒットとなったバラード "Without You"、如何にもMOTLEYといったパーティーロックチューン "Same Ol'Situation (S.O.S.)"、ファンキーな "Sticky Sweet"、ちょっとCHEAP TRICK入ってる?な "She Goes Down"、メンバー曰く「ロッド・スチュアートやFACESをイメージさせる」名曲 "Don't Go Away Mad (Just Go Away)"、アルバムラストを飾るMOTT THE HOOPLE的バラード "Time For Change" ‥‥あー、どれも忘れられない名曲ばかり。18~9才の頃、ホント毎日こればかり聴いてたよなぁ俺。全部そらで歌える程ですよ。個人的にはこの年('89年)リリースされたアルバムの中でも、エアロの「PUMP」とマイケル・モンローの「NOT FAKIN' IT」と並ぶ、大傑作。今聴くとさすがにあの「人工着色料タップリな」ビッグプロダクションに時代を感じたりしますが、楽曲自体には全く古臭さは感じられず、むしろ新鮮に聴けますよね。こういったストレートなハードロックがなかなか聴けなくなってしまった今だからこそ、御本家に再びこういった直球を放って欲しいと願っているんですが‥‥

このアルバムリリース後、旧ソ連(今のロシア)でBON JOVIやオジー・オズボーン、SCORPIONS等と初のコンサートを行い、ヨーロッパ~アメリカ~日本等といった具合にまるまる1年をツアーに費やし、早くも'91年には新曲を含むベスト盤「DECADE OF DECADENCE」を発表、再びヨーロッパでショートツアー、更に幾つかのロックフェスに出演するなどして、バンドとしても頂点を極めていたわけです。となると当然、これに続く「名作」が楽しみになるわけですが、'92年2月にシンガーのヴィンス・ニール脱退(事実上の解雇)というアクシデントに見舞われ、MOTLEYの「三日天下」はアッという間に終了してしまうのでした。あーあ。ま、そういったところも含めて「MOTLEYらしい」っちゃあらしいんですけどね!



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投稿: 2004 01 14 05:22 午前 [1989年の作品, Motley Crue] | 固定リンク