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2004/01/31

THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』(1997)

スウェーデンの暴走ロケンローバンド、THE HELLACOPTERSが1997年秋に発表したセカンドアルバム「PAYIN' THE DUES」。このアルバムで彼らは日本デビューしたのだけど(リリースは3ヶ月遅れて'98年1月)、当時は思った程話題にならなくてね‥‥雑誌での評判は良かったのに、何故か周りがね‥‥全然盛り上がらない。けど、それも半年以上経った頃には「噂のバンド」として一部のファンには知る人ぞ知る存在としてにわかに騒がれ始めてたんだよね‥‥HM/HR界だけの話だけど。

ファースト「SUPERSHITTY TO THE MAX!」から1年4ヶ月の間隔で発表されたこのセカンド。当時はボーカル&ギターのニッケが元々やってたデスメタル/暴走ロケンローバンド・ENTOMBEDも、そしてギター&ボーカルのドレゲンが在籍していたBACKYARD BABIESも表立った活動をしてなかった頃。だからこうやって短いスパンでアルバムを連発できたんだろうね。しかもこの頃はめちゃめちゃツアーとかしてたみたいだしね(憧れだったKISSの北欧ツアーの一部では、彼らがオープニングアクトを務めたことも!)。

で、そんな勢いある状態の中で作られたセカンドアルバム。悪いわけがない。思いのままに作り上げたファーストと違い、成長株のバンドがぶち当たるであろう『壁』を、普通は飛び越えるんだろうけどさ‥‥このバンドの場合、その壁をも力技でぶち壊して直進し続けたような作風の1枚に仕上がってます。しかも、ちゃんと考えられてるし‥‥そう、他のガレージ/暴走バンドにはないであろう「HELLACOPTERSなりの魅力」を、いよいよこの辺りから前面に打ち出し始めます。

所謂『北欧のバンド的な哀愁味漂う』メロディセンス。その後、これがこのバンド最大の武器となっていくのですが、ここではファーストにあった『気が触れたかのような爆音』と、後の『男臭い/男泣きメロディアス路線』との中間に位置する、所謂過渡期的な姿を見ることができます。ま、過渡期とかいいながらも、しっかりと高い完成度とオリジナリティを保っている辺りは、さすがと言わざるを得ないでしょう。『過渡期』っていうと言い方が悪いんだろうけど、少なくとも現在の彼らの持ち味が大好きだという人にとっては、やはりサードアルバム「GRANDE ROCK」以降の路線こそがHELLACOPTERSの魅力!と思っているのかもしれませんし、そういう人にとっては初期の2枚というのは「メロウだけどうるさすぎ!」と評価されてるかもしれないし‥‥

それとは逆に、「この暴走路線にメロウな歌が乗った初期の2枚こそ、HELLACOPTERSが最もHELLACOPTERSらしかった時代だ」と信じて疑わない人も多いのかもしれません。どちらにしろ、これは名盤だといっていいと思います。初期衝動をそのまま具体化してしまった「SUPERSHITTY TO THE MAX!」を更に数歩押し進めた作品。サウンド的にも洗練され、楽曲やメロディもスキルアップしている。何よりも10曲(日本盤は11曲)で30分に満たない(日本盤は30分ちょっと)というトータルランニングが、このアルバムの勢いを物語ってるんじゃないでしょうか? 全体的に似たトーンの楽曲で占められていることも、このアルバムが成功を収めた理由のひとつかもしれません。ファーストではスローというかミドルヘヴィ曲も幾つかあり、人によってはあれが苦手なんて声もあったので、そういう意味では「ただひたすら走る&攻める」セカンドは、正に「こういうのを待ってたんだよ!」と言わんばかりの1枚なのでしょう。俺はこのアルバムからHELLACOPTERSに入ったので(しかもファーストを聴いたのは、更に数ヶ月経った後だし)ファーストと比較することなく、まんま「うわぁ~っ、KISSのガレージパンク版だな!?」と思ったものです。が、何故か最初はそこまで良いと思えなくて‥‥あっという間に終わってしまうというのも「吟味する前に終わっちゃう」と勘違い甚だしい評価を下して、暫く聴かなくなっちゃったんですよね。更に初来日公演も、何故か気に入らなくてね‥‥結局、サードアルバム「GRANDE ROCK」を聴くまで、俺は彼らの『本当の魅力』に気づかずにいたという、ね。勿体ないことしてるな俺。

この曲も頭の "You Are Nothin" という如何にもKISSな1曲で心臓鷲掴みにされ、続く "Like No Other Man" という疾走ナンバーで失禁という、お決まりのコースでやられまくりなわけ。中盤も名曲 "Soulseller" があったり、ラストはちょっとテンポダウンして、ヘヴィな "Colapso Nervioso"、ジーン・シモンズ・ナンバー的な色合いを持つ "Psyched Out & Furious" で終わるというね(しかもエンディングはちょっとだけAC/DC的派手さを演出するという、ね!)。とにかく全曲ポップで哀愁感漂うメロディを持っていて、それが疾走すればする程哀愁感が増すという‥‥例えばTHIN LIZZY辺りと同質の魅力をHELLACOPTERSには感じるわけ。ホント、『男の中の男』バンドですよ彼らは。

'97年に本国でヒットを飛ばし、'98年に日本デビュー、同年秋には初来日をし、同じ頃にUKでもアルバムリリース。そして翌'99年秋にはとうとうアメリカに本格的進出を図るんですが、これがね、いきなり有名インディーズ・レーベル「Sub Pop Records」からのリリースだったんで、それまで彼らを無視していた連中が腰を抜かす程驚いたというね。ご存知の通り、NIRVANAやSOUNDGARDENといったシアトル系バンドを多く抱えていたことで有名なわけですが、そのレーベルから独自ジャケット&ボーナスディスクを付属した2枚組でこのアルバムをリリースしたのです。しかもボーナスディスクは8曲入りのライヴアルバム!(アナログ盤は9曲入り!!) 既に本国や日本ではサードが出た後だったこともあり、このライヴテイク自体はそのサードリリース後のツアーを収録したもの('99年5月のカナダ公演)。なので収録曲もファースト~サードの曲がメインとなっております。とにかくこれ聴いちゃうと、ライヴ観たことがない人は絶対に「あーライヴ観たい!」って悔しい思いをするはず。これからこのセカンドを買おうと思ってる人は、ボーナストラックが1曲入った日本盤よりも、この「Sub Pop」2枚組限定盤をオススメします。歌詞カードとか入ってないけど、スタジオ盤での意欲的な作風雨と、ライヴ盤ならではの臨場感溢れるサウンドの2種類‥‥正しく「一粒で二度美味しい」作品になってますからね! そして、このアルバムが気に入ったなら、間違いなくあなたはHELLACOPTERSのことが大好きになるはずだから、そのままサード、4作目‥‥という具合にドンドン聴きまくっていってください!



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投稿: 2004 01 31 04:20 午前 [1997年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク