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2004/03/06

ASH『FREE ALL ANGELS』(2001)

前作『NU-CLEAR SOUNDS』から約3年振り、2001年春にリリースされたASH通算3枚目のオリジナル・フルアルバム『FREE ALL ANGELS』。「とみぃの宮殿」にて行われたアンケート企画「BEST OF 2001」の「ALBUM OF 2001」で1位を獲得しただけでなく、この年の各音楽雑誌でも大絶賛、そしてそういった年間企画の上位に入賞した大ヒット作であります。

元々は俺、ASHというバンドにそこまで熱心ではなくて。それは今現在においてもそうなんだけど‥‥それは見た目のインパクトだったり(ごく普通の少年達が楽器を持ちました、といった風貌)、曲のインパクトだったり、そういったものが自分に訴えてくるには弱かったのね。98年にトリオから4人組に変わり、紅一点であるシャーロット嬢が加入したことで多少華が増えた感はあるんだけど‥‥特にデビュー当時のイギリスのロックシーンがそういう流れだったからかもしれないけど‥‥普通のアンチャン達がバンド始めちゃいました的な雰囲気は常につきまとい、結局俺がこのバンドに夢中になるってことな過去一度もなくて。ライヴは一度観てみたいって思ってて、それは99年のフジロックで実現したわけだけど。実際に観ても、その印象は変わらなくてね。逆に一層そういったイメージが強くなった感じがして。

人によって「ロックはビジュアルが命!」っていう要素を大切にすると思うし、俺もそれは「バンド/アーティストによりけり」とは判っていながらも、「折角こんなにカッコいいサウンドや曲を聴かせてくれるのに‥‥勿体ない」とどこか割り切れない気持ちがあって。だから世間で絶賛されたこの『FREE ALL ANGELS』に対しても「いいアルバムだよね。でも‥‥」っていう感じで、イマイチのめり込めなくてさ。

一昨年、彼らの10年に渡る歴史を総括するベスト盤がリリースされ、俺の中でASHに対する再評価があって。あここまでいい曲を連発できた奇跡、そして俺が如何に彼らに対して偏見を持っていたかという事実に気づかされて‥‥凹んだ、というか‥‥反省しました。

さすがに最近は大人になったこともあり、見せ方も以前より上手になってきたこのバンド。もうすぐ4作目となる『MELTDOWN』がリリースされるわけですが、その前にこの3作目を再評価しておこうと思いまして。

大ヒットしたシングル曲「Shining Light」や名パワーポップナンバー「Burn Baby Burn」を含むこのアルバム。結局それ以外にも3曲シングルカットされ、計5曲がイギリスのシングルチャートのトップ20入りしたという事実が全てを物語っていると思います(当然アルバムも1位を記録)。そういったシングルヒットといった事実からも判るように、このアルバムに収録されている楽曲の大半が「シングル向け」とも取れるようなメロウでポップなロックチューンで占められています。セカンド『NU-CLEAR SOUNDS』が気負った印象の強い硬派なサウンドだったのに対し、このサードではもっと軽やかで、且つしなやかなポップチューンで埋め尽くされていて、耳障りは非常によい作風となっています。適度にノイジーなサウンドも含みつつ、メロウなバラードではストリングスを導入したりして、そういう意味ではファースと『1977』に近いイメージがありますが、やはりそこは「大人」としての成長や余裕が感じられて、初期衝動性重視のファーストとの大きな違いが見られます。ま、当たり前か。とにかくよく出来た「ギターポップ/ギターロック」アルバムである、と。

ただ‥‥だからこそ、印象に残らない‥‥という言い方もできるんですね。いろんな意味で「優等生的」なんですよ、このバンドは。そこが鼻につくのがASH最大の欠点ではないかと。凄く頑張ってるんだけど、全部我々がイメージする「ASHらしさ」の枠からはみ出していない。だからこそ聴いていて安心でき、特に大好きなわけでもないけど「まぁいいアルバムだよね‥‥」とかいって、年間ベストの数枚の中に入れてしまう。結果、気づいたら1位になってました‥‥みたいな。まぁこの考えこそ偏見以外のなにものでもないわけですが、俺にとってのASHって常にそういうイメージがつきまとっているわけですよ。

けど、楽曲の良さには嘘はないですよ。1曲1曲を取り出せば本当に素晴らしい楽曲ばかりだし、特に前述の「Burn Baby Burn」は超名曲だと思いますし。俺内では「A Life Less Ordinary」を超えましたからね。実際当時、DJやるときによくかけましたし。

どうしてもこのバンドには「あと一歩!」という気持ちがあるんですが、その「一歩」を踏み越えた時、本当の意味で怖い存在になると思いますよ‥‥だからこそ、バンド史上最高にヘヴィな作品という噂のニューアルバム『MELTDOWN』に過剰な期待をしているわけです。

‥‥意外とさ、こういった『FREE ALL ANGELS』みたいなアルバムが、10年後も普通に聴かれていて、「本当にいいアルバムだよね!」とか言われてるのかもしれませんね。毒はないけど普遍性を持った楽曲が沢山詰まっているという意味では、TEENAGE FANCLUBの『BANDWAGONESQUE』や『GRAND PRIX』に近い位置にある作品なのかも。



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投稿: 2004 03 06 12:00 午前 [2001年の作品, Ash] | 固定リンク