AUDIOSLAVE『AUDIOSLAVE』(2002)
2000年秋に空中分解してしまったRAGE AGAINST THE MACHINEの楽器隊が、元SOUNDGARDEN、当時はソロとして活動していたシンガー、クリス・コーネルと共にスタジオ入りし、リック・ルービンをプロデューサーに迎えてレコーディングしている、といった噂が2001年から出回っていたのはご存じでしょう。実際その後本当にレコーディングに突入し、2002年前半には新バンド「CIVILLIAN」としてのデビューアルバムがリリースされる予定でした。が、何故か急にクリスがバンドを脱退、予定されていた「OZZ FEST」への出演をキャンセルしたという話題が。ここで完全に立ち消えたはずだったこのバンド、結局クリスとRATM残党という同じ顔ぶれで新たに「AUDIOSLAVE」という名前で活動再開、同年11月にいよいよ話題のファーストアルバムがリリースされたのでした。
既にリリースから1年半近く経っているし、「何を今更‥‥」という気もしないでもないんだけど、いやいや、今だからこそ語ろうじゃないですか、このバンドについて‥‥。
俺は89年にSOUNDGARDENの『LOUDER THAN LOVE』を聴いて彼らに興味を持ち、91年の『BADMOTORFINGER』で完全に彼らにハマッったくちで、94年春に行われた来日公演にも足を運んだ程好きなバンドでした。一方RATMに関しても最初こそ印象がよくなかったものの、97年に前年夏のレディング・フェスでのライヴ映像を観て衝撃を受け、彼らにハマっていった人間です。どちらも好きだけど、どちらかというとSOUNDGARDEN側の人間である、ということを先に書いておきます。
聴く前から恐らく多くの人がAUDIOSLAVEが出すであろう「音」を、何となくでも想像できていたと思うんですよ。ヒップホップ版LED ZEPPELIN的な側面を持つRATMと、そのZEP以上にZEPらしいスタイル/音楽性を持っていたバンド・SOUNDGARDENのシンガーが合流することで、間違いなくZEP的オーソドックスなハードロックを再現するであろう、と。
実際にアルバムから聞こえてきたサウンドは、ほぼその想像に近いものでした。だから特に大きな驚きや衝撃もなく、納得ずくでアルバムと向き合うことができました。と同時に、「‥‥正直、こんな程度なのかな‥‥」と思ったのもまた事実でして。やはりこの組み合わせ、期待はかなり大きかったんですよ。特にSOUNDGARDENをリアルタイムで通過してない若い子にとっては、ある意味「伝説の存在」だったクリス(というのは言い過ぎかな?)が、当時リアルタイムでトップにいたロックバンド(RATM)と合体するということで、俺以上に期待してたんじゃないかな?
何がいけない、というわけじゃない。決してこの組み合わせは間違ってないと思うし、実際かなりしっくりきてると思う。思うんだけど‥‥まだまだこんなもんじゃないよね?と。特にクリスな。彼の声の衰え(枯れ具合)には正直ショックを隠し切れませんでした。確かにSOUNDGARDEN晩年もハスキーではあったけど、もっとハイトーンがすっきりと出たはずなのに‥‥ソロになってから落ち着いたトーンの楽曲ばかりだったのは、これも関係あったとか!?と疑ってしまう程、全盛期の輝きは見受けられませんでした。
しかし、じゃあそんなに酷いかというと、実は‥‥1曲目「Cochise」みたいな声を張り上げる曲では厳しいものがあるものの、例えば5曲目「Like A Stone」のようなトーンの曲になると逆に「このサウンドにこの声じゃなきゃいけない」という説得力を強く感じるわけ。4曲目「What You Are」みたいなモロにSOUNDGARDEN的な楽曲でもそうだけど‥‥要するにバンドとして、まだ「今のクリスの魅力」を最大限に発揮する方法を模索してる最中なのかな、と。いきなりスタジオ入りして、互いの手札を見せ合って作ったであろうファーストアルバム。そういう意味では「新しい武器」を手に入れたというよりは、これまで使っていた武器の「合わせ技」といった印象が強いかも。良い意味でも、そして悪い意味でもね。
「跳ねないレイジ」「ヒップホップ色のないレイジ」とか「サイケじゃないSOUNDGARDEN」「ドンヨリしてないSOUNDGARDEN」といった表現もできると思うけど、個人的には「シアトルの湿った空気」を「カリフォルニアの太陽」で照らしたような、そんな要素をこのバンドから既に感じています。カリフォルニア特有の陽気さや豪快さと、一年中曇りか雨というイメージが強いシアトルの繊細さや湿り気の融合‥‥それがAUDIOSLAVE「らしさ」とするなら、上に挙げたような「Like A Stone」みたいな楽曲が今後の彼らにとって大きな武器になることは間違いないでしょう。
しかし、そうはいっても彼らはロックバンド。より「らしい」豪快なロックも追求してくれると思いますよ。クリスに無理のない形でね(けど楽器隊には無理して欲しい‥‥という我が儘も言ってみたりして)。どちらにしろ、早ければ年内にはセカンドアルバムが期待できそうですから、その答えは意外と早く我々に届けられそうですけどね‥‥。
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