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2004/03/09

DAVID BOWIE『BOWIE AT THE BEEB』(2000)

'90年代の、いや、'80年代後半からのデヴィッド・ボウイがとことんツイてなかったということを「'hours...'」のレビューで書きましたが、そのアルバムを境にボウイは再び上向きになります。過去の貴重なBBCラジオでのスタジオライヴ音源をCD2枚にタップリと収めた「BOWIE AT THE BEEB」の発表により、ボウイの現在/過去/そして未来に注目が集まるようになります。トニー・ヴィスコンティとの新作製作の話題で持ち切りだったのも、その一環でしょう。

今回紹介するライヴアルバム「BBC RADIO THEATRE, LONDON, JUNE 27, 2000」はそのタイトル通り、2000年6月27日、ロンドンにあるBBCラジオの劇場にて、ほんの一握りのファンを前にして、非常にリラックスした雰囲気の中行われたスペシャルライヴを収録したものです。当時、日本でもWOWOWでその模様が放送されたので、映像で観たという人もいるかもしれませんが、正式な単独作品としてリリースされたことはなく、実は先述の「BOWIE AT THE BEEB」初回限定盤にボーナスディスクとして付属していた1枚なんですね。だから、このアルバムを聴きたかったら「BOWIE AT THE BEEB」初回盤を探さなければならい。が、ここからが厄介でして‥‥このアルバム、リリース後暫くして「予定していた楽曲("Ziggy Stardust")のふたつの別テイクが、実は同一テイクだった」という凡ミスが発覚し、回収~生産一時中止になっているんですね。翌2001年初頭に再びボーナスディスクを含む形で再発されたようですが、海外盤を含めてもプレス数がそんなに多くないようで、更に現在ではこの「BOWIE AT THE BEEB」自体が日本盤は生産中止状態なようで‥‥とにかく見つけたら即買いの1枚(ボックスセット)です。

「'hours...'」リリース後のライヴということで、ボウイの「老い」「枯れ」具合が気になるところですが、ここで聴けるボウイのパフォーマンスは‥‥往年のベストには及ばないものの、それでもかなりいい状態であることが伺えます。まずボウイ自身が肩の力が抜けていて、いい具合に「楽しんで」歌っているんですね。アルバム全体の三分の一以上が'90年代の楽曲ということで「どうなのよ!?」という不安もあるかと思うんですが、なんのなんの、下手したら'70年代の楽曲以上にハマっていてカッコいいテイクすらあるんですから、この辺が「蘇生」しつつあるな、というのが伺えて嬉しいですよね。

'70年代初期、中後期、'80年代、そして'90年代の楽曲をランダムに演奏しているんですが、意外と違和感がないのが不思議というか。以前‥‥'90年代半ばに来日した時も感じたことですけど、特にその特色が顕著になってますね。当時の新作「'hours...'」からも "Survive" や "Seven" といった名曲の予備軍が選曲されている他、"Hallo Spaceboy"、"Little Wonder"、"I'm Afraid Of America" といった'90年代の代表曲達、"Let's Dance"、"Ashes To Ashes" といった'80年代の代表曲達、更には "This Is Not America" や "Absolute Beginners" といった'80年代に埋もれた地味渋な楽曲達、そして "Man Who Sold The World" から "Cracked Actor"、"Fame" や "Wild Is The Wind"、"Stay"、"Always Crashing In The Same Car" といった'70年代の代表曲/隠れた名曲達。最近でこそヒットメドレーが復活してますが、この頃はまだこだわりを捨てきれなかった時期なんですよね‥‥けど悪くない。いや、彼が過去残してきたどのライヴ盤よりも素晴らしいと思います。音質的なことはさておき、とにかく演奏のクオリティーも高いし。実はこの時のバンドメンバーと今現在のバンドメンバーって殆ど一緒なんですよね。だからってこともあるのかな‥‥最近のライヴ、非常に評判が良いですよね? そりゃレコーディングにも参加させたくなるわな、うん。

ROLLING STONESやAEROSMITHのような生き方も素晴らしいと思うし、実際尊敬している。KISSみたいにはなりたくないとは思いながらも、やはり一度心を許した弱みか、最終的には憎めない。けど、やっぱり俺はボウイみたいな生き方を支持したいな‥‥矛盾しててもいいから。だってそれこそが最も「人間らしい」と感じられるんだからさ。ま、最も「人間らしくない」存在だったあのボウイが、その後こういう生き方をするとは、当時のファンは思ってもみなかっただろうけどね。



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投稿: 2004 03 09 07:40 午前 [2000年の作品, David Bowie] | 固定リンク