VAN HALEN『5150』(1986)
2004年夏、いよいよVAN HALENが動き出すようです。
3代目ボーカルとしてゲイリー・シェローン(元EXTREME)を迎え1998年2月にリリースされた『VAN HALEN III』はセールス的にも、そしてツアーの動員的にも失敗といっていい結果しか残せず、結局このアルバム1枚でゲイリーは脱退、三度シンガーのいない状況に陥ります。そしてエディ・ヴァン・ヘイレンの舌癌発覚‥‥これにより、彼らは長きに渡る沈黙を強いられることになります。その間に初代シンガーのデイヴ・リー・ロスと2代目シンガーのサミー・ヘイガーがジョイントツアーを行い、そのサミーのバンドメンバーとしてVAN HALENのベーシスト、マイケル・アンソニーが参加する等、いろいろとキナ臭い動きがあったりしましたが、結局6年に渡る現時点においても新しい音源は発表されておらず、それどころか未だに新しいシンガーは決まっていなかったりします。
が、ここにきてのツアー発表。しかしシンガーは発表されぬまま。これはどういうことなのか‥‥
VAN HALENが新しいマネージメントに移籍し、しかもそこはサミーが所属する会社だ、という事実。これが全てなんじゃないでしょうか? ま、答えは間もなく出ることでしょう‥‥
この『5150』というアルバムは、デイヴが脱退した約1年後、1986年春にリリースされた、VAN HALEN通算7枚目のオリジナルアルバムであり、サミー・ヘイガー加入後の最初の1枚でもあります。デイヴ自体に愛着のあった俺は、暫くこのアルバムに馴染めなかった記憶があります。同1986年夏にはデイヴのソロアルバム『EAT 'EM AND SMILE』がリリースされ、個人的には「ああ、やっぱりこっちだよ!」と思ったのも事実。実際、あのアルバムによって俺はスティーヴ・ヴァイというギタリストに惹かれていくのですから……ギターの世界へと導いてくれたエディに対する、ちょっとした浮気ですよね、これじゃ。
しかし、偏見の塊だった10代前半には苦手意識があったサミー・ヘイガーの声、そして「サミーの声が載るVAN HALEN」の曲も、次第に馴染んでいき、気づけば大好きな1枚になっていたのは言うまでもありません。もう単純に、爽快でカッコいいアメリカン・ハードロック。デイヴ時代とはまた違う、潤いのあるメロディが載った楽曲達。『1984』で着手したシンセ導入が完全に開花した「"Why Can't This Be Love」や「Dreams」「Love Walks In」といった歴史的名曲の数々。前作での「Hot For Teacher」を更に高速化したかのような疾走チューン「Get Up」、カーステレオで爆音で流しながらハイウェイを飛ばしたくなるような豪快ハードロックチューン「Good Enough」や「5150」、カリフォルニアの夏の海をイメージさせるような「Summer Nights」や「Best Of Both Worlds」、ラストを飾るヘヴィな異色作「Inside」。とにかく全9曲が捨て曲なし。
それまでのVAN HALENのアルバムには必ず「これは絶対にライヴじゃやらないだろなぁ……」と思えるような曲が幾つかあったのに、このサミー・ヘイガー参加作にはそういったタイプの楽曲は皆無。勿論、当時のツアーで演奏されなかった曲もあるだろうけど(「Inside」をやった、というのを目にした記憶がないんだよね)……とにかく最初から最後まで、息をつかせぬまま突っ走る1枚。特に頭3曲での攻め、4曲目「Dreams」での天まで駆け上がりそうなメロディ。掴みは完璧過ぎ。本当に凄いアルバムだわ、改めて今聴いても。
個人的にはデイヴ時代に思い入れがあるものの、作品重視で考えると好きなアルバムって殆どがサミー・ヘイガー在籍時のものなんだよね。特にサミー在籍時はこの後も『OU812』(1988年)、『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』(1991年)、『BALANCE』(1995年)と、更にレベル/完成度の高いアルバムを連発していったんですよね。勿論、唯一のライヴアルバム『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993年)も含めてね。俺が初めて彼らのライヴに足を運んだのも、サミー在籍時だし。残念ながらデイヴ在籍時は'70年代末に来たっきりで、俺がまだ洋楽を聴くようになる前の話だからね。しかも初めてVAN HALENのライヴに行ったのって、『BALANCE』でのツアーだから1995年。俺がVAN HALENを聴くようになってから10数年、この『5150』が発表されてからも9年経ってるんですよ。ま、それ以前に彼ら、殆ど日本に来なかったですからね。何せ80年代に来日したのは、1989年初頭の東京ドーム公演だけですからね!。
デイヴ時代の作品が全部リマスターされているにも関わらず、どういうわけかサミー時代の作品はまだ公式にリマスター化されてないんですよ。特に80年代の2枚(『5150』『OU812』)は絶対にリマスターすべきだと思うんですが……もっと迫力あるサウンドで聴きたいですからね(正直、今出てるCDの音は、当時のアナログ盤のそれと比べても全然迫力が足りないんですよ。元々音圧が薄いバンドなだけに、余計なんですよね)。
果たして、今度のVAN HALENは本当にサミー・ヘイガーが出戻るのか、そして新曲は『5150』等の名作に匹敵するだけのものなのか‥‥過度に期待して待ちたいと思います!
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