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2004/04/13

AEROSMITH『HONKIN' ON BOBO』(2004)

前作『JUST PUSH PLAY』から丁度3年振りに発売された、AEROSMITHのスタジオ・アルバム14作目にあたる今作品は、10年くらい前から出る出ると噂されてきたブルーズのカバーアルバム。偶然にも同時期にエリック・クラプトンもかのロバート・ジョンソンのブルーズ・カバーアルバムをリリース、英米を代表するブルーズをベースにしたロック・ミュージシャンが、それぞれの個性をどう活かし、どうオリジナリティを確立するかが非常に興味深い「対決」となってしまいました。ま、本人達には競うなんて気持ち、全然ないでしょうけどね。で、俺も「同じブルーズを扱っても、絶対に別物になるだろう」って判ってたので、特に意識しなかったですけど‥‥

『GET A GRIP』リリース後暫くして「ソニー移籍前に、古巣のゲフィンでブルーズ・アルバムを出して、契約満了」という噂が出回ったのが最初でしょうか? このアルバムのツアーからジョー・ペリーが必ずステージでジミ・ヘンドリクスの「Red House」をプレイするようになったんだよなぁ(ま、それ以前からちょこちょこやってはいましたが)。だから余計に信憑性を感じてしまったりしてね。

その後、新作が出て、ツアーが終わる度に「次作はブルーズ・アルバム!」なんていう話があったよな気がするんですが、結局毎回ライヴ盤だったりベスト盤だったりで、いっこうに取りかかる気配は感じられず。ま、それ以上に「オリジナルの新曲」に力を注いでくれていたので、特に残念とは思いませんでしたけど。

前作『JUST PUSH PLAY』がある意味「従来の色(=80年代半ばの復活以降の色合い)」と「未来(=同時代性だったりテクノロジーだったりを導入)」とを結びつける意欲作だったこともあり、またその後に2枚組のオールタイム・ベストでとりあえずひと区切りついたこともあってか、ここでようやく本格的にブルーズ・アルバムに取りかかることになったのでした。前作から3年というインターバルも、ここ10年で一番短いし、何よりも前作から今作の間にベストがあったり2度の来日があったりで、そんなに間が空いたように感じなかったのも良かったですしね。

実は俺、ここに収められている11曲のルーツソング(ブルーズだけに拘らず、ルーツロック的なナンバーからゴスペルまで、意外と幅広いんですよね)の大半は、オリジナルの方を知ってたもんで、選曲には特に意外性は感じなかったものの、「一体どういう風に料理するんだろう?」というエアロらしさの表現方法/アレンジが非常に気になってたんですよね。まんま“どブルーズ”してしまうのか、それともアレンジしまくるのか‥‥。

実際に出来上がったカバー曲達は‥‥多分原曲を知らなかったら全部エアロのオリジナル新曲に聴こえてしまうんじゃないか?と思える程、完全に自分達のものにしてしまってるんですよ。どこからどう聴いても、正真正銘のエアロ節。原曲を完全に崩してしまったものもあれば、比較的オリジナルに近いものもある。ユルユルな曲もあれば、鬼気迫る緊張感を感じさせるテイクもある。完全に楽しんでるな、ってのがそのサウンドから存分に伝わってくるわけですよ。お仕事としてのアルバムではなく、お遊びとしてのアルバムなんだな、と。それが嬉しくてね。こんなにカッチリしてないエアロのスタジオテイクを聴くの、下手したら『DONE WITH MIRRORS』以来だからね。

これはもう、ブルーズ・アルバムというよりは、「ルーツロック・アルバム」と呼んだ方が正しいかもしれないね。特に頭4曲の流れとか聴いちゃうとさ‥‥ブルーズに限定されてないわけじゃない、これらの曲って。アレンジ的にもさ、その辺に全然拘ってないわけだし。というよりも‥‥例えば初期の作品‥‥『GET YOUR WINGS』での重さや『TOYS IN THE ATTIC』でのポップさを同時に持ち合わせているような、そんな感覚。決してコンテンポラリーなサウンドではないんだけど、かといって古くさくもない。それはきっと、エアロ自身が枯れてないからだろうね。スティーヴン・タイラーの歌聴いてると、枯れるどころかドンドン若返ってる気がするし(その反面、ジョー・ペリーのボーカルはドンドン枯れてってるんだよね、いい意味で。ギターは相変わらず若々しいんだけど)。このバランス感が残ってるから、ただのブルーズのカバーアルバムに落ち着かなかったんだろうな、と。

唯一収録されたオリジナル新曲「The Grind」も、いい意味でセカンド~サード辺りにまでレイドバックしてるし。意識したわけじゃないんだろうけど‥‥勿論、今の彼ららしさも十分に残しつつね。そこはさすがだわ。時代と対峙していくエアロも勿論大好きだけど、やっぱり俺はこういう「得意なことをストレートにやる」エアロも大好きなわけでして。ま、所詮は80年代初頭からリアルタイムで追い続けてるオールドファンですからね!



▼AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』
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投稿: 2004 04 13 12:00 午前 [2004年の作品, Aerosmith] | 固定リンク