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2004年4月23日 (金)

宇多田ヒカル『誰かの願いが叶うころ (EP)』(2004)

2003年唯一の音源であった「COLORS」から1年3ヶ月振りに届けられた、宇多田ヒカルの新曲 "誰かの願いが叶うころ"。2004年に入りいきなり武道館5公演を行い、更に3月末にはこれまでのシングル曲をまとめたベストアルバムをリリース、これまでの活動にひと区切りつけ、いよいよ全米デビューに向けて本格的に動き出したんだなぁ、と思った矢先の新曲リリース。しかも旦那さん初監督映画のテーマソング。いろんな意味で興味深い1曲となっています。

俺、初めてこの曲を聴いたのは‥‥4月に入ってすぐかな? 有線で聴いたんだよね。いきなりかかったんだけど、聴いてすぐにヒッキーの曲だと判ったのね。けどさ‥‥宇多田っぽくないよね、いろんな意味で。凄く新鮮だったのと、強烈だったのと、とにかく「あー、ベスト盤の前に出すのを止めた理由が何となく理解できるわ」と思ったのね。別にこれが「第二期・宇多田ヒカル」を象徴するとは思わないんだけど、とにかく凄く強烈な曲だと思いました。

アレンジがシンプル(宇多田が弾くピアノと、アコギにストリングス系のプログラミングのみ)というのは、間違いなく「歌詞」に重点を置いているからでしょうね。そう、この歌詞こそこれまでの「宇多田らしくない」と感じたものだったのよ。初めて聴いた時も、とにかく耳に飛び込んでくるのは、メロディでも歌声でもなくて、その歌詞だったのね。なんて言うかさ‥‥これまでとパターンが違うな、と。今までの「歌詞」というフォーマットではなくて、もっとこう、「詩」というか‥‥多分、メロディが先に出来た曲ではなくて、歌詞から先に作った曲なんじゃないかな、と直感的に感じてさ。自分も詞書くからってのもあってそう感じたのかな‥‥よく覚えてないんだけど。

そしたら実際、本当に「詞先」の曲だったのね、これ。宇多田本人がそう言ってたから間違いないんだろうけど‥‥ある程度、映画の内容を把握した上で書かれたものだと思うんだけど‥‥凄く力強い「想い」が伝わってくるな、と。リズムすら排除して、ゴチャゴチャしたアレンジになっていない分、更にその「想い」は強く伝わってくるわけですよ。

で、それに合わせてなのか、メロディもかなり考えて書かれてるし。かなり難しい節回しが多い、起伏にとんだメロを持つ曲。難易度最高レベルですかね。そういう意味では、ある程度「消費される」ことを意識して作られたこれまでのフォーマットと、かなりかけ離れた楽曲ですね。完全に「宇多田ヒカルだけのもの」というような印象。で、それを聴き手が「自分でも歌いたい」という風に「所有」するというよりも、その宇多田の「想い」を「共有」するといったイメージ。それがこの曲に対する、俺が今感じていることです。

ぶっちゃけ、尾崎豊トリビュートに収録された "I LOVE YOU" のカバーの、数百万倍も素晴らしい出来。たった1曲(+カラオケ)に660円も払うのはちょっと気が引ける、という人もいるかと思いますが、正直安過ぎるくらい。全曲持ってるのにリマスター&新たなパッケージで売られるベスト盤を買うなら、こっちを買えって話ですよ。正直、200万枚くらい売れないとおかしい1曲。

何度も言うけど、決してこれが全米デビューを控えた宇多田の「第二章」というわけではなく、あくまで次章へのインタールード的な作品と捉えた方が良さそうです。うん、贅沢なインタールード曲だ。



▼宇多田ヒカル『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』(「誰かの願いが叶うころ」収録)
(amazon:国内盤CD

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