GUNS N' ROSES『GREATEST HITS』(2004)
GUNS N' ROSES初のベストアルバム。しかもこれ、メンバーが望んだものではなく、何時まで経っても出る気配のない幻のアルバム『CHINESE DEMOCRACY』(1999年頃からだっけ、このタイトルが一人歩きを始めたのは?)までの繋ぎとして、レコード会社が勝手に選曲・リリースしてしまった代物。当然、アクセル・ローズくんはレコード会社を訴えるわけですが、残念ながら負けてしまうわけです。つうかこの訴えについての報道が伝わって来た頃には、既に日本とヨーロッパでは発売直前だったわけですが。
結論から書いてしまうと、個人的には納得のいかない選曲。だけど「ガンズの『ガ』の字も知らない子達に向けては良い選曲かな?」とも思うわけで。要するにこれ、シングルコレクションじゃない? 勿論コンプリートしてるわけじゃないけど(ここに収録されていないシングル曲は「It's So Easy」「Nightrain」 くらいか?)、まぁ1999年の復活以降のライヴでも演奏される機会が多くて、PVにもなってて、尚かつシングルとしてもリリースされヒットした曲を選べば、必然的にこういう選曲になるわな。
勿論、「これ聴くなら『APPETITE FOR DESTRUCTION』聴け!」っていう声もよーく判るよ。実際に俺もそう思ったもん。けどさ、同時に俺は『USE YOUR ILLUSION』の2枚も、そして作品としては中途半端かもしれない『GN'R LIES』も好きなわけ。決してそれらのアルバムの中のベストトラックばかりが集められたわけじゃないし、俺が好きな曲は殆ど選ばれてないわけだけど、それでも全盛期(1988~92年くらいか?)をリアルタイムで通過してない子、手っ取り早く彼らの歴史を知りたい子達にはこれもアリなのかな、と。ほら、THE WHOのベストアルバムだって、満足いくような内容のものってないじゃない?(彼らも殆どがシングルコレクション的なものばかりだしね)AEROSMITHだって、80年代の復活以降の曲でベスト作れば、バラード集みたいいなのが出来ちゃうじゃない。それと一緒だよ。こういうベストを取っ掛かりにして、気に入ればファーストから聴く……そういう意味での「教科書」……いや、というよりも「副読本」というか「参考書」みたいなものかな?
個人的には、こっちよりも『LIVE ERA '87-'93』を聴いた方が彼らの本質が理解できるんじゃないか?と思うんですが、まぁあれは2枚組だし、手軽に楽しむには今回のベストの方がいいのかな、と(輸入盤だと1200円程度で買えますからね)。
そりゃね、「Mr.Brownstone」も「Rocket Queen」も「Think About You」も「One In A Million」も「Right Next Door To Hell」も「Double Talkin' Jave」も「Coma」も「Locomotive」も「Estranged」も、そうそう「Oh My God」も入ってないんだけどさ……そりゃね、そんな曲ばかりのベスト盤出されても、正直売れないよなぁ、と。俺しか買わないし、多分。
……と、このベスト盤を肯定したところで、逆にマイナスポイントも幾つか挙げていきますか。
まずね、カバー曲が以上に多い。オリジナルアルバムが4枚(正確には3.5枚か)だからってのは判るけど、よりによってカバー集『THE SPAGHETTI INCIDENT?』から2曲(「Ain't It Fun」「Since I Don't Have You」)も収録した他に、ライヴでお馴染みの「Knockin' On Heaven's Door」と「Live And Let Die」、さらにアルバム未収録の「Sympathy For The Devil」と、計5曲。アルバムの三分の一以上がカバーって……そりゃないよな、マジで。しかもアルバム未収録が先の「Sympathy For The Devil」だけで、これが“売り”ってのもねぇ。だったら「Oh My God」(1999年に映画サントラで急遽発表された新曲)も入れろよ!とか思っちゃうんですが、やっぱり「Oh My God」はすでに『CHINESE DEMOCRACY』の音なんでしょうかね。それは理解できるんだけど。
もうひとつ。ガンズらしいグルーヴィーでアップテンポのロックチューンが異常に少ない! つうかそれらってファーストの曲だけじゃん! 如何に『USE YOUR ILLUSION』、いや、『GN'R LIES』での「Patience」以降、ミディアム/スロウ曲をシングルに選んできたか。ヒットチャート対策でしょうけど、ここまで多いと……アップテンポの曲、半分以下ですよ!? これでGN'Rの魅力を伝えようって方が無理。いや、勿論これも彼ら(というよりもアクセル)の魅力であり、売りのひとつですよ。けどさぁ。バランス感あってこそのバラードでしょ、彼らの場合。なのに……あーあ。宝の持ち腐れですよ。
あ、もうひとつあった。これはマイナスポイントというよりも、ちょっと気になった点。楽曲のクレジットがオリジナルリリース時と変わってるのが多いのね。ファーストはいいのよ、バンド名義だったからさ(正確にはバンドメンバー5人の名前が列記されている)。けど『USE YOUR ILLUSION』って、アルバムのブックレット見れば判るけど、バラバラなんだよね。イジの個人名義だったり、スラッシュとダフの連名だったり、アクセルが外部ライターと共作してたり、とか。ところがこのベスト盤では全部「アクセル/イジー/スラッシュ/ダフ」の連名。「Yesterdays」のみ、オリジナルにもあったウェスト・アーキンとデル・ジェームズの名前が。これは何を意味するんですか!? 『LIVE ERA '87-'93』まではちゃんとクレジットされてたのにね……不思議だ。ま、この辺はレコード会社のしたことであって、アクセルは一切関わってないからね。だから中途半端なのかも。
とまぁ、最後は作品の内容とは全く関係のない話でお茶を濁しましたが……要するに、音源全部持ってる人は、最新リマスタリングによって若干音がクリアになったかな?というようなこと以外に魅力は見出せないと思いますので、買うなら輸入盤でいいかも。初心者で、それこそガンズの『ガ』の字も知らなくて、普段ハードロックとか聴かないって人は、ある意味このベストから聴くのもいいかもしれませんね……と、そんなアルバムですこれは。最近出た宇多田ヒカルのベストと、要は一緒ですよ。多分。
« Berryz工房『あなたなしでは生きてゆけない』(2004) | トップページ | NIRVANA『INCESTICIDE』(1992) »
「Guns n' Roses」カテゴリの記事
- BLACK SABBATH / OZZY OSBOURNE: BACK TO THE BEGINNING(2025年7月5日)(2025.07.06)
- SLASH『ORGY OF THE DAMNED』(2024)(2024.05.30)
- IGGY POP『EVERY LOSER』(2023)(2023.01.12)
- マイケル・ジャクソンの黄金期をオリジナルアルバムで振り返る(1979〜1991年)(2022.12.31)
- GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION II: DELUXE EDITION』(2022)(2022.11.22)
「2004年の作品」カテゴリの記事
- GREEN DAY『AMERICAN IDIOT』(2004)(2024.03.27)
- 2003年4月〜2004年3月発売の洋楽アルバム20選(2024.01.08)
- BRYAN ADAMS『ROOM SERVICE』(2004)(2023.03.05)
- U2『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』(2004)(2023.02.24)
- METALLICA『SOME KIND OF MONSTER』(2004)、『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』(2016)(2023.01.28)
