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2004年4月 8日 (木)

Mr.Children『Any』(2002)

  Mr.Children 23作目のシングル「Any」は、非常に可哀想なシングルだったと思う。会心の一撃となったアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」から2ヶ月しか経っていないのにドロップされたこの曲は、まだまだミスチルの快進撃は続くんだよ‥‥というダメ押しの1曲になるはずだったのに。いや、実際にはいつも通り1位も取り、そこそこのヒットを記録したんだけど‥‥2002年7月、桜井和寿が小脳梗塞の疑いで緊急入院、及びMr.Childrenの活動休止。やはりこの事実を前にして、この曲のインパクトは薄まってしまったように思います。

  実はこのシングルのレビューをリリース当時に試みようとしたことがあったのですが、その矢先にあの出来事。結局まともな判断がつかないだろうなぁと感じたので、取り止めに。で、気づいたら桜井もミスチルも復活し、既にアルバムまでリリースしている始末。そろそろ本腰入れて『「IT'S A WONDERFUL WORLD」以降』について書いてもいい頃だよな‥‥ということで、「シフクノオト」と向き合う前に今一度、そこへ向かうまでの道のりを再確認しておこうかと思います(主に俺内で)。

  表題曲となる "Any" はイントロのピアノが印象的な、メロディアスなミドルチューン。サビで被さってくるブラスも気持ちいいし、田原健一によるギターも味わい深いし、リズムトラックのアレンジも地味ながらも凝ったものがある。そして桜井の歌詞/メロディ/歌唱。熱くなりすぎず、それでいて醒めてるわけでもない。サビでの盛り上がりはあるものの、以前のような劇的なまでの盛り上げがあるわけでもない。決して抑えて歌っているわけでもないのにそう感じてしまうのは、彼なりのテクニックなのか、それとも作戦なのか‥‥

  イントロからの流れを追っていくと、ふと "Tomorrow never knows" とイメージを重ねてしまうんだけど‥‥この曲って、もしかして "Tomorrow~" へのアンサーソング?なんて思ったりして。「心のまま」進んだ青年が「誰も知ることのない明日」を目指して迷走し、大人になった彼は「真実からは嘘を/嘘からは真実を/夢中で探してきたけど」、最終的には「今/僕のいる場所が/探してたのと違っても/間違いじゃない/きっと答えは一つじゃない」というひとつの真理にたどり着く。そんな一種悟りのようなものさえ感じさせる歌詞にしろ、言い方は悪いけど‥‥煮え切らないような劇的盛り上がりに欠ける展開/アレンジにしろ、桜井自身が当時感じていた「余裕」のようなものが生んだ産物なのかもな‥‥その先に待ち受けている「真実」が彼にとって辛いものであったとしても、ね。まぁその辺は結果論でしかないですけど

  散々「煮え切らない」「盛り上がりに欠ける」とか書いてるけど、決してそれを嫌ってるわけじゃないですよ。この曲にはこういうアレンジがピッタリハマっていて、全然アリだと思うし。むしろこのアレンジだからこその1曲だと思うし。決してシングルだけを想定して作られたものではなく、この先に待ち構えている次のアルバムへの布石‥‥パズルのピースみたいに考えて制作されてると思うしね。

  それはカップリングの "I'm sorry" にしても同様で、決してシングルのタイトルナンバーに持ってくるようなタイプではないものの、アルバムやカップリングとしては最高に良い役割を果たす作品として完成しているし。サビでのちょっと風変わりなコード進行とコーラスが印象的で、やはりブラスが被さっているんだけど "Any" 程目立ってない。曲も決して派手な盛り上がりをするアレンジではない。けど、何度もリピートして聴いてしまうし、気づけば口ずさんでしまう‥‥

  このシングルでの2曲って、共通してそういう「地味」「劇的な展開がない」「煮え切らない」みたいなイメージがあるんだけど、この辺が当時桜井及びMr.Childrenとして目指していた「ポップ」の、「IT'S A WONDERFUL WORLD」みたいな王道とは違った追求の仕方だったのかもしれませんね。勿論、ヒットメイカーでもある桜井のこと、頑張って抑えてみたものの、しっかり王道になっちゃってるんですけどね。

  あのアルバムとこの曲を引っ提げて長期のツアーをしていたら‥‥その後に "HERO" は生まれなかったかもしれない。いや、生まれたとしても、ああいった形にはならなかったかもしれない。そういう意味ではこの "Any" という曲及びこのシングルがひとつの分岐点になってしまったようですね。歌詞通り、正に「いつも答えは一つじゃない」わけだしね‥‥ 。



▼Mr.Children『Any』
(amazon:国内盤CD

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