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2004/05/08

DINOSAUR JR.『WHERE YOU BEEN』(1993)

J・マスシス率いるDINOSAUR JR.の、通算6作目(だよね?)となるアルバム「WHERE YOU BEEN」は、ある意味『時代のど真ん中』に投下された爆弾みたいなものでした。前作「GREEN MIND」がリリースされたのが'91年初頭。そう、まだNIRVANAを始めとするグランジの波が訪れる以前の制作/リリース。いろんな意味でその後のアメリカ・ギターロック・シーンを変えてしまったグランジ・ムーブメント‥‥ある意味「GREEN MIND」という傑作は、そのシーンの中で語られる機会が多かったと記憶しています。

そして'93年2月。グランジの津波が依然絶えない時期にドロップされたこのアルバム。メディアや音楽ファンの間でも賛否両論だった1枚‥‥当時の音楽雑誌では確か「J・マスシスがニール・ヤングになってしまった」とか何とかいって、酷評されていたような気が‥‥それくらい前作との違いを感じさせる、意欲的な1枚だったといえるでしょうね。

確かに泣きのギターやドッシリとしたマイナーミドルチューンにJ・マスシスの歌が載ると、何となくニール・ヤングっぽいような気さえするよな‥‥うん、そういえば当時このアルバムを聴いた時、同じようなことを感じたかも。けどそれって雑誌での予備知識があったからかもしれないし(聴いたのが先か、雑誌読んだのが先か、実はもうよく覚えてないんですが)‥‥ただね、ひとつだけ確かなことがあるのよ。それは‥‥俺にとっては、明らかに「GREEN MIND」よりもこの「WHERE YOU BEEN」の方が好きだった、一発で気に入ってしまったという点。この事実だけは変えようがないしね。事実、今でもよく聴くDINOSAUR JR.のアルバムとなると、真っ先に手を出すのはこのアルバムだしね(ま、だから最初に取り上げる作品もこれに決めたわけだけど)。世間的には「GREEN MIND」であったり、あるいはそれ以前のインディーズ時代の作品なんだろうけどさ、俺が彼ら(というかJ)を認識し、受け入れたのがこのアルバムからだったんだから、そりゃ仕方ないよね。

単なる轟音ギターバカで終わらない、いちソングライターとして、そしていちミュージシャンとしての成長を伺わせる内容で、楽曲のバラエティーも非常に広がっていると思います。NIRVANAという存在がいたからこその成長/変化だった、と取ることもできますが‥‥まぁ単純にそういう時期だったんでしょうね。決して歌の上手い人ではないんだけど、このギターとこの曲には、やはりこの頼りなさげなJのボーカルじゃないとハマらないんだよね。

俺、よくさ、「胸を掻きむしられるような情熱的な曲」ってのを求める時期があるのね。どうしようもなく切なくなって‥‥本当はそれを他者(=女性)に求めればいいんだろうけど、なかなかそうもいかないこともあってね(深く追求するなそこ)。そういう時に必ず聴きたくなるのが、このアルバムの1曲目、"Out There"。熱すぎないボーカルなのに、ギターフレーズだけはもう涙腺緩みまくりな名フレーズの連続。ホント、この1曲だけの為にアルバム引っ張り出すこともしばしば。そんだけ俺、愛に飢えてるってことか‥‥!?

ほのぼのした歌モノあり、轟音ギターが載った疾走チューンあり、アコースティック主体の聴かせる曲ありで、インディーギターロックやグランジといった表現では片付けられない、いや、片付けてはいけない魅力的な楽曲ばかり。ま、初期の彼らを好む人達からは「終わった」作品なのかもしれないけど、正直俺はここから「今のJ・マスシス」が始まったと思ってるような人なのでね。現在の彼のソロアルバムが好きな人は間違いなく一発で気に入る作品集だと思いますよ。

NIRVANAとかニール・ヤングとかグランジとかインディーギターロックとか‥‥正直、そんなのどうでもいいのよ。別にDINOSAUR JR.を語るのに必ず必要な要素だとも思えないし(いや、必要なのかもしれないけどさ)‥‥個人的にはまず、まっさらな状態でいきなり聴いて欲しい1枚。そう、こんな駄文読む前に、まずは聴いてみてくださいよ!



▼DINOSAUR JR.『WHERE YOU BEEN』
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投稿: 2004 05 08 08:29 午前 [1993年の作品, Dinosaur Jr.] | 固定リンク