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2004年5月23日 (日)

OZZY OSBOURNE『DOWN TO EARTH』(2001)

6年待ってこれかよ‥‥リリース当時の偽らざる気持ちが、これ。いや、リリース前にラジオで聴いたアルバム1曲目 "Gets Me Through" を聴いた時は、確かな手応えを感じたんだけど‥‥

世間的にラウドロック/ヘヴィロックと呼ばれるジャンルが盛り上がっていったのが、'90年代末。そんな中実現したBLACK SABBATHの(一時的な)再結成。新曲2曲を含むライヴアルバムもリリースされたものの、オリジナルアルバムは'95年の「OZZMOSIS」以降6年以上に渡ってリリースがなかったオジー・オズボーン。今や「ヘヴィメタル界の帝王」なんて形容詞もいらない程に「HM/HRの象徴」と化した彼が、こんなに「オイシイ」時期に過去の楽曲を再録音したものを出してお茶を濁すなんて‥‥いや、それを時代が求めていたことも重々承知してるよ。けどさ‥‥やっぱり俺達は「新しいオジーの曲」「カッコいい最新型のオジー」が聴きたかったわけじゃない、違う?

メンバーが流動的で固定されないまま突入したレコーディングは長期に渡ったようですが(というか、ソングライティングに関してもかなりいろんな外部ライターと作業をしたようですね)、最終的に21世紀に入った2001年10月に、ようやくリリースされたのがこの「DOWN TO EARTH」。そしてリリースされたアルバムを手にして感じたのが、最初の行。

プロデューサーにメタル畑以外からの人選(U2、THE CURE、デヴィッド・ボウイのTIN MACHINE等を手掛けるティム・パーマー)という時点で、個人的には嫌な予感がしてたんだけど‥‥うん、正直に書くね。俺にとっては、オジーがリリースしたソロ・アルバムの中で、一番印象が薄い、一番つまらないアルバムがこれ。勿論、その辺の2流バンドのアルバムと比べれば雲泥の差なんだけど(クオリティー的には非常に高いとは思いますよ、このアルバム)、けどさ‥‥誰が今のオジーにカッチリ作り込まれた品の良いアルバムを期待する?

まずさ、このアルバム最大の失敗点って、アルバム制作前までにバンドを固定しなかったことだと思う。「OZZMOSIS」の時もいろんなソングライターと共同作業で制作してるけど、基本的にはすぐ側にザック・ワイルドという最高のギタリスト/ソングライターがいたし、更には気心知れたギーザー・バトラーというベーシスト/ソングライターもいて、新顔だけどアホみたいに叩きまくるディーン・カストロノヴォもいた。こういったメンバーがしっかり自己主張してたんだよね、アルバム内で。

ところが今回の場合、リズム隊はマイク・ボーディン(元FAITH NO MORE)とロバート・トゥルージロ(元SUICIDAL TENDENCIES、現METALLICA)を固定しながらも、ギタリストに関しては曲作りの時点ではジョー・ホームズが参加、しかしこれといったケミストリーがみられず脱退、レコーディングではバッキングをプロデューサーのティムがこなし、ソロパートと一部のバッキングをまたザックに依頼するという形。つまり、ザックは自分が書いていない曲(ギターリフ)を弾かされたり、ただソロを弾くために呼び戻された、と‥‥こんな作業にケミストリーが生まれると思う?

そりゃね、確かにザックのプレイは凄いですよ。彼が参加したスタジオ盤過去3作と比べれば暴れ度は相当低いですが、それでも彼のプレイに突入した途端に場の空気が一変し、緊張感が高まるし。何だろうねぇ、これ。

何度も書くけど、曲は決して悪いとは思わないのよ。そりゃさ、一流のソングライターが山ほど参加してるんだもん。スコット・ハンフリー(MOTLEY CRUEやROB ZOMBIE等のプロデューサー)、ジェフ・ニコルズ(BLACK SABBATHのキーボード等)、マーティ・フレデリクセン(AEROSMITH等で有名)、ミック・ジョーンズ(FOREIGNER)、アンディ・スターマー(元JELLY FISH。現在は日本のPuffyのプロデュース/ソングライターで有名)、ダニー・セイバー(元BLACK GRAPE。UKロック/ダンス系プロデュース/リミックスで有名)といった名前が共作者として並び、更に今回アルバムに収録されなかった曲ではデイヴ・グロール(元NIRVANA、現FOO FIGHTERS)、マイク・マクレディ(PEARL JAM)、そしてザック・ワイルドの名前もあったそうで‥‥勿体ない。それ全部ザックのギターを全面的に導入して再録音してさ、今から出そうよ、ねぇ‥‥

まぁそういった錚々たるメンツによる楽曲だけど、最終的にどれも「オジー印」の楽曲に仕上がっているのは、もはや「オジーが歌えば全部オジーの曲に聞こえる」という事実の象徴というかなんと言うか‥‥言い方悪いけど、全部同じに聞こえてくるというのも事実でして。なんて言うかねぇ‥‥バリエーションが狭い、というか、過去の焼き直し、というか、新境地らしい新境地なしの安全パイ、といったイメージが非常に強い作品でして。冒険が少ないんですよね‥‥新しい発見も少ないし。で、それをダメ押しするかのような、没個性的なバックトラック‥‥リズム隊さ、もっと華があるはずなのに、全然普通。ベースももっとバキバキいったプレイをするはずのロバートが、完全に地味に徹してるし。そしてギターな。恐らく半分以上ティムが弾いてると思うんだけど‥‥本当につまらない。やっぱりこの人、ヘヴィメタルの人じゃないしさ、メチャメチャ普通に刻んでるだけ、という真面目なプレイが基本なのね。だからさ、ザックのプレイと思われるギターが登場すると、完全に食われる。音圧も全然違う。曲のイントロでザックが特徴あるチョーキング&ハーモニクス等で盛り上げてから歌に突入すると‥‥急にバッキングの音圧が低くなる。で、またザックのギターが入ってくると分厚くなる。プロデューサーとして、これはアリなの??

少なくともファンはオジーのアルバムに、こんな品の良い作品集は求めてないはず。もっとギトギトしたリズム隊に、ザラザラしてささくれ立ったギターが被さって、そこにダブルボーカルのオジーの声が乗る‥‥それだけで「おおっ!」ってなるのにさ。結局、オジーのことを理解してない奴、オジーに対して敬意を払えない奴と仕事するとこういう結果に終わるという、悪いお手本ですよね。ホント、これなら「THE ULTIMATE SIN」の方が100万倍も優れてると思うよ。

ミドルテンポ中心でもフックが沢山仕込まれていた前作。楽曲のバリエーションが一気に広がった結果、ソロとしては過去最高のセールスを記録した「NO MORE TEARS」。'90年代はこの2枚しかオリジナルアルバムをリリースしてないわけだけど、ホントこれらと比べるのが申し訳ない程の内容。いや、何度も書くけど曲は悪くないのよ、うん。だからね、アレンジだったりさ、制作側の熱意だったりさ、そういった要素に欠ける‥‥そう、決定的な「売り」がないんだよね。「オジーが今回も歌ってます!」ってのじゃあねぇ‥‥オジーのアルバムなんだから当たり前だし。これ聴いちゃうとさ、本気でオジーは「オジー+バックバンド」という構図で、ソロ・シンガーとしての道を歩みたいのかなぁ‥‥と心配になってきちゃうよね。まぁザックは今あの調子だし、本気で再び一緒にやる気があるのかどうか(いや、ちゃんと声さえかかれば、彼も本腰入れて仕事すると思うけどね)‥‥そしてリズム隊‥‥その後、ベースが元METALLICAのジェイソン・ニューステッドに変わったり、またまたギーザー・バトラーが出戻りしたり、かなり流動的。本気で「ケミストリー云々」とか口にしてるのか正直疑問(ま、この場合はオジーというよりも、マネージャーであり妻であるシャロンの意見が強いんだろうけど)。

あんまりさ‥‥オジーのことで悪いこと書きたくないんだけどねぇ‥‥やっぱりほら、自分にとっても「スーパースター」だからさ、どうしても常に最高でいて欲しいわけじゃない? そんな人が6年振りにアルバム出したら期待以下だったらねぇ‥‥で、ここから更に現時点で3年近く経ってるわけじゃない? その後当然のように新譜が出る気配はないし、で昨年末のあの大事故だし。今年の夏はソロとしてなのか、あるいはBLACK SABBATHとしての活動なのか現時点では不明ですが、とにかくね‥‥まだまだ現役でやる気があるなら、本当に「凄い」アルバムを期待してます。もう「良い」アルバムは今回ので十分ですから。



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投稿: 2004 05 23 04:29 午前 [2001年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク